JPH1183842A - Cr−Mo 鋼加熱炉管の余寿命判定方法 - Google Patents

Cr−Mo 鋼加熱炉管の余寿命判定方法

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JPH1183842A
JPH1183842A JP9244166A JP24416697A JPH1183842A JP H1183842 A JPH1183842 A JP H1183842A JP 9244166 A JP9244166 A JP 9244166A JP 24416697 A JP24416697 A JP 24416697A JP H1183842 A JPH1183842 A JP H1183842A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の課題は、短期間において高い精度で
余寿命を予測し得るCr−Mo 鋼加熱炉管の余寿命判定方
法を提供することにある。 【解決手段】 本発明の Cr−Mo 鋼加熱炉管の余寿命判
定方法は、被検体の外表面から採取した炭化物をX線回
折して相対量と格子常数とを求める工程と、被検体にお
ける炭化物の相対量および格子常数を、長時間使用材に
おける炭化物の相対量および格子常数と比較するととも
に、被検体のミクロ組織の観察結果に基づいて、被検体
が長時間使用材より劣化しているか否かを判定する工程
と、被検体の劣化の程度が長時間使用材の劣化程度に満
たないと判定された場合、被検体の超音波肉厚測定デー
タと運転圧力とから計算した応力値に基づいて、予め求
めておいた寿命曲線を用いて被検体の余寿命を予測する
工程を含んでいる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、火力発電所や石油
化学プラント等で使用される Cr−Mo 鋼加熱炉管の余寿
命判定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】加熱炉管の余寿命を予測する方法として
は、従来から破壊検査法が広く採用されている。この破
壊検査法は、信頼性が高いものの、加熱炉管の一部を抜
管する必要があり、補修に費用と時間が掛かるばかりで
なく、採取試験片に対してクリープ破断試験を実施する
ため、検査結果が出るまでに2〜3ヶ月の長い期間を必
要とし、もって短期間で余寿命を判定することが困難で
あり、延いては検査コストの増大を招いてしまう不都合
があった。そこで、上述した破壊検査法の不都合を解消
する方法として、非破壊検査法の1つであるレプリカ法
を利用したものが提供されている。このレプリカ法は、
加熱炉管における外表面の一部を研削し、この研削部分
を鏡面研磨、腐食したのちミクロ組織のレプリカを作成
し、このレプリカにおける組織の結晶粒の大きさや形
状、析出物の種類、量および形状を顕微鏡によって観察
し、観察の結果を従前のレプリカと比較することによっ
て、余寿命の判定を行なうものである。上記レプリカ法
を利用することによって、上述した破壊検査法に基づく
余寿命の予測に比べ、極めて短い検査期間において、加
熱炉管の余寿命を予測することが可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したレ
プリカ法を用いて余寿命を予測する方法では、短期間で
加熱炉管の余寿命を予測し得るものの、従前のレプリカ
における組織との比較に基づいて余寿命を判定している
ため、判定の種別が多くても5種類(5ステップ)程度
の粗い予測結果しか得ることができず、もって現状に対
応した高い精度で余寿命を予測することは困難であっ
た。本発明の目的は、上記実状に鑑みて、短期間におい
て高い精度で余寿命を予測し得る Cr−Mo 鋼加熱炉管の
余寿命判定方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するべ
く、本発明に関わる Cr−Mo 鋼加熱炉管の余寿命判定方
法では、被検体である Cr−Mo 鋼加熱炉管の外表面から
採取した炭化物をX線回折し、該炭化物における相対量
と格子常数とを求める工程を含んでいる。また、被検体
から採取した炭化物の相対量および格子常数を、予め長
時間使用材から採集した炭化物の相対量および格子常数
と比較するとともに、被検体である Cr−Mo 鋼加熱炉管
のミクロ組織の観察結果に基づいて、上記 Cr−Mo 鋼加
熱炉管が、長時間使用材より劣化しているか否かを判定
