JP2005097203A - 抗ldlモノクローナル抗体 - Google Patents

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Abstract

【課題】非酸化抗ヒト低密度リポタンパク質(nLDL)および/または酸化LDL(oxLDL)を認識するモノクローナル抗体であって、多様な抗原特異性を有する抗体を提供する。
【解決手段】nLDLとoxLDLに同等の特異性を有するモノクローナル抗体、nLDLに特異性を有するモノクローナル抗体、oxLDLに特異性を有するモノクローナル抗体が得られ、これらの抗体を利用する免疫学的測定法によって、LDLおよびoxLDLをそれぞれ選択的に測定したり、双方を同時に測定することができる。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ヒト由来の低密度リポタンパク質(以下、「LDL」という。)に特異性を有するモノクローナル抗体および該抗体を利用したLDLの測定法に関する。
脂質は、一般に難水溶性物質であるため、生体内においてはリポタンパク質(非極性脂質である、トリグリセリドとコレステリルエステルの核をリン脂質とアポリポタンパク質で被った複合体)の形で組織から組織へと運搬されている。
リポタンパク質は、超遠心分離法あるいは電気泳動法により水和密度や分子量の違いによってカイロミクロン(0.950g/ml以下)、超低密度リポタンパク質(VLDL)(0.950〜1.006g/ml)、低密度リポタンパク質(LDL)(1.006〜1.063g/ml)、高密度リポタンパク質(HDL)(1.063〜1.210g/ml)に分類されている。
血漿リポタンパク質は、親水性複合体を形成し、疎水性である脂質を組織末梢にまで輸送する重要な働きをしている。一方、生体内の脂質運搬のみならず、動脈硬化の発症および進行に深く関与している。すなわち、冠状動脈硬化症や脳動脈硬化症などの動脈硬化性疾患の危険因子の一つは、血中リポタンパク質濃度(特に、LDL濃度)が上昇する高コレステロール血症であるが、これらの疾患において、LDLは動脈硬化の促進作用を、HDLはLDLとは逆の抑制作用をそれぞれ担っているものと考えられている。
食事由来の脂質は、小腸から吸収されてカイロミクロンとなり、カイロミクロンレムナントをへて肝臓に取り込まれるが、VLDLとして一旦肝臓から血中に放出され、中間密度リポタンパク質(IDL)を経てLDLとなる。LDLは、リン脂質、コレステロールおよび中性脂肪を成分とする中心核に主としてアポリポタンパク質B100が結合した構造をなし、血中コレステロールの末梢への主たる運搬を担っているが、粥状動脈硬化巣に蓄積する主たるコレステロールはLDL由来と考えられることから悪玉コレステロールとも言われている。
一方、HDLは、肝臓、小腸などでアポリポタンパク質A1が遊離型コレステロールを取り込み原始型HDLとなり、血流に乗って末梢へ循環する間にLCAT酵素によって更にコレステロールを取り込んで成熟型HDLとなる。このため、末梢からコレステロールを運び出す役割をなし、善玉コレステロールとも言われている。
また近年の研究では、生体内において変性し、酸化体となったLDLが動脈硬化症の発症要因となっていることが報告されている。すなわち、LDLは通常肝臓を中心としてLDLレセプターを介して再吸収されて処理されるが、初期の動脈硬化段階においては、血管内膜に遊走しているマクロファージがスカベンジャーレセプターを介して酸化LDLを特異的に取り込んで泡沫化し、その結果、血管内膜に粥状硬化巣が形成されると報告されている(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3)。一方、HDLの酸化現象も確認され、LDL酸化に先立ってHDL酸化が進行し、生体にとって有害なフリーラジカルによる酸化をHDLの段階で食い止める働きをHDL自身が行なっており、ある程度以上にHDLの酸化が進行するとLDLの酸化がスタートし、この酸化LDLが動脈硬化の原因になっているのではないかと推論されている(非特許文献4)。
従って、LDLや酸化LDL(以下「oxLDL」ともいう。)の血中濃度を測定することは、動脈硬化症等の治療薬を開発したり、これらの疾患を診断する上で、研究開発および臨床上、極めて重要である。LDLやoxLDLを免疫学的に測定するために、これらの物質を認識する種々のポリクローナル抗体やモノクローナル抗体が従来から用いられている。
例えば、特許文献1には、ヒト粥状硬化病巣のホモジネートで哺乳動物等を免疫して得られ、ヒト粥状硬化病巣関連抗原FOH1を認識するモノクローナル抗体DLH3について記載されている。この抗体は酸化したLDLに反応するが、未変性のLDL、マロンジアルデヒド(MDA)化やアセチル化などで修飾されたLDLおよびアルブミンやグロブリンなどの他の血清タンパク質を酸化させたものには反応しない。また、HDLを酸化したものには反応する。
特許文献2には、MDA修飾LDLおよびoxLDLの両方に特異的なモノクローナル抗体4E6や前者にのみ特異的なモノクローナル抗体1H11について記載されている。
特許文献3には、MDA修飾LDLに対する高抗体力価を持つことが見出された患者から取得した末梢血液単核細胞(PBMC)からのmRNAを用いて作製したファージディスプレイライブラリイから単離された、クローンされたヒトモノクロナールFab(IK17)について記載され、IK17はMDA修飾LDLおよびoxLDLの双方に特異的に結合するが、未処理の(ネイティブな)LDLには結合しないことが記載されている。
特許文献4には、モノクローナル抗LDL抗体(9F5−3、10E3−3)およびモノクローナル抗アポBタンパク質抗体(1D2、5G6)について記載されている。前者は酸化LDLおよび非酸化LDLに結合性を有するが、酸化LDLのβ2−GPI結合部位を認識しない。また、後者はアポBタンパク質に結合性を有するが、酸化LDLのβ2−GPI結合部位を認識しない。
これら公知の抗体は、それぞれ特徴を有するものの、特異性が狭すぎたり、感度が十分でなかったり、調製が難しいという問題点があり、さらに多様な抗体が求められていた。また、公知の抗体では達成できなかった、LDLの多様な測定法が求められていた。
Proc. Natl. Acad. Sci.USA,78,6499-6503(1981) N. Eng. J. Med.,320,915-924(1989) Am. J. Pathol.,135,815-825(1989) Proc. Natl. Acad. Sci.USA,88,6457-6461(1991) 特開平7−238098号公報 特表2002−512695号公報 特表2003−513027号公報 特許第3370334号公報
従って本発明は、LDLおよび/またはoxLDLを認識するモノクローナル抗体であって、多様な抗原特異性を有する抗体を提供することを目的とする。また、本発明はこのような抗体を使用して、LDLおよびoxLDLをそれぞれ選択的に測定したり、双方を同時に測定する等の多様な免疫学的測定法を提供することを目的とする。
まず、本明細書において用いる略号を以下に説明する。
β2-GPI:β2−グリコプロテインI。β2−GPIは、oxLDLに特異的に結合するが酸化されていないネイティブなLDL(nLDL)には結合しないことが知られている。そして血液等の体液中においては、oxLDLにβ2−GPIが結合した状態で存在していることが知られている。
oxLDL-β2-GPI複合体:oxLDLとβ2-GPIとの複合体
