JPS5830099Y2 - デイ−ゼルエンジンのスト−ル防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は主として車両用高速ディーゼルエンジンにおけ
る急減速操作によるエンジンストールを防止するための
装置に関するものである。

車両用ディーゼルエンジンにおいては、燃料制御杆が燃
料噴射ポンプ本体を貫通し、一方の端部に調速機の制御
機構が連結され、他方の端部に最大噴射量に合せて燃料
制御杆の移動量を制限する制御杆制限装置が設けられて
いる。

従来のエンジンストール防止装置としては、例えば実公
昭３７−９００２号公報等に示されるように、ばね定数
を異にする２つのばねを併用して第１図に実線で示すよ
うに、エンジン回転速度の降下過程にお・いて燃料制御
杆を徐々に燃料増方向へ移動させるようになっている。

しかし、このような装置では減速性が劣るためにエンジ
ンブレーキ効果を損なうことがある。

また、ばねの設定が難かしく、初期の減速性能を得るこ
とができないという問題がある。

そこで、例えば特公昭４９−１８８４９号公報などに示
されるように、エンジン回転速度を電気的に検出して電
磁アクチュエータを作動させ、エンジンの減速時に第１
図に破線で示すように、アイドル回転速度Ｎｏ以下の適
当な回転速度において燃料制御杆を瞬間的に燃料増方向
へ駆動するものが提案されているが、僅かな回転変動に
対しても前記電磁アクチュエータが作動するので、アイ
ドル回転速度Ｎｏよりも低い回転速度で前記電磁アクチ
ュエータを駆動する電気信号を発生させなければならな
い。

これは電気信号をセットする回転速度域が狭く、制御回
路として高性能のものが必要とされる。

本考案の目的は、急減速時遠心力調速機の低速制御用復
元ばねに助勢的に作用する電磁アクチュエータを設け、
アイドル回転速度よりも幾分高い位置で一時的に噴射量
を増加させるようにしたディーゼルエンジンのストール
防止装置を提供することにある。

このため、本考案の構成はエンジン回転速度に比例した
直流電圧発生回路と、該直流電圧発生回路の出力電圧と
アイドル回転速度よりも僅かに高い回転速度に相当する
設定電圧とを比較増幅する比較増幅回路と、該比較増幅
回路の出力を入力とする単安定マルチバイブレータ回路
と該マルチバイブレータ回路の出力により燃料噴射ポン
プの燃料制御杆を一定期間だけ燃料増方向に駆動する電
磁アクチュエータとからなり、前記比較増幅回路にはこ
の出力により前記設定電圧を高めるフィードバック回路
を備えたものである。

すなわち、本考案の装置によれば、減速時にアイドル回
転速度よりも高い速度域で電磁アクチュエータを作動さ
せる電気信号を発生しても不具合はなく、またこの電気
信号を発生させる回転速度は厳密に設定しなくてもよい
ので、高精度の制御回路を必要とせず、しかも作動が確
実かつ優れている。

本考案の構成を図示の実施例に基づいて説明すると、エ
ンジンストール防止装置は第２図に示すように、エンジ
ン回転速度検出器Ａと、飽和増幅回路Ｂと、第１単安定
マルチバイブレータ回路Ｃと、積分回路りと、基準電圧
発生回路Ｅと、比較増幅回路Ｆと、第２単安定マルチバ
イブレータ回路Ｇと、電力増幅回路Ｈと、電磁アクチュ
エータ駆動回路Ｉとからなっている。

第３図は同装置の具体的な電気回路図であり、１〜２２
は抵抗器、２３〜３０はコンデンサ、３１〜３４はダイ
オード、３５はツェナーダイオード、３６〜３９は演算
増幅器、４０はトランジスタ、４１は電磁アクチュエー
タの電磁コイル、４２は正導線、４３は負導線である。

