JPS5815086B2 - 植物栽培方法及び装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、野菜その他の幼植物の栽培方法及び装置に関
するものである。

従来、野菜などの植物を育てるための苗を育苗する場合
、畑等の苗床に直接播種して育苗するもの、ひらたい育
苗箱に土を入れて育成するもの、小さな育苗鉢に土を入
れて育てるものなどがある。

また育苗箱の中に砂礫を入れて砕料とするものや、砂礫
の代りにスポンジ体を使用するもの、スポンジ体に入れ
た切目に種子を保持させて育てるもの、その他種々の形
式のものが知られているが、こうしたものはいずれも種
子から丈夫な苗を一括して育て、この苗を一本又は数本
づつに分けて本圃に移植し、例えばナス、キュウリ、ト
マト、ピーマン、シュンギク、大根、ゴボウその他の野
菜類、果実類等を育成している。

一方、野菜等の種子を発芽させ、未だ成育過程にある幼
植物（芽物野菜と言われるものもある）を食用にするも
のもある。

こうしたものは、食用に供する幼植物の１つ１つは未だ
小さいから、田畑に作った床に種子を密に播いて早期に
摘取るものや、大きな箱に土を入れて育てるものや、こ
れを水耕式で行なうようなものもあるが、いずれも多量
の種子を一度に播いて育成することになり、このため密
生した幼植物の根がただ雑然とからみ合い、この幼植物
を流通過程を経て消費者に販売するためには、このから
み合った根を切り分けて、運搬し、消費し易い適当な大
きさにしなければならない。

しかしこれらは未だ幼植物で、柔らかく弱いから切り分
ける際に傷付き易く、その結果日持ちも悪くなって商品
価値が低下する。

特に群生しているものの切分け、秤量、包装、出荷等に
著しい手数を要することは周知のとおりである。

本発明は、このような幼植物の栽培に当って、最終的に
消費者が使用し易いような量の幼植物群が一単位となる
ように為し、幼植物を上記単位毎に成育させることがで
きるように区画規制している栽培基部において栽培を行
う。

この栽培基部には底壁区帯とそこから立上る側壁区帯が
備わっており、この底壁区帯には底面が形成されてあり
、この底面は播かれる種子を保持し、かつ成長した植物
体が流通過程を通じて消費者に使用される際において好
適な大きさと為すことができるだけの種子を受入れられ
るような広さを持ち、成育した植物体を支持する基盤と
なっている。

また上記側壁区帯には壁面を有し、この壁面は成長する
根が隣接する栽培基部にまで伸長して行くことを防ぐ高
さを持つと共に、伸長する茎が倒れないよう支持する役
目をも兼ねている。

そして、上記両区帯の壁面は互いに協同して上記栽培基
部内で成長する根の伸長方向を該基部内に規制し、これ
によって根を互いにからみ合わせるようにし、上記栽培
基部内で育ち群生する幼植物自身によって該基部で規制
された上記分量のものを一つのまとまったものに、幾つ
かある各栽培基部で同時的に育て上げ、このものをその
まま出荷、消費の際の単位として取扱うことができるよ
うにするものである。

以下実施例について、貝割れ大根を栽培する場合を例に
とって述べる。

装置本体１は発泡スチロール樹脂その他のプラスチック
スや金属などの水の通らない材料で作られ、栽培基部２
が複数個形成されている。

右栽培基部には底壁区帯を為す底壁２０があり、そこか
ら立上る側壁区帯を為す側壁２１の面が備わっている。

上記栽培基部に、貝割れ大根の種子を一日位水に浸漬し
て充分に吸水させたものを、例えば刺身のつま、その他
−股肉には約５０〜８０粒程度を直接播く。

巻寿司の具に使用するものでは、１０〜１５粒位をもつ
と小さく作っである栽培基部に播く。

播いた種子が軽くひたる程度に水を加え、必要ならば通
常液状にした肥料を加えて、暗い所に置いて光量を制限
した状態で育成する。

翌日には種子が発芽して伸びてくるので、成長に必要な
水を逐次栽培基部に補給しながら育成を続けると約５〜
６日程度で根もよく伸びてくるが、この根は栽培基部の
底壁をはって伸び、側壁に当って曲り、栽培基部の下方
の全体に拡がり、互いにからみ合う。

