JPS587141Y2 - デイスクブレ−キヨウデイスクバン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はオートバイ等のディスクブレーキ用ディスク板
の改良に関する。

更に詳しくは、ディスク板のパッド摺動部に車軸方向と
半径方向及び車軸に対する傾斜方向の自由度を与え、デ
ィスク板が常にパッドの摺接面に追従して回転するよう
構成するものである。

例えば、ディスク板の軽量化を目的としてそれ自体を薄
く製作しようとするとディスク板に変形等が発生し易く
、そのためパッド摺動部の平行度に狂いが生じるという
問題点があった。

そこでパッド摺動部と車軸取付部側とを別個に製作し、
これらを係止部材で連結するもの（例として実公昭４５
−３１４８８号）が提案されたが、これとてもその取付
時にキャリパとディスク板間に若干でもずれが生じると
片当りとなって偏摩耗等が起り制動効果が低下するとい
う問題が存在するばかりか、制動時の発熱等の影響でパ
ッド摺動部が膨張し、このパッド摺動部と車軸取付部間
にガタ（連結部まわりの）が発生し、前述したと同様キ
ャリパとディスク板が片当りを起すという欠点があった
。

そこで本考案では、キャリパとディスク板取付時に車軸
方向の相対位置が変位したとしても、また、制動時の発
熱によってパッド摺動部が変位しても、これらを補正し
、ディスク板の変形による引摺トルクの増加等が生じな
いディスク板を提供するものである。

以下本考案の実施の一例を添付図面に基づいて説明する
に、ディスク板１は、車軸（図示せず）側取付部２とキ
ャリパ（図示せず）側に位置するパッド摺動部３とを隙
間ａをもって分割形成するとともに、これら両者間に跨
って穿設された孔部たる長孔４に係止部材５を嵌入する
ことによって両者を連結している。

従って前記取付部２とパッド摺動部３は円周方向に対し
ては拘束されるが、前記係止部材５を長孔４に嵌入しで
あるため、制動時においてパッド摺動部３がキャリパ側
パッドとの摺接により発生する熱の影響を受けてこのパ
ラド摺動部３が取付部２に対して半径方向へと向って膨
張しようとする時に前記長孔４でパッド摺動部３の膨張
分を許容できる（尚同芯的孔に係止。

部材が嵌合された場合はどうしても嵌合孔の熱膨張によ
る隙間のために円周方向のガタが発生し制動遅れを生じ
るが、本考案の場合にはこのようなガタは生じない。

）よう構成されている。一方、前記係止部５は第３図に
示される如く、長孔４の平行面４に嵌合する平行面６を
形成すると共に、この平行面６の巾Ｓより小径なネジ部
１が形成されている。

更に前記平行面６の長さＬは第２図に示すように、ディ
スク板１の厚さＭより長く形成し、パッド摺動部３が長
孔４の平行部４′と摺接する平行面６を介して軸方向に
変位することができるよう構成される。

そしてナツト８で係止部材５の端部に取付けられたプレ
ート９とディスク板１との間には該プレート９に〒端が
当接され、他端がパッド摺動部３及び取付部２にそれぞ
れ当接された中立復帰用の例えばウェーブトスプリング
型もしくは彎曲板ばね型のスプリング１０が介在されて
おりパッド摺動部３に変形又は変位がなく、かつキャリ
パとディスク板１の相対位置が正常である時はディスク
板１は第２図の中立状態に位置するのである。

次にキャリパとディスク板１の相対位置に変化があった
時は、パッド摺動部３がパッドの位置に追従して軸方向
に平行に変位したときは第４図および第５図に示すよう
に何れの方向へもガタがなく自在に片寄ることができる
ようにしたものである。

即ち、第４図ではディスク板１の取付位置に対してキャ
リパが右方向へ変位した場合を示したものでパッド摺動
部３が係止部材５の平行面６に沿って長孔４内をスプリ
ング１０に抗して軸方向（図中右方向）へと変位し、反
対にキャリパが左方向へ移動した状態ではパッド摺動部
３はボルト５をスプリング１０に抗して軸方向（図中左
方向）へと変位してキャリパ側パッドがパッド摺動部３
に片当りするのを防止することができると共にディスク
板１とキャリパの相対位置に変化があってもこれを戻そ
うとするスプリング１０の復元力は無視できる程度なの
でパッド摺接面における引摺トルクに大きな変化が生ず
ることがないのである。

一方、パッド摺動部３がパッドに追従して一旦軸方向に
変化したとしても非制動時にはスプリング１０の復元力
でこのパッド摺動部３を正規の状態に戻そうとする力が
常に作用するため、高速走行時の風圧等でパッド摺動部
３が振動してキャリパ側のパッドを押込んだり、或いは
振動等による発音がなくなるのである。

更に取付部２とパッド摺動部３０間には前記したように
隙間ａを設け、かつこれら両者を連結するに当って前述
した如く長孔４内に前記係止部材５を介在させているの
であるが、この係止部材５の平行部６と長孔４の平行部
４′との間で円周方向のガタが規制された状態のまま摺
動部３は第６図に示す如く、車軸に対し前記隙間αの範
囲内において傾斜方向の自由度をも持つことになり、従
ってパッドに対するパッド摺動部３の追従性が確保され
、パッドの状態が如何様であってもパッド摺動部３はパ
ッド摺接面に追従して常に回転できるため引摺りトルク
の増加がないことは勿論のこと、パッドが偏摩耗するよ
うな点は全て取除くことができ又、パッド摺動部３が軸
方向と傾斜方向に複合変形した場合に於ても上記の効果
が得られる等実用上の効果が極めて大きい。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施の→りを示すもので、第１図はディス
ク板の二部切欠正面図、第２図は一部切欠縦断側面図、
第３ａ図はパッド摺動部と車軸側取付部とを連結する係
止部材の正面図、第３ｂ図は同平面図、第４．５．６図
はディスク板の変位した状態を示す説明図。 １・・・・・・ディスク板、２・・・・・・車軸側取付
部、３・・・・・・パッド摺動部、４・・・・・・長孔
、５・・・・・・係止部材、６・・・・・・平行面、９
・・・・・・プレート、１０・・・・・・スプリング、
ａ・・・・・・隙間。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車軸取付部とパッド摺動部とを隙間を隔てて分割し、こ
   の車軸取付部とパッド摺動部とに跨って穿設された孔部
   に係止部材を嵌挿してこれら両者を連結してなるディス
   ク板において、前記孔部な、平行部を有してなる長孔と
   して形成する一方、この長孔内へと嵌挿される係止部材
   に前記平行部と摺接する平行面を設け、これら長孔の平
   行部と係止部材の平行面との励動作用によりパッド摺動
   部の車軸方向への平行及び傾き変位と、熱膨張による半
   径方向の変位とを許容するようにすると共に、前記パッ
   ド摺動部が車軸取付部に対して変位しても非制動時には
   パッド摺動部を常に正規位置側に押圧すべく、前記係止
   部材とディスク板間に、当該係止部材側に一端を、かつ
   パッド摺動部及び車軸取付部とに他端をそれぞれ接して
   なる中立復帰用のスプリングを介在してなるディスクブ
   レーキ用ディスク板。