JPS583480B2 - 薄板溶接における歪防止装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は薄肉金属板の溶接作業において金属板に発生す
る歪の防止装置に関するものである。

鉄鋼やアルミニウム等の金属材料を溶接して構造物を製
作する場合、この金属材料に対しては数千度の熱が加え
られる。

したがって厚肉の材料同士の場合はよいが、厚肉材料と
薄肉材料、または薄肉材料同士の場合には薄肉材料に大
きな歪が発生し、そのまゝでは構造体として使用不可能
な場合がある。

しかしながらこの歪を完全に防止することはきわめて困
難であり、止むを得ず鋲着によって接合さされていたが
薄板にリブを設ける場合等は鋲着が不可能であり、また
構造物によってはどうしても溶接によらなければならな
い場合がある。

そこで、このような場合、従来は溶接時に歪を発生する
だけ発生させ、溶接後、熱処理によってこの歪を修正す
る歪取り作業を実施するという方法が採られていたが、
作業に手間がかかり、また歪を完全に除去することが困
難であった。

本発明は以上のような点に鑑みなされたもので、冷却水
を入れた筐体上に溶接母材としての薄板を載置し、薄板
裏面に密着して筐体内に収納された綿状体の毛細管現象
によって冷却水を吸上げて薄板を冷却させるごとく構成
することにより、溶接加熱によって発生する薄板の歪を
防止して溶接構造物の品質向上を計るとともに歪取り作
業の省略による工程の簡素化を計った薄板溶接における
歪防止装置を提供するものである。

以下、その構成等を図に示す実施例により詳細に説明す
る。

本実施例は本発明に係る歪防止装置を薄肉鉄板にリブを
溶接する溶接作業に用いた例を示し、第１図はその縦断
面図、第２図はおなじく一部を破断して示す平面図、第
３図は要部の縦断面図である。

これらの図において、筐体１は予想される最大構造物よ
りもやゝ大形の筐状に形成されており、その縦方向およ
び横方向は複数個の仕切板２によって格子状に仕切られ
ている。

そしてこれらの仕切板２の上端面は、この上に載置され
る溶接母材としての薄肉鉄板３の裏面に対接してこれに
対する定盤の役目をするごとく平面状に仕上げられてい
る。

また、筐体１四周の外壁には、多数のオーバフロ一孔４
が穿設されており、さらに外壁の四周には、筐体１のオ
ーバフロ一孔４からオーバフローした水５を一時的に貯
える側溝６が設けられている。

１は筐体１へ水５を供給する給水口、８は側溝６から水
５を排出させる排水口である。

さらに、筐体１のオーパフロ一孔４すなわち水５の水面
よりもや５下方には、金網９が第３図に示すステー１０
によって支えられて筐体１の全面にわたり水平状に張架
されている。

そして、この金網９上には、吸水性を有するごとく綿状
に形成された不燃性材料からなる綿状体１１が、仕切板
２による升目ごとに収納されており、その高さは仕切板
２の上端面よりもやゝ高く薄肉鉄板３を載置したときに
、これによって圧接されてその裏面に密着するごとく設
定されている。

また金網９をオーバフロ一孔４よりも低く設けることに
より、綿状体１１は常に水中に浸漬されている。

１２は薄肉鉄板３に溶接されたリブである。

以上のごとく構成された歪防止装置を用いて薄肉鉄板３
にリブ１２を溶接する場合には、先ず給水口７から筐体
１内へ水５を供給し、このあと、給水し続けると、水５
はオーバフロ一孔４から側溝６内に流出し、さらに排水
口８から外部へ排出される。

したがって水５の水面は常にオーバフロ一孔４の高さに
保たれる。

そして薄肉鉄板３を筐体１の仕切板２上に載置して、こ
れにリブ１２を溶接する作業を実施する。

この溶接作業において薄肉鉄板３は、溶接による加熱に
よって歪もうとするが、その下方には裏面に密着する綿
状体１１が設けられているので、その吸水性による毛細
管現象によって水５が吸い上げられ、これが薄肉鉄板３
を冷却する。

そしてこの水は薄肉鉄板３の加熱によって蒸発するが、
次から次へと新しい水が吸い上げられるので、適量の水
によって冷却が続けられる。

なお、薄肉鉄板３の裏面を直接水中に浸漬した場合には
、冷却が過剰になって溶接箇所に欠陥が生じるが、綿状
体１１による冷却においては常に適量の水で冷却が続け
られるのでこの種の欠陥が生じることがない。

また給水口７から水を供給し続ければ、水５が昇温する
ことがない。

なお、オーバフロ一孔を上下に調節可能にするか、ある
いは高さの異なるオーバフロ一孔を開閉自在に設けてこ
れを選択して開閉することにより、水面と薄肉鉄板３と
の間隙寸法を薄板の材質や厚みに応じて変化させて適度
な冷却度合に調節できるようにすればさらに効果的であ
る。

なお、本実施例においては、本発明による歪防止装置を
、薄肉鉄板にリブを溶接する作業に用いた例を示したが
、溶接母材の材質は鉄鋼に限らずアルミニウム等他の金
属材料でもよくまた溶接される構造物の形状を限定する
ものではない。

以上の説明により明らかなように、本発明によれば、薄
板溶接における歪防止装置として、冷却水を入れた筐体
と筐体内に収納された綿状体とを設け、筐体上に載置さ
れた溶接母体としての薄板を綿状体の毛細管現象によっ
て吸い上げられた冷却水によって冷却するごとく構成す
ることにより、薄板は連続して循環する適量の冷水によ
って全面を平均して冷却されるので、その冷却効果がき
わめて良好で薄板の歪を完全に防止することができ溶接
構造物の品質が著しく向上する。

また、これによって熟練度を要する溶接後の歪取り作業
の必要がないので工程が簡素化される。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本発明に係る薄板溶接における歪
防止装置を示し、第１図はその縦断面図、第２図はおな
じく一部を破断して示す平面図、第３図は要部の縦断面
図である。 １・・・・・・筐体、３・・・・・・薄肉鉄板、５・・
・・・・水、１１・・・・・・綿状体。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 溶接母材としての薄板を載置する筐体と、この筐体
   内に上端面を前記薄板に密着させて収納され毛細管現象
   によって筐体内の水を吸上げて薄板を冷却する不燃性の
   綿状体とを設けたことを特徴とする薄板溶接における歪
   防止装置。