JP4193477B2 - モノクローナル抗体、ハイブリッド細胞、製造方法および用途 - Google Patents
モノクローナル抗体、ハイブリッド細胞、製造方法および用途 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、臨床検査に用いることができる7−ケトコレステロールを認識するモノクローナル抗体に関する。さらに、該モノクローナル抗体を産生するハイブリッド細胞、該モノクローナル抗体の製造方法および該モノクローナル抗体を用いる7−ケトコレステロールの検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コレステロールは細胞膜の構成成分であるばかりでなくステロイドホルモンやビタミンDをはじめとする生理活性物質の前駆物質、胆汁酸等の原料として非常に重要な脂質成分である。しかしながら、血液中に増え過ぎると動脈硬化を引き起こすと言った虚血性心疾患などの危険因子であることが知られている。
【0003】
活性酸素は一重項酸素、スーパーオキシドラジカル、過酸化水素、ヒドロキシルラジカルなどの反応性に富んだ物質であり、体内に吸収した酸素に由来して生成するものである。これら活性酸素類は生体防御系において重要な働きをしている一方、過剰な活性酸素類が生体に有害な作用することにより老化、ガン、糖尿病、アトピー性皮膚炎など様々な疾患の原因または増悪・進展因子になっていることが明らかとなってきた。
【0004】
脂質は活性酸素との反応性が高い物質として知られており、例えば、不飽和脂肪酸が活性酸素と反応することにより脂質過酸化反応が生じ、マロンジアルデヒド、4−ヒドロキシ−2−ノネナール、4−ヒドロキシ−2−ヘキセナール、アクロレイン等の種々の反応性カルボニル化合物が産生され、これらの反応性カルボニル化合物が蛋白質や核酸と反応することにより、それらの機能が失活あるいは低下することにより種々の障害の原因となっていることが知られている。
【0005】
コレステロールは不飽和脂肪酸同様酸化を受けやすい脂質であり、コレステロールの酸化により7−ケトコレステロール、7α−または7β−ヒドロキシコレステロール、5,6α−または5,6β−エポキシコレステロール、3β,5α,6β−トリヒドロキシコレステロールのほか、コレステロールの側鎖がヒドロキシル化された24あるいは25あるいは27−ヒドロキシコレステロール等の酸化コレステロールが生成することが知られており、食品中、特に加工食品中に存在するばかりでなく、ヒト体内中にも見出されてきた。
【0006】
酸化コレステロールは、HMG−CoA還元酵素の阻害、アシルCoAアシルトランスフェラーゼの活性化、LDLの結合阻害、血管上皮細胞などへの細胞毒性、コレステロールの生合成阻害、細胞内へのカルシウム流入促進作用等の作用により種々の疾病と関与することが報告されている。したがって、これら酸化コレステロールを検出することは酸化コレステロールの疾病への関与を明らかにするために非常に重要である。
【0007】
現在、生体液中および組織中の酸化コレステロールの検出は、それらが比較的低濃度であるために困難であるが、脂質の抽出、カラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーおよび質量分析等の手法を組み合わせることにより比較的高感度に実施できることが報告されており、これらの機器分析による測定方法は研究プロジェクト等における実験操作としては重要になっている。しかしながら、これらの方法は測定機器が高価であったり、測定するために誘導体化する必要があったりするなど、操作性や、一度に多数の検体を処理することには不向きである点について問題が生じており、迅速かつ経済的な臨床分析に、容易に適するものではなかった。
【0008】
一方、抗体は特定の物質(構造)に対して特異的かつ高いアフィニティーを有する蛋白質である。また、抗体を利用することによる免疫学的手法による測定対象の検出は、一般的に利用されている技術でもあり、経済的かつ精度、感度共に臨床学的に利用可能な検出方法を提供できるものである。ゆえに、測定対象となる物質(構造)に対する抗体を取得することにより、測定対象となる物質(構造)を検出するための手段を提供できる。
しかし、臨床検査において、7−ケトコレステロール検出、定量を可能とするモノクローナル抗体の存在は知られておらず、これまで、7−ケトコレステロールとキャリアー蛋白質が結合したハプテンが提案されているにすぎなかった(非特許文献1、2参照。)。
【0009】
【非特許文献1】
Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, Vol. 10, (2000) p. 357-359
【非特許文献2】
Chemistry Letters, No.1 (2000), p. 42-43