する工程を含んでいる。さらに、被検体である Cr−Mo
鋼加熱炉管における劣化の程度が、長時間使用材の劣化
程度に満たないと判定された場合、被検体である Cr−M
o 鋼加熱炉管の超音波肉厚測定データと運転圧力とから
応力を計算し、該応力の値に基づいて、予め求めておい
た寿命曲線を用いて被検体である Cr−Mo 鋼加熱炉管の
余寿命を予測する工程を含んでいる。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ、本発明
の構成を詳細に説明する。本発明に関わる Cr−Mo 加熱
炉管の余寿命判定方法を実施するに当たっては、図1の
フローチャートに示す如く、step1において被検体とし
ての Cr−Mo 鋼加熱炉管(以下では加熱炉管と称する)
に対して超音波肉厚測定を実施する。
【0006】次いで、step2において加熱炉管の表面を
研削する。ここで、研削の範囲は後述するレプリカの作
成に必要な最低限の面積で良く、また研削の深さも約
0.5 mm程度の極く浅い範囲でよい。
【0007】次いで、step3Aにおいて加熱炉管の研削
部分を、鏡面研磨、腐食したのち、加熱炉管におけるミ
クロ組織のレプリカを作成する。なお、上記レプリカの
作成手順は、既に良く知られているので、詳細な説明は
省略する。
【0008】一方、step3Bにおいて、step2で加熱炉
管の表面を研削した際に生じた研削粉から炭化物を抽出
し、この炭化物に対してX線回折による分析を行なう。
ここで、step3Bにおいては、 300 mg 程度の少量の研
削粉を燐酸で溶解したのち、この溶解液をフィルターで
濾過して残査を採集し、この残査に対して、重量分析に
よる研削粉中の残査含有量、X線回折による残査の同
定、X線回折による残査の格子定数の測定、およびX線
回折により同定された各炭化物の回折ピークの相対高さ
(相対量)を求めており、このように各種の分析を行な
うことで、情報の豊富化を図っている。
【0009】step3Aにおけるレプリカの作成、および
step3Bにおける炭化物の分析を終えたのち、step4に
おいて、被検体としての加熱炉管が、長時間使用材より
劣化しているか否か、言い換えれば余寿命判定方法を適
用し得る経験の範囲内にあるか否かの判定を行なう。
【0010】step4では、step3Aにおいて作成したレ
プリカの、被検体である加熱炉管のミクロ組織の観察結
果から、過去のデータとの比較に基づいて、加熱炉管が
長時間使用材より劣化しているか否かを推定する。
【0011】また、step4では、step3Bにおいて求め
た加熱炉管における炭化物の相対量および格子常数を、
予め長時間使用材から採集した炭化物の相対量および格
子常数と比較することによって、加熱炉管が長時間使用
材より劣化しているか否かを推定する。
【0012】ここで、図2は長時間使用材における炭化
物の相対量と格子定数との関係を示したものであり、st
ep3Bにおいて求めた炭化物の相対量および格子常数
が、図中の破線によって囲まれた範囲内(斜線域)にあ
る場合、加熱炉管は長時間使用材より劣化していないも
のと推定される。
【0013】なお、図2において、その縦軸は炭化物の
相対量、具体的にはM6CとM236とのX線回折強さの
比(反射強度比)を示し、横軸は M236の格子常数を
示しており、いずれの値も使用期間の長いものほど大き
な値を示している。
【0014】step4においては、上述の如くミクロ組織
の観察結果に基づく推定と、炭化物の相対量および格子
常数を長時間使用材と比較することによる推定とが行わ
れ、両者の推定結果に基づいて、加熱炉管が長時間使用
材より劣化しているか否かの最終的な判定が行なわれ
る。例えば、両者の推定結果が共に長時間使用材より劣
化していない状況を示唆している場合、加熱炉管は長時
間使用材より劣化していないものと判定される。
【0015】step4において、被検体である加熱炉管が
長時間使用材より劣化していると判定された場合、すな
わち余寿命判定方法を適用し得る経験の範囲内にない場
合には、step5Aにおいて、従来の破壊試験におけるク
リープ破断試験に基づいて、加熱炉管における余寿命の
予測を行なう。
【0016】一方、step4において、被検体としての加
熱炉管における劣化の程度が、長時間使用材の劣化程度
に満たないと判定された場合には、step5Bにおいて長
期使用材のクリープ破断強さに基づく余寿命の予測が行
われる。
【0017】ここで、図3は長時間使用材における寿命
曲線(マスター曲線)、すなわち超音波肉厚測定データ
