JPH1184348A - 高分子分散型液晶表示素子の製造方法および製造装置 - Google Patents

高分子分散型液晶表示素子の製造方法および製造装置

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JPH1184348A
JPH1184348A JP23819597A JP23819597A JPH1184348A JP H1184348 A JPH1184348 A JP H1184348A JP 23819597 A JP23819597 A JP 23819597A JP 23819597 A JP23819597 A JP 23819597A JP H1184348 A JPH1184348 A JP H1184348A
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慎也 古佐小
Tsuyoshi Kamimura
強 上村
Kenji Nakao
健次 中尾
Masao Yamamoto
雅夫 山本
Kazuo Inoue
一生 井上
Hiroshi Kubota
浩史 久保田
Seiji Nishiyama
誠司 西山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】液晶の偏平効果が長時間安定に持続でき、光に
対する散乱性の優れたコントラストの高い、信頼性の高
い高分子分散型液晶表示素子の製造方法および製造装置
を提供する。 【解決手段】基板11,12間に高分子・液晶複合体1
5が配置されるとともに、液晶滴がセル厚方向に変形さ
れている高分子分散型液晶表示素子の製造方法であっ
て、液晶材料と熱重合開始剤と光重合開始剤と熱および
光のいずれによっても重合反応を行う重合性材料とから
構成される混合溶液10を基板11,12間に注入する
工程と、混合物を加熱することにより高分子と液晶とを
相分離させる第1の重合工程と、液晶押し出す工程と、
紫外線を照射し未反応の重合性材料を重合させる第2の
重合工程とを有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶テレビ、液晶
プロジェクターなどに用いられる液晶表示素子の製造方
法および製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、薄型、小型、低電圧駆
動、低消費電力という特徴を生かし、腕時計、電卓等の
表示から、ナビゲーションシステム、ノート型パソコ
ン、液晶モニター、データプロジェクター、プロジェク
ション液晶テレビなどあらゆるところで広く利用されて
いる。このような液晶表示素子の表示モードの中で、従
来より広く用いられているのがTN(Twisted
Nematic)方式であり、対向する2枚の基板の間
に上下で液晶分子が90度ねじれた構造の液晶素子を2
枚の偏光板により挟持したものである。また、TN方式
の時分割駆動特性を改善したSTN(Super Tw
isted Nematic)方式の液晶表示素子も日
本語ワードプロセッサーなどに使われている。さらに、
最近では液晶分子の自発分極によって液晶分子の配列状
態を変化させ、その配列状態の変化に伴う電気光学効果
を表示に利用する強誘電性液晶を利用した情報機器も実
用化されている。
【0003】しかし、これらの液晶表示素子は少なくと
も1枚の偏光板を必要とするため、暗い、配向処理が必
要、セル厚制御が容易でないという課題があった。
【0004】一方、このような液晶表示素子に対して、
偏光板が不要で、電界により液晶分子の配列を制御し
て、白濁状態または透明状態を作り出す方式が提案され
ている。この方式は、液晶と透明高分子の複合体が2枚
の基板間に挟持されており、液晶分子が正の誘電率異方
性を有する場合、液晶分子の常光屈折率と透明高分子の
屈折率を一致させておくと、電圧を印加して液晶分子の
長軸を電界に平行になるように配列させて透明高分子の
屈折率と一致すると界面の光散乱がないため透明状態に
なり、一方電圧が無印加のときには、液晶分子は種々の
方向に配向しているため透明高分子との界面で屈折率が
一致しないため光散乱が起こり白濁不透明状態になるこ
とを利用しているものである。
【0005】この方式の代表的な例は、NCAP(Ne
matic Curvilinear Aligned
Phase)と呼ばれる、ネマチック液晶をポリビニ
ルアルコールなどでマイクロカプセル化したものである
(粉体と工業、VOL.22、NO.8(199
0))。また、このほかに、PDLC(Polymer
Dispersed Liquid Crysta
l)といわれる方式があり、液晶微小滴を高分子マトリ
クス中に分散させる方法である(フラットパネルディス
プレイ’91、日経BP社、p219)。また、PNL
C(Polymer Network Liquid
Crystal)といわれるものもあり、樹脂が液晶の
連続相の中に3 次元ネットワーク状に広がる構造を有す
るものである(電気情報通信学会技術研究報告、EID
89−89、p1)。これらの液晶と透明高分子の複合
体は、総称して高分子分散型液晶と呼ばれている。
【0006】従来、これらの液晶と高分子の複合体の製
造方法は、アクリル系またはエポキシ系紫外線硬化樹脂
などの未硬化樹脂モノマーと液晶材料を溶解させた混合
組成物を2枚の基板間に注入し、これに、紫外線を照射
すると、樹脂モノマーが重合して液晶と樹脂が相分離す
る。その結果、高分子中に液晶が分散した構造、または
液晶中に高分子がネットワーク状に広がる構造のものが
得られる(フラットパネルディスプレイ’91、日経B
P社、p219、電気情報通信学会技術研究報告、EI
D89−89、p1など)。
【0007】ところで、このような高分子分散型液晶に
おいて、液晶と高分子の複合体の光に対する散乱性を向
上させるため、液晶滴の形状を平板状(液晶滴の断面形
状を基板に垂直な方向の長さが基板に平行な方向の長さ
に比べて小さい)に変形し、偏平化する例が特開平5−
80302号公報および特開平7−181454号公報
に開示さている。
【0008】即ち、特開平5−80302号公報には、
樹脂モノマーと液晶材料の混合物に紫外線を照射して、
高分子と液晶とを相分離させ、加熱および加圧手段によ
り分離析出した液晶滴を変形比(この公報では液晶滴の
断面の長軸と短軸の比を意味する)1.2〜5.0まで
偏平化を行う技術が開示されている。また、特開平7−
181454号公報には、紫外線を照射し重合させなが
ら加圧する方法、あるいは加熱し重合させながら加圧す
る方法により、分離析出した液晶滴を変形前と比較して
厚みを1/2〜1/4(変形比に換算すると2〜4に相
当する)まで偏平化を行う技術が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
5−80302号公報記載の従来技術では、液晶の偏平
化工程後に混合物への重合処理がなされていないことか
ら、偏平化後の液晶表示素子は、偏平化を行う直前の樹
脂モノマーの重合反応が完全に終了していない状態を維
持したままであり、樹脂が完全に硬化されていない。従
って、液晶滴が一旦偏平化されても、時間の経過につれ
偏平効果が緩和され、元の偏平前の状態に徐々に戻ると
いう問題がある。
【0010】この点に関し、特開平7−181454号
公報記載の従来技術では、液晶の偏平化工程後に混合物
への重合処理がなされていることから、液晶滴が時間の
経過につれ元の偏平前の状態に徐々に戻るという問題は
解消されている。しかしながら、この従来技術では、2
段階の重合工程がいずれも紫外線による光重合による
か、あるいはいずれも加熱による熱重合によるものであ
るため、以下の新たな問題が生じる。
【0011】即ち、2段階の重合工程がいずれも紫外線
による光重合の場合、偏平化工程前の重合工程におい
て、液晶の偏平化工程を考慮して、樹脂モノマーの重合
反応の進行が例えば全体の80%完了している状態にな
ることを希望していても、その状態を実現することが困
難で、各液晶セル毎にバラツキが生じるおそれがある。
なぜなら、重合反応の進行は紫外線の照射時間に影響さ
れ、しかも、極めて短時間に重合反応が進行するという
特徴があるからである。そのため、上記重合反応の進行
度のバラツキに起因して、偏平化工程後の液晶の変形比
にバラツキが生じる。
【0012】特に、この従来技術では、変形比が2〜4
と極めて大きいため、重合反応の進行度が偏平化に与え
る影響が大きい。そのため、重合反応の進行度のバラツ
キに起因した変形比のバラツキが許容範囲を超え、液晶
表示素子の信頼性が劣るという問題が生じる。一方、液
晶表示素子の信頼性を向上しようとすれば、製造マージ
ンを小さくしなければならず、作業が面倒になり、製造
コストの増大を招くという問題が生じる。また、2段階
の重合工程がいずれも熱重合の場合、重合反応の進行が
遅いため、上記光重合の場合程には重合反応の進行度の
バラツキが生じないが、それでも変形比が極めて大きい
ことを考慮すれば、上記光重合の場合と同様な問題が生
じ得る。
【0013】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
で、液晶の偏平効果が長時間安定に持続でき、光に対す
る散乱性の優れたコントラストの高い、信頼性の高い高
分子分散型液晶表示素子の製造方法および製造装置を提
供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明のうち請求項1記
載の発明は、第1の重合工程を熱重合とし、第2の重合
工程を光重合とし、混合物中の熱重合開始剤の含有量
が、熱重合反応により熱重合開始剤が全て消費されたと
きに重合性材料が予め定めた第1の重合状態になる量と
され、光重合開始剤の含有量が、少なくとも光重合反応
により光重合開始剤が全て消費されたときに第1の重合
状態から全ての重合性材料の重合反応が完全に終了する
第2の重合状態まで重合させることができる量とされて
いることを特徴とする。
【0015】上記構成によれば、第1の重合工程で熱重
合開始剤が反応し、全ての熱重合開始剤が消費されて第
1の重合状態となる。この状態では、例えば重合性材料
の過半数又はそれ以上が重合し、液晶と高分子の複合体
のメッシュサイズがほぼ決定される。次に押圧により液
晶が厚み方向に偏平な形状になる。つづく第2の重合工
程により前記複合体に存在する光重合開始剤の反応によ