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、7−ケトコレステロールを特異的に認識できるモノクローナル抗体を提供するものである。第2の目的は、該モノクローナル抗体を多量に産生できるハイブリッド細胞を提供するものである。第3の目的は、該モノクローナル抗体の製造方法を提供するものである。そして、第4の目的は該モノクローナル抗体を用いる7−ケトコレステロールの検出、定量等の検査方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の発明である。
(1)33A−4株(FERM P−18673)又は35A−8株(FERM P−18674)であるハイブリッド細胞により産出した、7−ケトコレステロールを認識するモノクローナル抗体。
【0012】
(2)7−ケトコレステロールを認識するモノクローナル抗体を産生する、33A−4株(FERM P−18673)又は35A−8株(FERM P−18674)からなるハイブリッド細胞。
【0013】
(3)前記(2)のハイブリッド細胞を用いることを特徴とする、7−ケトコレステロールを認識するモノクローナル抗体の製造方法。
【0014】
(4)前記(2)のハイブリッド細胞を液体培地の中またはヒトを除く恒温動物の腹腔内で増殖させ、モノクローナル抗体を生成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする7−ケトコレステロールを認識するモノクローナル抗体の製造方法。
(5)ヒトを除く恒温動物が、マウスである前記(4)の7−ケトコレステロールを認識するモノクローナル抗体の製造方法。
【0015】
(6)前記(1)のモノクローナル抗体を用いることを特徴とする7−ケトコレステロールの検査方法。
(7)前記(1)のモノクローナル抗体を用いることを特徴とする酸化LDLの検査方法。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のモノクローナル抗体は、特異的に7−ケトコレステロールを認識することのできるモノクローナル抗体である。詳細には、コレステロール、あるいは7β−ヒドロキシコレステロール、7−α−ヒドロキシコレステロール、22−ヒドロキシコレステロール、24−ヒドロキシコレステロール、27−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、トリヒドロキシコレステロール、5α−エポキシコレステロール、5β−エポキシコレステロールなどのコレステロールの酸化物を認識せず、7−ケトコレステロールを特異的に認識できるモノクローナル抗体である。本発明のモノクローナル抗体は、特定のハイブリッド細胞が産出する抗体である。
本発明のモノクローナル抗体を産出するハイブリッド細胞は、独立行政法人産業技術総合研究所 特許微生物寄託センターに平成14年1月11日に寄託番号(FERMP−18673)として寄託されている33A−4株、または独立行政法人産業技術総合研究所特許微生物寄託センターに平成14年1月11日に寄託番号(FERM P−18674)として寄託されている35A−8株である。このようなハイブリッド細胞は、例えば下記の(a)抗原の調製、(b)免疫、(c)抗体産生細胞の調製、(d)ハイブリッド細胞の調製、(e)スクリーニング、(f)クローニングの工程にて調製できる。
以下に、各工程を説明する。
【0017】
(a)抗原の調製
一般に、恒温動物の免疫系の外来抗原に対する応答能力は抗原分子の分子量に依存する。7−ケトコレステロールもそれ自体抗体産生を誘導するものではない。しかしながら、例えば、蛋白質等のような高分子についてその構造の一部としての7−ケトコレステロールは、それ自体免疫系を誘導し、抗体を産生させることができる。7−ケトコレステロールと結合する高分子としては蛋白質が好ましい。このような蛋白質としては、例えば牛血清アルブミン(以下、BSAと略す。)、卵白アルブミン、ゼラチン、カゼイン、ヘモシアニン(以下、KLHと略す。)、ウシサイクログロブリン等の蛋白質が挙げられる。さらに、ヘモシアニン、牛血清アルブミン、卵白アルブミンおよびカゼインからなる群より選ばれる、少なくとも1種の蛋白質であるのが抗体産生に関わる免疫応答の観点から好ましい。
【0018】
7−ケトコレステロール−蛋白質複合体において、蛋白質と7−ケトコレステロールとのモル比は、目的の7−ケトコレステロールを認識するモノクローナル抗体が効率よく産出できれば、どの様な比率で結合させても良いが、例えば、BSAやKLH等と7−ケトコレステロールのモル比が1:0.01〜100、好ましくは1:0.05〜20の割合で結合させることが好ましい。
【0019】
7−ケトコレステロール−蛋白質複合体を調製する場合、7−ケトコレステロールを蛋白質と結合させることができるような官能基を持つ種々の縮合剤、例えば、グルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性エステル等を用いることができる。
