JPH1180146A - 新規ジベンゾフラン誘導体 - Google Patents

新規ジベンゾフラン誘導体

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JPH1180146A
JPH1180146A JP25127997A JP25127997A JPH1180146A JP H1180146 A JPH1180146 A JP H1180146A JP 25127997 A JP25127997 A JP 25127997A JP 25127997 A JP25127997 A JP 25127997A JP H1180146 A JPH1180146 A JP H1180146A
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JP
Japan
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compound
formula
ethyl acetate
solution
acetonitrile
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Pending
Application number
JP25127997A
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English (en)
Inventor
Masahiro Aono
雅博 青野
Takayuki Sawada
孝之 澤田
Seiichi Asakawa
清一 浅川
Akira Ito
明 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyorin Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Kyorin Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗菌剤等を含む医薬品としての使用が期待で
きる新規ジベンゾフラン誘導体及びその薬理学的に許容
しうる塩を提供する。 【解決手段】 本発明の化合物は、一般式(1) [式中、R1 はアルキル基、アルケニル基又はアシル基
を、R2 は低級アルキル基を、Xは水素原子又はハロゲ
ン原子を示す]で表されるジベンゾフラン誘導体及びそ
の薬理学的に許容しうる塩。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規ジベンゾフラ
ン誘導体に関するものであり、抗菌剤等の医薬品として
使用することができる。
【0002】
【従来の技術】ジベンゾフラン誘導体について多数の研
究報告があり、サージェント(M.V.Sargent)及びストラ
ンスキー(P.O.Stransky)によって総説的に紹介されて
いる(アドバンセス・イン・ヘテロサイクリック・ケミ
ストリー(Advances inHeterocyclic Chemistry) ,35
巻, 1〜81頁,1984年)。天然物由来のジベンゾフラン
誘導体も多数報告されており、地衣類由来、高等真菌由
来、植物由来のジベンゾフラン誘導体がそれぞれ知られ
ているが、細胞性粘菌由来のジベンゾフラン誘導体は報
告例がない。
【0003】1,9−ジヒドロキシジベンゾフラン誘導
体としてロドミルトキシン(rhodomyrtoxin)が知られて
いる。ロドミルトキシンはオーストラリア原産のフィン
ガーチェリー果実からトリペット(S.Trippett)によっ
て単離・命名され(ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサ
イティ(J.Chem.Soc.), 414頁,1957年)、同果実を食
したことによる失明の原因物質ではないかと一時期は疑
われたが、因果関係は明らかになっていない。また、そ
の生理活性についても報告されていない。
【0004】ロドミルトキシンの化学構造はサージェン
トらによって確定され(ジャーナル・オブ・ケミカル・
ソサイティ・パーキンI(J.Chem.Soc.Perkin I), 231
頁,1983年)、下記式に示す通り、本発明化合物とは構
