JPS5852090Y2 - 熱収縮性被覆物 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は開閉自在な熱収縮性被覆物に関するものである
。

従来から熱収縮性被覆物としてポリエチレン樹脂塩化ビ
ニル樹脂、エチレン酢酸ビニルコポリマー４弗化エチレ
ン樹脂、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム等から
成る熱収縮性チューブが各種電線及び鋼管の接続部、端
末部の電気絶縁用、防水用、保護用として用いられてい
る。

これらの熱収縮性チューブを接続部に使用する場合は、
あらかじめ電線あるいは鋼管を接続する前にチューブを
通しておく必要があり、すでに接続された長尺の電線あ
るいは鋼管接続部に被覆することは殆んど不可能であっ
た。

またあらかじめセットした熱収縮性チューブが被覆後不
良品となった場合、チューブの取り替えが殆んど不可能
であったため、それらの接続ケ所にはポリエチレン粘着
テープ、塩化ビニル粘着テープ等を巻き付ける方法が採
用されていた。

これらの問題を改善する方法として、従来熱収縮性シー
トの両端に突起を設けて、これを被覆物に巻き付けて前
記突起部を金具やＦＲＰで固定する方法、あるいは熱収
縮性シートの両端に凹凸部を設けたものを、被覆物に巻
き付けて凸部と凹部を嵌合させて固定する方法が考えら
れていた。

しかしこれらの方法は金具やＦＲＰの存在によって熱収
縮が不均一となり、突起部でＬ字型になったり空隙部が
出来たりして被覆物に密着せず、絶縁、防水性が得られ
ず、また凹凸部を嵌合させる方法では、凹凸部が熱収縮
性材料と同一材料であるため、熱収縮時に嵌合部がはず
れたり、大きな空隙が出来たりして絶縁、防水材として
役立たなかった。

本考案はこのような欠点を解消するため、架橋型熱収縮
性樹脂シートの端部にジッパ−型チャックを設けたこと
を特徴とする熱収縮性被覆物を提供する。

本考案に用いられる架橋型熱収縮性樹脂シートとしては
、ポリエチレン樹脂、エチレン酢酸ビニルコホリマー、
エチレンエチルアクリレートコポリマ、塩化ビニル樹脂
、エチレンプロピレンゴム、シリコンゴム等を電子線、
α線等の放射線によって架橋させたもの、あるいは過酸
化物、硫化物等によって化学架橋させたものをシート状
に成形し延伸あるいは圧延せしめたもので良い。

これらの架橋型熱収縮性シートを所定の形状に切断し、
その両端部にジッパ−型チャックを接着、融着又は縫着
せしめたものである。

ジッパ−型チャックとは第１図に示すように左右対称の
突起状のチャック爪１が所定の間隔て基布２に多数個並
列に固定され、その間に向い合うチャック爪がジッパ−
用スライダー３によって押し込みながら嵌合せしめるも
のである。

これによってシート端部か機械的に一体化せしめたり、
又は開口せしめたり出来るものである。

本考案に用いるジッパ−型チャックとし７ては、チャッ
ク爪の熱変形温度が架橋型熱収縮性樹脂の熱変形温度よ
り高いことが必要であり、また絶縁性であることが好ま
しい。

その理由は熱収縮性シートを加熱収縮させる場合、ガス
バーナー等の加熱によってチャック爪が開口したり、変
形したりしないためである。

例えば架橋型熱収縮性シートとして架橋ポリエチレンシ
ートを使用する場合には、チャック爪としてポリエステ
ル樹脂、ナイロン樹脂、ポリアセタール樹脂等の耐熱性
プラスチックスから成型されたものが好ましく、また鉄
やアルミニウムのごとく腐食性があり、導電性のあるも
のは絶縁被覆物とし７て好ましくない。

ここで言う熱変形温度とはＡＳＴＭＤ６４６で規定され
た試験法に基づいて得られた温度で任意のプラスチック
スに所定の荷重を加え、一定量変形し７た時の温度を熱
変形温度と言う。

これらのジッパ−型チャックは前記の架橋型熱収縮性シ
ー ト例えば架橋ポリエチレンシートの両端にそのまま
基布を縫着してもよいが、第２図のごとくジッパ−型チ
ャック１の基布２には多孔状の穴４を設け、この穴部で
架橋ポリエチレン樹脂シート５が上下で融着しつつ、さ
らに耐熱性糸６でその両端を縫着せしめるのが好ましい
。

この時使用される架橋ポリエチレン樹脂シートのゲル分
率（熱不溶分率）は１０−５０重量％であることが好ま
しい。

その理由は１０％以ｆでは加熱収縮時に変形流出し易く
実用に耐えないためであり、また５０％以上であると融
着が困難であるためである。

以下実施例に基づいて説明する。

実施例１ 厚さ１．Ｑｍｍ、巾５ＱＱ ｍｍ、長さ９００ｍｍの架
橋ポリエチレン樹脂シー！−（熱変形温度６５℃）の端
部にチャック爪がポリエステル樹脂（熱変形温度１８０
℃）から成るジッパ−型チャック（書出工業ＫＫ製）を
、第２図のごとく基布に多数個の穴を開けて架橋ポリエ
チレン樹脂シートを融着せしめさらにその上部を耐熱性
糸（ガラス繊維）で縫着せしめた。

