JPS5852845B2 - 自動車の空気タイヤ用緊急作動リング - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、空気を導入するための複数の通孔を有し補
強基部を平底リム上に保持するようにされた１個の弾性
材料製リングから成る、平底リム上に装着した自動車用
チューブレス空気タイヤのための緊急作動リングに関す
る。

空気タイヤは外部作用によって、衝撃的に空気が抜ける
ような損傷を受けることがある。

この場合リム上におけるタイヤ基部を強固に着座位置づ
ける機能が失われ、その結果自動車固有の方向安定性即
ち操向性が失われる。

このような場合自動車が更に走行するとタイヤ頂部がへ
こまされ、その内面がリムに接触するため、これらの間
の大きな摩擦力で短時間で、欠陥タイヤが完全に破損す
ることになる。

前述した型式の緊急作動リングは、タイヤ交換場所まで
のある程度の距離だけ自動車を走行させることができる
ようにするため、タイヤ基部をその位置に保持し、空気
がなくなったタイヤに対してリムを保護するように作用
する。

中空リングの形状のタイヤ内部空間を完全又は部分的に
満たすゴムリング製緊急作動リングは既知である。

この緊急作動、リングは、タイヤの全重量を大きくした
り、タイヤ取付けを困難にするため、実際にはさほど好
適なものではない。

その上、中空リングを完全又は部分的に満たされたタイ
ヤは、空気タイヤに関して望ましい最適の弾力性をもた
なくなり、空気が抜けたりタイヤが変形したりした場合
、以後の自動車走行が保証されなくなる程大きな摩擦が
緊急作動リングとタイヤ頂部の内面との間に生じる。

本発明の課題は、空気タイヤから完全に空気が抜けた後
、緊急作動リング中に貯留された緊急作動リングとタイ
ヤとの間の摩擦力をほとんどゼロにさせる潤滑剤を放出
することにより、自動車が成る程度の距離走行させ得る
ようにすることにある。

この課題は本発明によれば、封止唇状部により閉止可能
な全周にわたる溝及びその内部に充満させた潤滑剤を具
えた、ゴム又は他の弾性材料製リングが提供され、これ
らの溝は緊急作動リングの取付状態では軸方向の予圧及
び空気タイヤ内部の空気圧力により閉止状態に保たれ、
空気圧が消失しこれにより緊急作動リング上にタイヤ頂
部からの押圧力が加わった時にのみでこ作用により開放
されて摩擦力低減の目的で潤滑剤を放出するように構成
される。

本発明の対象となる２つの実施例によれば、緊急作動リ
ングは中心部の方にやや中高になり、中心部に全周にわ
たり形成したえぐった部分を有する差掛は状部分がてこ
作動側アームとなるように形成され、側方延長部には潤
滑剤が満たされた溝を形成しててこ負荷側アームとして
用いられるようになっている。

第１の実施例の緊急作動リングにおいては、潤滑剤を満
たした溝はリングの側面に形成され、封止唇状部がタイ
ヤの内面に当接するようになっているが、第２実施例の
緊急作動リングにおいては中心部の全周にわたるえぐっ
た部分とリングの両側面との間の画部分にそれぞれ１個
の溝が設けられ、封止唇状部は、溝とタイヤ内部室を連
通ずる潤滑剤放出通路を、タイヤ取付時に生ずる横方向
の予圧を受けて封止するようになっている。

タイヤ基部の横幅が非常に大きい場合特に適した緊急作
動リングの更に別の実施態様によれば、全周にわたるえ
ぐった部分が２個形成され、それぞれの差掛は状部分は
前述の実施例と同様にてこ作動側アームとなるようにな
し、側方延長部は潤滑剤を導く溝の封止唇状部を形成し
て、てこの負荷側アームとして用いられる。

次に図面を参照して本発明を一層詳細に説明する。

チューブレス空気タイヤ６の平底リム５上に取付けた本
発明による緊急作動リングは、複数の全周にわたる切欠
部分を有するゴム又は他の弾性材料製リング７を具えて
いる。

リング７の基部７ａは、リム５上にリング７の強固な座
部を提供する２個以上の鋼線束８により補強されている
。

基部７ａは、リング７上での着座をより確実にする目的
で、リング７の上部７ｂより硬質の弾性材料製としても
よい。

基部７ａの下面には全周にわたり切欠９が形成してあり
、この切欠は、バルブからの空気通路を確保するため、
リング７の全周に分布して形成した複数の通孔１０が設
けられタイヤ内部１１と連通している。

