JPH1188454A - 無線機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】ディジタル変調方式の無線機では、ベースバン
ド信号の同相成分Ｉと直交成分ＱのバランスとＤＣオフ
セットの調整が基本性能の一つとなる。負帰還方式を利
用したリニアライザでは、ループ内のＤＣオフセットの
ずれの仕様を、経年変化・温度変化等による変動に対
し、常に満足させることが難しい。 【解決手段】ベースバンド信号の一部を直交変調器の前
で帰還し、基準電圧と比較することで誤差電圧を検出
し、ベースバンド信号の基準電圧を可変することによ
り、ＤＣ成分を常に一定に保つ。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、無線機の送信性能
の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】線形ディジタル変調方式を利用した無線
システムにおいて、電力増幅器の非線形歪み補償方式で
広く用いられているリニアライザ方式の構成例を図2に
示す。

【０００３】1はベースバンド信号発生器、3-1と3-2は
加算器、4-1と4-2はループフィルタ、5は直交変調器、6
は第１のバンドパスフィルタ、7は第１のミキサ、7´は
第２のミキサ、8は増幅器、９は第２のバンドパスフィ
ルタ、10は電力増幅器、11はアンテナ、16はＰＬＬ周波
数シンセサイザ、１２は方向性結合器、18は直交復調器
である。ここで符号の-1はベースバンド信号の同相成分
Ｉを処理するもの、また符号の-2はベースバンド信号の
直交成分Ｑを処理するものである。

【０００４】図２において、ベースバンド信号発生器1
より発生したベースバンド信号の同相成分Ｉの出力は加
算器3-1を介してループフィルタ4-1に入力し、該ループ
フィルタ4-1で帯域制限され、直交変調器5に入力する。
同様に、ベースバンド信号発生器1より発生したベース
バンド信号の直交成分Ｑの出力は加算器3-2を介してル
ープフィルタ4-2に入力し、該ループフィルタ4-2で帯域
制限され、直交変調器５に入力する。該直交変調器５は
入力したベースバンド信号の同相成分Ｉと直交成分Ｑを
直交変調して出力し、第１のバンドパスフィルタ6に送
る。該第１のバンドパスフィルタ6に入力した信号は、
不要成分を除去され第１のミキサ7に送られる。該第１
のミキサ7は、ＰＬＬ周波数シンセサイザ16で発生した
局部発振信号を用い、入力した信号を所望の周波数帯域
に変換して増幅器8に送る。該増幅器8で信号は増幅さ
れ、第２のバンドパスフィルタ9に送られ、不要成分を
除去された後、電力増幅器10に送られる。該電力増幅器
10は送られてきた信号を所望の電力まで増幅し、方向性
結合器12を介してアンテナ11に送り、該アンテナ11は送
られてきた信号を送信する。

【０００５】前記電力増幅器10の出力信号電力の一部
は、前記方向性結合器12で分波されて第２のミキサ7´
に送られる。送られた信号を、該第２のミキサ7´は、
前記ＰＬＬ周波数シンセサイザ16で発生した局部発振信
号を用い、中間周波数変換し直交復調器18に送る。該直
交復調器18は入力された信号をベースバンド信号に変換
して、その同相成分Ｉ´を前記加算器3-1に入力し、直
交成分Ｑ´を前記加算器3-2に入力する。前記加算器3-1
では、前記ベースバンド信号発生器1の出力の同相成分
Ｉと前記同相成分Ｉ´を加算して、前記ループフィルタ
4-1に送る。同様に、前記加算器3-2では、前記ベースバ
ンド信号発生器1の出力の直交成分Ｑと前記直交成分Ｑ
´を加算して、前記ループフィルタ4-2に送る。

【０００６】このような負帰還方式においては、前記直
交変調器5に入力するベースバンド信号にオフセットが
生じると、ＤＣオフセットの原因となり、キャリアリー
クが発生する。

