JPS581393B2 - 液密時計ケ−ス - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、文字盤位置付け用内部フランジを備えたケー
スバンド兼ベゼルと、該ケースバンド兼ベゼルを取付け
る側壁を備えたドーム状基部と、上記ケースバンド兼ベ
ゼルと基部との間で少なくとも文字盤の高さに配置され
た環状ガスケットとを含むタイプの液密時計ケースに関
わるものである。

このタイプは、設計上、ガスケットを概ねムーブメント
上面の位置、あるいはより高い位置にさえ位置付けるこ
とができるという点で特別の長所がある。

従って、ドーム状基部の壁はムーブメントの高さ全体の
上方で完全に自由である。

また、ムーブメントの厚さが小さくて制御軸の占めるス
ペースが相対的に大きい場合は、ケースの各部材をより
厚くしないでも十分な液密効果を生じる手段を構成する
ことができる。

換言すれば、この設計では非常に薄いムーブメント用に
非常に薄いケースを提供することができる。

このようなケース、具体的には円形形状もあれば非円形
形状のものもあり、スイス国特許第２２０，２６２号、
第２４１，９５７号、及び第３８６，９３４号に記載さ
れている例では、ガスケットはドーム状基部の上面によ
って軸方向に圧縮されてケースバンド兼ベゼルの肩部ま
たはガラスのリムを押圧する。

非円形形状のケースに関するスイス国特許第５８５，９
２８号では、ガスケットはドーム状基部の傾斜外部側面
とケースバンド兼ベゼルの壁との間で圧縮される。

始めに述べた３つの特許の場合、ガスケットの軸方向圧
縮に際してはケース納入の時点で極めて細心の注意を払
わなければならないし、その上簡単なスナップ閉鎖を得
るのが極めて困難か不町能であり、スイス国特許第５８
５，９２８号に記載の設計では、この欠点をガスケット
に部分的半径方向圧縮力を加えることで補おうとしてい
る。

つまり、ドーム状基部の傾斜外部側面でガスケットに対
し遠心方向成分を有する力を加え、これによって軸方向
への作用を減少させることができる。

しかし、この構成では楔効果の結果過大な局部圧縮が生
じてケースを変形させる虞がある。

また上記楔効果及びカスケットに対する遠心方向成分の
力の存在により、ガスケットが伸長応力の下に維持され
、老化が早くなるという問題もある。

従って、本発明の目的は始めに述べたタイプの時計ケー
ス、即ち、従来のケースに比べて高さ全体が更に一層小
さく、ガスケットが軸方向にのみ圧縮された場合のスナ
ップ締結または簡単なグリップ締結によって生ずる危険
や欠点を克服しており、また同様に前述の最後者の特許
に関する欠点をも克服している時計ケースを提供するこ
とである。

この目的を達成するため、本発明の時計ケースは基本的
に、環状内部フランジと該内部フランジに連設された傾
斜した環状内面即ち傾斜面とを備えるケースバンド兼ベ
ゼルと、該ケースバンド兼ベセルをスナップ式に取付け
る側壁を備えたドーム状基部と、上記ケースバンド兼ベ
ゼルと上記基部との間に配置された環状のガスケットと
からなる。

上記側壁は環状側面と環状底面とを有する上向き且つ外
向き開放段部を形成する周囲外側切下げ部を含み、該側
面と底面とが略９０°若しくは僅かに鋭角をなす。

上記段部は上記基部のリブの外側を限定し、また上記側
壁が更に文字盤を受容する上向き且つ内向きの凹部を備
える。

上記ガスケットは上記切下げ部内に位置し、上記リブを
包囲すると共に上記底面上に着座し、上記ベゼルの傾胴
面と上記フランジとが上記切下げ部の外向き及び上向き
側を閉じる。

