JPH10251243A - ソルゴラクトン及びその立体異性体の製造方法、ソルゴラクトン立体異性体及び三環性ラクトン、並びに発芽誘因剤 - Google Patents

ソルゴラクトン及びその立体異性体の製造方法、ソルゴラクトン立体異性体及び三環性ラクトン、並びに発芽誘因剤

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JPH10251243A
JPH10251243A JP8218297A JP8218297A JPH10251243A JP H10251243 A JPH10251243 A JP H10251243A JP 8218297 A JP8218297 A JP 8218297A JP 8218297 A JP8218297 A JP 8218297A JP H10251243 A JPH10251243 A JP H10251243A
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sorgolactone
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Junichi Matsui
順一 松井
Kenji Mori
謙治 森
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Kanebo Ltd
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Kanebo Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ソルゴラトトン及びその立体体の製造方法、特
に新規化合物のソルゴラクトン立体異性体及びその中間
体である三環性ラクトン、並びに発芽誘因剤を提供す
る。 【解決手段】下記一般式(1)のジケトカルボン酸(一
般式1a)を還元してヒドロキシラクトン(一般式1b
でRがOHの化合物)、次にブロム化してブロモラクト
ン(一般式1bでRがBrの化合物)、次に脱ブロム化
して三環性ラクトン(一般式1cの化合物)、次にホル
ミル化してヒドロキシメチレンラクトン(一般式1dの
化合物)に段階的に変換合成し、該ヒドロキシメチレン
ラクトンと4−ブロモ−2−メチル−2−ブテン−4−
オリド(ラセミ体)とカップリングすることにより最終
生成物であるソルゴラクトン及びその立体異性体(一般
式1eの化合物)を合成する。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ソルゴラクトン及
びその立体異性体の製造方法、特に新規化合物のソルゴ
ラクトン立体異性体を提供し、寄生植物の種子の発芽誘
因剤としての利用に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、穀物類、マメ類等の農作物の根に
寄生し、根から栄養素を吸収して農作物の収穫量を減少
させたり、農作物を枯れさせる原因となる寄生植物、例
えば、マスリマヘガミ属(Striga)、ハマウツボ
属(Orobanche)等の寄生植物が問題となり、
この解決策として農作物を栽培する前に、寄生植物の発
芽誘因剤を散布し寄生植物の種子の発芽を強制的に誘因
して寄生植物を枯らした後に、農作物を栽培する方法が
提案されている。この発芽誘因剤として、下記化6で示
される化合物のストリゴールがある(化学と生物,23
巻,9号,606〜612頁)。しかしながら該ストリ
ゴールの寄生植物に対する発芽誘因効果については必ず
しも充分満足できるものではなかった。
【0003】
【化6】
【0004】また、下記化7で示される化合物のソルゴ
ラクトンが発芽誘因効果を有することが既に報告されて
いるが(J.Plant Physiol.,1992
年,139,474〜478)、ソルゴラクトンは天然
界に存在することが確認されているが、該化合物の合成
方法がなくソルゴラクトンを寄生植物の発芽誘因剤とし
て実用化することは困難であった。
【0005】
【化7】
【0006】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記のよ
うな問題点を解消するためになされたもので、ソルゴラ
クトンを包含するソルゴゴラクトン及びその立体異性体
の製造方法、及び新規なソルゴラクトン立体異性体及び
その中間体である三環性ラクトン、並びに寄生植物の発
芽誘因効果と実用性に優れた発芽誘因剤を提供すること
を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記実情に
鑑み鋭意検討した結果、下記手段によって上記課題を解
決することができた。すなわち、第1の本発明は、下記
一般式(1)で、出発原料のジケトカルボン酸(一般式
1a)を還元してヒドロキシラクトン(一般式1bでR
がOHの化合物)、次にブロム化してブロモラクトン
(一般式1bでRがBrの化合物)、次に脱ブロム化し
て三環性ラクトン(一般式1cの化合物)、次にホルミ
ル化してヒドロキシメチレンラクトン(一般式1dの化
合物)に段階的に順次変換合成し、該ヒドロキシメチレ
