JP2005502029A - アポbおよび非アポb含有粒子中のアポciiiを測定する新規な方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、アポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポリポタンパク質CIII(「アポCIII」)を測定する新規な方法に関する。本発明は、また、合成アポCIII製品、対応する抗体、それを含むキット、およびサンプル中のアポCIIIレベルを検出、定量及び/またはモニターするためのみならず、サンプル中のじゅく腫形成性リポ粒子レベルを定量及び/またはモニターするためのその使用にも関する。上記の化合物およびキットは、アポCIIIレベルまたは活性をin vitroもしくはin vivoで調整し、対象における脂質代謝を調節するために用いることもできる。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、アポリポタンパク質CIII(「アポCIII」)を検出かつ定量する方法に関するものである。本発明は、合成アポCIII製品、対応する抗体、それを含むキット、ならびにそれらの使用でもあり、サンプル中のアポCIIIレベルを検出、定量及び/またはモニターするためのみならず、サンプル中のじゅく腫形成性リポ粒子レベルを定量及び/またはモニターするための使用に関するものである。上記の化合物およびキットは、アポCIIIレベルまたは活性をin vitroもしくはin vivoで調整し、対象における脂質代謝を調節するために用いることもできる。
【0002】
アポCIIIが、血漿トリグリセリドの代謝制御、およびじゅく腫形成性の可能性がある、トリグリセリドに富むリポタンパク質(TRL)[1]の血漿濃度の決定に重要な役割を果たしていることが次々と明らかにされている。アポCIII、すなわち肝臓および腸が合成する79アミノ酸のタンパク質[2]は、キロミクロン、超低密度リポタンパク質(VLDL)および高密度リポタンパク質(HDL)の構成要素である[3]。
【0003】
アポCIIIは、3種類のイソ型:アポCIII0、アポCIII1およびアポCIII2として存在する。アポCIII0は、グリコシル化されていないが、アポCIII1およびアポCIII2は、グリコシル化されており、それぞれ、一つおよび二つのシアル酸残基を有する[4]。糖部分は、タンパク質鎖の第74トレオニンにO−グリコシド結合によって結合された、二糖類のβ−D−ガラクトシル[1−3]α−N−アセチル−D−ガラクトサミンからなる[5]。ヒトの正常脂肪血血漿中で、アポCIII0、アポCIII1およびアポCIII2は、それぞれ、全アポCIIIの14%、59%および27%を占める。アポCIIIのいくつかの変異体は、軽い高脂肪血症に関連する[6、7]が、ヒトアポCIIIの糖鎖形成部位の突然変異誘発が、その分泌および脂質結合に影響を及ぼすことはない[8]。
【0004】
アポCIIIの血漿濃度は、血漿トリグリセリドのレベルと正の相関関係がある[9、10]。肝灌流による研究では、アポCIIIがTRLの肝取込みおよびその残留を阻害することが示された[11、12]のに対して、in vitroの実験では、アポCIIIがリポタンパク質リパーゼ(LPL)と肝リパーゼとの双方の活性を阻害することを示している[13〜17]。したがって、アポCIIIは、TRLの血漿における異化およびクリアランスを調整する。これは、アポCIIIの血漿リポタンパク質分布が、冠動脈疾患(CAD)の進行または重篤度に関する統計的に有意な独立予測因子であることを血管造影法の研究が示すように、病態生理学的に意義がある[18−20]。血漿TRL代謝におけるアポCIIIの役割は、トランスジェニック動物での最近の研究結果によって、より明確にされている[21]。アポCIIIを過剰発現するマウスにおけるTRLの血漿中蓄積は、血漿VLDLの減少およびキロミクロン残留物のクリアランスを伴い、それは明らかに、LDL受容体[22]または硫酸ヘパランプロテオグリカン[23]とのTRLの結合が低下するためであることが示されている。アポB含有リポタンパク質のLDL受容体に対する、アポリポタンパク質Cの阻害効果も立証された[24]。受容体結合の低下は、外来アポリポタンパク質Eの添加によって逆転された。免疫学および凍結電子顕微鏡測定による研究は、アポCIIIがいくつかのアポB100エピトープを遮蔽し、その立体配座を変えることを示している[23]。さらに、アポリポタンパク質Bを欠くアポCIIIリポ粒子(アポCIIILp非B)とアポリポタンパク質Bを含むアポCIIIリポ粒子(アポCIIILpB)との比率は、脂質分解活性、およびアテローム性動脈硬化によるプラークの安定化または減退と密接に結びついている[25]。
【0005】
したがって、これらのデータは、アポCIIIの血漿レベルは、アテローム性動脈硬化感受性、およびCADの素因に関与する様々な病態生理学的条件と相関することを示している。したがって、アポCIIIレベルを検出、定量または調整するための化合物、方法およびキットの利用可能性が、治療、診断、スクリーニング及び/または実験の領域において意義深い価値を有することは、明確に明らかである。
【0006】
免疫学的方法に基づいてアポCIIIを検出する、従前の方法は、従来技術に記載されている。特に、Kashyapら[10]は、アポCIIIの測定のための放射免疫アッセイ(RIA)に関する。しかし、報告された方法は、高価であり、放射性同位元素の取扱いを必要とする。Holmquist[26]は、アポCIIIを定量するための酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を開示している。しかし、このアッセイは、低精度の試験であり、免疫親和性による抗体の精製、およびその標識化を必要とする。加えて、競合ELISAを用いるときは、純粋なアポCIIIまたはVLDLのリポ粒子を必要とする。また、低処理量である。Curryら[27]は、電気免疫アッセイ法(EIA)を報告している。しかし、大量のポリクローナル抗体が必要とされ、このアッセイは低処理量のものであり、正確に決定するには、脂肪血サンプルの脱脂が必要になり得る。また、他の方法のように鋭敏ではない。
【0007】
従来技術の上記の短所に加え、従来のアポCIIIイムノアッセイのもう一つの重要かつ困難な側面は、抗原の調製である。実際、未変性アポCIIIは、蓄えられたヒト血漿から単離しなければならない。そのような採取に理想的な患者は、空腹時キロミクロン血症(V型リポタンパク質の表現型)を伴う重篤な内因性高トリグリセリド血症の患者である。そのような患者は、常に利用できるわけではなく、たとえこの高トリグリセリド血症の血漿でアポCIIIの精製を実施しても、このタンパク質は、数mgを得ることができるにすぎない。さらに、未変性アポCIIIを精製するには、Cタンパク質が「ウェットな」有機相に僅かに可溶であるため、脱脂段階には無水溶媒を用いなければならない。これは、アポリポタンパク質の回収を低下させ、いかなる定量情報も無効にする。また、脱脂の工程により過酸化物が生成され、精製されたアポリポタンパク質に人為的影響が生じる。未変性血漿からのアポCIII分離のもう一つの困難な側面は、このタンパク質を高い純度で得ることであり、その理由は、その他のアポCタンパク質(アポCIおよびアポCII)およびアポAIIが、アポCIIIと同一のいくつかの物理化学的特性を有するからである。
【0008】
ここに、本発明は、アポCIIIを生成するための新規な方策、およびこのアポリポタンパク質を検出かつ定量するための新規な方法を提供する。本発明は、全合成アポCIIIを用いて、有効な抗アポCIII抗体を生成する新規な方法を具体的に開示する。本発明は、そのような有効な抗体、それを含むキット、および血清もしくは血漿中の、全アポCIIIレベル、またはじゅく腫形成性もしくは非じゅく腫形成性リポ粒子(LpBおよびLp非B)内のアポCIIIを検出、定量、精製及び/またはモニターするためのそれらの使用も開示する。
【0009】
本発明の特定の一つの目的は、SEQ ID No.1の配列を有する、実質的に純粋な合成アポCIII、またはその免疫原性フラグメントもしくは誘導体に関する。
【0010】
本発明のさらに一つの目的は、上記に定義された合成アポCIIIポリペプチドによる免疫感作工程を含む、抗アポCIII抗体を生成する方法に関する。本発明は、この方法に従って調製された抗体はもとより、より一般的には、上記に定義されたポリペプチドに結合する抗体、ならびにそのような抗体のフラグメントまたは誘導体も包含する。
【0011】
本発明のもう一つの側面は、上記に定義された抗体(そのフラグメントまたは誘導体を包含する)を用いて、血漿もしくは血清サンプル中の、全アポCIII、またはアポBまたは非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIを検出もしくは投与する方法である。
【0012】
本発明のもう一つの目的は、脂質代謝障害の素因、またはその発症の危険性がある個体を検出する方法であって、上記に定義された抗体(そのフラグメントまたは誘導体を包含する)を用いて、対象からのサンプル中の、全アポCIII、またはアポBまたは非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIをin vitroで検出する工程を含む方法である。
