JPH1192213A - Al2O3−TiC系焼結体及びその製造方法 - Google Patents
Al2O3−TiC系焼結体及びその製造方法Info
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- JPH1192213A JPH1192213A JP9258791A JP25879197A JPH1192213A JP H1192213 A JPH1192213 A JP H1192213A JP 9258791 A JP9258791 A JP 9258791A JP 25879197 A JP25879197 A JP 25879197A JP H1192213 A JPH1192213 A JP H1192213A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】Al2 O3 −TiC系焼結体において、よりち
密化し、均一な特性を有すとともに、一軸方向の内部応
力を緩和して切断時の変形を防止し、機械加工性の優れ
た焼結体を得る。 【解決手段】Al2 O3 −TiC系原料を用い、ホット
プレス法で焼成した後、さらにHIP法を行う。
密化し、均一な特性を有すとともに、一軸方向の内部応
力を緩和して切断時の変形を防止し、機械加工性の優れ
た焼結体を得る。 【解決手段】Al2 O3 −TiC系原料を用い、ホット
プレス法で焼成した後、さらにHIP法を行う。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜磁気ヘッド用
基板や、各種治具、測定用具などに用いられるAl2 O
3 −TiC系焼結体及びその製造方法に関する。
基板や、各種治具、測定用具などに用いられるAl2 O
3 −TiC系焼結体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、磁気記録装置を構成する磁気
ヘッドの一種として薄膜磁気ヘッドが用いられている。
これは、所定の基板の表面にスパッタリングなどの薄膜
手法により磁気回路を形成するもので、磁気ギャップが
小さく制御できるため高密度記録が可能なものである。
この薄膜磁気ヘッドにおいて用いられる基板は、磁気記
録媒体と対面する表面がスライダー浮上面として機能す
ることから、その基板表面には溝やステップ部などの種
々加工が施される。
ヘッドの一種として薄膜磁気ヘッドが用いられている。
これは、所定の基板の表面にスパッタリングなどの薄膜
手法により磁気回路を形成するもので、磁気ギャップが
小さく制御できるため高密度記録が可能なものである。
この薄膜磁気ヘッドにおいて用いられる基板は、磁気記
録媒体と対面する表面がスライダー浮上面として機能す
ることから、その基板表面には溝やステップ部などの種
々加工が施される。
【0003】上記薄膜磁気ヘッド用の基板の材料として
は、当初から機械加工への適合性から、耐摩特性が優
れ、鏡面加工性が優れ、耐チッピング性及び機械加工性
に優れるAl2 O3 −TiC系焼結体が多用されてい
る。そして、このAl2 O3 −TiC系焼結体からなる
基板上に、多数の磁気回路を形成した後、切断すること
によって個々の薄膜磁気ヘッドを製造するようになって
いる。
は、当初から機械加工への適合性から、耐摩特性が優
れ、鏡面加工性が優れ、耐チッピング性及び機械加工性
に優れるAl2 O3 −TiC系焼結体が多用されてい
る。そして、このAl2 O3 −TiC系焼結体からなる
基板上に、多数の磁気回路を形成した後、切断すること
によって個々の薄膜磁気ヘッドを製造するようになって
いる。
【0004】その後、磁気記録の高密度化に伴い、磁気
ヘッドの磁気記録面からの浮上量がさらに小さくなり、
これに伴い、スライダー浮上面には平面度、面粗さ、ク
ラウン、チャンバー、プレンディング等の高い寸法精度
が要求されるようになっている。そのため、加工方法と
しては、Arのような不活性ガスイオンを加工鏡面に照
射しながら加工を行う、いわゆるイオンミリング法また
はRIE(Reactive Ion Etchin