BSA:ウシ血清アルブミン
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
ELISA:酵素結合免疫吸着アッセイ
HRP:ホースラディッシュ(西洋ワサビ)のペルオキシダーゼ
HAT培地:ヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン培地
Immulon 2HB:Dynex社製の96ウエルマイクロタイタープレートの商品名。ELISAプレート。
LDL:ヒト低密度リポタンパク質。nLDLとoxLDLの双方を包含する。
nLDL:酸化されていないネイティブなヒト低密度リポタンパク質/非酸化LDL/未処理LDL
OD:吸光度
oxLDL:酸化LDL
PBS:リン酸緩衝生理食塩水
T−PBS:0.05% トウィーン20(商品名:Tween 20)含有PBS
S−PBS:MgCl2含有PBS
WB-CAL-1:抗リン脂質抗体症候群モデルマウス(NZW x BXSBマウス)由来の抗β2-GPI自己抗体(IgG2a,κ)であり、遊離のβ2-GPIには反応せず、oxLDLと複合体を形成したβ2-GPIに反応性を示す抗体(J. Immunol., 149, p1063-1068(1992))
本発明の発明者らは、上記課題を鑑みて鋭意検討した結果、免疫原とハイブリドーマのクローニング法を適宜組み合わせることによって、非酸化ヒト低密度リポタンパク質(以下「未処理LDL」または「nLDL」ともいう。)と酸化ヒト低密度リポタンパク質(oxLDL)に対して多様な特異性を有するモノクローナル抗体を調製できること、およびこれらの抗体を利用することによって、LDLおよびoxLDLをそれぞれ選択的に測定したり、双方を同時に測定する等の多様な免疫学的測定法を組めることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の発明を要旨とする。
(1)
非酸化ヒト低密度リポタンパク質と酸化ヒト低密度リポタンパク質に同等の特異性を有する抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体であって、非酸化ヒト低密度リポタンパク質に対する特異性が、該非酸化ヒト低密度リポタンパク質を硫酸銅存在下で24時間酸化して得られる酸化ヒト低密度リポタンパク質に対する特異性の約0.9〜1.1倍であることを特徴とする抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体。
上記の抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体は、
(1−1)
さらに酸化ヒト低密度リポタンパク質とβ2−グリコプロテインIとの複合体に対する特異性を有するモノクローナル抗体、
(1−2)
非酸化ヒト低密度リポタンパク質を硫酸銅存在下で24時間酸化して得られる酸化ヒト低密度リポタンパク質を異種動物に免疫して得られた抗体産生細胞とミエローマ細胞とのハイブリドーマから産生されるモノクローナル抗体、
または
(1−3)
非酸化ヒト低密度リポタンパク質を異種動物に免疫して得られた抗体産生細胞とミエローマ細胞とのハイブリドーマから産生されるモノクローナル抗体、であることが好ましい。
(2)
非酸化ヒト低密度リポタンパク質に特異性を有する抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体であって、非酸化ヒト低密度リポタンパク質に対する特異性が、該非酸化ヒト低密度リポタンパク質を硫酸銅存在下で24時間酸化して得られる酸化ヒト低密度リポタンパク質に対する特異性の約0.19〜3倍であることを特徴とする抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体。
上記の抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体は、
(2−1)
非酸化ヒト低密度リポタンパク質を異種動物に免疫して得られた抗体産生細胞とミエローマ細胞とのハイブリドーマから産生されるモノクローナル抗体、であることが好ましい。
(3)
酸化ヒト低密度リポタンパク質に特異性を有する抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体であって、非酸化ヒト低密度リポタンパク質に対する特異性が、該非酸化ヒト低密度リポタンパク質を硫酸銅存在下で24時間酸化して得られる酸化ヒト低密度リポタンパク質に対する特異性の約0.19〜0.73倍であることを特徴とする抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体。
上記の抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体は、
(3−1)
非酸化ヒト低密度リポタンパク質を硫酸銅存在下で24時間酸化して得られる酸化ヒト低密度リポタンパク質を異種動物に免疫して得られた抗体産生細胞とミエローマ細胞とのハイブリドーマから産生されるモノクローナル抗体、
または
(3−2)
非酸化ヒト低密度リポタンパク質を異種動物に免疫して得られた抗体産生細胞とミエローマ細胞とのハイブリドーマから産生される請求項7記載の抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体、
、であることが好ましい。
(4)
検体中のヒト低密度リポタンパク質と上記(1)〜(3)のいずれかに記載の抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体とを免疫学的に反応させることを特徴とするヒト低密度リポタンパク質の測定法。
上記(4)の測定法の好ましい第1の態様は以下の通りである。
(4−1)
検体が非酸化ヒト低密度リポタンパク質および酸化ヒト低密度リポタンパク質を含みうるものであって、以下の各群から選択された二種類の抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体を用いて検体中の非酸化ヒト低密度リポタンパク質および/または酸化ヒト低密度リポタンパク質と該抗体とのサンドイッチ状複合体を形成させる、上記(4)記載の測定法;
A群:上記(1)のいずれかに記載の抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体、
B群:上記(2)のいずれかに記載の抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体、
C群:上記(3)のいずれかに記載の抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体。
さらに上記(4−1)の測定法の好ましい態様は以下の通りである。
(4−1−1)
A群から二種類の抗体を選択して用い、検体中の非酸化ヒト低密度リポタンパク質および酸化ヒト低密度リポタンパク質の両方を検出する、上記(4−1)記載の測定法。
(4−1−2)
A群およびB群から、それぞれ一種類ずつの抗体を選択して用い、検体中の非酸化ヒト低密度リポタンパク質を選択的に検出する、上記(4−1)記載の測定法。
(4−1−3)
A群およびC群から、それぞれ一種類ずつの抗体を選択して用い、検体中の酸化ヒト低密度リポタンパク質を選択的に検出する、上記(4−1)記載の測定法。
上記(4)の測定法の好ましい第2の態様は以下の通りである。
(4−2)
