JPH1191321A - 重荷重用空気入りタイヤ - Google Patents

重荷重用空気入りタイヤ

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JPH1191321A
JPH1191321A JP9259977A JP25997797A JPH1191321A JP H1191321 A JPH1191321 A JP H1191321A JP 9259977 A JP9259977 A JP 9259977A JP 25997797 A JP25997797 A JP 25997797A JP H1191321 A JPH1191321 A JP H1191321A
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JP
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tire
bead
rim
rubber
compression
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JP9259977A
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Tsutomu Nomura
努 野村
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Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好なリム組み性と、高トルク負荷の下でリ
ム滑りを生じない優れた耐リム滑り性とを両立させた重
荷重用空気入りタイヤを提供する。 【解決手段】 ゴムチェーファは圧縮ひずみ率30%での
圧縮弾性率MC が17.6kgf/cm2 以上で、かつ熱処理温度
は20℃及び50℃での圧縮永久ひずみ率CSがそれぞれ2%
以下及び4.5 %以下であるゴムより成り、タイヤ及び適
用リム組立体のビード部とリムとの間における、ビード
コアの断面図形の重心を通るタイヤ回転軸線への垂線上
でのゴム部分圧縮比ηの値が0.37以下であり、かつリム
のビードシートとビード部のゴムチェーファとの間の圧
縮力が24〜35kgf/cm2 である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、重荷重用空気入
りタイヤ、より詳細には重荷重負荷の下で使用されるタ
イヤの典型例として、一般路上を走行するトラックや土
木・建設・鉱山などで稼働する建設車両などの重車両の
使途に供するチューブレスタイプの重荷重用空気入りラ
ジアルタイヤに関し、特に、タイヤのリム組性能及びリ
ムフィット性を損なうことなく、高トルク負荷時及び急
ブレーキ作動時に発生し勝ちなリムとタイヤビード部と
の間の滑り(以下リム滑りという)を抑制して、タイヤ
内部のエアー漏れを防止し、これにより常時適正な充て
ん空気圧を保持することが可能なビード部構造を備える
重荷重用空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】チューブ付きタイプのタイヤと異なり、
チューブレス(以下T/Lという)タイプのタイヤはリ
ムとビード部との間のシール効果に期待してタイヤ内部
の空気圧を成るべく充てん初期の圧力に保持するため、
タイヤの適用リムのビードシートに対しビード部のビー
ドベース部に或る値の締め代を付してエアーシール効果
に万全を期すことを狙う一方で、締め代が過大であれば
タイヤビード部のリムに対するフィット性が低下し、リ
ム組み性が悪化するという二面性をもつのは止むを得な
いとされている。
【0003】よってビードベース部のリムのビードシー
トに対する締め代は、十分なエアーシール性と適度なリ
ム組み性とが両立する範囲内に止め、ビードベース部と
ビードシートとの間の締め代により生じる圧縮力を適当
