JPS587051Y2 - 防音構造体の換気口 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、防音構造体の換気口に関する改良に係り、
換気口の消音効果を滅失させることなしに、該口の換気
能力を高めんとするものである。

ところで、機械設備などのような特定の騒音源から周囲
への騒音の伝播を遮断するためには、箱状ないしは室状
の防音構造体が採用され、その騒音源を該構造体の内部
へ密閉して、発生した騒音を外部へ伝わらなくすること
がよく行なわれる。

然し乍ら、このような防音構造体といえども、内外間の
通気を目的とした換気口が備えられる場合には、その換
気口を通じて騒音が伝播することになり、従って防音の
目的を完全には果し得なくなる。

そこで従来に於ては、このような換気口からの騒音の伝
播を防止する目的で、該口を適当長さの流路となし、こ
の流路内壁面へ吸音材を貼り付けて騒音を吸収減衰させ
ると共に、その流路全体を１ないし数個所で９０度もし
くは１８０度屈聞きせて、騒音を更に減衰させることが
行なわれている。

またこの場合には、上記した流路の屈曲をできる限り急
激であるようにした方が、消音効果は大となるが、その
反面に於ては、流路の屈曲部附近に乱流、渦流が生じる
を避は得なくなり、流路抵抗が著しく増加するため、そ
の屈曲部に質量効果の小さな材料からなる４壁及び導翼
を設け、前記の消音効果を損ねることなく流体の流れを
正常化することも考えられている。

かかる配慮にも拘らず、この種の換気口には、なお、入
口での流入抵抗に起因する問題が残されており、特に換
気能力を高める目的で換気扇を取り付けた場合には、防
音構造体内部からの騒音の伝播が促進されるのみならず
、流入抵抗のために新たな騒音が発生することにもなる
ため、換気口の騒音効果が、例え一部であるにせよ、滅
失される結果を招き易い。

本考案は、防音構造体の換気口に関する上記したような
問題点に対処して、当該換気口から期待し得る消音効果
を滅失させることなしに換気能力の向上を図るため、そ
の入口に、消音能力を有して然も流入抵抗を軽減せしめ
得るような導入口を附加するものである。

以下これを図面に示す実捲例について詳述する。

図に於て１はエンジンその他の騒音源となるような機械
設備を収容する目的で構成された防音構造体としての防
音室、２は該室に備えられた換気口である。

この換気口２は、上記防音室１内へ開口された入口３か
ら大気中へ開口された出口４に至るまでの間で、適当な
長さをもった流路５を構成するように形成され、図例で
は入口側及び出口側の２個所に於て、直角に屈曲６，７
させられている。

かかる流路状とされた換気口２の全体は、薄銅板などの
如き丈夫な外殻材８で形成されるが、これの流路５の内
壁面には、グラスウール、ロックウールもしくはミネラ
ルウールなどのような吸音材９が、開口率２０〜５０％
の多孔板１０を併用して貼り付けられ、また該流路の前
記両層曲部６．７における各端壁１１，１２は、厚鋼板
などからなる反射壁とされており、更にまた図例の流路
５では、中程の部分が、前記と同様の吸音材を主体とす
る仕切板１３で、上下２本に仕切られている。

このような流路５の各屈曲部６，７には、流体の流れを
清らかに曲げるため、質量効果の小さな材料からなる円
孤状の４壁１４，１５及び導翼１６，１７が、夫々配設
されており、図例の４壁１４，１５は、流路壁と同様に
、前記の吸音材９及び多孔板１０をもって構成されてい
る。

一方、上記した流路５の人口３には防音室１内へ向かっ
て開口されたベルマウス形の導入口１８が着脱自在なる
ように取り付けられ、その内部には換気扇１９が備えら
れている。

この導入口１８は、第２図に示す如く、薄鋼板等からな
る外枠１８ａ及びこれの上端外周に突設された取付は用
フランジ１８ｂと、その外枠内壁面に貼り付けられた吸
音材１８ｃと、該吸音材を保護するための多孔板１８ｄ
とからなり、更に吸音材１８ｃと多孔板１８ｄとの間に
は合成樹脂フィルムが介在させられることもある。