り残留する重合性材料を完全に重合させて架橋を起こさ
せる。これにより、液晶の偏平形状を固定し安定化する
ことができる。なお、本発明では、第1の重合工程を熱
重合とし、第2の重合工程を光重合とするので、熱重合
開始剤の含有量を調整することにより希望する第1の重
合状態を得ることが可能となる。従って、前述した第1
および第2の重合工程のいずれも光重合とする従来技術
において生じる問題を解消することができる。
【0016】また請求項2記載の発明は、第1の重合工
程を光重合とし、第2の重合工程を熱重合とし、混合物
中の光重合開始剤の含有量が、光重合反応により光重合
開始剤が全て消費されたときに重合性材料が予め定めた
第1の重合状態になる量とされ、熱重合開始剤の含有量
が、少なくとも熱重合反応により熱重合開始剤が全て消
費されたときに第1の重合状態から全ての重合性材料の
重合反応が完全に終了する第2の重合状態まで重合させ
ることができる量とされていることを特徴とする。
【0017】上記構成により、第1の重合工程で光重合
開始剤が反応し、全ての光重合開始剤が消費されて第1
の重合状態となる。この状態では、例えば重合性材料の
過半数又はそれ以上が重合し、液晶と高分子の複合体の
メッシュサイズがほぼ決定される。次に押圧により液晶
が厚み方向に偏平な形状になる。つづく第2の重合工程
により前記複合体に存在する熱重合開始剤の反応により
残留する重合性材料を完全に重合させて架橋を起こさせ
る。これにより、液晶の偏平形状を固定し安定化するこ
とができる。なお、本発明では、第1の重合工程を光重
合とし、第2の重合工程を熱重合とするので、光重合開
始剤の含有量を調整することにより希望する第1の重合
状態を得ることが可能となる。従って、前述した第1お
よび第2の重合工程のいずれも光重合とする従来技術に
おいて生じる問題を解消することができる。
【0018】また請求項3記載の発明は、一方の基板が
その基板面にストライブ状またはマトリクス状に金属配
線がなされたものであり、混合物が注入された液晶セル
の一方の基板側から紫外線を照射し、光重合により高分
子と液晶とを相分離させ、押し出し工程の後に、他方の
基板側から紫外線を混合物に照射し、光重合により残留
している未反応の重合性材料を重合させさせることを特
徴とする。
【0019】上記構成に従えば、ストライブ状またはマ
トリクス状の金属配線がなされている部分では、紫外線
が遮光される。従って、一方の基板側から紫外線を照射
すると、開口部(金属配線部以外の部分)のみ紫外線が
通過し、その部分に存在する混合物は重合反応により液
晶と高分子の複合体のメッシュサイズが決定される。し
かし、金属配線部の下部に位置する混合物の重合は漏れ
光によって一部しか進行しておらず、ほぼ未反応であ
る。この基板を押圧して厚み方向に変形させると、開口
部の液晶はストライブ状またはマトリクス状の金属配線
部を伝って封口部から容易に押し出させることができ、
極めて容易に液晶を偏平な形状にすることができる。つ
づく他方の基板側から紫外線を照射すると、前記金属配
線部に存在する混合物が重合するため、この部分が基板
全体の接着剤の役割を果たし、液晶の偏平形状を固定、
安定化することができる。
【0020】また請求項4記載の発明は、請求項3記載
の発明において、一方の基板が、基板面にマトリクス状
配線によって区画された複数領域の各々に画素電極とア
クティブ素子が形成されているアクティブ基板であるこ
とを特徴とする。
【0021】上記構成により、請求項3記載の発明と同
様な作用・効果が得られる。
【0022】また請求項5記載の発明は、請求項4記載
の発明において、アクティブ素子がTFTであることを
特徴とする。
【0023】上記構成により、請求項4記載の発明と同
様な作用・効果が得られる。
【0024】また請求項6記載の発明は、請求項1乃至
請求項5に記載の発明において、第1の重合状態におけ
る高分子のガラス転移温度をTg1とし、前記第2の重
合状態における高分子のガラス転移温度をTg2とする
と、Tg2がTg1より10℃以上高いことを特徴とす
る。
【0025】上記構成により、押し出し工程前の樹脂は
ガラス転移温度が低いのでやわらかく偏平化を容易に起
こさせることができる。また、第2の重合工程後の樹脂
のガラス転移温度は高いため樹脂が堅くなり、偏平化前
の状態に戻る効果を抑制することができる。
【0026】また請求項7記載の発明は、第1および第
2の重合工程が光重合であり、第1の重合状態における
高分子のガラス転移温度をTg1とし、前記第2の重合
状態における高分子のガラス転移温度をTg2とする
と、Tg2がTg1より10℃以上高いことを特徴とす
る。
【0027】上記構成により、請求項6記載の発明と同
様に、偏平化を容易に起こさせることができ、また、偏
平化前の状態に戻る効果を抑制することができる。
【0028】また請求項8記載の発明は、請求項1乃至
請求項7に記載の発明において、液晶を押し出す工程が
加熱であることを特徴とする。
【0029】液晶を押し出す工程が加熱であることによ
り、押圧装置を使用しなくても液晶材料の熱膨張係数が
ポリマーやセル基板よりはるかに大きいため、封口部か
ら液晶が滲み出し、封口部を封口樹脂により封口したあ
と60℃以下の使用温度範囲に戻すことにより偏平化が
行え、偏平形状を固定、安定化することができる。
【0030】また請求項9記載の発明は、請求項1乃至
請求項7に記載の発明において、液晶を押し出す工程が
プレスによる押圧であることを特徴とする。
【0031】液晶を押し出す工程がプレスによる押圧で
あることにより、均一に押圧することができる。
【0032】また請求項10記載の発明は、請求項1乃
至請求項7に記載の発明において、液晶を押し出す工程
がローラによる押圧であることを特徴とする。
【0033】液晶を押し出す工程がローラによる押圧で
あることにより、均一に、かつ連続的に押圧することが
できるので生産性がよく、また、封口部に向かってロー
ラで押圧すれば、容易に液晶を押し出すことができる。
【0034】また請求項11記載の発明は、請求項1乃
至請求項7に記載の発明において、液晶を押し出す工程
が真空パックによる押圧であることを特徴とする。
【0035】真空パックによる押圧であることにより、
特別な設備が不要で、また、極めて均一に押圧すること
ができる。
【0036】また請求項12記載の発明は、第1および
第2の重合工程が光重合であり、第1の重合工程により
分離析出された液晶滴をセル厚方向に変形するために、
液晶セルを冷却し、冷却工程の後に、第2の重合工程と
して冷却状態を維持したまま紫外線を照射し、光重合に
より前記残留している未反応の重合性材料を重合させる
ことを特徴とする。
【0037】上記構成に従えば、第1の重合工程で光重
合開始剤が反応し例えば重合性材料の過半数又はそれ以
上が重合し、液晶材料と高分子の複合体のメッシュサイ
ズがほぼ決定される。次に冷却することにより液晶材料
の熱膨張係数が大きいことによる熱応力に基づく押圧に
より液晶が厚み方向に偏平な形状になる。そして、この
状態で第2の重合工程により紫外線を照射することによ
り前記複合体に存在する光重合開始剤の反応によって残
留する重合性材料を完全に重合させ、偏平形状を固定し
安定化することができる。
【0038】また請求項13記載の発明は、第1の重合
工程が熱重合で、第2の重合工程が光重合であり、第1
の重合工程により分離析出された液晶滴をセル厚方向に
変形するために液晶セルを冷却し、冷却工程の後に、第
2の重合工程として冷却状態を維持したまま紫外線を混
合物に照射し、光重合により前記残留している未反応の
重合性材料を重合させことを特徴とする。
【0039】上記構成により、第1の重合工程で熱重合
開始剤が反応し、全ての熱重合開始剤が消費されて第1
の重合状態となる。この状態では、例えば重合性材料の
過半数又はそれ以上が重合し、液晶と高分子の複合体の
メッシュサイズがほぼ決定される。次に冷却することに
より液晶材料の熱膨張係数が大きいことによる熱応力に
基づく押圧により、液晶滴が厚み方向に偏平な形状にな
る。そして、この状態で第2の重合工程により紫外線を
照射することにより前記複合体に存在する光重合開始剤
の反応によって残留する重合性材料を完全に重合させ、
偏平形状を固定し安定化することができる。なお、本発
明では、第1の重合工程を熱重合とし、第2の重合工程
を光重合とするので、熱重合開始剤の含有量を調整する
ことにより、上記請求項1記載の効果と同様に第1およ
び第2の重合工程のいずれも光重合とする従来技術にお
いて生じる問題を解消することができる。
【0040】また請求項14記載の発明は、混合物が注
入された液晶セルを、搬送経路に沿って搬送させる手段
と、液晶セルの搬送経路の途中に設けられ、液晶セルの
一部に紫外線を照射する紫外線照射手段と、液晶セルの
搬送経路の途中に設けられ、液晶セルの前記紫外線が照
射された領域を押圧するローラとを有する製造装置であ
ることを特徴とする。
【0041】上記構成により、第1の重合工程および液
晶押し出し工程の自動化が達成される。また、第1およ
び第2の重合工程が共に光重合の場合、紫外線照射時間
により重合反応を制御するようにしても、紫外線照射後
一定期間、重合反応が進行することから、紫外線照射時
間のみによる制御では、分離析出した液晶を偏平化する
作業が困難となる場合がある。この点、本発明では、ロ
ーラの回転速度および液晶セルの搬送速度を最適な速度
に調整することにより、紫外線照射による重合開始時か
ら、重合による相分離が完了する重合完了時までのうち
で、最適な重合状態となっている液晶セルを、押圧する
ことが可能となる。その結果、液晶の偏平化を容易にす
ることがてきる。また、仮に、紫外線による重合工程を
1回のみとし、液晶押し出し工程後に、重合処理をしな
い場合であっても、前記と同様にローラの回転速度およ
び液晶セルの搬送速度を最適な速度に調整することによ
り、液晶の偏平化と偏平化後の偏平効果の緩和とを考慮
した最適な重合状態にある液晶セルを、ローラにより押
圧することが可能となるため、偏平化後も偏平効果が比
較的安定した液晶表示素子を作ることができる。
【0042】また請求項15記載の発明は、請求項14
に記載の発明において、紫外線照射手段が、紫外線を発
光する光源と、光源からの紫外線のうち液晶を光分解さ
せる波長成分のみを遮断する光学フィルタとを備え、更
に、紫外線による液晶の相分離反応に関連して、液晶セ