と運転圧力とから計算した応力の関数と、温度およびク
リープ破断時間の関数(ラルソンミラーパラメータ、以
下ではLMPと称する)との関係を示したものであり、
被検体としての加熱炉管の超音波肉厚測定データと運転
圧力とから応力を計算し、この応力値を図3の寿命曲線
と照し合わせることによって、加熱炉管の余寿命を予測
することができる。
【0018】すなわち、劣化の程度が長時間使用材の劣
化程度に満たない場合には、被検体としての加熱炉管の
高温強さは、少なくとも長時間使用材の値となると見な
すことにより、加熱炉管における余寿命の推定を行って
いるのである。
【0019】ここで、上述した余寿命判定方法を用い
て、火力発電ボイラー過熱器管(管壁温度:600℃、
蒸気圧力:170kg/平方cm、過熱器管外径:50mm、
過熱器管肉厚:10mm、腐食速度:0.1mm/year)の
余寿命を予測すると、少なくとも27000時間の余寿
命があるものと判定される。
【0020】また、上述した余寿命判定方法を用いて、
ガソリン製造装置加熱炉管(管壁温度:600℃、流体
圧力:40kg/平方cm、加熱炉管外径:150mm、加熱
炉管肉厚:10mm、腐食速度:0.1mm/year)の余寿
命を予測すると、少なくとも60000時間の余寿命が
あるものと判定される。
【0021】ところで、従来の非破壊検査による加熱炉
管の余寿命測定においては、組織と寿命比、ボイド面積
率と寿命比、あるいは炭化物相対量と寿命比等の対比に
基づいて、余寿命の予測を行っているものが見受けられ
るものの、上記手法によって得られる結果は、寿命比
(運転時間/新材の寿命)に他ならない。
【0022】一方、高温条件下においては腐食による減
肉が進行し、運転時間が長くなるに従って、減肉に起因
する応力の増大が認められるものの、上述した如き従来
の余寿命判定方法では、応力の増加を考慮に入れた余寿
命の予測ができない。
【0023】これに対して、本発明に関わる余寿命判定
方法によれば、腐食減肉による応力増加のある場合で
も、加熱炉管の余寿命を推定することが可能である。
【0024】例えば、腐食により配管の断面積が年間に
10%ずつ減少するものとすると、断面積の減少に従っ
て応力は年間に10%ずつ増加することとなる。ここ
で、加熱炉管の初期応力に基づいて、破断までの時間が
10年と予測された場合、全寿命の10%を1年で消耗
することから、最初の1年間における寿命比=1/10
となる。
【0025】次の1年間では、最初の1年間よりも応力
が10%増えることで、破断までの時間が5年に減るも
のとすれば、次の1年間における寿命比=1/5とな
る。ここで、最初の1年間において全寿命の10%、次
の1年間において全寿命の20%を消耗するので、2年
間で全寿命の30%を消耗することとなる。
【0026】更に次の1年間では、前の1年間よりも更
に応力が10%増えることから、破断までの時間が2年
に減るものとすれば、寿命比=1/2となる。ここで、
この1年間において全寿命の50%を消耗するので、3
年間で全寿命の80%を消耗することとなる。
【0027】更に次の1年間では、前の1年間よりも更
に応力が10%増えることから、破断までの時間が1年
に減るものとする。ここまでで、既に全寿命の80%を
消費しているので、ここで寿命の20%を消耗すると、
全寿命の100%が消耗され、加熱炉管は破断するもの
と見なされる。つまり 3年+(1年の20%)、約3.2
年で破断が起こると見なされる。
【0028】一般に、ある条件が(t)時間与えられ、
この条件での破断時間が(tr)ならば、t時間後の寿
命比率φ=t/trで表せられる。なお、条件c1,c
2…cnが、t1,t2…tn与えられ、各条件での破
断時間が、tr1,tr2…trnとする。
【0029】そして、t1/tr1+t2/tr2……
=Σt/trが、丁度1となった時に、破断が起こるも
のと仮定する。ここで、上式のnを増やすと総和も増
え、総和が丁度1となった時のnをNとすれば、破断時
間はt1+t2…TNで与えられることとなる。すなわ
ち、破断(クリープ破断)は、Σt/tr=1が満たさ
れたときに起こるものと考えることができるのである。
【0030】ところで、従来技術の1つである三菱重工
業(株)の特許出願(特開昭 63-274862)には、「耐熱
鋼から採取した析出物の相対量を測定し、予め準備した
析出物の相対量と寿命消費との関係を示す寿命評価線図
から、耐熱鋼の寿命消費を推定する」方法が示されてい
る。