造を異にするものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来ほとんど研究され
ていなかった細胞性粘菌から新規な生理活性物質を見出
すとともに、その誘導体を含め、これら化合物の有利な
合成法を開拓し、工業的に提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、従来ほとん
ど研究されていなかった細胞性粘菌に注目し、その培養
法を改良し、細胞性粘菌の培養物中に新規化合物(AB00
22A)を見出した。
【0007】AB0022Aの物理化学的性状は、次に
示す通りである。 1)性質;淡黄色針状結晶 2)溶解性;メタノール、ジメチルスルホキシド、クロロホルムなどの有機溶 媒に可溶、水に不溶。 3)呈色反応;ブロモクレゾールグリーンに陽性、ニンヒドリンに陰性。 4)薄層クロマトグラフィー; 吸着剤:シリカゲル60F254 、メルク社製 Rf値:0.72(展開溶媒:クロロホルム:メタノール=9:1) 0.33(展開溶媒:ノルマルヘキサン:アセトン=1:1) 吸着剤:RP−18F254S、メルク社製 Rf値:0.37(展開溶媒:アセトニトリル: 0.2M酢酸=95:5) 5)分子式;C20196 Cl3 6)分子量;460 7)炎色反応;緑色の炎色 8)赤外線吸収スペクトル;臭化カリウム(KBr)錠剤法で測定した赤外線吸収 スペクトルは、次に示した通りある。3425, 3344, 2955, 2928, 2856, 1628, 1601, 1458, 1375, 1337, 1321, 1250, 1179, 1076, 941, 866, 745, 669cm-1 9) 1H−核磁気共鳴スペクトル(重クロロホルム中:ppm, TMS標準); 15.33(1H,s), 9.29(1H,s), 4.06(3H,s), 3.99(3H,s), 3.20(2H,t,J=7.3Hz), 1.72-1.82(2H,m), 1.35-1.48(4H,m), 0.94(3H,t,J=7.3Hz) 10)13C−核磁気共鳴スペクトル(重クロロホルム中:ppm, TMS標準); 208.3(s), 157.8(s), 156.2(s), 155.1(s), 153.3(s), 150.9(s), 145.9(s), 112.3(s), 111.5(s), 110.1(s), 108.7(s), 104.5(s), 103.8(s), 62.4(q), 61.4(q), 43.3(t), 31.5(t), 24.0(t), 22.5(t), 14.0(q)
【0008】AB0022Aを生産する細胞性粘菌は、
栃木県下都賀郡野木町の野木神社境内で採取した土壌か
ら、大腸菌(Escherichia coli)NIHJ JC−2を
栄養源とし分離した株(以下 K1001株という)であり、
その菌学的性状は、次に示す通りである。
【0009】1)培養基上での培養性状;A寒天培地
(グルコース 0.5%、ポリペプトン 0.5%、酵母エキス
0.05%、KH2 PO4 0.225%、Na2 HPO4 ・12H
2 O 0.137%、MgSO4 ・7H2 O0.05%、寒天 1.5
%、pH6.28)上に、A培地(A寒天培地から寒天を除
いた液体培地)で37℃、一夜培養した大腸菌(Escher
ichia coli)NIHJJC−2の培養液及びK1001
株の胞子を均一に塗布し、22℃、光照射下(蛍光灯)
で一週間培養し、観察した。最初、培地全面に大腸菌が
生育する。次いで、大腸菌を食菌し栄養源を得る細胞性
粘菌の生育を示す溶菌班が出現する。全面の大腸菌が食
菌されると、偽変形体を形成する。偽変形体の中心から
出芽し、累積子実体を形成し、先端には胞子塊が形成さ
れる。その色調は、最初は透明であるが、徐々に紫色を
呈しはじめ、最後には黒っぽい紫色となる。
【0010】 2)形態学的特徴; (1) 累積子実体の大きさ:0.4〜8.7mm (2) 柄の色調:淡い紫色、柄の構造:細胞の集合体 (3) 分枝:柄から分枝しているものもあるが、その分枝は不規則に出ている。 (4) 胞子塊の色調:培養初期は透明、徐々に紫色の色調が増し、終期には黒っ ぽい紫色となる。 (5) 胞子:楕円形、大きさ:長径5.5〜8.1μm、 短径2.2〜3.3μm 胞子の中にポーラル グラニュール(Polar granules)がない。 (6) 偽変形体を形成する。
