JPH1180198A - ジヒドロピリジン構造を特異的に認識するモノクローナル抗体、ハイブリッド細胞およびモノクローナル抗体の製造方法 - Google Patents

ジヒドロピリジン構造を特異的に認識するモノクローナル抗体、ハイブリッド細胞およびモノクローナル抗体の製造方法

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JPH1180198A
JPH1180198A JP9256070A JP25607097A JPH1180198A JP H1180198 A JPH1180198 A JP H1180198A JP 9256070 A JP9256070 A JP 9256070A JP 25607097 A JP25607097 A JP 25607097A JP H1180198 A JPH1180198 A JP H1180198A
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antibody
antigen
cells
mda
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Koji Uchida
浩二 内田
Toshihiko Osawa
俊彦 大澤
Koichi Itakura
厚一 板倉
Kensuke Sakai
健介 酒井
Miki Matsuda
幹 松田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特異的認識部位が分子構造レベルで特定され
ており、生体内酸化ストレスに相関する物質を確実に認
識することができるモノクローナル抗体であって、臨床
診断、分析等において有用なモノクローナル抗体、該モ
ノクローナル抗体を産生することができるハイブリッド
細胞、および該モノクローナル抗体の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 ジヒドロピリジン構造を特異的に認識す
るモノクローナル抗体である。該モノクローナル抗体の
調製は、マロンジアルデヒドで修飾した蛋白質、好まし
くはマロンジアルデヒドで修飾したカギアナカサガイの
ヘモシアニンからなる蛋白質を抗原として免疫した恒温
動物から得られる抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融
合させてハイブリッド細胞とし、該ハイブリッド細胞か
らジヒドロピリジン構造を特異的に認識するモノクロー
ナル抗体を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モノクローナル抗
体およびその製造方法、特にマロンジアルデヒド(略
語:MDA)と蛋白質との反応物に対する高い特異性を
有するモノクローナル抗体とその製造方法に関する。さ
らに詳しくは、ジヒドロピリジン構造を特異的に認識す
るモノクローナル抗体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】生体内の脂質成分としては、トリグリセ
リド、リン脂質、コレステロールエステルあるいは遊離
型脂肪酸などが知られている。これらの化合物が高度不
飽和脂肪酸残基を有する場合、生体に作用する様々な酸
化ストレスによって、この高度不飽和脂肪酸残基が過酸
化を受け、更に、過酸化分解して、脂質の過酸化分解物
が生成され、様々な病態に関与していることが明らかに
されつつある。
【0003】高度不飽和脂肪酸残基を有する化合物とし
ては、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコ
サペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などが代表的なも
のである。脂質の過酸化分解物の中でマロンジアルデヒ
ド(略語:MDA)は、生体内酸化ストレスとの相関が
高いことが報告されている。高度不飽和脂肪酸残基が過
酸化を受け、さらに脂質過酸化分解によって生じたMD
Aは、血液中では蛋白質のアミノ基と結合し、MDA化
蛋白質(略語:MDA−Pro.)を生じることが知ら
れている。
【0004】MDAと蛋白質の結合について、更に詳し
く研究されており{例えば、(Biochim Bio
phys Acta 963:208−214,198
8、(Atherosclerosis 65:265
−272,1987)、(Journal of Ac
tive Oxygens & Free Radic
als 2:4,461−471,1991)}、MD
Aは、蛋白質に含有される蛋白質の構成アミノ酸の一つ
