JPS587458B2 - フレキシブル印刷配線板の製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はフレキシブル印刷配線板の製造方法、詳しくは
、金属箔と合成樹脂絶縁シートとの強固な接着性、優れ
た耐熱性と耐熱劣化性、さらに耐燃性を具備するフレキ
シブル印刷配線板の製造方法に関するものである。

近年、電子機器の高度化、多様化に伴って軽量で立体機
能的に実装できるフレキシブル印刷配線板が注目されて
いる。

また民生機器においては特に安全性の立場から材料の難
燃化および耐熱劣化接着性の要求が強化されてきている
。

ところが、合成樹脂絶縁シート材料に耐熱性、耐燃性の
優れる例えばポリイミド、ポリアミドイミドフイルムを
使用した場合でも、かかる合成樹脂絶縁シートと金属箔
とを接着剤組成物を介して加熱圧着により製造されるフ
レキシブル印刷配線板においては、接着性、耐熱性、耐
熱劣化性および耐燃性を兼備させることは極めて困難で
あった。

これは耐熱性、耐燃性に優れる合成樹脂絶縁シートが、
他方では一般に接着性が極めて低い欠点を有するためで
あり、さらには接着剤組成物の接着性、耐熱性を発揮さ
せる成分として多用されているエポキシ樹脂が耐燃性の
要求から臭素基を付加させた臭素化エポキシ樹脂の場合
には本来有する耐熱性、接着性が著しく低下するからで
ある。

この臭素化エポキシ樹脂は、臭素含有量が高くなる程耐
燃性は向上するが、架橋性は小さくなり耐熱性が低下し
、かつ臭素基の増加により接着性も低下する。

一方、フレキシブル印刷配線板として耐燃性を満足させ
るためには、接着剤組成物中における臭素含有量は一般
に少なくとも１５重量％以上が必要であり、したがって
臭素化エポキシ樹脂の臭素含有量にもよるが、かなり多
量の配合が必要である。

このことが、接着剤組成物に耐燃性と耐熱性、接着性、
耐熱劣化接着性とを兼備させることの困難さを増長させ
るのである。

特に耐燃性の最も高度な要求性能を規定しているアンダ
ーライターズラボラトリー（ＵＬ）規格のＶ−Ｏクラス
を満足すること、および耐熱劣化接着性の目安として１
５０℃で１０日間の気中劣化試験後の接着強さが０．３
６ｋｇ／ｃｍ以上であることを規定しているＵＬ規格、
ＵＬ−７９６を満足することはフレキシブル印刷配線板
においてとりわけ困難な要求であった。

本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、アル
コール可溶性ナイロン樹脂３０〜６５重量％、臭素化エ
ポキシ樹脂１０〜５０重量％、臭素化ポリパラビニルフ
ェノール樹脂１０〜４５重量％およびフェノールホルマ
リン樹脂５〜３０重量％からなり、且つ臭素含有量が１
５重量％以上である接着剤組成物を使用することを特徴
とするものである。

アルコール可溶性ナイロン樹脂は熱可塑性であるがエポ
キシ樹脂あるいはレゾール型フェノールホルマリン樹脂
との架橋能がありポリイミド、ポリアミドイミド等の合
成樹脂絶縁シートと金属箔両者への接着性にすぐれ耐熱
性が発揮される。

但し、エポキシ樹脂が耐燃性に優れる臭素化エポキシ樹
脂である場合には、前述したように必らずしも十分な耐
熱性は得られにくい。

一方、臭Ｘ化ビニルフェノール樹脂はそれ自体耐燃性を
有すると同時にエポキシ樹脂との架橋性に優れ架橋物は
耐燃性と耐熱性を発揮する。

また、フェノールホルマリン樹脂は、エポキシ樹脂との
架橋のみならず同時アルコール可溶性ナイロン樹脂との
架橋性に優れており、特にエポキシ樹脂が臭素化エポキ
シ樹脂である場合には、アルコール可溶性ナイロン樹脂
との架橋性は必らずしも十分であるとはいえないが、フ
ェノールホルマリン樹脂とアルコール可溶性ナイロン樹
脂との架橋増加により大巾に耐熱性を向上させることが
可能となった。