さらに抗β2−グリコプロテインI抗体を用い、抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体、ヒト低密度リポタンパク質および抗β2−グリコプロテインI抗体からなるサンドイッチ状複合体を形成させる、上記(4)記載の測定法。
上記(4)の測定法の好ましい第3の態様は以下の通りである。
検体がヒト由来の検体であって、該検体の動脈硬化性疾患の評価または検出に使用される、上記(4)のいずれかに記載の測定法。
本発明により、未処理LDLおよびoxLDLに対する多様な特異性を有する抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体が提供され、これらの抗体は動脈硬化性疾患等の診断薬や、これらの疾患に対する治療薬を開発する上で極めて有用である。また、上記の多様な特異性を有するモノクローナル抗体を目的に応じて適宜組み合わせて免疫学的測定を行うことにより、LDLおよびoxLDLをそれぞれ選択的に測定したり、双方を同時に測定することができ、この測定系を動脈硬化性疾患等の診断に利用することができる。
以下、発明を実施するための最良の形態により本発明を具体的に説明する。
<1>抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体
本発明によって提供される抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体は、前記の通り、(1)〜(3)の三種類に大別される。すなわち、(1)未処理LDLとoxLDLの双方に同等の特異性を有するモノクローナル抗体、(2)未処理LDLに特異的なモノクローナル抗体、(3)oxLDLに特異的なモノクローナル抗体である。
以下、これらのモノクローナル抗体について先ずそれぞれの特性を説明し、次いで製造法を説明する。
(A)特性
(1)未処理LDLとoxLDLの双方に同等の特異性を有する抗LDLモノクローナル抗体(本抗体1)
本抗体は、未処理LDLとoxLDLの双方に同等の特異性を有するモノクローナル抗体(以下「本抗体1」ともいう。)である。
より具体的には、後述の実施例に示す「抗体価スクリーニングELISA法」を用いて測定した場合、未処理LDL(非酸化LDL)に対する特異性が、該未処理LDLを硫酸銅存在下で24時間酸化して得られるoxLDLに対する特異性の約0.9〜1.1倍である特性を有する。
また、本抗体1は、後述の実施例に示す「oxLDL-β2-GPI複合体測定ELISA法」によって測定すると、oxLDL-β2-GPI複合体を認識し、該複合体と良く結合する特性を有する。
さらに、本抗体1は、上記の「oxLDL-β2-GPI複合体測定ELISA法」によって測定すると、全身性エリテマトーデス(SLE)患者血清中に存在する抗原と良く反応する特性を示す。
以上の特性を示すモノクローナル抗体としては、後述の方法で作成されたO2G12およびN2E10が例示される。これらの抗体のクラス、サブクラスは、O2G12についてはIgG1, κ(カッパ)、N2E10についてはIgG2a, κ である。また、上記の特異性比(未処理LDL/oxLDL)は、O2G12は0.97、N2E10は0.95であった。
(2)未処理LDLに特異性を有する抗LDLモノクローナル抗体(本抗体2)
本抗体は、未処理LDLに対する特異性が高く、oxLDLに対する特異性が低いモノクローナル抗体(以下「抗体2」ともいう。)である。
より具体的には、後述の実施例に示す「抗体価スクリーニングELISA法」を用いて測定した場合、未処理LDL(非酸化LDL)に対する特異性が、該未処理LDLを硫酸銅存在下で24時間酸化して得られるoxLDLに対する特異性の約2.5〜3倍である特性を有する。
また、本抗体2は、後述の実施例に示す「oxLDL-β2-GPI複合体測定ELISA法」によって測定すると、oxLDL-β2-GPI複合体をある程度認識するが、抗体1と比べると該複合体との反応性は低い。
さらに、本抗体2は、上記の「oxLDL-β2-GPI複合体測定ELISA法」によって測定すると、全身性エリテマトーデス(SLE)患者血清中に存在する抗原と比較的良く反応する特性を示すものと、ほとんど反応しないものがある。
以上の特性を示すモノクローナル抗体としては、後述の方法で作成されたN4B10およびN5D4が例示される。これらの抗体のクラス、サブクラスは、N4B10についてはIgG1, κであり、N5D4についてはIgG1またはIgG3, κである。また、特異性比(未処理LDL/oxLDL)は、N4B10は2.5、N5D4は2.7であった。
(3)oxLDLに特異性を有する抗LDLモノクローナル抗体(本抗体3)
抗体は、oxLDLに対する特異性が高く、未処理LDLに対する特異性が低いモノクローナル抗体(以下「本抗体3」ともいう。)である。
より具体的には、後述の実施例に示す「抗体価スクリーニングELISA法」を用いて測定した場合、未処理LDL(非酸化LDL)に対する特異性が、該未処理LDLを硫酸銅存在下で24時間酸化して得られるoxLDLに対する特異性の約0.19〜0.73倍である特性を有する。
また、本抗体3は、後述の実施例に示す「oxLDL-β2-GPI複合体測定ELISA法」によって測定すると、oxLDL-β2-GPI複合体をあまり認識しないか、ほとんど認識しない。該複合体との反応性は本抗体2よりも低い。
さらに、本抗体3は、上記の「oxLDL-β2-GPI複合体測定ELISA法」によって測定すると、全身性エリテマトーデス(SLE)患者血清中に存在する抗原とはほとんど反応しない。
以上の特性を示すモノクローナル抗体としては、後述の方法で作成されたO1F9およびN3C2が例示される。これらの抗体のクラス、サブクラスは、01F9についてはIgG2, κである。また、特異性比(未処理LDL/oxLDL)は、O1F9は0.199、N3C2は0.727であった。
(B)製造法
本発明のモノクローナル抗体の製造法は、上記の本抗体1、本抗体2または本抗体3が得られる方法であれば特に限定されず、公知の方法を適宜応用することにより製造することができる。すなわち、本発明のモノクローナル抗体は、本抗体1、本抗体2または本抗体3を産生するハイブリドーマを作成し、このハイブリドーマを培養したり、動物の体内で増殖させることによって製造することができる。また、抗体産生細胞から得られたmRNAを用いてファージ・ディスプレイ法によって遺伝子工学的にモノクローナル抗体を製造することもできる。
本発明のモノクローナル抗体を製造する工程は、基本的には(B−1)LDLの異種動物への免疫、(B−2)異種動物から抗体産生細胞の分離、(B−3)抗体産生細胞とミエローマ細胞の細胞融合、(B−4)ハイブリドーマの選択、(B−5)ハイブリドーマの増殖、(B−6)抗体の分離・精製、からなる。
(B−1)免疫
使用する免疫原は、ヒトから分離された酸化されていない未処理LDL(非酸化LDL)か、未処理LDLを公知の方法により、硫酸銅を用いて酸化したoxLDLである。このいずれかの免疫原を使い分けることによって、本抗体1、本抗体2または本抗体3を製造することができる。
すなわち、本抗体1および本抗体3を得るには、未処理LDL、oxLDLの何れを免疫原としても良く、本抗体2を得るには未処理LDLを免疫原とする必要がある。
免疫原を投与する異種動物(ヒト以外の動物)としては、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ラット、マウス、モルモット、イヌ、ブタ、ウサギ、サル、ハト、ニワトリなどいずれであってもよく、特にマウス、ラット、モルモット、ウサギ、ヤギ、ヒツジなどが使用上好都合である。
