JPS581671Y2 - 揺動式コンプレッサ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は揺動式コンプレッサの構造、特にその揺動板の
揺動中心を定める部分の潤滑に関する。

この種のコンプレッサに卦いては、主軸に与えられる回
転運動をピストンの往復運動に変換するためのロータや
揺動板等を収容したクラク室内に潤滑油をも収容し、そ
の潤滑油によって主軸のメインベアリング部、シャフト
シール部、揺動板の揺動中心を定める機構、およびその
他各種の摺動部分を潤滑するようになっている。

ところで従来、主軸のメインベアリング部やシャフトシ
ール部を潤滑するためには、クランク室の内周壁面にオ
イルディフレクタを設け、ロータによりかき上げられて
クランク室の内周壁面に沿って流動する潤滑油をそのオ
イルディフレクタにて集め、かつ主軸を挿通せしめた壁
部に向けて導き、さらにその壁部に設けたオイル通路を
通してメインベアリング部やシャフトシール部に潤滑油
を供給する構造が用いられている。

しかし揺動板の揺動中心を定めるセンターボールジヨイ
ント部の潤滑は潤滑油を跳ねかげる方式で行なっている
ため、高速運転時にはその潤滑が不十分であり、焼付き
等の事故が発生する危険性がある。

したがって本考案の目的は、揺動板の揺動中心を定める
センターボールジヨイント部の潤滑を確実にした揺動式
コンプレッサを提供することにある。

以下図面を参照しながら、本発明につき実施例を用いて
説明する。

先ず第１図および第２図を参照して、円筒状のケーシン
グ１０は一端に嵌合固定されたシリンダブロック１１と
他端に固定されたフロントハウジング１２との間に、潤
滑油の貯留室を兼ねたクランク室１３を形成している。

このクランク室１３内に配置されたロータ１４は、フロ
ントハウジング１２の中央部に軸受１５を介して回転自
在な状態で挿通された主軸１６に固定され、かつフロン
トハウジング１２にスラストニードルベアリング１７を
介して対向している。

クランク室１３内にはまた、ロータ１４の傾斜面１４
ａにスラストニードルベアリング１８を介して対向した
揺動板１９が配置されており、との揺動板１９はボール
ソケット２０の先端に、回転自在なボール２１を介して
揺動自在に受けられている。

ボールソケット２０はシリンダブロック１１の中央孔２
２に嵌合されたもので、軸方向では可動であるが回転は
阻止されており、穴２０ａに嵌合されたばね２３によっ
て揺動板１９に向けて付勢されている。

このときのばね２３の付勢力は、中央孔２２にねじ込ま
れたねじ体２４を回すことによって調整され得る。

ボールソケット２０はまた先端に傘歯車２０ｂを有して
あ・す、この傘歯車２０ｂが揺動板１９に設けた傘歯車
２５に噛合うことにより、揺動板１９の回転を阻止して
いる。

さらにシリンダブロック１１には複数のシリンダ２６が
形成されており、それらのシリンダ２６の夫々にはピス
トン２７が摺動自在に夫々挿入されている。

そしてこれらのピストン２７をロッド２８にて揺動板１
９の周辺近傍部分に連結しである。

なおロッド２８と揺動板１９との結合、訟よびロッド２
８とピストン２７との結合は、いずれも球関節継手にて
行わせである。

またシリンダブロック１１の一端にはガスケットおよび
弁板アセンブリ２９を介してシリンダヘッド３０が重ね
合わされ、かつボルト３１によってそこに固定されてい
る。

シリンダヘッド３０は、外周辺近傍部分に吸入室３２を
、中央部に吐出室３３を有している。

弁板アセンブリ２９は、シリンダ２６の夫々を吸入室３
２に連通させる吸入口とシリンダ２６の夫々を吐出室３
３に連通させる吐出口とを有する弁板、吸入口のシリン
ダ２６側に設けた可撓性の吸入弁、および吐出口の吐出
室３３側に設けた可撓性の吐出弁を、固定ボルト３４に
て一体に固定したものである。

な釦３５は吐出弁の過度な撓みを防止する弁押えであっ
て、これも固定ボルト３４にて弁板アセンブリ２９に一
体に固定されている。

主軸１５のクランク室１３の外部に突出した端部は、ク
ランク室１３の外部に設けたプーリ３６に対し、コイル
３１等を含む電磁クラッチ手段を介して接続されている
。

そして例えばカークーラー用コンプレッサとして用いる
ときには、自動車のエンジンの回転出力を■−ベルト等
を介してプーリ３６に伝達するようになす。

プーリ３６の回転にしたがって主軸１５を回転させるか
否かはコイル３７への通電の有無によって選択される。

上述した構造において、主軸１６を回転させると、クラ
ンク室１３内でロータ１４が回転し、このロータ１４の
傾斜面１４ａに従って揺動板１９がボール２１を中心と
して、回転することなく揺動するため、それに基いて複
数のピストン２７がシリンダ２６内で時差をもって往復
摺動し、その結果として吸入室３２の流体をシリンダ２
６内に吸込みかつ吐出室３３に排出する。