一方上記内部フランジは上記リブ上に着座すると共に内
向きに突出して上記文字盤の保持部材を形成する。

上記ガスケットは、上記フランジと上記傾斜面とによっ
て上記側面と底面とに対して半径方向斜め内向きに圧縮
される。

一方上記フランジは更に文字盤保持部材を形成して文字
盤をガスケットと同じ高さまたは低い位置に保持する。

本発明の具体的利点の１つは、ケースの形状を円形はも
ちろん長方形、正方形、丸い側部を有する形状及びその
他の形状に製造できることである。

さて、望ましい２つの実施例を示す添付図面を参照して
本発明を以下に詳述する。

第１図に図示の時計ケースは、形状を円形、長方形、正
方形、またはその他の形状にすることができる。

ケースを時計バンドまたは腕輪に固定するホーン（ｈｏ
ｒｎ）は図中には示されていない。

これらは、その平らな上部表面内にガラス３を受容する
ための横断面が長方形の内部切下げ部２を有するケース
バンド兼ベゼル１と一体的に作られる。

ガラス３は無機ガラスまたは例えばサファイヤのような
透明な石で作られている。

これはプラスチック材料で作られた環状部材４を介在さ
せて切下げ部２の中に固定され、該部材４はガラス３の
縁部と切下げ部２の側部との間に把持されて、ガラス３
を適所に保持し且つケースバンド兼ベゼル１とガラス３
との間の結合を水密とする働きをする。

図面から明らかなように、ケースバンド兼ベゼル１は横
断面が長方形の環状内部フランジ５を具備する形状に加
工されており、該フランジ５はその上部が環状部材４及
びガラス３を支持する切下げ部２の平らな底面６で制限
されている。

フランジ５の下部は平らな環状の底面７で制限されてい
る。

ケースバンド兼ベゼル１には更に、ケースを閉めた際に
ドーム状基部１０の側壁９の周囲と嵌合する側壁部材８
が含まれている。

基部１０は通常の２体式時計ケースの１つの構成部品で
ある。

側壁９にはムーブメント１２を支持する内部上げ縁１１
が含まれ、一方ムーブメント１２よりも外方に延びてい
る文字盤１３は側壁９の上面に設けられた平底状環状凹
部１４に嵌入している。

側壁９のこの上面は、環状凹部１４の他に、９００の二
面角をなし且つ頂点がドーム状基部１０の周囲全体に亘
って延びている内側縁部の形状をなす２つの表面、即ち
平らな底面及び円筒形の周囲面で限定される外周切下げ
部１５を備えるように構成される。

ケースバンド兼ベゼル１の側壁部材８は側壁９の円筒形
外側側面１６上に嵌合する。

側壁部材８の内面の溝に対応するように環状突起部１７
が設けてあるため、フランジ５の底面７が、切下げ部１
５の側部と凹部１４の側部とで限定された横断面長方形
のリブ１８の上面を押圧するような位置にケースバンド
兼ベゼル１を基部１０に固定することができる。

従って、ケースバンド兼ベゼル１に対する基部１０の高
さに関する正確な位置付けが得られると同時に、ムーブ
メント１２は文字盤１３を底面７に圧接することによっ
て適所に保持できる。

ケースバンド兼ベセル１と基部１０との間の結合は切下
げ部１５内に嵌入されたエラストーマー製環状ガスケッ
ト１９を介して液密になされている。

ガスケット１９を圧縮して良好な液密を得るために、ケ
ースバンド兼ベゼル１には底面７と側壁部材８との内面
間に傾斜した環状内面即ち傾斜面２０が含まれている。

ムーブメント１２の中心軸に対する傾斜面２０の傾斜角
は約３０°で、該表面はフランジ５の底面７まで延びて
これと連接している。

ケースを閉じると、環状ガスケット１９は傾斜面２０て
圧縮され、この圧縮による反力即ちケースバンド兼ベセ
ル１と基部１０とを互いに分離しようとする力がケース
の中心軸に垂直な平面に対して約３０°の角度で傾斜し
た方向に加えられる。