本発明は、この臭素化ポリパラビニルフェノール樹脂と
臭素化エポキシ樹脂との架橋、フェノールホルマリン樹
脂とアルコール可溶性ナイロン樹脂および臭素化エポキ
シ樹脂との架橋がそれぞれあますところなく行われるた
め接着性、耐熱劣什接着性、耐燃性および飛躍した耐熱
性が同時に発揮されることを見いだしたことに基づくも
のである。

アルコール可溶性ナイロン樹脂はメトキシメチル基等を
有する共重合ナイロン樹脂でザイテル（デュポン社製商
品名）、ウルトラミツド（ＢＡＳＦ社製商品名）、トレ
ジン（帝国化学工業■製商品名）などの市販品が利用で
きる。

アルコール可溶性ナイロン樹脂を３０〜６５重量％に限
定した理由は、３０％以下では接着性が不十分であり６
５％以上では相対的に臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリ
パラビニルフェノール樹脂あるいはフェノールホルマリ
ン樹脂の量が少なくなり十分な耐燃性、耐熱性が得にく
いからである。

臭素化エポキシ樹脂は、通常の臭素化ビスフェノール型
エポキシ樹脂、あるいは臭素化フェノールノボラツク型
が利用でき、臭ネ含有量はそれぞれ１５〜５０重量％程
度のものが良く、エピコート１０４５、ＤＸ−２４８（
いずれもシェル石油工業■商品名）、あるいはＤＥＲ５
４２、ＤＥＲ５１ｌ（いずれもダウケミカル社製商品名
）などの市販品を使用できる。

臭素化エポキシ樹脂の量を１０〜５０重量％に限定した
理由は、１０％以下では臭素化ポリパラビニルフェノー
ルを多量に使用した場合でも耐熱性が低下するからであ
り５０％以上では相対的にアルコール可溶性ナイロン樹
脂、臭素化ポリパラビニルフェノール樹脂の量が少なく
なって接着性、耐熱性、耐熱劣化性が低下するからであ
る。

臭素化ポリパラビニルフェノール樹脂は分子構造的には
熱可塑性ポリスチレン樹脂に類似しており、臭素化バラ
オキシスチレン樹脂とも呼称されるが、パラ位の水酸基
の作用によりエポキシ樹脂との架橋性に富むもので、臭
素含有量１５〜５０重量％程度がよく分子量は５０００
〜２００００程度が好ましい。

市販品としてはレジンＭＢ（丸善石油化学工業（株）製
商品名）などが利用できる。

臭素化ポリパラビニルフェノール樹脂の量を１０〜４５
重量％に限定した理由は、１０％以下では臭素化エポキ
シ樹脂との架橋性が十分でなく、特に耐熱劣化性が低下
するからであり、４５％以上では相対的にアルコール可
溶性ナイロン樹脂、臭素化エポキシ樹脂の量が少なくな
るため接着性、耐熱性が低下するからである。

フェノールホルマリン樹脂はアルカリ性物質例えば苛性
ソーダあるいはアミン類を触媒としてホルマリン／フェ
ノールのモル比が１．０〜２．０の条件で合成したレゾ
ール型液状樹脂で市販品としてはＶＰ−１１Ｎ、ＶＰ−
１３Ｎ（いずれも日立化成工業■製商品名）などがある
。

フェノールホルマリン樹脂を樹脂固形分で５〜３０重量
％に限定した理由は、５％以下ではアルコール可溶性ナ
イロン樹脂を十分に架橋させる効果が小さく、３０％以
上では相対的に他成分量が少なくなるため接着性、耐燃
性あるいは可撓性が低下するためである。

なお、臭素化エポキシ樹脂はフェノールホルマリン樹脂
および臭素化ポリパラビニルフェノール樹脂とで十分に
架橋されるので、特にエポキシ硬化剤を使用しなくても
よい。

上記接着剤組成物の溶媒としてメタノール、ベンジルア
ルコール、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、
エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレン
クリコールモノエチルエーテルおよびその混合物等が使
用できる。