回転速度検出器ＡＨ燃料噴射ポンプのカム軸に結合した
歯車状の磁性体に隣接して配置された永久磁石と検出コ
イルとで構成される電磁型回転数−電圧変換器であり、
磁性体が回転しその突部が永久磁石に対して離接すると
、それに応じて永久磁石に巻かれた検出コイルに電圧Ｖ
Ａが誘起される。

この電圧ｖＡをコンデンサ２３を経て抵抗１〜４、コン
デンサ２４及び演算増幅器３６からなる飽和増幅回路Ｂ
に加えてパルス出力電圧をつくる。

コンデンサ２５からなる微分回路において、飽和増幅回
路Ｂからのパルス電圧ｖＢを微分してトリガパルスをつ
くり、これを抵抗５〜８，２２、ダイオード３１．コン
デンサ２６及び演算増幅器３７で構成される単安定マル
チバイブレータ回路Ｃに加えて、パルス幅一定の矩形波
をつくり、これを抵抗９及びコンデンサ２７からなる積
分回路りにおいて積分し、パルス密度すなわちエンジン
回転速度に比例した直流電圧ＶＤをつくる。

抵抗１２ 、１３、ヒステリシス調整抵抗１４、ダイオ
ード３２、リップル除去用コンデンサ２８及び演算増幅
器３８で構成される比較増幅回路Ｆにかいて、演算増幅
器３８の一入力端子に前述の直流電圧ＶＤが加えられ、
十入力端子に抵抗１０と可変抵抗１１とからなる基準電
圧発生回路Ｅの電圧ｖＥがダイオード３２、抵抗１３を
介して加えられる。

電圧ＶＤが電圧ｖＥよりも低くなったとき、演算増幅器
３８の出力電圧（電源に近い値）が発生し、コンデンサ
２９，３０、抵抗１５〜１９、ダイオード３３及び演算
増幅器３９からなる単安定マルチバイブレータ回路Ｇに
トリガパルスが加えられ、ｋ点に出力電圧■えが一定の
期間だけ発生する。

単安定マルチバイブレータ回路ＧＵ前述した単安定マル
チバイブレータ回路Ｃと同様の構成であり、出力電圧■
Ｋ（Ｉ′ｉｇ点の電圧ＶＧよりも高くなり、その分だけ
抵抗１９を経てコンデンサ３０の充電電圧を高める。

しかし、トリガパルス終了後、コンデンサ３０がダイオ
ード３３、抵抗２０を経てもとの電位１で放電し、トラ
ンジスタ４０を導通し、電磁アクチュエータの電磁コイ
ル４１を励磁し、燃料制御杆を燃料増方向に移動させる
。

電磁アクチュエータの作動期間はコンデンサ３０の容量
により決筐る。

ダイオード３４は電磁コイル４１の励磁・消磁時生じる
サージ電流を吸収する。

正導線４２と負導線４３とはツェナーダイオード３５と
抵抗２１とからなる定電圧回路を介して電源に接続され
る。

第４図は第３図に示す回路のｄ、ｆ、に点訃よび演算増
幅器３８の十入力端子の電圧変化を示す。

エンジンの中・高速回転速度では、積分回路りからの出
力電圧ＶＤは基準電圧発生回路Ｅの基準電圧ｖＥよりも
高く、演算増幅器３８の出力電圧ｖＦは零であり、マル
チバイブレータ回路Ｇの出力電圧ｖＫ（Ｉｉ零である。

エンジンを高速から急速に減速すると、電圧ｖＤが電圧
■Ｅよりも小さくなり、この時演算増幅器３８の出力電
圧■、が発生し、抵抗１４を介して演算増幅器３８の十
入力端子に加えられ、出力電圧ＶＦを持続する。