ルを予め定めた温度に維持するための温度制御機構が設
けられていることを特徴とする。
【0043】上記構成により、請求項14記載の発明の
効果に加えて、温度に対して敏感な相分離反応がコント
ロールでき、均一な偏平効果を持つ液晶表示素子を得ら
れる。さらに、光学フィルタを設置することにより、液
晶の紫外線による光分解を防止することができ、信頼性
の高い液晶表示素子が得られる。
【0044】また請求項16記載の発明は、混合物が注
入された液晶セルを搬送経路に沿って搬送し、この搬送
中において液晶セルの一部分に紫外線を照射し、紫外線
照射による重合開始時から、重合による液晶の相分離が
完了する時までの期間内において前記液晶セルの紫外線
照射領域を前記ローラによって押圧するようにしたこと
を特徴とする。
【0045】上記構成により、上記請求項14記載の発
明と同様に効果が得られる。
【0046】また請求項17記載の発明は、請求項1乃
至請求項13又は請求項16のいずれかに記載の発明に
おいて、液晶滴の変形比が、1.15以下になるように
変形されていることを特徴とする。
【0047】上記構成において、変形比を1.15以下
にするのは、変形比が大きすぎると、かえって光散乱性
が悪化するからである。なお、このように変形比を従来
技術に比べて極めて小さくすることにより、光散乱性を
向上することができると共に、第1および第2の重合工
程がいずれも光重合である構成を有する発明の場合にお
いて、以下に述べる特有の効果が生じる。即ち、従来技
術の項で述べたように、第1および第2の重合工程がい
ずれも光重合の場合、第1の重合工程における重合反応
の進行度のバラツキに起因して、変形比のバラツキが生
じる。しかし、変形比が従来技術に比べて極めて小さい
本発明では、重合反応の進行度のバラツキが生じても、
変形比に与える影響は極めて小さいものとなるため、従
来技術の有する液晶表示素子の信頼性が劣るという問題
を解消することができる。
【0048】また請求項18記載の発明は、請求項14
又は請求項15に記載の発明において、液晶滴の変形比
が、1.15以下になるように変形されていることを特
徴とする。
【0049】上記構成により、請求項14又は請求項1
5に記載の発明の効果に加えて、請求項17と同様な効
果を奏する。
【0050】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)図1は本発明に係る製造方法により製
造された高分子分散型液晶表示素子の断面図を示したも
のであり、図2はその平面図である。図1に示す液晶表
示素子において、互いに対向する2枚のガラス基板1,
2の内側にはそれぞれ透明電極3,4が形成され、これ
ら透明電極3,4間に、高分子5中に液晶滴6が分散さ
れた高分子・液晶複合体7が配置されいる。
【0051】この液晶滴6は、図1に示すように、セル
厚方向に長さが縮められた偏平構造をとっている。この
ように液晶滴6を偏平に変形することより、液晶滴6内
の液晶分子が基板1,2にほぼ平行に比較的揃った状態
となる。そのため、電圧無印加時の散乱性が向上する。
なお、本実施の形態においては、液晶滴6の偏平状態
は、変形比で表すと、1.15以下とされる。望ましく
は、1.05〜1.15の範囲とされる。ここで変形比
とは、変形前と変形後のセル厚比のことをいう。なお、
変形比を1.15以下とするのは、変形比が大きすぎる
と、却って変形しないときよりも光散乱性が悪くなるか
らである。
【0052】なお、図1では液晶分子の配列は図面の左
右方向に2極を持つバイポール構造として描いている
が、これはバイポール軸が基板に略平行に存在すること
を意図したものであり、バイポール軸が1軸方向に並ん
でいることを意図しているわけではない。バイポール軸
は、図2に示すように、基板面内にランダムに存在して
いる。
【0053】また本発明でいう高分子分散型液晶は、高
分子中に液晶滴が島状に点在する構造の高分子・液晶複
合体のみに限定されるものではなく、液晶滴の一部分が
隣の液晶滴と連なった状態で存在してもよい。また、3
次元網目状の高分子の網目内に液晶滴が保持された構造
(ポリマーネットワーク液晶)であってもよい。
【0054】上記の液晶表示素子は、(1)空セルの作
製、(2)混合物の作製、(3)混合物の基板間への注
入工程、(4)第1の重合工程、(5)液晶の押し出し
工程、(6)第2の重合工程、により製造される。以
下、各工程を具体的に説明する。
【0055】(1)空セルの作製 透明電極3、4を設けた一対の透明ガラス基板1、2を
スペーサを介して熱硬化型のシール材8により液晶を注
入するための封口部を設けて貼り合わせ、加熱によりシ
ール材8を完全硬化させて空セルを作製する。
【0056】(2)混合物の作製 液晶材料と熱重合開始剤と光重合開始剤と重合性材料を
それぞれ加え、この混合物を撹拌して均一な混合溶液を
調製する。ここで、液晶材料としては、正の誘電率異方
性を有し、常温付近で液晶状態を示すネマテック液晶、
コレステリック液晶、スメクテック液晶などの各種の液
晶材料が使用できる。液晶材料の具体例としては、TL
−213(メルク社製)が例示できる。また、これらの
液晶材料は1種でもよく、また2種以上を混合して使用
することもできる。また、これらの液晶材料に例えば2
色性色素などを含有させるようにしてもよく、更に、そ
れぞれ異なる色の2色性色素を含有させ高分子・液晶複
合体層を積層する構成として、フルカラー表示が可能な
液晶表示素子に本発明を適用するようにしてもよい。
【0057】また、熱重合開始剤としては、例えばt−
ブチルパーオキサイドが使用できる。また、光重合開始
剤としては、例えばダロキュア1173(チバガイギ
(株)製)が使用できる。
【0058】また、重合性材料としては、光や熱により
重合し透明性を有する高分子化合物を生成する各種の重
合性物質が使用可能であるが、一般には例えばアクリレ
ート、メタクリレート、エポキシなどの重合性官能基を
有するモノマーやオリゴマーなどが使用される。具体的
には、重合性モノマーとしては、例えばn−トリデシル
アクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−
ヒドロキシエチルアクリレート、フタル酸モノヒドロキ
シエチルアクリレート、ネオペンチルグリコールジアク
リレート、ヘキサンジオールジアクリレートなどが使用
できる。重合性オリゴマーとしては、ポリウレタンアク
リレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ペ
ンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、
オリゴウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレー
ト、グリセリンジグリシジルエーテルなどが使用でき
る。
【0059】なお、混合物中の熱重合開始剤および光重
合開始剤の各含有量は、第1の重合工程と第2の重合工
程を考慮して決められている。即ち、第1の重合工程が
熱重合である場合には、熱重合開始剤の含有量は、熱重
合開始剤が重合性材料との重合反応で全て消費されるこ
とによって、第1の重合状態となり得る量とされてい
る。ここに、第1の重合状態とは、高分子と液晶とが相
分離すると共に、重合性材料の重合反応が進行途中であ
って、高分子中に未反応の重合性材料が残留されてお
り、かつ、高分子の硬化状態が、分離析出した液晶滴内
の液晶の一部を基板間から外部に押し出すことが可能な
予め定めた硬化状態にあることを意味する。
【0060】また、第2の重合工程が光重合である場合
には、光重合開始剤の含有量は、少なくとも光重合開始
剤が未反応の残留している重合性材料との重合反応によ
って、第2の重合状態となり得る量とされている。ここ
に、第2の重合状態とは、残留している未反応の重合性
材料を光重合させて、重合性材料の全ての重合反応が完
全に終了して高分子が完全に硬化する状態を意味する。
【0061】なお、第1の重合工程が光重合で第2の重
合工程が熱重合の場合には、上記の第1の重合工程が熱
重合で第2の重合工程が光重合の場合と同様な考えに基
づいて、混合物中の熱重合開始剤および光重合開始剤の
各含有量が、決定される。
【0062】(3)混合物の基板間への注入工程 空セルの封口部から前記溶液状の混合物を注入する。
【0063】(4)第1の重合工程 液晶セル内の混合物を加熱する。これにより、重合性材
料(重合性モノマーと重合性オリゴマー)が熱重合開始
剤と反応し、高分子と液晶とが相分離する。この相分離
した液晶は、直径が数μm前後の球形の液晶滴となっ
て、高分子・液晶複合体7中に分散されている。この第
1の重合工程では、図3に示すように、全ての重合性材
料の重合反応が完全に終了する以前の第1の重合状態
(例えば、全体の80%程度が重合している状態)で、
終了する。従って、第1の重合状態では、未反応の重合
性材料が例えば20%程度残留している。
【0064】(5)液晶の押し出し工程 球形の液晶滴を偏平に変形させるべく、液晶セルを押圧
して、液晶を液晶セルの封口部から外部に押し出す。こ
こで、前述したように、第1の重合工程では、重合性材
料の重合反応が完全に終了する以前の状態であることか
ら、液晶の押し出しを容易に行うことができる。このよ
うにして、液晶を外部に押し出すことにより、液晶滴6
がセル厚方向に縮められた偏平な構造となり、液晶滴6
内の液晶分子が基板に対してほぼ平行な液晶分子の割合
が増加し、散乱強度を増加することができる。液晶を押
圧する手段としては、例えばプレスによる押圧、ローラ
による押圧、真空パックによる押圧などが使用される。
なお、液晶の押し出し工程は、前記第1の重合工程中に
行うようにしてもよい。
【0065】(6)第2の重合工程 液晶の押し出し工程の後、混合物に紫外線を照射し、未
反応の残留している重合性材料を光重合し、図3に示す
ように、混合物中の全ての重合性材料の重合反応を完全
に終了させる。これにより、高分子が完全に硬化した状
態となることから、液晶滴の偏平な構造は、長時間経過
しても、その状態を持続することが可能となり、液晶表
示素子の信頼性を向上することができる。なお、第2の
重合工程は、液晶の押し出し工程中に行うようにしても
よい。このようにして、本発明によれば、光に対する散
乱性が優れ、しかも、信頼性の高い液晶表示素子を製造
することができる。
【0066】(実施の形態2)上記の実施の形態1で