【０００７】一般に、上記のようなＤＣオフセットを最
小にするためには、あらかじめＤＣ成分を調整する必要
がある。図３はオペアンプを使用したループフィルタの
例で、簡単なＤＣオフセット調整回路の例である。21は
オペアンプ、22と23は抵抗器、24はコンデンサ、25は反
転入力端子で加算器3-1から出力される同相成分または
加算器3-2から出力される直交成分が入力する。26は出
力端子、27は非反転入力端子である。図３において、非
反転入力端子には基準電圧が入力されるが、この入力さ
れる直流レベルを手動または自動で可変することで出力
レベルのＤＣ成分を調整する。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】前述の従来技術では、
直交変調器に入力する信号の前の回路を構成するオペア
ンプの直流レベルを調整することによってＤＣ成分を調
整している。しかし、このような回路構成では、経年変
化や温度変化による電源電圧の変動等でＤＣ成分が変化
し、ＤＣオフセットが変動してキャリアリークが増大
し、送信特性の劣化を招く。

【０００９】本発明の目的は、上記のような欠点を除去
し、送信特性の劣化を防ぐ無線機を提供することにあ
る。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明では、ベースバンド信号の一部を直交変調
器に入力する前に帰還し、基準電圧と比較することで誤
差電圧を検出し、ベースバンド信号の基準電圧を可変す
ることでＤＣ成分を常に一定に保ち、出力信号のキャリ
アリークを低減することで送信特性の劣化を防ぐことを
実現したものである。

【００１１】

【発明の実施の形態】本発明の一実施例を図1を用いて
説明する。図1は、本発明を用いたディジタル無線機の
送信部のブロック図である。従来例で説明した図２のブ
ロック図と同一の符号を付けているが、その他に、2-1
はベースバンド信号の同相成分のレベル変換器、2-2は
ベースバンド信号の直交成分のレベル変換器、20-1はベ
ースバンド信号の同相成分のコンパレータ、20-2はベー
スバンド信号の直交成分のコンパレータである。ここで
符号の-1はベースバンド信号の同相成分Ｉを処理するも
の、また符号の-2はベースバンド信号の直交成分Ｑを処
理するものである。

【００１２】図１において、ベースバンド信号発生器1
より発生したベースバンド信号の同相成分Ｉの出力はレ
ベル変換器2-1と加算器3-1を介してループフィルタ4-1
に入力し、該ループフィルタ4-1で帯域制限され、直交
変調器5に入力する。同様に、ベースバンド信号発生器1
より発生したベースバンド信号の直交成分Ｑの出力はレ
ベル変換器2-2と加算器3-2を介してループフィルタ4-2
に入力し、該ループフィルタ4-2で帯域制限され、直交
変調器5に入力する。以下、該直交変調器5から出力され
第１のバンドパスフィルタ6に送られる信号の説明は従
来技術と同じである。一方、前記直交変調器5に入力す
る前にループフィルタ4-1から出力された同相成分信号
は分波されてコンパレータ20-1に入力する。同様に前記
直交変調器5に入力する前にループフィルタ4-2から出力
された直交成分信号は分波されてコンパレータ20-2に入
力する。前記コンパレータ20-1と20-2の出力はそれぞ
れ、レベル変換器2-1と2-2に入力する。該レベル変換器
2-1と2-2は今、ループフィルタ4-1のＤＣレベル（あら
かじめこの変動する前のＤＣレベルを基準電圧としてお
く）が変動した場合、該ループフィルタ4-1の出力の一
部と基準電圧はコンパレータ20-1に入力される。該コン
パレータ20-1は入力された２つの信号の誤差信号を出力
し、レベル変換器2-1の基準電圧を可変する。該レベル
変換器2-1が基準電圧を変更されたことにより、入力さ
れたベースバンド信号の同相成分の出力レベルは変更さ
れる。この動作は、直交成分側でも同様である。こうし
て、前記ループフィルタ4-1の出力を基準電圧と等しい
電圧に保つように動作させることで、リニアライザの安
定が図られる。

【００１３】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、経年変化
や温度変化による電源電圧の変動等でＤＣ成分が変化
し、それによってＤＣオフセットが変動しても、入力の
ベースバンド信号のＤＣレベルを制御することで、出力
信号のキャリアリークを低減し、送信特性の劣化を防ぐ
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明のディジタル無線機の送信部の一実施
例のブロック図