【0013】
本発明のもう一つの目的は、対象における、トリグリセリドに富むリポタンパク質の肝臓への取込みをモニターする方法であって、上記に定義された抗体(そのフラグメントまたは誘導体を包含する)を用いて、サンプル中のアポCIII含有粒子をin vitroで検出する工程を含む方法である。
【0014】
本願のもう一つの目的は、対象におけるアテローム性動脈硬化の形成、発症または進行を検出もしくはモニターする方法であって、上記に定義された有効な抗体(そのフラグメントまたは誘導体を包含する)を用いて、該対象からのサンプル中の、アポCIII、またはアポCIII含有じゅく腫形成性粒子のレベルをin vitroで検出する工程を含む方法である。対象は、好ましくは哺乳動物、特にヒト、より好ましくは、CADのような脂質障害の発症の危険性がある対象、またはそのような疾患を有する対象である。
【0015】
上記に示したとおり、本発明は、SEQ ID No.1の配列を有する、実質的に純粋な合成アポCIIIペプチド、またはその免疫原性フラグメントもしくは誘導体を開示する。用語「実質的に純粋な」は、ポリペプチドが、アポCIII合成の際に生じるその他の副生物、特にその他のアポリポタンパク質、たとえばアポCI、アポCII、アポBおよびアポAIIを基本的に欠くことを示す。用語「合成の」は、ポリペプチドが、天然に産する分子ではなく、実施例に記載されるとおり、化学的工程を用いた合成によって製造されていることを示す。因みに、本発明の合成ポリペプチドは、基本的に、グリコシル化されていない。
【0016】
ここで、本発明は、合成アポCIIIを、抗体を生成するために製造かつ使用できることを示す。本発明は、さらに、そのような抗体が、可溶性抗原としてであれ、リポ粒子に含まれてであれ、天然に産するアポCIIIに特異的に結合できることを示す。本発明は、そのような抗体が、アポCIIIの様々なイソ型に結合することができ、免疫沈降の特性を有することを示す。したがって、これらの合成ポリペプチド、および対応する抗体は、アポCIIIを検出かつ定量するのに有利な新規生成物を表す。
【0017】
より具体的には、本発明の合成ポリペプチドは、下記のとおり、SEQ ID No.1を包含する:
【0018】
【表1】
【0019】
実施例に例示されるとおり、このポリペプチドは、固相合成によって、特にBoc/Bzlの方法[28]を用いて、有利に製造することができる。このアポCIIIの合成方法を用いると、その生成は、従来技術より10〜100倍も速くなり、純度ははるかに高くなる。
【0020】
用語「誘導体」は、一つまたはいくつかのアミノ酸残基の一つもしくはいくつかの突然変異、置換、欠失及び/もしくは付加を含み、実質的に同じ抗原特異性を保持しているポリペプチドを包含する。誘導体の代表的な例は、アポCIIIの多型性、スプライシング等々による配列変異体を包含する。最も好適な誘導体は、SEQ ID No.1に比して、多くとも5個の修飾されたアミノ酸残基を含む。それ以外の残基は、担体またはリンカー残基、保護基等々に相当し得る。さらに、ポリペプチドは、たとえば化学的、物理的及び/または酵素的修飾によって修飾して、その安定性を強化し、その免疫原性を増大させ、標識またはトレーサーを組み込む等々をなしてもよい。そのような修飾の例は、タグ(たとえばmyc)、標識(たとえば放射性標識、酵素性標識等々)の付加、糖鎖形成等々を包含する。
【0021】
本ポリペプチドは、可溶性であってもよく、精製されていてもよく、また担体分子、たとえばKLHまたは血清アルブミン、またはその他の、ビーズ等々を包含するいかなる不活性(たとえば合成)分子を用いて複合体化してもよい。特定の実施態様では、ポリペプチドを、特に抗体産生に用いるために、担体にカップリングさせる。カップリングは、慣用の手法[29、30]に従って実施することができる。
【0022】
本ポリペプチドは、また、いかなる異種ポリペプチド分子、たとえば生物学的活性分子とも、複合化または融合させ得る。異種とは、ヒトアポCIII分子に由来しない、いかなるポリペプチドも意味する。
【0023】
本発明の具体的な実施態様は、SEQ ID No.1からなる合成ポリペプチドを含み、他のリポタンパク質を欠く組成物である。
【0024】
このポリペプチドは、対照、標準としてスクリーニングアッセイもしくは滴定アッセイに、またはアッセイを較正するために用いてよい。また、いくつかの酵素活性(リポタンパク質リパーゼおよび肝リパーゼ)を調整するのに用いてもよい。また、抗アポCIII抗体を生成するのに特に適する。
【0025】
因みに、本発明のさらに一つの目的は、上記に定義されたポリペプチドに結合する抗体にある。明らかに、結合は、特異的でなければならず、それは、該抗体がその他の抗原と特異的に結合してはならず、その他の抗原との結合が、上記アポCIIIペプチドとの特異的結合から識別できることを意味する。実施例に例示されるとおり、本発明の好適な抗体は、別個のリポタンパク質とは特異的に結合しない。この抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体であってよい。さらに、用語「抗体」は、そのフラグメントまたは誘導体、特に実質的に同じ抗原特異性を有する該モノクローナルまたはポリクローナル抗体のフラグメントもしくは誘導体を包含する。これらは、抗体フラグメント(たとえばFab、Fab’2、CDR等々)、ヒト化抗体、多機能抗体、単鎖抗体(ScFv)等々を包含する。これらは、動物の免疫感作、および血清(ポリクローナル)または脾臓細胞の採取(適切な細胞株との融合によってハイブリドーマを形成するため)を包含する、慣用の方法に従って生成してよい。
【0026】
マウス、齧歯類、霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、家禽類等々を包含する、様々な種からポリクローナル抗体を生成する方法は、たとえばVaitukaitisら[29]に見出し得る。略述すると、抗原をアジュバント(たとえばフロイントアジュバント)と組み合わせ、代表的には皮下注射によって、動物に投与する。反復注射を実施してよい。血液サンプルを採取し、免疫グロブリンまたは血清を分離する。
【0027】
上記に列挙されたとおりの様々な種からモノクローナル抗体を生成する方法は、たとえばHarlowら[Antibodies: A laboratory Manual, CSH Press, 1988]またはKohlerら[Nature, 256 (1975) 495](参照によって本明細書に組み込まれる)に見出し得る。略述すると、これらの方法は、動物を抗原で免疫感作した後、脾臓細胞を回収し、次いで、不死化細胞、たとえば骨髄腫細胞と融合させる工程を含む。得られたハイブリドーマは、モノクローナル抗体を産生し、限定希釈によって選別して、個々のクローンを単離することができる。抗体は、Wardら[Nature, 341 (1989) 544]に開示されたとおり、免疫グロブリンのコンビナトリアルライブラリーの選別によって生成してもよい。
【0028】
本発明の好適な抗体は、上記のとおり、好ましくはSEQ ID No.1を含む、純粋な合成アポCIIIポリペプチドによるか、またはその免疫原性サブフラグメント、たとえば、少なくとも一つのエピトープを含むサブフラグメントによる免疫感作によって生成する。
【0029】
本発明は、抗アポCIII抗体を生成する方法であって、SEQ ID No.1のポリペプチド、またはその免疫原性フラグメントもしくは誘導体をヒトではない動物に注入し、抗体または抗体産生細胞を採取する工程を含む方法にも関する。この方法は、純粋な未変性アポCIIIを用いる、以前に開示された方法より単純であり、特異性および免疫沈降性に富む抗体を生成させる。特異性は、他の血液循環タンパク質との交差反応性の不在を示すことによって確認することができる。より一般的には、特異性は、抗体が他の抗原より高い親和性でアポCIIIと結合することを示す。実施例に例示されるとおり、本発明のポリクローナル抗体は、免疫沈降性を有し、そのため、アポCIIIを高い効率で検出または投与するのに用いることができる。
【0030】
抗体は、異種部分、たとえば毒素、標識、薬物その他の治療剤に、共有結合によって、またはよらずに、直接に、またはカップリング剤もしくはリンカーの使用を通じてのいずれかによりカップリングさせてもよい。標識は、放射性標識、酵素、蛍光標識、磁性粒子などを包含する。毒素は、ジフテリア毒素、ボツリヌス毒素等々を包含する。薬物または治療剤は、リンホカイン、抗体、アンチセンス、成長因子等々を包含する。そのような異種部分を用いる方法は、たとえば米国特許第4,277,149号および第3,996,345号明細書に例示されている。
【0031】
本発明の抗体は、治療、診断、精製、検出、予防等様々に適用することができる。
【0032】
in vitroでは、スクリーニング剤としてか、または様々な生物学的サンプル(たとえば血液サンプル)を包含する、様々なサンプルから抗原を精製するのに用いることができる。また、対象から採取されたサンプル、代表的には哺乳動物、具体的にはヒトである対象からの血液サンプル中の、全アポCIII、またはアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIの存在(または量)を、定量もしくは検出するのに用いることができる。
【0033】
