JPH1193016A - 発色性に優れたポリエステル繊維 - Google Patents

発色性に優れたポリエステル繊維

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JPH1193016A
JPH1193016A JP25056597A JP25056597A JPH1193016A JP H1193016 A JPH1193016 A JP H1193016A JP 25056597 A JP25056597 A JP 25056597A JP 25056597 A JP25056597 A JP 25056597A JP H1193016 A JPH1193016 A JP H1193016A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた発色性を示し、しかも従来のものに較
べて耐擦れ性に優れる、ドライタッチな風合いを有す
る、生産性に優れたポリエステルミクロクレーター繊維
の提供。 【解決手段】 ポリトリメチレンテレフタレートからな
り、かつガラス転移点温度が45〜80℃である繊維
で、繊維表面に凹凸が存在し、この凹凸が繊維軸方向に
0.001〜5.0μm、繊維軸と直交する方向に0.
001〜3.0μm、最大深さ0.01〜0.5μm
の、大きさと深さの異なる孔であって独立にまたは部分
的に繋がっているポリエステル系繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ミクロクレーター
繊維に関するものである。更に詳しくは、優れた発色性
を示し、耐擦れ性に優れ、ドライタッチな風合いを有す
る、生産性に優れたポリエステルミクロクレーター繊維
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレート繊維の発色
性の低さ、ワキシー感(ろうの様なぬめりのある感触)
を改善するために、繊維表面に0.1〜数μm程度の凹
凸を持つ、いわゆるミクロクレーター繊維が知られてい
る。これらのミクロクレーター繊維は、通常アルカリ水
溶液に可溶な微粒子、例えば、シリカ、アルミナ、カオ
リン、酸化チタン、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム、
酢酸ジルコニウム、リン酸カルシウム、リン酸エステル
や亜リン酸エステルと酢酸金属塩との反応物、ポリアル
キレングリコール等を繊維に含有させた後、アルカリ減
量を施し表面のポリマーと該微粒子を溶解させて得るこ
とができる(特開昭55−107512号公報、特開昭
57−143523号公報、特開昭56−132039
号公報、特開昭57−139118号公報、特開昭58
−13717号公報、特開昭58−13719号公報、
特開昭58−104215号公報、特開昭61−124
673号公報、特開昭61−179367号公報等)。
【0003】しかしながら、これらの繊維は表面の凹凸
があるために、擦れに対して非常に弱く、例えば婦人ア
ウター衣料に用いた場合、ショルダーバックのひもが当
たる肩の部分、ベルトが当たる腰の部分や肘部等が擦れ
て白くなるという重大な欠点を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ミク
ロクレーター繊維の欠点である擦れに対し弱いという問
題を解決しようとすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、耐擦れ性
を向上させるためには、ポリトリメチレンテレフタレー
トを用いることが有効であることを見出し、更に検討の
結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、繊維の
表面に凹凸が存在するポリエステル繊維において、上記
ポリエステル繊維が実質的にポリトリメチレンテレフタ
レートからなり、かつガラス転移点温度が45〜80℃
であり、上記凹凸が繊維軸方向に0.001〜5.0μ
m、繊維軸と直交する方向に0.001〜3.0μm、
最大深さ0.01〜0.5μmの、大きさと深さの異な
る孔からなり、かつ独立にあるいは部分的に繋がって存
在することを特徴とする発色性に優れたポリエステル繊
維、である。
【0006】本発明の発色性に優れたポリエステル繊維
は、テレフタル酸と1、3−プロパンジオールを重縮合
せしめて得られる、実質的にポリトリメチレンテレフタ
レートからなるものである。本発明において実質的にと
は、ポリトリメチレンテレフタレートホモポリマーであ
っても以下に示すポリトリメチレンテレフタレートコポ
リマーであってもよいことを示す。
【0007】本発明の発色性に優れたポリエステル繊維
は、ポリエチレンテレフタレート等のポリマーに比べ
て、耐摩擦磨耗性と弾性回復性に優れるポリトリメチレ
ンテレフタレートからなるので、表面に微細な凹凸があ
っても擦れた時に表面が削り取られにくくなり、その結
果、従来のポリエステル繊維に較べて耐擦れ性が極めて
優れた繊維である。
【0008】本発明の発色性に優れたポリエステル繊維
は、本発明の効果を損なわない範囲で、イソフタル酸、
コハク酸、アジピン酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸等の酸成分や、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘ
キサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等のグリ
コール成分、ε−カプロラクトン、4−ヒドロキシ安息
香酸、ポリオキシエチレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコール等が10重量%(wt%)未満共重合さ
れていてもよい。
【0009】また、必要に応じて、各種の添加剤、例え
ば、艶消し剤、熱安定剤、消泡剤、整色剤、難燃剤、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、結晶核剤、蛍
光増白剤などを共重合、または混合してもよい。本発明
の発色性に優れたポリエステル繊維を構成するポリマー
は、公知の方法を用いて重合することができる。例え
ば、テレフタル酸またはテレフタル酸の低級アルコール
エステルと過剰の1,3−プロパンジオールをテトラブ
チルチタネート等の触媒存在下、エステル交換反応さ
せ、次いで、得られた反応物にテトラブチルチタネート
等の触媒を加えて、0.5torr以下の真空下、24
0〜280℃で重縮合反応を行うことにより、当該ポリ
マーを得ることができる。共重合を行う場合には、上記
重合法の任意の段階でコモノマーを添加できる。カルボ
ン酸および、その誘導体を共重合する場合は、重合の最
初にコモノマーを添加することが好ましく、アルコール
を共重合する場合は、エステル交換反応が終了した時点
で添加するのが好ましい。
【0010】本発明の発色性に優れたポリエステル繊維
を構成するポリマーは、極限粘度[η]が、通常、0.