は、第1の重合工程が熱重合であり、第2の重合工程が
光重合であったけれども、図4に示すように、第1の重
合工程を光重合とし、第2の重合工程を熱重合とするよ
うにしてもよい。
【0067】(実施の形態3)この実施の形態では、液
晶表示素子がTFT(薄膜トランジスタ)基板を使用す
るアクティブマトリクス型液晶表示素子であり、第1の
重合工程および第2の重合工程共に光重合としたもので
ある。
【0068】先ず、第1の重合工程ではマトリクス状の
金属配線(走査線や信号線など)がなされているTFT
基板側から紫外線を照射する。これにより、金属配線に
より遮光されている領域では重合反応が生じない。従っ
て、液晶の押し出し工程におて、その領域が液晶を外部
に押し出す際の通路の役割を果たすため、液晶の押し出
し処理が容易となる。液晶の押し出し工程後の第2の重
合工程では、他方の基板側から紫外線を照射する。これ
により、前記未反応の領域が重合し、この領域が基板全
体の接着剤の役割を果たし、液晶滴の偏平形状を固定、
安定化させることができる。
【0069】このようにして、アクティブマトリクス型
液晶表示素子の場合には、液晶の押し出し処理が容易で
あるいう特有の効果を奏する。更に、この特有の効果に
より、前記従来の技術の項で説明した第1および第2の
重合工程共に光重合である場合に生じる液晶表示素子の
製造作業が困難であるという問題を解消することができ
る。なぜなら、例えば紫外線の照射時間が、設定時間よ
り僅かに長くなり、予め定めた第1の重合状態より重合
反応が進行し高分子の硬度が設定硬度以上となった場合
でも、マトリクス状配線部分が未反応でありその部分が
押し出す際の通路の役割を果たすため、液晶の押し出し
処理に支障をきたすことがないからである。よって、製
造マージンを広くとることができ、製造作業が容易とな
る。なお、この実施の形態では、アクティブ素子として
TFTを使用したけれど、TFD(薄膜ダイオード)を
使用してもよい。また、本発明は、アクティブマトリク
ス型液晶表示素子に限らず、一対の基板のうちの一方の
基板が、その基板面にストライブ状あるいはマトリクス
状の配線により遮光領域が存在するような構成の液晶表
示素子などの製造にも好適に実施することができる。
【0070】(実施の形態4)また、第1および第2の
重合工程における樹脂の硬化度をガラス転移温度から規
定して、そのようなガラス転移温度に関する条件を満た
すように製造してもよい。即ち、第1の重合工程の後の
樹脂のガラス転移温度をT1とし、第2の重合工程の後
の樹脂のガラス転移温度をT2とすると、T2がT1よ
りも10℃以上高くなるように、液晶表示素子を製造す
るようにしてもよい。
【0071】(実施の形態5)また、第2の重合工程が
光重合の場合には、液晶の押し出し工程に代えて、液晶
セルを冷却する工程を用いるようにしてもよい。このよ
うな冷却工程を用いても、分離析出した液晶滴をセル厚
方向に変形させることができる。但し、第2の重合工程
では、液晶セルの冷却状態を維持したまま紫外線を照射
することが必要である。これは、冷却状態を維持したま
までなければ、液晶の変形が紫外線の照射時間中に元に
戻ってしまうおそれがあり、液晶表示素子の信頼性が劣
る原因になるからである。なお、液晶の押し出し工程に
代えて、液晶セルを冷却する工程を使用する場合の他
に、液晶の押し出し工程と冷却工程を併用するようにし
てもよい。
【0072】(実施の形態6)この実施の形態は、液晶
表示素子の製造装置を使用して、第1の重合工程および
液晶の押し出し工程を自動的にかつ連続して行うことが
できるようにしたものである。この液晶表示素子の製造
装置は、液晶セルを搬送経路に沿って搬送させる搬送手
段と、搬送中に液晶セルの一部に紫外線を照射する紫外
線照射手段と、液晶セルの前記紫外線が照射された領域
を押圧するローラから構成される。搬送手段としては、
例えばベルト機構やチェーン機構などが使用され、紫外
線照射手段としては、例えば高圧水銀灯などが使用され
る。なお、紫外線照射手段は、高圧水銀灯などの他に、
高圧水銀灯からの紫外線のうち液晶を光分解させる波長
成分のみを遮断する光学フィルタを備えた構成のもので
あってもよい。更に、搬送手段、紫外線照射手段、ロー
ラの他に、液晶セルを予め定めた温度に維持するための
温度制御機構を設けるようにしてもよい。
【0073】次に、上記製造装置を用いた液晶表示素子
の製造方法について説明する。先ず、混合物が注入され
た液晶セルを、搬送経路に沿って搬送する。そして、搬
送中において、液晶セルの一部分に紫外線を照射し、紫
外線照射による重合開始時から、重合による液晶の相分
離が完了する時までの期間内において前記液晶セルの紫
外線照射領域をローラによって押圧する。こうして、第
1の重合工程および液晶の押し出し工程を自動的にかつ
連続して行うことができる。
【0074】なお、第2の重合工程が紫外線による光重
合とされる場合は、ローラよりも搬送経路下流側に、更
に紫外線照射手段を設けるようにしてもよい。このよう
にすれば、第1の重合工程、液晶の押し出し工程、およ
び第2の重合工程の一連の工程を全て自動化することが
できる。
【0075】更に、他の実施の形態として、第1および
第2の重合工程共に、熱重合とするようにしてもよい。
なお、このように第1および第2の重合工程が共に、熱
重合であっても、変形比が1.15以下とされる本発明
では、従来の技術に比べて変形比が極めて小さいため、
従来の技術の有する液晶表示素子の製造作業が困難であ
るという問題を解消することができる。
【0076】
【実施例】本発明に係る高分子分散型液晶表示素子の製
造方法について、更に、実施例に基づいて以下に詳述す
る。
【0077】(実施例1)液晶表示素子を、第1の重合
工程を熱重合とし、第2の重合工程を光重合として作製
した。図5に基づいて、以下に具体的に説明する。イン
ジウム・錫酸化膜からなる透明電極13,14を設けた
一対の透明ガラス基板11,12を12μm径のプラス
ティック製のスペーサ(商品名ミクロパール:積水ファ
イン(株)製)を介して熱硬化型のシール材18(商品
名ストラクトボンド:三井東圧化学(株)製)により封
口部19(図6参照)を設けて貼り合わせ、150℃で
2時間加熱してシール材18を完全硬化させて空セルを
得た。
【0078】次に、液晶材料としてTL−213(メル
ク社製)8.50gと重合性モノマーとしてn−トリデ
シルアクリレートを0.80g、重合性オリゴマーとし
てポリウレタンアクリレートを0.60g、熱重合開始
剤としてt−ブチルパーオキサイド0.05g、光重合
開始剤としてダロキュア1173(チバガイギ(株)
製)を0.05gそれぞれ加え、できあがった混合物
を、25℃で十分撹拌し均一な混合溶液10を調製し
た。
【0079】この均一混合溶液10を25℃で前記空セ
ルに封口部19から真空注入し、図5(a)に示す状態
とした。なお、封口部19は封口しないままである。次
に、混合物が注入されている液晶セルを、図5(b)に
示すように、加熱する。具体的には、液晶セルを100
℃に設定した恒温槽に1時間放置した。この結果、熱重
合により、液晶と高分子が相分離し、高分子・液晶複合
体15を得た。この時点では、複合体15には、未反応
の重合性材料が残留している。このことは、前記液晶セ
ルのネマチック相−等方相の相転移温度を調べることに
より確認した。また、このとき液晶セル中の複合体15
は、3次元のネットワーク状の高分子の中に液晶の連続
相が充填された構造を有していた。
【0080】次に、図5(c)に示すような、緩衝材2
1,22を介して、風船23に1kg/cm2の圧縮空
気24を充填してプレスする装置により、前記液晶セル
を室温で押圧し、液晶を封口部19より押し出した。約
10分放置した後、封口部19に押し出された液晶をふ
き取り、紫外線硬化型封口樹脂25(例えばロックタイ
トLPD−155(日本ロックタイト(株)製)により
封口した。
【0081】次に、図5(d)に示すように、350n
m以下の波長成分をカットする紫外線カットフィルタU
V−35(東芝硝子(株)製)を通過させた光強度10
0mW/cm2の高圧水銀灯による紫外線を、前記液晶
セルに、25℃で60秒照射した。これにより、残存す
る重合性材料を光重合開始剤との反応により重合させ
た。このとき、前記紫外線硬化型封口樹脂25も同時に
硬化している。
【0082】こうして完成した高分子分散型液晶表示素
子の光散乱性につき、光透過率によって評価した。ここ
で、光散乱性を光透過率によって評価可能であるのは、
光散乱性が大きいとき透過率は小さく、光散乱性が小さ
いとき透過率は大きくなり、透過率と光散乱性とは相関
関係にあるからである。
【0083】具体的には、大塚電子(株)製光学特性評
価装置LCD−5000により、測定温度30℃、受光
角2.8゜、無電界の条件の下に、透過率を測定したと
ころ、表1に示すように、0.8%であった。
【表1】
【0084】次に、こうして完成した高分子分散型液晶
表示素子の平均的なメッシュサイズ(基板面に平行な平
均的な液晶滴の間隙)を顕微鏡により調べたところ、
1.2μmであった。また、この高分子分散型液晶表示
素子の透明電極13、14に10V、30Hzの矩形波
を印加し、液晶分子を完全に電界に平行に配列させた状
態でセル厚を測定したところ、上記表1に示すように、
10.9μmであった。次に、この高分子分散型液晶表
示素子を60℃で1000時間放置した後、前記と同様
に透過率およびセル厚を測定したが、上記表1に示すよ
うに、全く変化は見られなかった。
【0085】また、押し出し前の前記複合体と押し出し
後に紫外線を照射した複合体をパネルを割断して取り出
し、イソプロピルアルコールで液晶を洗い流し高分子の
み残した後、示差走査熱分析装置(DSC)で吸熱ピー
クを測定し、高分子のガラス転移温度Tg(吸熱ピーク
の温度)を測定した。押し出し前の前記複合体の高分子
のTg1は約20℃であり、押し出し後に紫外線を照射
した複合体の高分子のTg2は30℃であった。従っ
て、Tg2がTg1より10℃以上高いという条件を満
たしていた。
【0086】(実施例2)液晶表示素子を、第1の重合
工程を光重合、第2の重合工程を熱重合として作製し
た。以下に具体的に説明する。実施例1と同様に作製し
た空セルに、実施例1と同様に調製した混合物を、25
℃で前記空セルに真空注入した。その後、封口せずに、
液晶セルを25℃のホットプレートの上に置き、紫外線