7−ケトコレステロールを認識できるモノクローナル抗体を得るための免疫原を得るためには、7−ケトコレステロールのステロール骨格のC−17位に結合する炭化水素鎖に官能基を有する7−ケトコレステロール誘導体を合成して用いることが好ましい。特に、有効であるのは活性エステル等、蛋白質と混合するだけで蛋白質と複合体を形成する活性基を導入した7−ケトコレステロール誘導体であり、ステロール骨格のC−17位に結合する炭化水素鎖を利用し、7−ケトコレステロール−蛋白質複合体を調製することができる。
【0020】
7−ケトコレステロールと蛋白質と反応させて7−ケトコレステロール−蛋白質複合体を調製する場合、例えば、官能基あるいは活性基を導入した7−ケトコレステロール誘導体を溶解可能な溶媒で調製した液と、蛋白質をイオン交換水あるいは緩衝液調製などの溶解可能な溶媒に溶解した蛋白質溶液を混合し、反応する。
7−ケトコレステロール誘導体を溶解するために用いる溶媒は反応に影響を与えないものであればどのような溶媒でも使用可能であるが、蛋白質溶液と容易に混合可能なものが望ましい。例えば、エタノール、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機溶媒が適している。蛋白質を溶解する緩衝液としては、蛋白質を溶解可能なものであり、かつ、7−ケトコレステロール誘導体と蛋白質との反応を妨害するものでなければいずれでも良く、リン酸緩衝液、炭酸緩衝液等を用いることができる。
反応条件としてpH、イオン強度、反応時間、反応温度は7−ケトコレステロールおよび/あるいは7−ケトコレステロール誘導体とキャリアー蛋白質が複合体を形成しうる条件であればいずれでも構わないが、pH6.0〜9.5、イオン強度は1〜250mM、反応時間は0.5〜72時間、反応温度は10〜40℃程度が適当である。
【0021】
このようにして得られた7−ケトコレステロール−蛋白質複合体は、カラムクロマトグラフィー、塩析や透析等公知の蛋白質精製技術を用いて精製して抗原とすることも可能であるが、未精製のまま抗原として用いることもできる。
【0022】
(b)免疫
本発明において免疫される動物は、羊、山羊、兎、モルモット、ラット、マウス、ハムスター、イヌ、ニワトリ等のヒト以外の動物である。モノクローナル抗体を得るためには、ラット、マウスが好ましい。一般的に抗体産生細胞を融合するリンパ球様細胞は、抗体産生細胞と同種または異種のリンパ球様細胞であって良いが、このような目的に用いられるリンパ球様細胞は一般にマウス由来であるため、好ましくは同種であるマウス由来のものである。さらに好ましくは、BALB/cマウス由来のものである。BALB/cマウス由来のものが最も好ましい理由は、多用されるマウス由来のミエローマがBALB/cマウスが起源であり、抗体産生細胞とミエローマがともにBALB/cマウス由来であれば、得られるハイブリドーマをBALB/cマウス腹腔内で増殖させることができるため、複雑な手順を経ることなしに腹水よりモノクローナル抗体が得られるためである。
【0023】
免疫方法は、通常公知の免疫方法を用いて実施可能である。投与経路は皮下注射、腹腔内注射、静脈内注射、筋肉内注射等を選択することができるが、好ましくは腹腔内、皮下もしくは筋肉内に注入して行う投与形態である。より好ましくは前記投与経路を2ないし3組み合わせた投与経路、例えば、腹腔内注射、皮下注射および筋肉注射全ての投与経路を組み合わせる投与形態である。免疫間隔,免疫量等も可変度は高く、種々の方法が可能であるが、たとえば7ないし30日、特に12ないし16日間隔で約2〜6回免疫する方法がよく用いられる。抗原投与量は免疫される動物により異なるが、1回つき、0.001〜2mg、好ましくは0.01〜0.5mg程度用いる。
【0024】
なお、この場合、抗原は適当な緩衝液、例えばフロイントの完全アジュバント、フロイントの不完全アジュバント、水酸化アルミ等の通常用いられるアジュバントの少なくとも1種を含有するリン酸緩衝液、生理食塩水等に溶解して用いることができるが、上記のようなアジュバントを使用しなくとも良い。ここで、アジュバントとは抗原と共に投与した時、非特異的にその抗原に対する免疫反応を増強する物質である。
【0025】
上記の抗原を免疫した恒温動物を1〜30日間処置せずに飼育した後、抗体価を測定、抗体価が上昇してきたら、状況に応じて抗原の投与を適当回数実施する。例えば、0.001〜1mg、好ましくは、0.01〜0.5mgの抗原の投与量で1もしくは2回の追加投与を行う。
なお、抗体産生細胞を調製する場合、抗体価が十分高くなった動物を抗体産生細胞の供給原として用いることが望ましい。以降の操作効率の向上や良好な性能を有する目的とするモノクローナル抗体を得ることができるからである。
【0026】
抗体価の評価は、例えば、以下に行うことができる。
免疫した恒温動物の血清等を少量採取し、ウエスタンブロット法、凝集法、酵素免疫化学的測定法、一元放射状免疫拡散法等から選ばれた測定法により抗体価を測定することができる。より簡便には酵素免疫化学的測定法が利用できる。
【0027】
