JPS5833422B2 - ドラムブレ−キ装置の自動間隙調整装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、操作レバーの作動によりブレーキパネルに設
けられた左右一対のブレーキシューをブレーキドラムに
押圧して制動作用を行うようにした、主として自動車用
のドラムブレーキ装置において、ブレーキシューに接合
されたライニングの摩耗を自動的に補償して、プレーキ
ネ作動時のライニングとブレーキドラム間の間隙を一定
に保持し、常に操作レバーの適正な作動角により制動作
用が得られるようにした自動間隙調整装置に関する。

一般にドラムブレーキ装置においては、制動時にブレー
キシューがブレーキドラムに押圧されると、ブレーキシ
ュー、ライニングおよびブレーキドラムが多少とも弾性
変形を生じるが、これらは見掛は上ライニングの摩耗と
なり、これに自動間隙調整装置が応動すると、過剰調整
（オーバーアジャスト）を来たし、その結果制動解除時
にはブレーキシュー、ライニングおよびブレーキドラム
の弾性復元によりライニングとブレーキドラム間の間隙
がなくなってライニングが強い引摺り現象を惹起し、こ
の現象はライニングの異常摩耗および車両の動力損失等
の不都合を招く。

本発明はそのような不都合を解消すべく、過剰調整防止
機能を備えた簡単有効な前記自動間隙調整装置を提供す
ることを目的とする。

以下、図面により本発明の一実施例について説明すると
、１は車体の静止部の固定されたブレーキパネルで、そ
の内側に左右一対の弓形ブレーキシュー２ａ 、２ｂが
配設され、それらの外周には、それらを囲繞して車輪と
共に回転するブレーキドラム（図示せず）の内周面に摺
擦させるライニング３ａ、３ｂが接合されている。

更にブレーキパネル１の内側上部には、後述する操作レ
バー４を有するブレーキシュー押圧装置Ｐおよび自動間
隙調整装置Ａが設けられ、またブレーキパネル１の内側
下部には、ブレーキシュー２ａ、２ｂの下端を支承して
それらの拡張、収縮時の支点となるアンカブロック５が
固設されている。

両ブレーキシュー２ａ、２ｂ間にはそれらを常時収縮方
向に付勢する上下一対の戻しばね６ａ＋６ｂが張設され
ている。

ブレーキシュー押圧装置Ｐは図示しないブレーキペダル
（またはパーキングレバー）によって操作される前記操
作レバー４と、その操作レバー４に固定したピン７と係
合する切欠き溝８を有するブレーキシュー抑圧部材９と
を備え、そのブレーキシュー押圧部材９のコ字形片１０
の開口部に設けた切欠き溝１１に左方のブレーキシュー
２ａの上端部が係合し、同時にその上端部は操作レバー
４の側面に当接する。

またブレーキシュー押圧部材９のコ字形片１０の底部に
設けた自動間隙調整装置Ａの構成要素である調節ねじ１
２０頭部には右方のブレーキシュー２ｂの上端部が係合
する。