g)法による加工が導入された。
ヘッドの磁気記録面からの浮上量がさらに小さくなり、
これに伴い、スライダー浮上面には平面度、面粗さ、ク
ラウン、チャンバー、プレンディング等の高い寸法精度
が要求されるようになっている。そのため、加工方法と
しては、Arのような不活性ガスイオンを加工鏡面に照
射しながら加工を行う、いわゆるイオンミリング法また
はRIE(Reactive Ion Etchin
g)法による加工が導入された。
【0005】ところで、上記Al2 O3 −TiC系焼結
体では、Al2 O3 とTiCとのイオンミリング速度
(イオンミリングにおけるエッチングの容易さ)が異な
ることから、イオンミリング法等による加工後の表面が
粗くなるという問題がある。そこで、予めイオンミリン
グ速度の速いAl2 O3 結晶の粒径をTiC結晶の粒径
より大きく設定しておくことによって、両者のイオンミ
リング速度をあわせ、これによりイオンミリング法やR
IE法などのイオン照射による加工後の表面品位を高め
ることを本出願人は提案した(特開平7−242463
号公報参照)。
体では、Al2 O3 とTiCとのイオンミリング速度
(イオンミリングにおけるエッチングの容易さ)が異な
ることから、イオンミリング法等による加工後の表面が
粗くなるという問題がある。そこで、予めイオンミリン
グ速度の速いAl2 O3 結晶の粒径をTiC結晶の粒径
より大きく設定しておくことによって、両者のイオンミ
リング速度をあわせ、これによりイオンミリング法やR
IE法などのイオン照射による加工後の表面品位を高め
ることを本出願人は提案した(特開平7−242463
号公報参照)。
【0006】なお、このAl2 O3 −TiC系焼結体
は、80〜60重量%のAl2 O3 と20〜40重量%
のTiCからなり、Yb2 O3 等の焼結助剤を含有する
ものである。ただし、焼結体中のAl2 O3 やTiCの
結晶粒界に、上記焼結助剤や焼結助剤とAl2 O3 との
化合物層、あるいはガラス相が多く存在すると、イオン
ミリング法やRIE法による加工を行った際に、粒界に
存在する化合物相やガラス相はAl2 O3 やTiCと比
べエッチング速度が著しく大きいため、粒界相が優先的
にエッチングされて加工後の表面品位が劣化する恐れが
ある。そこで、上記焼結助剤の含有量を1重量%以下と
低くすることが行われている。
は、80〜60重量%のAl2 O3 と20〜40重量%
のTiCからなり、Yb2 O3 等の焼結助剤を含有する
ものである。ただし、焼結体中のAl2 O3 やTiCの
結晶粒界に、上記焼結助剤や焼結助剤とAl2 O3 との
化合物層、あるいはガラス相が多く存在すると、イオン
ミリング法やRIE法による加工を行った際に、粒界に
存在する化合物相やガラス相はAl2 O3 やTiCと比
べエッチング速度が著しく大きいため、粒界相が優先的
にエッチングされて加工後の表面品位が劣化する恐れが
ある。そこで、上記焼結助剤の含有量を1重量%以下と
低くすることが行われている。
【0007】また、このように焼結助剤の含有量を低く
すると焼結性が悪くなるため、このAl2 O3 −TiC
系焼結体を製造する場合は、上記の原料を混合して所定
形状に成形した後、ホットプレス法による加圧焼成を行
う必要があった。
すると焼結性が悪くなるため、このAl2 O3 −TiC
系焼結体を製造する場合は、上記の原料を混合して所定
形状に成形した後、ホットプレス法による加圧焼成を行
う必要があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のAl
2 O3 −TiC系焼結体は、高性能の薄膜磁気ヘッド基
板を普及たらしめた点で非常に価値の高い材料である
が、今後予想される磁気記録の更なる高密度化に対応で
きるようにするためにも、更なる改良が望まれている。
2 O3 −TiC系焼結体は、高性能の薄膜磁気ヘッド基
板を普及たらしめた点で非常に価値の高い材料である
が、今後予想される磁気記録の更なる高密度化に対応で
きるようにするためにも、更なる改良が望まれている。
【0009】特に、薄膜磁気ヘッド用基板は、その表面