プレート法による酵素免疫化学的測定法により抗体価の測定を行う場合、免疫に用いた恒温動物としてマウスを用い、例えば以下のような手順により行うことができる。すなわち、例えば、マウスに投与する抗原が7−ケトコレステロールとカギアナカサガイのヘモシアニンの複合体の場合、7−ケトコレステロールと牛血清アルブミンの複合体(以下、7KC−BSAと略す。)のような抗原とは蛋白質が異なる7−ケトコレステロール−蛋白質複合体を10mMリン酸緩衝生理食塩水(以下、PBSと略す。)に溶解した液をプレートのウェルに分注(100uL/ウェル)し、4℃で一昼夜、室温で6時間程度あるいは37℃で2時間程度インキュベートする事により、固相に7KC−BSA複合体を吸着結合させる。PBSで洗浄後、非特異的な吸着反応を抑制することを目的として、抗原が吸着していない固相表面を抗原と無関係な物質、例えばゼラチン、BSA、カゼインあるいはスキムミルク等の蛋白質を0.1〜10%の濃度で含有するPBSあるいはブロッキング試薬N101(日本油脂社製)、ブロッキング試薬N102(日本油脂社製)を推奨の濃度に希釈した液を加えることによりブロッキングする。続いて、例えばマウス血清をPBSで段階希釈した試料をウェルに分注(100uL/ウェル)し、4℃、室温あるいは37℃で0.5時間〜一昼夜インキュベートする。0.05%のトゥイーン20を含有するPBS(以下、PBSTと略す。)等で洗浄後、さらに第二抗体としてペルオキシダーゼ標識されたマウス抗体に対する抗体を含有するPBSを分注(100uL/ウェル)し、4℃、室温あるいは37℃で0.5時間〜一昼夜インキュベートすることにより固定化された7−ケトコレステロールと反応したマウス血清中の抗体に結合させる。PBST等で洗浄後、ペルオキシダーゼの基質を加えて発色反応を行い、酵素−基質反応に基づく発色等をプレートリーダーで測定することにより抗体価を求めることができる。
【0028】
(c)抗体産生細胞の調製
抗体産生可能な細胞は以下のように調製することができる。抗体産生細胞としては、例えば、形質細胞、その前駆細胞であるリンパ球が挙げられる。このような抗体産生細胞は免疫された恒温動物のいずれの部位から得ても良いが、脾臓、リンパ節、末梢血組織等から得ることができる。最も一般的なのは、脾臓で、本発明においても、抗原の最終投与の1ないし30日後、特に好ましくは1〜7日後に免疫された恒温動物から脾臓を摘出し、目的の抗体の産生細胞に調製することができる。
【0029】
(d)ハイブリッド細胞の調製
抗体の産生細胞を、例えば、「単クローン抗体実験操作法入門」(講談社サイエンティフィック 安藤民衛ら、1991年)等に記載されている方法により、継代培養可能な細胞とするために、例えば、仙台ウイルスやポリエチレングリコール存在下、ヒポキサンチン−グアニン−ホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損(HGPRT-)や、チミジンキナーゼ欠損(TK-)の様なマーカーを持った骨髄腫細胞(以下、ミエローマ細胞と表記する。)と細胞融合させて、ハイブリッド細胞を調製することができる。
【0030】
ここで用いられるミエローマ細胞は、ヒトを除く同じ恒温動物でも同種の恒温動物のミエローマ細胞を用いることが好ましく、例えばマウスを免疫動物として得られた脾臓細胞と融合させる場合、マウスミエローマ細胞を用いることが好ましい。8−アザグアニン耐性マウス( BALB/c由来) ミエローマ株P3X63Ag8U.1(P3−U1)(Current Topics in Microbiology and Immunology 第81巻:第1頁,1978年)、P3/NS1/1−Ag−1(NS−1)(European J.Immunology 第6巻:第511頁,1976年)、Sp2/O−Ag14(Sp−2)(Nature 第276巻:269頁,1978年)、P3X63Ag8.653(J.Immunology 第123巻:1548頁,1979年)、P3X63Ag8(X63)(Nature 第256巻:495頁,1975年)等を用いることができる。
【0031】
細胞融合の方法としては、公知の技術(J.Immunol.Method 第39巻:第285頁,1980年、Nature 第256巻:495頁,1975年)を用いることができる。例えば、免疫されたマウスから得られた抗体産生細胞とマウスミエローマ細胞とを20:1〜2:1の割合で融合する。ここで、約108個の抗体産生細胞に対して0.1〜5mL、好ましくは0.5〜1.5mLの融合媒体の使用が適当であり、例えば、RPMI1640培地、イスコフ培地とハムF−12培地を1:1に混合した培地等に細胞を懸濁させて融合を行う。融合は、センダイウイルスやポリエチレングリコール等の融合剤を用いて細胞融合させるが、ジメチルスルホキシドやその他の融合促進剤を加えてもよい。融合剤としてポリエチレングリコールを用いる場合、一般的に平均分子量1000〜6000のポリエチレングリコールを10%〜80%の濃度で0.5〜30分処理する方法が用いられ、好ましくは、ポリエチレングリコール1540を35〜55%で4〜10分処理することで、効率よく融合させることができる。その他、細胞融合剤を用いる以外に電気刺激を用いる方法により細胞融合を行っても良い。その後、別の容器で未融合の抗体産生細胞およびハイブリッド細胞の混合物をハイブリッド細胞のみが生育可能であるHAT培地(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン添加培地)により選択的にハイブリッド細胞を増殖させることができる。