このような動物への免疫原の投与は常法に従って行えばよく、たとえば、完全フロインドアジュバンド、不完全フロインドアジュバンド、ミョウバンアジュバント、水酸化アルミニウムアジュバント、百日咳菌アジュバントなどの各種アジュバントと上述の免疫原との懸濁液を調製し、これを上記動物の静脈内、腹腔内、皮下または皮内に投与すればよい。
投与量は、動物としてウサギ、モルモットを使用する場合には蛋白量として0.01〜10mg/匹、またはマウス、ラットを使用する場合には、0.001〜1mg/匹程度が好適である。
初回投与後、1〜4週間おきに1〜5回程度の上記と同様の追加免疫を行うことにより、動物体内でLDLに対する抗体産生を誘導する。
(B−2)異種動物から抗体産生細胞の分離
免疫を獲得した動物からの脾細胞、リンパ節細胞、末梢血リンパ球などの抗体産生細胞を常法により取得する。取得する抗体産生細胞としては脾細胞が好ましい。
(B−3)抗体産生細胞とミエローマ細胞の細胞融合
抗体産生細胞と融合させるミエローマ細胞としては、マウス、ラット、ヒトなどの種々の動物に由来し、当業者が一般に入手可能な株化細胞を使用する。使用する細胞株としては、薬剤抵抗性を有し、未融合の状態では選択培地で生存できず、抗体産生細胞と融合した状態でのみ生存できる性質を有するものが好ましい。通常、8−アザグアニン耐性株が用いられ、この細胞株はヒポキサンチン−グアニンホスフォリボシルトランスフェラーゼ(Hypoxanthine guanine phosphoribosyl transferase)を欠損し、ヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン(HAT)培地に生育できない。また細胞の性質として免疫グロブリンを分泌しない、いわゆる非分泌型の細胞株であることが好ましい。
ミエローマ細胞株の具体例としては、P3x63Ag8(ATCC TIB−9)(Nature,256495−497(1975))、P3x63Ag8U.1(P3-U1)(ATCC CRL−1597)(Current Topics in Microbiology and Immunology,81,1−7(1978))、P3x63Ag8.653(ATCC CRL−1580)(J.Immunology.123.1548−1550(1979))、P2/NSI/1−Ag4−1(ATCC TIB−18)(Europian J.Immunology.6,511−519(1976))、Sp2/O−Ag14(ATCC CRL−1581)Nature,276,269−270(1978))などのマウスミエローマ細胞株、210.RCY.Agl.2.3(Y3−Ag1.2.3)(ATCC CRL−1631)(Nature.277,131−133(1979))などのラットミエローマ細胞株、U−266−AR1(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,77,5429(1980))、GM1500(Nature,288,488(1980))、KR−4(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,79,6651(1982))などのヒトミエローマ細胞株を例示することができる。
細胞融合にあたっては、抗体産生細胞に適合したミエローマ細胞を選定する。
細胞融合は、イーグルの最少必須培地(MEM)、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、RPMI−1640培地などの動物細胞培養用培地中で106〜108/mlのミエローマ細胞と抗体産生細胞を混合比1:4〜10に混合し、37℃で1〜10分間細胞同士を接触させることにより効率よく融合を行うことができる。細胞融合を促進させるために、平均分子量1,000〜6,000のポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニールアルコール、センダイウイルスなどの融合促進剤を使用することができる。また、電気パルスを利用した市販の細胞融合装置を用いて抗体産生細胞とミエローマ細胞を融合させることもできる。
細胞融合処理後の細胞から目的とするハイブリドーマを選別する手段としては、選択的培地における細胞の選択的増殖を利用する方法を用いることができる。たとえば、細胞懸濁液を15%ウシ胎児血清(FCS)含有RPMI−1640培地などで適当に希釈後、マイクロプレート上に103〜106/ウェル程度まき、各ウェルに選択培地(たとえば、HAT培地など)を加え、以後適当に選択培地を交換して培養を行う。ミエローマ細胞として8−アザグアニン耐性株、選択培地としてHAT培地を用いた場合は、未融合のミエローマ細胞は培養10日目ぐらいまでに死滅し、正常細胞である抗体産生細胞もインビトロ(in vitro)では長期間生育できないので、培養10〜14日目から生育してくる細胞をハイブリドーマとして得ることができる。
(B−4)ハイブリドーマの選択(スクリーニング)
未処理LDLおよび/またはoxLDLを認識するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの検索は、酵素免疫測定法(EIA、ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)などによって行うことができる。たとえば、未処理LDLおよびoxLDLを、それぞれ吸着させた96ウェルELISA用マイクロプレートにモノクローナル抗体を含む培養上清を添加し、LDLと反応させ、次いで結合した特異抗体に酵素標識抗免疫グロブリン抗体を反応させるか、あるいはビオチン標識抗免疫グロブリン抗体を反応させたのちアビジンD−酵素標識体を反応させ、次いでいずれの場合とも各ウェルに酵素基質を加えて発色させる。LDLを固定化したウェルのみで発色する培養上清を選別することにより、未処理LDLおよび/またはoxLDLと特異的に反応する抗体を産生するハイブリドーマを選択(スクリーニング)することができる。
ハイブリドーマのクローニングは、限界希釈法、軟寒天法、フィブリンゲル法、蛍光励起セルソーター法などにより行うことができる。
このようにして選択されたハイブリドーマのうち、本抗体1を産生するハイブリドーマ・セルラインとしてマウス−マウス・ハイブリドーマ(Mouse-Mouse Hybridoma)N2E10、本抗体2を産生するハイブリドーマ・セルラインとしてMouse-Mouse Hybridoma N4B10、本抗体3を産生するハイブリドーマ・セルラインとしてMouse-Mouse Hybridoma O1F9が、独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番地1)に国内寄託され、平成15年(2003年)9月2日付けで受領され、受託番号として、それぞれFERM P-19508、FERM P-19509、FERM P-19510が付与されている。
(B−5)ハイブリドーマの増殖
このようにして取得したハイブリドーマを増殖させ、モノクローナル抗体を生産させる方法としては、通常の細胞培養法や腹水形成法などが採用されうる。
細胞培養法においては、ハイブリドーマを10〜15%FCS含有RPMI−1640培地、無血清培地などの動物細胞培養用培地中で通常の方法で培養し、その培養上清液から抗体を取得することができる。