4〜2.0であることが好ましく、さらに好ましくは
0.5〜1.5、特に好ましくは0.6〜1.2であ
る。極限粘度が0.4未満の場合は、ポリマーの溶融粘
度が低すぎるため、紡糸性が不安定となる。また、得ら
れる繊維の強度も低く満足できるものではない。逆に極
限粘度が2.0を越える場合は、溶融粘度が高すぎるた
めに、ギアポンプでの計量がスムーズに行われなくな
り、吐出不良等で紡糸性は低下する。
【0011】本発明の発色性に優れたポリエステル繊維
は、単糸断面について特に制限はなく、丸、三角、四
角、五角、あるいは扁平糸であってもよい。また、中実
繊維、中空繊維、鞘芯糸であってもよい。中空糸の場合
には、中空部の形状については特に制限はなく、複数の
孔が空いていてもよい。本発明の発色性に優れたポリエ
ステル繊維は、凹凸が繊維表面に繊維軸方向に0.00
1〜5.0μm、繊維軸と直交する方向に0.001〜
3.0μm、最大深さ0.01〜0.5μmの、大きさ
と深さの異なる孔からなり、かつ独立にあるいは部分的
に繋がって存在することを特徴とするポリエステル繊維
であり、この表面構造を達成することで、優れた発色性
を示し、耐擦れ性に優れ、ドライタッチな風合いを有す
る繊維となる。
【0012】これらの孔は、繊維表面を覆う種々の孔の
面積比率で70%以上であることが好ましく、さらに好
ましくは90%以上存在していることが必要で、その場
合に良好な発色性、ドライタッチが達成される、もちろ
ん、繊維表面を覆う孔の内、面積比率で30%未満で上
記規定をはずれる孔が存在していてもよい。孔の大きさ
の測定は、繊維の表面を走査型電子顕微鏡で観察し(例
えば、×8000倍)、任意の5か所の25μm2の面
に観察される孔の繊維軸方向、繊維軸と直交する方向の
大きさを測定し、その平均値を算出する。繊維軸方向に
は0.001μmより小さい場合や5.0μmより大き
い場合は発色性が小さい。好ましくは、発色性、ドライ
タッチの観点から、繊維軸方向に0.1〜3.0μm、
繊維軸と直交する方向に0.01〜1.0μmで、最大
深さ0.01〜0.5μmである。孔の最大深さの測定
は、繊維の断面を透過型電子顕微鏡で観察し(倍率は、
繊維の外周の凹凸の大きさが肉眼にて十分判別できる値
に設定する、例えば、×80000倍)、繊維の外周を
観察し、最も深い部分の深さを測定する。0.01μm
より浅いと、鮮明深色性やドライタッチの風合いが十分
達せされず、0.5μmより深いと耐摩擦性が大きく低
下し、毛羽が発生したりする。発色性、耐擦れ性、ドラ
イタッチのバランスがよい点で、好ましくは0.01〜
0.2μm、さらに好ましくは、0.01〜0.1μm
である。
【0013】本発明の発色性に優れたポリエステル繊維
では、ガラス転移点温度(以下、Tgと略記する)が4
5〜80℃であることが必要である。Tgは非晶部分の
分子密度に対応するので、この値が小さくなるほど非晶
部分の分子密度が小さくなるために分子が動きやすくな
る。Tgが45℃未満では低い温度で分子が動きやすく
なるため、繊維が擦れによる劣化を受けやすくなるため
に好ましくはない。
【0014】また、Tgが80℃を越えると、繊維の剛
性が高くなって擦れが発生しやすくなり好ましくない。
好ましくはTgは45〜70℃、更に好ましくは55〜
65℃である。このようにTgは繊維の構造因子である
ために、同じ分子構造を持つポリマーであっても、紡糸
温度、紡糸速度、延伸倍率、熱処理温度等の紡糸条件に
よって異なる値を示すものである。特に、熱セット温度
でこの値は大きく変化するので、熱セット温度を変化さ
せてTgを上記の範囲にすることが好ましい。ポリトリ
メチレンテレフタレートホモポリマーの場合には、16
0〜180℃が好ましい熱セット温度である。
【0015】本発明の発色性に優れたポリエステル繊維
は、例えば、重合段階で微粒子を繊維に含有させてアル
カリ減量で微粒子を溶出させる方法を用いて製造され
る。微粒子は、重合の任意の段階で添加してよい。微粒