タイヤの中央断面の方向に向って徐々に厚くされた上部
７ｂは、その中央部にはその全周にわたって逆きのこ形
のえぐった部分１２を具えている。

これにより２個の差掛は状部分７ｃが形成され、これら
の差掛は状部分７ｃの側方延長部は、タイヤ６の内面に
当接する封止唇状部７ｄが設けられている。

唇状部７ｄの下面は、上部７ｂに切込み形成された溝１
３を各各有し、これらの溝１３はタイヤ６の側方内面に
向って開放されている。

両側の溝１３には取付前にパテ状ないしワックス状の潤
滑剤が満たされる。

タイヤ６の取付後にポンプで送入された空気は両方の唇
状部７ｄをタイヤ６の内側壁に強く押付け、潤滑剤の流
出を阻止する。

外部作用によってタイヤ６の空気が抜けるとタイヤ頂部
６ａの内側壁６ｂはリング７の差掛は状部分７ｃまで下
降し、差掛は状部分７ｃをえぐった部分１２に入込むよ
うに押圧する。

この際に唇状部７ｄにてこ作用が及ぼされるので、唇状
部７ｄが押上げられ、４０°Ｃ以上のタイヤ作動温度に
おいて流動状になる潤滑剤が放出され、タイヤ頂部６ｂ
の内側壁とリング７の上面との間に働く摩擦力を減少さ
せる。

第２図及び第３図の実施例でも、潤滑剤で満たされた溝
１３をてこ作用で開放させる本発明の原理が用いられて
いる。

しかし第２図及び第３図の緊急作動リング１４において
は、第１図及び第４図による溝１３の代りに、緊急作動
リング１４の外面と中心部の全周にわたるえぐった部分
１２との間においてリング１４自体のみで溝１５が両底
されるようになっている。

第２図は緊急作動リング１４の取付前の無圧力状態を示
したものであり、これかられかるように溝１５は潤滑剤
放出通路１５ａを介して上方に開放している。

緊急作動リング１４をタイヤ６に取付けると、タイヤビ
ード６ｃのところでタイヤ６の側方向面からりング１４
の周辺域１４ｃに予圧が加えられ、この予圧により潤滑
剤放出通路１５ａが閉止される。

タイヤ６から空気が抜けるとタイヤ頂部６ｂの内面が差
掛は状部分１４ａを押圧し、てこ作用により封止唇状部
１４ｂが押上げられ、潤滑剤を通路１５ａから流出させ
る。

非常に幅の広い平底リムを具えるタイヤにおいても、封
止唇状部１６Ｃに対する潤滑剤放出用でこ作用が確保さ
れるようにするため、タイヤ中央断面の右側と左側にそ
れぞれ２個のえぐった部分１７を具えた緊急作動リング
１６を用いることができる（第４図参照）。

緊急作動リング１６の背面１６ａは両方のえぐった部分
１７の中間では水平になっており、差掛は状部分１６ｂ
の上縁１６ｄよりも下方に位置しており、差掛は状部分
１６ｂはてこ作動側アームとして作用する。

このため、タイヤ６の空気が抜けると、タイヤ頂部６ｂ
が上縁１６ｄを押圧して差掛は状部分１６ｂを切欠１７
中に押込み、タイヤ６と緊急作動リング１６との摩擦部
分に潤滑剤を到達させる。