であるリジン残基と反応している可能性が高いとされて
いる。MDAと蛋白質、特に、MDAとリジン残基の反
応についてはN−ε−プロペナールリジン構造を有する
化合物を生じる反応が知られている(日本農芸化学会誌
70:194,1996)。
【0005】ところで、生体内酸化ストレスに相関する
物質を認識する抗体であって、特異的認識部位が分子構
造レベルで特定された抗体は、該抗体を抗原物質の測定
に使用した場合に正確、且つ精密に検出することができ
るので、臨床診断、分析等において有用なものである。
抗原物質の検出方法としては、免疫化学的な検出方法な
らばいずれの方法でも使用することが可能であるが、具
体的には免疫組織学的方法、酵素免疫学的測定法等が挙
げられる。従って、このような特定分子構造を特異的に
認識する抗体の出現が強く要望されている。
【0006】このような状況下において、ヒトマロンジ
アルデヒド化低比重リポタンパク(以下、MDA−LD
Lと略す。)を抗原として得たMDA−LDLを認識す
るモノクローナル抗体あるいは該モノクローナル抗体を
用いたMDA−LDLの測定方法が従来知られていた
(Science 241:215-218,1988、特開平4−173096
号公報)。しかしながら、前記従来のMDA−LDLを
抗原として得たモノクローナル抗体は、抗体を調製する
ための抗原の調製法が明確ではなく、しかもMDA−L
DLの具体的にどの部位を特異的に認識するかについて
も明らかにされていない。
【0007】さらには、MDAが反応する蛋白質は低比
重リポ蛋白質(以下、LDLと略す。)だけではなく、
ヒト血清中にはMDA−LDL以外のMDA化蛋白質が
存在することが示唆されている(Advances i
n the Biosciences 71:121−
124,1988)。したがって、生体内酸化ストレス
の指標としてMDAを用いる場合、MDAと結合される
蛋白質の種類によってはMDA化された蛋白質であって
も上記公知のモノクローナル抗体に認識されないことが
考えられるので、MDAと結合される蛋白質の種類に影
響されない、即ち、生体内酸化ストレスに相関する物質
を確実に認識することができるモノクローナル抗体を得
なければならない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Lip
ids 19:600−608,1984によれば、M
DAがリジン残基と反応する場合、前記N−ε−プロペ
ナールリジン構造を有する化合物だけでなく、MDA2
分子とアセトアルデヒドから成る、下記の式(1)に示
されるジヒドロピリジン構造を有する化合物をも生じる
可能性が指摘されている。従って、生体内の酸化ストレ
スを検出もしくは予測するためには、生体内のジヒドロ
ピリジン構造を有する物質あるいは部位を特異的に検出
することができるモノクローナル抗体を提供することは
有用であると考えられる。
【0009】
【化1】
【0010】そこで本発明は、特異的認識部位が分子構
造レベルで特定されており、生体内酸化ストレスに相関
する物質であるジヒドロピリジン構造を有する物質ある
いは部位を確実に認識することができるモノクローナル
抗体であって、且つ臨床診断、分析等において有用なモ
ノクローナル抗体を提供すること、該モノクローナル抗
体を産生することができるハイブリッド細胞を提供する
こと、および該モノクローナル抗体の製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点に鑑み、検討した結果、マロンジアルデヒド(略語:
MDA)で修飾したカギアナカサガイのヘモシアニン
(略語:KLH)を抗原として調製し、該抗原で免疫し
たマウスから得られる抗体産生細胞とマウスミエローマ
細胞とのハイブリッド細胞が、ジヒドロピリジン構造を
特異的に認識するモノクローナル抗体を産生することを
見出し、本発明を完成した。
【0012】すなわち、本発明のモノクローナル抗体
は、ジヒドロピリジン構造を特異的に認識することを特
徴とする。
【0013】本発明のハイブリッド細胞は、次式(1)
で示されるジヒドロピリジン構造を特異的に認識するモ
ノクローナル抗体を産生することを特徴とする。
【0014】
【化2】
【0015】本発明のモノクローナル抗体の製造方法
は、(1)MDAで修飾した蛋白質を抗原として調製
し、(2)該抗原で免疫した恒温動物から得られる抗体
産生細胞とミエローマ細胞とを融合させてハイブリッド
細胞とし、(3)該ハイブリッド細胞を培養して培養物
中からジヒドロピリジン構造を特異的に認識するモノク
ローナル抗体を取得することを特徴とする。
【0016】本発明の前記モノクローナル抗体およびそ
の製造方法においては、MDAで修飾されるべき蛋白質