上記ブレーキシュー押圧部材９は、その上下底板１３ａ
、１３ｂによりブレーキパネル１を挾み、左右方向に摺
動するようになっている。

その摺動を円滑に行わせるために、上下底板１３ａ、１
３ｂとブレーキパネル１との間にはステンレス板１４ａ
、１４ｂが介在させである。

自動間隙調整装置Ａは、前記ブレーキシュー押圧部材９
のコ字形片１０に形成した切欠き溝１５に、底部外面か
ら嵌込まれ、上下底板１３ａ。

１３ｂを貫通するボルト１６により固定されたＬ字形板
１７と、その板１７に回転可能に支承され、前記調節ね
じ１２を螺合させたラチェツト車１８と、先端の爪部１
９をラチェツト車１８じ係合させ、基端を前記ピン７の
段部７ａに当接させて回転可能に支持させた側面に半球
状凸部２０を有する送り爪２１と、その送り爪２１のラ
チェツト車１８に対する非対向側面に対面させてピン７
に支持され、先端に折曲げ形成したコ字形溝部２２を操
作レバー４の先端側面に係合させると共に上記送り爪２
１の凸部２０と係合する細形凹部２３を側面に有する作
動板２４と、その作動板２４と対向させて上記ピン１に
遊挿支持され、作動板２４を送り爪２１に対して押圧し
、両者の凹、凸部２０．２３の係合を保持すると共に送
り爪２１の爪部１９とラチェツト車１８との係合を保持
するコイルばね２５とを備えている。

コイルばね２５は一端を延長して凹凸保合部２０，２３
の上面を横切らせて端部を送り爪２１および作動板２４
に係止させである。

２６は防塵フーツ、２７は上、下底板１３ａ。

１３ｂの挾持力を調整するための朋ばね、２８はコイル
ばね２５の抜止め環である。

次にこの実施例の作用を説明すると、ブレーキペダルの
操作により操作レバー４を矢印ａ方向に牽引すると、操
作レバー４はピン７を中心として第２，３図において反
時計方向すに回動し、同時にピン７を介してブレーキシ
ュー押圧部材９を右方へ摺動させる。

これにより左方のブレーキシュ２ａは操作レバー４に押
されてアンカー５を支点にして左方へ開き、また右方の
ブレーキシュー２ｂは調節ねじ１２を介してアンカー５
を支点として右方へ開き、同時に操作レバー４によって
作動板２４および送り爪２１がピン１周りで反時計方向
すに回動するのでラチェツト車１８が回転して調節ねじ
１２を右方（前方）へ送り出し、両ブレーキシュー２ａ
、２ｂのライニング３ａ、３ｂをそれぞれブレーキドラ
ムに押圧して車輪に制動がかげられる。

この制動過程において、両ライニング３ａ。

３ｂがブレーキドラムに接触して送り爪２１に一定値以
上の負荷トルクが加わると、コイルばね２５の弾発力で
は作動板２４と送り爪２１の凹凸係合を保持し得なくな
るので、両者２Ｌ２４間の凹、凸体合部２０．２３に滑
りを生じ、作動板２４が第２図において手前側（第４図
において下方）に移動する。

したがって作動板２４のみが操作レバー４に連動し、送
り爪２１に対する操作レバー４の作動力が非伝達状態と
なるので送り爪２１のラチェツト車１８に対する送り機
能が停止する。

これにより両ブレーキシュー２ａ、２ｂのブレーキドラ
ムに対する抑圧作用に伴いブレーキシュー２ａ、２ｂ１
ライニング３ａ 、３ｂおよびブレーキドラムが弾性変
形を生じても、自動間隙調整装置Ａがそれに応動するこ
とはない。

この制動を解除すべく、ブレーキペダルを解放すれば、
戻しばね５ａ、（ｉｂにより両ブレーキシニー２ａ、２
ｂが操作レバー４を時計方向Ｃに回動させると同時にブ
レーキシュー押圧部材９を左方に摺動させながら収縮す
る。

作動板２４も時計方向Ｃに回動し、その凹部２３を送り
爪２１の凸部２０に係合させて送り爪２１の爪部１９の
ラチェツト車１８に対して滑らせながら元の位置に復帰
する。

したがって前記制動過程での調節ねじ１２の送出し量は
、そのまま保持され、制動解除後の左右のブレーキシュ
ー２ａ、２ｂの位置は、制動前の位置を基準にすればそ
れぞれ上記調節ねじ１２の送出し量の２分の１だけブレ
ーキドラムに近寄ったことになり、この両ブレーキシュ
ー２ａ、２ｂの変位が前記制動による両ライニング３ａ
、３ｂの摩耗に対する補償量となる。