【0032】
(e)スクリーニング
ハイブリッド細胞がコロニーを形成した後、培養上清中の抗体をスクリーニングすることで目的の抗体を産生するハイブリッド細胞を得る。ハイブリッド細胞のスクリーニングの方法としては、例えば、ウエスタンブロット法あるいは酵素免疫化学的測定法等が挙げられる。
【0033】
(f)クローニング
スクリーニングにより選ばれたハイブリッド細胞は、次にクローニングする。例えば、プレートの1穴に1個のハイブリッド細胞が含まれるように希釈して培養する限界希釈法、軟寒天培地中で培養しコロニーを回収する軟寒天法、マイクロマニュピレーターによって1個づつの細胞を取り出し培養する方法、セルソーターによって1個の細胞を分離する「ソータクローン」などによりクローニングできる。好ましいのは、限界希釈法である。クローニングにより、目的の抗体を産生する単一のハイブリッド細胞を得ることができる。
【0035】
本発明のモノクローナル抗体は、上述の方法にて調製したハイブリッド細胞が産出するが、その製造方法を(g)ハイブリッド細胞の培養、(h)モノクローナル抗体の精製の工程に分けて以下に説明する。
【0036】
(g)ハイブリッド細胞の培養
上述の方法にて調製したハイブリッド細胞は、液体培地中で増殖できる。例えば、RPMI−1640培地に約0.1〜40%の牛血清を加えた培地等で約2〜10日間、好ましくは約3〜5日間培養し増殖したハイブリッド細胞を得ることができる。
また、ハイブリッド細胞と主要組織適合性が一致するヒトを除く恒温動物を用いて腹水形成法等の方法により培養することもできる。例えば、ヒトを除く哺乳動物の腹腔内に接種し、細胞を増殖させ、腹水を採取することにより増殖したハイブリッド細胞を得ることができる。例えばマウスの場合、プリスタン等のネラルオイル等を前もって接種したBALB/c等のマウスに約1×104〜1×107個、好ましくは約5×105〜2×106個のハイブリッド細胞を腹腔内に接種し、約7〜20日後、好ましくは約10〜14日後に腹水液を採取することで、増殖したハイブリッド細胞を得ることができる。
【0037】
(h)モノクローナル抗体の精製
上述のようにハイブリッド細胞を培養することにより得られた培養液や腹水に生成蓄積した抗体は、免疫グロブリンの分離精製法、例えば、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム等による塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体(例えば、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過法、アフィニティー精製法(例えば、プロテインA、プロテインG、抗原結合担体)による特異的吸脱着法等により容易に目的の純度のモノクローナル抗体を得ることができる。
【0038】
例えば、上述した(a)〜(h)工程により本発明の7−ケトコレステロールを認識するモノクローナル抗体を製造することができる。このようにして得られたモノクローナル抗体は、当該事業者が通常用いる技術を利用することにより、生体内外の7−ケトコレステロールを免疫学的に容易に検出し、その量を定量することができる。
【0039】
また、本発明のモノクローナル抗体はヒトの7−ケトコレステロールの検出だけでなく、ヒト以外の異種の恒温動物、例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ニワトリなどの生体中に存在する7−ケトコレステロールの検出にも応用することができる。
【0040】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明は本実施例に限定されるものではない。
【0041】
〔実施例1〕
(a)抗原の調製
7−ケトコレステロールと蛋白質よりなる7−ケトコレステロール−(カギアナカサガイのヘモシアニン)複合体(以下、7KC−KLH複合体と略す。)は、森田らの方法(非特許文献1、2)により作製した。まず、マレイミドベンゾイル−ヒドロキシ−スクシンイミド化7−ケトコレステロールを調製し、カギアナカサ貝ヘモシアニン(以下、「KLH」と略す。)と反応させて作製した。詳細には、50mgのKLHを10mLの10mMリン酸緩衝液、pH7.2に加え、室温で30分間撹拌し、遠心分離によって上清を得、これに、7.5mgの活性化7−ケトコレステロールを0.2mLのN,N−ジメチルホルムアミドで溶解した液を加え、37℃、24時間撹拌させた。反応液は、未反応の活性化7−ケトコレステロールを除去するためにセファデックスG−25(ファルマシア社製)に通し、7KC−KLH複合体分画を回収した(10mMリン酸緩衝液、pH7.2)。
