JPS5827147B2 - 隙間調整器付停留ブレ−キ作動機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は通常の液体圧ブレーキ作動機に付加して使用
される隙間調整器付停留ブレーキ作動機に関するもので
ある。

鉄道車両用のブレーキ装置として、流体圧力によってブ
レーキシューを車輪踏面に押圧し、その流体圧力がなく
なったとき、弛めばねによってブレーキシューを踏面か
ら引き離す型式の液体圧ブレーキ作動機が多用されてい
る。

しかしこの種の作動機にはブレーキシューと踏面との間
の隙間を調整する機能を具備しない機種があり、この場
合、簡単な構造の隙間調整器の追設が要望される。

また、この要望とは別に、長時間に亘る停留ブレーキを
作用させるために、ばねの力による停留ブレーキ作動機
の追設が要望されることが多い。

しかし、これらの隙間調整器や停留ブレーキ作動機を夫
々単独に設置することは、機能上重複する部分が生じ、
且つ大きな取付用スペースを必要とすることになるため
不利である。

本発明は上述の事情のもとになされたもので、上記の両
機構を一つの機器にまとめることにより、構成部品の重
複を避け、その結果、単独設置の場合に較べて取付スペ
ースを小さくしたところに特徴がある。

以下図面について説明する。

第２図に示す流体圧ブレーキ作動機１５は一般に使用さ
れているもので通常台車の側面に取付けられている。

この作動機１５には弛めばね（図示せず）が内蔵され、
この弛めばねによりブレーキシュー１４を車輪１６の踏
面から引き離し、圧力流体が供給されたとき、ブレーキ
シュー１４を踏面に押圧する型式のもので、この場合、
ブレーキシュー１４と踏面との間の隙間を調整するため
の調整機構は具備されていないものとする。

ブレーキシュー１４は吊金具１２によって支持され、吊
金具１２の上端は台車にピン止めされ、下端には本発明
による隙間調整器付停留ブレーキ作動機１が接続されて
いる。

第１図に示すように、作動機１の本体は異った内径を持
つ多数の部分から戒る円筒体２で構成され、作動機１５
（第１図）と同様台車に固定されている。

円筒体２の中心線上に作動軸３が設置され、その左端は
吊金具１２の下端にピン止めされ、回転しないようにな
っている。

作動軸３の外周には雄ねじ４が形成され、ナツトクラッ
チ５の雌ねじに嵌合している。

このねじは雄ねじに推力が作用したとき雌ねじが回転す
る型式のリードの長い可逆動型のねじである。

ナツトクラッチ５は円筒体２のクラッチ部５ａの内部に
あり、その外周側面に環状のクラッチ面６が形成されて
いる。

ナツトクラッチ５の右側にクラッチ座８が設置され、そ
の外周側面にクラッチ面６と摩擦接触するクラッチ面７
が形成されている。

クラッチ座８はクラッチ部５ａの内径に滑入され、左右
には移動するが、キー９により回転は阻止されている。

円筒体２のピストン部１１ａには３個のピストン１７が
配設され、各ピストンは一体に形成された中空状のバブ
１８によってタンデム状に接している。

各ピストン１７の左側には圧力室１９、右側には大気室
２０が形成され存各室１９は管２８及び通路２９を経て
圧力流体が給排され、各室２０は排出孔３０を経て大気
に連通している。

円筒体２の右端のばね部２２には複数の皿型のブレーキ
ばね２１がばね受２３と円筒体２の右端壁との間に配設
されている。

円筒体２の左端の軸受部２６には一対の推力軸受２５が
あり、その中間に抵抗ばね２４と停止板２７が自由に回
転し得る状態で設置されている。

停止板２７の右側面とナツトクラッチ５の左端面との間
には後述するように隙間ｒＡＪが形成されている。

次にこの作動機１の作用について説明する。

流体圧ブレーキも停留ブレーキも共に弛められていると
仮定する。

この場合、各ピストン１７は圧力室１９の圧力により図
示の通り最右端位置にあり、ばね受２３を介して、ブレ
ーキばね２１を圧縮してその伸張力を封殺し、且つピス
トン１７に形成されたバブ１８の左端によってクラッチ
座８の最右端位置が限定されている。

また、作動軸３は作動機１５に内蔵されている弛めばね
により、図示の通り最右端にあり、クラッチ面６と７と
は接触し、ナツトクラッチ５の左端面と停止板２７の右
端面との間には隙間「Ａ」が形成されている。

次に流体圧ブレーキが作用すると、作動機１５により吊
金具１２を介して、作動軸３は左方へ引き出される。

この時、ナツトクラッチ５は寸法「Ａ」だけ左動し、そ
の左側面は停止板２７に接し、クラッチ面６はクラッチ
面７から引き離なされてナツトクラッチ５は回転可能状
態になる。