子はそのまま重合系に添加してもよいし、中和反応等を
利用して、2成分以上の微粒子の原料を添加して重合系
ないで微粒子を生成させてもよい。
【0016】微粒子の種類としては、コロイダルシリ
カ、シリカゲル、乾式シリカ、アルミナ、酸化チタン、
カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カ
リウム、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸マグネ
シウム等の無機塩、トリメチルホスフェート、トリエチ
ルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニ
ルホスフェート、トリメチルホスファイト、トリエチル
ホスファイト、トリブチルホスファイト、トリフェニル
ホスファイト、フェニルホスホン酸メチル、エチルホス
ホン酸メチル、リン酸、亜リン酸、フェニルホスホン酸
等の5価あるいは3価のリン化合物と酢酸カルシウム、
酢酸マグネシウム、酢酸マンガン、酢酸ジルコニウム、
酢酸ナトリウム等の金属塩との反応物、ポリエチレング
リコール、ポリテトラメチレングリコール等の有機物が
挙げられる。
【0017】微粒子は、一次粒子や一次粒子が凝集し生
成した二次粒子から構成される。本発明の発色性に優れ
たポリエステル繊維は、繊維内部に存在する一次粒子の
平均粒径は1.5μm以下が好ましく、更に好ましく
は、1μm以下である。平均粒径が1.5μmを越える
場合には微粒子が大きすぎて、紡糸時に紡口フィルター
に微粒子が詰まって大幅な圧力上昇が起こり、長期に紡
糸することができなかったり、紡糸安定性を確保するこ
とができない。また、同様の観点から、2μmを越える
微粒子が存在しないことも重要である。微粒子の粒子形
状は球状、針状、板状、棒状、星状等、特に制限するも
のではない。
【0018】これらの微粒子のポリマーに含有される割
合は、好ましくは0.01〜3wt%である。0.01
重量%よりも小さい場合には、発色性を高めるのに有効
な凹凸を形成することはできない。また、3重量(w
t)%よりも大きい場合には、紡糸収率の低下が起こ
る。好ましい含有率の範囲は0.1〜1.5重量%、更
に好ましくは0.2〜1.0重量(wt)%である。
【0019】本発明の発色性に優れたポリエステル繊維
は、紡口より押出した後に巻取り、次いで延伸を行うこ
とにより得ることができる。ここで巻取った後に延伸を
行うとは、紡糸を行った後にボビン等に巻取り、この糸
を別の装置を用いて延伸する、いわゆる通常法や、紡口
より押し出されたポリマーが完全に冷却固化した後、一
定の速度で回転している第一ロールに数回以上巻き付け
られることにより、ロール前後での張力が全く伝わらな
いようにし、第一ロールと第一ロールの次に設置してあ
る第二ロールとの間で延伸を行うような、紡糸−延撚工
程を直結したいわゆる直延法を指す。
【0020】溶融紡糸する際の紡糸温度は、230〜3
20℃が好ましく、さらに好ましくは235〜300
℃、特に好ましくは240〜280℃の範囲である。紡
糸温度が230℃未満では、温度が低過ぎて安定した溶
融状態になり難く、得られた繊維の斑が大きくなり、ま
た満足し得る強度、伸度を示さなくなる。また、紡糸温
度が320℃を越えると熱分解が激しくなり、得られた
糸は着色し、また満足し得る強度、伸度を示さなくな
る。
【0021】糸の巻取速度については、特に制限はない
が、通常、3500m/min以下が好ましく、さらに
好ましくは2500m/min以下、特に好ましくは2
000m/min以下で巻き取る。巻取速度が3500
m/minを越えると、巻取る前に結晶化が進み過ぎ、
延伸行程で延伸倍率を上げることができないために分子
を配向させることができず、十分な強度を得ることがで
きなかったり、捲き締まりが起こり、ボビン等が巻取機
より抜けなくなってしまったりする。延伸時の延伸倍率
は2〜4倍が好ましく、さらに好ましくは2.2〜3.