潤滑剤には弾性材料に膨潤その他の有害な作用を及ぼさ
ない材料例えばポリグリコール又は脂肪酸の塩を使用す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は空気タイヤに取付けた本発明の一実施例による
緊急作動リングの断面図、第２図は本発明の別の実施例
による緊急作動リングを空気タイヤに取付けない状態に
おいて示す断面図、第３図は第２図の緊急作動リングを
空気タイヤに取付けた状態において示す断面図、第４図
は本発明の更に別の実施例による緊急作動リングを空気
タイヤに取付けた状態において示す断面図である。 符号の説明、５・・・・・・平底リム、６・・・・・・
空気タイヤ、６ａ・・・・・・タイヤ頂部、７，１４．
１６・・・・・・緊急作動リング、８・・・・・・鋼線
束、１０・・・・・・通孔（貫流通路）、１３．１５・
・・・・・溝。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 空気の導入を確保する複数の通孔を有し補強基部に
   より平底リム上に保持された１個の弾性材料製リングか
   ら成る、前記平底リム上に取付けた自転車のチューブレ
   ス空気タイヤ用緊急作動リングにおいて、封止唇状部７
   ｄ、１４ｂ、１６ｃにより閉止可能な全周にわたる溝１
   ３．１５及びその内部に充満させた潤滑剤を具えた、ゴ
   ム又は他の弾性材料リング７．１４，１６を有し、これ
   らの溝は緊急作動リングの取付状態では軸方向の予圧及
   び空気タイヤ内部の空気圧力により閉止状態に保たれ、
   空気圧が消失しこれにより緊急作動リング７．１４，１
   ６上にタイヤ頂部６ａからの押圧力が加わった時にのみ
   てこ作用により開放されて摩擦力低減の目的で潤滑剤を
   放出するようにしたことを特徴とする緊急作動リング。 ２、特許請求の範囲第１項に記載の緊急作動リングにお
   いて、該作動リングは、その厚さを中心部に向って徐々
   に増し、かつ周方向に延在する同心のえぐった部分１２
   を有し、該えぐった部分１２にそって、タイヤの中央断
   面方向に延びるでこ作動アームとして作用する差掛は状
   部分７ｃ、１４ａが形成され、さらに前記えぐった部分
   にそってタイヤ６の側方内壁に向って延在する側方延長
   部が、潤滑剤の満たされた溝１３，１５の封止唇状部７
   ｄ 、１４ｂを形成し、かつてこ負荷側アームとして作
   用するようになっている緊急作動リング。 ３ 潤滑剤を満たした溝１３を緊急作動リング７．１６
   の側方外面に形成し、封止唇状部７ｄ。 １６ｃは空気タイヤ６の側方向面に当接させたことを特
   徴とする特許請求の範囲第１項又は第２項記載の緊急作
   動リング。 ４ 特許請求の範囲第１項又は第２項に記載の緊急作動
   リングにおいて、前記潤滑剤の満たされた溝１５が、タ
   イヤビード６ｃの方に向いた緊急作動リング１４の側方
   外面と、タイヤ中央部において周方向に延びるえぐった
   部分１２との間に配置されており、前記封止唇状部１４
   ｂが緊急作動リング１４の周辺域１４ｃと共に、前記溝
   １５からタイヤ内部に至る潤滑剤放出通路１５ａを、タ
   イヤ取付時に生じる横方向予荷重によって封止するよう
   になっている緊急作動リング。 ５ 特許請求の範囲第２項に記載の緊急作動リングにお
   いて、周方向に延びる二つのえぐった部分１７がタイヤ
   中央断面の両側に設けられており、該各えぐった部分１
   ７にそってタイヤの中央断面方向に向けて設けた差掛は
   状部分１６ｂがてこ作動側アームとして形成され、かつ
   前記差掛は状部分１６ｂのそれぞれの側方延長部が潤滑
   剤を満たした溝１３の封止唇状部１６ｃを形成し、かつ
   てこ負荷側アームとして使用されるようになっている緊
   急作動リング。 ６ タイヤ中央部に形成された周方向に延在するえぐっ
   た部分１２を逆きのこ形の断面形状としたことを特徴と
   する特許請求の範囲第１項から第４項の内いずれか一項
   に記載の緊急作動リング。 ７ 潤滑剤を満たした溝１５をほぼ長楕円形の断面形状
   としたことを特徴とする特許請求の範囲第１項、第２項
   又は第４項に記載の緊急作動リング。 ８ 特許請求の範囲第５項に記載の緊急作動リングにお
   いて、周方向に延びる両側のえぐった部分１７が円形な
   いし楕円形の断面を有し、かつ緊急作動リング１６の背
   面が両側のえぐった部分１７の間において水平に形成さ
   れ、かつ緊急作動リング１６のタイヤ中央断面方向に延
   びる差掛は状部分１６ｂの上縁１６ｄより低くなるよう
   にされている緊急作動リング。 ９ 特許請求の範囲第１項から第８項のいずれか一項に
   記載された緊急作動リングにおいて、該作動リング７の
   基部７ａが該リングの上方部分７ｂとは異なり、ゴムま
   たはエラストマによって形成され、かつ鋼線または鋼線
   束によって補強されている緊急作動リング。