JPS5833473B2 - ア−ク炉の冷却炉蓋 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はアーク炉の冷却式炉蓋に関するものである。

従来一般に製鋼用アーク炉における炉蓋としては、煉瓦
保持用金物枠（ルーフリング）を用いて耐火煉瓦をドー
ム状に積んた炉蓋を使用している。

しかし、炉の大型化、炉用変圧器の大容量化による高電
圧・大電流操業、助燃バーナーの採用、炉内ガスを直接
吸引する集塵装置の一般化等により炉蓋への影響は苛酷
さを増し、炉蓋煉瓦の寿命は極めて短いものとなってい
る。

これに対し、種々の耐火物、例えば、塩基性煉瓦、高ア
ルミナ質煉瓦、又は不定形耐火物等高価な耐火物を使用
して寿命を延長させるための努力がはられれているが、
その使用条件の苛酷さゆえに未だ満足な結果が得られて
いないのが実情である。

又この方法では、耐火物の重量が従来一般に使用されて
来た珪石煉瓦に比べて重くなるため、場合によってはア
ーク炉設備の一部改造といった問題も発生し、断念せざ
るを得ないという事例も見られる。

しかし、これらの条件を乗り越えて採用したとしても、
耐火物ライニングの炉蓋の場合には、ごく一部の局部的
な損傷により炉蓋煉瓦全体を廃却せざるを得ないという
欠点を有している。

一方、アーク炉の高熱負荷に対拠する方法として炉蓋の
水冷化が種々検討されており、 ■ 炉蓋の煉瓦の中に冷却水パイプを通して煉瓦を冷却
するもの、 ■ 冷却水パイプを幾重にも円板状に巻いて炉蓋を形成
したもの、 ■ 冷却水パイプを鋳物で鋳ぐるんたパネルを複数個組
み合せて炉蓋を形成したもの、 ■ 炉内側の面に耐火物を内張すした水冷ボックスを複
数個組み合せて炉蓋を形成したもの、■ 炉内側の面に
保護のためのメッキを施した水冷ボックスを複数個組み
合せて炉蓋を形成したもの、 等が考えられている。

しかし、いずれも下記の如き欠点を有している。

先ず、■については、冷却水パイプを通すための溝を設
けた特殊な煉瓦を必要とするため、きわめて高価なもの
となるにもかかわらず、冷却水パイプと煉瓦との接触が
不十分で充分な熱交換が行われず、それほど効果が上っ
ていない。

■については、パイプ構造であるため、冷却効果もよく
熱応力に対しても優れているが、やや高価なものとなる
。

■については、現在量も実績が多く好戒積をおさめてい
るが、重量が重く高価であることが強いていえば難点と
いえなくもない。

■■については、鋼板溶接構造の水冷ボックス型である
ため、上に述べたものに比較して安価であるが、それで
も炉内側の面に耐火物やメッキを施したり、水冷ボック
スを吊り下げるための吊構造物を必要とする。

更に水冷ボックスの吊金具や隣り合せの水冷ボックス間
の接触部及び永劫ボックスと外周部の保持金物枠（ルー
フリング）間の接触部にはスペーク防止のための対策（
絶縁物を入れる等）が必要であり、炉蓋の構造をきわめ
て繁雑なものとしている。

しかし、かかる構造にしても使用中長期間の絶縁性の確
保は不可能である。

他方、人件費が高くなり、しかも資源のない我国におい
て、アーク炉操業の連続イシ、稼動率の向上による生産
性の向上、アーク炉製鋼における省資源化及びコストダ
ウンは達成しなければならない重要な課題である。

本発明は、炉蓋の寿命を飛躍的に延ばすために従来考え
られている前記各種の冷却式炉蓋が分割構造であるため
に吊構造を必要とし且つ各接続部に絶縁部を必要してい
ることから構造が複雑で又堆積したダストが除去され難
い構造となっている点を解決し、上記の重要な課題を解
決しようとするもので、下部に冷媒供給管を又上部に冷
媒排出管を夫々接続して内部冷却し得るよう構成した円
錐状炉蓋大天井部ジャケットと、該大天井部ジャケット
の外周部に配する冷媒用給排リング状ヘッダーとを一体
構造として成形してなることを特徴とするものである。