従ってその後の作動軸３の左動に対する抵抗は全くなく
、流体圧ブレーキ力が減殺されることはない。

また、流体圧ブレーキの作用中、ブレーキシュー１４が
摩耗すると、その摩耗に応じて作動軸３は左動する。

次に流体圧ブレーキが弛められると、弛めばねにより作
動軸３はナツトクラッチ５と共に右動するが、寸法ｒＡ
Ｊだけ移動したとき、クラッチ面６と７とが接触し、ナ
ツトクラッチ５は回転不能になるから、作動軸３は「Ａ
」寸法以上には右動出来ない。

このようにして、流体圧ブレーキが弛められたときには
、ブレーキシュー１４と車輪踏面との間の隙間は常に寸
法ｒＡＪによって限定された値に保持される。

次に第１図に示す位置から停留ブレーキを作用させるた
めに圧力室１９の圧力流体を排出すると、ブレーキばね
２１の力はばね受２３、ピストン１７、クラッチ座８、
ナツトクラッチ５を介して作動軸３に伝達され、作動軸
３は左動して停留ブレーキが作用する。

また、流体圧ブレーキが作用している時、即ち、クラッ
チ面６と７とが寸法「Ａ」だけ離れているとき、停留ブ
レーキを作用させると、ピストン１７及びクラッチ座８
がその寸法だけ右動した後にクラッチ面６と７とが接触
し、その後はナツトクラッチ５を介して作動軸３にブレ
ーキばね２１の力が伝達される。

尚、停留ブレーキ作用時に、ブレーキシュー１４が踏面
に接触する以前にナツトクラッチ５の左端面が停止板２
７の右側面に当接した場合には、抵抗ばね２４が撓んで
作動軸３の充分な左動を許容するようになっている。

上述したように、作動軸３は隙間調整用と停留ブレーキ
用とに共用されているから、両様器を夫夫単独に設置す
る場合に比して部品の重複がなく有利である。

また、本発明の作動機１には次に述べるように付加利点
がある。

ピストン１７を複数個のタンデム型にすることにより、
円筒体２の外径が小さくなる。

前述したようにこの作動機１は台車の側面に取付けられ
るため、外径が大きくなると車両限界を越える惧れがあ
るが、この点に関し外径の小さい作動機１は有利である
。

また、作動軸３はブレーキシュー１４の摩耗に追随して
、その位置が左方に移動するため、第１図に示すように
、ナツトクラッチ５の右端を超えて更に右方に延在して
いる。

本発明の作動機１に於ては、タンデム型ピストン１７の
バブ１８を中空状にし、その中空部に上述の作動軸３の
延在部を収納しているから、円筒体２の全長を短縮する
ことに役立っている。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の隙間調整器付停留ブレーキ作動機の一
実施例を示す断面図、第２図は車両への取付状況を示す
説明図である。 １・・・・・・隙間調整器付停留ブレーキ作動機、２・
・・・・・円筒体、３・・・・・・作動軸、４・・・・
・・ねじ、５・・・・・・ナツトクラッチ、６，７・・
・・・・クラッチ面、８・・・・・・クラッチ座、１１
・・・・・・中空部、１４・・・・・・ブレーキシュー
１５・・・・・・流体圧ブレーキ作動機、１６・・・・
・・車輪、１７・・・・・・ピストン、２１・・・・・
・ブレーキばね、２７・・・・・・停止板。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 流体圧力によってブレーキシュー１４を作用方向に
   押圧し、弛めばねによってそのブレーキシューを弛め方
   向に引き戻す型式の流体圧ブレーキ作動機１５に併設さ
   れ、次の各部から成る隙間調整器付停留ブレーキ作動機
   １ ａ）外周に可逆動型のねじ４を有し、上記流体圧ブレー
   キ作動機に接続されて上記作用方向または弛め方向に移
   動せしめられる非回転型の作動軸３ ｂ）非回転状態に設置されたクラッチ座８Ｃ）上記クラ
   ッチ座に対向して、回転可能状に設置された停止板２７ ｄ）上記作動軸の上記ねじに螺合し、上記クラッチ座と
   上記停止板との間に一定の隙間Ａを置いて設置され、上
   記作動軸の上記作用方向への移動時には上記停止板に接
   して共に回転し、その作動軸の上記作用方向への移動を
   制限することなく許容し、上記作動軸の上記弛め方向へ
   の移動時には上記クラッチ座とのクラック接触により非
   回転状態となりその移動量が上記隙間以上に増大するこ
   とを阻止するナツトクラッチ５ｅ）停留ブレーキ用の動
   力源として設置されたブレーキばね２１及び ｆ）流体圧力を受けて上記弛め方向に移動し、上記ブレ
   ーキばね２１の伸張力を封殺し、その流体圧力が排出さ
   れたとき、上記ブレーキばねの伸張力を上記クラッチ座
   及び上記ナツトクラッチを介して上記作動軸に伝達し、
   上記作動軸を上記作用方向に移動させて停留ブレーキを
   適用するピストン１７゜