に磁気回路を形成した後、切断して個々の薄膜磁気ヘッ
ドとするが、個々の切断片の間で特性のばらつきが生じ
るという問題があった。
に磁気回路を形成した後、切断して個々の薄膜磁気ヘッ
ドとするが、個々の切断片の間で特性のばらつきが生じ
るという問題があった。
【0010】また、上記切断工程後に切断片が微妙に変
形してしまい、磁気記録媒体と対向する面の表面状態が
悪くなるという問題もあった。
形してしまい、磁気記録媒体と対向する面の表面状態が
悪くなるという問題もあった。
【0011】これは、上述したようにAl2 O3 −Ti
C焼結体の製造工程では焼成方法としてホットプレス法
を用いる必要があり、ホットプレス法では一軸方向の加
圧であるため、得られた焼結体に方向性のある内部応力
が残ってしまい、切断時にこの残留内部応力によって変
形してしまうのである。
C焼結体の製造工程では焼成方法としてホットプレス法
を用いる必要があり、ホットプレス法では一軸方向の加
圧であるため、得られた焼結体に方向性のある内部応力
が残ってしまい、切断時にこの残留内部応力によって変
形してしまうのである。
【0012】さらに、このAl2 O3 −TiC系焼結体
には、他部材と衝突したような場合に破損しないように
高い靱性を有することも求められている。
には、他部材と衝突したような場合に破損しないように
高い靱性を有することも求められている。
【0013】従って、本発明は、上記従来技術をさらに
改良し、より高性能のAl2 O3 −TiC系焼結体を得
ることを目的とする。
改良し、より高性能のAl2 O3 −TiC系焼結体を得
ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、Al2 O3 を
主成分とし、20〜40重量%のTiCを含有する原料
を用い、ホットプレス法により焼成した後、熱間等方圧
加圧法(以下HIP法)で処理することによりAl2 O
3 −TiC系焼結体を製造することを特徴とする。
主成分とし、20〜40重量%のTiCを含有する原料
を用い、ホットプレス法により焼成した後、熱間等方圧
加圧法(以下HIP法)で処理することによりAl2 O
3 −TiC系焼結体を製造することを特徴とする。
【0015】即ち、ホットプレス法で焼結した後、さら
にHIP法で処理することで、より緻密化させて靱性を
高めることができ、焼結体の部分的な特性のばらつきを
少なくし、さらにホットプレス法で焼結体内部に生じた
一軸方向の内部応力を緩和することができるのである。
にHIP法で処理することで、より緻密化させて靱性を
高めることができ、焼結体の部分的な特性のばらつきを
少なくし、さらにホットプレス法で焼結体内部に生じた
一軸方向の内部応力を緩和することができるのである。
【0016】このような製造方法により、本発明のAl
2 O3 −TiC系焼結体は、部分比重ばらつきが0.0
2以下であることを特徴とする。
2 O3 −TiC系焼結体は、部分比重ばらつきが0.0
2以下であることを特徴とする。
【0017】ここで、部分比重ばらつきとは、詳細を後
述するように、焼結体を複数に分割した時の各分割片の
比重のばらつきのことであり、上述したようにホットプ
レス法とHIP法により焼成することで、より緻密で均
一に焼結できるため、部分比重ばらつきを極めて小さく
できる。そのため、このAl2 O3 −TiC系焼結体を
薄膜磁気ヘッド用基板として用いれば、多数の磁気回路
を形成した後、切断して各薄膜磁気ヘッドを得た場合
に、各切断片の特性のばらつきを小さくすることができ
る。
述するように、焼結体を複数に分割した時の各分割片の
比重のばらつきのことであり、上述したようにホットプ
レス法とHIP法により焼成することで、より緻密で均
一に焼結できるため、部分比重ばらつきを極めて小さく
できる。そのため、このAl2 O3 −TiC系焼結体を
薄膜磁気ヘッド用基板として用いれば、多数の磁気回路
を形成した後、切断して各薄膜磁気ヘッドを得た場合
に、各切断片の特性のばらつきを小さくすることができ
る。
【0018】また、上記製造方法により、本発明のAl