腹水から回収する方法では、ハイブリドーマと腫瘍組織適合性が一致する動物に、プリスタン(2,6,10,14−テトラメチルペンタデカン)などの鉱物油を腹腔内に投与した後、たとえばマウスの場合にはハイブリドーマを約106個/匹腹腔内投与する。ハイブリドーマは10〜18日ほど腹水腫瘍で形成し、血清および腹水中に高濃度に抗体を生産する。
(B−6)抗体の分離・精製
抗体の精製が必要とされる場合には、硫安塩析法、DEAEセルロースなどの陰イオン交換体を利用するイオン交換クロマトグラフィー、プロテインA−セファロースどを用いるアフィニティークロマトグラフィー、分子ふるいクロマトグラフィーなどの公知の方法を適宜に選択し、組み合わせることにより精製することができる。
<2>LDLの免疫学的測定
本発明のLDLの測定法は、LDLと前記の本抗体1、本抗体2または本抗体3を免疫学的に反応させることを特徴とする方法であり、測定原理、条件等には制限されない。
免疫学的測定法の反応様式による分類として、競合反応法と非競合反応法(イムノメトリックアッセイ)が知られており、本発明においてはいずれの方法も採用できる。また、検出方法による分類として、抗原抗体反応の結果を直接検出する非標識法(ネフェロメトリーなど)と、なんらかのマーカーを使用して検出する標識法が知られているが、本発明ではいずれの方法によってもよい。BF分離(抗体と結合した抗原と遊離の抗原の分離)を行う必要のあるヘテロジアニス法と必要のないホモジニアス法が知られており、本発明にはいずれの方法を適用してもよい。反応相による分類として、全反応が液相で行われる液相法と免疫反応の相手を固相化して反応を行う固相法が知られているが、本発明においてはいずれの方法も採用できる。
これら、公知の一般法の中から、本発明の測定法の目的に適合する方法を適宜選択すればよい。
なお、一般的方法の詳細についてはたとえば以下の文献に詳細に記載されている。
・入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ」((株)講談社、昭和54年5月1日発行)
・石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)((株)医学書院、1982年12月15日発行)
・臨床病理 臨時増刊 特集第53号「臨床検査のためのイムノアッセイ−技術と応用−」(臨床病理刊行会、1983年発行)
・「バイオテクノロジー辞典」((株)シーエムシー、1986年10月9日発行)
・「Methods in ENZYMOLOGY Vol.70」(Immunochemical techniques(Part A))
・「Methods in ENZYMOLOGY Vol.73」(Immunochemical techniques(Part B))
・「Methods in ENZYMOLOGY Vol.74」(Immunochemical techniques(Part C))
・「Methods in ENZYMOLOGY Vol.84」(Immunochemical techniques(Part D:Selected Immunoassay))
・「Methods in ENZYMOLOGY Vol.92」(Immunochemical techniques(Part E:Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))
[「Methods in ENZYMOLOGY Vol.70」はアカデミックプレス社発行]
また、本発明の測定法で使用する本発明のモノクローナル抗体の使用態様は採用する測定法に応じたものに適宜誘導すればよい。具体的には標識化抗体、固相化抗体などを例示できる。
使用する抗体は抗体そのものであってもよいが、非特異的な吸着を防止する意味から抗体の活性フラグメントを使用するのが好ましい。抗体の活性フラグメントは、抗体の特徴を保持するもの(たとえば、F(ab’)2、Fab’、Fabなどの各種フラグメント)であればいずれのものであってもよい。これら活性フラグメントの調製は、精製抗体をパパイン、ペプシン、トリプシンなどのプロテアーゼを用いて限定分解する方法など公知の方法を適用して行うことができる(たとえば「免疫生化学研究法(続生化学実験講座5)」、日本生化学会編、89頁(1986年)参照)。
抗体に結合させる標識物質としては、放射性同位体(たとえば32P、3H、14Cなど)、酵素(たとえばβ−ガラクトシダーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、カタラーゼ、グルコースオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、モノアミンオキシダーゼなど)、補酵素・補欠分子族(たとえば、FAD、FMN、ATP、ビオチン、ヘムなど)、フルオレセイン誘導体(たとえば、フルオレセインイソチオシアネート、フルオレセインチオフルバミルなど)、ローダミン誘導体(たとえば、テトラメチルローダミンBイソシアネートなど)、ウムベリフェロンおよび1−アニリノ−8−ナフタレンスルホン酸などの蛍光色素、ルミノール誘導体(たとえば、ルミノール、イソルミノール、N−(6−アミノヘキシル)−N−エチルイソルミノールなど)などを用いることができる。抗体またはその活性フラグメントと標識物質との結合は、成書〔たとえば、「続生化学実験講座5 免疫生化学研究法」(株)東京化学同人、(1986年発行) 第102〜112頁〕に記載されているような公知の方法から適宜選択して実施すればよい。たとえば、グルタルアルデヒド法、過ヨウ素酸架橋法、マレイミド架橋法、カルボジイミド法、活性化エステル法等〔「タンパク質の化学(下)」、東京化学同人、1987年発行参照〕等から適宜選択することができる。標識物質としてビオチンを使用する場合は、たとえばビオチンのヒドラジド誘導体を用いる方法(Avidin-Biotin Chemistry: A Handbook, 57-63, PIERCE CHEMICAL COMPANY, 1994年発行参照)、またフルオレセインイソチオシアネートを使用する場合は特公昭63−17843号公報記載の方法等から適宜選択できる。
抗体を固定するための担体物質の材質としては、たとえばポリ塩化ビニル、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリメチレンメタクリレートなどの合成有機高分子化合物、デキストラン誘導体(セファデックスなど)、アガロースゲル(セファロース、バイオゲルなど)、セルロース(ペーパーディスク、濾紙など)などの多糖類、ガラス、シリカゲル、シリコーンなどの無機高分子化合物が挙げられ、これらはアミノ基、アミノアルキル基、カルボキシル基、アシル基、水酸基などの官能基を導入したものであってもよい。また、、物理化学的処理(例えば、放射線照射、オゾン処理など)により、合成樹脂の表面に水酸基、カルボニル基、カルボキシル基などの極性基が導入された担体を使用することもできる。具体的には、EBプレート(ラボシステムズ社製)、Hタイププレート、Cタイププレート(住友ベークライト社製)、マキシソーププレート(ヌンク社製)などを例示することができる。
なお、担体物質の材質は蛋白質の結合能の低いものが好ましく、このような材質としては未処理のポリスチレン、ポリ塩化ビニルが例示される。
