JPH1187140A - 磁性流体を用いた高周波用インダクタ - Google Patents

磁性流体を用いた高周波用インダクタ

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JPH1187140A
JPH1187140A JP9239942A JP23994297A JPH1187140A JP H1187140 A JPH1187140 A JP H1187140A JP 9239942 A JP9239942 A JP 9239942A JP 23994297 A JP23994297 A JP 23994297A JP H1187140 A JPH1187140 A JP H1187140A
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JP
Japan
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magnetic fluid
magnetic
inductor
coil
magnetic field
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JP9239942A
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Hideo Oka
英夫 岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の高周波用インダクタと比較して、著し
く磁気的損失および発熱を抑えることができ、高周波用
パワデバイスとして有用なインダクタを構成する。 【解決手段】 磁性流体(1)中にコイル(2)を挿入
して磁性流体を用いた高周波用インダクタを構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、磁性流体
を用いた高周波用インダクタに関するものである。さら
に詳しくは、この出願の発明は、磁気的損失および発熱
を抑制することのできる磁性流体を用いた高周波用イン
ダクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】従来より、電機や機械などの
各種産業機器等の分野では、数多くの高周波用インダク
タが利用されている。このような高周波用インダクタ
は、基本的な構造として一般的に、フェライトなどのバ
ルク材に、励磁巻線を巻き付けた構造として構成されて
いる。
【0003】しかしながら、このような構造の従来の高
周波用インダクタにおいては、高周波帯域の電流を流す
と磁気的損失である渦電流損が生じ、その結果インダク
タが発熱することから、結果として、機器の精度低下、
騒音の発生、およびエネルギーの浪費などの数多くの問
題点を有していた。またさらに、一般的な高周波用イン
ダクタに大電流を流した場合には、波形歪みが生じてし
まい、パワデバイスとしての優れた機能性が得られない
という問題があった。
【0004】このような磁気的損失である渦電流損を防
止するためには、例えば、空冷ファンなどの冷却手段を
設置する方法が考えられるが、根本的な問題の解決には
至っていないのが実情である。そこでの出願の発明は、
以上のとおりの従来技術の欠点に鑑み、磁気的損失であ
る渦電流損などによる発熱を抑制し、さらには、パワデ
バイスとしての優れた機能性をも有する、新しい高周波
用インダクタを提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、磁性流体中にコイルが挿
入されていることを特徴とする磁性流体を用いた高周波
用インダクタを提供する。また、この発明においては、
前記の磁性流体を用いた高周波用インダクタにおいて、
永久磁石を配置することによって、または、電流をコイ
ルに印加することによって生じた外部磁界により磁性流
体中のコイルのインダクタンスの値を可変とすることを
特徴とする磁性流体を用いた高周波用インダクタをも提
供する。
【0006】さらに、この発明においては、前記の磁性
流体を用いた高周波用インダクタにおいて、磁性流体中
のコイル内には磁心が挿入配置されている高周波用イン
ダクタや、磁性流体中に直接薄膜コイル(マイクロイン
ダクタ)が挿入されていることを特徴とする磁性流体を
用いた高周波用インダクタをも提供する。そして、この
発明においては、前記の磁性流体を用いた高周波用イン
ダクタにおいて、磁性流体とバルク材によって構成した
複合磁気回路に対して、永久磁石を用いてインダクタン
ス制御をすることを特徴とする磁性流体を用いた高周波
用インダクタをも提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】この出願の発明は、以上のとおり
の特徴を持つものであるが、この発明は、磁性流体は、
その履歴特性が著しく少なく、広範囲の線形性に優れた
磁気特性を有していることに着目し、さらに、磁性流体
が液体状であるため、例えばコイルを磁性流体内に挿入
することにより、磁性流体の対流を利用することでコイ
ルの放熱が得られることを見出し、この知見に基づいて
発明に到ったものである。
【0008】したがって、この発明においては、ヒステ
リシスを持たない磁気特性を有する磁性流体を用いるた