【0042】
(b)免疫
7KC−KLH複合体(1mg/ml)は等量のフロイントの完全アジュバントとよく混合してエマルジョンとし、これをマウス(BALB/c、6〜8週齢)の腹膜腔内に100μl免疫した。初回免疫から10〜14日後、抗原とフロイントの不完全アジュバントをよく混合してエマルジョンとして、追加免疫を行った。この操作を2回繰り返した。最後の追加免疫から3週間後、抗原とPBSを混合して最終免疫を行った。なお、抗体価は、追加免疫の7日後、マウス眼孔静脈から血液を採取し、得られた血清を用いて酵素免疫化学的方法で抗原に対する抗体が産生されていることを確認した。
【0043】
抗体価は7−ケトコレステロールと7KC−BSA複合体を固相とした酵素免疫測定法により確認した。まず、抗原の調製に記載した方法と同様に牛血清アルブミンと活性化7−ケトコレステロール誘導体を反応させて、7KC−BSA複合体を得た。これをPBSを用い適当な濃度に希釈し、96穴イムノプレート(Nunc社製、マキシソープタイプ)に分注(100uL/ウェル)して4℃で一昼夜インキュベートすることにより物理吸着させた。PBSで2回洗浄した後、イオン交換水で5倍希釈したブロッキング試薬N101(日本油脂社製)を分注(200uL/ウェル)し、室温で2〜4時間インキュベートしてブロッキング後、内容液を除去して乾燥させた。このプレートのウェルにマウスから得られた血清(100μl/ウェル)のPBSによる段階希釈液を入れて、4℃で一昼夜インキュベートした。ウェルをPBSTで4回洗浄後、ペルオキシダーゼで標識されているマウス抗体に対するヤギ抗体をPBSTで5000〜10000倍希釈した液を分注し(100μl/ウェル)、室温で4時間インキュベートした。ウェルをPBSTで4回洗浄した後、ペルオキシダーゼ用発色液T(住友ベークライト社製)を分注し(100uL/ウェル)、室温で15〜20分間インキュベートした。発色反応はキットに添え付けの反応停止液を分注(100μl/ウェル)することで停止し、マイクロプレートリーダーで450nmの吸光度を測定して抗体価の確認を行った。
本実施例において免疫したマウスでは、未感作のマウスから得た血清と比較して、吸光度の差が認められ抗体価が上昇していた。抗体価の十分高くなったマウスを抗体産生細胞の供給原として次の工程に用いた。
【0044】
(c)抗体産出細胞の調製
免疫したマウスからマウス脾臓を摘出し、よくほぐして脾細胞を得た。得られた脾細胞はRPMI−1640培地で洗浄した。
(d)ハイブリッド細胞の調製
脾細胞とRPMI−1640培地でよく洗浄したミエローマ細胞であるマウス653細胞(P3X63−Ag8,653)を細胞数が7:1の割合になるように混和し、培地に対して50w/v%のポリエチレングリコール1540溶液を徐々に加えて5分間混和した。これにRPMI−1640培地を加えて反応を停止させた後、5分間遠心分離して上清を廃棄した。これにRPMI−1640培地を加えた後、5分間遠心分離を行い、上清を廃棄した。この操作を2回繰り返して細胞を洗浄し、ハイブリッド細胞を調製した。
【0045】
(e)スクリーニング
前述の得られたハイブリッド細胞に30mlのHAT培地を加えて細胞を懸濁し、96穴イムノプレートの各ウェルに100ulずつ分注し、HAT培地により選択的にハイブリッド細胞を増殖させた。融合から10日後、HT培地(HAT培地からアミノプテリンを除いたもの)でウェル中の1/2量の培養上清を置換した。この操作を2〜3回繰り返した。この培養上清を用いて抗体活性に関するスクリーニングを行い、ウェル中の融合細胞を好ましいものを選別した。
【0046】
(f)クローニング
抗体活性の確認されたウェルの細胞は限界希釈を行い培養し、7−ケトコレステロールに対して高い抗体活性を有し、且つ単一の細胞からなるクローン2株(33A−4株、35A−8株)を得た。
【0047】
(g)ハイブリッド細胞の培養
得られたハイブリッド細胞33A−4株および35A−8株のそれぞれをあらかじめ0.5mlのミネラルオイルを腹腔内に投与しておいたBALB/cマウスの腹腔内に1匹あたり1×106個接種することにより腹水化を行った。ハイブリッド細胞を腹腔に投与して10日後、腹水を採取することができた。
(h)モノクロナル抗体の精製
得られた33A−4株、35A−8株のモノクローナル抗体について、マウスIgGサブクラスの検討を行った。培養上清を試料としてマウスIgGサブクラス検定キット(商品名:Mouse monoclonal antibodyisotyping kit RPN29、アマシャム社製)で抗体のサブクラスの検討を行ったところ、いずれもIgG1、κ(カッパー)鎖であった。この培養上清について、硫酸アンモニウムによる塩析、及びプロテインAをリガンドとするアフィニティークロマトグラフィーを常法通り行うことにより本発明のモノクローナル抗体を精製した。