実際には、シリンダヘッド３０に設けた吸入ポートと吐
出ポートとの間に冷却回路を接続し、て使用されるため
、この冷却回路中の冷媒が凝縮・蒸発を繰返しつつ循環
することとなる。

またクランク室１３内に貯留された潤滑油はロータ１４
によってかき上げられ、クランク室１３の内周壁面に沿
って流動する。

そこでこのクランク室１３の内周壁面の比較的上部にオ
イルディフレクタ４１を固定し、クランク室１３の内周
壁面に沿って流動する潤滑油を集めるようにしである。

即ち第３図に示したように潤滑油（その流れを矢印で示
した。

）はクランク室１３の内周壁面に沿って流動する際にオ
イルディフレクタ４１に衝突する。

オイルディフレクタ４１の潤滑油が衝突する面４１ａは
、集めた潤滑油の大部分をフロント・・シリンダ１２に
向けて導く一方、残部をシリンダブロック１１に導くよ
うな形状になしである。

具体的にはオイルディフレクタ４１のシリンダブロック
１１側末端に凹部４１ｂを設けである。

このときの潤滑油を分ける割合は面４１ａの頂部４１Ｃ
の位置を設計変更することにより変えることができる。

フロント・・シリンダ１２に向けて導かれた潤滑油は、
フロント・・シリンダ１２に設けたオイル通路（図示せ
ず）を通ってメカニカルシールポケット４２に導かれ、
このメカニカルシールポケット４２部分や軸受１５を潤
滑してクランク室１３内に戻る。

さらにボールソケット２０には、クランク室１３に露出
した周面から、ボール２１を受は入れた球面形凹部にま
で至る貫通孔２０ｃを設け、この貫通孔２０ｃにオイル
案内チューブ４３の一端を嵌入取付げするとともに、他
端をオイルディフレクタ４１の凹部４１ｂに対応させる
。

オイル案内チューブ４３としては、ここでは金属製のも
のを用いるが、温度変化に耐え得る材質であるならは可
撓性を有するものであってもよい。

かくして、凹所４１ｂに導かれた潤滑油をさらに、ボー
ルソケット２０とボール２１との界面にまで導くオイル
通路が構成される。

したがって潤滑油はボール２１にもよく供給され、その
結果、センターボールジヨイント部を潤滑する。

なおボール２１は回転可能なので、運転時の回転により
揺動板１９側との接触部分にも充分に油膜が形成され、
良好な潤滑作用が行われる。

上述ではメカニカルシールポケット４２および軸受１５
の潤滑にもオイルディフレクタ４１を利用しているが、
メカニカルシールポケット４２部分や軸受１５の潤滑に
ついては他の方式にて行うものにあっても本考案を実施
できることはいうまでもない。

以上実施例を用いて説明したように、本考案による揺動
式コンプレッサにおいては、揺動板の揺動中心を定める
センターボールジヨイント部の潤滑が確実になり、高速
運転時に釦いても焼付き等の事故が発生する危険性を減
少できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の縦断面図、第２図はフロン
トハウジング卦よび内部機構の一部を省略して示した斜
視図、第３図は作用説明図である。 １０・・・ケーシング、１１・・・シリンダブロック、
１２・・・フロントハウジング、１３・・・クランク室
、１４・・・ロータ、１６・・・主軸、１９・・・揺動
板、２０・・・ボルルソケット、２１・・・ボール、２
６・・・シリンダ、２７・・・ピストン、２９・・・弁
板アセンブリ、３０・・・シＩＪンダヘッド、４１・・
・オイルディフレクタ、４３・・・オイル案内チューフ
。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 主軸の内端に固着され、一端面を軸心に対して傾斜させ
   た楔形ロータと、該ロータの傾斜面側に配設され、該ロ
   ータの傾斜面にしたがって揺動する揺動板とを収容した
   潤滑油貯留室兼用のクランク室の内周壁面上に、該内周
   壁面に沿って流動させられる潤滑油の一部をフロントハ
   ウジング側へまた他の一部をシリンダ側へ導く２つの斜
   面を有するオイルディフレクタを設け、かつ該オイルデ
   ィフレクタのシリンダー側端部と該揺動板を回動自在に
   係止するボールジヨイント部との間にオイル通路を設け
   たことを特徴とする揺動式コンプレッサ。