JPH1186825A - 二次電池用セパレーター - Google Patents

二次電池用セパレーター

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JPH1186825A
JPH1186825A JP9243715A JP24371597A JPH1186825A JP H1186825 A JPH1186825 A JP H1186825A JP 9243715 A JP9243715 A JP 9243715A JP 24371597 A JP24371597 A JP 24371597A JP H1186825 A JPH1186825 A JP H1186825A
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cellophane
viscose
paper
battery
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JP9243715A
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English (en)
Inventor
Teruhisa Miki
輝久 三木
Masaru Ishikawa
勝 石川
Katsuhiko Kurose
勝彦 黒瀬
Waichiro Miki
和一郎 三木
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Miki Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Miki Tokushu Paper Manufacturing Co Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 短寿命の原因とされてきたデンドライト結晶
の種となる原因を除去し、信頼性に富む二次電池用セパ
レーターを提供する。 【解決手段】セロファン膜が天然繊維紙に含浸されたビ
スコースを接合剤として複層接合されてなるセパレータ
ーである。これは、電解液中のイオン透過性に優れ、電
気化学的耐久性に優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として、ニッケ
ル亜鉛二次電池に適した二次電池用セパレーターに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来からニッケル亜鉛二次電池は、セロ
ファン膜をセパレーターとして利用してきた。しかしセ
ロファン膜セパレーターは、短寿命でありこれがニッケ
ル亜鉛二次電池の市場的成長を抑制する大きな原因であ
った。セロファン膜が短寿命である原因は亜鉛イオンに
より形成された亜鉛デンドライト結晶がセロファン膜を
貫通することによることが多い。これまでの問題対処方
法として、正極と負極の間に複数枚のセロファン膜を配
置することが行われてきた。即ち複数枚のセロファン膜
を配置することにより、デンドライト結晶による短絡時
間の延長を図るものであるが、これは本質的な問題解決
法ではなく、さらに電池設計の繁雑さや製造工程を複雑
にするのが大きな欠点であった。
【0003】一般的に電池とは、化学的物質が電荷を電
極に残し、イオンとなって電解液の中に溶出し、電気化
学的な起電反応を行い、その結果得られた電荷を外部に
取り出す装置のことである。電池には、放電のみを目的
機能とする一次電池と、放電と充電とを併せて目的機能
とする二次電池がある。一次電池および二次電池は、共
通して陽極活物質、陰極活物質、電解液およびセパレー
ターを主たる構成材としている。これらの構成材の中
で、正負電極の活物質は多孔質の形態をし、比表面積を
大きくしている。その理由は、活物質の比表面積を大き
くすることにより電気化学的反応が進行しやすくすると
同時に、電気化学的分極現象を小さくすることを目的と
するからである。
【0004】セパレーターは正負の両極の間に配置さ
れ、両極の電気的短絡を防止し、しかもセパレーターの
両面は両極の活物質と直接接触しながらも、両方の電極
がもたらす化学的酸化力あるいは化学的還元力に耐え得
るものでなければならない。
【0005】それらは一般的に、電気絶縁性材料からな
る微孔性薄膜状の形態をしており、電池内の強い酸性、
あるいは強いアルカリ性電解液に長時間浸漬されても変
質することなく、しかも放電や充電の際に移動する正負
イオンの活動を阻害しないことが要求される。しかし、
見方を変えるとセパレーターはそれ自体、起電反応に何
ら寄与することなく、むしろ有害無益のしろものであ
り、電池の単位容積あたりのエネルギーを増大するため
には、セパレーターのしめる体積はなるべく小さいこ
