JPS5833396B2 - 冷却用圧縮機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は例えば自動車用冷房装置等に用いられる冷却装
置の圧縮機、特にシリンダ内でピストンを往復摺動させ
て冷媒を圧縮する圧縮機に関する。

この種の圧縮機においては、シリンダとピスト７ンとの
隙間を通して冷媒が洩れるのを完全に防止することは不
可能である。

このため従来よりシリンダの後方つまりピストンに駆動
力を伝達する機構側に設けたクランク室にこの洩れ冷媒
を一旦受は入れ、その後にこのクランク室と冷媒の吸入
経路とを連通させた圧力バランス路を通してこの洩れ冷
媒を吸入経路に帰還させるようにしている。

しかしこの場合、クランク室は相対的に移動する部分の
ための潤滑油を受は入れる貯油室を兼ねているので、こ
の潤滑油が洩れ冷媒を帰還させるための圧力バランス路
を通って冷媒回路中に流出することがある。

この冷媒回路中に流出した潤滑油の一部は上述した洩れ
冷媒に含まれて貯油室に戻るが、その大部分は冷媒に含
まれた状態で冷媒回路中を循環することとなる。

このため潤滑油の初期封入量を潤滑のみに必要な量の何
倍にもしなければならないし、さらには冷媒回路の長さ
が異なる場合や冷媒回路中に潤滑油の停滞しやすい箇所
がある。

場合によっては潤滑油はその必要な初期封入量が変わる
のでその都度潤滑油の封入量を決定しなければならない
し、また冷媒中に含まれた潤滑油が熱交換器の熱交換効
率を低下させる原因になってしまう。

したがって本発明の目的は、洩れ冷媒を帰還させるため
の圧力バランス路を通って吐出室に流出する潤滑油を冷
媒回路から除去してクランク室に戻す構造を備えた冷却
用圧縮機を提供することにある。

本発明の他の目的は、揺動板式の圧縮機において、冷媒
から分離した潤滑油を揺動板の揺動中心となる鋼球の受
は部を通してクランク室に戻すようにし、これにより鋼
球受は部の潤滑を良好にすることにある。

本発明のさらに他の目的は、吐出室の高圧を利用するこ
とによって、複雑な機構を用いることなく上記目的を達
成することにある。

本発明のさらに他の目的は、冷媒から分離した潤滑油が
吐出冷媒によって攪乱されてしまうことのないようにす
ることにある。

また本発明は、組立作業の容易な構造によって上記各目
的を達成することをも目的とする。

本発明による冷却用圧縮機は、円筒状ケーシングの一端
に嵌合されたシリンダブロックと他端に固定したフロン
トハウジングとの間にクランク室を形成し、該フロント
ハウジングを貫通した主軸の内端に楔形ロータを固定し
、該楔形ロータの傾斜面側に揺動板を配設する一方、該
シリンダブロックに形成した中央孔に揺動中心軸体と該
揺動中心軸体の軸方向位置を定めるねじ体とを嵌合させ
、該揺動板と該揺動中心軸体との間に鋼球を配して該揺
動板を揺動可能に支持し、かつ該シリンダブロックに形
成したシリンダにピストンを嵌入させるとともに、該ピ
ストンを該揺動板の外周側面上に連設させるロッドを配
設し、さらに該シリンダブロックに弁板を介して該弁板
とは別体のシリンダヘッドを対向させ、しかも該シリン
ダヘッドに設けた吸入室と該クランク室とを連通させた
圧力バランス路を形成しである冷却用圧縮機において、
上記弁板に組付は固定されて上記シリンダヘッドに設け
た吐出室内に突出した上面に開口を有する油槽と、該油
槽の突出端に固定されて半径方向外方へフランジ状に広
がった上部に切欠き部を有する背面板と、該油槽の開口
の上方でかつ該背面板の切欠き部に対向する位置に該開
口および該切欠き部を塞ぐように配置され、該切欠き部
を通過する冷媒から潤滑油を分離して該開口を通して該
油槽内に落下させる油分離材と、該油槽の内底部を上記
クランク室に連通させた油帰還路とを含み、該油帰還路
は、上記揺動中心軸体の中心に形成した通油孔、上記ね
じ体に形成した通油孔上記弁板部分を貫通した通油孔お
よび該弁板部分の通油孔から上記油槽の内底部近傍にま
でのびたピックアップチューブを有し、これにより鋼球
受は部の潤滑を行うように構成されていることを特徴と
している。