【0031】ここで、上記従来技術が、電子線回折で個
々の析出物を同定し、M6C 粒子の数/全粒子の数=相
対量とおいているのに対し、本発明ではM236とM6
のX線回折強さの比、M236およびM6Cの格子常数
を、析出物に係る測定値としている点において相違して
いる。
【0032】また、上記従来技術においては、析出物の
相対量から寿命消費(寿命比=運転時間/新材の寿命)
を得ているのに対し、本発明では析出物の相対量からの
情報を、プラントでの長時間使用材の高温強さ(パラメ
ータの関数として表す)を、被検体である加熱炉管の余
寿命予測に適用できるか否かの判断材料として使ってい
る。 パラメータの例:LMP(σ)=T(a+ log(tr
(σ))) Tは温度、σは応力、trは長時間使用材の寿命、 ただし、aは材料定数である。
【0033】ここで、上記従来技術において得られる寿
命消費は、寿命比(運転時間/新材の寿命)に他なら
ず、もって先に詳述した如く、腐食減肉による応力増加
のある場合には、応力の増加を考慮に入れた余寿命の予
測ができない。
【0034】さらに、上記従来技術においては、新材の
実験室データを基準として余寿命予測を行っているのに
対して、本発明ではプラントにおける使用材のデータを
基準として余寿命予測を行っているので、実際の使用環
境を反映した余寿命の判定が行われることは言うまでも
ない。
【0035】一方、従来技術の1つである東北大学の技
術文献には、「M6C 炭化物の量を電気化学的に測定
し、予め準備した上記炭化物と時効パラメータとの関係
から時効パラメータを求め、更に予め準備した時効材
(各種時効パラメータ条件)のクリープ破断強さとLM
Pとの関係から、2.25Cr−1Mo鋼の寿命を推定す
る」方法が示されている。
【0036】ここで、上記従来技術が、電気化学的に得
た分極曲線における特定電位でのピーク電流値Ipを測
定しているのに対し、本発明ではM236とM6CのX線
回折強さの比、M236およびM6Cの格子常数を、析出
物に係る測定値としている点において相違している。
【0037】すなわち、上記従来技術では、ピーク電流
値Ipが材料劣化を示唆するM6C炭化物量に密接に関
係することに注目しているのに対し、本発明では M23
6とM6CのX線回折強さの比、M236および M6
の格子常数が、長時間使用によって増加することに着目
し、この事実を被検体である加熱炉管の劣化程度が、長
時間使用材の劣化程度に比して著しいか否かの判断に用
いることを特徴とするものである。
【0038】また、上記従来技術では、ピーク電流値I
pから M6C炭化物の時効パラメータを求め、さらに
6C炭化物の時効パラメータから時効材のクリープ破
断応力を求めているのに対し、本発明では析出物の相対
量や格子常数からの情報を、プラントでの長時間使用材
のクリープ破断応力(従来データを集積して得たもの)
を検査対象に適用してよいか否かの判断材料として使っ
ている。
【0039】さらに、上記従来技術では「時効材のクリ
ープ破断応力」を基準として余寿命予測を行っているの
に対して、本発明では「プラントでの長時間使用材のク
リープ破断応力」、すなわち、プラント(実機)におけ
る使用材のデータを基準として余寿命予測を行っている
ので、実際の使用環境を反映した余寿命の判定が行われ
ることとなる。
【0040】以上、詳述した如く、本発明に関わる Cr
−Mo 鋼加熱炉管の余寿命判定方法によれば、被検体の
劣化の程度が長時間使用材の劣化程度に満たないと判定
された場合、予め求めておいた長時間使用材の寿命曲線
を用いて余寿命の予測を行っている。
【0041】すなわち、本発明の余寿命判定方法では、
その作業手順において破壊検査を伴わないので、抜管や
クリープ破断試験を必要とすることなく、極めて短い期
間において加熱炉管の余寿命を判定することができ、ま
た定期検査時において余寿命の判定に要する時間を短縮
できるので、検査コストを大幅に削減することが可能と
なる。
【0042】また、加熱炉管の表面から僅かな研削粉を
採取することで、定量的な余寿命の予測を短時間で行な
うことができ、もって迅速な結果報告を行うことが可能
となり、さらに研削粉の採取は比較的容易なので、検査
箇所を多点に亘って設定することができ、かくすること
によって加熱炉管全体の状況を把握することが可能とな
る。
【0043】また、本発明の余寿命判定方法では、予め
求めておいた寿命曲線を用いて余寿命の判定を行ってい
るため、非破壊検査法の1つであるレプリカ法による余