と、即ち可及的に薄い形状であることが望ましい。
【0006】電池は構造的に大別すると開放型電池と密
閉型電池に分けられ、それぞれの電池におけるセパレー
ターの期待役割は異なる。
【0007】即ち開放型電池は電槽のなかに充分に多量
の電解液を包含する。この電池のセパレーター特性は第
一にイオン伝導性の良いこと、第二に長寿命であるこ
と、が要求される。開放型電池におけるセパレーターは
基本的に薄膜状をしておりしかも、セパレーター膜の内
部に多数の連続的微孔を備え、その微孔を電解液が容易
に移動し得る構造をしている。
【0008】これに対して密閉型電池は電槽のなかに、
電気化学的に限定された量の電解液しか包含していな
い。したがってこの電池におけるセパレーターへの要求
特性は、上記の開放型電池のセパレーターにおける要求
特性に加えて、電解液保存に関する特別の特性が求めら
れる。密閉型電池の内部にある電解液は絶対量が限定さ
れているために、有効利用率を高めなければならない。
密閉型電池の電解液はほとんどが正負の電極間に配置さ
れる。したがって密閉型電池における電解液はその一部
が多孔質電極の微孔内部に蓄えられると同時に、残り大
部分の電解液はセパレーター微孔内部に貯えられる。そ
れでも不充分な場合には電解液保存を目的として不織布
をセパレーターと重ねて使用する場合もある。
【0009】上述の様に電池セパレーターは一般的に膜
の形状をしており、しかも膜内に多数の微孔を内蔵して
いる。
【0010】しかし例外的に微孔をもたないセパレータ
ーが使用されることもある。ニッケル亜鉛二次電池に使
用されるセロファン膜セパレーターがその代表例であ
る。ニッケル亜鉛二次電池に使用されるセロファン膜セ
パレーターは常時、アルカリ電解液の中に浸漬されてお
り、膜全体が膨潤している。セロファン膜自体は無孔性
であるにもかかわらず、膨潤したセロファン膜は亜鉛イ
オンを容易に通過せしめる。亜鉛イオンは、放電の時は
負極から液中へ向かって溶解/移動し、また充電の時は
液中から負極へ戻ってくる。
【0011】しかし大部分の亜鉛イオンが負極へ戻って
くる中で、一部の亜鉛イオンは何故かセロファン膜中ま
たはセロファン膜表面で金属亜鉛に還元されるものが現
われる。この小さな金属亜鉛スポットが拠点となって、
亜鉛デンドライト結晶が成長し、セロファン膜を突き破
り、やがては電池性能を破裂せしめるに至る。
【0012】ニッケル亜鉛二次電池は1945年ころに
実用化された。この電池は正極に酸化ニッケル、負極に
金属亜鉛を備える充放電が可能な二次電池であり、しか
も充放電に際して電気化学的分極現象が小さく、低温に
おける大電流の放電が可能であり、しかもニッケルカド
ミウム電池に比較して廉価な亜鉛電極を採用している等
の利点があるにもかかわらず、現在に至るも未だに一般
的に使用されるに至っていない。その理由は二次電池に
しては充放電サイクル数が少ないからである。例えばニ
ッケルカドミウム電池は1000サイクル以上のサイク
ル寿命を有するのに、ニッケル亜鉛二次電池はせいぜい
200サイクル程度にすぎない。ニッケル亜鉛二次電池
のサイクル寿命を、この様に短く規制するのは、亜鉛の
デンドライト結晶によるセパレーター貫通トラブルを原
因とするケースが圧倒的に多い。これに対して、正極材
料である酸化ニッケルはニッケルカドミウム二次電池の
正極として使用された長い歴史を有し、高い信頼性があ
る。また金属亜鉛は負極材料として二酸化マンガン乾電
池やアルカリマンガン乾電池に広く使用されているが二
次電池の負極材料としての実績は少ない。
【0013】ところでニッケル亜鉛二次電池には、先述
した様に多孔質セパレーターは用いられない。ここで用
いられるセパレーターはもっぱら無孔質セロファン膜で
ある。セロファン膜は包装用としての用途が良く知られ
ている。セロファン膜の製造方法はビスコース原液と呼
ばれるセルロースの溶液を薄膜化して得られる。セロフ
ァン膜の主成分は再生セルロースであり、若干の柔軟剤
を含有している。再生セルロースそのものは硬質である
が、柔軟剤を加えることにより、包装紙としての用途が
広がった。セロファン膜の他の用途にケーシング材があ
る。ケーシング材とはハムやソーセージの燻製工程に用
いられる材料で、例えばマニラ麻単体あるいは、パルプ
繊維とマニラ麻繊維の混合抄造紙にビスコース原液を塗
布したものである。
【0014】ビスコース原液は凝固液と接触して凝固
し、再生セルロース膜となる。この再生セルロース膜は
煙は透過しても酸素ガスは透過しない性質を有する。そ
のため、膜内部にある肉を腐敗させることがない、と言
う特徴を有している。この場合のマニラ麻抄造紙はもっ
ぱらビスコース塗布膜の機械的強度の補強が主目的であ
る。ニッケル亜鉛二次電池用セロファン膜セパレーター
の変形として、ポリアミド繊維による湿式抄造紙にビス
