JPS5821341Y2 - 内燃機関 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は磁石発電機や同期発電機等の発電機をクランク
軸に取付けてなる内燃機関に関し、特にチェーンソーや
刈り払い機、芝刈り機等の電源として使用する発動発電
機は用いる小型の内燃機関に適用するのに好適なもので
ある。

電動式のチェーンソーや刈り払い機等の電源として使用
する電動発電機に用いる小型の内燃機関としては２サイ
クル機関が多く用いられているが、この種の内燃機関で
は、機関により駆動する発電機の回転子を機関のクラン
ク軸に直接またはカンプリングを介して取付けている。

周知のように発電機は回転子と固定子とを対向させたも
のであるが、この発電機を駆動するために必要な人力ト
ルクは回転子の磁極が固定子の磁極付近を通過する際に
最大になり、回転子磁極が固定子の極間付近を通過する
際に最小になる。

一方機関の出力トルクもそのクランク軸の回転角によっ
て変動し、２サイクル機関においては圧縮行程において
ピ２）ンが上死点に達する前の一定の角度で負の最大に
なり、爆発行程においてピストンが上死点を越えた一定
の角度で正の最大になる。

ところが従来の内燃機関では、発電機を取付けるに当り
発電機側の必要人力トルクと機関の出力トルクとの関係
を何ら考慮しておらず、発電機の出力トルクが負になっ
ている角度で発電機側が大きな入力トルクを必要とする
ような位置関係で発電機が取けゆられることがしばしば
あった。

このような位置関係で発電機が取付けられた場合には、
機関の出力トルクが負になる角度で機関の回転が落ち込
み、機関の出力トルクが最大になる角度で回転が上昇す
る傾向が助長されるため機関の回転むらが大きくなり、
機関の出力トルクの変動も大きくなる欠点があった。

そのため機関の回転速度を一定に保つガバナーを取付け
ることが行なわれているが、ガバナーを設けると機関の
見かけの出力が低下し、発電機から十分な出力を取出す
ことができなくなる欠点があった。

本考案の目的は、上記の欠点を解消した発電機付きの内
燃機関を提供することにある。

以下図示の実施例により本考案を詳細に説明する。

第１図Ａは２サイクル内燃機関の出力トルクτｅのクラ
ンク軸の回転角θに対する特性の一例を示したもので同
図の横軸より上側の範囲は外部の負荷に対して仕事をす
る正のトルクを示し、横軸より下側の範囲は機関自体が
逆に負荷となる負のトルクを示している。

またＴＤＣはピストンの上死点を示し、 ＢＤＣは下死
点を示している。

同図から明らかなように、機関の出力トルクは、爆発行
程においてピストンが上死点を過ぎた後角度θｌ （１
２００〜３００付近）で正の最大となり、その後次第に
減小して下死点に達する前に零になる。

その正のトルクが発生している間機関は外部の負荷に対
して仕事をする。

ピストンが下死点を過ぎ、圧縮行程に入るとトルクは負
になり圧縮行程の終期の上死点前一定角度θ２でトルク
は負の最大になる。

点火はこの出力トルクが負の最大になる位置より僅かに
前の位置で行なわれ、点火が行なわれると負のトルクの
絶対値が減少して行き、ピストンが上死点を過ぎるとト
ルクが正に立上る。

一方例えば第２図に示すようにクランク軸Ｋに取付けら
れた永久磁石１に磁極片２，２′を取付けてなる２極の
磁石回転子３と鉄心４，４′に発電コイル５，５を巻回
してなる固定子６とからなる磁石発電機においては、磁
石回転子３が一回転すると鉄心４を流れる磁束ψに第１
図Ｂの破線で示したように１サイクルの変化が生じ、無
負荷時には第１図Ｂに鎖線で示したように発電コイル５
に無負荷電圧Ｅｏが誘起する。

発電機の軽負荷時において発電コイル５に誘起する電圧
は無負荷電圧ＥＯと大差がないが、定格負荷時或いは過
負荷時において誘起する電圧Ｅ Ｏ／は無負荷電圧ＥＯ
より位相が遅れ、第１図Ｂに実線で示したようになる。

このとき発電機に必要とされる入力トルクτ、を回転子
の回転角θ′に対して示すと第１図Ｃに示すようになり
、発電機の必要人力トルクτ２は負荷時の電圧波形の略
２倍の周波数で変動する。

ここで機関の出力トルクτｅが負になっている範囲で発
電機が大きな入力トルクを必要とする関係にあると前述
、のように機関の回転むらが助長されることになる。

そこで本考案においては、図示のように発電機の負荷時
における必要人力トルクτｇが最小になる回転子の回転
角θ２′を機関の出力トルクτ８が負の最大になるクラ
ンク軸の回転角θ２に略一致させるように発電機の回転
子と固定子との間の位置関係を設定する。