2 O3 −TiC系焼結体は、残留内部応力が0.08k
gf/mm2 以下であることを特徴とする。
2 O3 −TiC系焼結体は、残留内部応力が0.08k
gf/mm2 以下であることを特徴とする。
【0019】即ち、上述したように、ホットプレス法に
より生じた一軸方向の内部応力を、HIP法による等法
加圧で緩和することができ、最終的な焼結体で残留の内
部応力を小さくすることができる。そのため、このAl
2 O3 −TiC系焼結体を薄膜磁気ヘッド用基板として
用いれば、切断工程後の変形量を極めて小さくできる。
より生じた一軸方向の内部応力を、HIP法による等法
加圧で緩和することができ、最終的な焼結体で残留の内
部応力を小さくすることができる。そのため、このAl
2 O3 −TiC系焼結体を薄膜磁気ヘッド用基板として
用いれば、切断工程後の変形量を極めて小さくできる。
【0020】さらに、上記製造方法により、本発明のA
l2 O3 −TiC系焼結体は、破壊靱性K1Cが4.3M
Pa√m以上であることを特徴とする。
l2 O3 −TiC系焼結体は、破壊靱性K1Cが4.3M
Pa√m以上であることを特徴とする。
【0021】即ち、ホットプレス法とHIP法を行うこ
とによって、極めて緻密な焼結体を得ることができ、そ
の結果、非常に靱性の高い焼結体が得られる。
とによって、極めて緻密な焼結体を得ることができ、そ
の結果、非常に靱性の高い焼結体が得られる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を説明す
る。
る。
【0023】本発明のAl2 O3 −TiC系焼結体から
なる薄膜磁気ヘッド用基板を図1に示す。このように、
基板1は図1(a)に示す円盤状や、図1(b)に示す
角板状であり、この表面1aは表面粗さ(Ra)50Å
以下の極めて滑らかな面となっている。そして、この表
面1aに薄膜手法により多数の磁気回路を形成した後、
切断することによって、個々の薄膜磁気ヘッドを得るこ
とができる。
なる薄膜磁気ヘッド用基板を図1に示す。このように、
基板1は図1(a)に示す円盤状や、図1(b)に示す
角板状であり、この表面1aは表面粗さ(Ra)50Å
以下の極めて滑らかな面となっている。そして、この表
面1aに薄膜手法により多数の磁気回路を形成した後、
切断することによって、個々の薄膜磁気ヘッドを得るこ
とができる。
【0024】そして、上記基板1を成すAl2 O3 −T
iC系焼結体は、部分比重ばらつきが0.02以下とな
っている。
iC系焼結体は、部分比重ばらつきが0.02以下とな
っている。
【0025】ここで、部分比重ばらつきとは、図2に示
すように、基板1を縦横の分割線で9個に分割し、各分
割片の比重を測定した時の、最大値と最小値の差のこと
である。
すように、基板1を縦横の分割線で9個に分割し、各分
割片の比重を測定した時の、最大値と最小値の差のこと
である。
【0026】即ち、本発明のAl2 O3 −TiC系焼結
体は、部分比重ばらつきが0.02以下と、各部分の比
重にばらつきが極めて小さくなっているのである。その
ため、切断して個々の薄膜磁気ヘッド基板とした際に、
各切断片の比重のばらつきも小さくなり、各薄膜磁気ヘ
ッドの特性を均一にすることができる。
体は、部分比重ばらつきが0.02以下と、各部分の比
重にばらつきが極めて小さくなっているのである。その
ため、切断して個々の薄膜磁気ヘッド基板とした際に、
各切断片の比重のばらつきも小さくなり、各薄膜磁気ヘ
ッドの特性を均一にすることができる。
【0027】また、上記基板1を成すAl2 O3 −Ti
C系焼結体は、残留内部応力が0.08kgf/mm2
以下となっている。
C系焼結体は、残留内部応力が0.08kgf/mm2
以下となっている。
【0028】ここで、残留内部応力は以下のようにして
求める。まず、図3(a)に示すように、基板1を所定
位置で切断し、切断面1bを鏡面加工した後、その切断
面1bの平面度を平面度測定器で測定する。次に、図3
(b)に示すように、切断面1bから一定幅で再度切断
してバー状とし、新たな切断面1cを同様に鏡面加工し