従って、この反力は半径方向に対して優勢であるから、
ケースが不要時に開く危険を防止できる。

傾斜面２０は種々な方法で作ることができる。

円形形状のケースの場合には、もちろんならい削りで加
工することができる。

その他の形状では、これとは違って、この傾斜面２０は
角度上の半径が余り小さすぎない場合はフライス削りで
加工することができる。

而も、この傾斜面２０は別の方法でも作ることができる
。

即ち、ケースバンド兼ベゼル１全体を型打加工で作る方
法である。

このようなわけで、傾斜面２０は半径が角度上極めて小
さい場合でも形成することができる。

ここで注意したいのは、この傾斜面２０は文字盤１３と
同じ高さまで延びていることである。

従って、制御軸用穴は切下げ部１５下方の側壁９の中に
穿設することができる。

側壁部材８の底部に簡単な半球状切欠きを設けてこの穴
に対応させることができる。

基部１０内の切下げ部１５は、基部１０が長方形ないし
正方形の形状の場合には、摩擦丸のこでフライス削りし
て加工することができる。

第２図では、第１図の実施例とほんの少し異なる実施例
が示されている。

本図ではケースバンド兼ベゼル２２のフランジ２１は可
能な限り薄くしてある。

その代り、ドーム状基部２５の壁２４の上部に形成され
た平底状切下げ部２３は第１の実施例よりも深くしてあ
る。

従って、リブ２６と切下げ部２７とは文字盤２８より高
い位置にあり、これによってケースの厚さを更に一層薄
くし且つアナログ型のムーブメントのより薄型のものを
収納できるようになっている。

ムーブメントを保持するために、リブ２６の内側に取付
けフランジ２９を設けてある。

以上詳述したように本発明の時計ケースによれは、厚さ
の極めて小さい時計の製造が可能になると共に、ケース
のスナップ締結やグリップ締結も何ら支障なく行なうこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の時計ケースの軸方向部分断面図である
。 第２図は別の実施例の軸方向部分断面図である。 １，２２・・・・・・ケースバンド兼ベゼル、３・・・
・・・ガラス、５，２１・・・・・・内部フランジ、１
０，２５・・・・・・ドーム状基部、１２・・・・・・
ムーブメント、１３，２８・・・・・・文字盤、１５，
２７・・・・・・切下げ部、１８，２６・・・・・・リ
ブ、１９・・・・・・ガスケット、２０・・・・・・傾
斜面（傾斜した環状内面）。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 環状内部フランジ５と該内部フランジ５に連設され
   た傾斜した環状内面即ち傾斜面２０とを備えるケースバ
   ンド兼ベゼル１と、該ケースバンド兼ベゼル１をスナッ
   プ式に取付ける側壁９を備えたドーム状基部１０と、上
   記ケースバンド兼ベゼルと上記基部との間に配置された
   環状のガスケット１９とからなる非円形形状の液密時計
   ケースであって、 上記側壁は環状側面と環状底面とを有する上向き且つ外
   向き開放段部を形成する周囲外側切下げ部１５を含み、
   該側面と底面とが略９０°若しくは僅かに鋭角をなし、 上記段部は上記基部のリブ１８の外側を限定し、また上
   記側壁９が更に文字盤を受容する上向き且つ内向きの凹
   部１４を備え、 上記ガスケットは上記切下げ部内に位置し、上記リブを
   包囲すると共に上記底面上に着座し、上記ベゼルの傾斜
   面と上記フランジとが上記切下げ部の外向き及び上向き
   側を閉じ、 一方上記内部フランジは上記リブ上に着座すると共に内
   向きに突出して上記文字盤の保持部材を形成し、 上記ガスケットは、上記フランジと上記傾斜面とによっ
   て上記側面と底面とに対して半径方向斜め内向きに圧縮
   され、 一方上記フランジは更に文字盤保持部材を形成して文字
   盤をガスケットと同じ高さまたは低い位置に保持する、 ことを特徴とする液密時計ケース。 ２ 前記傾斜面の最上部が前記フランジの底面をなす平
   な環状面で制限されてなる特許請求の範囲第１項に記載
   の時計ケース。 ３ 前記ドーム状基部のリブが前記文字盤の周囲部に延
   在してなる特許請求の範囲第１項または第２項に記載の
   時計ケース。 ４ 前記文字盤の周囲部がドーム状基部の側壁の縁部内
   に設けられた環状の凹部に嵌入されるようになっており
   、該凹部の外方部が前記リブで制限されてなる特許請求
   の範囲第３項に記載の時計ケース。 ５ 前記ケースバンド兼ベゼルがドーム状基部の側壁に
   スナップ固定されてなる特許請求の範囲第１項に記載の
   時計ケース。 ６ 前記ケースバンド兼ベゼルに前記傾斜面と直結して
   いる円筒表面で内部が制限されている側壁部材が含まれ
   てなる特許請求の範囲第１項に記載の時計ケース。