JPS5840367Y2 - 船舶用減速装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は船舶の種々の使用条件並びに運行条件の変化に
対応して機関出力を適切に合致させ、推進性能を向上さ
せるためディーゼル機関と結合して使用される可逆転式
減速歯車装置に関するものである。

従来数個の歯車と油圧式摩擦クラッチの組合せによる可
逆転式減速歯車装置は知られており、それによると機関
を停止させることなく前進１速または２速と後進１速の
変速が可能である。

しかしながら、前進の減速比が１速または２速の場合は
押船、曳船等の作業船においては独航時、曳航・押航時
、待機時に、また漁船においては独航時、曳網時、揚網
時に機関出力を有効に利用することが困難であり、過負
荷、オーバートルクの弊害が生じがちであった。

この弊害を除くため従来では第１図及び第２図に示すよ
うな船舶用３速式可逆転減速装置を用いていた。

同図において１は入力軸、２は前進３速用クラッチ軸、
２は前進２速用クラッチ軸、４は前進ｌ速用クラッチ軸
、５は後進クラッチ軸、６は出力軸である。

これらのうちの軸２，３，４゜５は夫々数個の歯車とク
ラッチ？、８，９．３１が取り付けられており、クラッ
チを切換えることによりそのクラッチ軸が入力軸１と出
力軸６とを接続し、減速するようにしている。

ところが、従来のこのような減速装置では１本のクラッ
チ軸に１組の油圧クラッチしか装備しておらず、前進３
速、後進ｌ速とするには少なくとも４本のクラッチ軸を
要し、それに見合う軸受数量や歯車ケースの大きさが必
要となっていた。

すなわち歯車の動力伝達経路や歯車ケース自体を複雑に
する欠点を有していた。

そこで本考案は従来の船舶用減速装置の上記欠点に鑑み
、これを改良除去したものである６以下本考案の構成を
図面に示す実施例に従って説明すると次の通りである。

第３図及び第４図は本考案の実施例で入力軸と出力軸の
回転が反対方向を前進とし、また同一人力回転数に対し
て出力軸の回転数が最も小さくなる減速比の場合を１速
とし、最も大きくなる減速比の場合を３速、その中間の
減速比の場合を２速とする。

同図において、１０はケース本体、１１は前進３速用の
クラッチ軸を兼用する入力軸、１２は前進２速用クラッ
チ軸、１３は前進１速用クラツチ軸、１４は中間歯車軸
、１５は出力軸である。

これらの軸はケース本体１０に軸架されている。

中間歯車軸１４には、大中小の前進３速用の中間歯車１
６と前進２速用の中間歯車１７と前進１速用の中間歯車
１８が固定され、中間歯車１６は入力軸１１の入力飼犬
歯車１９に、中間歯車１１は前進２速用クラッチ軸１２
の入力飼犬歯車２０に、中間歯車１８は前進ｌ速用クラ
ッチ軸１３の入力飼犬歯車２１に常時噛合する。

２２，２３．２４は上記各クラッチ軸１１，１２，１３
に遊挿された出力側小歯車で、各軸上に装着された油圧
式摩擦クラッチ２５．２６．２７により各クラッチ軸１
１．１２．１３と断続される。

またこれらの出力側小歯車２２，２３，２４は出力軸１
５の出力大歯車２８に常時噛合する。

２９は前進１速用クラツチ軸１３に遊挿された後進用歯
車である。

この後進用歯車２０は、入力軸１１の入力飼犬歯車１９
に噛合し、また後進用摩擦クラッチ３０を介して前進ｌ
速用の出力側小歯車２４に断続される。

尚、本考案における摩擦クラッチは全て油圧により操作
される形式のものであり、切換弁（図示せず）により各
クラッチへの油圧を自由に切換えることができる。

次に上記構成装置の作動形態について説明する。

先づ前進ｌ速の場合について説明する。

この場合は、油圧式摩擦クラッチ２７を切換えて前進１
速用クラツチ軸１３と、この軸上の出力側小歯車２４と
を接続する。

原動機（図示せず）の動力は、入力軸１１から入力飼犬
歯車１９及び中間歯車１６を経て中間歯車軸１４に伝達
され、更に前進１速用の中間歯車１８及びクラッチ軸１
３の入力飼犬歯車２１を介してこのクラッチ軸１３に伝
達される。

そして、油圧式摩擦クラッチ２７と上記出力側小歯車２
４を介して出力大歯車２８に伝達され、出力軸１５より
取り出される。

前進２速の場合は、油圧式摩擦クラッチ２６を切換えて
前進２速用クラッチ軸１２とこの軸上の出力側小歯車２
３とを接続する。

これにより原動機の動力は、入力軸１１から入力飼犬歯
車１９及び前進３速用の中間歯車１６、中間歯車軸１４
、前進２速用の中間歯車１Ｔ及びこれに噛合するクラッ
チ軸１２の入力飼犬歯車２０を経てこのクラッチ軸１２
に伝達される。