【図２】 従来ののディジタル無線機の送信部の実施例
のブロック図

【図３】 ループフィルタの構成例を示すブロック図

【符号の説明】

1：ベースバンド信号発生器、 2-1，2-2：レベル変換
器、 3-1，3-2：加算器、 4-1，4-2：ループ・フィ
ルタ、 5：直交復調器、 6：第１のバンドパスフィル
タ、 7：第１のミキサ、 7´：第２のミキサ、 8：
増幅器、 9：第２のバンドパスフィルタ、 10：電力
増幅器、 11：アンテナ、 12：方向性結合器、 16：
ＰＬＬ周波数シンセサイザ、 18：直交復調器、 20-
1，20-2：コンパレータ、 21：オペアンプ、 22，2
3：抵抗器、 24：コンデンサ、 25：反転入力端子、
26：出力端子、 27：非反転入力端子、

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 負帰還法を用いて電力増幅器の線形補償
   を行うディジタル変調方式の無線機において、あらかじ
   めリニアライザを安定に動作するように設定をしたとき
   のベースバンド帯のＤＣレベルを抽出する手段と、該抽
   出したＤＣレベルを基準電圧として保持する手段と、前
   記ベースバンド帯の電圧を検出する手段と、該検出した
   電圧と前記基準電圧とを比較することでリニアライザの
   ＤＣオフセットずれを検出する手段とを有し、該検出し
   たＤＣオフセットずれから前記ベースバンド帯のＤＣレ
   ベルをリニアライザの入力前に調整することによってＤ
   Ｃオフセット電圧を制御することを特徴とする無線機。
2. 【請求項２】 ベースバンド信号発生器と、該ベースバ
   ンド信号発生器から出力される同相成分を入力する第1
   の加算器と、該ベースバンド信号発生器から出力される
   直交成分を入力する第２の加算器と、前記第１の加算器
   から出力する信号を処理する第1のループフィルタと、
   前記第２の加算器から出力する信号を処理する第２のル
   ープフィルタと、該第1のループフィルタと第２のルー
   プフィルタとからの信号を入力させ直交変調する直交変
   調器と、該直交変調器から出力された信号を所望の周波
   数に変換しかつ所望の電力に増幅して送信する手段と、
   該送信される信号出力の一部を分波する手段と、該分波
   された信号を所望の周波数に周波数変換する手段と、該
   周波数変換された信号を直交復調する手段とを有し、該
   直交復調された信号の同相成分を前記第1の加算器に入
   力し、かつ該直交復調された信号の直交成分を前記第２
   の加算器に入力することによって、負帰還法による電力
   増幅器の線形補償を行うディジタル変調方式の無線機に
   おいて、前記第1のループフィルタの出力を分波する手
   段と、前記第２のループフィルタの出力を分波する手段
   と、前記第１のループフィルタのレベル変動前のＤＣレ
   ベルを基準電圧として前記分波された第１のループフィ
   ルタの出力と比較し誤差信号を出力する第１の信号比較
   手段と、前記第２のループフィルタのレベル変動前のＤ
   Ｃレベルを基準電圧として前記分波された第２のループ
   フィルタの出力と比較し誤差信号を出力する第２の信号
   比較手段と、前記ベースバンド信号発生器と前記第１の
   加算器との間に挿入され前記第１の信号比較手段からの
   誤差信号を入力する第１のレベル変換器と、前記ベース
   バンド信号発生器と前記第２の加算器との間に挿入され
   前記第２の信号比較手段からの誤差信号を入力する第２
   のレベル変換器とを有し、前記2つの誤差信号によって
   前記第１のレベル変換器と前記第２のレベル変換器が前
   記ベースバンド信号発生器からの出力信号の同相成分と
   直交成分の基準電圧を制御することによって、前記第１
   のループフィルタと前記第２のループフィルタの出力を
   基準電圧と等しくすることによってＤＣオフセット電圧
   を制御することを特徴とした無線機。