因みに、本発明のもう一つの目的は、生物学的サンプル中のアポCIII、またはアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIを検出する方法であって、サンプルを、上記に定義された抗体(そのフラグメントまたは誘導体を包含する)に接触させる工程と、抗体−抗原免疫複合体の存在を検出する工程とを含む方法である。代表的には、この方法によれば、サンプル中の免疫複合体の(相対)量を評価し、それを、たとえば標準的条件または較正曲線と比較することによって、サンプル中の全アポCIII、またはアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIのレベルを決定する。この方法は、慣用のいかなる手法、たとえばELISA(直接または競合イムノアッセイ)、RIA、EIA等々を用いて実施してもよい。しかし、最も好適な実施態様では、その方法は、比濁分析アッセイである。実際、上記に示したとおり、抗体は特異的であり、サンプル中のアポCIIIを免疫沈降させることができる。
【0034】
比濁分析アッセイでは、懸濁液中の粒子が散乱する光の強さを、分析装置を用いて測定する。粒子は、特異的な抗体を特異的な抗原に接触させたときに、重合体増強緩衝液中で生じる免疫沈降反応によって形成される。抗原と、該抗原に特異的な抗体との複合体形成は、初めは徐々に、次いで急速に上昇する速度で発生し、最後に、抗原の濃度に比例するピーク値に達し、進行する。このアッセイは、散乱された光の信号からの最大変化率を基準とし、それを抗原の濃度に相関(かつ変換)させることができる。代表的には、比濁分析アッセイは、英数字表示装置に結果を提示する、Beckmanの免疫化学装置系(IMMAGE)を用いて実施する。本発明の比濁分析アッセイは、迅速かつ再現可能であり、高処理量ベースで実施できる点で有利である。実際、このアッセイは、各サンプルについて、従来技術のほとんどの手法では、一日かかるのに対して、僅か数秒で実施でき、変動係数は、従来技術に記載されたアポCIII検出アッセイが10%であるのに対し、僅か4%であるにすぎない。
【0035】
したがって、本発明の特定の目的は、生物学的サンプル中の全アポCIII、またはアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIを測定する方法であって、サンプル(またはその希釈物)を上記の抗体(そのフラグメントまたは誘導体を包含する)に、代表的には様々な希釈濃度にて接触させ、アポCIII−抗体免疫複合体の形成を比濁分析アッセイによって評価する工程を含む方法にある。より好ましくは、免疫グロブリン以外のタンパク質を除去し、及び/または抗体を濃縮するために、抗体をサンプルに接触させる前に処理に付す。この処理は、代表的には、たとえばRitchieら[31]に記載されたとおり、抗体をポリエチレングリコール(PEG)に接触させる工程を含む。代表的には、0.5〜1μgの特異的抗体をアッセイに用いるが、当業者は、本発明から逸脱することなしに、異なる量を用い得る。
【0036】
比濁分析アッセイでは、ポリクローナル抗体を用いるのが一般的である。
【0037】
この方法は、血漿、血清、間質液、培養細胞の上清等々を包含する、様々な生物学的サンプルに対して実施することができる。サンプルは、対象(たとえばヒトである対象)から採取し、直接アッセイに用いてよい。または、サンプルを後で試験するために希釈し、及び/または(たとえば凍結状態に)保存してもよい。
【0038】
この方法は、可溶性アポCIIIまたはアポCIII含有リポ粒子の検出に適用することができる。上記に示したとおり、アポCIIIは、高密度リポタンパク質(HDL)、低密度リポタンパク質(LDL)、超低密度リポタンパク質(VLDL)、キロミクロン等々のような、様々なリポ粒子に含まれている。これらのリポ粒子のいくつかは、じゅく腫形成性であり、サンプル中のその(相対)量は、対象の病理学的状態と相関する。特に、アポリポタンパク質Bをさらに含有する、アポCIII含有リポ粒子は、極めてじゅく腫形成性に富むことが公知である[Franck Sacks, Zouherを参照]。因みに、アポCIIILpB/アポCIIILp非Bの比は、対象におけるアテローム性動脈硬化の開始、発症または進行の指標となる。本発明によれば、抗合成アポCIII抗体を用いたアポCIII含有リポ粒子の、高い効率、信頼度および処理量での大量測定が可能となる。
【0039】
より詳しくは、本発明は、サンプル中のじゅく腫形成性のアポCIIILpBを検出するのに用いることができる。特定の実施態様では、この方法は、
(a)サンプル中の全アポCIIIの量を決定する工程と、
(b)サンプルからのアポB含有リポ粒子を除去する工程と、
(c)サンプル中の非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIの量を決定する工程と
を含む。
【0040】
減算によって、(a)および(c)で得られた量より、サンプル中の、最もじゅく腫形成性に富むアポB含有リポ粒子内のアポCIIIの量が決定できる。工程(b)でのアポB含有リポ粒子の除去は、該サンプルの一部を免疫沈降性抗アポB抗体による処理によって実施することができる。
【0041】
検出アッセイは、様々な実験的、臨床的及び/または診断の条件に用いることができる。
【0042】
特に、この方法は、脂質代謝障害の発症の危険性がある、個体の素因を検出するのに用いることができる。本発明の特定の目的は、脂質代謝障害の素因、またはその発症の危険性がある個体を検出する方法であって、対象からのサンプル中のアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIを、上記に定義された抗体(そのフラグメントもしくは誘導体を包含する)を用いてin vitroで測定する工程を含み、ここで、アポCIII、またはアポB含有リポ粒子内のアポCIIIのレベルの上昇(正常な対象の平均値との比較において)が脂質代謝障害の発症の危険性がある個体の指標となる。代表的には、アポB含有リポ粒子内のアポCIIIの有意な生理病理学的レベルは、正常平均値を少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%を越えて上昇している。
【0043】
本発明のもう一つの目的は、対象におけるトリグリセリドに富むリポタンパク質の肝取込みをモニターする方法であって、サンプル中のアポCIII、またはアポCIII含有リポ粒子のレベルを、上記に定義された抗体(そのフラグメントまたは誘導体を包含する)を用いてin vitroで検出する工程を含む方法である。
【0044】
本発明のもう一つの目的は、対象における脂質代謝関連障害治療の効果をモニターする方法であって、該治療を該対象に施した後に、該対象からのサンプル中のアポCIII、またはアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIのレベルを、上記に定義された抗体(そのフラグメントまたは誘導体を包含する)を用いてin vitroで検出する工程を含む方法である。典型的には、治療の効果は、対象におけるアポCIIIレベルと相関する。効果は、対象におけるアポCIII、またはアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIのレベルもしくは活性をその治療により調節できるか、あるいは正常なアポCIII、またはアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIのレベルを回復できるかに相関する。
【0045】
本発明のさらに一つの目的は、対象の生理学的状態をその脂質代謝レベルで評価する方法であって、該対象からのサンプル中のアポBおよびアポ非B含有リポ粒子内のアポCIIIのレベルを、上記に定義された抗体(そのフラグメントまたは誘導体を包含する)を用いてin vitroで検出する工程を含む方法である。
【0046】
抗体は、血清中の全アポCIII、ならびにアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIの濃度を調整する化合物または食餌をスクリーニングするために用いることもできる。代表的には、この方法は、化合物を投与するか、または動物もしくは患者を食餌に付し、該動物または患者からの生物学的サンプルを採取し、該サンプル中の全アポCIII、ならびにアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIのレベルを、上記に定義された抗体(そのフラグメントまたは誘導体を包含する)を用いて検出もしくは用量を測定する工程を含む。
【0047】
上記に示したとおり、これらの方法は、様々なサンプル(代表的には血漿または血清)に対して実施することができ、ELISA、RIE、EIA等々によって、最も好ましくは比濁分析アッセイによって実施することができる。
【0048】
本発明は、上記のポリペプチドまたは抗体を含むキットにも関するものである。該キットは、いかなるサンプル中のアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIを検出または定量するのに用いることもできる。最も好適なキットは、上記に定義された抗体と、免疫反応、特に抗体−抗原複合体形成を実施または検出(または定量)するための試薬とを含む。試薬は、標識、緩衝液、基質等々を包含する。該キットは、代表的には、異なる試薬および生成物のための容器を含み、さらに、アッセイを実施するのに適した支持体その他の装置を含んでよい。