コース原液を塗布し、これを凝固した再生セルロース不
織布型電池用セパレーターも提案された。
【0015】電池用セロファン膜の長寿命化の試みとし
て、セロファン膜自体を厚くする試みもなされた。セロ
ファン膜の厚みを厚くするには、濃厚なビスコース原液
から出発するか、あるいは希薄なビスコース原液を多数
回繰り返して芯紙に塗布する方法がある。しかし通常の
キサントゲン酸セルロースを出発物質として製造された
ビスコース原液は、その濃度限界は約8%であり、それ
以上の濃厚原液を得ようとしても工業的に困難とされ
る。
【0016】発明者らは市販される坪量30g/m2
厚み約21μ、密度1.40の包装用セロファン膜を、
接着剤にポリアクリル酸樹脂を用いてセロファン膜の厚
みの倍増を試みた。しかし期待したような長寿命のセロ
ファン膜セパレーターを得ることはできなかった。上述
の様に、セロファン膜とは、キサントゲン酸セルロース
を溶解したビスコース原液から製造される、再生セルロ
ース膜のことである。
【0017】セルロースは水や有機溶媒に不溶性である
が、これの硫黄化合物であるキサントゲン酸セルロース
はアルカリ性水溶液に可溶であり、この特性を利用して
繊維状に加工したのがレーヨン繊維であり、シート状に
加工したものがセロファン膜である。セロファン膜は通
気度試験や透気度試験においてほとんど気体の通過性が
みとめられない、一般的には無孔性の半透明膜として知
られる。
【0018】ニッケル亜鉛二次電池において無孔膜であ
るセロファン膜が用いられる理由は、多孔膜をセパレー
ターとして使用すると金属亜鉛のデンドライト結晶の成
長によるトラブルが多発するからである。正常に作動中
のニッケル亜鉛二次電池の負極活物質である金属亜鉛
は、放電の際は電気化学的に酸化されて亜鉛イオンとな
って電解液中に溶出し、充電の際には電気化学的に還元
されて旧の金属亜鉛に復帰する。
【0019】ところが充電の際に亜鉛イオンが電気化学
的還元を受けて金属亜鉛として析出する場所が負極面上
であれば問題ないが、これがセロファンセパレーター膜
上または膜内部に析出すると問題であり、これが結晶と
して成長したのがデンドライト結晶である。デンドライ
ト結晶とは針状結晶とも呼ばれる結晶であり、亜鉛イオ
ンが何らかの原因でセパレーター表面あるいは膜を通過
中に還元されるとその部分にデンドライト結晶が成長
し、これがやがてはセパレーターを突き破り、電池を短
絡させるのである。
【0020】しかし亜鉛イオンの還元は、電気化学的還
元のみならず化学的還元によっても容易に金属亜鉛に復
帰することが知られている。即ち、亜鉛イオンは電気化
学的にも還元されるが、セパレーター中に何らかの化学
的還元機能を有する還元基があれば、その還元基に遭遇
した亜鉛イオンは容易に化学的還元を受け、金属亜鉛に
なり得る。ビスコース原液はキサントゲン酸セルロース
を主成分とする塩基性溶液である。キサントゲン酸セル
ロースは化学構造の中に還元基であるケトン基やアルデ
ヒド基を有する還元性物質である。キサントゲン酸セル
ロースを含有するビスコース原液は、硫酸を主成分とす
る凝固液と接触した際に化学分解を受け、含硫黄セルロ
ース分を、旧の出発成分であるセルロースに再生する。
したがって、もし凝固したはずのセロファン膜のなかに
微量のキサントゲン酸セルロースが残りかつ、それらが
イオンとして電離できる状況、即ちイオン溶解性雰囲気
にあれば、亜鉛イオンがセパレーターを通過する際に、
容易に還元され金属亜鉛のデンドライト結晶の成長の芽
となる。
【0021】発明者らの研究により、イオン溶解性雰囲
気は内蔵する多価アルコールである柔軟剤の量に支配さ
れることが判明している。即ち、柔軟剤の量が多いほど
キサントゲン酸セルロース中の還元基は活発であり、結
果として、デンドライト結晶が発生しやすくなる。しか
しこの現象は、セロファン膜をセパレーターとするニッ
ケル亜鉛二次電池の充電の際にのみ現れる現象である。
したがって同様にセロファン膜セパレーターを使用して
いても、放電のみを目的とするニッケル亜鉛一次電池で
は発生しない現象である。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来から短
寿命の原因とされてきたデンドライト結晶の種となる原
因を除去し、信頼性に富むニッケル亜鉛二次電池に適し
た二次電池用セパレーターを提供することを目的として
いる。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明による課題解決手
段は、セロファン膜が天然繊維紙に含浸したビスコース
を接合剤として複層接合されてなるセパレーターであ
る。
【0024】このセパレーターは、セロファン膜を複層
接合せしめたものであり、しかも接合せしめるに際して