担体物質の形状は、平板状(マイクロタイタープレート、ディスクなど)、粒子状(ビーズなど)、管状(試験管など)、繊維状、膜状、微粒子状(ラテックス粒子など)、カプセル状、小胞体状などが例示され、測定法に応じた適宜な形状の担体を選択することがきる。また、リポソーム(多層もしくは単層の脂質膜)なども抗体を固定するための担体物質として使用することもできる。
本発明のモノクローナル抗体と担体物質(固相)との結合法は、物理的吸着法、イオン結合法、共有結合法、包括法など公知の方法(たとえば、「固定化酵素」(千畑一郎編、昭和50年3月20日、(株)講談社発行)参照)を採用することができる。とりわけ、物理的吸着法は簡便である点で好ましい。また、上記結合は、直接行ってもよく、両物質の間に他の物質を介して行ってもよい。
このようにして得られた抗体が固相化された固相は、非特異的結合を抑制するため、ゼラチン、BSAなどの通常のブロッキング剤を用いてブロッキング処理を施してもよい。ブロッキングの方法として具体的には、例えばブロッキング剤(血清アルブミン、カゼイン、スキムミルク、ゼラチン等)を添加して、37℃程度で30分〜2時間保存するか、常温(15〜25℃)で1〜2時間保存する方法を挙げることができる。
本発明の免疫学的な測定において「免疫学的に反応させる」とは、抗原(LDL)と各抗体が接触し、免疫(抗原・抗体)複合体を形成することを意味し、このような複合体を形成する限り、その方法、条件は限定されない。「接触」の後、分子間の結合をできるだけ完全なものとするために、インキュベートすることが好ましい。インキュベート時の温度は、抗原抗体反応が阻害されない限りにおいて特に限定されないが、例えば0℃〜37℃程度が例示される。インキュベートの時間も特に限定されず、当業者が適宜設定することができる。一般にインキュベート時間が長いほど、前記の結合をより完全に形成させることができる。
本発明の測定法の好ましい態様は以下の通りである。
(A)2種類の抗LDLモノクローナル抗体を用いるサンドイッチ法(前記4−1の方法)
この方法は、本抗体1、本抗体2および本抗体3から2種類を選択して用い、これら2種類の抗体でLDLを挟み、第1抗体−LDL−第2抗体からなるサンドイッチ状複合体を形成させことを特徴とする方法である。ここで、「2種類」とは必ずしも、特性の異なる2種類を使用することを意味するものではない。たとえば、本抗体1から2種類の抗体を選択しても良い。
この方法では、第1抗体を固相化(抗体の固相への固着)し、第2抗体は標識物質で標識するか、標識しうるようにすることが好ましい(このような第2抗体を「プローブ抗体」ともいう。)。固相化、標識の種類、方法は前記の通りである。
例えば、2種類の抗体を選択し、一方を固相化し、他方をプローブ抗体として使用して検体中のLDLと2種類の抗体でサンドイッチ状複合体を形成させ、プローブ抗体に結合した標識物質またはプローブ抗体に特異的に結合する物質(二次抗体)に結合した標識物質を、その標識物質に適した測定法により検出し、その検出値と、予め既知濃度のLDLを用いて同様に測定して求めた検量線を比較することにより、検体中のLDLを定量することができる。
また、本発明の測定法においては、2種類の抗体を目的に応じて選択することにより、検体中のnLDLとoxLDLを、同時に測定したり、何れか一方を選択的に測定することができる。
例えば、検体中にnLDLとoxLDLが存在する場合、本抗体1から2種類の抗体を選択し、一方を固相化し、他方をプローブ抗体として使用して測定すると、nLDLとoxLDLの合計値を測定することができる。同様に本抗体1から1種類、本抗体2から1種類選択し、前者を固相化し、後者をプローブ抗体として用いることにより、nLDLを選択的に測定することができる。また、本抗体1から1種類、本抗体3から1種類選択し、前者を固相化し、後者をプローブ抗体として用いることにより、oxLDLを選択的に測定することができる。
(B)抗LDLモノクローナル抗体と抗β2−グリコプロテインI抗体を用いるサンドイッチ法(前記4−2の方法)
この方法は、本抗体1、本抗体2および本抗体3のいずれかの抗LDLモノクローナル抗体と、抗β2−GPI抗体を用い、これら2種類の抗体でβ2-GPIと複合体を形成しているLDL(好ましくはoxLDL−β2−GPI複合体)を挟み、抗LDLモノクローナル抗体−(LDL−β2−GPI複合体)−抗β2−GPI抗体からなるサンドイッチ状複合体を形成させことを特徴とする方法である。この方法により、β2-GPIと複合体を形成したLDL、特にoxLDL−β2−GPI複合体を測定することができる。
また、ここで用いることができる抗β2−GPI抗体も、β2−GPIに結合する抗体である限りにおいて特に限定されないが、β2−GPIに特異的に結合する抗体であることが好ましい。本抗体も、β2−GPIを抗原として、抗体の通常の作製方法に従ってモノクローナル抗体やポリクローナル抗体を作製することができる。また、市販されている抗β2−GPI抗体をそのまま用いても良い。具体的にはWB-CAL-1(J. Immunol., 149, p1063-1068(1992))、Cof-22およびCof-23(Blood, 87, p3262-3270(1996))、EY2C9(Arthritis Rheum., 37, p1453-1461(1994))等が例示される。
(C)疾患の評価または検出
上記の本発明の測定法によって、血液(血清または血漿)等の体液中のnLDL、oxLDL、またはこれらとβ2−GPIとの複合体を測定し、測定結果と疾患を関連づけることによって、種々の疾患を評価したり、検出することができる。
本発明の方法により、動脈硬化性疾患を評価または検出することができる。
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明する。
<参考例> oxLDLの調製
ヒト由来のnLDL(Organon Teknika Corp., Durham,NC)600μgを、硫酸銅5μMを含むリン酸緩衝液2mlに添加し、37℃反応させ、反応開始後、0時間、1時間、2時間、6時間、8時間、12時間、24時間の各時間経過した反応生成物を酸化度の異なるoxLDLとして得た。
・抗LDLモノクローナル抗体産生ハイブリドーマの作製
nLDLまたはoxLDL(200μg/ml)と完全フロインドアジュバンド(CFA)とを1:1の比率で混合してエマルジョンとしたものをBALB/cマウス(雌,10週令)の皮下に0.2 ml/匹投与して(抗原LDLとして20μg/匹)初回免疫とした。初回免疫後、2週間おきに数回、同様の方法(ただし、CFAの代わりに不完全フロインドアジュバンド(IFA)を使用)で免疫(皮下投与)した後、最終免疫としてnLDLまたはoxLDL(200μg/ml)を経静脈投与した。最終免疫から3日後にマウスの脾臓を摘出し、イーグルの最少必須培地(MEM)で洗浄し脾細胞浮遊液を調製した。同時にマウスミエローマP3x63Ag8U.1(P3-U1)(ATCC CRL−1597)をMEMで洗浄し、脾細胞とP3-U1を10:1で混合した後、遠心分離して得たペレットに50%ポリエチレングリコール(PEG)1000含有MEM溶液1mlを徐々に加えて細胞融合を行った。さらに、MEM溶液を加えて10mlとし、遠心分離して得たペレットを10%ウシ胎児血清(FCS)含有RPMI−1640培地にP3-U1として3x104細胞/0.1mlとなるように懸濁させ、96ウェルマイクロタイタープレートに各ウェル0.1mlずつ分注した。翌日、ヒポキサンチン−チミジン−アミノプテリン含有MEM培地(HAT培地)を0.1ml添加し、その後3〜4日ごとに培地の半分量を新しいHAT培地で交換した。
融合から14日目に実施例2の方法でハイブリドーマのスクリーニングをした。