【0049】
本発明のそれ以外の側面および利点は、下記の実施例中に開示されることになるが、当該実施例は例示であり、かつ本願の対象範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0050】
1.アポCIIIの合成
固相法[26]によって、自動化合成装置モデルABI431A(Applied Biosystems Inc.)にて、0.5mmolのPAM−Ala樹脂上でBoc/Bzl法によりポリペプチドを合成した。アミノ酸を、それぞれ、ジシクロヘキシルカルボジイミド/ヒドロキシベンゾトリアゾールによって、キャッピングすることなく、二回カップリングさせた。未精製生成物を、0〜100%の緩衝液B(緩衝液A:H2O中0.05%のTFA、および緩衝液B:H2O中0.05%のTFA、60%のCH3CN)の線形勾配を用いる、VydacC18カラム上での逆相HPLCによって精製かつ分析した。分子質量は、イオンスプレー(ネブライザー支援エレクトロスプレー)源(SCiex, Toronto、カナダ国)を装備した、単純四極イオンエレクトロスプレー質量分析計のAPI(Perkin-Elmer)を用いて決定した。アミノ酸分析は、0.25%フェノールを含有する6N HClによる、110℃で24時間の加水分解後に、Beckman 6300アミノ酸分析装置(Beckman instruments, Fullerton, CA)を用いて実施した。
【0051】
2.免疫感作
基本的には前記のとおり[27]、抗アポCIII血清をウサギで調製した。ペプチドを、完全フロイントアジュバント中で乳化し、初め2回の注射については1回あたり0.5mgのペプチドをウサギに皮下注射し、次いで15日の間隔をあけ、ペプチド0.25mgのみを用いた以外は上記と同じアジュバントを用いて追加免疫を行った。
【0052】
3.抗アポCIII免疫グロブリン(IgG)の単離
Ritchieら[31]のプロトコルを修正し、IgGを調製した。非免疫グロブリンタンパク質を免疫血清から除去し、IgGを透析し、濃縮した。
【0053】
4.抗体の特異性
VLDL、LDLおよびHDLの分析イムノブロッティングを実施して、アポCIII抗体の特異性を評価した。図1に示したとおり、リポタンパク質のすべての下位分類群のその他のタンパク質との交差反応は、全く観察されず、抗体の高い特異性が立証された。
【0054】
5.VLDLおよびHDLリポ粒子内のアポCIIIに対する、抗体の親和度
この実験では、本発明者らは、アポCIIILpB、およびアポCIIILp非B粒子の測定における、イムノアッセイの有効性を確認するために、抗合成アポCIII抗体が、VLDLおよびHDL中のアポCIIIを同じ親和度で測定できるか否かを決定した。結果を図2に提示する。血漿、VLDLおよびHDLの平行な曲線は、これらのリポタンパク質下位分類群のすべてにおいて、抗合成アポCIII抗体がアポCIIIを正確に認識していることを立証している。さらに、その有利な特性および製造条件に加えて、対照実験は、本発明の抗合成アポCIII抗体が、少なくとも従来の抗体と同程度に優れた親和度を有することを示した。
【0055】
6.免疫比濁分析アッセイ:
試薬および材料
【0056】
【表2】
【0057】
抗アポCIII免疫グロブリン:
上記の実施例2および3で生成された抗アポCIIIIgGは、直ちに使用できる。これらを、その週に用いるために2〜8℃で冷蔵するか、または数ヶ月先まで用いるために−20℃に凍結することができる。免疫グロブリンは、アジ化ナトリウムを含有する。
【0058】
抗アポB免疫グロブリン:
抗アポリポタンパク質BのIgGは、様々な入手源から得るか、または実施例2および3に記載したとおりに生成することができる。その週に用いるために2〜8℃で冷蔵するか、または数ヶ月先まで用いるために−20℃に凍結することができる。免疫グロブリンは、アジ化ナトリウムを含有する。
【0059】
標準:
アポCIII標準は、電気免疫拡散アッセイで較正したヒト血清プールであり、HIVおよび肝炎ウイルスについて試験し、汚染を防ぐための通常の予防措置に従って取り扱った。標準アポCIIIのレベルは2.5mg/dlであった。較正曲線を較正するために、標準を、表2に示したとおりに希釈した。
【0060】
【表3】
【0061】
サンプルの調製:
分析には、採取直後か、または凍結した(−80℃)サンプルが推奨される。血清は、臨床研究室の試験の際の確立された手順に従って採取した。必要ならば、サンプルを、より長い貯蔵期間にわたって凍結して保つことができる;凍結サンプルは、1年間まで安定である。使用の前に、サンプルを希釈剤1にて3倍に希釈する。
【0062】
アポB粒子を含まないサンプルの調製:
試験管内で、以下の順序で:抗アポB40μl、血清40μl、および40μlのBeckman希釈剤1を加える。混合物を撹拌し、室温で10分間温置し、3,500rpmで10分間遠心分離した。分析用に、上清を採取した。アポBを含まないサンプルの最終濃度を、上清の3倍希釈のために、補正した。
【0063】
プロトコル:
・IMMAGE免疫化学システムオペレーションマニュアルに従って、下記に列挙したパラメーターでユーザー定義の試薬をプログラミングする。
・抗体試薬を、新たなユーザー定義カートリッジのA区画に移す。
・緩衝液1をこのカートリッジのB区画に移す。
・表2に示した希釈計画に従って、標準からの値(実際の標準アポCIII値は、2.5mg/dlであった)をパラメーター表に記入する。
・希釈剤2をサンプル希釈剤として用いる。
【0064】
【表4】
【0065】
結果:
結果を図3に提示する。実施範囲の0.3〜2.5μg/mlにおいて、非常に狭い変動係数を示す。得られた参照値は、全アポCIII:1.6〜4.5mg/dl、アポCIIILp非B:0.5〜3.5mg/dl、アポCIIILpB:<2.3mg/dlであった。
【0066】
7.アポCIII比濁分析アッセイとアポCIII電気免疫拡散アッセイとの比較
本発明の比濁分析アッセイの特性および性能を、電気免疫拡散アッセイで得られたそれと比較した[32]。結果を下記の表3に報告するが、それは、本発明の比濁分析アッセイの利点を示している。
【0067】
【表5】
【0068】
8.相関研究
LpCIIIのSEBIAキットを用いて電気免疫拡散について分析した、20の血清サンプルを、その後、IMMAGE法を用いて分析した。結果を図4に示すが、それは、本発明の抗体を用いた比濁分析アッセイの高い相関および精度を立証している。
【0069】
9.本発明のその他の利点
本発明の合成アポCIIIポリペプチドのその他の利点および使用は、下記を包含する:
−すべてのアポCIIIアッセイ(ELISA、RIA、電気免疫拡散等々)の較正のための標準としての使用;
−LpL活性(この酵素は、トリグリセリドに富むリポタンパク質の脂質分解に関与する)の阻害、またはLDL受容体によるアポB含有リポタンパク質の取込みの阻害のような、リポタンパク質の代謝経路の研究における使用。
【0070】
本発明の抗体のその他の利点および使用は、下記を包含する:
−アポCIIIを定量するためのすべてのイムノアッセイにおける使用;
−アポCIIIの検出(イムノブロッティング、ドットブロッティング、免疫組織化学および免疫細胞化学)における使用;
−タンパク質を精製するための免疫親和性および免疫沈降法における使用。
【0071】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】抗体の特異性を示す図である。
【図2】VLDLおよびHDLに対する抗体の親和性を示す図である。
【図3】アポCIIIの比濁分析アッセイの較正曲線を示すグラフである。
【図4】相関研究の結果を示すグラフである。
【0001】
本発明は、アポリポタンパク質CIII(「アポCIII」)を検出かつ定量する方法に関するものである。本発明は、合成アポCIII製品、対応する抗体、それを含むキット、ならびにそれらの使用でもあり、サンプル中のアポCIIIレベルを検出、定量及び/またはモニターするためのみならず、サンプル中のじゅく腫形成性リポ粒子レベルを定量及び/またはモニターするための使用に関するものである。上記の化合物およびキットは、アポCIIIレベルまたは活性をin vitroもしくはin vivoで調整し、対象における脂質代謝を調節するために用いることもできる。
【0002】
アポCIIIが、血漿トリグリセリドの代謝制御、およびじゅく腫形成性の可能性がある、トリグリセリドに富むリポタンパク質(TRL)[1]の血漿濃度の決定に重要な役割を果たしていることが次々と明らかにされている。アポCIII、すなわち肝臓および腸が合成する79アミノ酸のタンパク質[2]は、キロミクロン、超低密度リポタンパク質(VLDL)および高密度リポタンパク質(HDL)の構成要素である[3]。
【0003】