て加工応力をなくす。その後、最初の切断面1bの平面
度を再度測定して、初期の値との差Yを求める。即ち、
切断面1bから一定幅で再度切断することによって、残
留内部応力により、切断面1bが変形することになり、
この変形量(差Y)をもとにして残留内部応力を求める
ことができる。
求める。まず、図3(a)に示すように、基板1を所定
位置で切断し、切断面1bを鏡面加工した後、その切断
面1bの平面度を平面度測定器で測定する。次に、図3
(b)に示すように、切断面1bから一定幅で再度切断
してバー状とし、新たな切断面1cを同様に鏡面加工し
て加工応力をなくす。その後、最初の切断面1bの平面
度を再度測定して、初期の値との差Yを求める。即ち、
切断面1bから一定幅で再度切断することによって、残
留内部応力により、切断面1bが変形することになり、
この変形量(差Y)をもとにして残留内部応力を求める
ことができる。
【0029】具体的には、この差Yを用いて、 両持ちはかり応力計算式:σ=24EhY/5L2 E:ヤング率 h:バー幅 Y:変形量(差) L:バー長さ を用いて、残留内部応力σを計算すれば良い。
【0030】このように、本発明のAl2 O3 −TiC
系焼結体は、残留内部応力が0.08kgf/mm2 以
下と小さいため、薄膜磁気ヘッド用基板を切断して個々
の薄膜磁気ヘッドとする際に、変形量を極めて小さくす
ることができる。
系焼結体は、残留内部応力が0.08kgf/mm2 以
下と小さいため、薄膜磁気ヘッド用基板を切断して個々
の薄膜磁気ヘッドとする際に、変形量を極めて小さくす
ることができる。
【0031】さらに、上記基板1を成すAl2 O3 −T
iC系焼結体は、破壊靱性K1Cが4.3MPa√m以上
と非常に高靱性となっている。
iC系焼結体は、破壊靱性K1Cが4.3MPa√m以上
と非常に高靱性となっている。
【0032】そのため、薄膜磁気ヘッドの製造時や、薄
膜磁気ヘッドとしての使用時等に、他部材と衝突しても
破損の恐れを小さくすることができる。
膜磁気ヘッドとしての使用時等に、他部材と衝突しても
破損の恐れを小さくすることができる。
【0033】なお、上記Al2 O3 −TiC系焼結体
は、80〜60重量%のAl2 O3 と、20〜40重量
%のTiCからなり、焼結助剤としてYb2 O3 、Y2
O3 等の焼結助剤をこれら合計に対して1重量%以下の
範囲で含有したものである。また、上記TiCの一部を
TiO2 で置換することもできる。
は、80〜60重量%のAl2 O3 と、20〜40重量
%のTiCからなり、焼結助剤としてYb2 O3 、Y2
O3 等の焼結助剤をこれら合計に対して1重量%以下の
範囲で含有したものである。また、上記TiCの一部を
TiO2 で置換することもできる。
【0034】そして、本発明のAl2 O3 −TiC系焼
結体の製造方法は、上記範囲内の原料を用いて、まず所
定形状に成形した後、温度1550〜1800℃、圧力
200〜800kg/cm2 でホットプレス法により焼
成する。その後、得られた焼結耐に対し、温度1500
〜1700℃、圧力1000〜2000kgf/cm2
でHIP法を行うことを特徴とする。
結体の製造方法は、上記範囲内の原料を用いて、まず所
定形状に成形した後、温度1550〜1800℃、圧力
200〜800kg/cm2 でホットプレス法により焼
成する。その後、得られた焼結耐に対し、温度1500
〜1700℃、圧力1000〜2000kgf/cm2
でHIP法を行うことを特徴とする。
【0035】そのため、より緻密な焼結ができることか
ら、上述したように部分比重ばらつきを小さくできると
ともに、靱性を高くすることができる。また、ホットプ
レス法により生じた一軸方向の内部応力をHIP法の等
方加圧で緩和することができ、最終的な残留内部応力を
小さくできるのである。
ら、上述したように部分比重ばらつきを小さくできると
ともに、靱性を高くすることができる。また、ホットプ
レス法により生じた一軸方向の内部応力をHIP法の等
方加圧で緩和することができ、最終的な残留内部応力を
小さくできるのである。