かくして、非制動状態でのブレーキドラムと各ライニン
グ３ａ、３ｂ間の間隙は制動前と略同様に自動調整され
、次の制動時にも、操作レバー４の適正な作動角により
良好な制動作用を得ることができる。

なお作動板２４と送り爪２１との凹凸係合部の凹凸関係
は前記実施例と逆でもよいことは当然である。

以上のように本発明によれば、操作レバー４に連動する
作動板２４とラチェツト車１８の送り爪２１とを凹凸係
合２０．２３させ、その係合をばね２５により保持する
と共に送り爪２１に一定値以上の負荷トルクが加わると
ばね２５の弾発力に抗して凹凸係合を滑らせて、作動板
２４のみを操作レバー４に連動させ、送り爪２１に対す
る操作レバー４の作動力を非伝達状態にして送り爪２１
の送り機能を停止させるようにしたので、ブレーキシュ
ー２ａ、２ｂ等の弾性変形に伴う自動間隙調整装置Ａの
過剰調整を防止することができ、その過剰調整によるラ
イニング３ａ 、３ｂの異常摩耗、車両の動力損失等の
不都合を解消することができる。

また送り爪２１に一定値以上の負荷トルクが加わったと
きには、送り爪２１をラチェツト車１８に係合させたま
又、作動板２４のみを操作レバー４に連動させるように
したので、送り爪２１をラチェツト車１８から逃がす構
成のものに比べて送り爪２１のラチェツト車１８に対す
る滑り再保合を確実にして、ラチェット単１８０回転を
円滑に行うことができ、しかも構成が簡単で安価に提供
し得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す正面図、第２図は第１
図■−■線断面図、第３図は第１図ｍ−■線断面図、第
４図は第２図ＩＶ−ＴＶ線断面図である。 １・・・°・°ブレーキパネル、２ａ、２ｂ・・・・・
・ブレーキシュー、４・・・・・・操作レバー、７・・
・・・・ピン、９・−パ・・ブレーキシュー抑圧部材、
１２・・・・・・調節ねじ、１８・−・・・ラチェツト
車、１９・・・・−・爪部、２０・・・・・・凸部、２
１・・・・・・送り爪、２３・・・・・・凹部、２４・
・・・・・作動板、２５・・・−・・ばね。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 操作レバヲの作動によりブレーキパネルに設けられ
   た左右一対のブレーキシューをブレーキドラムに押圧し
   て制動作用を行うようにしたドラムブレーキ装置におい
   て、前記操作レバーの作動力をその操作レバーに固定し
   たピンを介して受けるブレーキシュー押圧部材に回転可
   能に支持されたラチェツト車と、該ラチェツト車に螺合
   され、先端を一方の前記ブレーキシューに係合された調
   節ねじと、先端の爪部を前記ラチェツト車に係合させ、
   基部を該ピンに回転可能に支持させ、側面に凹部または
   凸部を有する送り爪と、その送り爪の前記ラチェツト車
   に対する非対向側面に対面して前記ピンに支持され、送
   り爪側面の四部または凸部と滑り係合する凸部または凹
   部を側面に有し、且つ前記操作レバーに連動する作動板
   と、その作動板に対向して前記ピンに支持され、その作
   動板を前記送り爪に対して押圧し、両者の凹凸係合を保
   持すると共に前記送り爪とラチェツト車との係合を保持
   するばねとを備え、制動時には前記凹、凸部の係合によ
   り前記操作レバーの作動力を前記作動板を介して前記送
   り爪に伝達し、前記ラチェツト車の回転によって前記調
   節ねじを前進送りし、前記送り爪に一定値以上の負荷ト
   ルクが加わると前記ばねの弾発力に抗して前記凹、凸部
   の係合を滑らせ、前記作動板のみを前記操作レバーに連
   通させることにより、前記送り爪に対する操作レバーの
   作動力を非伝達状態にして前記調節ねじの前進送りを停
   止させるようにした、自動間隙調整装置。