めに、その高周波用インダクタの磁気的損失を著しく低
下させることができ、また、磁性流体が流体状であるた
め磁性流体中のコイルの発熱は対流により放熱すること
ができ、さらに、磁性流体の磁化特性が広範囲な線形特
性を有するため、大電流においても波形歪みを低下で
き、高周波パワデバイスとして優れた機能性を有してい
る。
【0009】この発明の磁性流体を用いた高周波用イン
ダクタは、例えば、図1に例示したものをひとつの態様
として示すことができる。この図1に例示したように、
容器(4)の中に存在する磁性流体(1)中にはコイル
(2)が挿入され、永久磁石(3)を容器(4)の外部
に配置し、永久磁石(3)によって生じた外部磁界によ
り磁性流体(1)中のコイル(2)のインダクタンスの
値を可変としている。
【0010】容器(4)はアクリル樹脂製等の各種の樹
脂容器等を用いることができる。また、この図1に例示
したように、永久磁石(3)をコイル(2)の中心軸に
対して磁界が直交する位置に配置した場合、直交磁界に
よる磁性流体可変インダクタを構成することができる。
また、図2に例示したように、永久磁石(3)をコイル
(2)の中心軸に対して磁界が平行になるように配置し
た場合、平行磁界による磁性流体可変インダクタを作る
ことができる。
【0011】もちろん、2個の永久磁石(3)の一方の
極性配置を変えることによっても、磁性流体内部のコイ
ルへの磁化方向を変えることができ、また、その永久磁
石の数や配置場所についても特に限定されることはな
い。さらに、この発明においては、例えば図3に例示し
たように、図1に例示した高周波用インダクタの空心
に、磁心(5)を挿入することもでき、このように磁心
(5)を挿入することによりインダクタンス値を高める
ことができる。
【0012】また、例えば図4に例示した高周波用イン
ダクタのように、前記の図2に例示した高周波用インダ
クタの空心に、磁心(5)を挿入し、インダクタンス値
を高めてもよい。この発明においては、図5および図6
に例示したように、コイル(2)を薄膜コイル(マイク
ロインダクタ)(6)に置き換えてもよい。
【0013】またさらに、この発明においては、前記図
1に例示した磁性流体可変インダクタをもとにして、主
磁気回路構成をフェライトなどのバルク材と磁性流体と
を組み合わせることにより、磁気抵抗を減少させてイン
ダクタンス性能を向上させてもよい。その具体的な組み
合わせ方は、例えば図7に例示したように、2つの空洞
(8)を持った8の字の形状であるフェライトなどのバ
ルク材(7)に対して、その外周部(9)にコイル
(2)を巻き付け、さらに、内側部(10)の一部を磁
性流体とし、また空洞(8)には、永久磁石(3)を備
えることができる。
【0014】この図7の構成における機能としては、次
のことが考慮される。 (a)バルク材の磁心と磁性流体と複合化することによ
り、磁路構成上磁気抵抗を減少させ、インダクタンス値
を高めることができる他インダクタンス制御率を向上で
きる。 (b)磁性流体を用いることにより磁気特性の線形性を
向上できる。
【0015】(c)磁心のメイン磁束に対し、永久磁石
を用い、直交磁界により磁束制御するため、原点対称の
磁気特性を示す。よって、電圧波形等、歪みがすくな
い。 もちろん、この発明の構成は、以上の例によって限定さ
れることはなく、様々な態様として可能である。
【0016】そこで以下、より具体的に実施例を示し、
さらに詳しく説明する。
【0017】
【実施例】実施例1 前記図1に例示した永久磁石を用いた直交磁界による磁
性流体可変インダクタを用いて、そのインダクタンス制
御特性を励磁周波数をパラメータにして測定した。図8
は、その際の測定回路の構成を示し、永久磁石としては
サマリウムコバルト磁石を用い、磁性流体としては水ベ
ースのマグネタイト磁性流体を用いた。図8中の数字は
寸法(mm)を示している。
【0018】サマリウムコバルト磁石は次の表1の仕様
のものと、磁性流体は、表2の仕様のものとした。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】なお、2個のサマリウムコバルト磁石によ
るその間の中心位置での磁界強度を、図9のように磁界
方向成分の観点からの測定として見ると、磁石間の距離
(d)との関係では、図10のように示される。そこ
で、以上のような構成系において、前記のインダクタン
ス制御特性を測定した。その励磁周波数は10kHz,
30kHz,70kHz,100kHz,300kHz
および700kHzの6種類と、コイルの巻回数は10
回とした。
【0022】その結果は、図11に例示したとおり、制
御磁界HPM[kA/m]を増加させると、インダクタン
スの値L0 [μH]が減少していくことがわかる。この
ことから、この発明の基本的な特性のひとつである可変
インダクタとして利用することができることがわかる。
一方、比較のため磁性流体を挿入しない空心だけのイン
ダクタを用いて、そのインダクタンス制御特性を測定し
た。各種測定条件は前記のこの発明の場合と同様であ
る。その結果は、図12に例示したとおりであり、制御
磁界HPMを変えてもインダクタンスの値L0 [μH]が
一定であることがわかる。実施例2 さらに、前記図2に示した永久磁石を用いた平行磁界に