茎はこのからみ合った根の部分から上方へ約８ｃｍ程度
も真直に伸び、側壁に支持されてもいるから倒れること
もなく、栽培基部内の植物群は−かたまりになっている
。

これに−目位充分に光を当てると、先端の双葉が新鮮な
緑色に色付いた貝割れ大根が得られる。

この貝割れ大根は、茎をもてはその栽培基部から−まと
めにそっくり取出すことができるので、根の付いたもの
を、そのまま又は水洗いし、必要ならば余分な根を少し
取除き、そのまま一単位の一束とする。

このようにからみあった根は分ける必要がないから、茎
や根を傷付けることもなく、一本一本がバラバラになっ
たりしないので、−纒めに処理することができ、どの束
もほぼ同じ量になっているから秤量の必要もない。

この一束は、上記の如くそれだけでバラバラになるよう
なことはないが、特に必要ならば輪ゴム、テープその他
の結束具７で括ってもよく、これは昆布その他の食べら
れるものであってもよい。

上記栽培装置は、図示のものでは装置本体１の周縁部か
ら壁体３が上方に延びており、この装置を積重ねて栽培
することができ、各栽培基部２から伸びた植物は、上記
壁体３によって作られる空間４に伸びて行き、この壁体
に切欠き５又は孔等を設けれはここから通気等が行われ
る。

この装置を積重ねるとき、上記壁体の上部は、上方に位
置する装置に設けられている係合部６に係合する。

上記栽培基部は、図のものでは円形状になっているが四
角形、三角形、楕円形その他の適宜形状にすることがで
きる。

上記束になっている負制れ大根は、そのまま適描な箱に
詰めて出荷される。

この場合、例えば第５図、第６図に示すような発泡スチ
ロール樹脂その他のプラスチック材料等で作られ、収納
部８を形成する壁９に孔１０が設けである容器１１等が
使用される。

一束の負制れ大根を上記収納部に入れ、茎を立てるよう
にして納める。

図のものでは中央に設けた隔壁１２によって収納部８が
２つに仕切られ、夫々に数束づつ入るようになっている
が、一束づつ入るように仕切ることもできる。

上記容器１１の上から蓋１３を嵌めて係止すれは、負制
れ大根は容器内で保護され、茎が折られることもなく、
上記孔１０を介して通気も行われるし。

根がついたままにされているのですぐに枯れるようなこ
とはなく、流通及び販売の容器となって寿司屋、料理屋
、魚屋、一般家庭等に販売される。

また上記蓋１３の下面から下方に延びる仕切りを突設し
て各束を区分することができる。

これを買った寿司屋等では、この容器の収納部８に水を
入れると根がひたされるので、この容器に入れたまま店
に置いておけは、上記負制れ大根を生きたまま保存でき
る。

この負制れ大根を使用するとき、上記巻寿司用のもので
は、取出した一束をそのままでもよいが通常根の部分を
除いて巻いたり、まぐろその他の寿司種き一緒に巻いた
りする。

この巻寿司はピリンとした辛さが独特の風味を感じさせ
て食欲を増進し、多量に含まれるビタミンＣ等が栄養の
バランスをとる。

また上記収納部８に水を入れることなく、容器ごと冷蔵
庫に入れておけは成長が止るが、少くも一週間は新鮮な
状態に保つことができる。

この負制れ大根はその一束が丁度使い易い分量になって
いるので一束を、また多人数の際には数束を使い上記寿
司の他にも刺身のつま、サラダ、おひたし、酢物その他
種々の料理に使用して、その新鮮さを活して美味しく食
べられる。