【0011】以上の結果からAB0022Aを産生する
細胞性粘菌K1001株は、ディクチオステリウム プ
ルプリウム(Dictyostelium purpureum)に属する株と同
定した。
【0012】培養法及び精製法;細胞性粘菌は、大腸
菌、肺炎桿菌、枯草菌などの細菌を栄養源として生育
し、通常の細菌、放線菌、真菌などのように、天然又は
合成培地上には生育できない。よって、土壌からの分
離、植え継ぎ、生理活性物質の生産などの培養に際して
は大腸菌などの細菌を一緒に培養する。
【0013】培養法としては、寒天平板培養法や液体培
養法がある。培養に適した温度は、20〜25℃である
が、22℃付近で培養するのがより適している。AB0
022Aの生産は、寒天平板培養で、通常10日間で最
高値に達する。培養終了後、菌体中に存在するAB00
22Aを有機溶媒、例えばメタノールなどで抽出する。
抽出物中に存在するAB0022Aを、枯草菌に対する
抗菌活性を指標にして、その物理化学的性質を利用して
抽出分離する。例えば、菌体から含水メタノールで抽出
後、メタノールを留去し、得られた水溶液に飽和食塩水
を添加し、酢酸エチルで抽出する。酢酸エチルを留去
後、この濃縮物をアセトニトリルで溶解し、酸性アセト
ニトリルとノルマルヘキサンを添加し、ノルマルヘキサ
ン層を分取し、次いで、このノルマルヘキサン層に塩基
性アセトニトリルを添加し、塩基性アセトニトリル層を
分取する。塩基性アセトニトリル層からアセトニトリル
を留去し、得られた水溶液に飽和食塩水を添加した後、
酢酸エチルで抽出し、酢酸エチルを留去し、粗精製物を
得る。部分精製されたAB0022Aは、さらに順相及
び逆相シリカゲルカラムで不純物を除去精製できる。次
いで、酸性アセトニトリルで再結晶し、単一なAB00
22Aを得ることができる。
【0014】本発明者は、AB0022Aの化学構造が
下記式で表されることを解明し、この化合物の有利な合
成法を開拓し、更に類縁の新規ジベンゾフラン誘導体を
合成し、抗菌作用等を有することが認められ、本発明を
完成した。
【0015】即ち本発明は一般式(1) [式中、R1 はアルキル基、アルケニル基又はアシル基
を、R2 は低級アルキル基を、Xは水素原子又はハロゲ
ン原子を示す]で表されるジベンゾフラン誘導体及びそ
の薬理学的に許容しうる塩である。一般式(1)で表さ
れる化合物の塩類としては慣用金属塩等、例えばアルカ
リ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ
土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩など)、ア
ルミニウム塩等薬理学的に許容しうる塩があげられる。
また一般式(1)の2位置換基(R1 )に基づく立体異
性体又は光学異性体が存在する場合に、そのような異性
体及び混合物もすべてこの発明の範囲内に包含される。
更に各種の水和物も本発明に包含される。
【0016】本発明において、「アルキル基」とはプロ
ピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等の直鎖もしくは分
岐した炭素数3〜6のものがあげられる。「低級アルキ
ル基」とはメチル、エチル、プロピル等の直鎖もしくは
分岐した炭素数1〜3のものがあげられる。「アルケニ
ル基」とはアリル、プロペニル等の直鎖もしくは分岐し
たものがあげられる。「アシル基」とはアセチル、プロ
ピオニル、ブチリル、バレリル、ヘキサノイル等の直鎖
もしくは分岐した炭素数2〜6のもの及びベンゾイルが
あげられる。「ハロゲン原子」とはフッ素、塩素、臭
素、ヨウ素原子があげられる。
【0017】本発明によれば前記一般式(1)である化
合物は以下の方法によっても製造することができる。即
ち、一般式(1)の化合物においてXが水素原子、R1
がアルケニル基又はアシル基である化合物(下記一般式
(1b)の化合物)は、 [式中R2 は前述の通りを、R3 はアルケニル基又はア
シル基を示す] 一般式(2)である化合物を転移反応させることにより
製造することができる。 [式中R2 ,R3 は前述の通り]
【0018】反応は有機溶媒、例えば塩化メチレン、ク
ロロホルム、1,3−ジクロロベンゼン等中で、ルイス