に調整するに止まり、それ以上は深く追求するところが
なかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが最近になっ
て、特に建設現場や採鉱現場でのより一層の生産性向上
を意図し、積み荷積載時に上り坂でも所定速度を保持し
得る高馬力エンジンを搭載した車両を現場に投入して稼
働サイクルタイムを減少させ、加えて急ブレーキ、急発
進を繰り返して同様に稼働サイクルタイムを減少させる
ことが一般化している。
【0005】いずれの場合もタイヤに従来より高トルク
が作用するのは避けられず、この高トルク作用により従
来に比しタイヤのリム滑りがより一層高頻度で、かつよ
り過度に発生し勝ちになり、その結果従来にはそれほど
見られなかったビードベース部の早期摩耗が生じるよう
になり、本来充分なエアーシール性をもつべきビードベ
ース部表面を伝わりタイヤ内部の高圧空気が外気に放出
される現象が見られ、結局、耐久性に大きな影響を及ぼ
すタイヤ空気圧が比較的短時間で大幅に低下するという
問題が生じていた。
【0006】従ってこの発明の請求項1〜4に記載した
発明は、従来の良好なリム組性及びリムフィット性を保
持した上で、現在の高トルク作用の下での耐リム滑り性
を向上させ、これによりタイヤ内部の充てん空気圧を長
期間保持し、本来備えているタイヤの耐久性をいかんな
く発揮させることができる重荷重用空気入りタイヤの提
供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明の請求項1に記載した発明は、一対のビー
ド部内に埋設したビードコア相互間にわたってトロイド
状に延びる1プライ以上のゴム被覆ラジアル配列コード
よりなるカーカスを備え、該カーカスの少なくとも1プ
ライはビードコアの周りをタイヤ内側から外側に巻上げ
た折返し部を有し、該折返し部の外側のビード部にゴム
チェーファを備える重荷重用空気入りタイヤにおいて、
上記ゴムチェーファは、圧縮ひずみ率30%の条件下で
得られる圧縮弾性率M C が17.6kgf/cm2 以上で、か
つ熱処理温度が20℃及び50℃における圧縮永久ひず
み率CSがそれぞれ2%以下及び4.5%以下であるゴ
ムより成り、上記タイヤをその適用リムに組付けたタイ
ヤ及びリム組立体のタイヤビード部とリムとの間におけ
る、ビードコアの断面図形の重心を通るタイヤ回転軸線
への垂線上でのゴム部分圧縮比ηの値が0、37以下で
あり、かつリムのビードシートとビード部のゴムチェー
ファとの間の圧縮力が24〜35kgf/cm2 の範囲内にあ
ることを特徴とする重荷重用空気入りタイヤである。
【0008】ここに上記圧縮弾性率MC の値は、JIS
K 6301−1995が定める加硫ゴム物理試験方
法に記載した圧縮試験の試験方法に従い求めた値とし、
圧縮永久ひずみ率CSの値は、上記JIS規格が定める
圧縮永久ひずみ試験の試験方法に準じ、それは熱処理温
度がこの発明特有の温度であるからである。また熱処理
時間は熱処理温度20℃及び50℃のいずれもが48時
間である。さらにリムのビードシートとビード部のゴム
チェーファとの間の圧縮力の算出は試験片でないため上
記JIS規格が定める圧縮試験に準拠するものとする。
【0009】また上記ゴム部分圧縮比ηの値及び圧縮力
は、JATMA規格(1997年版)が定めるタイヤの
最大負荷能力に対応する最高空気圧をタイヤ及びリム組
立体に充てんしたときの値である。なお上記最大負荷能
力及び最高空気圧は、JATMA規格にタイヤ種別毎に
掲載された空気圧−負荷能力対応表に記載された値であ
り、但しPR(プライレーティング)又は星(☆)マー
ク数が複数存在するタイヤではPR又は星(☆)マーク
数により最大負荷能力が異なるので、ここでいう最大負
荷能力とは、所定PR又は所定星(☆)マーク数におけ
る最大負荷能力とし、最高空気圧は上記対応表でみてこ
の最大負荷能力に対応する空気圧である。さらに適用リ
