JPS5852000Y2 - 浄化処理槽 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、浄化処理槽、特に家庭用浄化処理槽の改良
に関するものである。

従来から、家庭用の腐敗式浄化槽として腐敗槽内で沈澱
分離および嫌気性分解処理を行い、その処理水を平面酸
化板上を流下させてから放流する装置が知られている。

しかし、このような腐敗槽では、流入汚水と沈澱してい
る汚泥中に多く含まれる嫌気性菌との接触がうまくいか
ないため、容量を非常に大きくしないと良質の放流水は
得られなかった。

また、嫌気性菌と流入汚水の接触をよくするために槽内
を攪拌すると、槽内の嫌気性菌の量を維持するために、
別に沈澱槽を設けるなどして処理液を沈澱分離し、沈澱
汚泥を返送するなどの設備が必要となり、装置が複雑に
なるので、このような方法は家庭用の浄化槽には採用さ
れていない。

この考案は、この種の欠点を除去し、簡単な構造で、し
尿単独あるいは雑排水との合併汚水が処理できるよう、
その槽体内部の下向流および上向流嫌気性濾床と好気性
処理室を汚水の流路に対し、直列に連係した浄化処理槽
を提供することを目的とする。

以下図面第１図、第２図に基づき好適な実施例を説明す
る。

第１図及び第２図は、嫌気性濾床を第１濾床第２濾床と
２室設置した浄化処理槽の平面図及び第１図のＡ−Ａ断
面図を示している。

槽体１内部は、はぼ中央部分を仕切板２で区分され、そ
の下方は汚水が流通できるよう連通部２ａを形成しであ
る。

そして、その区分された一側に嫌気性濾床を構成する第
１の濾床３が、他側の下方に最終濾床である第２の濾床
４が設けてあり、両波材３，４の下方部は上記連通部２
ａで連通されている。

更にこの第２の濾床４の上部に濾過部材５が配置される
と共に、この濾過部材５の上部に、ばつ気装置６を上方
に好気性処理室として設置した好気性濾床７が設けであ
る。

尚前記濾過部材５はたとえばサラン製マットのような濾
過層あるいは多孔性のプラスチック板のような濾過板で
あり、又嫌気性濾床も２室以上配置することもできる。

従って処理すべき汚水が、流入管８から流入されると、
嫌気性濾床の第１濾床３内を下向流として下降し、ここ
で濾材に付着した微生物により第１次の嫌気性分解が行
われて、仕切板２下方の連通部２ａを流過する。

次いで嫌気性濾床の第２瀘床４に上向流として流過し、
第２次の嫌気性分解が行われ濾過部材５を介して更に濾
過されて好気性濾床７に上向流入する。

ここではばつ気装置６の運転により汚水内に酸素が供給
され、濾材に付着した微生物等により好気性生物処理が
行われる。

なお、好気性濾床７は、濾材のない、ばつ気室と沈澱室
から構成される活性汚泥方式としてもよい。

好気性濾床の越流液は、上部に消毒筒９ａを設置した消
毒槽９に流出して消毒された後、放流口１０を経て外部
へ放出される。

そして前記槽内の汚泥をバキュームカーで吸引清掃する
ために仕切板２の側面と下向流嫌気性濾床３との間に下
向流嫌気性濾床３の水面上方より連通部２ａに至る通路
状の掃除口１２が形成され、槽体１上部のマンホール１
１０より適宜作業できると共にオーバーフロー通路の機
能を果たしている。

このような装置によれば、次のような効果が得られる。

流入汚水は濾床中を通過する際に濾材に付着した微生物
と充分接触され、槽内には多量の嫌気菌を保持できるた
め処理効果が非常によい。

好気性濾床には、充分嫌気性処理された汚水が流入する
ため、負荷は低く充分な酸素の供給のもとて高度な処理
が行える。

上向流と下向流の濾床の組み合せなので装置が非常にコ
ンパクトになる。

好気性濾床と嫌気性濾床の間に濾過部材があるため、好
気性濾床の攪拌の影響が嫌気性濾床におよばず、悪影響
がない。

嫌気性分解によりガスが発生すると槽内はゆるやかに攪
拌され、生物との接触はさらに促進される。

また、通路状の掃除口１２により連通部２ａに滞溜した
汚泥を全量引抜くことができ、しかもこの掃除口１２は
オーバーフロー通路に形成されているので、大量の流入
汚水があっても逆流することなく、汚水の一部はこの掃
除口１２より上向流嫌気性濾床４、好気性処理室を通過
し処理される。

さらに、第１，２の濾床の濾材の種類を変え、第１濾床
の方の濾材を目の粗いものにすれば、目づまりしにくく
なる。

また、濾床下方の連通部を若干大きめとすれば、濾床よ
りはくすした汚泥が、ここに沈澱堆積し、嫌気性分解処
理が促進される。

以上の如くこの考案によれば、家庭用浄化処理槽として
嫌気性濾床及び好気性濾床を縦方向に組合せてコンパク
トに構成した浄化槽であるので嫌気濾床の分解能を有効
に利用できると共に、槽体自体の大きさも小型にでき設
備費も低コストでよい等の格別の効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例を示す家庭用浄化処理槽の要
部平面図、第２図は第１図のＡ−Ａ断面図である。 １・・・・・・槽体、２ａ・・・・・・連通部、３・・
・・・・嫌気性の第１濾床、４・・・・・・嫌気性第２
濾床、５・・・・・・濾過部材、６・・・・・・ばつ気
装置、７・・・・・・好気性濾床、１２・・・・・・掃
除口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 下向流嫌気性濾床と、上向流嫌気性濾床と、上記両嫌気
   性濾床の下方部を連通ずる連通部と、上記下向流嫌気性
   濾床に隣設され、該下向流嫌気性濾床の水面上方より上
   記連通部へ至る通路状の掃除口と、上記上向流嫌気性濾
   床の上部に設けた濾過部材と、この濾過部材の上方のば
   つ気装置を配した好気性処理室とを備え、汚水は前記下
   向流嫌気性濾床、上向流嫌気性濾床、濾過部材、好気性
   処理室を通過したあと放流されるようにした浄化処理槽
   。