このような本発明によれば、クランク室から圧力バラン
ス路を通ってシリンダヘッドの吸入室に流出した潤滑油
は、シリンダヘッドの吐出室に配置した油分離材にて冷
媒から分離されてそのほとんどがクランク室へ戻される
ことになるため、大容量の圧縮機においても潤滑油の封
入量は少なくてすむ上に、潤滑油の初期封入量は冷媒回
路とはほぼ無関係に一定ですみ、かつ熱交換効率の低下
の原因も除去される。

さらにクランク室へ戻される潤滑油は、途中で揺動板の
揺動中心となる鋼球の受は部を通るので、鋼球受は部の
潤滑が良好に行われることとなる。

また潤滑油の戻しは吐出室の高圧を利用して行われるよ
うになっているので、特別なポンプ機構を備える必要は
なく、したがって構造も比較的簡単にできる。

また油槽は吐出冷媒の通路から完全に分岐されているの
で、冷媒から分離した潤滑油が吐出冷媒によって攪乱さ
れることはない。

また油槽、背面板および油分離材を弁板に組付けた後に
シリンダヘッドを組付けるという手順を採れるので、組
立作業が容易に行えるという利点もある。

以下図面を参照しながら、本発明につき実施例を用いて
説明する。

先ず第１図を参照して、円筒状のケーシング１０は一端
に嵌合固定されたシリンダブロック１１と他端に固定さ
れたフロントハウジング１２との間に、潤滑油の貯留室
を兼ねたクランク室１３を形成している。

このクランク室１３内に配置さｆしたロータ１４は、フ
ロントハウジンク１２の中央部に軸受１５を介して回転
自在な状態で挿通された主軸１６に固定され、かつフロ
ントハウジング１２にスラストニードルベアリング１７
を介して対向している。

クランク室１３内にはまた、ロータ１４の傾斜面１４ａ
にスラストニードルベアリング１８を介して対向したリ
ング状の揺動板１９が配置されており、この揺動板１９
は揺動中心軸体２０の先端に、回転自在な鋼球２１を介
して揺動自在に受けられている。

揺動中心軸体２０はシリンダブロック１１の中央孔２２
に嵌合されたもので、軸方向では可動であるが回転は阻
止されており、穴２０ａに嵌合されたばね２３によって
揺動板１９に向けて付勢されている。

このときのばね２３の付勢力は、中央孔２２にねじ込ま
れたねじ体２４を回すことによって調整されつる。

揺動中心軸体２０はまた先端に傘歯車２０ｂを有してお
り、この傘歯車２０゛ｂが揺動板１９に固着された傘歯
車２５に噛合うことにより、揺動板１９の回転を阻止し
ている。

さらにシリンダブロック１１には複数のシリンダ２６が
形成されており、それらのシリンダ２６の夫々にはピス
トン２７が摺動自在に夫々挿入されている。

そしてこれらのピストン２７をロッド２８にて揺動板１
９の周辺近傍部分に連結しである。

なおロッド２８と揺動板１９との結合、およびロッド２
８とピストン２７との結合は、いずれも球関節継手にて
行わせである。

またシリンダブロック１１の一端にはガスケット（図示
せず）′ｊ６よび弁板アセンブリ３０を介してシリンダ
ヘッド３１が重ね合わされ、かつボルト２９によってそ
こに固定されている。

シリンダヘッド３１は第２図をも参照して、外周近傍部
分に吸入室３２を、中央部に吐出室３３を有している。

弁板アセンブリ３０は、シリンダ２６の夫々を吸入室３
２に連通させる吸入口３４とシリンダ２６の夫々を吐出
室３３に連通させる吐出口３５とを有する弁板３６、吸
入口３４のシリンダ２６側に設けた可撓性の吸入弁（図
示省略）、および吐出口３４の吐出室３３側に設けた可
撓性の吐出弁３７を、固定ボルト３８にて一体に固定し
たものである。