ムとは上記JATMA規格がタイヤ種類毎に定めるリム
を指す。
【0010】請求項1に記載した発明の圧縮比ηの値
は、請求項2に記載した発明のように、上記ゴム部分圧
縮比ηが、次式 η=(E−F)/{(D−F)−Σt}で定まり、ただ
しE;上記最高空気圧を充てんした上記タイヤ及びリム
組立体の上記垂線とリムのビードシートとの交点におけ
る直径、F;リムに組付け前のタイヤのビード部外側間
隔を上記適用リムの幅に合わせたときの、ビードコアの
断面図形の重心を通るタイヤ回転軸線への垂線とタイヤ
のビードベースとの交点における直径、D;上記最高空
気圧を充てんした上記タイヤ及びリム組立体の上記垂線
とビードコアの断面図形のタイヤ内方側辺との交点にお
ける直径、Σt;上記直径Dに含まれるコードなどの非
圧縮性部材の合計厚さ、により求められた値である。
【0011】請求項1又は2に記載した発明を実施する
に当り、一の好適実施例では請求項3に記載した発明の
ように、タイヤビード部断面のビードベース部の輪郭線
が該タイヤの適用リム断面のビードシート輪郭線の傾斜
角度と同じ傾斜角度を有するものである。
【0012】他の好適実施例では請求項4に記載した発
明のように、タイヤビード部断面のビードベース部の輪
郭線が、ビードコアの断面図形の重心を通りタイヤ回転
軸線に直交する直線上に曲率中心をもち、タイヤ外側に
向け凸状なす円弧を形成して成り、上記最高空気圧を充
てんした上記タイヤ及びリム組立体のタイヤビード部に
おけるビードコア断面幅直下に存在する厚み方向ゴム部
分の圧縮比ηが一様であり、これによりビードコア断面
幅直下のビードベース部の圧力分布が一様である。この
圧縮比ηの値は前記した垂線と平行な直線上にて先の圧
縮比ηを求めるための式と同様な式により求めた値であ
り、またビードコアは断面が六角形をなす一般スチール
ワイヤ(丸線)の多列多段の巻回になるもの、断面が四
角形をなす方形板状断面をもつスチールワイヤの多列多
段の巻回になるものの他に、断面が略円形をなす、いわ
ゆるケーブルビードコアなどが適合する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態例を
図1及び図2に基づき説明する。図1は、適用リムに組
付ける前のT/L重荷重用空気入りタイヤのビード部断
面と、該タイヤをJATMA規格でいうところの適用リ
ムに組付けて、これに先に述べた最高空気圧を充てんし
たタイヤ及びリム組立体のビード部及びリムの一部の断
面とを合わせ示す説明図であり、図2は、適用リムに組
付ける前における別の例のT/Lタイヤビード部断面図
である。
【0014】図1、図2において、符号1は重荷重用空
気入りタイヤ(以下タイヤという)であり、タイヤ1
は、一対のビード部2(図では片側のみ示す)内に埋設
したビードコア3相互間にわたりトロイド状に延びる少
なくとも1プライ(図示例は1プライ)のカーカス4
(要部のみ示す)を有し、カーカス4はビードコア3の
周りをタイヤ1の内側から外側に巻上げた折返し部4t
を有する。カーカス4はゴム被覆ラジアル配列コードよ
りなり、図示例の1プライの場合のコードはスチールコ
ードであるのが望ましい。
【0015】図1、2に示すビード部2はゴム被覆にな
る補強コード層5と該コード層を覆うゴムチェーファ6
とを備える例を示したが、図示を省略した他の例のタイ
ヤ1では補強コード層5の適用を除外することができ
る。以下、図1、2に示す補強コード層5を有するタイ
ヤ1につき説明するものとし、図示例の補強コード層5
はカーカス4側に配置した1層のゴム被覆スチールコー
ド層5aと2層のゴム被覆有機繊維コード交差層5bと
からなる。ゴムチェーファ6は少なくともリム10(図
1参照)と接触する位置に配置するものとし、すなわち
リム10のビードシート10Sとタイヤ1の荷重負荷時
にフランジ10Fと接触する部位にはゴムチェーファ6
が存在しなければならない。符号7はスティフナゴム、