がカギアナカサガイのヘモシアニン(略語:KLH)で
あることが望ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明のモノクローナル抗体は、
MDAで修飾した蛋白質を調製し、これを抗原として免
疫された哺乳類動物から得られる抗体産生細胞と、得ら
れた抗体産生細胞を継代培養可能なマウスミエローマ細
胞とのハイブリッド細胞を創出し、このハイブリッド細
胞の中から目的のモノクローナル抗体のみを産生するハ
イブリッド細胞をスクリーニングし、このハイブリッド
細胞が抗体を産生する環境下で大量培養し、培養物から
取得することにより、製造される。
【0018】本発明のモノクローナル抗体の製造に用い
ることができる抗原は、蛋白質とMDAの反応物であれ
ば良い。蛋白質としては、例えば、牛血清アルブミン
(略語:BSA)、卵白アルブミン、カギアナカサガイ
のヘモシアニン(略語:KLH)などが挙げられ、特に
KLHが好ましく使用できる。
【0019】MDAと蛋白質の反応を行うための具体的
方法は、例えば、前記に列挙した蛋白質と1,1,3,
3−テトラメトキシプロパンの酸加水分解物を緩衝液中
で混合攪拌して反応させる方法を挙げることができる。
用いる緩衝液としては、トリス、リン酸塩、炭酸塩など
の緩衝液が挙げられ、好ましくは、リン酸緩衝液が用い
られる。緩衝液のpHは該反応が進行するpHであれば
特に限定されないが、pH6〜11、好ましくはpH7
〜9である。緩衝液の濃度は、該反応が進行する濃度で
あれば特に限定されないが、1mMから0.5M、好ま
しくは、10〜100mMの緩衝液である。
【0020】この反応過程は、蛋白質中のアミノ酸の減
少率で検出することが可能である。アミノ酸の減少率
は、例えば、反応前後の試料のMDAと反応していない
アミノ酸をアミノ酸自動分析装置で測定することにより
求めることができる。アミノ酸減少率としては、使用す
る蛋白質により異なるが、リジン減少率が10%以上、
好ましくは20%以上であることが望ましい。このよう
なアミノ酸減少率となる反応条件は、例えば、25〜4
5℃で1〜72時間が好ましく、さらに好ましくは30
〜40℃で5〜40時間である。
【0021】本発明で免疫される動物は恒温動物が使用
できる。該免疫動物としては、例えば、マウス、ハムス
ター、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ等であれば特
に制限されないが、抗体産生細胞を融合するミエローマ
細胞がマウス由来のものであるため、好ましくはマウス
が使用される。
【0022】免疫する方法は、通常の公知の免疫方法を
用いて、例えば、7ないし30日、特に12ないし16
日間隔で2または3回の投与が好ましい。抗原投与量は
1回につき、免疫される動物により異なるが、例えば、
約0.05から2mg程度を目安とする。投与経路は、
皮下注射、皮内注射、腹膜腔内注射、静脈内注射、筋肉
内注射等を選択することができるが、好ましくは腹膜
腔、皮下もしくは筋肉内に注射して行う投与形態であ
る。さらに好ましくは、前記投与経路を2ないし3組み
合わせた投与経路、例えば、腹膜腔注射、皮下注射およ
び筋肉内注射全ての投与経路を組み合わせるのが好まし
い。
【0023】なお、この場合、抗原は適当な緩衝液、例
えば、フロイントの完全アジュバント、フロイントの不
完全アジュバント、水酸化アルミニウム等の通常用いら
れるアジュバントの1種を含有するナトリウムリン酸緩
衝液、生理食塩水等に溶解して用いることができるが、
上記のようなアジュバントを使用しなくてもよい。ここ
でアジュバントとは抗原とともに投与した時、非特異的
にその抗原に対する免疫反応を増強する物質を意味す
る。
【0024】上記の抗原を免疫した恒温動物を7〜30
日間処置せずに放置した後、該恒温動物の血清を少量採
取し、抗体価をウエスタンブロット法、凝集法、酵素免
疫測定法、一元放射状免疫拡散法等から選ばれた測定法
により測定することができる。より簡便には酵素免疫測
定法により測定することができる。抗体価が上昇してき
たら、状況に応じて抗原の投与を適当回数実施する。例
えば、0.01〜1mg、特に0.05〜0.5mgの
抗原の投与量で1もしくは2回の追加投与が行われる。
最後の投与の1ないし30日後、特に好ましくは1〜7
日後に免疫した恒温動物から抗体を産生するリンパ球を
含む組織を摘出する。摘出する組織は、抗体を産生する
リンパ球を含む抹消リンパ系組織ならどこでもよいが、
好ましくは脾臓である。
【0025】得られた組織は、例えば、「単クローン抗
体実験操作入門」(講談社サイエンティフィック 安藤
民衛ら 1991)等に記載されている方法により、継
