JPS5839293Y2 - 高周波加熱装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は高周波発振器と電気ヒータまたはガスヒータと
を加熱源として食品を加熱処理する高周波加熱装置の改
良に関するものである。

ローストチキン、焼豚、焼魚などの調理を行うと加熱室
内面に油汚れが生じ、時には加熱室底面に数ミリメート
ルも油が溜まることがある。

こういった油汚れを除去するために、加熱室内面に油汚
れの熱分解を促進する酸化触媒を被覆することが有効で
ある。

電気オーブンやガスオーブンにおいては加熱室内の全面
および扉と接触する加熱室前面フランジに上記酸化触媒
を施こしたものが周知である。

また、電気オーブンやガスオーブンでは、加熱室前面フ
ランジの酸化触媒と扉との間にシリコーンゴムを介在さ
せて、扉閉成時の衝撃による酸化触媒の剥離を防止して
いる。

さらに、電気オーブンやガスオーブンでローストチキン
や、焼豚、焼魚などの焼物を行う場合、加熱室内は、２
００℃以上の温度に保持され、酸化触媒の効果の現われ
る温度になっている。

しかしながら、高周波発振器と電気ヒータまたはガスヒ
ータとを加熱源とする高周波加熱装置においては、高周
波加熱だけでかなり多くの焼物を短時間で調理したり、
調理済の焼物を再加熱したりする場合があり、加熱室内
面に油が飛び散るが、加熱室内は１００℃以下で、酸化
触媒を上記電気オーブンやガスオーブンのように加熱室
全面に施こしても、その効果は殆んど出ない。

電気ヒータまたはガスヒータで行う焼物の場合には、加
熱室が２００℃以上の温度に上がり、酸化触媒の効果が
出る。

しかし、特に油汚れの溜まり易い底面では、酸化触媒の
能力を越えたために分解されずに残った汚れがこびり付
き、この汚れを除去するため清掃すると、酸化触媒が剥
離し、長期間の使用に耐えない。

さらに、扉閉成時の衝撃による酸化触媒の剥離を防止す
るためシリコーンゴムのような誘電体から成る弾性体を
加熱室前面フランジと扉との間に介在させると、高周波
加熱時にはその弾性体を高周波が透過するため高周波漏
洩が大きくなる。

本考案は上記問題点を解決するもので、以下図面に従っ
て説明する。

第１図は本考案の高周波加熱装置の実施例を示す要部断
面図であり、第２図と第３図はそれぞれ第１図の円１２
内、円１３内の拡大図である。

これらの図面において、１は高周波発振器で、高周波エ
ネルギーは導波管２を介して加熱室３内に供給される。

４は加熱室３内の空気を調理に適する温度に上げる電気
ヒータまたはガスヒータから成るヒータである。

５は食品６を載置する受皿である。７は扉で、加熱室３
の前面フランジ８との間の間隙が出来るだけ小さくなる
ように取付けられ、高周波加熱時の高周波漏洩およびヒ
ータ加熱時の熱気漏洩を抑えている。

９と１０はそれぞれ加熱室３の上面と後面で、第２図の
ようにアルミニウムめっき鋼板に酸化触媒を被覆したも
のから成る。

１１は加熱室３の底面で、第３図のようにアルミニウム
めっき鋼板にほうろうを掛けたものから戊る。

第２図において、加熱室３の上面９が鋼板１４にアルミ
ニウムめつき１５を被覆し、そのアルミニウムめつき１
５の加熱室３内に対向する側にほうろう１５を掛け、さ
らに酸化触媒１７を被覆したものから戒ることを示して
いる。

酸化触媒１７は、例えばマンガン、ニッケル、銅などの
酸化物の細かい粒子から戊り、相互間に細孔を有して結
合しており、大体２００℃以上の温度において、上記細
孔に浸透した油汚れの酸化を促進し、水や炭酸ガスなど
に分解して、いわゆるセルフクリーニング効果が出る。

アルミニウムめつき１５と酸化触媒１７との間のほうろ
う１６は酸化触媒１７の種類によりなくてもよい。

加熱室３の後面１０および左右側面も第２図の上面９と
同様にアルミニウムめっき鋼板に酸化触媒を被覆したも
のから戊る。

第３図では、加熱室３の底面１１が鋼板１４にアルミニ
ウムめつき１５を被覆し、そのアルミニウムめつき１５
の加熱室３内に対向する側にほうろう１５を掛けたもの
から戊ることを示している。