以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。

第１図及び第２図に示すように、放射状に延びる仕切板
２により内部を仕切り適数個の部屋に分割して冷媒によ
る冷却を各部屋独立してそれぞれ行うようにして円錐状
炉蓋大天井部ジャケット１を構成し、該大天井部ジャケ
ット１の外周部に、２槽式とした冷媒用給排リング状ヘ
ッダー３を配して、両者を一体的に固定し、上記大天井
部ジャケット１と一体構造とした冷媒用給排リング状ヘ
ッダー３の１つの槽４は、途中にバルブ８を有する冷媒
供給管６を介し大天井部ジャケット１の各部屋の下部に
各々接続して、大天井部ジャケット１に冷媒を供給する
ためのヘッダーの役目をさせるようにし、父性の槽５は
、途中にバルブ８を有する冷媒排出管７を介し大天井部
ジャケット１の各部屋の上部に各々接続して、大天井部
ジャケット１を通過して来た冷媒をまとめて排出するた
めのマニホールドの役目をさせるようにする。

尚、９は電極を貫通させる孔１０を有し且つ消耗品とし
て簡単に取付は取外しができるよう大天井部ジャケット
１の中心部に嵌着支持されている耐火物製の小天井、１
１は冷媒の主供給管、１２は冷媒の主排出管であり、又
１３はスプラッシュが付着し易いように大天井部ジャケ
ット１の下面に設けであるアンカーである。

今、冷媒の主供給管１１より冷媒が供給されると、冷媒
はヘッダーの役目をする部分である槽４より供給管６を
通り各部屋へ外周側より送入され、内周側より排出管７
を通りマニホールドの役目をする部分である槽５より主
排出管１２を経て排出される。

これにより大天井部ジャケット１は冷却され、小天井９
も冷却されることになる。

尚この場合、冷媒は下部に位置する冷媒供給管６から各
部屋内に入り上昇、して上部に位置する冷媒排出管９か
ら排出されるようになっており、しかも大天井部ジャケ
ット１が円錐状になっていることから、各部屋内に気泡
が発生したとしても抜は易く、又熱交換され昇温した冷
媒も排出され易く、従って効果的な冷却が行われる。

本発明においては、大天井部ジャケット１と冷媒用給排
リング状ヘッダー３とを一体構造として従来の如き分割
構造ではないため、大天井部を吊り下げるための吊り金
物やジャケット相互のスパークを防止するための絶縁物
等を一切不要にすることができる。

即ち、分割構造の場合は接続面でスパークを起したり、
コーナ一部が多いためその損傷件数も多く、又吊金物等
が必要となり、構造が複雑になっているが、一体構造で
あるため、各接続部への絶縁部を不要にできる等、構造
を簡略化することができ、又堆積したダストも除去し易
い構造とすることができる。

更に冷媒の給排系統についても、支持構造物としてのル
ーフリングを不要にすることができる。

第３図及び第４図は他の例を示すもので、仕切板２によ
って各部屋に仕切った大天井部ジャケット１を、更に隔
壁１４を設けて各部屋をそれぞれ２槽式とし、上部の槽
１５には、第１図及び第２図に示すと同様に供給管６と
排出管７を２槽式の冷媒用給排リング状ヘッダー３より
導いて接続し、下部の槽１６には、途中にバルブ８を右
する冷媒の供給管１７と、途中にバルブ８を有する冷媒
の排出管１８とを接続し、上下の種別々に冷却できるよ
うにしたものである。

この構成によれば、大天井部ジャケット１の冷却が効果
的に行えると共に、万一炉内側の槽（下部の槽）が破損
してもアーク炉の操業を続行させることができる利点が
ある。

次に、第５図及び第６図は別の例を示すもので、第１図
及び第２図の例において２槽式冷媒用給排リング状ヘッ
ダー３の槽４に大天井部ジャケット１の外周を一致させ
た構成に代え、槽５側と大天井部ジャケット１を一致さ
せてヘッダー３の上面と大天井部ジャケット１の上面を
同じにしたものである。