かかる導入口１８の主体となる上記吸音材１８ｃとして
は、前記したグラスウール、ロックウール、ミネラルウ
ール等が使用され、また多孔板１８ｄとしては、開口率
２０〜５０％。

のものが使用される。

なお図中の２０は出口４に備えられた防護用レーμ、２
１．２２は各屈曲部６．７の４壁１４，１５から外側に
残された空隙であって、必要に応じ質量効果の小さな吸
音材で充填されることもある。

上記した構故に於て、いま防音室１内と外部との間で、
換気口２を通じて換気が行なわれ、且つその換気は、換
気扇１９によって強制的になされるものとする。

すると、このときの室内空気は、流路５内で入口３から
流入して出口４へ向かい、途中の屈曲部６，７も、４壁
１４，１５及び導翼１６．１７で案内されて清らかに向
きを変え乍ら通過した後、その出口４から室外へ排出さ
れる。

また、このとき防音室１内から人口３を経て流路５内へ
伝播されて来る騒音は、流路内壁面の吸音材９によって
吸収減衰させられるのみならず、４壁１４，１５が質量
効果の小さな材料で構成されて遮音性に乏しく、その騒
音を反射することがないため、流路５の急激な屈曲によ
る消音効果、及び反射壁とされた端壁１１，１２からの
反射騒音との干渉による消音効果によっても、夫々減衰
させられる。

従ってその流路５内では、流体は快調に流れ、同時に、
広い周波数域にわたる騒音が、効果的に消去せしめられ
る。

一方、流路５の人口３に取付けられた導入口１８は、こ
れがベルマウス形とされているために、上記人口３へ向
かう流体を無理なく収束するよう案内し、該流体に及ぼ
す流入抵抗を大巾に軽減する。

従って、かかる導入口１８は、換気扇１９の換気能力を
充分に発揮させると共に、流入抵抗に起因する新たな騒
音の発生をも抑制する。

然もこの導入口１８は、吸音材１８ｃを主体として構成
されているため、上記の新たな騒音が僅かに生じても、
これを吸収するだけでなく、換気扇１９のいわゆる風切
り音をも吸収し、更には防音室１内から流路５の入口３
へ伝播しようとする騒音をも減衰させる。

よって、この導入口１Ｂは、換気扇１９を用いることに
よる弊害を排除して、流路５内での消音効果を滅失させ
ることなしに、換気扇１９による換気能力の向上を実現
せしめることになる。

以上の如く、本考案は広い周波数域にわたる騒音を効果
的に減衰消去せしめ得るよう構成された流路法の換気口
へ、更に換気扇を附加して、換気能力の向上を図ろうと
する場合につき、その流路の入口へ、吸音材を主体とす
るベルマウス形の導入口を、上記の換気扇と共に備えし
めるようにしたものであるから、このような本考案によ
れば、この種の換気口に期待し得るすぐイまた消音効果
を滅失させることなしに、当該換気口の換気能力を向上
させることができ、従って、構造が簡易な小形で性能の
良い換気口を、低コストのもとに於て提供できる利点が
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す縦断側面図、第２図は要
部の拡大図である。 １・・・・・・防音室、２・・・・・・換気口、３・・
・・・・入口、４・・・・・・出口、５・・・・・・流
路、６，７・・・・・・屈曲部、９・・・・・・吸音材
、ｌＬ１２・・・・・・端壁、１８・・・・・・導入口
、１８ｃ・・・・・・吸音材、 １９・・・・・・換気扇。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 入口から出口までが適当な長さの流路状とされて途中に
   急激な屈曲部を有し、且つその流路内壁面には吸音材が
   貼り付けられ、屈曲部での流路端壁は反射壁とされてい
   る換気口であって、上記流路の入口には、吸音材を主体
   として形成されたベルマウス形の導入口が、換気扇と共
   に取り付けられていることを特徴とする防音構造体の換
   気口。