酸触媒、例えば塩化アルミニウム、四塩化スズ、四塩化
チタン等の存在下又は非存在下、室温〜還流下で行うこ
とができる。また高圧水銀ランプによる光照射によって
も行うことができ、特に転移反応には短波長(<300nm)
が有効なため、石英製の装置を用いることが好ましい。
反応溶媒は通常の有機溶媒が使用できるが、ベンゼンが
好ましい。
【0019】一般式(1)の化合物においてXが水素原
子、R1 がアルキル基である化合物(下記一般式(1
c)の化合物)は、 [式中R2 は前述の通りを、R4 はアルキル基を示す] 一般式(1b)の化合物を還元することにより製造する
ことができる。
【0020】反応は通常の還元方法、例えばメタノー
ル、エタノール等の反応溶媒中でパラジウム炭素、パラ
ジウム硫酸バリウム等を触媒とする接触還元、テトラヒ
ドロフラン、エーテル等の反応溶媒中で水素化リチウム
アルミニウムを用いる還元、メタノール、エタノール等
の反応溶媒中で水素化ホウ素ナトリウム等の金属水素化
物を用いる還元、又はヒドラジンを用いるボルフ・キッ
シナー(Wolff-Kishner)還元により行うことができる。
【0021】一般式(2)である化合物は一般式(3)
の化合物に一般式(4)の化合物を反応させることによ
り製造することができる。 [式中R2 は前述の通り] R3 2 (4) [式中R3 は前述の通りを、Y2 はハロゲン原子を示
す]
【0022】反応は、R3 がアルケニル基の場合、有機
溶媒、例えばジメチルスルホキシド、N,N−ジメチル
ホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン等中で無
機塩基、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水
素ナトリウム存在下で行うことができる。またR3 がア
シル基の場合、有機溶媒、例えば塩化メチレン、クロロ
ホルム、ベンゼン等中で有機塩基、例えばトリエチルア
ミン、ピリジン等の存在下行うことができる。反応温度
は氷冷〜室温が好ましい。
【0023】一般式(3)である化合物は、一般式
(5)の化合物に一般式(6)の化合物を反応した後、
脱保護することにより製造することができる。 [式中Aはジアルキルシリル基を示す] R2 1 (6) [式中R2 は前述の通りを、Y1 はハロゲン原子を示
す]
【0024】反応は有機溶媒、例えばジメチルスルホキ
シド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチ
ルエチルケトン等中で無機塩基、例えば炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の存在下、室
温〜加熱の反応温度で行うことができる。またシリル基
の脱離は、テトラヒドロフラン中、テトラブチルアンモ
ニウムフロリドの存在下、室温で行うことが好ましい。
【0025】一般式(1)の化合物においてXがハロゲ
ン原子である化合物(下記一般式(1a)の化合物)
は、 [式中R1 ,R2 は前述の通りを、X1 はハロゲン原子
を示す] 一般式(1b)又は一般式(1c)の化合物をハロゲン
化することにより製造することができる。
【0026】ハロゲン化は、塩素、臭素、ヨウ素等のハ
ロゲン分子や次亜塩素酸等の次亜ハロゲン酸をそのまま
又は酸やルイス酸の存在下で反応させることにより行う
ことができる。また、塩素化の場合は、酢酸中Bn(C
3 )N+ ICl4 - を作用させる方法が好ましい。反
応温度は室温〜溶媒還流温度とすることが好ましい。
【0027】
【実施例】次に本発明を具体例によって説明するが、こ
れらの例によって本発明が限定されるものではない。な
お本発明で使用する略号は、以下の意味を表す。 MS:質量スペクトル DMF:N,N−ジメチルホルムアミド1 H−NMR:プロトン核磁気共鳴スペクトル THF:テトラヒドロフラン
【0028】(実施例1) 2−カプロイル−4,6,8−トリクロロ−1,9−ジ
ヒドロキシ−3,7−ジメトキシジベンゾフラン(AB00
22A)
【0029】栃木県下都賀郡野木町の野木神社境内で採
取した土壌約1gを、滅菌した脱イオン水3mlに懸濁
し、4枚重ねした滅菌ガーゼで濾過した。この濾液25
0μlと大腸菌菌液(A寒天培地で30℃、3日間培養し