天然繊維紙にビスコースを含有せしめたものを接合層と
して介在せしめているので、電解液中のイオン透過性に
優れ、電気化学的耐久性に優れている。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明は、セロファン膜が天然繊
維紙に含浸したビスコースを接合剤として複層接合され
たことを特徴とする二次電池用セパレーターである。
【0026】そして、前記天然繊維紙はレーヨン紙が、
また前記ビスコースは両性化合物が包含されると好適で
ある。
【0027】なお、繊維形成特性を有する物質を溶解あ
るいは溶融し液状としてこれを紡糸したり薄紙状に形成
する技術は歴史的に古くから行われている。特に、上述
のようにセルロースを化学的に溶解し、再びもとのセル
ロースに再生した繊維を総括してセルロース系人造繊維
または、レーヨンと呼称するのも古くからの慣習であ
る。
【0028】レーヨンは製法や出発物質により区別さ
れ、「ビスコースレーヨン」とはビスコース法で作成さ
れた原液から出発したレーヨンであり、「銅アンモニア
レーヨン」は銅アンモニア法で作成された原液から出発
したレーヨンのことである。
【0029】以下にビスコース原液の一般的な製法を述
べる。最初に、セルロースを苛性カリ水溶液でマーセル
化した後、圧縮/粉砕することから始まる。これを老成
し、二硫化炭素を加えてキサントゲン酸ナトリウムを主
成分とする可溶性液体を得る。これを希薄な苛性ソーダ
水溶液に溶解し熟成し、ビスコース原液とする。
【0030】ここで得られた通常のビスコース原液組成
はセルロース8%前後、苛性ソーダ濃度が6%前後のも
のが多い。アルカリ分を出来る限り除去し、希薄苛性ソ
ーダ水溶液の追加をなるべく少なくすると、セルロース
8%、苛性ソーダ4.5%のものが得られ、これを低ア
ルカリビスコース原液と呼んでいる。これを硫酸ソー
ダ、硫酸亜鉛および硫酸水溶液などからなる凝固液中に
圧出することにより、セルロース繊維またはセルロース
繊維膜が再生される。ここで言うセルロース繊維膜とは
即ちセロファン膜のことである。
【0031】再生されたセルロース繊維またはセロファ
ン膜は付着している凝固液を洗い落とし、目的とするレ
ーヨン糸またはセロファン膜が完成される。このように
して製造されたセロファン膜は、そのままでは硬質でも
ろく、割れやすいので、グリセリンやエチレングリコー
ル等の柔軟剤で処理されてようやく、包装材料として使
用される。
【0032】発明者らは上記のセロファン柔軟剤が電池
セパレーターとしてのセロファン膜に悪い影響を与える
ことを発見した。即ち、セロファン柔軟剤はセロファン
膜が包装材料として用いられるには不可欠ではあるが、
電池セパレーターとしては好ましくない物質である。
【0033】即ち、これらの多価アルコール類が多く含
まれるセロファン膜をセパレーターとして使用すると亜
鉛イオンのデンドライト結晶が成長しやすい、即ち電池
の内部短絡が発生しやすく、できるならば柔軟剤の量が
10%以下であること、更に好ましくは3%以下である
ことを突き止めたのである。
【0034】上記の理由は現時点では定量実験的に解明
されてはいないが、キサントゲン酸セルロースのナトリ
ウム塩は多価アルコールであるグリセリンやエチレング
リコールが多量に共存する雰囲気でイオンが解離を受
け、イオン解離されたキサントゲン酸セルロース中の還
元基に遭遇した亜鉛イオンはセロファン膜中で金属亜鉛
に還元され、金属亜鉛のスポットとなり、このスポット
を種として金属亜鉛デンドライト結晶が発生し、成長す
るのではないか、と発明者らは推定している。
【0035】電池用セパレーター材料を歴史的に概観す
ると、最も古くは木質パルプあるいは木材の薄板が用い
られ、その後、耐久性に優れた合成樹脂多孔体が用いら
れるようになった。
【0036】一般的にはそれほどの化学的耐久性が要求
されない一次電池、例えばマンガン乾電池やアルカリマ
ンガン乾電池には今なおパルプあるいは天然繊維紙で抄
造されたセパレーターが用いられ、より大きな耐久性が
要求される二次電池のセパレーターにはイソプレンゴム
やポリエチレン、ポリプロピレンなどの天然または人工
の高分子材料で製造されたセパレーターが用いられてい
る。
【0037】ケーシング材の補強材として使用されてい
るマニラ麻は機械的強度が大きく、ビスコース原液と馴
染み易い特徴がある。マニラ麻の他に、みつまた、こう
ぞ、がんぴ、ケナフ等の靭皮繊維と呼ばれる天然繊維か
ら抄紙された紙は、ビスコース原液と馴染み易く引張強
度が大きい点に共通した特徴がある。
【0038】ところで近年、木質パルプは資源保存の理
由から、それに代わる新しいパルプ材が求められるよう
になり、一年性の草であるケナフ草が代替品として脚光
を浴びるようになった。ケナン草から採取したケナフ繊