そして油圧式摩擦クラッチ２６及びクラッチ軸１２に遊
挿された出力側小歯車２３を介して出力大歯車２８に伝
達され、出力軸１５より取り出される。

前進３速の場合は、油圧式摩擦クラッチ２５を切換えて
入力飼犬歯車１９とこの軸上の出力側小歯車２２とを接
続する。

原動機の動力は入力側１１から入力飼犬歯車１９、摩擦
クラッチ２５及び出力側小歯車２２を経て出力大歯車２
８に伝達され、出力軸１５より取り出される。

以上の各前進減速の場合は入力軸１１に対して出力軸１
５は反対方向に回転する。

これに対して後進の場合は、後進用摩擦クラッチ３０を
切換えて後進用歯車２９とクラッチ軸１３の出力側小歯
車２４とを接続する。

原動機の動力は入力軸１１の入力歯車１９から後進用歯
車２９、後進用摩擦クラッチ３０及び出力側小歯車２４
を経て出力大歯車２８に伝達され、出力軸１５より取り
出される。

尚、この後進の場合、この実施例では入力軸１１と出力
軸１５の回転方向は同一である。

要するにこの考案では前進１速用クラツチ軸１３の出力
側小歯車２４を挾んで前進用と後進用の摩擦クラッチ２
７．３０を配置したので、出力側小歯車２４を前進用と
後進用に兼用でき、前進３段階と後進１段階の減速が行
なえるにも拘らず、クラッチ軸を３本装備するだけで良
い。

しかも、各クラッチ軸の出力側小歯車２２，２３，２４
は出力大歯車２８に噛合するだけであり、この小歯車２
２．２３，２４を小さくして出力大歯車２８も小さくし
、所定の歯車比を得ることができる。

ところが第１図及び第２図に示す従来装置の場合は前進
３速用出力側小歯車７ａに噛合する前進２速用及びｌ速
用の小歯車９ａ、８ａによりこの３連用の小歯車７ａが
拘束され、その犬、きざを十分小さくすることができな
い。

従って本考案のものは歯車の動力伝達経路や構造が簡素
になり、コンパクトで剛性のある形状をしたケース本体
１０の、製作が可能となり、装置の小型化が図れる。

。このように本考案にあっては、出力大歯車を備えた
出力軸と、上記出力大歯車と常時噛合する出刃側小歯車
が夫々遊挿され、上記出力側小歯車を断続する前進用摩
擦クラッチを夫々備え、かつ、入力飼犬歯車を夫々備え
た前進３速用、２速用、ｌ速用の各クラッチ軸と、上記
入力飼犬歯車の夫夫と噛合う中間歯車を備え、かつ、上
記出力軸と同軸に配置された中間歯車軸とをケース本体
に軸架すると共に、上記前進３速用のクラッチ軸の端部
を、前記出力軸と反対方向に突出させて入力軸と兼用さ
せ、前進ｌ速用のクラッチ軸に、前進３速用のクラッチ
軸の入力飼犬歯車と噛合う後進用歯車と、上記後進用歯
車を出力側小歯車と断続する後進用摩擦クラッチを設け
、各クラッチを切換えることにより、前進３段階と後進
１段階の減速を可能にしたから、従来の２速式可逆転減
速装置と同数のクラッチ軸で前進３段階と後進１段階の
減速が行なえ、動力伝達経路やその構造が簡素になり、
装置の小型化が図れる。

また機関の出力を有効に利用することが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の減速装置の概略正面図、第２図は同装置
の要部斜視図、第３図は本考案に係る装置の概略正面図
、第４図は第３図のＡ−Ａ線断面図である。 ２８・・・・・・出力大歯車、１５・・・・・・出力軸
、２２゜２３．２４・・・・・・出力側小歯車、２５，
２６，２７・・・・・・前進用摩擦クラッチ、１９，２
０，２１・・・・・・入力飼犬歯車、１６・・・・・・
前進３速用中間歯車、１７・・・・・・前進２速用中間
歯車、１８・・・・・・前進ｌ速用中間歯車、１４・・
・・・・中間歯車軸、１０・・・・・・ケース本体、１
３・・・・・・前進１速用クラツチ軸、１２・・・・・
・前進２速用クラッチ軸、１１・・・・・・前進３速用
クラッチ軸を兼用する入力軸、２９・・・・・・後進用
歯車、３０・・・・・・後進用摩擦クラッチ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 出力大歯車を備えた出力軸と、上記出力大歯車と常時噛
   合する出力側小歯車が夫々遊挿され、上記出力側小歯車
   を断続する前進用摩擦クラッチを夫々備え、かつ、入力
   飼犬歯車を夫々備えた前進３速用、２速用、１速用の各
   クラッチ軸と、上記入力飼犬歯車の夫々と噛合う中間歯
   車を備え、かつ、上記出力軸と同軸に配置された中間歯
   車軸とをケース本体に軸架すると共に、上記前進３速用
   のクラッチ軸の端部を、前記出力軸と反対方向に突出さ
   せて入力軸と兼用させ、前進１速用のクラッチ軸に、前
   進３速用のクラッチ軸の入力飼犬歯車と噛合う後進用歯
   車と、上記後進用歯車を出力側小歯車と断続する後進用
   摩擦クラッチを設け、各クラッチを切換えることにより
   、前進３段階と後進１段階の減速を可能にしたことを特
   徴とする船舶用減速装置。