た大腸菌(Escherichia coli)NIHJ JC−2を掻
き取り、滅菌蒸留水に懸濁した)を等量混和し、その2
00μl を、径9cmの無栄養寒天(KH2 PO4 1.45
%、Na2 HPO4 ・12H2 O2.40%、寒天2.00%、p
H6.41)平板上に均一に塗布した。22℃、光照射(蛍
光灯)下で培養し、発芽した菌株の胞子塊を爪楊枝で釣
り、同様に大腸菌液を塗布した無栄養培地に植え継ぎ純
化した。A寒天平板で培養して得られた細菌性粘菌(Di
ctyostelium purpureum K1001)の胞子を適量掻き取り、
滅菌したボナー塩液(NaCl 0.060%、KCl 0.075
%、CaCl 0.030%)に懸濁し、A培地で、37℃、
一夜培養した大腸菌(Escherichia coli)NIHJ J
C−2培養液と等量混和した。この混合菌液200μl
をA寒天平板に均一に塗布し、22℃、光照射(蛍光
灯)下で10日間静置培養した。
【0030】一回の培養につき径9cmの平板100〜1
20枚を培養した。生育した細菌性粘菌の累積子実体を
掻き取り、脱イオン水に懸濁し、凍結乾燥した。この凍
結乾燥菌体に、90%メタノール水を平板1枚あたり
0.4mlの割合で加え、ボルテックスミキサーで充分に
撹拌した後、20分間、室温で超音波処理した。4℃で
一夜放置した後、累積子実体を濾過して除き、90%メ
タノール抽出物を得た。この90%メタノール抽出物か
らメタノールを留去し、得られた水溶液に蒸留水20ml
と飽和食塩水20mlを添加し、50mlの酢酸エチルで3
回抽出した。次いで、酢酸エチル層を濃縮乾固し、酢酸
エチル可溶物を得た。上記操作を7回繰り返し、合計7
70枚の平板を処理し、酢酸エチル可溶物540mgを得
た。酢酸エチル可溶物にアセトニトリル560mlを添加
し、80℃の湯浴中で加温して溶解した。このアセトニ
トリル溶液に0.2M酢酸(140ml)を添加し、アセトニ
トリル濃度を80%に調整した後、ノルマルヘキサン7
00mlで3回抽出した。次いで、得られたノルマルヘキ
サン層を、アセトニトリルと0.1%アンモニア水
(8:2)混合液700mlで3回抽出した。得られたア
セトニトリル層からアセトニトリルを留去し、得られた
水溶液に飽和食塩水50mlを添加した後、酢酸エチル3
00mlで3回抽出した。酢酸エチル層を濃縮し、酢酸エ
チル抽出物83mgを得た。
【0031】シリカゲル(シリカゲル 60H、メルク製)
を中圧カラム管に充填し、径2.2cm、長さ40cmのカ
ラムを作製し、ノルマルヘキサン:アセトン=6:4の
溶媒で平衡化した。このカラムに上記酢酸エチル抽出物
83mgを吸着させ、同じ溶媒で流速15ml/minで展開
し、10mlずつ分取した。検出は、シリカゲル薄層クロ
マトグラフィー(シリカゲル 60F254 厚さ: 0.2mm、展
開溶媒:クロロホルム:メタノール=9:1、 UV254nm
下でスポットを検出)で行い、部分精製標品18mgを得
た。この部分精製標品18mgを4mlのアセトニトリルに
溶解し、0.1%アンモニア水1mlを添加し、濾過によ
り不溶物を除いた後、メタノール、次いでアセトニトリ
ル:0.1%アンモニア水=4:1溶液で平衡化したセ
ップパックODSカラム(セップパック バック C-18
カートリッジ、6ml、ウォーターズ社製)を用い、ア
セトニトリル:0.1%アンモニア水=4:1溶液で展
開し、1mlずつ分画した。素通り部分及び最初の2分画
を合わせ、溶媒を留去し、精製標品10mgを得た。この
精製標品10mgをアセトニトリル4mlに溶解後、0.2
M酢酸1mlを添加し、室温で1.5時間放置してAB0
022A淡黄色針状結晶(AB0022A)4mgを得た。
【0032】(参考例1) 2,4,6−トリメトキシヨードベンゼン
【0033】1,3,5−トリメトキシベンゼン(70.88
g)の熱エタノール溶解液に水に溶かしたヨウ素酸(1
5.0g)を加え、次いでエタノールに溶解したヨウ素(4
3.0g)をゆっくりと加えた。水浴上で加熱し、結晶が
析出したところで反応液を室温に戻した。生じた結晶を
濾取し、白色針状晶として目的物(113.15g)を得た。
(収率91%) 融点:121.0〜122.5℃ MS:294(M+ ) 元素分析値:C9 11IO3 として C H 計算値 36.76% 3.77% 実測値 37.00% 3.63%