代培養可能な細胞とするために、例えば、仙台ウイルス
やポリエチレングリコール存在下、ある種のガン細胞と
細胞融合させて、ハイブリッド細胞を得ることができ
る。ここで用いられるガン細胞は、同じ恒温動物でも同
種の恒温動物のガン細胞を用いることが望ましく、例え
ばマウスを免疫動物として得られた脾細胞と融合させる
場合、マウスミエローマ細胞を用いることが好ましい。
【0026】実際に用いられる細胞融合の方法として
は、公知の技術(J.Immunol.Method
39:285−308,1980)を用いることができ
る。例えば、免疫されたマウスから得られた脾細胞とマ
ウスミエローマ細胞をポリエチレングリコール存在下で
融合を行い、ハイブリッド細胞のみが生育可能であるH
AT培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン
添加培地)により選択的にハイブリッド細胞を増殖さ
せ、ハイブリッド細胞がコロニーを形成した後、培養上
清中の抗体をスクリーニングすることで目的の抗体を産
生するハイブリッド細胞を得ることができる。
【0027】スクリーニングする方法としては、例え
ば、ウエスタンブロット法あるいは酵素免疫化学的測定
法等が挙げられる。また、目的の抗体を産生するハイブ
リッド細胞は、限界希釈法を繰り返すことにより最終的
に単一のハイブリッド細胞を得ることができる。さらに
は、これら目的の抗体を産生するハイブリッド細胞は抗
体を産生する環境下で大量培養することにより製造する
ことができる。さらに、これらの目的とする抗体を産生
するハイブリッド細胞が産生した抗体は、例えば遠心分
離、硫酸アンモニウムまたはポリエチレングリコールを
用いる蛋白質分画、水性二層分配法、ゲル濾過クロマト
グラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニ
ティークロマトグラフィー、電気泳動等の蛋白質の一般
的な生化学的分離方法を、単独もしくはいくつかの方法
を組み合わせて使用することにより精製することができ
る。
【0028】本発明のモノクローナル抗体はヒトのMD
A化蛋白質の検出だけではなく、ヒト以外の異種の哺乳
類、例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イ
ヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒトなどの生体中に存在するM
DA化蛋白質の検出にも応用することができる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、本発明は本実施例に限定されるものではな
い。
【0030】〔実施例1〕 1.抗原の調製 1,1,3,3−テトラメトキシプロパン(略語:TM
P)165μlに9835μlの1.0M塩酸を加えて
室温で1時間撹拌した。この溶液1mlを1.0M水酸
化ナトリウム溶液で即座にpHを6〜8に調整した液に
カギアナカサガイのヘモシアニン(略語:KLH)1m
g(濃度:1mg/ml)を50mMリン酸緩衝液(p
H7.2)で溶解した溶液を即座に加え、37℃、24
時間反応させてMDAとKLHのコンジュゲート(略
語:MDA−KLH)を得て、これを抗原とした。自動
アミノ酸分析装置〔JEOL JLC−300、日本分
光(株)製〕でMDA修飾KLH中の減少したアミノ酸
を調べたところ、リジン(以下、Lysと略す。)が2
9.0%減少していた。
【0031】2.免疫方法 MDA修飾KLH(1mg/ml)は等量のフロイント
の完全アジュバントとよく混合してエマルジョンとし、
これをマウス(BALB/c、オス、6〜8週齢)の腹
腔内に100μl免疫した。初回免疫から10〜14日
後、抗原とフロイントの不完全アジュバントをよく混合
してエマルジョンとして、追加免疫を行った。追加免疫
から3週間後、抗原とリン酸緩衝生理食塩水(以下、P
BSと略す。)を混合して最終免疫を行った。なお、抗
体価は、追加免疫の1週間後、マウス眼孔静脈から血液
を採取し、得られた血清を用いて酵素免疫化学的方法で
抗原に対する抗体が産生していることを確認した。酵素
免疫化学的方法では、免疫したマウスから得られた血清
と比較対照となる免疫前のマウスから得られた血清の間
に比較的大きな抗体価の差異が見られ、抗体価の上昇が
確認された。
【0032】3.抗体価の確認方法 抗体価はMDAとウシ血清アルブミンを固相とした酵素
免疫測定法により確認した。すなわち、抗原の調製に記
載した方法と同様にウシ血清アルブミン(以下、BSA
と略す。)とMDAを反応させて、MDAとBSAのコ
ンジュゲート(以下、MDA−BSAと略す。)を得
た。これを96穴イムノプレートに物理吸着させ、0.