ンラクトンと4−ブロモ−2−メチル−2−ブテン−4
−オリド(ラセミ体)とカップリングすることにより最
終生成物であるソルゴラクトン及びその立体異性体のラ
セミ体(一般式1eの化合物)を合成することを特徴と
するソルゴラクトン及びその立体異性体の製造方法にあ
る。
【0008】
【化8】
【0009】(式中、R2 がメチル基でR3 が水素原
子、又はR2 が水素原子でR3 がメチル基を示す。)
【0010】第2の本発明は、下記一般式(2)で、出
発原料のジケトカルボン酸(一般式2a)を還元してヒ
ドロキシラクトン(一般式2bでRがOHの化合物)、
次にブロム化してブロモラクトン(一般式2bでRがB
rの化合物)、次に脱ブロム化して三環性ラクトン(一
般式2cの化合物)、次にホルミル化してヒドロキシメ
チレンラクトン(一般式2dの化合物)に順次変換合成
し、該ヒドロキシメチレンラクトンと4−ブロモ−2−
メチル−2−ブテン−4−オリド(ラセミ体)とカップ
リングすることにより最終生成物であるソルゴラクトン
立体異性体のラセミ体(一般式2eの化合物)を合成す
ることを特徴とするソルゴラクトン立体異性体の製造方
法にある。
【0011】
【化9】
【0012】(式中、R2 がメチル基でR3 が水素原
子、又はR2 が水素原子でR3 がメチル基を示す。)
【0013】第3の本発明は、下記一般式(3)で表さ
れる新規化合物であるソルゴラクトン立体異性体、及び
該ソルゴラクトン立体異性体を有効成分とする発芽誘因
剤にある。
【0014】
【化10】
【0015】(式中、R2 がメチル基でR3 が水素原子
を示す。)
【0016】第4の本発明は、下記一般式(4)で表さ
れる新規化合物ソルゴラクトン異性体、及び該ソルゴラ
クトン異性体を有効成分とする発芽誘因剤にある。
【0017】
【化11】
【0018】(式中、R2 がメチル基でR3 が水素原
子、又はR2 が水素原子でR3 がメチル基を示す。)
【0019】第5の本発明は、ソルゴラクトン及びその
立体異性体の中間体である下記一般式(5)で表される
三環性ラクトンにある。
【化12】
【0020】(式中、R2 がメチル基でR3 が水素原
子、又はR2 が水素原子でR3 がメチル基を示す。)
【0021】
【発明の実施の形態】本発明であるソルゴラクトン及び
その立体異性体は、既知化合物であるジケトカルボン酸
を出発原料とし3段階で得られる三環性ラクトンをホル
ミル化した後、4−ブロモ−2−メチル−2−ブテン−
4−オリド(4−bromo−2−methyl−2−
buten−4−olide)とカップリングさせるこ
とにより、ソルゴラクトンとして既に報告されている構
造(J.Plant Physiol.,1992年,
139,474〜478)を有するソルゴラクトン、及
び新規化合物である3種の立体異性体のラセミ体である
ソルゴラクトン立体異性体が合成される。これらラセミ
体はそれぞれの立体異性体に通常の方法よって分離する
ことも可能である。尚、本発明のこれら化合物を、マス
リマヘガミ属(Striga)、ハマウツボ属(Oro
banche)等の寄生植物の種子の発芽誘因剤として
使用するさいは、これらソルゴラクトン及びその立体異
性体そのまま、又はエタノール等の溶媒に溶解して使用
されるが、その希釈濃度としては、例えば、発芽誘因剤
組成物の全重量中、10-10 〜10-5M%が好適であ
る。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明す
る。尚、各中間体と最終生成物の構造確認は、13C−N
MR、IR、元素分析、X線構造解析(理学電機社製A
FC−55)等によって行った。
【0023】(1)中間体のヒドロキシラクトンの合成 中間体のヒドロキシラクトン〔前記一般式(1)、
(2)の1b、2bでRがOH〕である1,4−ジヒド
ロキシ−7−メチル−2,3,4,5,6,7−ヘキサ
ヒドロキシインデニル−2−酢酸−γ−ラクトン(1,
4−Dihydroxy−7−metyl−2,3,
4,5,6,7−hexahydroinden−2−
ylacetic acid γ−lactone)の
合成例を記す。
【0024】既知化合物〔Tetrahedron,5
0,2895〜2906(1994)に記載〕であるジ
ケトカルボン酸の7−メチル−1,4−ジオキソ−2,
3,4,5,6,7−ヘキサヒドロインデニル−2−酢
酸〔前記一般式(1)、(2)の1a、2aの化合物〕
(ラセミ体、ジアスステレオ異性体混合物)0.77g
(0.8mmol)を水8.5ml中に添加し、1N水
酸化ナトリウム水溶液で中和した。これに塩化セリウム
七水和物0.30g(0.8mmol)/水0.85m
lを加え、更に塩化メチレン3.4mlを加え、0℃に
冷却した。続いて、還元剤の水素化ホウ素ナトリウム
0.18g(4.8mmol)/水0.85mlを滴下
し、滴下終了後、2時間攪拌を行った。反応混合液が透
明になるまで6N塩酸を加え、塩化メチレンで抽出し、
有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去し