な′ｊ６３９は吐出弁３７の過度な撓みを防止する弁押
えであって、これも固定ボルト３８にて一体に固定され
ている。

上述した構造において、主軸１６を適当な回転駆動手段
にて回転させると、クランク室１３内でロータ１４が回
転し、このロータ１４の傾斜面１４ａに従って揺動板１
９が鋼球２１を中心として回転することなく揺動するた
め、それに基いて複数のピストン２７がシリンダ２６内
で時差をもって往復摺摺動し、その結果として吸入室３
２の流体を吸入口３４を通してシリンダ２６内に吸込み
かつ吐出口３５を通して吐出室３３に排出する実際には
、シリンダヘッド３１に設けた吸入ポート４０と吐出ポ
ート４１との間に冷媒回路を接続して使用されるため、
この冷媒回路中の冷媒が凝縮・蒸発を繰返しつつ循環す
ることとなる。

ところで吐出室３３の圧力は比較的高いのに対し、クラ
ンク室１３の圧力は比較的低いため、ピストン２７の圧
縮行程において冷媒ガスがシリンダ２６とピストン２７
との隙間を通ってクランク室１３に洩れる現象が起り、
冷媒損失が起る。

かといってクランク室１３を密封構造にしても、吸入室
３２の圧力は比較的低いため、上述した現象の逆、つま
り冷媒の戻りはほとんど期待できず、それ故にクランク
室１３の内圧が高くなってしまう。

高い圧力に耐えるクランク室１３はコスト高の原因にな
ってしまうことはいうまでもない。

そこで第３図に示すように、クランク室１３と吸入室３
２とを互いに連通させた圧力バランス路４２を備え、ク
ランク室１３に洩れ出た冷媒ガスをこの圧力バランス路
４２を通して吸入室３２に帰還させるようにしている。

しかしクランク室１３は前述したように潤滑油の貯留室
も兼ねているため、ここに貯留された潤滑油が圧力バラ
ンス路４２を通して吸入室３２に流出するおそれがある
。

この流出した潤滑油が冷媒回路を循環する構造ならば各
種の欠点が生じることは前述したとおりである。

なおりランク室１３の潤滑油は、ロータ１４の回転によ
ってかき上げられるとともにこれに遠心力が作用してケ
ーシング１０の内壁面に沿った流れが起され、かつケー
シング１０の内壁面に設けた堰４３によってフロントハ
ウジング１２に向う流れに変換され、その一部がフロン
トハウジング１２に設けた油流入口４４を通って、シャ
フトシール４５の内側のシールポケット部４６に入り、
その後に主軸１６に設けた油流出孔４７を通ってクラン
ク室１３に戻り、その間に軸受１５およびスラストニー
ドルベアリング１７，１８等の潤滑を行う。

さてこの圧縮機においてさらに、揺動中心軸体２０とね
じ体２４とボルト３８とにそれぞれ、軸方向に貫通した
通油孔５１，５２，５３を設ける。

そしてボルト３８を用いて油槽５４を吐出室３３に配置
固定し、かつボルト３８の先端に油槽５４の下面を向い
たピックアップチューブ５５を固着する。

この油槽５４は内部に邪魔板５６を有するとともに、上
面に開口５７を有したもので、この開口５７の上方に油
分離能力を有する多孔材や網等よりなる油分離材５８を
配する。

さらに油槽５４に背面板５９を押当て固定する。

この背面板５９は第４図に示すような形状のもので、シ
リンダヘッド３１の吸入室３２と吐出室３３とを分ける
隔壁に当接し、それにより吐出室３３を第１および第２
の室３３ａ、３３ｂに実質上２分する。