【0036】なお、以上の実施形態では薄膜磁気ヘッド
用基板について説明したが、本発明のAl2 O3 −Ti
C系焼結体は、その他に磁気記録装置や各種電子機器等
の製造工程で用いる精密治具、測定用具、あるいはその
他の各種精密部品等に使用することができる。
用基板について説明したが、本発明のAl2 O3 −Ti
C系焼結体は、その他に磁気記録装置や各種電子機器等
の製造工程で用いる精密治具、測定用具、あるいはその
他の各種精密部品等に使用することができる。
【0037】
【実施例】実施例1 Al2 O3 原料(純度:99.9%以上)、TiC原料
(純度:99.5%以上)を使用し、これらをAl2 O
3 が70重量%、TiCが30重量%となるように秤量
し、その中にTiCに対して約10重量%のTiO2 と
焼結助剤としてYb2 O3 を他成分に対して0.1重量
%を添加後、ボールミルなどの任意の混合方法により原
料を作製した。この原料を用いて、直径約130mmの
円盤を成形し、その成形体を1700℃、250kgf
/cm2 の圧力で1時間ホットプレス法で焼成した。そ
の後、1600℃、1500kgf/cm2 の圧力でH
IP法を行い、本発明のAl2 O3 −TiC焼結体を得
た。
(純度:99.5%以上)を使用し、これらをAl2 O
3 が70重量%、TiCが30重量%となるように秤量
し、その中にTiCに対して約10重量%のTiO2 と
焼結助剤としてYb2 O3 を他成分に対して0.1重量
%を添加後、ボールミルなどの任意の混合方法により原
料を作製した。この原料を用いて、直径約130mmの
円盤を成形し、その成形体を1700℃、250kgf
/cm2 の圧力で1時間ホットプレス法で焼成した。そ
の後、1600℃、1500kgf/cm2 の圧力でH
IP法を行い、本発明のAl2 O3 −TiC焼結体を得
た。
【0038】また、比較例として、上記ホットプレスに
よる焼成後、HIPを行わないものも用意した。
よる焼成後、HIPを行わないものも用意した。
【0039】得られた各焼結体に対して、全体の見掛け
比重を測定し、図2(a)に示す方法で9個に分割して
各分割片の比重を測定することにより部分見かけ比重の
ばらつきを求めた。また、各焼結体を鏡面加工してIF
法で破壊靱性K1Cを測定した。
比重を測定し、図2(a)に示す方法で9個に分割して
各分割片の比重を測定することにより部分見かけ比重の
ばらつきを求めた。また、各焼結体を鏡面加工してIF
法で破壊靱性K1Cを測定した。
【0040】結果を表1に示すように、本発明実施例
(No.3,4)は、比較例(No.1,2)に比べ
て、部分比重ばらつきを0.02以下と小さくでき、か
つ破壊靱性を4.3MPa√m以上と高くできることが
わかる。
(No.3,4)は、比較例(No.1,2)に比べ
て、部分比重ばらつきを0.02以下と小さくでき、か
つ破壊靱性を4.3MPa√m以上と高くできることが
わかる。
【0041】
【表1】
【0042】実施例2 Al2 O3 原料(純度:99.9%以上)、TiC原料
(純度:99.5%以上)を使用し、これらをAl2 O
3 が70重量%、TiCが30重量%となるように秤量
し、その中にTiCに対して約10重量%のTiO2 と
焼結助剤としてYb2 O3 を他成分に対して0.1重量
%を添加後、ボールミルなどの任意の混合方法により原
料を作製した。この原料を用いて、直径約130mmの
円盤を成形し、その成形体を1700℃、250kgf
/cm2 の圧力で1時間ホットプレス焼成した。その
後、1600℃、1500kgf/cm2 のHIPをお
こなった。
(純度:99.5%以上)を使用し、これらをAl2 O
3 が70重量%、TiCが30重量%となるように秤量
し、その中にTiCに対して約10重量%のTiO2 と
焼結助剤としてYb2 O3 を他成分に対して0.1重量
%を添加後、ボールミルなどの任意の混合方法により原
料を作製した。この原料を用いて、直径約130mmの
円盤を成形し、その成形体を1700℃、250kgf
/cm2 の圧力で1時間ホットプレス焼成した。その