て得られた黄色液体をシリカゲルクロマトグラフィー
(ベンゼン−酢酸エチル 6:1)により精製し、1,
4−ジヒドロキシ−7−メチル−2,3,4,5,6,
7−ヘキサヒドロキシインデニル−2−酢酸−γ−ラク
トン(ラセミ体、ジアステレオ異性体混合物)を無色液
体として111mg(収率67%)得た。
【0025】(2)中間体のブロモラクトンの合成 中間体のヒドロキシラクトン〔前記一般式(1)、
(2)の1b、2bでRがBrの化合物〕である4−ブ
ロモ−1−ヒドロキシ−7−メチル−2,3,4,5,
6,7−ヘキサヒドロインデニル−2−酢酸−γ−ラク
トン(4−Bromo−1−hydroxy−7−me
tyl−2,3,4,5,6,7−hexahydro
inden−2−ylacetic acid γ−l
actone)の合成例を次に記す。
【0026】アルゴン雰囲気下、上記合成方法(1)で
得られた1,4−ジヒドロキシ−7−メチル−2,3,
4,5,6,7−ヘキサヒドロインデニル−2−酢酸−
γ−ラクトン0.77g(3.7mmol)を乾燥塩化
メチレン20mlに溶解させ、これに四臭化炭素1.7
6g(6.7mmol)/乾燥塩化メチレン47ml及
びトリフエニルフオスフイン3.43g(10.3mm
ol)/乾燥塩化メチレン47mlをゆっくり滴下し、
室温で15分間攪拌を行った。続いて、溶媒の塩化メチ
レンで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した後、硫酸
マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去して得られた淡
黄色液体をシリカゲルクロマトグラフイー(ヘキサン−
酢酸エチル 6:1)により精製し、4−ブロモ−1−
ヒドロキシ−7−メチル−2,3,4,5,6,7−ヘ
キサヒドロインデニル−2−−酢酸−γ−ラクトン(ラ
セミ体、ジアステレオ異性体混合物)を無色液体として
0.87g(収率87%)得た。
【0027】(3)中間体の三環性ラクトンの合成 中間体の新規化合物の三環性ラクトン〔前記一般式
(1)、(2)の1c、2cの化合物〕である1−ヒド
ロキシ−7−メチル−2,3,4,5,6,7−ヘキサ
ヒドロインデニル−2−酢酸−γ−ラクトン(1−hy
droxy−7−methyl−2,3,4,5,6,
7−hexahydroinden−2−ylacet
ic acid γ−lactone)の合成例を次に
記す。
【0028】アルゴン雰囲気下、亜鉛−銅合金(91:
5)2.13g(32mmol)に上記合成方法(2)
で得られた4−ブロモ−1−ヒドロキシ−7−メチル−
2,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロインデニル−2
−−酢酸−γ−ラクトン(ラセミ体、ジアステレオ異性
体混合物)867mg(3.2mmol)/乾燥テトラ
ヒドロフラン50mlを加え、更に酢酸0.17mlを
添加した。室温で1時間攪拌を行った後、過剰の亜鉛−
銅合金を除去し、更に溶媒を留去した。残渣をクロロホ
ルム100mlに溶解させ室温で2日間攪拌を行った。
溶媒を留去して得られる黄色液体をシリカゲルクロマト
グラフイー(ヘキサン−酢酸エチル 5:1)により精
製し、鍵中間体であり新規化合物である1−ヒドロキシ
−7−メチル−2,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロ
インデニル−2−酢酸−γ−ラクトン(1−hydro
xy−7−methyl−2,3,4,5,6,7−h
exahydroinden−2−ylacetic
acid γ−lactone)(ラセミ体、ジアステ
レオ異性体混合物)を淡黄色液体として247mg(収
率40%)得た。この化合物を中圧液体クロマトグラフ
イー(ヘキサン−酢酸エチル 5:1)により白色結晶
の1−ヒドロキシ−7−メチル−2,3,4,5,6,
7−ヘキサヒドロインデニル−2−酢酸−γ−ラクトン
のラセミ体(融点43〜46℃)〔前記一般式(1)、
(2)の1c、2cでR2 がメチル基でR3 が水素原子
の化合物〕と、淡黄色液体の1−ヒドロキシ−7−メチ
ル−2,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロインデニル
−2−酢酸−γ−ラクトンのラセミ体〔前記一般式
(1)、(2)の1c、2cでR2 が水素原子でR3
メチル基の化合物〕に分離した。上記方法で得られた各
化合物の構造確認と性状は、IR、13C−NMR、I
R、元素分析等よって下記の通り確認した。
【0029】(a)1−ヒドロキシ−7−メチル−2,
3,4,5,6,7−ヘキサヒドロインデニル−2−酢
酸−γ−ラクトンのラセミ体 融点:43〜46℃ IR(KBR):1755,1170cm-1 1 H−NMR(300MHz,CDC13 ):1.10
(3H,d,J=7.0Hz,8−Me),1.23
(1H,m,7−H),1.50−1.84(3H,
m,6−H&7−H’),1.96(2H,m,5−
H),2.13(1H,d,J=16.6Hz,4−
H),2.28−2.41(1H,m,8−H),2.