7倍、特に好ましくは、2.5〜3.5倍である。延伸
倍率が2倍以下では、延伸により十分にポリマーを配向
させることができず、得られた糸の強度が低いものとな
ってしまう。また4倍以上では糸切れが激しく、安定し
て延伸を行うことができない。
【0022】延伸の際の温度は、延伸ゾーンでは30〜
80℃が好ましく、さらに好ましくは35〜70℃、特
に好ましくは40℃〜65℃である。延伸ゾーンの温度
が30℃未満では延伸の際に糸切れが多発し、連続して
繊維を得ることができない。また80℃を越えると延伸
ロールなどの加熱ゾーン対する繊維の滑り性が悪化する
ため単糸切れが多発し、毛羽だらけの糸になってしま
う。
【0023】また、延伸直後の熱処理を行う必要ことが
好ましく、この熱処理温度は90〜200℃が好まし
く、さらに好ましくは100〜190℃、特に好ましく
は110〜190℃である。熱処理温度が90℃未満で
は繊維の結晶化が十分に起こらず、耐久性が悪化する。
また、200℃より高い温度では繊維が熱処理ゾーンで
切れてしまい延伸することができない。また、熱処理温
度が160〜200℃であっても弛緩状態では毛羽や糸
切れが生じる。
【0024】こうして得られる発色性に優れたポリエス
テル複合糸は、物性としては特に制限されないが、例示
するならば、強度は2.5〜4.5g/d程度、伸度2
5〜45%、弾性率20〜50g/d、20%伸長時の
弾性回復率70〜90%、融点220〜240℃である
ことが好ましい。本発明の発色性に優れたポリエステル
繊維は、紡糸した繊維から、精練、熱セット、仮撚加工
等を施した後、または布帛にした後、アルカリ性水溶液
中、その2重量%以上を溶出して表面に凹凸が付与され
る。
【0025】ここで用いるアルカリ水溶液に用いるアル
カリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、炭
酸ナトリウム、炭酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム等
が挙げられる。好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、炭酸ナトリウムである。アルカリ水溶液の濃度
は、通常、0.01〜40wt%であることが好まし
く、さらに好ましくは、0.1〜30wt%である。
【0026】処理温度は、常温〜100℃が好ましく、
処理時間は、1分〜4時間が好ましい。アルカリ減量時
の減量率は、本発明で示された表面構造を形成させるた
めには、少なくとも2wt%溶出させることが好まし
い。減量率が10wt%を越えると、繊維あるいは布帛
のソフトさが増し、風合いがよくなる。しかし、減量率
が40wt%を越えると、繊維が細くなりすぎ布帛の強
力が低下する。好ましい範囲としては5〜40wt%で
あり、更に好ましくは10〜30wt%である。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、実施例を挙げて本発明をよ
り詳細に説明する。なお、物性の主な測定値は以下の方
法で測定した。 (1)発色性(K/S) 一口編地を、スコアロール400を2g/リットル含む
温水を用いて、70℃、20分間精練処理した。次に、
5wt%の水酸化ナトリウム水溶液に精練した編地を加
え、沸騰状態で重量減少率が20wt%になるまで、ア
ルカリ減量を行った。
【0028】減量後、ミケロンポリエステルレッドFL
(三井東圧(株)製)を用い、ニッカサンソルト700
0(日華化学(株)製)0.5g/リットル、酢酸0.