カットフィルタUV−35を通過させた光強度50mW
/cm2の高圧水銀灯による紫外線を20秒照射した。
この結果、重合性材料が重合し、液晶と高分子が相分離
して、複合体を得た。このとき、紫外線照射強度および
照射時間は、実施例2に比べて、未反応の重合性材料を
存在させるためやや弱くしておいた。また、このとき複
合体は、実施例1と同様に3次元のネットワーク状の高
分子の中に液晶の連続相が充填された構造を有してい
た。次に、実施例1と同様に、プレス装置により前記液
晶セルを押圧し、液晶を封口部より押し出した。その
後、封口部に押し出された液晶をふき取り、実施例1と
同様に紫外線硬化型封口樹脂で封口し、スポットUV照
射機で封口樹脂を硬化させた。
【0087】次に、100℃に設定した恒温槽に液晶セ
ルを1時間放置し、熱重合を行い複合体中の残存してい
る重合性材料を完全に重合させた。
【0088】こうして完成した高分子分散型液晶表示素
子の透過率、メッシュサイズおよびセル厚を実施例1と
同様な方法で測定したところ、各々、0.8%、1.2
μmおよび10.9μmであった。
【0089】次に、この高分子分散型液晶表示素子を6
0℃で1000時間放置した後、前記と同様に透過率お
よびセル厚を測定したが、全く変化は見られなかった。
【0090】(実施例3)液晶表示素子を、第1の重合
工程を光重合、第2の重合工程を熱重合として作製し
た。以下に具体的に説明する。実施例2と同様な方法
で、空セルの作製、混合物の調合、真空注入および光重
合を行い、複合体を得た。次の液晶押し出し工程として
は、加熱を行った。即ち、前記複合体を有する液晶セル
を恒温槽に入れ、120℃で10時間放置した。これに
より、液晶の押し出しと熱重合が同時になされた。その
後、封口部に押し出された液晶をふき取り、紫外線硬化
型封口樹脂により封口し、25℃に冷却した。
【0091】こうして完成した高分子分散型液晶表示素
子の透過率、メッシュサイズおよびセル厚を実施例1と
同様な方法で測定したところ、各々、1.1%、1.2
μmおよび11.6μmであった。
【0092】次に、この高分子分散型液晶表示素子を6
0℃で1000時間放置した後、前記と同様に透過率お
よびセル厚を測定したが変化は見られなかった。
【0093】(実施例4)液晶表示素子を、第1の重合
工程を熱重合、第2の重合工程を光重合として作製し
た。以下に具体的に説明する。実施例1と同様な方法
で、空セルの作製、混合物の調合、真空注入および熱重
合を行い、複合体を得た。次の液晶押し出し工程とし
て、ローラによる押圧を行った。具体的には、前記複合
体を有する液晶セルを100℃に保温し、封口部の反対
側の端面よりローラ間を通過させた。液晶セルの線速度
は約5mm/secとした。その後、封口部に押し出さ
れた液晶をふき取り、紫外線硬化型封口樹脂により封口
し、25℃に冷却して、実施例1と同様に紫外線で重合
させた。
【0094】こうして完成した高分子分散型液晶表示素
子の透過率、メッシュサイズおよびセル厚を実施例1と
同様な方法で測定したところ、各々、1.0%、1.2
μmおよび11.4μmであった。次に、この高分子分
散型液晶表示素子を60℃で1000時間放置した後、
前記と同様に透過率およびセル厚を測定したが変化は見
られなかった。
【0095】(実施例5)液晶表示素子を、第1の重合
工程を熱重合、第2の重合工程を光重合として作製し
た。以下に具体的に説明する。実施例1と同様な方法
で、空セルの作製、混合組成物の調合、真空注入および
熱重合を行い、複合体を得た。次の液晶押し出し工程と
して、真空パックによる押圧を行った。具体的には、前
記複合体を有する液晶セルを100℃に保温したまま、
すばやく真空パックし、もう一度100℃の恒温槽に放
置した。約2時間放置した後、真空パックを破り、封口
部に押し出された液晶をふき取り、紫外線硬化型封口樹
脂により封口し、25℃に冷却して、実施例1と同様に
紫外線で重合させた。
【0096】こうして完成した高分子分散型液晶表示素
子の透過率、メッシュサイズおよびセル厚を実施例1と
同様な方法で測定したところ、各々、0.9%、1.2
μmおよび11.2μmであった。次に、この高分子分
散型液晶表示素子を60℃で1000時間放置した後、
前記と同様に透過率およびセル厚を測定したが変化は見
られなかった。
【0097】(実施例6)この実施例6は、図7および
図8に示すアクティブマトリクス型液晶表示素子に、本
発明を適用した例である。図7および図8において、3
0はTFTアレイ基板である。このTFTアレイ基板3
0には、その基板面にマトリクス状配線31によって区
画された複数領域の各々に、画素電極32とTFT部3
3と遮光層34とが形成されている。なお、図7におい
ては、図面の容易化を図るため、画素電極32、TFT
部33および遮光層34は省略されている。また前記遮
光層34、本実施例の液晶表示素子が投射型表示装置に
使用ものであることから、光によるTFTの特性悪化防
止用として設けられているものである。また、図7およ
び図8において、35は対向基板である。この対向基板
35には、対向電極36が形成されている。このような
構成の液晶表示素子を以下の方法で製造した。
【0098】前記基板30、35を11μm径のプラス
ティック製のスペーサ(例えば商品名ミクロパール:積
水ファイン(株)製)を介して熱硬化型のシール材(例
えば商品名ストラクトボンド:三井東圧化学(株)製)
により封口部を設けて貼り合わせ、150℃で2時間加
熱してシール材を完全硬化させて空セルを得た。
【0099】次に、液晶材料としてTL−213を8.
50g、重合性モノマーとしてn−トリデシルアクリレ
ートを0.80g、オリゴマーとしてポリウレタンアク
リレートを0.60g、光重合開始剤としてダロキュア
1173を0.10gそれぞれ加え、できあがった液晶
材料と重合性材料の混合物を、25℃で十分撹拌し均一
な混合溶液を調製した。この均一混合溶液を25℃で前
記空セルに封口部から真空注入した。なお、この段階で
は、未だ封口部は封口されていない状態のままである。
【0100】次に、アレイ基板30側から、紫外線カッ
トフィルタUV−35を通過させた光強度50mW/c
m2の高圧水銀灯による紫外線を25℃で20秒照射
し、重合させ複合体を得た。この状態では、配線31お
よび遮光層34が占める遮光領域の下部に位置する遮光
部分60は、重合反応が殆ど進行せず、未反応の重合性
材料のままである。また、開口部(遮光部分以外の部
分)における複合体61では、重合性材料の重合反応は
完全には終了しておらず、未反応の重合性材料が例えば
20%程度残留している。
【0101】次に、実施例1の図5(c)に示すよう
な、プレス装置により前記液晶セルを室温で押圧し、液
晶を封口部より押し出した。約10分放置した後、封口
部に押し出された液晶をふき取り、紫外線硬化型封口樹
脂40(例えばロックタイトLPD−155)により封
口した。次に、前記液晶セルに、対向基板35側から、
紫外線カットフィルタUV−35を通過させた光強度1
00mW/cm2の高圧水銀灯による紫外線を、25℃
で60秒照射し、残存する重合性材料を光重合開始剤と
の反応により重合させた。
【0102】こうして完成した高分子分散型液晶表示素
子の透過率を大塚電子(株)製光学特性評価装置LCD
−5000により測定した。具体的には、測定温度30
℃、受光角2.8゜、無電界の条件の下に、測定を行っ
た。結果は、開口率(この実施例では60%)を補正し
て0.8%であった。次に、こうして完成した高分子分
散型液晶表示素子の開口部の複合体61に対する平均的
なメッシュサイズを調べたところ、1.2μmであっ
た。また、遮光部分の複合体60のメッシュサイズは、
1.2μmより大きかった。
【0103】次に、このTFT型高分子分散型液晶表示
素子を60℃で1000時間放置した後、前記と同様に
透過率を測定したが全く変化は見られなかった。なお、
図9に示すように、遮光層34が対向基板35に形成さ
れている液晶表示素子においても、本発明は好適に実施
することができる。
【0104】(実施例7)液晶表示素子を、第1および
第2の重合工程共に光重合により作製した。以下に具体
的に説明する。実施例1と同様に作製した空セルに、実
施例6と同様に調製した混合物を、25℃で前記空セル
に真空注入した。その後、封口せずに、液晶セルを25
℃のホットプレートの上に置き、紫外線カットフィルタ
UV−35を通過させた50mW/cm2の高圧水銀灯
による紫外線を20秒照射した。これにより、重合性材
料が光重合し、液晶と高分子が相分離し、複合体を得
た。
【0105】次に、液晶セルを80℃の恒温槽に2時間
放置し、その後封口部に押し出された液晶をふき取り、
実施例1と同様に紫外線硬化型封口樹脂で封口し、スポ
ットUV照射機で封口樹脂を硬化させた。次に、前記液
晶セルを−20℃の恒温槽に30に分放置した後、紫外
線カットフィルタUV−35を通過させた100mW/
cm2の高圧水銀灯による紫外線を−20℃で120秒
照射し、残存する重合性材料を光重合開始剤との反応に
より重合させた。
【0106】こうして完成した高分子分散型液晶表示素
子の透過率、メッシュサイズおよびセル厚を実施例1と
同様な方法で測定したところ、各々、1.1%、1.2
μmおよび11.6μmであった。次に、この高分子分
散型液晶表示素子を60℃で1000時間放置した後、
前記と同様に透過率およびまたセル厚を測定したが変化
がなかった。
【0107】(実施例8)本実施例では、紫外線による
第1の重合工程と、液晶押し出し工程とを、図10およ
び図11に示す製造装置を用いて、連続的かつ自動的に
行った。製造装置は、液晶セルをテーブル40に沿って
搬送させる搬送手段(図示せず)と、液晶セルの一部に
紫外線を照射する紫外線照射手段41と、液晶セルの紫
外線照射領域を押圧する一対のローラ42,43と、か
ら構成されている。紫外線照射手段41は、光源として
の高圧水銀灯44と、矩形状のスリット45が形成され
ている遮光板46と、光学フィルタ48とを有する。光
学フィルタ48は、例えば紫外線カットフィルタUV−
35である。なお、前記テーブル40は、その温度が制
御されるように構成されている。これにより、テーブル
40上に載置される液晶セルの温度を調整して、温度に
敏感な相分離反応を制御することができる。また、搬送
手段による液晶セルの送り速度は、紫外線による重合開
始時から重合完了時までの期間内において高分子が予め
