JPS5812866B2 - 複合材 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、熱可塑性樹脂シートと繊維強化ポリエステル
樹脂の複合材（以下ＴＰ／ＦＲＰとする）に係るもので
あり、更に詳しくは、含水ポリエステル樹脂と熱可塑性
微細発泡ビーズからなる混和物を繊維強化したもので熱
可塑樹脂シートの裏面を補強しＴＰ／ＦＲＰを提供する
ものである。

熱可塑性樹脂シートは、成形が簡単であるため例えば真
空成形などにより種々の形状に容易に賦形することが可
能である。

しかし、これは剛性がなく、ただちに商品性をもつもの
とは言えない。

そこで、その裏面を剛性のある繊維強化不飽和ポリエス
テル樹脂で補強して、表面の美しい、かつ剛性を有する
成形品とすることが知られている（実公昭３７−２６１
３１号公報）。

この成形品は安価に、かつ容易に得ることができ、かつ
美しい外観を有するため、化粧台、バスタブ、シャワー
ユニット、ボート、車輌の外装など広い範囲に用いるこ
とができる。

しかし、このような利点、用途がありながらこの成形品
が活かしきれない大きな理由は熱可塑性樹脂シートを裏
打ちする不飽和ポリエステル樹脂の硬化の際の発熱と収
縮および真空成形時の熱可塑性樹脂シートの残留歪に起
因している。

これは表面の熱可塑性樹脂シートの変形、クラツクなど
を誘発させ、ひいては複合材の生命たる界面の接着性を
も低下させ剥離現象を呈するに至る。

これらの欠点を改良するために、ガラスビーズ、ガラス
バルーンを不飽和ポリエステル樹脂に添加する方法とか
、不飽和ポリエステル樹脂の反応性を低下させ、その発
熱、収縮率を低下させる試みがなされたが依然完全なる
ものを得るには至らなかった。

本発明者らは、不飽和ポリエステル樹脂のもつこれらの
欠点を緩和し、かつ優れた複合材を得るべく鋭意研究し
た結果、繊維強化材と含水ポリエステル樹脂に熱可塑性
発泡微細ビーズを添加することにより容易に収縮のほと
んどない界面の接着性のすぐれた軽量なＴＰ／ＦＲＰ複
合材を得るに至った。

本発明は、熱可塑性樹脂シートの裏面に繊維強化材、含
水ポリエステル樹脂および熱可塑性微細発泡ビーズを含
む混和物を積層してなる複合材に関する。

本発明に使用される熱可塑性樹脂シートはアクリル樹脂
、ＡＢＳ樹脂、塩化ビニール樹脂、ポリエチレン樹脂、
ポリプロピレン樹脂などをさすが、特にアクリル樹脂、
塩化ビニール樹脂又はＡＢＳ與脂の薄いシートを真空成
形法で得たものが有効である。

その厚さは約０．５〜１０ｍｍの範囲のものが使用可能
であるが、経済性、作業性などを考慮した場合、好まし
くは１〜３ｍｍの範囲とされる。

次にシートの裏面に繊維強化材、含水ポリエステル樹脂
および熱可塑性微細発泡ビーズを含む混和物を積層する
が、その方法は手積法、スプレイアップ法のどちらでも
よいが、経済性、成形品の形状による普遍性からスプレ
イアップ法によるものが有利である。

繊維強化材は無機繊維、例えばガラス繊維、アスベスト
繊維、有機繊維、例えばビニロン繊維をとわないが、混
和物の含浸性、強度などから考えて含水ポリエステル樹
脂に対して２０〜３５重量％のガラス繊維を用いること
が好ましい。

含水ポリエステル樹脂は、スチレン、アクリル酸エステ
ル、メタクリル酸エステルなどのビニールモノマー或は
これらの混合物と、これらのモノマーと共重合しうる不
飽和ポリエステルとからなる不飽和ポリエステル樹脂の
液体を油層とし、これに撹拌しながら水または大部分水
からなる液体（以下水層という）を加えて油中水型のエ
マルジョンを生成させたものである。

油中水型エマルジョンの製造法に関してはすでに公知で
あり、種々の方法があげられるが、好ましくは含水ポリ
エステルの欠点とされる水分の経時蒸発と、それに伴っ
て起る寸法変化、収縮などないことが望まれる。

本発明に使用される含水ポリエステル樹脂は、不飽和ポ
リエステル樹脂に対し１０〜１００重量％程度の水を乳
化したものが作業性および物性面より好ましい。

含水ポリエステル樹脂の硬化は、油中水型エマルジョン
の製法と同様種々の硬化系が使用できるが、積層法や硬
化時の発熱などから一般の不飽和ポリエステル樹脂の硬
化に使用される硬化系が好ましく、特に市販されるメチ
ルエチルケトンとナフテン酸コバルト系により常温で１
０〜６０分でゲル化させることが好ましい。

熱可塑性微細発泡ビーズは弾性ある球形であり、アクリ
ルニトリル塩化ビニリデン共重合体等の微細発泡ビーズ
が好ましく、粒径１０〜１００ミクロン、かさ密度０．
０１ｇ／ｃｍ３のものが好ましい。