25ml/リットルと酢酸ナトリウム1g/リットルを
加え、染料濃度6%owf、浴比1:50で130℃、
60分間染色を行った。染色後、常法により還元洗浄を
行い、乾燥後測色した。
【0029】発色性は、K/Sを用いて評価した。この
値は、染色後のサンプル布の分光反射率Rを測定し、以
下に示すクベルカ−ムンク(Kubelka−Mun
k)の式から求めた。この値が大きい程、深色効果が大
きいこと、すなわち、よく発色されていることを示す。
Rは、当該染料の最大吸収波長での値を採用した。 K/S=(1−R)2/2R (2)耐擦れ性 (1)で得られた染色物を学振式摩擦試験機を用い、当
て布として、JIS−L−0803記載の呼番号10番
のポリエステル繊維の平織物を用い、1000gの加重
を掛けて200回摩擦した。処理前後の染色物の退色度
を1〜5級(級が高いほど良い)で評価した。 (3)ドライタッチ 固定した5名が(1)の染色物をさわって、ドライタッ
チを1〜5級(級が高いほど良い)で評価した。 (4)融点およびガラス転移点温度 セイコー電子(株)製DSC200を用いて、窒素雰囲
気下、昇温速度20℃/minで測定した。
【0030】
【実施例1】テレフタル酸とトリメチレングリコールを
1:2で仕込み、コロイダルシリカ(一次粒子の平均粒
径:0.015μm)を20%含む水溶液をシリカ量が
理論ポリマー量の0.5wt%なるように仕込み、エス
テル交換触媒としてチタンテトラブトキシドを理論ポリ
マー量の0.01wt%添加し、240℃、3kg/c
2の加圧下でエステル交換した。その後、更にチタン
テトラブトキシドを理論ポリマー量の0.01wt%添
加し、0.1Torrで、290℃、2時間40分反応
を行い、極限粘度0.9の微粒子を含むポリトリメチレ
ンテレフタレートを得た。
【0031】得られたポリマーチップを160℃で10
0リットル/minの窒素気流下、20時間乾燥させた
後、24個の丸断面の孔を持つ紡口を用い、紡糸温度2
70℃、紡糸速度1500m/minで未延伸糸を作成
した。次いで、得られた未延伸糸をホットロール60
℃、ホットプレート140℃、延伸倍率3.2倍、延伸
速度800m/minで延撚を行い、50d/24fの
延伸糸を得た。強度は3.8g/d、伸度は32%、ガ
ラス転移点温度は60℃、融点は236℃であった。得
られた染色物のK/Sは、25.3であり、極めて優れ
た発色性を示した。また、耐擦れ性、ドライタッチは共
に5級であった。
【0032】
【比較例1】トリメチレングリコールの代わりにエチレ
ングリコールを用いた他は実施例1と同様の実施した。
繊維のガラス転移点温度は76℃であった。得られた染
色物のK/Sは23.4であった。また、耐擦れ性は3
級、ドライタッチは5級であった。発色性、耐擦れ性は
実施例1に比べて劣っていた。
【0033】
【実施例2】実施例1のエステル交換反応の終了後、ト
リメチルホスフェートと酢酸カルシウムを2:1の比率
で、理論ポリマー量の0.5wt%となるように添加
し、次に重縮合反応を完結させた。実施例1と同様に紡
糸を行ったところ、強度は3.9g/d、伸度は32
%、ガラス転移点温度は58℃、融点は234℃であっ
た。得られた染色物のK/Sは、26.1であり、極め
て優れた発色性を示した。また、耐擦れ性、ドライタッ
チは共に5級であった。
【0034】
【比較例2】トリメチレングリコールの代わりにエチレ
ングリコールを用いた他は実施例2と同様の実施した。
得られた染色物のK/Sは24.0であった。また、耐
擦れ性は3級、ドライタッチは5級であった。発色性、
耐擦れ性は実施例1に比べて劣っていた。
【0035】
【実施例3】トリメチルホスフェートの代わりにフェニ
ルホスホン酸ジメチルを用い他は実施例2と同様の実施
した。得られた染色物のK/Sは27.0であった。ま
た、耐擦れ性は5級、ドライタッチは5級であった。発
色性、耐擦れ性は良好であった。
【0036】
【発明の効果】本発明の発色性に優れたポリエステル繊
維は、優れた発色性を示し、かつ、従来のものに比較し
て、耐擦れ性に優れ、ドライタッチな風合いを有する、
生産性に優れたポリエステルミクロクレーター繊維であ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維の表面に凹凸が存在するポリエステ
    ル繊維において、上記ポリエステル繊維が実質的にポリ
    トリメチレンテレフタレートからなり、かつガラス転移
    点温度が45〜80℃であり、上記凹凸が繊維軸方向に
    0.001〜5.0μm、繊維軸と直交する方向に0.
    001〜3.0μm、最大深さ0.01〜0.5μm
    の、大きさと深さの異なる孔からなり、かつ独立にある
    いは部分的に繋がって存在することを特徴とする発色性
    に優れたポリエステル繊維。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013213293A (ja) * 2012-03-31 2013-10-17 Kb Seiren Ltd カチオン易染ポリエステル繊維およびその製造方法、ならびにその繊維を用いた繊維製品

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JP2013213293A (ja) * 2012-03-31 2013-10-17 Kb Seiren Ltd カチオン易染ポリエステル繊維およびその製造方法、ならびにその繊維を用いた繊維製品

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