・ハイブリドーマの選択(抗体価スクリーニングELISA法)
1) 96穴ELISA用プレート(Immulon 1B)の各ウェルにPBSに溶解した未処理LDLまたは参考例によって得た24時間反応後のoxLDL 各10μg(マイクログラム)/ml, 50μl(マイクロリットル)/wellを加え、密閉して4℃で一晩おいて各LDLを固相化した。
2) 0.05%Tween 20を含むPBS(T-PBS)を200μl/well加えてウェルを3回洗った。
3) 1% 牛血清アルブミンを含むPBS(BSA-PBS)を200μl/well加え、室温で1時間置いた。
4) 0.05%Tween 20を含むPBS(T-PBS)を200μl/well加えてウェルを3回洗った。
5) 0.3% BSA-PBSで希釈したマウス血清、またはハイブリドーマ培養上清50μl/wellを加え、室温で一時間置いた。
6) 0.05%Tween 20を含むPBS(T-PBS)を200μl/well加えてウェルを3回洗った。
7) HRPラベルしたヒツジ抗マウスIgG抗体を加え、室温で一時間置いた。
8) 0.05%Tween 20を含むPBS(T-PBS)を200μl/well加えてウェルを3回洗った。
9) o-フェニレンジアミン4 mgを0.1Mクエン酸緩衝液 pH5.0、10mlで溶解し、30%過酸化水素水10μlを加えて混和したものを100μl/well加え発色させ、室温で15分置いた。
10) 2N硫酸を100μl/well加え反応を止めた。
11) 490 nmの吸光度を測定し、各LDLに特異的に反応する抗体を検出し、抗体価の高いものについて2回の限界希釈を行って単クローンとし、以下に示す抗体産生ハイブリドーマ6株を選別した。
12) これらのハイブリドーマを、プリスタン処理したBALB/Cマウス腹腔内に投与し、約2週間後に抗体を含む腹水を回収した。
13) 腹水を45%飽和硫安沈殿により分画した後、プロテインAセファロースカラムによりモノクローナル抗体を精製し、本抗体1(N2E10、O2G12)、本抗体2(N4B10、N5D4)、本抗体3(O1F9、N3C2)を得た。
・本抗体1(未処理LDLとoxLDLの双方に同等の特異性を有する抗LDLモノクローナル抗体)
(1)マウス−マウス・ハイブリドーマ N2E10 (FERM P-19508)
(2)マウス−マウス・ハイブリドーマ O2G12
・本抗体2(未処理LDLに特異性を有する抗LDLモノクローナル抗体)
(3)マウス−マウス・ハイブリドーマ N4B10 (FERM P-19509)
(4)マウス−マウス・ハイブリドーマ N5D4
・本抗体3(oxLDLに特異性を有する抗LDLモノクローナル抗体)
(5)マウス−マウス・ハイブリドーマ O1F9 (FERM P-19510)
(6)マウス−マウス・ハイブリドーマ N3C2
・酸化度の異なるoxLDLに対する各モノクローナル抗体の特異性
実施例2で得られた各モノクローナル抗体の、未処理LDL(nLDL)および参考例によって得られた酸化度の異なるoxLDLに対する反応性を調べるため、これらの抗原を96穴ELISA用プレート(Immulon 1B)の各ウェルの固相化し、実施例2の1)〜11)と同様の方法によって、ELISAを行った。結果を図1(A)〜(C)に示す。その結果、抗体の特異性は以下の3種類に大別された。
(A)未処理LDLに特異的なもの(本抗体2)
N4B10およびN5D4はoxLDLよりも未処理LDLに強く反応した。酸化時間ゼロのLDL(未処理LDL)には強く結合したが、少しでも酸化時間が増えるにつれ反応性が減少し、約4時間で横ばいとなった。LDLが酸化されることによってこれらの抗体の認識するエピトープが失われると推定される。
(B) 未処理と酸化、どちらのLDLにも同様に反応するもの(本抗体1)
O2G12およびN2E10は、LDLの酸化時間にかかわらず一定の反応性を維持した。これらの抗体の認識するエピトープは酸化によって変化を受けにくい部分にあると考えられる。
(C) 酸化LDLに特異的なもの(本抗体3)
O1F9はLDLの酸化が進むにつれて反応性が増加した。酸化によって生じるエピトープを認識しているものと考えられる。N3C2は他の実験により、由来するヒトLDLにより反応性が異なり、酸化の程度には関係しないことが判明した。すなわち、個人差に関わるエピトープを認識しているらしい。
・oxLDL-β2-GPI複合体に対する各抗体の反応性
以下のサンドイッチELISA法により、oxLDL-β2-GPI複合体に対する各抗LDLモノクローナル抗体の反応性を調べた。
ELISAプレート(Immulon 2HB)の各ウエルにマウスモノクローナル抗β2-GPI抗体(WB-CAL-1)、8μg/mlをPBS, pH7.4で調製したものを、50μl/wellずつ加え、4℃で一晩静置し、WB-CAL-1をプレートに固相化した。
その後、0.05% Tween 20含有PBS(T-PBS)を200μl/wellずつ加え3回洗い、1%スキムミルクを含有するPBS(ブロッキング液)を200μl/well加え、室温で1時間静置した。
ブロッキング液を捨てた後、0.5%スキムミルク、10 mM MgCl2含有PBS(S-PBS)で、適宜希釈した被検検体を、50μl/wellずつ上記のWB-CAL-1を固相化したプレートに入れ、27oCで2時間静置し、T-PBSでウエルを3回洗浄した。
次いで、実施例2で得た各モノクローナル抗体をビオチン化したビオチン化抗体をS-PBSで0.2μg/mlに希釈し、100μl/well入れ、室温で1時間静置した。T-PBSでウエルを3回洗浄した後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識ストレプトアビジン(vector #SA-504, 1mg/ml)をS-PBSで1,500倍希釈したものを100μ/well入れ、室温で30分静置した。洗浄の後、o-フェニレンジアミン4 mgを0.1 Mクエン酸緩衝液、pH5.0、10 mlで溶解し、30%過酸化水素水10μを加えて混和したものを100μ/well入れ発色させ、490 nmの吸光度を測定した。結果を図2に示す。N2E10およびO2G12はoxLDL-β2-GPI複合体を良く認識し、N3C2はほとんど認識しないことが分かった。
・2種類の抗LDLモノクローナル抗体を用いたサンドイッチELISA法
固相化抗体としてN2E10を、プローブ抗体(ビオチン化抗体)としてその他の5種類の抗LDLモノクローナル抗体(O1F9、N3C2、O2G12、N4B10、N5D4)を、検体として未処理LDLまたはoxLDLそれぞれ用い、実施例4の方法に準じてサンドイッチELISA法を実施した。測定結果を図3に示す。
その結果、プローブ抗体として使用した5つの抗体それぞれについて、未処理LDLまたはoxLDLを直接固相化した場合(実施例3、図1)と同じ傾向の反応性が観察された。このことから、N2E10の認識するLDL上のエピトープは、他の5つの抗体の認識するエピトープと重ならず、しかもnLDLまたはoxLDLを確実にとらえて5つの抗体の特性をよく発揮させることができると考えられた。
・抗β2-GPI抗体(固相化抗体)と抗LDLモノクローナル抗体(プローブ抗体)を用いたサンドイッチELISA法による健常人およびSLE患者血清中のLDLの測定
健常人血清およびSLE患者血清について、実施例4と同様のサンドイッチELISA法により、LDLを測定した。結果を図4に示す。なお、図中、N-1およびN-2は健常人血清を、S-1〜S-5はSLE患者血清を示す。