05%Tween20−トリス緩衝液(pH7.4)
(以下、TTBSと略す。)で3回洗浄した後、1%B
SAを含むトリス緩衝液(pH7.4)(以下、ブロッ
キング液と略す。)でブロッキングを行った。このプレ
ートのウエルにマウスから得られた血清(100μl/
ウエル)を入れて、37℃で1時間反応させた。ウエル
を洗浄後、西洋ワサビペルオキシダーゼで標識されてい
るマウス抗体に対するウサギ抗体をTTBSで5000
倍希釈した液(100μl/ウエル)(以下、酵素標識
抗体溶液と略す。)を入れて、37℃で1時間反応させ
た。ウエルを洗浄後、ο−フェニレンジアミン(0.4
mg/ml)および過酸化水素(0.003%)を含む
0.1Mクエン酸−リン酸緩衝液(pH5)(100μ
l/ウエル)(以下、発色液と略す。)を入れて室温で
15−20分間反応させた。発色反応は1Mの硫酸(5
0μl/ウエル)(以下、反応停止液と略す。)を入れ
ることで停止し、マイクロプレートリーダーで492n
mの吸光度を測定して抗体価の確認を行った。
【0033】4.細胞融合 免疫したマウスからマウス脾臓を摘出し、よくほぐして
脾細胞を得た。得られた脾細胞はRPMI−1640培
地で洗浄した。この洗浄した脾細胞と同様にRPMI−
1640培地でよく洗浄したミエローマ細胞であるマウ
ス653細胞(P3X63−Ag8,653:CRL・
1580)を細胞数が7:1の割合になるように混和
し、培地に対して50w/v%のポリエチレングリコー
ル1540溶液を徐々に加えて5分間混和した。これに
RPMI−1640培地を加えて反応を停止させた後、
5分間遠心分離して上清を廃棄した。この操作を2回繰
り返して細胞を洗浄し、細胞を得た。
【0034】5.クローニング 前述の得られた細胞に30mlのHAT培地を加えて細
胞を懸濁し、96穴マイクロプレートの各ウエルに10
0μlずつ分注し、HAT培地により選択的にハイブリ
ッド細胞を増殖させた。融合から10日後、HT培地
(HAT培地からアミノプテリンを除いたもの)でウエ
ル中の1/2量の培養上清を置換した。この操作を2〜
3回繰り返した。培養上清については酵素免疫化学的方
法により抗体価の確認方法と同様であるが、試験に用い
る試料を血清の代わりに得られた培養上清を用いた。ス
クリーニングにより抗体活性の確認されたウエルの細胞
は限界希釈を行い培養し、最終的にはスクリーニングと
限界希釈を繰り返すことによりMDA修飾蛋白質に対し
て高い抗体活性を有し、且つ単一の細胞からなるクロー
ン8株を得た。得られた8株のクローンの内、抗体活性
の強かった1F83株のモノクローナル抗体について、
マウスIgGサブクラスの検討を行った。培養上清を試
料としてマウスIgGサブクラス検定キット(商品名:
Mouse momoclonal antibody isotyping kit RPN29、ア
マシャム社製)で抗体のサブクラスの検討を行ったとこ
ろ、IgG2a、λ鎖であった。この培養上清の一部を用
いて抗体の精製について検討したところ、硫酸アンモニ
ウムによる塩析、あるいはプロテインAをリガンドとす
るアフィニティークロマトグラフィーを常法通り行うこ
とにより本発明のモノクローナル抗体を精製することが
できた。
【0035】〔実施例2〕前記実施例1で得た8株クロ
ーンから得られたMDA修飾蛋白質を認識するモノクロ
ーナル抗体の内、1F83株のモノクローナル抗体の反
応特異性について確認を行った。該1F83株は、通商
産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に平成9年9
月4日に寄託番号(FERM P−16403)として
寄託されている。なお、検討に用いるモノクローナル抗
体は、培養上清を希釈してそのまま用いた。
【0036】1.モノクローナル抗体の反応特異性の評
価法−1 本発明のモノクローナル抗体の反応特異性を酵素免疫測
定法にて評価した。すなわち、96穴イムノプレートに
ウエル当たり100μlの蛋白質あるいはアルデヒド修
飾蛋白質(4μg/ml)を加え、4℃で一昼夜静置し
てプレートに物理吸着させ、ウエル当たり300μlの
TTBSで3回洗浄した後、1%BSA含有TTBもし
くは蒸留水で4倍希釈したブロックエースをウエル当た
り300μl加えてブロッキングした。このプレートを
