JPS5830115Y2 - ２サイクル内燃機関 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、シリンダが横向きに設置されクランク軸が縦
方向に立設される形の縦型２サイクル内燃機関の改良に
関するものである。

上記のような縦型２サイクル内燃機関は、シリンダが横
向きに設置される関係から機関の無負荷低負荷運転時（
以下低負荷運転時という）において、シリンダ内に吸入
される混合気中の燃料が、重力落下によりシリンダライ
チ内壁を伝わって掃気口から掃気通路内に溜るため、掃
気時に燃焼室へ供給される混合気が過濃になったり、上
下の掃気通路から供給される混合気の空燃比がアンバラ
ンスになったりする。

このため、機関の燃焼状態が不安定になり易く、また、
機関の傾斜時にはエンストを起こすなどの問題があった
。

ところでこの問題を解消するため、上記掃気通路内に溜
った未気化燃料を、低速回転時に生ずる吸気管内の負圧
を利用して吸気管内に戻す燃料戻し通路を設けた先行技
術が実公昭５２−４４７５９号公報に示されており、ま
たこれに関連するものとして一般のガソリン機関におい
て、吸気管内周面に付着して膜となって流下する燃料の
溜部を、吸気管に設けたベンチュリ部に連通して該燃料
を再霧化ｌたは気化して燃焼室に吸入させるようにした
先行技術が実開昭５１−６８９１５号公報に、と（７’
）ような溜部をさらに加熱してその燃料を再霧化または
気化させるようにした先行技術が実開昭５１−６８９１
６号公報に示されている。

ところが、上記の実公昭５２−４４７５９号公報のもの
では、掃気通路に燃料が溜る傾向が少なイ中、高負荷運
転時には、クランクケース内における混合気の予圧縮比
が低下し出力に悪影響を与えるという欠点があった。

本考案は、この欠点を解消するためシリンダが横向きに
設置される２サイクル内燃機関において気化器の吸気下
流側の吸入管内にベンチュリ部を形成し、掃気通路の下
部に連通ずる燃料戻し通路を、該通路上に設けた逆止弁
を介して上記ベンチュリ部に開口させると共に、該通路
には上記逆止弁より掃気通路側に位置し、しかも調速レ
バーと連動し低負荷運転時に開く制御弁を設けた構成を
特徴とするものである。

以下、図面を参照して本考案の実施例を具体的に説明す
る。

第１図において、１は横向き（水平）に配置されたシリ
ンダであり、２は縦方向にクランク軸３を支承したクラ
ンクケースである。

このクランクケース２内に形成したクランク室４は、シ
リンダ１に対し上、下の掃気通路５（上方の掃気通路は
図示省略）を介して連通され、また、気化器６からの混
合気が吸入管７を経てクランク室４内に供給されるよう
になっている。

以上の構成は通常のこの種の２サイクル内燃機関と同様
である。

本考案では上記吸入管７の途中に、気化器６のベンチュ
リ（図示省略）とは別個の、ベンチュリ部８が形成され
、このベンチュリ部８に、前記掃気通路５の下部と連通
ずる燃料戻し通路９が開口される。

すなわち燃料戻し通路９は、その先端部に設けたノズル
１０を上記ベンチュリ部８に突入させて、掃気通路５の
下部と吸入管１のベンチュリ部８とを通路９で連通させ
てあり、また、その通路９には途中に逆止弁１１が設け
られている。

この逆止弁１１は、第２図にも示すように、ノズル１０
側からバネ１１ａによりボール１１ｂが、掃気通路５側
に設けたバルブシート１１ｃに押圧され、吸入負圧によ
って開くように構成されたものである。

そして、上記燃料戻し通路９には、さらに第１図および
第２図に示されるように、逆止弁１１より掃気通路５側
に位置して制御弁１２が設けられている。

この制御弁１２ば、リンク機構１３を介してガバナの調
速レバー１４に連結されていて、上記調速レバー１４と
連動して機関の低負荷運転時に制御弁１２が開くように
構成されている。

なお第２図中、符号１５は制御弁１２の戻しバネである
。

以上のように構成された２サイクル内燃機関でハ、ベン
チュリ部８の吸入負圧によって、逆止弁１１が開かれ、
また、制御弁１２が低負荷運転時に開かれるので、この
時、掃気通路５内に溜った燃料が通路９を通して吸い出
され、吸入管７内に戻される。

そしてこの場合、通路９の先端部に設けたノズル１０が
ベンチュリ部８内に突入、開口されている関係から、通
路９を通して戻される燃料は吸気管７に吸入される際、
そこで再霧化作用が行なわれ、霧化されて混合気中に吸
入されるようになるから、伺らの支障なしにクランク室
４に充填されてシリンダ１内に供給される。

そして、燃料戻し通路９には上記制御弁１２が設けられ
ているので、掃気通路５に燃料が溜りやすい低負荷運転
時にだけ通路９が開いて掃気通路５に溜った燃料を吸入
管７に戻し、掃気通路５に燃料が溜る傾向の少ない中、
高負荷運転時には、制御弁１２を閉じて該燃料を吸入管
１に戻さないようにし、出力に悪影響を与えるクランク
室４内における混合気の予圧縮比を低下させなしという
効果が得られる。

以上説明したところから、本考案による２サイクル内燃
機関では、掃気通路５に溜った燃料は、低負荷運転時に
は吸入負圧により通路９を介して吸入管１に設けたベン
チュリ部８に霧化状態のもとで戻されて吸入管７内の混
合気中に吸入されてクランク室を充填し、ついでシリン
ダ内に供給されて燃焼するので無駄なく合理的に利用さ
れる一方、掃気通路に未気化燃料が溜る傾向の少ない中
。

高負荷運転時には、ベンチュリ部８に戻されることがな
いから、混合気のクランク室４内における予圧縮比が低
下すること、ひいては出力に悪影響が与えられることが
ないという上気先行技術例のものにはない効果が期待さ
れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例による２サイクル内燃機関を
一部断面して示す側面図、第２図は燃料戻し通路の吸入
管の開口部を拡大して示す断面図である。 １・・・・・・シリンダ、２・・・・・・クランクケー
ス、３・・・・・・クランク軸、４・・・・・・クラン
ク室、５・・・・・・掃気通路、６・・・・・・気化器
、Ｉ・・・・・・吸入管、８・・・・・・ベンチュリ部
、９・・・・・・燃料戻し通路、１０・−・・・・ノズ
ル、１１・・・・・・逆止弁、１２・・・・・・制御弁
、１３・・・・・・リンク機構、１４・・・・・・ガバ
ナ調速レバー、１５・・・・・・戻しバネ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダが横向きに配置された２サイクル内燃機関にお
   いて、気化器より吸気下流側の吸気管内にベンチュリ部
   を形成し、掃気通路の下部に連通ずる燃料戻し通路を上
   記ベンチュリ部に開口させると共に、上記通路上に逆止
   弁を設けてベンチュリ部の吸入負圧により掃気通路内に
   溜る燃料を吸出し再霧化して吸入管内に戻すようにし、
   かつ上記燃料戻し通路には、上記逆止弁より掃気通路側
   に位置し、しかも、調速レバーと連動して低負荷運転時
   に開く制御弁を設けて構成した２サイクル内燃機関。