その結果、2E10とO2G12とほぼ同じ傾向の反応性を示したが、吸光度の絶対値はO2G12で低かった。その際、健常人血清より患者血清で減少傾向が強かった。
本発明により未処理LDLとoxLDLの双方に同等の特異性を有する抗体、未処理LDLに対する特異性が高い抗体、およびoxLDLに対する特異性が高い抗体など多様な抗LDLモノクローナル抗体が提供され、これらの抗体を目的に応じて組み合わせることにより、LDLおよびoxLDLをそれぞれ選択的に測定したり、双方を同時に測定することができ、動脈硬化性疾患等の診断薬や、これらの疾患に対する治療薬を開発する上で極めて有用である。
各抗LDLモノクローナル抗体のnLDLおよび酸化度の異なるoxLDLに対する反応性を示すグラフ。(A)はnLDLに特異的な抗体、(B)はnLDLとoxLDLの双方に反応する抗体、(C)はoxLDLに特異的な抗体の反応性をそれぞれ示す。縦軸は490nmでの吸光度(OD)を示す。 各抗LDLモノクローナル抗体のoxLDL-β2-GPI複合体に対する反応性を示すグラフ。カッコ内は各抗体のLDLに対する特異性を示す。 2種類の抗LDLモノクローナル抗体を用いたサンドイッチELISA法の結果を示すグラフ。黒い棒グラフは、oxLDLに対する反応性を、白抜きの棒グラフはnLDLに対する反応性を示す。 抗β2-GPI抗体(固相化抗体)と抗LDLモノクローナル抗体(プローブ抗体)を用いたサンドイッチELISA法による健常人およびSLE患者血清中のLDLの測定結果を示すグラフ。

Claims (16)

  1. 非酸化ヒト低密度リポタンパク質と酸化ヒト低密度リポタンパク質に同等の特異性を有する抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体であって、非酸化ヒト低密度リポタンパク質に対する特異性が、該非酸化ヒト低密度リポタンパク質を硫酸銅存在下で24時間酸化して得られる酸化ヒト低密度リポタンパク質に対する特異性の約0.9〜1.1倍であることを特徴とする抗ヒト低密度リポタンパク質(LDL)モノクローナル抗体。
  2. さらに酸化ヒト低密度リポタンパク質とβ2−グリコプロテインIとの複合体に対する特異性を有する請求項1記載の抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体。
  3. 非酸化ヒト低密度リポタンパク質を硫酸銅存在下で24時間酸化して得られる酸化ヒト低密度リポタンパク質を異種動物に免疫して得られた抗体産生細胞とミエローマ細胞とのハイブリドーマから産生される請求項1または2に記載の抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体。
  4. 非酸化ヒト低密度リポタンパク質を異種動物に免疫して得られた抗体産生細胞とミエローマ細胞とのハイブリドーマから産生される請求項1または2に記載の抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体。
  5. 非酸化ヒト低密度リポタンパク質に特異性を有する抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体であって、非酸化ヒト低密度リポタンパク質に対する特異性が、該非酸化ヒト低密度リポタンパク質を硫酸銅存在下で24時間酸化して得られる酸化ヒト低密度リポタンパク質に対する特異性の約2.5〜3倍であることを特徴とする抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体。
  6. 非酸化ヒト低密度リポタンパク質を異種動物に免疫して得られた抗体産生細胞とミエローマ細胞とのハイブリドーマから産生される請求項5記載の抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体。
  7. 酸化ヒト低密度リポタンパク質に特異性を有する抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体であって、非酸化ヒト低密度リポタンパク質に対する特異性が、該非酸化ヒト低密度リポタンパク質を硫酸銅存在下で24時間酸化して得られる酸化ヒト低密度リポタンパク質に対する特異性の約0.19〜0.73倍であることを特徴とする抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体。
  8. 非酸化ヒト低密度リポタンパク質を硫酸銅存在下で24時間酸化して得られる酸化ヒト低密度リポタンパク質を異種動物に免疫して得られた抗体産生細胞とミエローマ細胞とのハイブリドーマから産生される請求項7記載の抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体。
  9. 非酸化ヒト低密度リポタンパク質を異種動物に免疫して得られた抗体産生細胞とミエローマ細胞とのハイブリドーマから産生される請求項7記載の抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体。
  10. 検体中のヒト低密度リポタンパク質と請求項1〜9のいずれかに記載の抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体とを免疫学的に反応させることを特徴とするヒト低密度リポタンパク質の測定法。
  11. 検体が非酸化ヒト低密度リポタンパク質および酸化ヒト低密度リポタンパク質を含みうるものであって、以下の各群から選択された二種類の抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体を用いて検体中の非酸化ヒト低密度リポタンパク質および/または酸化ヒト低密度リポタンパク質と該抗体とのサンドイッチ状複合体を形成させる、請求項10記載の測定法;
    A群:請求項1〜4のいずれかに記載の抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体、
    B群:請求項5または6に記載の抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体、
    C群:請求項7〜9のいずれかに記載の抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体。
  12. A群から二種類の抗体を選択して用い、検体中の非酸化ヒト低密度リポタンパク質および酸化ヒト低密度リポタンパク質の両方を検出する、請求項11記載の測定法。
  13. A群およびB群から、それぞれ一種類ずつの抗体を選択して用い、検体中の非酸化ヒト低密度リポタンパク質を選択的に検出する、請求項11記載の測定法。
  14. A群およびC群から、それぞれ一種類ずつの抗体を選択して用い、検体中の酸化ヒト低密度リポタンパク質を選択的に検出する、請求項11記載の測定法。
  15. さらに抗β2−グリコプロテインI抗体を用い、抗ヒト低密度リポタンパク質モノクローナル抗体、ヒト低密度リポタンパク質および抗β2−グリコプロテインI抗体からなるサンドイッチ状複合体を形成させる、請求項10記載の測定法。
  16. 検体がヒト由来の検体であって、該検体の動脈硬化性疾患の評価または検出に使用される、請求項10〜15のいずれかに一項に記載の測定法。
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