定めた硬化状態(第1の重合状態)になったときに、液
晶セルがローラ42,43に達するように設定されてい
る。
【0108】上記構成の製造装置を使用して以下のよう
にして液晶表示素子を製造した。実施例1と同様に作製
した空セルに、実施例6と同様に調製した混合物を、2
5℃で前記空セルに真空注入した。その後、混合物が注
入された液晶セルをテーブル40に載置し、搬送手段に
搬送させた。なお、テーブル40の温度は25℃に設定
した。この温度条件下で、液晶セルに光強度100mW
/cm2の紫外線を照射し、重合性材料を重合させなが
ら、その部分(紫外線照射領域)にローラによる加圧を
行った。なお、液晶セルは封口部と反対側より投入し、
液晶押し出しが容易に行えるようにした。こうして、紫
外線による第1の重合工程と、液晶押し出し工程とを、
連続的かつ自動的に行った。
【0109】次に、封口部に押し出された液晶材料をふ
き取り、実施例1と同様に紫外線硬化型封口樹脂で封口
し、スポットUV照射機で封口樹脂を硬化させた。次
に、前記液晶セルに、紫外線カットフィルタUV−35
を通過させた光強度100mW/cm2の高圧水銀灯に
よる紫外線を60秒照射し、残存する重合性材料を光重
合開始剤との反応により重合させた。
【0110】こうして完成した高分子分散型液晶表示素
子の透過率、メッシュサイズおよびセル厚を実施例1と
同様な方法で測定したところ、各々、0.8%、1.2
μmおよび10.9μmであった。次に、この高分子分
散型液晶表示素子を60℃で1000時間放置した後、
前記と同様に透過率およびまたセル厚を測定したが変化
がなかった。
【0111】なお、図12に示すように、ローラ42,
43の内部にヒータ50を備えるようにして、恒温槽5
1内において、紫外線による第1の重合工程と液晶押し
出し工程とを、連続的かつ自動的に行うようにしてもよ
い。このようにすれば、恒温槽51内に送り込まれる温
風52およびヒータ50の温度を制御することにより、
一層均一でかつ最適な温度雰囲気中で第1の重合工程と
液晶押し出し工程とを、連続的かつ自動的に行うことが
できる。
【0112】(比較例1)実施例1と同様に作製した空
セルに、液晶材料としてTL−213を8.50g、重
合性モノマーとしてn−トリデシルアクリレートを0.
80g、オリゴマーとしてポリウレタンアクリレートを
0.60g、光重合開始剤としてダロキュア1173を
0.10gそれぞれ加え、できあがった液晶材料と重合
性材料の混合物を、25℃で十分撹拌し均一な混合溶液
を調製した。
【0113】この均一混合溶液を25℃で前記空セルに
真空注入し、その後、封口せずに、液晶セルを25℃の
ホットプレートの上に置き、紫外線カットフィルタUV
−35を通過させた光強度100mW/cm2の高圧水
銀灯による紫外線を60秒照射し、重合性材料を重合さ
せながら液晶と高分子を相分離させ、複合体を得た。こ
の時点で、複合体の重合反応はほぼ完全に終了してい
た。また、このとき液晶セル中の複合体は、実施例1と
同様に3次元のネットワーク状の高分子の中に液晶の連
続相が充填された構造を有していた。次に、封口部に押
し出された液晶をふき取り、紫外線硬化型封口樹脂であ
るロックタイトにより封口し、その部分にスポットUV
照射機で紫外線を30秒照射して、封口樹脂を硬化させ
た。
【0114】こうして完成した高分子分散型液晶表示素
子の透過率、メッシュサイズおよびセル厚を実施例1と
同様な方法で測定したところ、上記表1に示すように、
各々、1.4%、1.2μmおよび12.0μmであっ
た。次に、この高分子分散型液晶表示素子を60℃で1
000時間放置した後、前記と同様に透過率およびセル
厚を測定したが、上記表1に示すように、変化は見られ
なかった。
【0115】〔結果〕実施例1と比較例1とから、実施
例1の液晶セルの変形比は1.1ということがわかる。
また、変形比が1、即ち、液晶滴またはネットワークの
偏平化を行わない比較例1に対して、変形比が1.1で
ある実施例1の方が、上記表1に示すように、透過率が
小さい。従って、液晶滴を変形する場合の方が、液晶滴
を変形しない場合に比べて散乱性を向上させることがで
きることが理解される。また、実施例1および比較例1
の各完成した液晶表示素子の1000時間後のセル厚
は、上記表1示すように、変化がなかったことから、重
合性材料の重合反応を完全に終了させた場合は、セル厚
の経時的変化がないことが認められる。
【0116】(比較例2)実施例1と同様に作製した空
セルに、実施例1と同様に調製した混合物を、25℃で
前記空セルに真空注入し、実施例と全く同じ条件で熱に
より重合性材料を重合させた。その後、実施例1と同様
な条件で、プレス装置により前記液晶セルを押圧し、放
置した後、封口部を封口した。
【0117】こうして完成した高分子分散型液晶表示素
子の透過率、メッシュサイズおよびセル厚を実施例1と
同様な方法で測定したところ、上記表1に示すように、
各々、0.8%、1.2μmおよび10.9μmであっ
た。次に、この高分子分散型液晶表示素子を60℃で1
000時間放置した後、前記と同様に透過率を測定する
と、上記表1に示すように、1.0%であり、またセル
厚は11.4μmであり、変化が見られた。
【0118】〔結果〕実施例1と比較例2とから、第1
の重合工程(この場合は熱重合)のみで、第2の重合工
程がなされない比較例2の液晶表示素子では、上記表1
に示すように透過率およびセル厚に経時的変化が生じ
た。よって、第1の重合工程(この場合は熱重合)のみ
では、液晶滴の変形が、長時間たつと、元に戻ることが
理解される。従って、このような比較例2の液晶表示素
子は、信頼性に劣る。
【0119】(比較例3)実施例1と同様に作製した空
セルに、比較例1と同様の混合溶液を25℃で前記空セ
ルに真空注入し、その後、封口せずに、液晶セルを25
℃のホットプレートの上に置き、紫外線カットフィルタ
UV−35を通過させた100mW/cm2の高圧水銀
灯による紫外線を60秒照射し、重合性材料を重合させ
ながら液晶材料と高分子を相分離させ、複合体を得た。
この時点で、複合体の重合反応はほぼ完全に終了してい
た。また、このとき液晶セル中の複合体は、実施例1と
同様に3次元のネットワーク状の高分子の中に液晶の連
続相が充填された構造を有していた。
【0120】次に、実施例1と同様なプレスする装置に
より前記液晶セルを押圧し、液晶材料を封口部より押し
出した。このとき、温度は100℃に設定し、圧力は2
kg/cm2とし、約60分放置した。その後、封口部
に押し出された液晶をふき取り、紫外線硬化型封口樹脂
であるロックタイトにより封口し、その部分にスポット
UV照射機で紫外線を30秒照射して、封口樹脂を硬化
させた。
【0121】こうして完成した高分子分散型液晶表示素
子の透過率、メッシュサイズおよびセル厚を実施例1と
同様な方法で測定したところ、上記表1に示すように、
各々、0.8%、1.2μmおよび10.9μmであっ
た。次に、この高分子分散型液晶表示素子を60℃で1
000時間放置した後、前記と同様に透過率を測定する
と、上記表1に示すように、0.9%であり、またセル
厚は11.2μmであり、変化が見られた。
【0122】〔結果〕実施例1および比較例2,3か
ら、重合工程が紫外線による場合であっても、第1の重
合工程のみであれば、上記表1に示すように、液晶滴の
変形が元に戻る程度は比較例2に比べ若干緩やかではあ
るが、液晶滴の偏平な形状を長時間持続できないことに
かわりがないことが理解される。従って、比較例2と同
様にこのような比較例3の液晶表示素子は、信頼性に劣
る。
【0123】(比較例4)実施例1と同様に作製した空
セルに、比較例2と同様に調製した混合物を、25℃で
前記空セルに真空注入し、その後、封口せずに、液晶セ
ルを100℃に設定した恒温槽に1時間放置し、重合性
材料を重合させながら液晶と高分子を相分離させ、複合
体を得た。次に、実施例1と同様に、プレス装置により
前記液晶セルを押圧し、液晶材料を封口部より押し出し
た。このとき、圧力は2kg/cm2とし、約60分放
置した。
【0124】その後、封口部に押し出された液晶材料を
ふき取り、実施例1と同様に紫外線硬化型封口樹脂で封
口し、スポットUV照射機で封口樹脂を硬化させた。次
に、前記液晶セルに、紫外線カットフィルタUV−35
を通過させた光強度100mW/cm2の高圧水銀灯に
よる紫外線を25℃で60秒照射し、残存する重合性材
料を光重合開始剤との反応により重合させた。
【0125】こうして完成した高分子分散型液晶表示素
子の透過率、メッシュサイズおよびセル厚を実施例1と
同様な方法で測定したところ、上記表1に示すように、
各々、1.5%、1.2μmおよび10.0μmであっ
た。次に、この高分子分散型液晶表示素子を60℃で1
000時間放置した後、前記と同様に透過率およびまた
セル厚を測定したが、上記表1に示すように、変化がな
かった。
【0126】〔結果〕後述する比較例5と併せて、比較
結果を述べることにする。
【0127】(比較例5)実施例1と同様に作製した空
セルに、比較例4と同様に調製した混合物を、25℃で
前記空セルに真空注入し、その後、封口せずに、液晶セ
ルを100℃に設定した恒温槽に1時間放置し、重合性
材料を重合させながら液晶と高分子を相分離させ、複合
体を得た。次に、実施例1と同様に、プレス装置により
前記液晶セルを押圧し、液晶を封口部より押し出した。
このとき、圧力は1kg/cm2とし、約20分放置し
た。その後、比較例4と同様に紫外線を照射し、複合体
を得た。
【0128】こうして完成した高分子分散型液晶表示素
子の透過率、メッシュサイズおよびセル厚を実施例1と
同様な方法で測定したところ、上記表1に示すように、
各々、1.0%、1.2μmおよび10.4μmであっ
た。次に、この高分子分散型液晶表示素子を60℃で1
000時間放置した後、前記と同様に透過率およびセル
厚を測定したが、上記表1に示すように、変化がなかっ
た。
【0129】〔結果〕上記表1に示すように、比較例4
および比較例5は、実施例1と同様に長時間経過して
も、透過率およびセル厚に変化がなかった。これは、液
晶押し出し後に更に重合処理を行い、残留している未反
応の重合性材料を重合させて重合性材料の重合反応を完
全に終了させているからと考えられる。一方、比較例4
は、変形後のセル厚が10.0μmであるから、変形比
が1.2である。比較例5は、変形後のセル厚が10.