上記と同様にTTBSで3回洗浄した後、ウエル当たり
100μlのTTBSで希釈した本モノクローナル抗体
溶液(1μg/ml)を加えて、37℃で3時間インキ
ュベートした。なお、コントロールとしてはTTBSの
みを加えた。このプレートを上記と同様にTTBSで3
回洗浄した後、ウエル当たり100μlの酵素標識抗体
溶液を加えて37℃で1時間インキュベートした。この
プレートをTTBSで3回洗浄した後、ウエル当たり1
00μlの発色液を加えて室温で15〜20分間インキ
ュベートした。ウエル当たり50μlの反応停止液を加
えた後、マイクロプレートリーダーで492nmの吸光
度を測定し、本発明のモノクローナル抗体の反応特異性
を評価した。
【0037】2.モノクローナル抗体の反応特異性評価
法−2 本発明のモノクローナル抗体の反応特異性を酵素免疫測
定法にて評価した。すなわち、96穴イムノプレートに
MDA修飾BSAを加えてプレートに物理吸着させたプ
レートのウエルに、本発明によるモノクローナル抗体
(1μg/ml)に各種濃度のMDA誘導体を加えたも
のを試料とする以外は前項に記載の方法と同様にして吸
光度を測定し、本発明のモノクローナル抗体の反応特異
性を評価した。
【0038】3.モノクローナル抗体の反応特異性−1 前記実施例1のモノクローナル抗体に関して各種蛋白質
に対する反応特異性を評価した。すなわち、MDA、4
−ヒドロキシノネナール(HNE)、ヘキサナール、グ
リオキサールなどの図1に記載されるアルデヒドを修飾
したBSAを用い、前記のモノクローナル抗体の反応特
異性評価法−1により測定した。その結果を縦軸は各種
アルデヒド、横軸は吸光度(O.D.)を示したグラフ
として図1に示した。図1に示すようにMDAで修飾し
たBSAは認識されるものの、他のアルデヒドで修飾さ
れたBSAは全く認識されなかった。
【0039】4.モノクローナル抗体の反応性−2 前記実施例1のモノクローナル抗体に関して種々のMD
A誘導体に対する反応特異性を評価した。すなわち、N
−α−アセチルリジン、N−α−アセチル−ε−プロペ
ナール−リジン、N−α−アセチルリジン1分子にMD
A2分子、アセトアルデヒド2分子からなるジヒドロピ
リジン構造を有する誘導体(LM2A)およびN−α−
アセチルリジン2分子とMDA4分子からなる誘導体
(LM4A)を競合物質として前記のモノクローナル抗
体の反応特異性評価法−2により測定した。その結果を
縦軸は競合物質の阻害率(B/B0 :なお、B、B0
それぞれ競合物質の存在下、非存在下における吸光度を
示す。)、横軸は競合物質の濃度を示したグラフとして
図2に示した。図2から明らかなように、MDA誘導体
中N−α−アセチルリジン1分子にMDA2分子、アセ
トアルデヒド2分子からなるジヒドロピリジン構造を有
する誘導体(LM2A)のみが、本発明によるモノクロ
ーナル抗体と固相化されたMDA−BSAとの反応を阻
害した。
【0040】〔実施例3〕前記実施例1で得た8株クロ
ーンから得られたMDA修飾蛋白質を認識するモノクロ
ーナル抗体のうち、1F83株のモノクローナル抗体を
免疫組織染色応用にした。なお、検討に用いるモノクロ
ーナル抗体は、培養上清を硫酸アンモニウムによる塩析
で精製したものを用いた。染色に使用する組織として
は、ヒト粥状動脈硬化病巣を用い、一般的に免疫組織染
色に用いられる方法、例えば、「染色法のすべて」(医
歯薬出版株式会社 155−165 1988)、Ma
nualof Histological Stain
ing Methods ofthe Armed F
orces Institute of Pathol
ogy(McGrow−Hill,New York,
3rd.,Ed.,p5.)に記載の方法に従って免
疫組織染色を行った。すなわち、常法によりBousi
n’s solution(Manual of Hi
stological Staining Metho
ds of the Armed Forces In
stitute of Pathology(McGr
ow−Hill, New York, 3rd.E
d.,p5.))、50%エタノール、70%エタノー
ルで連続処理し、パラフィン包埋した組織から3.5μ
mの組織切片を得た後、非特異的な反応を防止するため
に、リン酸緩衝生理食塩水で希釈したウサギ正常血清で