寿命判定方法に比較して、格段に精度の高い判定結果を
得ることができる。
【0044】さらに、本発明の余寿命判定方法では、高
温条件下において不可避の腐食減肉を考慮した余寿命の
予測ができ、もって実際の使用環境を反映した余寿命の
予測が可能となる。
【0045】なお、本発明に関わる Cr−Mo 鋼加熱炉管
の余寿命判定方法は、火力発電所や石油化学プラントの
みならず、脱硫装置やガソリン製造装置等、様々な装置
に用いられている Cr−Mo 鋼加熱炉管の余寿命判定方法
として、極めて有効に適用し得ることは言うまでもな
い。
【0046】
【発明の効果】以上、詳述した如く、本発明に関わる C
r−Mo 鋼加熱炉管の余寿命判定方法では、被検体である
Cr−Mo 鋼加熱炉管の外表面から採取した炭化物をX線
回折して、該炭化物における相対量と格子常数とを求め
る工程を含んでいる。また、被検体から採取した炭化物
の相対量および格子常数を、予め長時間使用材から採集
した炭化物の相対量および格子常数と比較するととも
に、被検体である Cr−Mo 鋼加熱炉管のミクロ組織の観
察結果に基づき、上記 Cr−Mo 鋼加熱炉管が、長時間使
用材より劣化しているか否かを判定する工程を含んでい
る。さらに、被検体である Cr−Mo 鋼加熱炉管における
劣化の程度が、長時間使用材の劣化程度に満たないと判
定された場合、被検体である Cr−Mo 鋼加熱炉管の超音
波肉厚測定データと運転圧力とから応力を計算し、該応
力の値に基づいて、予め求めておいた寿命曲線を用いて
被検体である Cr−Mo 鋼加熱炉管の余寿命を予測する工
程を含んでいる。上述した如き、本発明に関わる余寿命
判定方法では、破壊検査を伴わないために、抜管やクリ
ープ破断試験を必要とせず、極めて短い期間において、
加熱炉管の余寿命を判定することができ、検査コストの
低減をも達成し得る。また、本発明に関わる余寿命判定
方法では、予め求めておいた寿命曲線を用いて余寿命の
判定を行っているため、レプリカ法による余寿命判定方
法に比較して格段に精度の高い判定結果を得ることがで
きる。このように、本発明に関わる Cr−Mo 鋼加熱炉管
の余寿命判定方法によれば、短期間において、高い精度
で Cr−Mo 鋼加熱炉管の余寿命を判定することが可能と
なるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関わる Cr−Mo 鋼加熱炉管の余寿命判
定方法の作業手順を示すフローチャート。
【図2】本発明に関わる Cr−Mo 鋼加熱炉管の余寿命判
定方法に用いられる長時間使用材における炭化物の格子
常数と相対量(反射強度比)との関係を示す図。
【図3】本発明に関わる Cr−Mo 鋼加熱炉管の余寿命判
定方法に用いられる長時間使用材における寿命曲線(マ
スター曲線)を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石井 邦雄 神奈川県横浜市港南区最戸一丁目13番1号 日揮株式会社上大岡オフィス内 (72)発明者 斉藤 俊之 神奈川県横浜市港南区最戸一丁目13番1号 日揮株式会社上大岡オフィス内 (72)発明者 栗本 斉 神奈川県横浜市南区通町4丁目77番地 日 揮プランテック株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検体である Cr−Mo 鋼加熱炉管の外
    表面から採取した炭化物をX線回折し、該炭化物におけ
    る相対量と格子常数とを求める工程と、 上記被検体から採取した炭化物の相対量および格子常数
    を、予め長時間使用材から採集した炭化物の相対量およ
    び格子常数と比較するとともに、被検体であるCr−Mo
    鋼加熱炉管のミクロ組織の観察結果に基づいて、被検体
    である Cr−Mo鋼加熱炉管が、長時間使用材より劣化し
    ているか否かを判定する工程と、 被検体である Cr−Mo 鋼加熱炉管における劣化の程度
    が、長時間使用材の劣化程度に満たないと判定された場
    合、被検体である Cr−Mo 鋼加熱炉管の超音波肉厚測定
    データと運転圧力とから応力を計算し、該応力の値に基
    づいて、予め求めておいた寿命曲線を用いて被検体であ
    る Cr−Mo 鋼加熱炉管の余寿命を予測する工程と、 を含んで成ることを特徴とする Cr−Mo 鋼加熱炉管の余
    寿命判定方法。
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