すなわち、培養上清および腹水は、10000rpmで遠心分離して上清を得、上清をPBSで2倍希釈した。これに、攪拌しながら硫酸アンモニウムを穏やかに加え、最終的に40%飽和硫酸アンモニウム濃度とした。最後の硫酸アンモニウムを加えてから4℃で30分間撹拌を継続、その後、30分間4℃で静置して十分に塩析、10000rpmで10分間遠心分離を行い、沈殿物を回収した(40%硫安分画)。沈殿物は、適量のPBSで再溶解し、100倍量以上のPBSに対し、4℃で12時間透析を行った。透析外液を12時間毎に6回交換して、硫酸アンモニウムを除去した。透析内液を0.45umでフィルター濾過後、その液をプロテインAをリガントとするアフィニティーカラムを通した。続いてカラム容積の4倍量のPBSで洗浄、10mMグリシン−塩酸緩衝液(pH2.5)でモノクローナル抗体を溶出させ、モノクローナル抗体の変性を防ぐために1Mトリス緩衝液(pH9.0)で溶液のpHを中性として4℃で保存した。腹水中のモノクローナル抗体がなくなるまで、つまりは上記アフィニティーカラムクロマトグラフィーによるプロテインA結合成分が回収されなくなるまでこの操作を繰り返した。最終的に集めた10mMグリシン−塩酸緩衝液(pH2.5)溶出液(pH調製液)は、上記と同様、40%硫安分画、透析をする事により最終的にモノクローナル抗体を得ることができた。得られたモノクローナル抗体は、2−メルカプトエタノールで還元し、アクリルアミド濃度10%のゲルを用いて20mAで1.5時間泳動を行なった。その結果、どちらのモノクローナル抗体も60kDa前後にH鎖,30kDa前後にL鎖の2つのバンドが認められた。
【0048】
〔実施例2〕
実施例1で得た33A−4株および35A−8株由来のモノクローナル抗体の反応特異性について下記の方法で確認した。
すなわち、トリヒドロキシコレステロール(表1、2中、TriOHと略す。以下に同じ。)、7β−ヒドロキシコレステロール(7βOH)、コレステロール(CHOL)、5β−エポキシコレステロール(β―Epox)、5α−エポキシコレステロール(α−Epox)、25−ヒドロキシコレステロール(25OH)、7−ケトコレステロール(7KC)を試料(全てシグマ社製)として下記の(モノクローナル抗体の反応性評価法−1)により測定した。
試料は、上記の物質のエタノール溶液を0.1Mトリス緩衝液(PH8.0)に混合して目的の濃度に調製した液(エタノール濃度としては5%以内)を用いた。33A−4株由来のモノクローナル抗体を用いた結果を表1に、35A−8株由来のモノクローナル抗体を用いた結果を表2に示す。
【0049】
(モノクローナル抗体の反応性の評価法−1)
96穴イムノプレートにウェル当たり100μlの7KC−BSA複合体溶液(10ug/ml)を加え、4℃で一昼夜静置してプレートに物理吸着させ、ウェル当たり200ulの0.1Mトリス緩衝液、pH8.0(以下、トリス緩衝液と略す。)で2回洗浄した後、ブロッキング試薬N101(日本油脂社製)あるいはブロッキング試薬N102(日本油脂社製)をイオン交換水で5倍希釈した液をウェル当たり200ul加えて室温でインキュベートすることによりブロッキング処理した。このプレートのウェルに、試料とトリス緩衝液で希釈した本モノクローナル抗体溶液(蛋白質濃度として0.01〜1ug/ml)を1:1の容量比で予め混合した液をウェルあたり100uL加え、4℃で一昼夜インキュベートした。このプレートを0.05%の濃度でトゥイーン20を含有するトリス緩衝液(以下、TrisTと略す。)で4回洗浄した後、ウェル当たり100ulのペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体−TrisT溶液を加えて室温で4時間インキュベートした。このプレートをTrisTで4回洗浄した後、ペルオキシダーゼ用発色試薬T(住友ベークライト社製)を用いて発色反応を行い、450nmの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
表1、2から明らかなように、競合酵素免疫化学的測定法において、7−ケトコレステロールのみ、本発明によるモノクローナル抗体と固相化された7KC−BSAとの反応を阻害した。
本発明のモノクローナル抗体は、7−ケトコレステロールのみ特異的に認識できることがわかる。
【0053】
〔実施例3〕
実施例1で得た35A−8株由来のモノクローナル抗体を用いて、銅酸化LDLにおける7−ケトコレステロール量を評価した。
【0054】
(銅酸化LDLの調製)
1mg/mLのヒト低比重リポ蛋白質(以下、「hLDL」と略す。)溶液0.5mLと50uMの銅イオン溶液0.1mLを混合し、50mMリン酸緩衝液(pH7.4)およびイオン交換水で全量を1mL(終リン酸濃度10mM)とした後、37℃でインキュベ−トし、Cu++酸化LDLを調製した。任意時間にサンプリングを行い、EDTA(2Na)およびブチルヒドロキシトルエンを含有する液を加えて反応を停止させ、銅酸化LDLを得た。
【0055】
(検量線の作成)
既知濃度の7−ケトコレステロールを用いて、下記の(モノクローナル抗体の反応性の評価法−2)により、吸光度を測定して検量線を作成した。検量線を図1に示す。