符号8はインナーライナである。
【0016】図1ではリム10を二点鎖線で示し、タイ
ヤ断面は実線にて示した。図1から明らかなように、タ
イヤ1のビード部2のビードベース部2Bはリム10の
ビードシート10Sよりタイヤ回転軸方向に張り出さ
せ、リム10の外側輪郭とビード部輪郭とを図形上で重
ね合わせたとき、ビード部2のビードベース2Bsはリ
ム10のビードシート10Sよりタイヤ回転軸側に位置
する。ビードベース2Bsとビードシート10Sとのオ
ーバーラップ部分が、いわゆる締め代であり、この締め
代がエアーシールの役を果たしタイヤ1に充てんした空
気圧を保持する。
【0017】図1、2においてゴムチェーファ6は、そ
のゴム物性のうち圧縮弾性率MC と圧縮永久ひずみ率C
Sとは、前者はJIS規格が定める加硫ゴム物理試験方
法K−6301に記載した圧縮試験に従い、圧縮ひずみ
率30%の条件下で得られる圧縮弾性率MC が17.6
kgf/cm2 以上であること、後者は上記加硫ゴム物理試験
方法K−6301に記載した圧縮永久ひずみ試験に準
じ、熱処理温度20℃での熱処理時間48時間の処理条
件で得られる圧縮永久ひずみ率CSが2%以下であり、
かつ熱処理温度50℃での熱処理時間48時間の処理条
件で得られる圧縮永久ひずみ率CSが4.5%以下であ
ることを要する。
【0018】なお上記加硫ゴム物理試験方法K−630
1ににおける圧縮試験の項に記載されている計算では圧
縮弾性率MC が圧縮力MC と表記されているが、ここで
は圧縮力MC を圧縮弾性率MC と呼び、計算式 MC
(P−PO )/AO に従って求める。ここに、 MC :断面積当りの荷重(kgf/cm2) PO :初荷重(kgf) P :所定ひずみ(圧縮ひずみ率30%)を加えたとき
の荷重(kgf) AO :試験片の元の断面積(cm2) である。
【0019】さらにゴムチェーファ6のゴムの、JIS
規格が定める加硫ゴム物理試験方法K−6301に記載
した圧縮永久ひずみ試験の結果は、 計算式 CS={(t0 −t1 )/(t0 −t2 )}×
100に基づき得られる値であり、ここに、 CS:圧縮永久ひずみ率(%) t0 :試験片の原厚(mm) t1 :試験片を圧縮装置から取り出し、30分後の厚さ
(mm) t2 :スペーサーの厚さ(mm) である。
【0020】ここでタイヤ1をその適用リム10に組付
けたタイヤ及びリム組立体にJATMA規格が定める最
大負荷能力に対応する最高空気圧を充てんして、図1に
示すように二点鎖線のリム10のビードシート10Sに
ビード部2のビードベース2Bsを嵌め合わせたたと
き、ビード部2内に埋設したビードコア3の断面図形の
重心Gを通るタイヤ回転軸線(図示省略)への垂線VL
上でのゴム部分圧縮比ηの値が0、37以下であること
を要する。
【0021】ここに圧縮比ηの値は下記計算式に基づき
求めるものとする。 η=(E−F)/{(D−F)−Σt}、ただし、図1
(図2)を参照して、E;上記最高空気圧を充てんした
上記タイヤ及びリム組立体の上記垂線VLとリム10の
ビードシート10Sとの交点eにおける直径、F;リム
10に組付け前のタイヤ1のビード部2外側間隔を上記
適用リム10の幅に合わせたときの、ビードコア3の断
面図形の重心Gを通るタイヤ回転軸線への垂線VLn
(図2参照)とタイヤ1のビードベース2Bsとの交点
f(仮に図1に示す、正確には図2参照)における直
径、D;上記最高空気圧を充てんした上記タイヤ及びリ
ム組立体の上記垂線VLとビードコアの断面図形のタイ
ヤ内方側辺との交点dにおける直径、Σt;上記直径D
に含まれるコードなどのゴム分を除く非圧縮性部材の合
計厚さ、である。
【0022】さらに先に触れたJIS規格が定める加硫
ゴム物理試験方法K−6301に記載した圧縮試験に準
拠するものとして、上記最高空気圧を充てんしたタイヤ
及びリム組立体におけるリム10のビードシート10S