アポCIIIは、3種類のイソ型:アポCIII0、アポCIII1およびアポCIII2として存在する。アポCIII0は、グリコシル化されていないが、アポCIII1およびアポCIII2は、グリコシル化されており、それぞれ、一つおよび二つのシアル酸残基を有する[4]。糖部分は、タンパク質鎖の第74トレオニンにO−グリコシド結合によって結合された、二糖類のβ−D−ガラクトシル[1−3]α−N−アセチル−D−ガラクトサミンからなる[5]。ヒトの正常脂肪血血漿中で、アポCIII0、アポCIII1およびアポCIII2は、それぞれ、全アポCIIIの14%、59%および27%を占める。アポCIIIのいくつかの変異体は、軽い高脂肪血症に関連する[6、7]が、ヒトアポCIIIの糖鎖形成部位の突然変異誘発が、その分泌および脂質結合に影響を及ぼすことはない[8]。
【0004】
アポCIIIの血漿濃度は、血漿トリグリセリドのレベルと正の相関関係がある[9、10]。肝灌流による研究では、アポCIIIがTRLの肝取込みおよびその残留を阻害することが示された[11、12]のに対して、in vitroの実験では、アポCIIIがリポタンパク質リパーゼ(LPL)と肝リパーゼとの双方の活性を阻害することを示している[13〜17]。したがって、アポCIIIは、TRLの血漿における異化およびクリアランスを調整する。これは、アポCIIIの血漿リポタンパク質分布が、冠動脈疾患(CAD)の進行または重篤度に関する統計的に有意な独立予測因子であることを血管造影法の研究が示すように、病態生理学的に意義がある[18−20]。血漿TRL代謝におけるアポCIIIの役割は、トランスジェニック動物での最近の研究結果によって、より明確にされている[21]。アポCIIIを過剰発現するマウスにおけるTRLの血漿中蓄積は、血漿VLDLの減少およびキロミクロン残留物のクリアランスを伴い、それは明らかに、LDL受容体[22]または硫酸ヘパランプロテオグリカン[23]とのTRLの結合が低下するためであることが示されている。アポB含有リポタンパク質のLDL受容体に対する、アポリポタンパク質Cの阻害効果も立証された[24]。受容体結合の低下は、外来アポリポタンパク質Eの添加によって逆転された。免疫学および凍結電子顕微鏡測定による研究は、アポCIIIがいくつかのアポB100エピトープを遮蔽し、その立体配座を変えることを示している[23]。さらに、アポリポタンパク質Bを欠くアポCIIIリポ粒子(アポCIIILp非B)とアポリポタンパク質Bを含むアポCIIIリポ粒子(アポCIIILpB)との比率は、脂質分解活性、およびアテローム性動脈硬化によるプラークの安定化または減退と密接に結びついている[25]。
【0005】
したがって、これらのデータは、アポCIIIの血漿レベルは、アテローム性動脈硬化感受性、およびCADの素因に関与する様々な病態生理学的条件と相関することを示している。したがって、アポCIIIレベルを検出、定量または調整するための化合物、方法およびキットの利用可能性が、治療、診断、スクリーニング及び/または実験の領域において意義深い価値を有することは、明確に明らかである。
【0006】
免疫学的方法に基づいてアポCIIIを検出する、従前の方法は、従来技術に記載されている。特に、Kashyapら[10]は、アポCIIIの測定のための放射免疫アッセイ(RIA)に関する。しかし、報告された方法は、高価であり、放射性同位元素の取扱いを必要とする。Holmquist[26]は、アポCIIIを定量するための酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を開示している。しかし、このアッセイは、低精度の試験であり、免疫親和性による抗体の精製、およびその標識化を必要とする。加えて、競合ELISAを用いるときは、純粋なアポCIIIまたはVLDLのリポ粒子を必要とする。また、低処理量である。Curryら[27]は、電気免疫アッセイ法(EIA)を報告している。しかし、大量のポリクローナル抗体が必要とされ、このアッセイは低処理量のものであり、正確に決定するには、脂肪血サンプルの脱脂が必要になり得る。また、他の方法のように鋭敏ではない。
【0007】
従来技術の上記の短所に加え、従来のアポCIIIイムノアッセイのもう一つの重要かつ困難な側面は、抗原の調製である。実際、未変性アポCIIIは、蓄えられたヒト血漿から単離しなければならない。そのような採取に理想的な患者は、空腹時キロミクロン血症(V型リポタンパク質の表現型)を伴う重篤な内因性高トリグリセリド血症の患者である。そのような患者は、常に利用できるわけではなく、たとえこの高トリグリセリド血症の血漿でアポCIIIの精製を実施しても、このタンパク質は、数mgを得ることができるにすぎない。さらに、未変性アポCIIIを精製するには、Cタンパク質が「ウェットな」有機相に僅かに可溶であるため、脱脂段階には無水溶媒を用いなければならない。これは、アポリポタンパク質の回収を低下させ、いかなる定量情報も無効にする。また、脱脂の工程により過酸化物が生成され、精製されたアポリポタンパク質に人為的影響が生じる。未変性血漿からのアポCIII分離のもう一つの困難な側面は、このタンパク質を高い純度で得ることであり、その理由は、その他のアポCタンパク質(アポCIおよびアポCII)およびアポAIIが、アポCIIIと同一のいくつかの物理化学的特性を有するからである。
【0008】
ここに、本発明は、アポCIIIを生成するための新規な方策、およびこのアポリポタンパク質を検出かつ定量するための新規な方法を提供する。本発明は、全合成アポCIIIを用いて、有効な抗アポCIII抗体を生成する新規な方法を具体的に開示する。本発明は、そのような有効な抗体、それを含むキット、および血清もしくは血漿中の、全アポCIIIレベル、またはじゅく腫形成性もしくは非じゅく腫形成性リポ粒子(LpBおよびLp非B)内のアポCIIIを検出、定量、精製及び/またはモニターするためのそれらの使用も開示する。
【0009】
本発明の特定の一つの目的は、SEQ ID No.1の配列を有する、実質的に純粋な合成アポCIII、またはその免疫原性フラグメントもしくは誘導体に関する。
【0010】
本発明のさらに一つの目的は、上記に定義された合成アポCIIIポリペプチドによる免疫感作工程を含む、抗アポCIII抗体を生成する方法に関する。本発明は、この方法に従って調製された抗体はもとより、より一般的には、上記に定義されたポリペプチドに結合する抗体、ならびにそのような抗体のフラグメントまたは誘導体も包含する。
【0011】
本発明のもう一つの側面は、上記に定義された抗体(そのフラグメントまたは誘導体を包含する)を用いて、血漿もしくは血清サンプル中の、全アポCIII、またはアポBまたは非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIを検出もしくは投与する方法である。
【0012】
本発明のもう一つの目的は、脂質代謝障害の素因、またはその発症の危険性がある個体を検出する方法であって、上記に定義された抗体(そのフラグメントまたは誘導体を包含する)を用いて、対象からのサンプル中の、全アポCIII、またはアポBまたは非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIをin vitroで検出する工程を含む方法である。
【0013】
本発明のもう一つの目的は、対象における、トリグリセリドに富むリポタンパク質の肝臓への取込みをモニターする方法であって、上記に定義された抗体(そのフラグメントまたは誘導体を包含する)を用いて、サンプル中のアポCIII含有粒子をin vitroで検出する工程を含む方法である。
【0014】
本願のもう一つの目的は、対象におけるアテローム性動脈硬化の形成、発症または進行を検出もしくはモニターする方法であって、上記に定義された有効な抗体(そのフラグメントまたは誘導体を包含する)を用いて、該対象からのサンプル中の、アポCIII、またはアポCIII含有じゅく腫形成性粒子のレベルをin vitroで検出する工程を含む方法である。対象は、好ましくは哺乳動物、特にヒト、より好ましくは、CADのような脂質障害の発症の危険性がある対象、またはそのような疾患を有する対象である。
【0015】
上記に示したとおり、本発明は、SEQ ID No.1の配列を有する、実質的に純粋な合成アポCIIIペプチド、またはその免疫原性フラグメントもしくは誘導体を開示する。用語「実質的に純粋な」は、ポリペプチドが、アポCIII合成の際に生じるその他の副生物、特にその他のアポリポタンパク質、たとえばアポCI、アポCII、アポBおよびアポAIIを基本的に欠くことを示す。用語「合成の」は、ポリペプチドが、天然に産する分子ではなく、実施例に記載されるとおり、化学的工程を用いた合成によって製造されていることを示す。因みに、本発明の合成ポリペプチドは、基本的に、グリコシル化されていない。
【0016】
ここで、本発明は、合成アポCIIIを、抗体を生成するために製造かつ使用できることを示す。本発明は、さらに、そのような抗体が、可溶性抗原としてであれ、リポ粒子に含まれてであれ、天然に産するアポCIIIに特異的に結合できることを示す。本発明は、そのような抗体が、アポCIIIの様々なイソ型に結合することができ、免疫沈降の特性を有することを示す。したがって、これらの合成ポリペプチド、および対応する抗体は、アポCIIIを検出かつ定量するのに有利な新規生成物を表す。
【0017】
より具体的には、本発明の合成ポリペプチドは、下記のとおり、SEQ ID No.1を包含する:
【0018】
【表1】
【0019】
実施例に例示されるとおり、このポリペプチドは、固相合成によって、特にBoc/Bzlの方法[28]を用いて、有利に製造することができる。このアポCIIIの合成方法を用いると、その生成は、従来技術より10〜100倍も速くなり、純度ははるかに高くなる。