【0056】
(銅酸化LDLにおける7−ケトコレステロール量の評価)
得られた銅酸化LDLをPBSで4倍希釈した液を試料として、下記の(モノクローナル抗体の反応性評価法−2)により測定した。図1の検量線を用い、得られた吸光度より、試料中の7−ケトコレステロール量を求めた。結果は、検量線より見積られた7−ケトコレステロール量を縦軸に、インキュベーション時間を横軸にとり、図2に示す(図2中「+Cu++」で表示。)。
【0057】
(モノクローナル抗体の反応性の評価法−2)
96穴イムノプレートにウェル当たり100ulの7KC−BSA複合体溶液(10ug/ml)を加え、4℃で一昼夜静置してプレートに物理吸着させ、ウェル当たり200μlのPBSを用いて2回洗浄した後、ブロッキング試薬N101(日本油脂社製)あるいはブロッキング試薬N102(日本油脂社製)をイオン交換水で5倍希釈した液をウェル当たり200ul加えて室温でインキュベートすることによりブロッキング処理した。このプレートのウェルに、試料とPBSで希釈した本モノクローナル抗体溶液(蛋白質濃度として0.01〜1ug/ml)を1:1の容量比で予め混合した液をウェルあたり100uL加え、4℃で一昼夜インキュベートした。このプレートを0.05%の濃度でPBSTを用いて4回洗浄した後、ウェル当たり100ulのペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体−PBST溶液を加えて室温で4時間インキュベートした。このプレートをPBSTで4回洗浄した後、ペルオキシダーゼ用発色試薬T(住友ベークライト社製)を用いて発色反応を行い、450nmの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定した。
【0058】
〔比較参考例1〕
比較参考例として銅イオン溶液のかわりに10mMリン酸緩衝液にする以外は実施例3と同様にして銅酸化していないLDLに対する本発明によるモノクローナル抗体の反応性を測定した。結果を図2に示す(図2中「−Cu++で表示。」)。
【0059】
図1に示すような検量線が得られたことから、本発明によるモノクローナル抗体を用いることにより、7−ケトコレステロール量を測定するための測定キットを構築できることがわかる。
図2から明らかなように、本発明によるモノクローナル抗体を用いて銅酸化LDL中に生じた7−ケトコレステロール量を定量することができ、銅酸化したLDL中にはインキュベート時間に応じて7−ケトコレステロール量が増加することが示すことができた。
【0060】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明により7−ケトコレステロールを特異性高く認識するモノクローナル抗体を提供することができる。また、該モノクローナル抗体を多量に産生できる、ハイブリッド細胞を提供することができる。そして、該モノクローナル抗体の製造方法を提供することができる。
本発明のモノクローナル抗体は、7−ケトコレステロールを検出、定量する用途に有用であり、例えば、高感度の7−ケトコレステロールの検査方法を提供できるので、免疫染色、臨床診断、臨床病理、分析等において利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による7−ケトコレステロールを特異性高く認識する、35A−8由来のモノクローナル抗体を用いた酵素免疫測定系の検量線を示すグラフである。
【図2】図2は、本発明による7−ケトコレステロールを特異性高く認識する、35A−8由来のモノクローナル抗体の、銅酸化LDL中の7−ケトコレステロール量を測定したグラフである。
Claims (7)
- 33A−4株(FERM P−18673)又は35A−8株(FERM P−18674)であるハイブリッド細胞により産出した、7−ケトコレステロールを認識するモノクローナル抗体。
- 7−ケトコレステロールを認識するモノクローナル抗体を産生する、33A−4株(FERM P−18673)又は35A−8株(FERM P−18674)からなるハイブリッド細胞。
- 請求項2記載のハイブリッド細胞を用いることを特徴とする、7−ケトコレステロールを認識するモノクローナル抗体の製造方法。
- 請求項2記載のハイブリッド細胞を液体培地の中またはヒトを除く恒温動物の腹腔内で増殖させ、モノクローナル抗体を生成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする7−ケトコレステロールを認識するモノクローナル抗体の製造方法。
- ヒトを除く恒温動物が、マウスである請求項4記載の7−ケトコレステロールを認識するモノクローナル抗体の製造方法。
- 請求項1記載のモノクローナル抗体を用いることを特徴とする7−ケトコレステロールの検査方法。
- 請求項1記載のモノクローナル抗体を用いることを特徴とする酸化LDLの検査方法。
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