【0034】(参考例2) 2,2’,4,4’,6,6’−ヘキサメトキシビフェ
ニル
【0035】2,4,6−トリメトキシヨードベンゼン
(151.0g)を活性化した銅(157.0g)によく混和し、2
40℃で6時間加熱した。冷却後アセトンで可溶物を抽
出し、減圧濃縮した。得られた残渣をジクロロメタンに
溶解してシリカゲル濾過することにより高極性の不純物
を除き、濃縮後メタノールで再結晶して、淡黄色針状晶
として目的物(69.3g)を得た。(収率81%) 融点:154.0〜155.0℃ MS:334(M+ ) 元素分析値:C18226 として C H 計算値 64.66% 6.63% 実測値 64.69% 6.67%
【0036】(参考例3) 1,3,7,9−テトラヒドロキシジベンゾフラン
【0037】2,2’,4,4’,6,6’−ヘキサメ
トキシビフェニル(1.00g)に57%ヨウ化水素水溶液
(10ml)及び酢酸(10ml)を加え、15時間還流した。
反応液を1%NaHSO3 水溶液に注ぎ、酢酸エチルに
て抽出した。十分に水、飽和食塩水で有機層を順次洗浄
後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。残渣を
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−
ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し、淡褐色粉末
晶として目的物(0.581g)を得た。(収率84%) MS:232(M+
【0038】(実施例2) 1,9−ジヒドロキシ−3,7−ジメトキシジベンゾフ
ラン
【0039】(1) 参考例3で得られた1,3,7,9−
テトラヒドロキシジベンゾフラン(1.00g)のDMF
(20ml)溶液に2,6−ルチジン(1.5ml)を加え、更に
氷冷下、ジターシャリーブチルシリルビストリフレート
(1.90g/DMF 5ml)溶液を滴下した。0℃で30分撹
拌後、反応液を水にあけ、酢酸エチルにて抽出した。有
機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:
酢酸エチル=3:1)で精製し、白色粉末晶としてジタ
ーシャリーシリル体 (1.07g)を得た。(収率67
%) 融点:249.0〜250.5℃ MS:372(M+
【0040】(2) ジターシャリーシリル体(1.07g)に
炭酸カリウム(2.10g)及びDMF(25ml)を加え、室
温撹拌下でヨウ化メチル(0.70ml)を加え、4時間撹拌
した。反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出し、水と飽
和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、
減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢酸エチル=
10:1)にて精製し、白色針状晶としてジメトキシ体
(1.11g)を得た。(収率96%) 融点:151.0〜153.0℃ MS:400(M+ ) 元素分析値:C22285 Siとして C H 計算値 65.97% 7.05% 実測値 65.88% 7.03%
【0041】(3) 得られたジメトキシ体(100.0mg)のT
HF(1.5ml)溶液にテトラブチルアンモニウムフロライ
ド(1モル/lヘキサン溶液、1.5ml)を加えて、室温で
30分撹拌した。反応液を水にあけ、酢酸エチルで抽出
し、水と飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウム
で乾燥後、減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢
酸エチル=3:1)で精製、白色粉末晶として目的物
(61mg)を得た。(収率94%) 融点:172.0〜172.5℃ MS:260(M+
【0042】(実施例3) 1−カプロイルオキシ−3,7−ジメトキシ−9−ヒド
ロキシジベンゾフラン
【0043】実施例2を繰り返して得られた1,9−ジ
ヒドロキシ−3,7−ジメトキシジベンゾフラン(500.