【0020】
用語「誘導体」は、一つまたはいくつかのアミノ酸残基の一つもしくはいくつかの突然変異、置換、欠失及び/もしくは付加を含み、実質的に同じ抗原特異性を保持しているポリペプチドを包含する。誘導体の代表的な例は、アポCIIIの多型性、スプライシング等々による配列変異体を包含する。最も好適な誘導体は、SEQ ID No.1に比して、多くとも5個の修飾されたアミノ酸残基を含む。それ以外の残基は、担体またはリンカー残基、保護基等々に相当し得る。さらに、ポリペプチドは、たとえば化学的、物理的及び/または酵素的修飾によって修飾して、その安定性を強化し、その免疫原性を増大させ、標識またはトレーサーを組み込む等々をなしてもよい。そのような修飾の例は、タグ(たとえばmyc)、標識(たとえば放射性標識、酵素性標識等々)の付加、糖鎖形成等々を包含する。
【0021】
本ポリペプチドは、可溶性であってもよく、精製されていてもよく、また担体分子、たとえばKLHまたは血清アルブミン、またはその他の、ビーズ等々を包含するいかなる不活性(たとえば合成)分子を用いて複合体化してもよい。特定の実施態様では、ポリペプチドを、特に抗体産生に用いるために、担体にカップリングさせる。カップリングは、慣用の手法[29、30]に従って実施することができる。
【0022】
本ポリペプチドは、また、いかなる異種ポリペプチド分子、たとえば生物学的活性分子とも、複合化または融合させ得る。異種とは、ヒトアポCIII分子に由来しない、いかなるポリペプチドも意味する。
【0023】
本発明の具体的な実施態様は、SEQ ID No.1からなる合成ポリペプチドを含み、他のリポタンパク質を欠く組成物である。
【0024】
このポリペプチドは、対照、標準としてスクリーニングアッセイもしくは滴定アッセイに、またはアッセイを較正するために用いてよい。また、いくつかの酵素活性(リポタンパク質リパーゼおよび肝リパーゼ)を調整するのに用いてもよい。また、抗アポCIII抗体を生成するのに特に適する。
【0025】
因みに、本発明のさらに一つの目的は、上記に定義されたポリペプチドに結合する抗体にある。明らかに、結合は、特異的でなければならず、それは、該抗体がその他の抗原と特異的に結合してはならず、その他の抗原との結合が、上記アポCIIIペプチドとの特異的結合から識別できることを意味する。実施例に例示されるとおり、本発明の好適な抗体は、別個のリポタンパク質とは特異的に結合しない。この抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体であってよい。さらに、用語「抗体」は、そのフラグメントまたは誘導体、特に実質的に同じ抗原特異性を有する該モノクローナルまたはポリクローナル抗体のフラグメントもしくは誘導体を包含する。これらは、抗体フラグメント(たとえばFab、Fab’2、CDR等々)、ヒト化抗体、多機能抗体、単鎖抗体(ScFv)等々を包含する。これらは、動物の免疫感作、および血清(ポリクローナル)または脾臓細胞の採取(適切な細胞株との融合によってハイブリドーマを形成するため)を包含する、慣用の方法に従って生成してよい。
【0026】
マウス、齧歯類、霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、家禽類等々を包含する、様々な種からポリクローナル抗体を生成する方法は、たとえばVaitukaitisら[29]に見出し得る。略述すると、抗原をアジュバント(たとえばフロイントアジュバント)と組み合わせ、代表的には皮下注射によって、動物に投与する。反復注射を実施してよい。血液サンプルを採取し、免疫グロブリンまたは血清を分離する。
【0027】
上記に列挙されたとおりの様々な種からモノクローナル抗体を生成する方法は、たとえばHarlowら[Antibodies: A laboratory Manual, CSH Press, 1988]またはKohlerら[Nature, 256 (1975) 495](参照によって本明細書に組み込まれる)に見出し得る。略述すると、これらの方法は、動物を抗原で免疫感作した後、脾臓細胞を回収し、次いで、不死化細胞、たとえば骨髄腫細胞と融合させる工程を含む。得られたハイブリドーマは、モノクローナル抗体を産生し、限定希釈によって選別して、個々のクローンを単離することができる。抗体は、Wardら[Nature, 341 (1989) 544]に開示されたとおり、免疫グロブリンのコンビナトリアルライブラリーの選別によって生成してもよい。
【0028】
本発明の好適な抗体は、上記のとおり、好ましくはSEQ ID No.1を含む、純粋な合成アポCIIIポリペプチドによるか、またはその免疫原性サブフラグメント、たとえば、少なくとも一つのエピトープを含むサブフラグメントによる免疫感作によって生成する。
【0029】
本発明は、抗アポCIII抗体を生成する方法であって、SEQ ID No.1のポリペプチド、またはその免疫原性フラグメントもしくは誘導体をヒトではない動物に注入し、抗体または抗体産生細胞を採取する工程を含む方法にも関する。この方法は、純粋な未変性アポCIIIを用いる、以前に開示された方法より単純であり、特異性および免疫沈降性に富む抗体を生成させる。特異性は、他の血液循環タンパク質との交差反応性の不在を示すことによって確認することができる。より一般的には、特異性は、抗体が他の抗原より高い親和性でアポCIIIと結合することを示す。実施例に例示されるとおり、本発明のポリクローナル抗体は、免疫沈降性を有し、そのため、アポCIIIを高い効率で検出または投与するのに用いることができる。
【0030】
抗体は、異種部分、たとえば毒素、標識、薬物その他の治療剤に、共有結合によって、またはよらずに、直接に、またはカップリング剤もしくはリンカーの使用を通じてのいずれかによりカップリングさせてもよい。標識は、放射性標識、酵素、蛍光標識、磁性粒子などを包含する。毒素は、ジフテリア毒素、ボツリヌス毒素等々を包含する。薬物または治療剤は、リンホカイン、抗体、アンチセンス、成長因子等々を包含する。そのような異種部分を用いる方法は、たとえば米国特許第4,277,149号および第3,996,345号明細書に例示されている。
【0031】
本発明の抗体は、治療、診断、精製、検出、予防等様々に適用することができる。
【0032】
in vitroでは、スクリーニング剤としてか、または様々な生物学的サンプル(たとえば血液サンプル)を包含する、様々なサンプルから抗原を精製するのに用いることができる。また、対象から採取されたサンプル、代表的には哺乳動物、具体的にはヒトである対象からの血液サンプル中の、全アポCIII、またはアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIの存在(または量)を、定量もしくは検出するのに用いることができる。
【0033】
因みに、本発明のもう一つの目的は、生物学的サンプル中のアポCIII、またはアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIを検出する方法であって、サンプルを、上記に定義された抗体(そのフラグメントまたは誘導体を包含する)に接触させる工程と、抗体−抗原免疫複合体の存在を検出する工程とを含む方法である。代表的には、この方法によれば、サンプル中の免疫複合体の(相対)量を評価し、それを、たとえば標準的条件または較正曲線と比較することによって、サンプル中の全アポCIII、またはアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIのレベルを決定する。この方法は、慣用のいかなる手法、たとえばELISA(直接または競合イムノアッセイ)、RIA、EIA等々を用いて実施してもよい。しかし、最も好適な実施態様では、その方法は、比濁分析アッセイである。実際、上記に示したとおり、抗体は特異的であり、サンプル中のアポCIIIを免疫沈降させることができる。
【0034】
比濁分析アッセイでは、懸濁液中の粒子が散乱する光の強さを、分析装置を用いて測定する。粒子は、特異的な抗体を特異的な抗原に接触させたときに、重合体増強緩衝液中で生じる免疫沈降反応によって形成される。抗原と、該抗原に特異的な抗体との複合体形成は、初めは徐々に、次いで急速に上昇する速度で発生し、最後に、抗原の濃度に比例するピーク値に達し、進行する。このアッセイは、散乱された光の信号からの最大変化率を基準とし、それを抗原の濃度に相関(かつ変換)させることができる。代表的には、比濁分析アッセイは、英数字表示装置に結果を提示する、Beckmanの免疫化学装置系(IMMAGE)を用いて実施する。本発明の比濁分析アッセイは、迅速かつ再現可能であり、高処理量ベースで実施できる点で有利である。実際、このアッセイは、各サンプルについて、従来技術のほとんどの手法では、一日かかるのに対して、僅か数秒で実施でき、変動係数は、従来技術に記載されたアポCIII検出アッセイが10%であるのに対し、僅か4%であるにすぎない。
【0035】