上記の栽培装置を使用した栽培は戸外で行うこともある
が、通常ビニルハウスや温室等を利用し、必要ならば加
温したりする。

室温を約１５〜２０°Ｃ以上に維持し、通常よりも約３
０％程度炭酸ガスを増量した状態にして栽培を行ったと
ころ成長が早くなるという結果を得た。

また上記栽培においては使用する水はカルキ分を除去し
、ミネラル分を溶解、補給して得たミネラルウォーター
を使用することがあり、これを使用すればミネラル分が
野菜へ移行するので、一層栄養豊かで味のよいものが得
られ、栽培中に種子や水も腐り難く栽培も容易となる。

第３図において、第１図に示された栽培装置の栽培基部
２が流路１４によって連結されたものが示されている。

成る栽培基部に水を補給すれば、この流路１４を通って
他の栽培基部に夫々一定量づつ水が行渡って行くように
なる。

第４図には、細かい目のスポンジ体１５の上に適宜形状
の孔を設けた板状体１６を置き、各孔を栽培基部とした
ものが示されている。

この栽培基部に種子を播き、水を加えれはスポンジ体が
これを吸収し、根はその水を吸って生育して行き、この
中で育ったものは、上記と同様に一種めにして取出すこ
とができる。

この栽培方法及び装置によれは、上記負制れ大根の他、
ミツバ、オランダガラシ、クレソン、つまみ菜、小松菜
その他の若とりする各種野菜の栽培ができるし、その他
の植物の栽培に種々適用できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示し、第１図は栽培装置の斜面
図、第２図は積重ねた状態の一部切欠側面図、第３図は
変形例の一部省略切欠斜面図、第４図は他の例の断面図
、第５図は販売に使用する容器の斜面図、第６図はその
断面図である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 野菜その他の植物が幼植物の状態にある多数のもの
   を消費、流通に適する単位の量として栽培することがで
   きるような栽培基部を複数個設定し。 該栽培基部に各々適数の種子を播き、水その他の育成材
   料を適宜供給しながら育成し、該植物の根の伸長方向を
   上記栽培基部を形成する壁面により規制せしめると共に
   該栽培基部内の根を互にからみ合せ、この幼植物を密生
   状態に−かたまりとなった解体に形成し、採取時に上記
   板のからまりによって一単位となっている幼植物の群生
   体を上記各栽培基部からそのまま取出し得るようにした
   植物栽培方法。 ２ 上記植物は貝割れ大根であって、上記栽培基部内で
   根がからみ合い、先端に双葉が出て茎の長さが８Ｃｒｒ
   Ｌ内外になるまで密生状態に育成し、そのまま流通過程
   に置くときの一単位となるような−かたまりの解体とし
   て上記栽培基部より採取するようにした特許請求の範囲
   第１項に記載の植物栽培方法。 ３ プラスチックスその他の適宜材料で形成される装置
   本体を有し、栽培する植物の播種された所要量の種子を
   保持しかつ育成により成長する根部を互いにからみ合わ
   せた幼植物が生育し流通過程に置く場合の一単位となる
   ような群生体を作るよう根の伸長方向を規制する栽培基
   部を上記装置本体に適当数形成し、上記装置本体に上方
   へ延びる壁体を設けこれを積重ねるとき上記栽培基部か
   ら植物が上方へ伸長できるような空間を形成する植物栽
   培装置。 ４ 上記栽培基部は、生育する幼植物を保持しまた伸長
   する茎部が直立するよう支持しかつ根の伸長方向を規制
   して互にからませ合わせることにあづかる底壁及びそこ
   から起立する適宜高さの側壁を備える特許請求の範囲第
   ３項に記載の植物栽培装置。 ５ 上記装置本体に適当数設けられた栽培基部は、その
   底壁からや＼上方の位置に設けられた流路によって水そ
   の他の栽培材料が全体に行き渡るように互いに連絡され
   ている特許請求の範囲第３項または第４項に記載の植物
   栽培装置。