0mg)を塩化メチレン(10.0ml)とピリジン(0.50ml)の
混液に溶解し、カプロイルクロライド(280μl)の塩化メ
チレン(1.0ml)溶液を氷冷下滴下した。室温にて30分
撹拌後、反応液を希塩酸中に注ぎ、酢酸エチルで抽出し
た。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナ
トリウムで乾燥、減圧留去した。得られた残渣をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサ
ン:酢酸エチル=5:1)で精製、白色粒状晶として目
的物(476mg)を得た。(収率69%) 融点:111.0〜113.0℃ MS:358(M+ ) 元素分析値:C20226 ・H2 Oとして C H 計算値 63.82% 6.43% 実測値 63.82% 6.42%
【0044】(実施例4〜6)実施例3と同様にして下
記表1記載の化合物を得た。
【0045】
【表1】
【0046】(実施例7) 2−カプロイル−1,9−ジヒドロキシ−3,7−ジメ
トキシジベンゾフラン
【0047】実施例3で得られた1−カプロイルオキシ
−3,7−ジメトキシ−9−ヒドロキシジベンゾフラン
(320mg)をベンゼン(100ml)に溶解し、その溶液に高圧
水銀ランプ(100W)にて光源から約3cmの所で、4時間
光を照射した。反応液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:
酢酸エチル=5:1)で精製して、淡黄色針状晶として
目的物(122mg)を得た。(収率40%) 融点:143.0〜144.5℃ MS:358(M+ ) 元素分析値:C20226 として C H 計算値 67.03% 6.19% 実測値 66.97% 6.19%
【0048】(実施例8〜10)実施例4〜6で得られ
た化合物を用いて、実施例7と同様にして、下記表2記
載の化合物を得た。
【0049】
【表2】
【0050】(実施例11) 1,9−ジヒドロキシ−3,7−ジメトキシ−2−ヘキ
シルジベンゾフラン
【0051】実施例7で得られた2−カプロイル−1,
9−ジヒドロキシ−3,7−ジメトキシジベンゾフラン
(20.0mg)をメタノール(20ml)と酢酸エチル(20ml)
の混合溶媒に溶解し、Pd−BaSO4 (1.00g)と濃
塩酸(1滴)を加え、室温、常圧下で水素化した。反応
液を濾過し、濾液を減圧濃縮して、残渣をシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサン:酢
酸エチル=6:1)で精製し、淡赤色油状物として目的
物(15mg)を得た。(収率78%) MS:344(M+
【0052】(実施例12) 2−カプロイル−1,9−ジヒドロキシ−3,7−ジメ
トキシ−4,6,8−トリクロロジベンゾフラン(AB00
22A)
【0053】実施例7で得られた2−カプロイル−1,
9−ジヒドロキシ−3,7−ジメトキシジベンゾフラン
(122.0mg)とBn(Me)3 + ICl4 - (520mg)を
酢酸(20ml)に加熱溶解し、室温で3時間撹拌した。反
応液を水にあけ、酢酸エチルにて抽出し、水、10%N
aHSO3 水溶液及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫
酸ナトリウムで乾燥して減圧濃縮した。残渣をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 n−ヘキサ
ン:酢酸エチル=2:1)で精製し、目的物(65mg)を
得た。(収率41%)
【0054】このもの(7mg)をアセトニトリル(1m
l)と濃アンモニア水(1滴)に溶解し、減圧濃縮した
後、アセトニトリル(4ml)と0.2モル濃度の酢酸水
溶液(2ml)で再結晶し、淡黄色針状晶(4mg)を得
た。 融点:153.0〜154.0℃ MS:460(M+ ) 元素分析値:C2019Cl3 6 として C H 計算値 52.03% 4.15% 実測値 52.27% 4.18%
【0055】(実施例13〜15)実施例8〜10で得
られた化合物を用いて、実施例12と同様に下記表3記
載の化合物を得た。
【0056】
【表3】
【0057】
【発明の効果】
(試験例1)抗枯草菌作用 実施例12の化合物をアセトニトリルに溶解し、径8mm
のペーパーディスクに、1.0,2.5,5.0,1
0,20μg/ディスクの濃度となるよう、それぞれし
み込ませた。これらのディスクを枯草菌に対する抗菌活
性測定用の平板上に乗せ、37℃、約20時間培養し阻
止円の直径を測定した。 薬物量(μg/ディスク) 1.0 2.5 5.0 10 20 阻止円直径(mm) − ± 9.9 11.1 12.3 本発明化合物は枯草菌に対する抗菌活性を有する。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) [式中、R1 はアルキル基、アルケニル基又はアシル基
    を、R2 は低級アルキル基を、Xは水素原子又はハロゲ
    ン原子を示す]で表されるジベンゾフラン誘導体及びそ
    の薬理学的に許容しうる塩。
  2. 【請求項2】 一般式(1a) [式中、R1 はアルキル基、アルケニル基又はアシル基
    を、R2 は低級アルキル基を、X1 はハロゲン原子を示
    す]で表されるジベンゾフラン誘導体及びその薬理学的
    に許容しうる塩。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004292439A (ja) * 2003-03-10 2004-10-21 Sumitomo Chem Co Ltd フラン化合物の製造方法
CN115197183A (zh) * 2021-04-13 2022-10-18 中国中医科学院中药研究所 一种含硫二苯并呋喃型化合物及其制备方法和应用

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