第２図は上記の関係を満足する磁石回転子と固定子との
間の位置関係の一例を示したもので、同図においてτ。

′は第１図Ａの出力トルクτｅをクランク軸と同心的な
円Ｃを基準線として円グラフで示したものである。

尚第２図に示した例においては、磁石回転子の中心線Ａ
がクランクビンＰの位置を通るように設定しであるが、
ここで磁石回転子の中心線Ａの位置をクランクビンＰの
位置よりもずらした場合にはそのずれに応じて固定子の
位置もずれることになる。

上記のように設定すると、発電機の軽負荷時においては
出力電圧の位相が進み、機関の出力トルクが負の最大に
なる角度と発電機の必要人力トルクが最小になる角度と
の間にずれが生じるが、発電機が軽負荷の場合にはその
必要人力トルクも小さいので、これにより機関の回転む
らが大きくなることは殆んどない。

これに対し発電機の定格負荷時及び過負荷時にはその必
要人力トルクが大きくなるが、この場合は発電機の必要
人力トルクが最小になる位置が機関の出力トルクが負の
最大になる位置に略一致するので、機関の出力トルクが
負になっている間に機関に大きな負担がかかることがな
く、したがって機関の回転むら及びトルクむらが大きく
なるのを防止することができる。

上記の説明では磁石発電機を磁石回転子内転型としたが
、フライホイール磁石回転子のように外転型の磁石回転
子を用いる場合にも本考案を適用できる。

上記の磁石発電機は発動発電機としてチェーンソーや芝
刈り機等の負荷を駆動する用途の外、例えば内燃機関用
点火装置の電源として用いることもできる。

この場合点火装置としては、例えば点火コイルの１次側
に磁石発電機により一方の極性に充電されるコンデンサ
と、このコンデンサの電荷を点火時期に点火コイルの１
次コイルに放電させるサイリスタとを設けたコンデンサ
充放電式の点火装置が好適である。

またパンテリが設けられる場合には、上記磁石発電機を
バッテリの充電電源として、このパンテリの出力を断続
器等の制御スイツチを介して点火コイルの１次コイルに
印加する公知の電流遮断型の点火装置を構成してもよい
。

上記の実施例では機関に取付ける発電機を磁石発電機と
したが、他の２極の発電機、例えば、第３図に示すよう
に２極の回転子鉄心７に界磁巻線８を巻回してこの界磁
巻線の両端にダイオード９を並列接続した回転子１０と
、出力巻線１１と両端にコンデンサ１２が接続されたコ
ンデンサ励磁巻線１３とを同一の２極の固定子鉄心に巻
回してなる固定子１４とからなるコンデンサ励磁型の同
期発電機であってもよい。

以上のように、本考案によれば、機関の出力トルクが負
の最大になるクランク軸の回転角と発電機の負荷時にお
ける必要人力トルクが最小になる回転子の回転角とを略
一致させるように回転子と固定子との間の相対的な位置
関係を設定するので、機関の出力トルクが負になってい
る間に機関に大きな負荷が加わることがなく、したがっ
て機関の回転むら及びトルクむらが大きくなるのを防止
することができる利点がある。

【図面の簡単な説明】 第１図Ａは機関の出力トルクの変化を示す線図、同図Ｂ
は磁石発電機の磁束及び出力電圧の波形図、同図Ｃは磁
石発電機の必要人力トルクの変化を示す線図、第２図は
磁石発電機の回転子と固定子との間の位置関係の一例を
機関の出力トルクの円グラフとともに示した説明図、第
３図は本考案で用いることのできる同期発電機の一例を
示す構成図である。 １・・・・・・永久磁石、３・・・・・・磁石回転子、
５・・・・・・回転子鉄心、６・・・・・・固定子、７
・・・・・・回転子鉄心、８・・・・・・界磁巻線、９
・・・・・・ダイオード、１１・・・・・・出力巻線、
１２・・・・・・コンデンサ、１３・・・・・・コンデ
ンサ励磁巻線、Ｋ・・・・・・クランク軸、τｅ・・・
・・・機関の出力トル久 τｇ・・・・・・発電機の必
要人力トルクθ・・・・・・クランク軸の回転角。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クランク軸に２極の発電機の回転子を取付けてなる２サ
   イクル内燃機関において、前記発電機の負荷時における
   必要人力トルクが最小になる回転子の回転角と機関の出
   力トルクが負の最大になるクランク軸の回転角とが略一
   致するようろ前記発電機の回転子と固定子との間の相対
   的位置関係が設定されていることを特徴とする内燃機関
   。