また、第２図、第３図では、加熱室３の前面フランジ８
はステンレススチールＳＵＳ ４３０．ＳＵＳ ３０４
などの金属面から成り、扉７の閉成時に出来るだけ扉７
との間の間隙が少なくするように構成されている。

次に、本考案の高周波加熱装置の動作、作用を説明する
。

高周波発振器１から発生した高周波エネルギーを加熱室
３に供給した場合、加熱室３内の空気は加熱されず、食
品６が直接誘電加熱される。

加熱室３の上面９、後面１０、底面１１および左右側面
に高周波エネルギーが入射すると、その高周波エネルギ
ーは金属に比べてはるかに小さい導電率を有する酸化触
媒１７やほうろう１６を透過してアルミニウムめつき１
５を被覆した鋼板１４すなわちアルミニウムめっき鋼板
に達する。

アルミニウムめっき鋼板、はうろう用鋼板、ステンレス
スチールなどほうろうが掛けられ、かつオーブン料理等
を行う加熱室に適する金属材料のうち最も高周波電流に
よる熱損失が少ないものはアルミニウムめっき鋼板であ
る。

高周波の周波数を２，４５０ ＭＨ２とすれば、アルミ
ニウムめっき鋼板に高周波が入射したとき、アルミニウ
ムに対する高周波電流の浸透深度は約２μである。

そのため、アルミニウムめつき１５の厚さを一般に行わ
れている１０〜３０μにすると、アルミニウムめっき鋼
板の下地の鋼板に高周波は殆んど達しない。

したがって導電率の大きい非磁性体であるアルミニウム
をめっきしたアルミニウムめっき鋼板の高周波電流によ
る熱損失は少なく、加熱室３内に供給された高周波エネ
ルギーが効率よく食品６に吸収される。

加熱室３の前面フランジ８には酸化触媒やほうろうを被
覆していない金属面のため、それらの剥離の問題がなく
、扉７を直接当てることができ、扉７と前面フランジ８
との間隙が小さくとれるので、高周波漏洩を小さく抑え
るのが容易である。

高周波加熱では加熱室３内は、主として加熱中の食品６
から放出する熱によって若干温度が上がるが１００℃以
下であるため、酸化触媒１７のセルフクリーニング効果
は殆んどない。

したがって食品６から油などの液汁が飛び散ると、加熱
室３の上面９、後面１０および左右側面に付着し、量が
多い場合は、底面１１に流れ落ちて溜まる。

時には数ミリメートルも溜まる。底面１１に落ちた液汁
は他の面より蓄積され易いが、底面１１はほうろう１６
の上に酸化触媒を被覆してないため、人手により清掃す
る。

はうろうは一般の高周波加熱装置の加熱室に使われてい
るステンレススチールより汚れが落し易い。

仮に底面１１に酸化触媒を被覆してあっても、その細孔
が目詰まりし、ヒータ加熱時でもセルフクリーニング効
果が出にくくなり、人手により清掃すると、酸化触媒の
剥離が生じ易く、長期間の使用に耐えない。

ヒータ４の熱エネルギーによるヒータ加熱の場合は、加
熱室３内の温度が２００℃以上になる場合がしばしばあ
り、酸化触媒１７のセルフクリーニング効果が出る。

ただし、上記のように油などの液汁が数ミリメートルも
溜まると、酸化触媒１７が仮に被覆してあってもセルフ
クリーニング効果は出にくい。

以上のように本考案によると、加熱室の上面、左右側面
および後面に酸化触媒を被覆し、底面にはほうろうを掛
け、かつ扉に当たる前面フランジをステンレススチール
などの金属面としているため、ヒータ加熱時に酸化触媒
のセルフクリーニング効果を十分に発揮できるとともに
、扉からの高周波漏洩を抑え易く、長期間の使用に耐え
る高周波加熱装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の高周波加熱装置の実施例を示す要部断
面図、第２図と第３図はそれぞれ第１図の円１２内と円
１３内の拡大図である。 １・・・・・・高周波発振器、３・・・・・・加熱室、
４・・・・・・ヒータ、７・・・・・・扉、８・・・・
・・前面フランジ、１４・・・・・・鋼板、１５・・・
・・・アルミニウムめっき、１６・・・・・・はうろう
、１７・・・・・・酸化触媒。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 高周波発振器と電気ヒータまたはガスヒータとを加熱源
   とする高周波加熱装置において、加熱室の上面、左右側
   面および後面に酸化触媒を被覆し、底面にほうろうを掛
   け、かつ扉に当たる前面フランジをステンレススチール
   などの金属面としたことを特徴とした高周波加熱装置。