後、1600℃、1500kgf/cm2 のHIPをお
こなった。
【0043】また、比較例として、上記ホットプレスに
よる焼成後、HIPを行わないものも用意した。
よる焼成後、HIPを行わないものも用意した。
【0044】得られた各焼結体に対し、図3(a)に示
すように端面を切断後、切断面1bを鏡面加工し、その
面を平面度測定器(ZYGO)にてキャンバー方向の平
面度測定を行った。その後、図3(b)に示すように1
mm幅で再度切断し、新たな切断面1cを鏡面加工する
ことで、加工応力をなくし、初めに測定した切断面1b
の平面度を再測定し、初期値との差Yを求めた。
すように端面を切断後、切断面1bを鏡面加工し、その
面を平面度測定器(ZYGO)にてキャンバー方向の平
面度測定を行った。その後、図3(b)に示すように1
mm幅で再度切断し、新たな切断面1cを鏡面加工する
ことで、加工応力をなくし、初めに測定した切断面1b
の平面度を再測定し、初期値との差Yを求めた。
【0045】この差Yを用いて、 両持ちはかり応力計算式:σ=24EhY/5L2 E:ヤング率(=4×104 kgf/mm2 ) h:バー幅(=1mm) Y:変形量(差) L:バー長さ(=70mm) により、残留内部応力σを計算した。
【0046】結果を表2に示す。なお、平面度について
は、凹形状をマイナス、凸形状をプラスで表した。この
結果から明らかなように、本発明実施例(No.3,
4)では残留内部応力を0.08kgf/mm2 以下と
小さくすることができ、HIP法によって内部応力を緩
和できることが解った。
は、凹形状をマイナス、凸形状をプラスで表した。この
結果から明らかなように、本発明実施例(No.3,
4)では残留内部応力を0.08kgf/mm2 以下と
小さくすることができ、HIP法によって内部応力を緩
和できることが解った。
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
Al2 O3 −TiC系焼結体において、ホットプレス法
で焼成した後、さらにHIP法を行うことによって、よ
りち密化されるとともに、均一な特性の焼結体が得ら
れ、さらに一軸方向の内部応力が緩和されることによ
り、切断時の変形を防止し、機械加工性の優れた焼結体
を得ることができる。
Al2 O3 −TiC系焼結体において、ホットプレス法
で焼成した後、さらにHIP法を行うことによって、よ
りち密化されるとともに、均一な特性の焼結体が得ら
れ、さらに一軸方向の内部応力が緩和されることによ
り、切断時の変形を防止し、機械加工性の優れた焼結体
を得ることができる。
【0049】したがって、本発明のAl2 O3 −TiC
系焼結体を用いれば、薄膜磁気ヘッドなどのスライダー
における浮上面の超精密加工を行うことができ、磁気ヘ
ッドの信頼性を高めることができる。
系焼結体を用いれば、薄膜磁気ヘッドなどのスライダー
における浮上面の超精密加工を行うことができ、磁気ヘ
ッドの信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)(b)は本発明のAl2 O3 −TiC系
焼結体からなる薄膜磁気ヘッド用基板を示す斜視図であ
る。
焼結体からなる薄膜磁気ヘッド用基板を示す斜視図であ
る。
【図2】(a)(b)は本発明のAl2 O3 −TiC系
焼結体の部分比重ばらつきの測定方法を説明するための
図である。
焼結体の部分比重ばらつきの測定方法を説明するための
図である。
【図3】(a)(b)は本発明のAl2 O3 −TiC系
焼結体における内部応力の測定方法を示す図である。
焼結体における内部応力の測定方法を示す図である。
1:基板 1a:表面 1b、1c:切断面
Claims (4)
- 【請求項1】Al2 O3 を主成分とし、20〜40重量
%のTiCを含有するとともに、部分比重ばらつきが
0.02以下であることを特徴とするAl2 O3 −Ti
C系焼結体。 - 【請求項2】Al2 O3 を主成分とし、20〜40重量
%のTiCを含有するとともに、残留内部応力が0.0
8kgf/mm2 以下であることを特徴とするAl2 O
