JPS5817128Y2 - クラツチレリ−ズフオ−ク - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、主として自動車用の摩擦クラッチに用いられ
、クラッチペダルの操作によって連動するクラッチレリ
ーズフォークに関するものである。

一般によく知られているようにクラッチレリーズフォー
クは、クラッチペダルの踏み込みに伴い、クラッチハウ
ジング側のフォークボールを支点として作動する。

そして、この支点部には非常に高い荷重が作用する。

このため、クラッチレリーズフォークとフォークボール
との間には摩耗が生じ易い。

ところが、フォークボールは耐摩耗性の素材を用いるこ
とが容易であるのに対し、クラッチレリーズフォークに
ついては製作歪みを避ける意味からも鋳鉄製のものが用
いられている。

従って前記支点部の摩耗は、実際にはクラッチレリーズ
フォークの方に生じるのである。

この支点部に摩耗が生じると、その部分の摺動抵抗が増
大し、クラッチペダルの操作フィーリングが悪くなる。

また、支点部の摩耗はクラッチレリーズフォークの耐久
性のうえからも好ましくない。

本考案の目的は、支点部の潤滑機能を長期間にわたって
充分に発揮させることができ、かつ製作の簡単なりラッ
チレリーズフォークを提供することである。

すなわち、本考案の構成は鋳鉄製のフォーク本体におけ
る支点部に嵌合孔を形成し、この嵌合孔に対して含油焼
結合金製のシートを、相互の固定関係と心出し精度とを
損わない範囲でスキマバメによって嵌合したことを特徴
とするものである。

以下、本考案の構成を図面で示す実施例に従って詳細に
説明する。

まず、鋳鉄製のフォーク本体１における支点部１′は、
クラッチハウジングの一部２に取り付けたフォークボー
ル３によって支持されている。

フォーク本体１の一方端（第１図の上方端）は二叉状に
形成されていて、クラッチレリーズベアリング４のベア
リングハブ５にクリップ６で結合されている。

フォーク本体１の他方端（第１図の下方端）はブツシュ
ロッド７を通じて図示されていないクラッチレリーズシ
リンダのピストンの動きを受けるようになっている。

さて、フォーク本体１の支点部１′には第２図からも明
らかなように嵌合孔１ａが形成されている。

この嵌合孔１ａは、実際にはドリル等によって形成され
た丸孔であって、孔の底部はテーパ内周面１ａ’となっ
ている。

そして嵌合孔１ａには含油焼結合金製のシート８がスキ
マバメによって嵌め込まれている。

このスキマバメにおける最大隙間は、シート８に含浸さ
せている油の粘性で、シート８をフォーク本体１の嵌合
孔１ａに固定保持し得る範囲に設定されている。

また、シート８には、第２図からも明らかなように前記
嵌合孔１ａのテーパ内周面１ａ’と対応するテーパ外周
面８ｂか゛形成されている。

このテーパ外周面８ｂは、シート８を嵌合孔１ａに対し
てスキマバメによって嵌め込んだときに、嵌合孔１ａの
テーパ内周面１ａ’と接して嵌合孔１ａに対するシート
８の心出し作用をなすものである。

さらに、シート８におけるテーパ外周面８ｂの反対側（
第１図、第２図の右側）には先に述べたフォークボール
３の先端に対し、球面接触によって受けられる凹状の摩
擦摺動面８ａが形成されている。

つまり、フォーク本体１は含油焼結合金製のシート８を
介して前述した如くフォークボール３に支持されている
のである。

このような構成によればフォーク本体１の支点部１′と
、フォークボール３先端との間は、シート８に含浸させ
た油によって潤滑が保たれる。

従って、これら相互の間の摩擦損失が低く保たれ、クラ
ッチペダル（図示しない）の踏み込み操作に伴うフォー
ク本体１の動作が円滑となる。

なお、フォーク本体１とクラッチレリーズシリンダのブ
ツシュロッド７との球面接触部分に含油焼結合金製のシ
ートを用いて相互の潤滑油を図れば、さらに都合が良い
ことは勿論である。

また、フォーク本体１の嵌合孔１ａに対するシート８の
嵌め込みをスキマバメとしたのは、この嵌め込みに際し
て嵌合孔１ａとシート８との間の空所９にある空気が圧
縮されるのを防ぐためである。

つまり、シマリバメ等の手段によれば空所９の空気が圧
縮されたままとなる。

この結果は、圧縮空気が時間の経過につれてシート８の
含油を外部へにじみ出させる。

そうなると、シート８によるせっかくの潤滑機能が短期
間で、その効果を失うこととなる。

そこで、前記空所９の空気が圧縮されるのを未然に防ぐ
ための代案としては、例えばフォーク本体１に図示の左
側から空所９に通じる孔をあけることが考えられる。

しかし、この手段では非常に高い荷重を受けるフォーク
本体１の強度が低下するので好ましくない。

また、シート８の外周にスノットを形成した空所９の空
気を逃がすことも考えられる。

ところが、このシート８の外周面は嵌合孔１ａの内周面
と共に所定の寸法精度を要するので、シート８の外周に
スリットがあると上記の精度を出すための加工が困難と
なり、これも良策とは言えない。

本考案は以上の説明からも明らかなようにフォーク本体
１の支点部１′に含油焼結合金製のシート８を用いたこ
とにより、鋳鉄製のフォーク本体の長所を生かしたまま
で、支点部１′の潤滑性を高め、この部分の摩耗による
摺動抵抗の増加を防止してクラッチペダルの経時的な踏
力変化を少くするとともにフォークの耐久性を高めるこ
とができる。

特に本考案はフォーク本体１の嵌合孔１ａに対するシー
ト８の固定保持ならびに心出し作用を確保して、このシ
ート８をフォーク本体１に対してスキマバメとしたので
、フォーク本体１の強度やシート８の加工性を損うこと
なく、シート８に含浸させた油が圧縮空気の作用でにじ
み出るのを防止することができる。

これにより、フォーク本体１の支点部１′の潤滑性を長
期間にわたって維持させることができる。

また、シート８をフォーク本体１の嵌合孔１ａに対して
スキマバメとしたことは、シート８の外周面並びに嵌合
孔１ａの内周面の仕上げ精度をシマリバメの場合よりも
ラフにでき、もってシート８の組付は工程を簡略化する
ことかで゛きる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図はクラッチレリー
ズフォークの一部を破断した平面図、第２図はフォーク
の支点部を拡大して表した断面図である。 １・・・・・・フォーク本体、１′・・・・・・支点部
、１ａ・・・・・・嵌合孔、１ａ′・・・・・・テーパ
内周面、３・・・・・・フォークボール、８・・・・・
・シート、８ａ・・・・・・摩擦摺動面、８ｂ・・・・
・・テーパ外周面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 鋳鉄製のフォーク本体における支点部に嵌合孔を形成し
   、この嵌合孔に含油焼結合金製のシートをスキマバメに
   よって嵌め込み、このシートには前記嵌合孔の底部にあ
   らかじめ形成されているテーパ内周面と接して心出し作
   用をなすテーパ外周面を形成するとともに、同じくシー
   トにおけるテーパ外周面の反対側にはフォークボールの
   先端と球面接触をする摩擦摺動面を形成し、さらにフォ
   ーク本体の嵌合孔に対するシートのスキマバメの最大隙
   間はシートに含浸させた油の粘性で、このシートをフォ
   ーク本体に対して固定保持させ得る範囲に設定したこと
   を特徴とするクラッチレリーズフォーク。