4μmであるから、変形比が約1.15である。また、
透過率は、比較例4が1.5%で、比較例5が1.0%
である。従って、実施例1と比較例4,5から、変形し
すぎると却って透過率が増大(換言すれば光散乱性が減
少)することが理解される。
【0130】また、比較例1と比較例4,5から、変形
比が1.2以上変形すると、変形しない場合よりも却っ
て透過率が増大(換言すれば光散乱性が減少)すること
が理解される。
【0131】特開平5−80302号公報には変形比が
1.2〜5.0のときに散乱が良いとされ、また、特開
平7−181454号公報では変形比が2〜4が望まし
いとされているが、今回の我々の実験では、変形比が
1.1以上では変形による散乱性増加傾向は観測されな
くなり、変形比1.2以上では変形しないときよりも散
乱性が悪化した。これは、液晶分子が高分子の界面に垂
直に配列しようとする傾向が強まるためであり、擬似的
には、液晶セルに電圧を印加したときの状況に近づくと
いえる。このことは、無電界印加時と、液晶分子が電界
に平行に配列する20V印加時の各セル容量または誘電
率を測定することにより確認した。
【0132】(比較例6)押し出し工程後の紫外線の光
強度および照射時間が異なる以外は、実施例1と同様な
方法で高分子分散型液晶表示素子を製造した。即ち、光
重合による第2の重合工程における紫外線の光強度およ
び照射時間の条件を、実施例1の条件と違えて高分子分
散型液晶表示素子を製造した。この比較例6では、紫外
線の光強度は50mW/cm2であり、照射時間は30
秒とした。
【0133】こうして完成した高分子分散型液晶表示素
子の透過率、メッシュサイズおよびセル厚を実施例1と
同様な方法で測定したところ、各々、0.8%、1.2
μmおよび10.9μmであった。次に、この高分子分
散型液晶表示素子を60℃で1000時間放置した後、
前記と同様に透過率を測定すると0.9%であり、また
セル厚は11.2μmであり、変化が見られた。
【0134】次に、押し出し前の前記複合体と押し出し
後に紫外線を照射した複合体をパネルを割断して取り出
し、実施例1と同様な方法で高分子のみ残した後、示差
走査熱分析装置(DSC)で吸熱ピークを測定し、高分
子のガラス転移温度Tg(吸熱ピークの温度)を測定し
た。押し出し前の前記複合体の高分子のTg1は約20
℃であり、押し出し後のTg2は約25℃であった。従
って、Tg2がTg1より10℃大きい条件を満たして
いなかった。
【0135】〔結果〕実施例1と比較例6とを、高分子
のガラス転移温度の観点から判断すると、Tg2がTg
1より5℃大きい程度であれば、偏平効果を長時間維持
できないが、Tg2がTg1より10℃大きい程度であ
れば、液晶滴の変形が元に戻ることなく、偏平な形状を
長時間持続できることが理解される。
【0136】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、液晶押し
出し後に、未反応の重合性材料を重合させるようにした
ので、高分子を完全に硬化させることができる。従っ
て、偏平効果が長時間安定に持続でき、光に対する散乱
性の優れたコントラストの高い、信頼性の高い液晶表示
素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製造方法により製造された高分子
分散型液晶表示素子の断面図である。
【図2】本発明に係る製造方法により製造された高分子
分散型液晶表示素子の平面図である。
【図3】実施の形態1における重合方法を説明するため
の図である。
【図4】実施の形態2における重合方法を説明するため
の図である。
【図5】実施例1の製造工程を示す図である。
【図6】封口部19付近の斜視図である。
【図7】実施例6に係るアクティブマトリクス型液晶表
示素子の分解斜視図である。
【図8】実施例6に係るアクティブマトリクス型液晶表
示素子の断面である。
【図9】他の構成のアクティブマトリクス型液晶表示素
子の断面である。
【図10】実施例8において使用される製造装置の断面
図である。
【図11】実施例8において使用される製造装置の平面
図である。
【図12】他の構成の製造装置の断面図である。
【符号の説明】
1,2,11,12 … ガラス基板 3,4,13,14 … 透明電極 5 … 高分子 6 … 液晶滴 7,15 … 高分子・液晶複合体 10 … 混合溶液 30 … TFTアレイ基板 31 … マトリクス状配線 32 … 画素電極 33 … TFT部 34 … 遮光層 35 … 対向基板 36 … 対向電極 40 … テーブル 41 … 紫外線照射手段 42,43 … ローラ 44 … 高圧水銀灯 45 … スリット 46 … 遮光板 48 … 光学フィルタ 50 … ヒータ 51 … 恒温槽 52 … 温風
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 雅夫 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 井上 一生 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 久保田 浩史 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 西山 誠司 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子に液晶滴を分散させてなる高分子
    ・液晶複合体が、一対の基板間に配置されるとともに、
    前記液晶滴がセル厚方向に縮められた偏平な構造に変形
    された高分子分散型液晶表示素子の製造方法であって、 液晶材料と、熱重合開始剤と、光重合開始剤と、熱およ
    び光のいずれによっても重合反応を行う重合性材料とか
    ら構成される溶液状の混合物であって、熱重合開始剤の
    含有量が、熱重合反応により熱重合開始剤が全て消費さ
    れたときに重合性材料が予め定めた第1の重合状態にな
    る量とされ、光重合開始剤の含有量が、少なくとも光重
    合反応により光重合開始剤が全て消費されたときに第1
    の重合状態から全ての重合性材料の重合反応が完全に終
    了する第2の重合状態まで重合させることができる量と
    される、そのような溶液状の混合物を調製する工程と、 前記混合物を前記基板間に注入する工程と、 前記混合物を加熱することにより、前記重合性材料の熱
    重合により高分子と液晶とを相分離させると共に、重合
    性材料の重合反応が進行途中であって、高分子中に未反
    応の重合性材料が残留されており、かつ、高分子の硬化
    状態が分離析出した液晶滴内の液晶の一部を基板間から
    外部に押し出すことが可能な予め定めた硬化状態となる
    第1の重合状態まで重合させる第1の重合工程と、 分離析出された液晶滴をセル厚方向に変形すべく、前記
    基板間から液晶滴内の液晶の一部を外部に押し出す工程
    と、 前記押し出し工程の後に、前記混合物に紫外線を照射
    し、光重合により前記残留している未反応の重合性材料
    を重合させて、第1の重合状態から第2の重合状態まで
    重合させる第2の重合工程と、を有することを特徴とす
    る高分子分散型液晶表示素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 高分子に液晶滴を分散させてなる高分子
    ・液晶複合体が、一対の基板間に配置されるとともに、
    前記液晶滴がセル厚方向に縮められた偏平な構造に変形
    された高分子分散型液晶表示素子の製造方法であって、 液晶材料と、熱重合開始剤と、光重合開始剤と、熱およ
    び光のいずれによっても重合反応を行う重合性材料とか
    ら構成される溶液状の混合物であって、光重合開始剤の
    含有量が、光重合反応により光重合開始剤が全て消費さ
    れたときに重合性材料が予め定めた第1の重合状態にな
    る量とされ、熱重合開始剤の含有量が、少なくとも熱重
    合反応により熱重合開始剤が全て消費されたときに第1
    の重合状態から全ての重合性材料の重合反応が完全に終
    了する第2の重合状態まで重合させることができる量と
    される、そのような溶液状の混合物を調製する工程と、 前記混合物を前記基板間に注入する工程と、 前記混合物に紫外線を照射することにより、前記重合性
    材料の光重合により高分子と液晶とを相分離させると共
    に、重合性材料の重合反応が進行途中であって、高分子
    中に未反応の重合性材料が残留されており、かつ、高分
    子の硬化状態が分離析出した液晶滴内の液晶の一部を基
    板間から外部に押し出すことが可能な予め定めた硬化状
    態となる第1の重合状態まで重合させる第1の重合工程
    と、 析出された液晶をセル厚方向に変形すべく、前記基板間
    から液晶滴内の液晶の一部を外部に押し出す工程と、 前記押し出し工程の後に、前記混合物を加熱し、熱重合
    により前記残留している未反応の重合性材料を重合させ
    て、第1の重合状態から第2の重合状態まで重合させる
    第2の重合工程と、 を有することを特徴とする高分子分散型液晶表示素子の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 基板面にストライブ状またはマトリクス
    状に金属配線がなされた一方の基板と、この基板に対向
    して配置される他方の基板との間に、高分子に液晶滴を
    分散させてなる高分子・液晶複合体が、配置されるとと
    もに、前記液晶滴がセル厚方向に縮められた偏平な構造
    に変形された高分子分散型液晶表示素子の製造方法であ
    って、 液晶材料と光重合開始剤と光重合性材料とから構成され
    る溶液状の混合物を予め準備し、この混合物を前記基板
    間に注入する工程と、 前記混合物に一方の基板側から紫外線を照射し、前記重
    合性材料の光重合により高分子と液晶とを相分離させる
    と共に、重合性材料の重合反応が進行途中であって、高
    分子中に未反応の重合性材料が残留されている第1の重
    合状態まで重合させる第1の重合工程と、 分離析出された液晶滴をセル厚方向に変形すべく、前記
    基板間から液晶滴内の液晶の一部を外部に押し出す工程
    と、 前記押し出し工程の後に、他方の基板側から紫外線を混