よる磁性流体インダクタを用いて、そのインダクタンス
制御特性(LP −HPM)を計測した。図8と同様のサマ
リウムコバルト磁石を用い、インピーダンスアナライザ
HP−4194Aを用い励磁電流は10mA一定、アベ
レージング64、積分時間MEDとした。容器およびコ
イルの寸法は、図13に示した。
【0023】また、磁性流体は次の表3のものを用い
た。
【0024】
【表3】
【0025】その励磁周波数は50kHz,500kH
zおよび5MHzの3種類と、コイルの巻回数は7回と
した。その結果は図14に示したとおりであり、制御磁
界HPM[kA/m]を増加させると、インダクタンスの
値L0 [μH]が減少していくことがわかる。このこと
から、この発明の基本的な特性のひとつである可変イン
ダクタとして利用することができる。実施例3 前記図2に示した永久磁石を用いた平行磁界による磁性
流体インダクタを用いて、Qの制御特性(Q−HPM)を
計測した。ここで、Q(quality factor)は、損失係数
の逆数で、次式で表わされる。
【0026】
【数1】
【0027】また、HPMは制御磁界を示している。空心
インダクタのQと磁性流体インダクタのQ値を比較する
と空心インダクタのQ値が高い値を示すが磁性流体イン
ダクタを制御磁界でインダクタンス制御すると、Q値が
空心と同じ位高い値を示す。言い替えると、制御磁界で
インダクタンス制御することによりロスを減少できるこ
とになり、見掛け上、発熱を抑制できることになる。そ
の計測条件は同様である。
【0028】その結果は図15に示したとおりであり、
制御磁界HPM[kA/m]を増加させると5MHzおよ
び500kHzにおいて顕著にQが上昇することがわか
る。この結果より、制御磁界を印加することにより損失
を減少でき、見掛け上発熱を抑制できることになる。
【0029】
【発明の効果】以上詳しく述べた通り、この発明によ
り、従来の高周波用インダクタと比較して、著しく磁気
的損失および発熱を抑えることができる。そのため、こ
の発明の磁性流体インダクタは、磁性流体の履歴を持た
ない磁気特性と流体とが有する対流機能双方の特徴を有
効に生かすことにより、高周波用パワデバイスとしてイ
ンダクタを構成することができる。さらに、高周波用マ
イクロインダクタと磁性流体とを組み合わせた磁性流体
複合インダクタなどの非常に新しい高周波用パワデバイ
スへの応用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の例を示した概略図である。
【図2】この発明の例を示した概略図である。
【図3】この発明の例を示した概略図である。
【図4】この発明の例を示した概略図である。
【図5】この発明の例を示した概略図である。
【図6】この発明の例を示した概略図である。
【図7】この発明の例を示した概略図である。
【図8】インダクタンス制御特性の測定回路の構成を示
した概略図である。
【図9】一対の永久磁石の間の磁界強度の測定について
示した概略図である。
【図10】図9による測定結果を磁石間の距離との関係
として示した関係図である。
【図11】この発明の実施例としてのインダクタのイン
ダクタンス制御特性を示した関係図である。
【図12】磁性流体を用いない場合のインダクタのイン
ダクタンス制御特性を示した関係図である。
【図13】容器およびコイルの寸法を示した概略図であ
る。
【図14】この発明の実施例としてのインダクタのイン
ダクタンス制御特性を示した関係図である。
【図15】この発明のQ特性を示した関係図である。
【符号の説明】
1 磁性流体 2 コイル 3 永久磁石 4 容器 5 磁心 6 薄膜コイル(マイクロインダクタ) 7 バルク材 8 空洞 9 外周部 10 内側部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁性流体中にコイルが挿入されているこ
    とを特徴とする磁性流体を用いた高周波用インダクタ。
  2. 【請求項2】 請求項1の磁性流体を用いた高周波用イ
    ンダクタにおいて、永久磁石を配置することによって、
    または、電流を別のコイルに印加することによって生じ
    た外部磁界により、磁性流体中のコイルのインダクタン
    スの値を可変とすることを特徴とする磁性流体を用いた
    高周波用インダクタ。
  3. 【請求項3】 請求項1または2の磁性流体を用いた高
    周波用インダクタにおいて、磁性流体中のコイル内には
    磁心が挿入配置されていることを特徴とする高周波用イ
    ンダクタ。
  4. 【請求項4】 請求項1または2の磁性流体を用いた高
    周波インダクタにおいて、コイルは薄膜コイルであるこ
    とを特徴とする磁性流体を用いた高周波用インダクタ。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかの磁性流体
    を用いた高周波用インダクタにおいて、磁性流体とバル
    ク材によって構成した複合磁気回路に対して、永久磁石
    を用いてインダクタンス制御をすることを特徴とする磁
    性流体を用いた高周波用インダクタ。
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