これを両端部に設は各々を向い合せてジッパ−用スライ
ダーで嵌合せしめるようにした。

得られた熱収縮性被覆物は性能試験の供試品とした。

性能試験１ ２５０Ａのポリエチレン防食鋼管の接続部にゴムアスフ
ァルトから成る厚さ１ｍｍの粘着シートを巻き、その上
に得られた熱収縮性被覆物をセットしその外部をガスバ
ーナーで加熱しつつ収縮せしめた。

その時に防食作業時間と架橋ポリエチレン樹脂シートの
変形量（収縮率）及びジッパ−型チャックの変形度合を
調べた。

性能試験２ 前記で得られたポリエチレン防食鋼管の被覆接続部を水
道水中に浸漬し絶縁抵抗の変化を調べた。

その結果を第１表に示した。

実施例２ 厚さｌ、Ｑｍｍ、巾５００ｍｍ、長さ１ｏｏｏ ｍｍの
架橋エチレン酢酸ビニルコポリマーシート（熱変形温度
５３℃）の端部にチャック爪がナイロン６樹脂（熱変形
温度１６０℃）から成るジッパ−型チャック（吉田工、
業ＫＫ製）を第２図のごとく基布に多数個の穴を開けて
架橋エチレン酢酸ビニルポリマーシー １・を融着せし
め、さらにその上部を耐熱性糸で縫着せしめた。

これを両端部に設は各々を向い合せてジッパ−用スライ
ダーで嵌合せしめるようにした。

得られた熱収縮性被覆物は実施例１と同様の性能試験を
行なった。

実施例３ 厚さｌ、Ｑｍｍ、巾５Ｑ□ ｍｍ、長さ１１．００ ｍ
ｍの加硫エチレン、プロピレンゴムシート（熱変形温度
く２５℃）の端部にチャック爪がナイロン６樹脂から成
るジッパ−型チャック（書出工業ＫＫ製）を第３図のご
とく基布２にゴム接着剤７で接着せしめ、その上部を耐
熱性糸６で縫着せしめた。

これを両端部に設は各々を向い合せて嵌合せしめるよう
にした。

得られた熱収縮性被覆物は実施例１と同様の性能試験を
行なった。

比較例１ ２５０Ａのポリエチレン防食鋼管の接続部に巾５０ｍｎ
１のポリエチレン粘着テープを÷ラップで３回巻き付け
、その上に保護用のポリエチレンシートを１層巻き付け
た。

得られた試料は実施例１と同様の性能試験を行なった。

性能試験の結果は第１表に示す通り、本考案で得られた
熱収縮性被覆物は取り付けが非常に簡単であるにもかか
わらず非常に優れた性能を示している。

これは架橋熱収縮性樹脂シートの均一な径方向の変形量
（締め付は力）と、長さ方向の寸法安定性とさらにジッ
パ−型チャックの加熱収縮力に対する保持力によってポ
リエチレン防食鋼管接続部に均一な締め付は応力を発生
させるためである。

また加熱収縮力によりゴム・アスファルト粘着剤が鋼管
及び熱収縮性被覆物に粘着し、防水性、絶縁性にも優れ
ているためである。

これに対して比較例ではテープ巻の作業時間が長く、且
つ作業者によるバラツキも大きく、絶縁抵抗の低下が認
められた。

この事は本考案の架橋型熱収縮性樹脂シー１への端部に
ジッパ−型チャックを設けたことにより威し得たもので
、本考案の優位性を証明するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はジッパ−型チャックの概略図で１はチャック爪
、２は基布、３はジッパ−用スライダーを示す。 第２図は架橋型熱収縮性樹脂シートにジッパ−型チャッ
クを取り付けた熱収縮性被覆物の概略図で１はチャック
爪、２は基布、４は多孔状取り付は穴、５は架橋型熱収
縮性樹脂シート、６は耐熱性糸を示す。 第３図は第２図と同様に熱収縮性被覆物の概略図で１は
チャック爪、２は基布、３はジッパ−用スライダー、５
は架橋型熱収縮性樹脂シート、６は耐熱性糸、７は接着
剤を示す。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）架橋型熱収縮性樹脂シートの端部にジッパ−型チ
   ャックを設けたことを特徴とする熱収縮性被覆物。
2. （２）互いに嵌合するジッパ−型チャックの熱変形温度
   が架橋型熱収縮性樹脂の熱変形温度より高いことを特徴
   とする請求範囲１記載の熱収縮性被覆物。
3. （３）ジッパ−型チャックが絶縁性であることを特徴と
   する請求範囲１記載の熱収縮性被覆物。