JPS5813164B2 - 射出成形靴の製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は射出成形と同時に中底と中敷とが接着されて一
体となる射出成形靴の製造方法に関する。

従来中底の周縁と胛材料の下周縁の合掌部分を縫着して
袋状の胛被本体を形成する所謂カリフォルニア方式の胛
被を使用し、この胛被に射出成形法により靴底付けをし
た靴があったが、靴の履心地や耐久性等のために中敷（
アーチクッション部を有する中敷を含む）を設ける場合
、靴の成型後に中敷を中敷の裏面に溶剤糊を塗布して靴
に挿入し、加熱乾燥等の工程を加えて圧着して設けてい
た。

このため中敷貼り作業の工程が多くなり、人手がかかつ
て極めて作業能率に劣る欠点があった。

又中敷貼り作業時、靴の内外部が糊によって汚れたり、
糊の塗布ムラにより使用している間に剥れたり、ずれた
り、しわが寄ったりするため履心地が悪く、さらに耐久
性にも劣ると共に有機溶剤使用のため労働衛生上や安全
上の問題があった。

一方上記欠点を改善するため中底の替りに中敷を用いて
中敷の周縁と胛材料の下周縁を直接縫着してカリフォル
ニア方式の胛被とし、この胛被に射出成形法により靴底
付けをする方法が提案されたが、この方法では靴底の接
足面いっぱいに中敷を出すことができなかった。

すなわち胛被をラストに吊り込む場合、中敷と胛材料と
の縫着部分がラストエッジより中に入るようにしないと
射出成形後前記縫着部分が靴底側面に露出してしまう。

そこで中敷の大きさをラスト底面より小さくし、縫着部
分をラストエッジより中に入るようにする必要があるが
この方法で行うと中敷が小さいために靴底の接足面いっ
ぱいに中敷を出すことができなくなり、靴底の接足面の
周縁部分において中敷が欠け、胛材料が露出してしまい
、よって履心地が悪いことはもちろんの事、外観上見劣
りする欠点を有するものであった。

又、アーチクッションを有する靴の場合には中敷として
不踏部を大きくしたものが良く使用される。

この中敷を用いて、中敷の周縁と胛材料の下周縁を直接
縫着してカリフォルニア方式の胛被としてラストに吊り
込むと中敷が不踏部でラスト底面よりも大きくなり、ラ
ストにフイツテイングしない状態となってしまい、射出
成形法により靴底付けをすると中敷のアーチクッション
部分にしわが発生したり、さらには靴底の外側面に中敷
のアーチクッション部が露出してしまうという欠点があ
った。

さらには中底と中敷とを接着剤等であらかじめ接着一体
としたものを使用する方法も提案されたが、中底と胛材
料とを縫着してカリフォルニア方式の胛被を得ようとし
ても中敷が中底に一体に接着しているため邪魔となって
縫着することができず、したがってカリフォルニア方式
の胛被を得ようとすれば中敷も一緒に縫着され、よって
中底と中敷とで１つの中敷を構成したことになって前記
中敷を直接胛材料に縫着してカリフォルニア方式の胛被
とした方法と全く同じことになってしまうものであった
。

本発明は上記従来の欠点を改善する目的でなされたもの
である。

すなわち本発明は胛材料と中底材料とから構成したカリ
フォルニア方式の胛被に靴底を射出成形により一体に成
型するようにした靴の製造方法において、中底材料とし
て中底と中敷とが部分的に仮止めされてなるものを使用
し、射出成形と同時に中底と中敷とが接着されて一体と
なることを特徴とする射出成形靴の製造方法に係る。

本発明の実施例を詳細に説明すると、本発明に使用する
胛被１はキャンパス、合成樹脂レザー、合成皮革、天然
皮革等通常の胛材料２と中底材料３とから構成したカリ
フォルニア方式の胛被１を用いるが本発明の第１の特徴
として前記中底材料３が中底４と中敷５とから構成され
、中底４と中敷５とが部分的に仮止め７されているもの
を使用する。

本発明に使用する中底４は布、合成樹脂レザー等通常用
いられているものが使用でき、中敷としてはゴムスポン
ジ、ラテックススポンジ、及びそれらに裏布を設けたも
の等通常用いられているものが使用できる。

ここで中底４はラスト８底面より若干小さいものを使用
し、中敷５はラスト底面８と同じ大きさか、若干大きい
ものを使用する。

又、射出成形材料としてはポリ塩化ビニル樹脂系、ポリ
ウレタン樹脂系、エチレン・ビニルアセテート共重合体
（ＥＶＡ）系、サーモフラスチツクラバー（ＴＰＲ）系
等の樹脂を主体とする配分物が使用できる。

中底４と中敷５を部分的に仮止め７する場合、あらかじ
め中底４と中敷５を部分的に仮止め７した後中底４の周
縁と胛材料２の下周縁の合掌部分を縫着してカリフォル
ニア方式の胛被１を形成してもよいし、中底４と胛材料
２を前記の如く縫着してカリフォルニア方式の胛被１を
形成した後中敷５を胛被１に挿入して中底４と中敷５と
を仮止め７してもよい。