維は、それ自体では耐薬品性に乏しく、またケナフ紙の
みでは大衆紙としての特徴も見い出し難く、また電池用
セパレーターとしての用途にも不向きである、とされて
きた。
【0039】しかし発明者らは、ケナフ繊維は、天然繊
維の中でも傑出してビスコース原液との馴染みに優れ、
しかもビスコースを含浸したケナフ繊維紙はセロファン
膜の接合に適していること、さらに好ましくは、密度
0.5以下のケナフ繊維紙において、特にセロファン膜
セパレーターとしての効果が著しいことを発見した。
【0040】この際、ケナフ繊維紙の厚みが厚いほど、
それ自体のイオン透過における電気抵抗値を増大するけ
れども、ビスコース原液との馴染みには悪い影響は見つ
からなかった。
【0041】ケナフは一年性の草であり古くから紙の原
料として知られている。通常は、4月下旬から5月上旬
に種を蒔けば、10月下旬から11月上旬に収穫し、収
穫時の草丈は3〜4mにまで成長する。ケナフ草から紙
を抄紙するには、収穫したケナフ草を天日で干し、充分
に乾燥したところで適当な長さに切り揃えチップとな
し、これを叩解する。ケナフ繊維は、靭皮パルプ(主と
して表皮部分から成るパルプ)と木質パルプ(主として
中心の木質部からなるパルプ)から構成され、これらの
両者を併せたパルプ材を 全幹ケナフ繊維と一般的に呼
称する。ケナフの靭皮パルプと木質パルプはそれぞれ特
有の個性があり、叩解速度も異なるが、一般的に前者の
叩解速度は小さく、後者の叩解速度は大きい。またケナ
フ抄紙と針葉樹パルプ抄紙を比較すると、ケナフ抄紙の
引き裂き強度は著しく小さい。これはケナフ繊維の平均
的長さが、木質パルプの平均的繊維長さと比較して短い
ため、と推測される。したがってケナフ紙の引き裂き強
度を上げるためには、木質パルプを混在させないほうが
良い。
【0042】しかしセロファン膜セパレーターの用途に
限ってみれば、全幹パルプ即ち、木質パルプと靭皮パル
プの間に適正の差は認められなかった。良く知られてい
るケナフ繊維の特徴は通常の木材パルプに比べて水和性
がよいこと、叩解が進むと繊維は板状叩解となり原液の
不透明度が大幅に低下すること、また叩解度が進んだ原
液を用いて抄造したケナフ抄紙の透気度は異常に高くな
ることが挙げられる。
【0043】特にケナフ繊維の持つ水和性のよいこと
は、ビスコースとの親和性の良さと共通している。
【0044】しかし発明者らは、ケナフ靭皮繊維に若干
のみつまた繊維やこうぞ繊維を混入した天然繊維は、ビ
スコースとの親和性に優れ、しかもビスコース原液に溶
解するキサントゲン酸セルロースと安定に共存すること
を発見した。こうぞやみつまたの靭皮繊維が紙の素材と
してよく用いられるのは、主として機械的強度が大きい
点にある。しかし発明者らはビスコースとの馴染みの良
さのみに限れば、こうぞやみつまたの靭皮繊維と木質部
との間に何らの差も認めなかった。
【0045】ここで混入するみつまたやこうぞは、主成
分であるケナフに対して25%程度が最適であり、それ
より少なければ強度増大効果が薄く、多くなると経済的
効果が乏しくなる。さらに得られたケナフを含む天然繊
維をマーセル化処理することにより、ビスコースとの親
和性およびキサントゲン酸セルロースの共存安定特性維
持に一層の効果があることを発明者らは発見した。
【0046】一般的に木質パルプにアルカリ耐久性を持
たせるには、マーセル化処理と呼ばれるアルカリ処理が
適していることが知られている。マーセル化処理とは、
上記天然繊維紙を冷却アルカリ水溶液、例えば水温18
℃、濃度40%の苛性ソーダ溶液中に3〜4時間浸漬し
て繊維を膨潤せしめた後、よく洗浄する工程までを言
う。マーセル化処理により、セルロース分子構造にナト
リウムイオンが侵入し、それまでの天然セルロースがア
ルカリ性セルロースに変換する。さらにマーセル化処理
によって、パルプ中の崩壊しやすいヘミセルロースが除
去されると同時に扁平であった繊維の断面を円形化する
特徴があると言われている。
【0047】発明者らは、マーセル化した全幹ケナフ繊
維を抄造後、これにビスコース処理を施すことを試み
た。ビスコース処理とはケナフ抄紙をビスコース原液に
含浸または塗布することである。
【0048】次いで発明者らは、レーヨン紙、特に密度
0.45以下のレーヨン紙においてビスコースを含浸あ
るいは塗布した場合、ビスコースの有するキサントゲン
酸セルロース特性を破壊することが少ないことを発見し
た。歴史的にビスコース原液は長時間の保存が困難とさ
れてきた。その理由は、ビスコース原液中のキサントゲ
ン酸セルロースが何らかの原因で酸化されるためであ
る、と考えられている。
【0049】以上述べた様に、みつまた紙、こうぞ紙、
がんぴ紙、マニラ麻紙、ケナフ紙、およびそれらをマー
セル化した紙、レーヨン紙などは、キサントゲン酸セル