    合物に照射し、光重合により前記残留している未反応の
    重合性材料を重合させて、第1の重合状態からすべての
    重合性材料の重合反応が完全に終了する第2の重合状態
    まで重合させる第2の重合工程と、を有することを特徴
    とする高分子分散型液晶表示素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記一方の基板が、基板面にマトリクス
    状配線によって区画された複数領域の各々に画素電極と
    アクティブ素子が形成されているアクティブ基板である
    ことを特徴とする請求項3記載の高分子分散型液晶表示
    素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記アクティブ素子がTFTであること
    を特徴とする請求項4記載の高分子分散型液晶表示素子
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記第1の重合状態における高分子のガ
    ラス転移温度をTg1とし、前記第2の重合状態におけ
    る高分子のガラス転移温度をTg2とすると、Tg2が
    Tg1より10℃以上高いことを特徴とする請求項1乃
    至請求項5に記載の高分子分散型液晶表示素子の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 高分子に液晶滴を分散させてなる高分子
    ・液晶複合体が、一対の基板間に配置されるとともに、
    前記液晶滴がセル厚方向に縮められた偏平な構造に変形
    された高分子分散型液晶表示素子の製造方法であって、 液晶材料と光重合開始剤と光重合性材料から構成される
    溶液状の混合物を予め準備し、この混合物を前記基板間
    に注入する工程と、 前記混合物に紫外線を照射し、前記重合性材料の光重合
    により高分子と液晶とを相分離させると共に、重合性材
    料の重合反応が進行途中であって、高分子中に未反応の
    重合性材料が残留されている第1の重合状態まで重合さ
    せる第1の重合工程と、 分離析出された液晶滴をセル厚方向に変形すべく、前記
    基板間から液晶滴内の液晶の一部を外部に押し出す工程
    と、 前記押し出し工程の後に、混合物に紫外線を照射し、光
    重合により前記残留している未反応の重合性材料を重合
    させて、第1の重合状態からすべての重合性材料の重合
    反応が完全に終了する第2の重合状態まで重合させる第
    2の重合工程と、 を有し、 前記第1の重合状態における高分子のガラス転移温度を
    Tg1とし、前記第2の重合状態における高分子のガラ
    ス転移温度をTg2とすると、Tg2がTg1より10
    ℃以上高いことを特徴とする高分子分散型液晶表示素子
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 液晶を押し出す工程が加熱であることを
    特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の高
    分子分散型液晶表示素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 液晶を押し出す工程がプレスによる押圧
    であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれ
    かに記載の高分子分散型液晶表示素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 液晶を押し出す工程がローラによる押
    圧であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいず
    れかに記載の高分子分散型液晶表示素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 液晶を押し出す工程が真空パックによ
    る押圧であることを特徴とする請求項1乃至請求項7の
    いずれかに記載の高分子分散型液晶表示素子の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 高分子に液晶滴を分散させてなる高分
    子・液晶複合体が、一対の基板間に配置されるととも
    に、前記液晶滴がセル厚方向に縮められた偏平な構造に
    変形された高分子分散型液晶表示素子の製造方法であっ
    て、 液晶材料と光重合開始剤と光重合性材料とから構成され
    る溶液状の混合物を予め準備し、この混合物を前記基板
    間に注入する工程と、 前記混合物に紫外線を照射し、前記重合性材料の光重合
    により高分子と液晶とを相分離させると共に、重合性材
    料の重合反応が進行途中であって、高分子中に未反応の
    重合性材料が残留されている第1の重合状態まで重合さ
    せる第1の重合工程と、 分離析出された液晶滴をセル厚方向に変形すべく、液晶
    セルを冷却する工程と、 前記冷却工程の後に、冷却状態を維持したまま紫外線を
    混合物に照射し、光重合により前記残留している未反応
    の重合性材料を重合させて、第1の重合状態からすべて
    の重合性材料の重合反応が完全に終了する第2の重合状
    態まで重合させる第2の重合工程と、を有することを特
    徴とする高分子分散型液晶表示素子の製造方法。
  13. 【請求項13】 高分子に液晶滴を分散させてなる高分
    子・液晶複合体が、一対の基板間に配置されるととも
    に、前記液晶滴がセル厚方向に縮められた偏平な構造に
    変形された高分子分散型液晶表示素子の製造方法であっ
    て、 液晶材料と、熱重合開始剤と、光重合開始剤と、熱およ
    び光のいずれによっても重合反応を行う重合性材料とか
    ら構成される溶液状の混合物であって、熱重合開始剤の
    含有量が、熱重合反応により熱重合開始剤が全て消費さ
    れたときに重合性材料が予め定めた第1の重合状態にな
    る量とされ、光重合開始剤の含有量が、少なくとも光重
    合反応により光重合開始剤が全て消費されたときに第1
    の重合状態から全ての重合性材料の重合反応が完全に終
    了する第2の重合状態まで重合させることができる量と
    される、そのような溶液状の混合物を調製する工程と、 前記混合物を前記基板間に注入する工程と、 前記混合物を加熱することにより、前記重合性材料の熱
    重合により高分子と液晶とを相分離させると共に、重合
    性材料の重合反応が進行途中であって、高分子中に未反
    応の重合性材料が残留されており、かつ、高分子の硬化
    状態が分離析出した液晶滴を冷却により変形させること
    が可能な予め定めた硬化状態となる第1の重合状態まで
    重合させる第1の重合工程と、 第1の重合工程の後に、分離析出された液晶滴をセル厚
    方向に変形すべく、液晶セルルを冷却する工程と、 前記冷却工程の後に、冷却状態を維持したまま紫外線を
    混合物に照射し、光重合により前記残留している未反応
    の重合性材料を重合させて、第1の重合状態から第2の
    重合状態まで重合させる第2の重合工程と、 を有することを特徴とする高分子分散型液晶表示素子の
    製造方法。
  14. 【請求項14】 高分子に液晶滴を分散させてなる高分
    子・液晶複合体が、一対の基板間に配置されるととも
    に、前記液晶滴がセル厚方向に縮められた偏平な構造に
    変形された高分子分散型液晶表示素子の製造方法に使用
    される装置であって、 少なくとも液晶材料と光重合開始剤と重合性材料とを含
    む混合物が注入された液晶セルを、搬送経路に沿って搬
    送させる手段と、 液晶セルの搬送経路の途中に設けられ、液晶セルの一部
    に紫外線を照射する紫外線照射手段と、 液晶セルの搬送経路の途中に設けられ、液晶セルの前記
    紫外線が照射された領域を押圧するローラと、 を有することを特徴とする高分子分散型液晶表示素子の
    製造装置。
  15. 【請求項15】 前記紫外線照射手段が、紫外線を発光
    する光源と、光源からの紫外線のうち液晶を光分解させ
    る波長成分のみを遮断する光学フィルタとを備え、更
    に、紫外線による液晶の相分離反応に関連して、液晶セ
    ルを予め定めた温度に維持するための温度制御機構が設
    けられていることを特徴とする請求項14に記載の高分
    子分散型液晶表示素子の製造装置。
  16. 【請求項16】 高分子に液晶滴を分散させてなる高分
    子・液晶複合体が、一対の基板間に配置されるととも
    に、前記液晶滴がセル厚方向に縮められた偏平な構造に
    変形された高分子分散型液晶表示素子の製造方法であっ
    て、 液晶セルを搬送経路に沿って搬送させる搬送手段と、液
    晶セルの搬送経路の途中に設けられ液晶セルの一部に紫
    外線を照射する紫外線照射手段と、液晶セルの搬送経路
    の途中に設けられ液晶セルの前記紫外線が照射された領
    域を押圧するローラを備えておき、 液晶材料と光重合開始剤と重合性材料を含む混合組成物
    が注入された液晶セルを、前記搬送手段搬により搬送経
    路に沿って搬送し、 この搬送中において、液晶セルの一部分に、前記紫外線
    照射手段により紫外線を照射し、 紫外線照射による重合開始時から、重合による液晶の相
    分離が完了する時までの期間内において前記液晶セルの
    紫外線照射領域を前記ローラによって押圧するようにし
    たことを特徴とする高分子分散型液晶表示素子の製造方
    法。
  17. 【請求項17】 前記液晶滴は、変形比が、1.15以
    下になるように変形されていることを特徴とする請求項
    1乃至請求項13又は請求項16のいずれかに記載の高
    分子分散型液晶表示素子の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記液晶滴は、変形比が、1.15以
    下になるように変形されていることを特徴とする請求項
    14又は請求項15に記載の高分子分散型液晶表示素子
    の製造装置。
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