したがって、本発明の特定の目的は、生物学的サンプル中の全アポCIII、またはアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIを測定する方法であって、サンプル(またはその希釈物)を上記の抗体(そのフラグメントまたは誘導体を包含する)に、代表的には様々な希釈濃度にて接触させ、アポCIII−抗体免疫複合体の形成を比濁分析アッセイによって評価する工程を含む方法にある。より好ましくは、免疫グロブリン以外のタンパク質を除去し、及び/または抗体を濃縮するために、抗体をサンプルに接触させる前に処理に付す。この処理は、代表的には、たとえばRitchieら[31]に記載されたとおり、抗体をポリエチレングリコール(PEG)に接触させる工程を含む。代表的には、0.5〜1μgの特異的抗体をアッセイに用いるが、当業者は、本発明から逸脱することなしに、異なる量を用い得る。
【0036】
比濁分析アッセイでは、ポリクローナル抗体を用いるのが一般的である。
【0037】
この方法は、血漿、血清、間質液、培養細胞の上清等々を包含する、様々な生物学的サンプルに対して実施することができる。サンプルは、対象(たとえばヒトである対象)から採取し、直接アッセイに用いてよい。または、サンプルを後で試験するために希釈し、及び/または(たとえば凍結状態に)保存してもよい。
【0038】
この方法は、可溶性アポCIIIまたはアポCIII含有リポ粒子の検出に適用することができる。上記に示したとおり、アポCIIIは、高密度リポタンパク質(HDL)、低密度リポタンパク質(LDL)、超低密度リポタンパク質(VLDL)、キロミクロン等々のような、様々なリポ粒子に含まれている。これらのリポ粒子のいくつかは、じゅく腫形成性であり、サンプル中のその(相対)量は、対象の病理学的状態と相関する。特に、アポリポタンパク質Bをさらに含有する、アポCIII含有リポ粒子は、極めてじゅく腫形成性に富むことが公知である[Franck Sacks, Zouherを参照]。因みに、アポCIIILpB/アポCIIILp非Bの比は、対象におけるアテローム性動脈硬化の開始、発症または進行の指標となる。本発明によれば、抗合成アポCIII抗体を用いたアポCIII含有リポ粒子の、高い効率、信頼度および処理量での大量測定が可能となる。
【0039】
より詳しくは、本発明は、サンプル中のじゅく腫形成性のアポCIIILpBを検出するのに用いることができる。特定の実施態様では、この方法は、
(a)サンプル中の全アポCIIIの量を決定する工程と、
(b)サンプルからのアポB含有リポ粒子を除去する工程と、
(c)サンプル中の非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIの量を決定する工程と
を含む。
【0040】
減算によって、(a)および(c)で得られた量より、サンプル中の、最もじゅく腫形成性に富むアポB含有リポ粒子内のアポCIIIの量が決定できる。工程(b)でのアポB含有リポ粒子の除去は、該サンプルの一部を免疫沈降性抗アポB抗体による処理によって実施することができる。
【0041】
検出アッセイは、様々な実験的、臨床的及び/または診断の条件に用いることができる。
【0042】
特に、この方法は、脂質代謝障害の発症の危険性がある、個体の素因を検出するのに用いることができる。本発明の特定の目的は、脂質代謝障害の素因、またはその発症の危険性がある個体を検出する方法であって、対象からのサンプル中のアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIを、上記に定義された抗体(そのフラグメントもしくは誘導体を包含する)を用いてin vitroで測定する工程を含み、ここで、アポCIII、またはアポB含有リポ粒子内のアポCIIIのレベルの上昇(正常な対象の平均値との比較において)が脂質代謝障害の発症の危険性がある個体の指標となる。代表的には、アポB含有リポ粒子内のアポCIIIの有意な生理病理学的レベルは、正常平均値を少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%を越えて上昇している。
【0043】
本発明のもう一つの目的は、対象におけるトリグリセリドに富むリポタンパク質の肝取込みをモニターする方法であって、サンプル中のアポCIII、またはアポCIII含有リポ粒子のレベルを、上記に定義された抗体(そのフラグメントまたは誘導体を包含する)を用いてin vitroで検出する工程を含む方法である。
【0044】
本発明のもう一つの目的は、対象における脂質代謝関連障害治療の効果をモニターする方法であって、該治療を該対象に施した後に、該対象からのサンプル中のアポCIII、またはアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIのレベルを、上記に定義された抗体(そのフラグメントまたは誘導体を包含する)を用いてin vitroで検出する工程を含む方法である。典型的には、治療の効果は、対象におけるアポCIIIレベルと相関する。効果は、対象におけるアポCIII、またはアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIのレベルもしくは活性をその治療により調節できるか、あるいは正常なアポCIII、またはアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIのレベルを回復できるかに相関する。
【0045】
本発明のさらに一つの目的は、対象の生理学的状態をその脂質代謝レベルで評価する方法であって、該対象からのサンプル中のアポBおよびアポ非B含有リポ粒子内のアポCIIIのレベルを、上記に定義された抗体(そのフラグメントまたは誘導体を包含する)を用いてin vitroで検出する工程を含む方法である。
【0046】
抗体は、血清中の全アポCIII、ならびにアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIの濃度を調整する化合物または食餌をスクリーニングするために用いることもできる。代表的には、この方法は、化合物を投与するか、または動物もしくは患者を食餌に付し、該動物または患者からの生物学的サンプルを採取し、該サンプル中の全アポCIII、ならびにアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIのレベルを、上記に定義された抗体(そのフラグメントまたは誘導体を包含する)を用いて検出もしくは用量を測定する工程を含む。
【0047】
上記に示したとおり、これらの方法は、様々なサンプル(代表的には血漿または血清)に対して実施することができ、ELISA、RIE、EIA等々によって、最も好ましくは比濁分析アッセイによって実施することができる。
【0048】
本発明は、上記のポリペプチドまたは抗体を含むキットにも関するものである。該キットは、いかなるサンプル中のアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIを検出または定量するのに用いることもできる。最も好適なキットは、上記に定義された抗体と、免疫反応、特に抗体−抗原複合体形成を実施または検出(または定量)するための試薬とを含む。試薬は、標識、緩衝液、基質等々を包含する。該キットは、代表的には、異なる試薬および生成物のための容器を含み、さらに、アッセイを実施するのに適した支持体その他の装置を含んでよい。
【0049】
本発明のそれ以外の側面および利点は、下記の実施例中に開示されることになるが、当該実施例は例示であり、かつ本願の対象範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0050】
1.アポCIIIの合成
固相法[26]によって、自動化合成装置モデルABI431A(Applied Biosystems Inc.)にて、0.5mmolのPAM−Ala樹脂上でBoc/Bzl法によりポリペプチドを合成した。アミノ酸を、それぞれ、ジシクロヘキシルカルボジイミド/ヒドロキシベンゾトリアゾールによって、キャッピングすることなく、二回カップリングさせた。未精製生成物を、0〜100%の緩衝液B(緩衝液A:H2O中0.05%のTFA、および緩衝液B:H2O中0.05%のTFA、60%のCH3CN)の線形勾配を用いる、VydacC18カラム上での逆相HPLCによって精製かつ分析した。分子質量は、イオンスプレー(ネブライザー支援エレクトロスプレー)源(SCiex, Toronto、カナダ国)を装備した、単純四極イオンエレクトロスプレー質量分析計のAPI(Perkin-Elmer)を用いて決定した。アミノ酸分析は、0.25%フェノールを含有する6N HClによる、110℃で24時間の加水分解後に、Beckman 6300アミノ酸分析装置(Beckman instruments, Fullerton, CA)を用いて実施した。
【0051】
2.免疫感作
基本的には前記のとおり[27]、抗アポCIII血清をウサギで調製した。ペプチドを、完全フロイントアジュバント中で乳化し、初め2回の注射については1回あたり0.5mgのペプチドをウサギに皮下注射し、次いで15日の間隔をあけ、ペプチド0.25mgのみを用いた以外は上記と同じアジュバントを用いて追加免疫を行った。
【0052】
3.抗アポCIII免疫グロブリン(IgG)の単離
Ritchieら[31]のプロトコルを修正し、IgGを調製した。非免疫グロブリンタンパク質を免疫血清から除去し、IgGを透析し、濃縮した。
【0053】
4.抗体の特異性
VLDL、LDLおよびHDLの分析イムノブロッティングを実施して、アポCIII抗体の特異性を評価した。図1に示したとおり、リポタンパク質のすべての下位分類群のその他のタンパク質との交差反応は、全く観察されず、抗体の高い特異性が立証された。