3 −TiC系焼結体。 - 【請求項3】Al2 O3 を主成分とし、20〜40重量
%のTiCを含有するとともに、破壊靱性K1Cが4.3
MPa√m以上であることを特徴とするAl2 O3 −T
iC系焼結体。 - 【請求項4】Al2 O3 を主成分とし、20〜40重量
%TiCを含有する原料を所定形状に成形し、ホットプ
レス法により焼成した後、熱間等方圧加圧法により熱処
理することを特徴とするAl2 O3 −TiC系焼結体の
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9258791A JPH1192213A (ja) | 1997-09-24 | 1997-09-24 | Al2O3−TiC系焼結体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9258791A JPH1192213A (ja) | 1997-09-24 | 1997-09-24 | Al2O3−TiC系焼結体及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1192213A true JPH1192213A (ja) | 1999-04-06 |
Family
ID=17325133
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9258791A Pending JPH1192213A (ja) | 1997-09-24 | 1997-09-24 | Al2O3−TiC系焼結体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1192213A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006347798A (ja) * | 2005-06-15 | 2006-12-28 | Kyocera Corp | セラミック焼結体及びその製造方法並びに磁気ヘッド用基板 |
JP2008105938A (ja) * | 2006-09-29 | 2008-05-08 | Nippon Tungsten Co Ltd | 複合セラミックス |
JP2009026405A (ja) * | 2007-07-20 | 2009-02-05 | Tdk Corp | 磁気ヘッドスライダ用材料、磁気ヘッドスライダ、ハードディスク装置、及び磁気ヘッドスライダ用材料の製造方法 |
-
1997
- 1997-09-24 JP JP9258791A patent/JPH1192213A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006347798A (ja) * | 2005-06-15 | 2006-12-28 | Kyocera Corp | セラミック焼結体及びその製造方法並びに磁気ヘッド用基板 |
JP2008105938A (ja) * | 2006-09-29 | 2008-05-08 | Nippon Tungsten Co Ltd | 複合セラミックス |
JP2009026405A (ja) * | 2007-07-20 | 2009-02-05 | Tdk Corp | 磁気ヘッドスライダ用材料、磁気ヘッドスライダ、ハードディスク装置、及び磁気ヘッドスライダ用材料の製造方法 |
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050208 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050215 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050418 |
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A02 | Decision of refusal |
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