仮止め７する方法としては、縫着や、鳩目止め等の手段
や、後述するが中底４と中敷５との間に感熱性接着剤層
６を介した場合には仮止め７部分のみを加熱し、その部
分の感熱性接着剤層６を溶融せしめて仮止め７してもよ
い。

仮止め７する部分は特に限定されないが、爪先に相当す
る部分で仮止め７すると、胛被１をラスト８に吊り込む
作業において、踵に相当する部分の中底４が若干伸びて
中敷５とずれる危険があり、踵部分のずれは外観上見え
易い部分であるので好ましくない。

不踵部から踵に相当する部分で仮止め７すれば胛被１を
ラスト８に吊り込む作業において、万一中底４が若干伸
びて中敷５とずれても外観上見えないので品位を低下さ
せない。

又この場合仮止め７は踵の端からたとえば２３．０ｃｍ
バスケットシューズの場合は３０ｍ／ｍ程度離して行え
ば中底４と胛材料２とを縫着する場合の踵部でのミシン
縫いがスムーズにできて好ましいものである。

本発明はカリフォルニア方式の胛被１に靴底を射出成形
により一体に成形後前記仮止め７された中底４と中敷５
とが接着されて一体となることを第２の特徴としている
。

第１の実施例として射出成形材料としてＴＰＲを用いる
場合、ＴＰＲの特性として特に流動性がよい事、伸張率
が非常に大きい事により中底４に９０本仁斯程度の布地
、又は寒冷紗等の薄手の布地を、中敷５には生地目のあ
らい綿材からなる裏布を設けたものを用いて中底４と中
敷５を仮止め７してカリフォルニア方式の胛被１を構成
し、しかる後に、常法により胛被１をラスト８に吊り込
み、このラスト８に外型９を組み合わせて靴底部成型の
空隙１０を構成し、この空隙１０内にＴＰＲ射出成形材
料を射出充填すると、ＴＰＲが中底４の生地の目を通過
し、中敷５の裏布の生地目に流れ込み靴底部のＴＰＲと
中敷５の裏布とが接着剤を介さずとも投錨効果により接
着されて実用強度を有し、かつ胛被１と靴底部が一体と
なった射出成形靴が得られる。

又、中底４には必要により適宜数の穴や、切り込み等を
ほどこしてもよい。

第２の実施例として中底４と中敷５とが感熱性接着剤層
６を介して部分的に仮止め７されてなるものを使用し、
前記と同様の方法にてカリフォルニア方式の胛被１を構
成し、常法により胛被１に靴底を射出成形により一体に
成型すると、射出成形材料の熱により、前記感熱性接着
剤層６が醇融して中底４と中敷５とが接着されて一体と
なり、かつ胛被１と靴底部が一体となった射出成形靴が
得られる。

使用する感熱性接着剤としては、ウレタン樹脂系、ゴム
系接着剤、塩化ビニル樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、ある
いはそれらの共重合物等中底４と中敷５がよく接着する
性質のものであればよく、中底４の上表面に塗布するか
、中敷５の裏面に塗布するか、或いは前記感熱性接着剤
からなるフイルム状の感熱性接着剤層６を中底４の上表
面又は中敷５の裏面にラミネートするか、フイルム状の
感熱性接着剤層６を中底４と中敷５との間に設けて積層
する。

本発明は上述の如く構成したので、従来の中敷貼り作業
の工程を省くことができ、極めて作業能率が向上してコ
ストダウンが計れるという効果を有する。

又アーチクッション部を有する射出成形靴を本発明の製
造方法で行えば中敷のアーチクッション部分にしわが発
生したり、さらには靴底の外側面に中敷のアーチクッシ
ョン部が露出してしまうことがない。

このように本発明の製造方法によれば中敷を靴底の接足
面いっぱいに出すことができると共に、中敷貼り作業が
ないので靴の内外部が糊によって汚れたり、糊の塗布ム
ラにより使用している間に剥れることなく履心地のよい
、かつ耐久性に優れた射出成形靴を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に使用される中底材の例を示す斜視図、
第２図は本発明の製造方法の実施態様を示す断面説明図
である。 １・・・・・・胛被、２・・・・・・胛材料、３・・・
・・・中底材料、４・・・・・・中底、５・・・・・・
中敷、６・・・・・・感熱性接着剤層、７・・・・・・
仮止め、８・・・・・・ラスト、９・・・・・・外型、
１０・・・・・・空隙。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 胛材料と中底材料とから構成したカリフォルニア方
   式の胛被に靴底を射出成形により一体に成型するように
   した靴の製造方法において、中底材料として中底と中敷
   とが部分的に仮止めされてなるものを使用し、射出成形
   と同時に中底と中敷とが接着されて一体となることを特
   徴とする射出成形靴の製造方法。