【0054】
5.VLDLおよびHDLリポ粒子内のアポCIIIに対する、抗体の親和度
この実験では、本発明者らは、アポCIIILpB、およびアポCIIILp非B粒子の測定における、イムノアッセイの有効性を確認するために、抗合成アポCIII抗体が、VLDLおよびHDL中のアポCIIIを同じ親和度で測定できるか否かを決定した。結果を図2に提示する。血漿、VLDLおよびHDLの平行な曲線は、これらのリポタンパク質下位分類群のすべてにおいて、抗合成アポCIII抗体がアポCIIIを正確に認識していることを立証している。さらに、その有利な特性および製造条件に加えて、対照実験は、本発明の抗合成アポCIII抗体が、少なくとも従来の抗体と同程度に優れた親和度を有することを示した。
【0055】
6.免疫比濁分析アッセイ:
試薬および材料
【0056】
【表2】
【0057】
抗アポCIII免疫グロブリン:
上記の実施例2および3で生成された抗アポCIIIIgGは、直ちに使用できる。これらを、その週に用いるために2〜8℃で冷蔵するか、または数ヶ月先まで用いるために−20℃に凍結することができる。免疫グロブリンは、アジ化ナトリウムを含有する。
【0058】
抗アポB免疫グロブリン:
抗アポリポタンパク質BのIgGは、様々な入手源から得るか、または実施例2および3に記載したとおりに生成することができる。その週に用いるために2〜8℃で冷蔵するか、または数ヶ月先まで用いるために−20℃に凍結することができる。免疫グロブリンは、アジ化ナトリウムを含有する。
【0059】
標準:
アポCIII標準は、電気免疫拡散アッセイで較正したヒト血清プールであり、HIVおよび肝炎ウイルスについて試験し、汚染を防ぐための通常の予防措置に従って取り扱った。標準アポCIIIのレベルは2.5mg/dlであった。較正曲線を較正するために、標準を、表2に示したとおりに希釈した。
【0060】
【表3】
【0061】
サンプルの調製:
分析には、採取直後か、または凍結した(−80℃)サンプルが推奨される。血清は、臨床研究室の試験の際の確立された手順に従って採取した。必要ならば、サンプルを、より長い貯蔵期間にわたって凍結して保つことができる;凍結サンプルは、1年間まで安定である。使用の前に、サンプルを希釈剤1にて3倍に希釈する。
【0062】
アポB粒子を含まないサンプルの調製:
試験管内で、以下の順序で:抗アポB40μl、血清40μl、および40μlのBeckman希釈剤1を加える。混合物を撹拌し、室温で10分間温置し、3,500rpmで10分間遠心分離した。分析用に、上清を採取した。アポBを含まないサンプルの最終濃度を、上清の3倍希釈のために、補正した。
【0063】
プロトコル:
・IMMAGE免疫化学システムオペレーションマニュアルに従って、下記に列挙したパラメーターでユーザー定義の試薬をプログラミングする。
・抗体試薬を、新たなユーザー定義カートリッジのA区画に移す。
・緩衝液1をこのカートリッジのB区画に移す。
・表2に示した希釈計画に従って、標準からの値(実際の標準アポCIII値は、2.5mg/dlであった)をパラメーター表に記入する。
・希釈剤2をサンプル希釈剤として用いる。
【0064】
【表4】
【0065】
結果:
結果を図3に提示する。実施範囲の0.3〜2.5μg/mlにおいて、非常に狭い変動係数を示す。得られた参照値は、全アポCIII:1.6〜4.5mg/dl、アポCIIILp非B:0.5〜3.5mg/dl、アポCIIILpB:<2.3mg/dlであった。
【0066】
7.アポCIII比濁分析アッセイとアポCIII電気免疫拡散アッセイとの比較
本発明の比濁分析アッセイの特性および性能を、電気免疫拡散アッセイで得られたそれと比較した[32]。結果を下記の表3に報告するが、それは、本発明の比濁分析アッセイの利点を示している。
【0067】
【表5】
【0068】
8.相関研究
LpCIIIのSEBIAキットを用いて電気免疫拡散について分析した、20の血清サンプルを、その後、IMMAGE法を用いて分析した。結果を図4に示すが、それは、本発明の抗体を用いた比濁分析アッセイの高い相関および精度を立証している。
【0069】
9.本発明のその他の利点
本発明の合成アポCIIIポリペプチドのその他の利点および使用は、下記を包含する:
−すべてのアポCIIIアッセイ(ELISA、RIA、電気免疫拡散等々)の較正のための標準としての使用;
−LpL活性(この酵素は、トリグリセリドに富むリポタンパク質の脂質分解に関与する)の阻害、またはLDL受容体によるアポB含有リポタンパク質の取込みの阻害のような、リポタンパク質の代謝経路の研究における使用。
【0070】
本発明の抗体のその他の利点および使用は、下記を包含する:
−アポCIIIを定量するためのすべてのイムノアッセイにおける使用;
−アポCIIIの検出(イムノブロッティング、ドットブロッティング、免疫組織化学および免疫細胞化学)における使用;
−タンパク質を精製するための免疫親和性および免疫沈降法における使用。
【0071】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】抗体の特異性を示す図である。
【図2】VLDLおよびHDLに対する抗体の親和性を示す図である。
【図3】アポCIIIの比濁分析アッセイの較正曲線を示すグラフである。
【図4】相関研究の結果を示すグラフである。
Claims (13)
- 生物学的サンプル中の、アポCIII、またはアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIを検出する方法であって、(i)アミノ酸配列SEQ ID No.1を含む、実質的に純粋な合成ポリペプチドによる免疫感作によって得た抗体、または該抗体と実質的に同じ抗原特異性を有する該抗体のフラグメントもしくは誘導体に該サンプルを接触させる工程と、(ii)抗体−抗原免疫複合体の存在を検出する工程とを含む方法。
- 抗体−抗原免疫複合体の存在をELISA、RIA、サンドイッチ型イムノアッセイまたは直接イムノアッセイによって決定する、請求項1記載の方法。
- 抗体−抗原免疫複合体の存在を比濁分析アッセイによって決定する、請求項1記載の方法。
- アミノ酸配列SEQ ID No.1を含む、実質的に純粋な合成ポリペプチドを、ヒトではない動物に注入し、抗体または抗体産生細胞を採取することによって抗体を得る、請求項1記載の方法。
- 抗体がポリクローナル抗体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 抗体がモノクローナル抗体である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 生物学的サンプル中のアポCIIIまたはアポCIII含有リポ粒子を検出する方法であって、(i)アミノ酸配列SEQ ID No.1を含む、実質的に純粋な合成ポリペプチドに結合する抗体、または該抗体と実質的に同じ抗原特異性を有する該抗体のフラグメントもしくは誘導体に該サンプルを接触させる工程と、(ii)アポCIII−抗体免疫複合体の形成を比濁分析アッセイによって評価する工程とを含む方法。
- 抗体が、アミノ酸配列SEQ ID No.1を含む、実質的に純粋な合成ポリペプチドを、ヒトではない動物に注入し、抗体を採取することによって得られたポリクローナル抗体である、請求項7記載の方法。
- 生物学的サンプルが血液サンプルまたは血清サンプルである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
- 脂質代謝障害の素因、またはその発症の危険性がある個体を検出する方法であって、対象からのサンプル中のアポCIII、またはアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIを、アミノ酸配列SEQ ID No.1を含む実質的に純粋な合成ポリペプチドに結合する抗体、または該抗体と実質的に同じ抗原特異性を有する該抗体のフラグメントもしくは誘導体を用いてin vitroで検出する工程を含む方法。
- 対象における脂質代謝関連障害治療の効果をモニターする方法であって、該対象からのサンプル中の全アポCIII、ならびにアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIのレベルを、アミノ酸配列SEQ ID No.1を含む実質的に純粋な合成ポリペプチドに結合する抗体、または該抗体と実質的に同じ抗原特異性を有する該抗体のフラグメントもしくは誘導体を用いてin vitroで検出する工程を含む方法。
- アミノ酸配列SEQ ID No.1を含む実質的に純粋な合成ポリペプチドに結合する抗体、または該抗体と実質的に同じ抗原特異性を有する該抗体のフラグメントもしくは誘導体の使用であって、血清中のアポBおよび非アポB含有リポ粒子内のアポCIIIの濃度を調整する化合物もしくは食餌をin vitroでスクリーニングするための使用。
- アミノ酸配列SEQ ID No.1を含む実質的に純粋な合成ポリペプチドに結合する抗体、または該抗体と実質的に同じ抗原特異性を有する該抗体のフラグメントもしくは誘導体と、抗原−抗体免疫反応を実施するための試薬とを含むキット。
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