この出力電圧ｖＦは基準電圧■。

を高めたのと同じように作用し、再びエンジン回転速度
が増大し、電圧■。

が基準電圧■Ｅに達しても出力電圧ｖＦは発生した１１
であり、電圧ＶＤが十入力端子電圧■＋よりも高くなら
なければ出力電圧ｖＦは零とならない。

電圧ＶＦが発生すると、演算増幅器３９の十入力端子に
はパルスが入り、出力電圧ｖＫはコンデンサ３０を飽和
し、パルスの終了後演算増幅器３９の出力電圧が零とな
ると同時に、コンデンサ３０がダイオード３３を経て放
電し、トランジスタ４０を導通させ、電磁アクチュエー
タの電磁コイル４１を励磁する。

このようにして電磁アクチュエータが作動し、燃料制御
杆を燃料増方向に一時的に作動させると、エンジン回転
数は再び上昇することとなる。

しかし、この場合に基準電圧ＶＥＨＶｐに増大しており
、このときの回転速度に相当する電圧■。

が一時的に増大しても、その値がｖＦより増大しなけれ
ば演算増幅器３８の出力は零とならない。

本考案は以上説明したように、エンジンの回転速度に反
比例的に波長が変化する交流電圧として回転速度を検出
し、この検出電圧を飽和増幅回路において一定の電圧値
を有するパルスに変換したうえ、単安定マルチバイブレ
ータ回路において一定の電圧で一定のパルス幅のパルス
に変換し、これを積分して回転速度に比例的に電圧値が
変化する出力電圧を作り、この電圧と基準電圧とを比較
演算増幅器に加えて、回転速度に相当する出力電圧が基
準電圧値よりも小さくなったときに、コンデンサを介し
て第２のマルチバイブレータ回路に加えて、一定の期間
だけ電磁アクチュエータを作動させるようにしたもので
あるから、エンジンを高速回転から急速に減速操作した
ような場合であっても、アイドル回転速度よりも高い回
転位置において燃料制御杆を一時的に一定の期間だけ燃
料増方向に駆動するものであるから、調速機の応答遅れ
によって燃料制御杆が極端に燃料減方向に行きすぎるの
を抑え、エンジンストールを防止する。

この電磁アクチュエータの作動はアイドル回転速度より
も高い速度位置で行われるものであるから、エンジンの
回転速度が極端に低下することがなく直ちに静定する。

そして前記比較増幅器の出力電圧は十入力端子側にフィ
ードバックされ、一時的に基準電圧値を高めるように作
用するから、燃料噴射量の増大によってエンジン回転速
度が再び基準回転速度に捷で高くなっても、電磁アクチ
ュエータが再び作動して燃料噴射量を増加させるという
ような恐れはなく、エンジン回転速度は直ちにアイドル
回転速度に静定する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のエンジンストール防止装置ｖｃｋけるラ
ック位置と回転速度との関係を示す説明図、第２図は本
考案に係るエンジンストール防止装置のブロック線図、
第３図は同装置の具体的な電気回路図、第４図は同回路
にむける電圧変化を示す線図である。 Ａ：エンジン回転速度検出器、Ｂ：飽和増幅回路、Ｃ：
単安定マルチバイブレータ回路、Ｄ：積分回路、Ｆ：比
較増幅回路、Ｇ：単安定マルチバイフレータ、３６〜３
９：演算増幅器、４１：電磁コイル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. エンジン回転速度に比例した直流電圧発生回路と、該直
   流電圧発生回路の出力電圧とアイドル回転速度よりも僅
   かに高い回転速度に相当する設定電圧とを比較増幅する
   比較増幅回路と、該比較増幅回路の出力を入力とする単
   安定マルチバイブレータ回路と該マルチバイブレータ回
   路の出力により燃料噴射ポンプの燃料制御杆を一定期間
   だけ燃料増方向に駆動する電磁アクチュエータとがらな
   り、前記比較増幅回路にはこの出力により前記設定電圧
   を高めるフィードバック回路を備えたことを特徴とする
   ディーゼルエンジンのストール防止装置。