とビード部2のゴムチェーファ6との間の圧縮力が24
〜35kgf/cm2 の範囲内にあるものとする。ここにいう
圧縮力は試験片によるものではなくビード部2のゴムチ
ェーファ6を用いるため、上記圧縮試験に準拠するもの
としたものであるが、計算は先に記載したMC =(P−
O )/AO を適用するものとする。ただし、上式のフ
ァクタMC :断面積当りの荷重(kgf/cm2)はそのままと
し、ファクタPO :初荷重(kgf)はゼロであり、ファク
タP:実際にゴムチェーファ6の内周表面に加えられる
荷重(kgf)であり、AO :リム10のビードシート10
Sと接触するゴムチェーファ6のビードベース部2Bの
元の断面積(cm2)とする。結局、計算式は MC =P/
O となる。
【0023】ここで図3に斜視図として要部のみを示す
静荷重試験装置を用い、耐リム滑り性の試験結果を説明
する。まずこの試験装置は図示を省略した支持装置によ
り水平方向に延びる押圧軸20を有し、タイヤ1を装着
し、これに最高内圧を充てんしたリム10にディスク部
に連結したタイヤ及びリム・ディスク組立体をブレーキ
装置21を介して押圧軸20に両側から連結する。また
試験装置はタイヤ1の下方で上記押圧軸20の軸心に対
し直交する向きに延びるベルト状のプレーナ22を備え
る。
【0024】図示を省略した駆動手段によりプレーナ2
2は矢印23の方向に駆動される。タイヤ1に所定荷重
を負荷したとき、タイヤ1とプレーナ22との間の摩擦
係数を高めるため、プレーナ22の上側表面にはエキス
パンドメタル24が敷設されていて、このエキスパンド
メタル24によりタイヤ1のプレーナ22に対するスリ
ップが阻止される。
【0025】試験は、まず図示を省略した押圧手段によ
り押圧軸20にプレーナ22(エキスパンドメタル2
4)に対し垂直方向の荷重、すなわち先に述べた最大荷
重、すなわち車両の総重量におけるタイヤ負荷荷重に相
当する荷重を印加し、タイヤ1をエキスパンドメタル2
4に対し所定圧力で押し付け、タイヤ1に最大荷重を負
荷させた状態とする。次にブレーキ装置21を作動させ
てブレーキ力、例えば30トンを掛けた状態でプレーナ
22を矢印23の方向に駆動させる。そのときのプレー
ナ22に加わる抵抗値を測定し、その値を比較すること
で耐リム滑り性を評価するものである。
【0026】この耐リム滑り性は先に述べたゴム部分圧
縮比ηの値とゴムチェーファ6の圧縮弾性率MC (kgf/c
m2) との関係(前者)及び先に述べたリム10のビード
シートとビード部2のゴムチェーファ6との間の圧縮力
(kgf/cm2) とゴムチェーファ6の圧縮弾性率MC (kgf/c
m2) との関係(後者)が密接であり、これらの関係につ
き、代表例として図1に示すビード部2を備える建設車
両用3種(Loader andDozer )ラジアルプライタイヤで
サイズが26.5R25 ☆(ワンスター)を用いて実
験した結果を図4、図5の線図と後掲の表1とに示す。
このタイヤサイズの最大負荷能力は15000kgであ
り、15000kgに対応する空気圧は5.00kgf/cm2
である。図4、5に圧縮ひずみ率30%のときの圧縮弾
性率MC (kgf/cm2) の値を四角内に併記して示した。各
図において●印は圧縮弾性率MC が17.6kgf/cm2
場合、□印は23.2kgf/cm2 の場合、△印は17.4
kgf/cm2 の場合である
【0027】図4、5の縦軸の耐リム滑り性は、前記し
た静荷重試験装置によるリム滑り試験でリム滑りを発生
する限界を100とする指数をとり、値は大なるほど良
い。図4から、耐リム滑り性100以上のOKレベルは
ゴムチェーファ6のゴムの圧縮ひずみ率30%での圧縮
弾性率MC が17.6kgf/cm2 以上であること(左上が
り矢印の方向であること)がわかり、17.6kgf/cm2
を下回ると、ゴム部分の圧縮比ηをいかに変化させても
耐リム滑り性100を満たすことはできず、不可であ