又第７図乃至第９図は更に別の例として、第１図及び第
２図の例における上下２槽の冷媒用給排リング状ヘッダ
ー３の槽４，５を分離して、槽４と５を連結部１９で連
結し、該連結部１９に適数個の窓を設けて炉蓋上面に堆
積するダストが窓を通り除去され易くしたものであり、
各図の相違は槽４と５の断面形状を円形、矩形としてこ
れらの組み合せを変えたものである。

上記第５図乃至第９図の構成例によると、炉蓋の上面に
堆積するダストを除去し易くできる利点がある。

即ち、製鋼用アーク炉においては、炉蓋の小天井部に設
けられた電極貫通孔１０より多量のダストが噴出して炉
蓋の上面に堆積する。

このダストは多量の酸化鉄を含むために重く、堆積した
ままにしておくことは炉蓋重量の増加、炉蓋の変形等の
問題を起すことになり好ましくないのであるが、上記ダ
ストが冷媒用給排リング状ヘッダー３の上面を通り除去
され易く構成されているので、上記のような問題を解消
できる。

以上述べた如く本発明の炉蓋によれば、 ｍ 円錐状の大天井部ジャケットの下部に冷媒供給管
を又上部に冷媒排出管を接続して冷媒を下部から上方へ
流すようにしたので、冷却効果が頗る良好となって寿命
が長くなると共に、耐火物の使用量を少なくでき、耐火
物の原単位の向上ならびに炉蓋の交換頻度減少に伴う保
守費の低減が得られる。

に１）一体構造の冷却炉蓋であるので、炉蓋を構成して
いる冷却ボックスやルーフリング間の接触部におけるス
パークの心配は皆無であり、絶縁物も不要である。

（ｉｉｉ） 又一体構造であることから、冷却ボック
スを吊り下げるための吊構造物が不要で、炉蓋構造が極
めてシンプルである。

１）Ｖ） 大天井部を２槽式とした冷却炉蓋とするこ
とにより、万一炉内側の槽が破損した場合でも、その部
分を冷却系統から切り離すことによりアーク炉操業を続
行させることができる。

（Ｖｌ 構造が簡単で軽量であり、取扱いが容易であ
ると共に、軽量であることから炉体にかかる荷重が少な
くなり、従って炉殻板ならびに炉壁煉瓦の寿命に好結果
が期待できる。

（ｖＤ 冷媒用給排リング状ヘッダーの上面と炉蓋の
大天井部の上面を同じにしたり、又は冷媒用給排リング
状ヘッダーを分離することにより、炉蓋の上面に堆積す
るダストを容易に除去することができる。

同 従来の分割式炉蓋の場合には、各水冷ボックスとヘ
ッダーとの接続はその必要性から可撓性のあるゴムホー
スを一般に使用しているが、ゴムホースは熱に弱く寿命
が短い難点があったが、本発明では上述のように一体式
としたので、接続に可撓性の必要がなく、このため例え
ば鋼管で接続することができ、従ってゴムホースの焼損
による水漏れ及びゴムホースの交換のための炉の稼動率
の低下等の問題が解決できる。

等の優れた効果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の炉蓋の平面図、第２図は第１図の切断
側面図、第３図は本発明の炉蓋の他の例を示す平面図、
第４図は第３図の切断側面図、第５図乃至第９図はいず
れも本発明の炉蓋の他の例を示す部分拡大断面図である
。 １・・・・・・炉蓋大天井部ジャケット、２・・・・・
・仕切板、３・・・・・・冷媒用給排リング状ヘッダー
、４，５・・・・・・槽、 ９・・・・・・小天井、 １４・・・・・・隔壁、 １９・・・・・・連結 部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 下部に冷媒供給管を又上部に冷媒排出管を夫夫接続
   して内部冷却し得るよう構成した円錐状炉蓋犬天井部ジ
   ャケットと、該犬天井部ジャケットの外周部に配する冷
   媒用給排リング状ヘッダーとを一体構造として成形して
   なることを特徴とするアーク炉の冷却炉蓋。 ２ 大天井部ジャケットを上下２槽に構成した特許請求
   の範囲第１項記載のアーク炉の冷却炉蓋。 ３ 大天井部ジャケットの上面と一致する面をヘッダー
   が有するよう構成した特許請求の範囲第１項又は第２項
   記載のアーク炉の冷却炉蓋。