ロース特性を破壊することの少ない物質であり、さらに
上記の天然繊維は一般的に靭皮繊維の方が重用視される
のに、本発明においては木質部も併せた全幹繊維が利用
可能であり、本発明にとって有為である。
【0050】上記の様に、発明者らは従来から用いられ
るニッケル亜鉛二次電池用セパレーターであるセロファ
ン膜が短寿命である原因をいくつか突き止め、そしてい
くつかの改善法を得た。
【0051】次いで発明者らは、予め複層接合層の中へ
両性化合物を包含せしめることを試みた。
【0052】電池用セロファン膜セパレーターにおい
て、局所的な化学的還元基の近傍を通過する亜鉛イオン
が何らかの原因により、金属亜鉛に還元され、セロファ
ン膜中にデンドライト結晶の成長スポットを生成せしめ
る、との推論を基礎にして、ビスコース原液中に前記両
性化合物を添加することによって、上述の様な不都合の
原因である、セロファン膜中の化学的還元基を予め中和
しておくためである。ここで両性化合物を選択したの
は、原料であるキサントゲン酸セルロースのナトリウム
塩は塩基性であり、さらに凝固剤は酸性であるが、両方
に遭遇してもなお、活性を失わないものとして両性化合
物を選んだのである。
【0053】
【実施例】以下に、本発明の実施例および比較例を詳述
する。
【0054】本発明のセロファン膜セパレーターの各種
試験を実施し、それに基づく評価特性を得ているが、そ
の方法をまず詳述する。
【0055】(1)耐酸化性評価特性 標準的な電解液濃度として25℃の10重量%の苛性カ
リ水溶液を電解液とし、正極および負極が厚み1mmの
亜鉛板から構成されるセルにおいて、両極間にセパレー
ターを密着して介在せしめ、電流密度を10mA/cm
2の直流電流を通電したとき、セパレーターが亜鉛イオ
ンによって内部短絡するのに必要な時間を測定する。数
値は持続時間を表わし、単位は分である。
【0056】(2)厚さ 厚さは得られたサンプルの5カ所をダイヤルシックネス
ゲージで測定し、その平均値とした。
【0057】(3)坪量、引張強度 坪量はJISP8124に規定された方法を採用し、同
じく引張強度はJISP8113に規定された方法を採
用した。
【0058】(4)電気抵抗値 電気抵抗は3mmの間隔で平行した白金電極の間にサン
プルを挿入し、この挿入に伴う電極間の増加をセパレー
ター紙の電気抵抗とした。なお、電解液としては40%
苛性カリ水溶液を使用して電極間の電気抵抗は1000
Hzの周波数でヒューレット・パッカード社製インピー
ダンスメーターを用いて測定した。
【0059】表1に示される比較例1から比較例5まで
に用いたサンプル用セロファン膜は坪量30g/m2
厚み21μ、密度1.40の特性であり、4.7%の柔
軟剤を含有している。
【0060】比較例1は1枚のサンプル用セロファン膜
を用いた例であり、比較例2は2枚のサンプル用セロフ
ァン膜を単純に重ねただけのものであり、比較例3は2
枚のサンプル用セロファン膜をポリアクリル酸樹脂で接
着して多層化したものであり、比較例4は3枚のサンプ
ル用セロファン膜を単純に重ねただけのものであり、比
較例5は3枚のサンプル用セロファン膜をポリアクリル
酸樹脂を用いて接着多層化したものである。これらの各
種評価特性結果を表1にまとめる。
【0061】
【表1】
【0062】表1よりわかることは、基準となるサンプ
ル用セロファン膜の耐酸化性評価特性値は20分であ
り、この数値および電気抵抗値は、比較例2および比較
例4が示す様に、一般的にセロファン膜の複合枚数に比
較して電気抵抗値は倍増し耐酸化性評価特性値は向上す
る。この事実は、従来からのニッケル亜鉛二次電池のセ
パレーターの短絡寿命を改善するために複数枚数のセロ
ファン膜セパレーターを電極間に介在させた技術は間違
っていなかったことを証明している。
【0063】比較例3および比較例5は、2枚および3
枚のサンプル用セロファン膜をポリアクリル酸樹脂を用
いて複層接合した場合を示している。比較例3および比
較例5は、枚数に比例した耐酸化性評価特性値が得られ
ていないのが特徴である。
【0064】次に含有量の異なるグリセリン柔軟剤を含
有するサンプル用セロファン膜の比較例について述べ
る。比較例6は1%、比較例7は2.4%、比較例8は
4.7%、比較例9は6.4%、比較例10は8.1
%、比較例11は10.4%、比較例12は14.2
%、比較例13は16%の柔軟剤をそれぞれ含有してい
る。これらのサンプル用セロファン膜はそれぞれ厚みが
異なるので、表2には21μ厚みとして換算した数値を
記載した。
【0065】
【表2】
【0066】比較例6から比較例10まで、耐酸化性評
価特性値において緩い低下傾向が認められるが、比較例
11から比較例13は、急激に耐酸化性評価特性値が低
下する。またこれとは反対に、柔軟剤の含有量が増加す