る。またゴム部分の圧縮比ηを増加させていくと耐リム
滑り性は一旦上昇するが、圧縮比η=0.37を境とし
てそれ以上に増加させると耐リム滑り性は急下降するの
で圧縮比ηは0.37以下でなければならない。
【0028】図5からも、ゴムチェーファ6の圧縮力(k
gf/cm2) を増加させると耐リム滑り性は一旦上昇するが
やはり途中で急下降するカーブを描くので、ゴムチェー
ファ6のゴムの圧縮ひずみ率30%での圧縮弾性率MC
が17.6kgf/cm2 であることを考慮するとゴムチェー
ファ6の圧縮力は24kgf/cm2 以上でなければならず、
圧縮弾性率MC が23.2kgf/cm2 の場合の圧縮力上限
値が35kgf/cm2 であることから、ゴムチェーファ6の
圧縮力は24〜35kgf/cm2 の範囲内にあることが必要
である。上限値の35kgf/cm2 を超えると、タイヤ1を
リム10に組付けて最高空気圧を充てんして相互に完全
な組立体とする意図に反し、リム10のビードシート1
0Sとビード部2のビードベース2Bsとの間の摩擦力
が大きくなり過ぎて、リム10に対するタイヤ1の十分
なリムフィット性が得られない不具合が生じる。
【0029】図4、5に関連して、同じタイヤ1を用
い、これに空気圧5.00kgf/cm2 を充てんしてリムフ
ィット性を含めた実験結果を表1に示す。リムフィット
性のテストは図6に示すように、リム10のフランジ1
0Fにその円周まわりに6箇所の貫通穴hを設け、その
穴hからダイヤルゲージ(図示省略)により距離yを測
定し、測定した距離yから予め測定しておいたフランジ
10Fの厚さを差し引いてフランジ10Fとビード部2
の外側表面との間の距離xを求め、距離xの値が完全に
ゼロで寧ろ距離xがマイナス(ビード部2の外側表面が
穴hに僅かはみ出す)状態の場合を指数100とし、距
離xに応じて指数化した。値は小なる程悪い。
【0030】
【表1】
【0031】さらにゴムチェーファ6が、熱処理温度2
0℃での熱処理時間48時間の処理条件で得られる圧縮
永久ひずみ率CSが2%以下(前者)であり、かつ熱処
理温度50℃での熱処理時間48時間の処理条件で得ら
れる圧縮永久ひずみ率CSが4.5%以下(後者)であ
ることを要するのは、ゴムチェーファ6のビードベース
部2Bは常時圧縮力の作用下にあるため、前者の圧縮永
久ひずみ率CSが2%を超えても、後者の圧縮永久ひず
み率CSが4.5%を超えても、いずれの場合もタイヤ
1の使用期間の経過と共に圧縮比ηが小さくなる結果、
圧縮弾性率MCの最小値17.6kgf/cm2 を保持できな
くなり、結局耐リム滑り性のOKレベル100を保持で
きなくなるので不可である。
【0032】以下に、図1に従うビード部2を備える建
設車両用3種ラジアルプライタイヤ1でサイズが26.
5R25 ☆(ワンスター)を用いて、ゴムチェーファ
6のゴムにおける圧縮比ηが0.35、圧縮弾性率MC
が23.0kgf/cm2 、圧縮力が29.0kgf/cm2 であ
り、圧縮永久ひずみ率CSを変化させたときの耐リム滑
り性及びリムフィット性について実験した。耐リム滑り
性は、ドラム試験機のドラムに空気圧5.00kgf/cm2
を充てんしたタイヤをその最大負荷能力15000kgに
相当する荷重負荷の下で押し当て、速度10km/hにて2
4時間走行させた後にリム滑り試験を実施した。耐リム
滑り性は合格レベルの下限値を100とする指数で(値
は大なる程良い)、リムフィット性も合格レベルを10
0とする指数でそれぞれあらわすものとし、これらの結
果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】以上詳述したところは要するに、17.6
kgf/cm2 以上の圧縮弾性率MC を有し、熱処理温度20
℃、熱処理時間48時間の処理条件での圧縮永久ひずみ
率CSが2%以下であり、かつ熱処理温度50℃、熱処
理時間48時間での圧縮永久ひずみ率CSが4.5%以