ブロッキングを行った。この切片に、本発明によるモノ
クローナル抗体を0.5〜2.0μg/mlの濃度で含
むリン酸緩衝生理食塩水を室温で1時間反応させ、洗浄
を行い、続いて、アルカリフォスファターゼを標識酵素
とするABC法(アビジン−ビオチン複合体法)によ
り、組織切片中に存在する本発明による抗体と反応する
部位を観察した。なお、アルカリフォスファターゼの検
出にはAlkalinephosphatase su
bstrate KITII(Vector Labor
atories)を用いた。本発明のモノクローナル抗
体を生体組織、粥状動脈硬化病巣に対して免疫組織染色
した結果を示す顕微鏡写真(オリンパスA×80;40
0倍)を図3として示す。図3より明らかなようにヒト
粥状動脈硬化病巣には本モノクローナル抗体で染色され
る部位(黒色に染色)が存在することが示された。
【0041】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば生体内酸化ストレスによって生じる高度不飽和
脂肪酸の過酸化分解物の一つであるマロンジアルデヒド
と蛋白質の反応生成物が結合したときに生じるジヒドロ
ピリジン構造を特異的に認識するモノクローナル抗体を
提供することができる。また、上記実施例から明らかな
ように、本発明のモノクローナル抗体は、認識部位該分
子構造レベルで限定されているので、生体低酸化ストレ
スの解明、臨床診断、分析等において有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】種々のアルデヒドをBSAに修飾させた修飾物
に対する本発明のモノクローナル抗体の反応性につい
て、酵素免疫学的測定法により測定した結果を示すグラ
フである。
【図2】本発明のモノクローナル抗体の認識部位につい
て、酵素免疫学的測定法により測定した結果を示すグラ
フである。
【図3】本発明のモノクローナル抗体を生体組織、粥状
動脈硬化病巣に対して免疫組織染色した結果を示す顕微
鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:91) (C12P 21/08 C12R 1:91)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジヒドロピリジン構造を特異的に認識す
    るモノクローナル抗体。
  2. 【請求項2】 前記モノクローナル抗体は、マロンジア
    ルデヒドで修飾した蛋白質を抗原とし、該抗原で免疫さ
    れた恒温動物から得られる抗体産生細胞とミエローマ細
    胞とを融合させてハイブリッド細胞とし、該ハイブリッ
    ド細胞から得られたものである請求項1記載のモノクロ
    ーナル抗体。
  3. 【請求項3】 前記抗原は、マロンジアルデヒドで修飾
    したカギアナカサガイのヘモシアニンである請求項2記
    載のモノクローナル抗体。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載のモノクローナ
    ル抗体を産生することができるハイブリッド細胞。
  5. 【請求項5】 (1)マロンジアルデヒドで修飾した蛋
    白質を抗原として調製し、 (2)該抗原で免疫した恒温動物から得られる抗体産生
    細胞とミエローマ細胞とを融合させてハイブリッド細胞
    とし、 (3)該ハイブリッド細胞を培養して培養物中からジヒ
    ドロピリジン構造を特異的に認識するモノクローナル抗
    体を取得することを特徴とするモノクローナル抗体の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 前記抗原は、マロンジアルデヒドで修飾
    したカギアナカサガイのヘモシアニンであることを特徴
    とする請求項5記載のモノクローナル抗体の製造方法。
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US7964177B2 (en) 2006-01-20 2011-06-21 Keio University Method for determination of oxidative stress
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