ただし背面板５９には油分離材５８に対向する位置に切
欠き６０を設け、この切欠き６０部分を通してのみ第ト
および第２の室３３ａ、３３ｂを互いに連通させる。

なお、吐出室３３に配置される各部品はいずれも、シリ
ンダヘッド３１を組合せる前に弁板アセンブリ３０に予
め組込んでおいた方が、組立工程上有利である。

このような構造を備えると、圧力バランス路４２を通っ
て潤滑油が吸入室３２に流出して冷媒ガスに含まれた状
態になっても、その一部はピストン２７の圧縮行程にお
いてピストン２７とシリンダ２６との間を通ってクラン
ク室１３に戻り、また残部は冷媒ガスに含まれたまま吐
出室３３に押出されるが、冷媒ガスは全て油分離材５８
を通過する構成になっているので、高圧の冷媒ガスがこ
の油分離材５８を通過するときに冷媒ガスに含まれてい
る潤滑油は油分離材５８に捕獲されるとともに、油槽５
４内に落下し、それ故に冷媒回路中に潤滑油が循環する
のは回避さへ さらに油槽５４内に溜った油が冷媒ガス
によって攪乱されるのは邪魔板５６によって防止される
。

また油槽５４に溜った油はピックアップチューブ５５お
よびボルト３８の通油孔５３を通ってシリンダブロック
１１の中央孔２２に流出し、さらにこの中火孔２２に溜
った油はねじ体２０の通油孔５２を通って揺動中心軸体
２０の穴２０ａに流出し、さらに揺動中心軸体２０の通
油孔５１を通って鋼球２１の支承部を潤滑しながらクラ
ンク室１３に戻る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による圧縮機の一実施例の第２図の１−
１線に沿った縦断面図、第２図は第１図の２−２線に沿
った断面図、第３図は圧力バランス路を示した要部のみ
の断面図、第４図は背面板の一例形状を示した正面図で
ある。 １０・・・・・・ケーシング、１１・・・・・・シリン
タフロック、１２・・・・・・フロントハウジング、１
３・・・・・・潤滑油の貯留室を兼ねたクランク室、２
０ａ・・・・・・穴、２２・・・・・・中央孔、２６・
・・・・・シリンダ、２７・・・・・・ピストン、３１
・・・・・・シリンダヘッド、３２・・・・・・吸入室
、３３・・・・・・吐出室、４２・・・・・・圧力バラ
ンス路、５１．５２，５３・・・・・・通油ＪＬ５４・
・・・・・油槽、５５・・・・・・ピックアップチュー
ブ、５６・・・・・・邪魔板５７・・・・・・開口、５
８・・・・・・油分離材、５９・・・・・・背面板、６
０・・・・・・切欠き。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 円筒状ケーシングの一端に嵌合されたシリンダブロ
   ックと他端に固定したフロントノ＼ウジングとの間にク
   ランク室を形成し、該フロントノ＼ウジングを貫通した
   主軸の内端に楔形ロータを固定し、該楔形ロータの傾斜
   面側に揺動板を配設する一方、該シリンダブロックに形
   成した中央孔に揺動中心軸体と該揺動中心軸体の軸方向
   位置を定めるねじ体とを嵌合させ、該揺動板と該揺動中
   ら軸体との間に鋼球を配して該揺動板を揺動可能に支持
   し、かつ該シリンダブロックに形成したシリンダにピス
   トンを嵌入させるとともに、該ピストンを該揺動板の外
   周側面上に連設させるロンドを配設し、サラニ該シリン
   ダブロックに弁板を介して該弁板とは別体のシリンダヘ
   ッドを対向させ、しかも該シリンダヘッドに設けた吸入
   室と該クランク室とを連通させた圧力バランス路を形成
   しである冷却用圧縮機において、上記弁板に組付は固定
   されて上記シリンダヘッドに設けた吐出室内に突出した
   上面に開口を有する油槽と、該油槽の突出端に固定され
   て半径方向外方へフランジ状に広がった上部に切欠き部
   を有する背面板と、該油槽の開口の上方でかつ該背面板
   の切欠き部に対向する位置に該開口および該切欠き部を
   塞ぐように配置され、該切欠き部を通過する冷媒から潤
   滑油を分離して該開口を通して該油槽内に落下させる油
   分離材と、該油槽の内底部を上記クランク室に連通させ
   た油帰還路とを含み、該油帰還路は、上記揺動中心軸体
   の中心に形成した通油孔、上記ねじ体に形成した通油孔
   、上記弁板部分を貫通した通油子Ｌ８よび該弁板部分の
   通油孔から上記油槽の内底部近傍にまでのびたピックア
   ップチューブを有し、これにより鋼球受は部の潤滑を行
   うように構成されていることを特徴とする冷却用圧縮機
   。