例えばダウケミカル社製サランマイクロスフェア−ＸＤ
７０５１，０４（アクリルニトリル塩化ビニリデン共重
合体）があげられる。

サランマイクロスフエアＸＤ７０５１，０４は１０〜１
００μの粒度を有し密度約０．０１程度の弾性ある球形
である。

熱可塑性微細発泡ビーズの添加量は、含水ポリエステル
樹脂に対して０．５〜３重量％が適当である。

熱可塑性微細ビーズは圧力、応用等に対し変形ないしは
破壊を生じやすく、特に有機溶媒にも溶けやすいため、
不飽和ポリエステル樹脂に添加し、スプレイアツプ法に
よる積層作業を行なった場合、スプレイアップの樹脂吐
出圧によりほとんどが破壊され充分に、熱可塑性微細ビ
ーズの特性を活かせない。

熱可塑性微細発泡ビーズの持つ利点を充分活かすために
スプレイアツプ法などの改良検討が行なわれているが成
功にいたっていない。

そこで本発明者らは、検討した結果、不飽和ポリエステ
ル樹脂に対して水を１０〜１００重量％加えて乳化した
含水ポリエステル樹脂を使用することにより熱可塑性微
細発泡ビーズの特性を活かし、水と共に不飽和ポリエス
テル樹脂の発熱および収縮率を減じるばかりか衝撃に対
しても一種の緩衝材的働きをも示し、界面の剥離に対し
ても有効な低密度の複合材を得ることを見出し、本発明
にいたったものである。

以下具体的に実施例で示す。

部とあるのは重量部である。

実施例 １ 無水マレイン酸４０％モル、無水フタル酸６０％モル、
フロピレングリコール１０５％モルより得られる不飽和
ポリエステル６０部にスチレン４０部、ヒドロキノンＩ
ＯＯｆ，ナフテン酸コバルトを不飽和ポリエステル樹脂
に対して０．５重量％加え不飽和ポリエステル樹脂液〔
１〕を得る。

〔１〕に水層を乳化させるための乳化剤としてオクテン
酸カリウム（大日本インキ製、１７％オクテン酸カリウ
ム）を５部添加し、さらに水を３０部添加して乳化分散
させ含水ポリエステル樹脂液〔２〕を得る。

〔１〕に発泡サランマイクロスフエアーＸＤ−７０５１
．０４（ダウケミカル社製、アクリルニトリルー塩化ピ
ニリデン共重合体）を０．１重量％添加し撹拌機で静か
に１０分かきまぜ、不飽和ポリエステル樹脂と熱可塑性
微細発泡ビーズの混和物〔３〕を得る。

又同様に〔２〕と発泡サランビーズ（１．０重量％）の
混和物〔４〕を得る。

これとは別にスウエツドキャスト３００（スウエツドロ
ウ社製、アクリル樹脂シート）の１／８インチ厚みのシ
ートで通常の方法により真空成形した洗面台トップ〔５
〕を用意する。

〔５〕の裏面にグラスクラフト８００モデル（グラスク
ラフト社製）のスプレイアツプ機に、ガラスロービング
をとりつけ〔１〕および触媒（市販６０％メチルエチル
ケトンパーオキサイド）を各各のタンクにチャージし、
１／２インチのチョップドストランドでガラスコンテン
ト２５重量％、ゲルタイム２５分になるように調整し、
積層し、その厚さが約３龍になるよう仕上げる。

硬化後４０’Ｃで３０分アフターキュアーし製品仄〕と
した。

同様の条件で（２） ， （３） ， （４）も〔５〕
の裏面に積層し仕上げ各々ＣＢ） ，（Ｃ） ， ＣＤ
）とした。

（１） ， （２） ， （３） ，（４）の硬化特性
および収縮率をＪＩＳ ６９０１に準じ２５℃で測定
した。

製品（Ａ） ， （Ｂ） ， （Ｃ） ， ＣＤ）を観
察し、また物性試験を行なった。

結果を次に示す。本発明において、繊維強化材、含水ポ
リエステル樹脂および熱可塑性微細発泡ビーズの組合せ
により、発熱を低下させかつ収縮率を低下できるために
複合材の製造時、特に熱可塑性樹脂シートの薄い部分の
クラツクの発生および複合材の変形ゆがみがなくなり、
界面接着性が向上される。

また、ＦＲＰ層の発泡ビーズの緩衝作用のため落球衝撃
および冷熱衝撃応力に対し、緩衝効果を示し熱可塑性樹
脂シート部の変形にＦＲＰがついでいくためクラツク、
複合材界面のはくりを防ぐことができる。

また、熱可塑性微細発泡ビーズを破壊することなく充分
活かせるために、軽量でかつすぐれたＴＰ／ＦＲＰを容
易に経済的に得ることができる等の利点も有するもので
ある。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 熱可塑性樹脂シートの裏面に、繊維強化材、含水ポ
   リエステル樹脂および熱可塑性微細発泡ビーズを含む混
   和物を積層してなる複合材。