るにつれて電気抵抗値が低下している。柔軟剤の量が増
加することは、セロファン膜を包装用途に使用する場
合、特に冬場において多く見られることではあるが、セ
ロファン膜を電池用セパレーターとして使用する場合に
は、好ましくないことを表2は示している。これらの原
因は、多量の柔軟剤とセロファン膜中に残存するキサン
トゲン酸ナトリウムのイオン解離が関係しているものと
推測されるが定量的に実証されてはいない。
【0067】本発明においては、表2に示される結果か
ら10%を超える柔軟剤を内蔵するセロファン膜はセパ
レーターとして適当でない、と発明者らは考える。
【0068】次にケナフ繊維紙にビスコース原液を含浸
せしめ、これを用いて複数枚のサンプル用セロファン膜
を複層接合したセパレーターの実施例について説明す
る。以下に述べるケナフ繊維はケナフ全幹繊維である。
ケナフ繊維紙に接着剤として用いたビスコース原液の濃
度は8%である。
【0069】以下にケナフ繊維紙の実験結果について記
載する。比較例3および比較例5に示す様に、ポリアク
リル酸樹脂によるセロファン膜の複層接合は不成功であ
ったが、ビスコース原液による複数枚のセロファン膜の
複数接合は非常に良好に行われ得る。しかしこの場合に
おいても、柔軟剤の含有量は耐酸化性評価特性値に大き
な影響を与えることが判明した。
【0070】実施例1から実施例5までに、2枚の同じ
柔軟剤の量のセロファン膜を、25%のみつまた繊維を
混合したケナフ繊維紙(密度0.4、坪量35g/
2)に1.8g/m2のビスコースが塗布された層を接
着剤として複層接合した。接合したセロファン膜の柔軟
剤含有量はそれぞれ異なるが、それらの特性結果を表3
にまとめた。なお、比較用として、単純に二枚のセロフ
ァン膜を重ねた比較例2も併せて掲示した。柔軟剤の量
はそれぞれ1.0%、4.7%、8.1%、10.4
%、16%である。
【0071】
【表3】
【0072】表3において、実施例1から実施例3ま
で、単純に2枚のセロファン膜を重ねた実施例2の耐酸
化性評価特性値40分を上回る数値が得られた。特に実
施例1の耐酸化性評価特性値の数値は、基準値の4倍よ
り大きな数値である。しかし同時に、柔軟剤含有量の増
大はセロファン膜を柔らかにし、電気抵抗値を低くする
点に効用はあるが、耐酸化性特性値を著しく低下せしめ
ることも判明した。
【0073】次に密度の異なるケナフ繊維紙に1.8g
/m2のビスコース原液を含浸させ、これを接合剤とし
て2枚の複層接合したセロファン膜の特性を調べた。セ
ロファン膜は4.7%の柔軟剤を含有するサンプル用セ
ロファン膜を用いた。その結果を表4に示す。
【0074】
【表4】
【0075】表4より明白なごとく、ケナフ繊維の密度
が0.4を境界として、より大きな密度のケナフ繊維紙
は耐酸化性評価特性値の低下が大きい。同時に電気抵抗
値も増大している。おそらくは、大きな密度のケナフ繊
維紙は、接着剤としてのビスコースが均一に分散するこ
とが困難であるため、と推定される。次にケナフ繊維紙
のマーセル化処理による影響を調べた。
【0076】実施例10は先に述べた方法により、25
%のこうぞ繊維を混合したケナフ繊維をマーセル化処理
し、これを抄造したものであり、実施例11は25%の
みつまた繊維を混合したケナフ繊維をマーセル化、これ
を抄造し、セロファン膜と複層接合したものである。な
お、接着剤として付加したビスコース量は1.8g/m
2である。その結果を表5に記載する。
【0077】
【表5】
【0078】表5よりわかる如く、マーセル化処理した
ケナフ繊維紙をセロファン膜と複層接合したセロファン
膜セパレーターは電気抵抗値が小さいことが特徴と言え
る。マーセル化処理したケナフ繊維紙をセロファン膜と
複層接合したセロファン膜セパレーターを使用したニッ
ケル亜鉛二次電池においては、電池の内部抵抗値は低く
抑えられ、したがって充電に際しては無駄な電力消費が
なく、また放電に際しては高い放電電圧が得られること
を示している。上述の様にケナフ繊維紙はセロファン膜
を複層接合する際の接着層としての役割を果す上で非常
に効果的であるが、比較例としてケナフ繊維以外の繊維
で抄紙された紙を用いた場合の結果も含めて表6に記載
する。
【0079】実施例12から実施例15まではレーヨン
紙を接着層とした例であり、実施例11は密度0.2
6、実施例12は0.31、実施例13は0.45、実
施例14は0.60、実施例15は0.77の例であ
る。また比較例14はポリエステル不織布、比較例15
はポリエチレン不織布、比較例16はポリプロピレン不
織布の例で、それぞれの密度は0.45である。
【0080】
【表6】
【0081】比較用として比較例2を掲載している。い
ずれの例でも、用いたビスコース量は1.8g/m2
ある。表6より、レーヨン紙の実施例は、紙密度が0.