下であるゴムチェーファ6を適用し、ゴム部分の圧縮比
ηが0.37以下で、かつリム10のビードシート10
Sに対するゴムチェーファ6の圧縮力が24〜35kgf/
cm2 の範囲内のタイヤを用いれば、タイヤのリム組み
性、リムフィット性を損なはずに、新品タイヤの時はも
とより使用履歴のいかんにかかわらず、高馬力エンジン
搭載の車両の急坂登り、急ブレーキ作動、急発進に伴う
タイヤに対する高トルク作用の下でリム滑りを生じるこ
となく、ビード部耐久性を顕著に向上させることができ
る、ということである。
【0035】図1に示すビード部2の断面におけるビー
ドベース2Bsの輪郭線は、同じ断面を示すリム10の
ビードシート10Sの輪郭線と同じ傾斜角度を有する一
方、図2に示すビード部2は、タイヤ1の断面にて、ビ
ードベース部2Bの外輪郭線が、ビードコア3の断面図
形の重心Gを通りタイヤ回転軸線(図示せず)に直交す
る直線VLn上に曲率中心をもつ半径Rにてタイヤ1の
外側に向け凸状なす円弧を形成する別の実施形態例であ
る。
【0036】この図2に示す形態例では半径Rの大きさ
と曲率中心位置とを適当に選択すれば、最高空気圧を充
てんしたタイヤ及びリム組立体のビード部2におけるビ
ードコア3の断面幅直下に存在する厚み方向ゴム部分の
圧縮比ηを一様とすることができ、これによりビードコ
ア3の断面幅直下に位置するビードベース部2Bの圧力
分布を一様とすることができ、このことは耐リム滑り性
のさらなる向上に寄与する。
【0037】
【実施例】建設車両用3種ラジアルプライタイヤで、サ
イズが26.5R25 ☆であり、実施例1は図2に従
うビード部2を備え、実施例2は図1に従うビード部2
を備える。カーカス4は1プライのラジアル配列スチー
ルコードのゴム被覆になり、実施例1、2共に図1、2
に示すゴム被覆になる補強コード層5を有する。実施例
1のビードベース2Bsに付した曲率半径Rは90mm
で、実施例2のビードベース2Bsの傾斜直線に対し直
線VL上にて最大1.5mm内部に凹んでいる。これに
対する従来例は図1に準じ、圧縮弾性率MC 及び圧縮永
久ひずみ率CSと、圧縮比η及びリムのビードシートに
対するゴムチェーファの圧縮力とが異なる他は実施例と
同じ構成としたものである。
【0038】実施例1、2及び従来例のゴムチェーファ
6のゴムの圧縮ひずみ率30%での圧縮弾性率MC ( kg
f/cm2)、熱処理温度20℃及び熱処理時間48時間の処
理条件での圧縮永久ひずみ率CS1(%)、熱処理温度5
0℃及び熱処理時間48時間での圧縮永久ひずみ率CS
2(%)と、ゴム部分圧縮比η及び圧縮力( kgf/cm2)とを
表3に示す。また表3には先に解説した試験方法に従い
測定した耐リム滑り性及びリムフィット性を先の場合と
同様に指数表示で示した。
【0039】
【表3】
【0040】先の表1及び表2に記載した実験No.1
〜No.15の結果と表3に示す結果とを合わせ見れ
ば、従来例はリムフィット性が申し分ない結果を示して
いる反面、耐リム滑り性は実用にそぐわない程の低レベ
ルであることを更めて認識せざるを得ず、これに対し実
施例1、2はリムフィット性と耐リム滑り性との双方が
同時に満足すべき優れた結果を示していることがわか
る。
【0041】
【発明の効果】この発明の請求項1〜4に記載した発明
によれば、満足すべきリム組み性、リムフィット性を確
保した上で、高馬力車両に装着したタイヤに高いトルク
を負荷させてもリム滑りが生じず、その結果タイヤ内部
の充てん空気圧を長期間保持することができると共にゴ
ムチェーファの摩滅を大幅に軽減することができ、ビー
ド部耐久性を大幅に向上させることが可能な重荷重用空
気入りタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の一形態例のビード部断面図で
ある。
【図2】この発明の実施の別の形態例のビード部断面図
である。
【図3】タイヤのリム滑り試験装置の要部及び供試タイ