以上説明した接着剤組成物を介して合成樹脂絶縁シート
と金属箔とのラミネートは、接着剤組成物を合成樹脂絶
縁シートあるいは金属箔の少なくともいずれか一方に溶
液状態で塗布したのち、加熱乾燥炉中で乾燥し溶剤を揮
散しあるいは予備硬化（ブリキュア）を行ない、次いで
加熱プレスを使用して加熱圧着する方法、あるいは連続
時に塗布乾燥を行い、引きつづき連続的に加熱ロールを
通過させ、加熱圧着して巻きとり、次いで後加熱硬化（
ポストキュア）を行う方法などの任意の方法が採用でき
る。

金属箔としては、銅箔、アルミニウム箔等が使用される
。

実施例 １ アルコール可溶性ナイロン樹脂としてトレジンＥＦ３０
（帝国化学■製ナイロン樹脂）６０重量部をメタノール
４００重量部、ベンジルアルコール１００重量部からな
る混合溶媒に溶解し、この溶液にフェノールホルマリン
樹脂としてＶＰ−１３Ｎ（日立化成工業■製商品名）を
メチルエチルケトンで４０％に調整した溶液２０重量部
と臭素化エポキシ樹脂としてＤＥＲ５４２（ダウケミカ
ル社製商品名）１５重量部、および臭素化ポリパラビニ
ルフェノール樹脂としてレジンＭＢ（丸善石油工業■製
商品名）１７重量部をメチルエチノシケトン４０重量部
に溶解した溶液とを加え均一混合して接着剤組成物溶液
を調整した。

次いでカプトン（デュポン社製ポリイミドフイルム、５
０μ）に前記接着剤組成物溶液を乾燥後で約２０μにな
るように塗布し、１００℃で１０分間乾燥したのち、こ
の塗布面に日本電解工業■製、３５μ電解銅箔を重ね合
せ熱圧プレスを使用してプレス温度１６０±２℃、圧力
４０ｋｇ／ｃｍ２加熱時間６０分の条件でラミネートさ
せた。

得られたフレキシブル印刷配線板の性能は別表に示す如
く、ＵＬ規格のＶ−Ｏクラスの耐燃性とＵＬ規格の耐熱
劣化接着性を有しており、はんだ耐熱性は３００℃で１
０秒以上異常がなかった。

比較例 １ アルコール可溶性ナイロン樹脂を６５重量部、臭素化エ
ポキシ樹脂３５重量部、ジシアンジアミド１．２重量部
からなる接着剤組成物を用いた他は実施例１と同様にし
てフレキシブル印刷配線板を作成した。

このものの性能は別表に示すように耐燃性は得られるが
、耐熱劣化接着性が劣り、耐熱性も３００℃はんだ浴上
では５秒以下でフクレを生じた。

比較例 ２ 比較例１における臭素化エポキク樹脂の代りにビスフェ
ノール型エポキシ樹脂としてＤＥＲ６６１Ｊ（ダウケミ
カル社製商品名）を用いたほかは比較例１と同様にして
フレキシブル印刷配線板を作成した。

このものの性能は別表に示す如く、接着性は得られるが
耐熱劣化接着性、耐熱性は全く低いレベルであり、耐熱
性も３００℃では１０秒以下であった。

以上説明したように本発明により強固な接着性と耐熱劣
化接着性を有すると同時に耐燃性と高度な耐熱性とを兼
備したフレキシブル印刷配線板が得られ、従来の隘部を
大巾に改善し、広範な用途に使用し得るものである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ アルコール可溶性ナイロン樹脂３０〜６５重量％、
   臭素化エポキシ樹脂１０〜５０重量％、臭素化ポリパラ
   ビニルフェノール樹脂１０〜４５重量％、フェノールホ
   ルマリン樹脂５〜３０重量％からなり、且つ臭素含有量
   が１５重量％以上である接着剤組成物を介して合成樹脂
   絶縁シートと金属箔とを加熱圧着することを特徴とする
   フレキシブル印刷配線板の製造方法。