45以下の場合において良好ではあるが、それより大き
な密度の場合は耐酸化性評価特性値の低下が認められ
る。この事実は比較例2との比較において確認した。表
6は、特に密度が0.45以下のレーヨン紙はビスコー
ス含浸性に富み、接着層としてのイオン透過性にも優れ
ていることを示している。それ以外の比較例は参考のた
めに掲載したものであるが、耐酸化性評価特性値および
電気抵抗値の両者においてセロファン膜の複層接合効果
が認められず、劣悪な特性数値であった。
【0082】発明者らは表6の結果から、レーヨンを接
着層として用いる場合には密度が0.45以下が適して
いる、と判断した。発明者らは塩基性のキサントゲン酸
セルロースナトリウム塩および酸性の凝固剤の両者に遭
遇してなお、活性度を失わずに局所的金属亜鉛イオン還
元基を中和する両性化合物例として両性酸化物元素であ
る錫、鉛、アルミニウム、砒素、アンチモンらを包含す
る化合物、および塩基と酸性の両方の水溶液で安定な挙
動をするアミノ酸らを用いて耐酸化性特性値の実験をし
た。その結果を表7にまとめた。
【0083】表7中の、実施例17は錫酸イオン、実施
例18は鉛酸イオン、実施例19はアルミン酸イオン、
実施例20は砒素酸イオン、実施例21はアンチモン酸
イオン、実施例22はアミノ酢酸、実施例23はアラニ
ン酸の例である。それぞれに使用したビスコース量は
1.8g/m2であり、全ての添加物としての両性化合
物の添加量はビスコース量に対して0.15モル%であ
る。この価は、従来のデンドライト結晶による短絡トラ
ブルの発生頻度により、逆算して算出したものである。
なお、表7においても、比較参照用として比較例2を並
記している。
【0084】
【表7】
【0085】表7中のすべての実施例の耐酸化性評価特
性値は、比較例2と対比して優れた特性を有しているこ
とがわかる。しかし二つのアミノ酸例(実施例21およ
び実施例22)は電気抵抗値においてやや劣る結果を呈
している。
【0086】表7中の、特に実施例19の砒素酸イオン
による効果は、比較例2の2倍も凌駕する特性を示し
た。これは金属砒素イオンの有するイオン半径(0.4
7Å)がキサントゲン酸セルロースのナトリウム塩の化
学的還元基の大きさとの反応適合性に優れていることを
示しているものと推定される。
【0087】次にプラズマ放電処理による、天然繊維の
親水性効果の向上を試みた。発明者らの過去の経験によ
れば、プラズマ放電処理は一般的に細い繊維に対して有
効であることが化学繊維で確認している。発明者らは、
プラズマ放電処理条件として、電極間距離10センチ、
極板面積200cm2のステンレス製のプラズマ電極、
真空度10Torr、酸素ガス雰囲気200ワット、周
波数15MHzと定めた。
【0088】実施例24は密度0.4のケナフ繊維紙
(厚み40μ)に1.8g/m2のビスコース原液を含
浸したものおよび、坪量30g/m2、密度1.41、
厚み21μ、4.7%柔軟剤含有のセロファン膜を張り
合わせたもの、実施例25は密度0.4のケナフ繊維紙
に1.8g/m2のビスコース原液を含浸したものの両
面に二枚のセロファン膜を重層接合したものである。セ
ロファン膜は坪量30g/m2、密度1.41、厚み2
1μ、4.7%柔軟剤含有している。表8に実施例24
およびお実施例25の結果を記載する。
【0089】
【表8】
【0090】参考値として比較例2を並記している。実
施例2は二枚のセロファン膜を張り合わせることなく物
理的に重ねて、その特性値を計測した数値である。実施
例24は比較例2に比較して耐酸化性評価特性値は優
れ、電気抵抗値は逆に減少している点が注目される。
【0091】また実施例25は実施例24よりさらに優
れている。実施例24および実施例25に共通して優れ
ている特徴は、厚みが増しているにもかかわらず、いず
れの電気抵抗値も低いところにある。これはケナフ繊維
紙とセロファン膜との界面に接触抵抗が少なく、イオン
の移動に電気的に無駄なエネルギーの消費が少ないこと
を示している。発明者らは、実施例24および実施例2
5における重層接合したセロファン膜セパレーターにお
ける電気抵抗値の低い特徴を高く評価する。
【0092】なお、本発明は、上記実施例に限定される
ものではなく、本発明の範囲内で上記実施例に多くの修
正および変更を加え得ることは勿論である。
【0093】
【発明の効果】以上述べた様に、本発明によるニッケル
亜鉛二次電池に適した二次電池用セパレーターは、ビス
コースを接着層として多層化することにより、これまで
に見られなかったセロファン膜セパレーターの長寿命化
に成功し、電池の特性改善に大きく貢献する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三木 和一郎 東京都台東区上野1丁目18番11号山光堂ビ ル3階 ミキ・インターナショナル株式会 社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セロファン膜が天然繊維紙に含浸された
    ビスコースを接合剤として複層接合されたことを特徴と
    する二次電池用セパレーター。
  2. 【請求項2】 前記天然繊維紙はレーヨン紙であること
    を特徴とする請求項1記載の二次電池用セパレーター。
  3. 【請求項3】 前記ビスコースには両性化合物が包含さ
    れていることを特徴とする請求項1記載の二次電池用セ
    パレーター。
JP9243715A 1997-09-09 1997-09-09 二次電池用セパレーター Pending JPH1186825A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015209987A (ja) * 2014-04-24 2015-11-24 パナソニックIpマネジメント株式会社 野菜ケースおよび冷蔵庫
JP2020516075A (ja) * 2017-03-29 2020-05-28 オーハイ エナジェティクス ピービーシー 強い電気エネルギーのためのシステムおよび方法

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JP2015209987A (ja) * 2014-04-24 2015-11-24 パナソニックIpマネジメント株式会社 野菜ケースおよび冷蔵庫
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