ヤの斜視図である。
【図4】耐リム滑り性とゴム部分圧縮比との関係を圧縮
弾性率をパラメータとして示す線図である。
【図5】耐リム滑り性とゴムチェーファ圧縮力との関係
を圧縮弾性率をパラメータとして示す線図である。
【図6】リムフィット性の試験方法の説明図である。
【符号の説明】
1 タイヤ 2 ビード部 2B ビードベース部 2Bs ビードベース 3 ビードコア 4 カーカス 5 ビード部補強コード層 6 ゴムチェーファ 7 スティフナゴム 8 インナーライナ 10 適用リム 10F フランジ 10S ビードシート 20 押圧軸 21 ブレーキ装置 22 プレーナ 24 エキスパンドメタル G ビードコアの断面図形の重心 VL、VLn 重心Gを通りタイヤ回転軸線と直交する
直線 D 点dにおける直径 E 点eにおける直径 F 点fにおける直径

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対のビード部内に埋設したビードコア
    相互間にわたってトロイド状に延びる1プライ以上のゴ
    ム被覆ラジアル配列コードよりなるカーカスを備え、該
    カーカスの少なくとも1プライはビードコアの周りをタ
    イヤ内側から外側に巻上げた折返し部を有し、該折返し
    部の外側のビード部にゴムチェーファを備える重荷重用
    空気入りタイヤにおいて、 上記ゴムチェーファは、圧縮ひずみ率30%の条件下で
    得られる圧縮弾性率(MC )が17.6kgf/cm2 以上
    で、かつ熱処理温度が20℃及び50℃における圧縮永
    久ひずみ率(CS)がそれぞれ2%以下及び4.5%以
    下であるゴムより成り、 上記タイヤをその適用リムに組付けたタイヤ及びリム組
    立体のタイヤビード部とリムとの間における、ビードコ
    アの断面図形の重心を通るタイヤ回転軸線への垂線上で
    のゴム部分圧縮比(η)の値が0、37以下であり、か
    つリムのビードシートとビード部のゴムチェーファとの
    間の圧縮力が24〜35kgf/cm2 の範囲内にあることを
    特徴とする重荷重用空気入りタイヤ。
  2. 【請求項2】 上記ゴム部分圧縮比(η)が、次式 η=(E−F)/{(D−F)−Σt}で定まり、ただ
    し E;上記最高空気圧を充てんした上記タイヤ及びリム組
    立体の上記垂線とリムのビードシートとの交点における
    直径、 F;リムに組付け前のタイヤのビード部外側間隔を上記
    適用リムの幅に合わせたときの、ビードコアの断面図形
    の重心を通るタイヤ回転軸線への垂線とタイヤのビード
    ベースとの交点における直径、 D;上記最高空気圧を充てんした上記タイヤ及びリム組
    立体の上記垂線とビードコアの断面図形のタイヤ内方側
    辺との交点における直径、 Σt;上記直径Dに含まれるコードなどの非圧縮性部材
    の合計厚さ、である請求項1に記載したタイヤ。
  3. 【請求項3】 タイヤビード部断面のビードベース部の
    輪郭線が該タイヤの適用リム断面のビードシート輪郭線
    の傾斜角度と同じ傾斜角度を有する請求項1又は2に記
    載したタイヤ。
  4. 【請求項4】 タイヤビード部断面のビードベース部の
    輪郭線が、ビードコアの断面図形の重心を通りタイヤ回
    転軸線に直交する直線上に曲率中心をもち、タイヤ外側
    に向け凸状なす円弧を形成して成り、上記最高空気圧を
    充てんした上記タイヤ及びリム組立体のタイヤビード部
    におけるビードコア断面幅直下に存在する厚み方向ゴム
    部分の圧縮比(η)が一様であり、これによりビードコ
    ア断面幅直下のビードベース部の圧力分布が一様である
    請求項1又は2に記載したタイヤ。
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