29(1H,dd,J=18.3,5.7Hz,3−
H),2.66(1H,dd,J=16.6,8.2H
z,4−H’),2.82(1H,dd,J=18.
3,10.6Hz,3−H’),3.05(1H,m,
3a−H),5.47(1H,d,J=7.4Hz,8
b−H) C12162 の計算値と分析値:計算値C=74.97
%,H=8.39%、実測値C=74.70%,H=
8.39%
【0030】(b)1−ヒドロキシ−7−メチル−2,
3,4,5,6,7−ヘキサヒドロインデニル−2−酢
酸−γ−ラクトンのラセミ体1 H−NMR(300MHz,CDC13 ):1.10
(3H,d,J=7.1Hz,8−Me),1.34
(1H,m,7−H),1.57(1H,m,7
H’),1.75(2H,m,6−H),1.97(2
H,m.5−H),2.17(1H,d,J=1.66
Hz,4−H),2.24−2.37(1H,m,8−
H),2.34(1H,dd,J=18.2,4.4H
z,3−H),2.61(1H,dd,J=16.6,
8.7Hz,4−H’),2.80(1H,dd,J=
18.2,10.3Hz,3−H’),3.03(1
H,m,3a−H),5.31(1H,d,J=7.1
Hz,8b−H)
【0031】(4)三環性ラクトンのホルミル化 アルゴン雰囲気下、水素化ナトリウム(60%油中懸
濁)31mg(0.78mmol)を乾燥ジエチルエー
テル2mlに懸濁させたところに、上記合成方法(3)
で得られた白色結晶のラセミ体〔前記一般式(1)、
(2)の1c、2cでR2 がメチル基でR3 が水素原子
の化合物〕50mg(0.26mmol)/乾燥ジエチ
ルエーテル2mlを滴下した。続いて、蟻酸エチル0.
25mlを加え、このまま室温で45時間攪拌を行っ
た。1N−塩酸を用いて溶液を酸性にした後、酢酸エチ
ルで抽出を行った。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、
硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を留去して得られ
た淡黄色固体を冷ペンタンで洗浄し、ヒドロキシメチレ
ンラクトンのラセミ体〔前記一般式(1)、(2)の1
d、2dでR2 がメチル基でR3 が水素原子の化合物〕
を58mg〔融点:118〜119℃、IR(KB
R):3600−3200,1710,1665,16
00,1200cm1 )〕得た。
【0032】同様にして、上記合成方法(3)で得られ
た淡黄色液体のラセミ体〔前記一般式(1)、(2)の
1c、2cでR2 が水素原子でR3 がメチル基の化合
物〕から定量的にヒドロキシメチレンラクトンのラセミ
体〔前記一般式(1)、(2)の1d、2dでR2 が水
素でR3 がメチル基の化合物〕を57mg〔融点:11
4〜116℃、IR(KBR):3600−3000,
1714,1690,1630,1205cm1 )〕得
た。
【0033】(5)(+)−ソルゴラクトン及びその立
体異性体(2’−エピソルゴラクトン、8−エピソルゴ
ラクトン、2’,8−ジエピソルゴラクトン)の合成 アルゴン雰囲気下、上記合成方法(4)で得られたヒド
ロキシメチレンラクトンのラセミ体〔前記一般式
(1)、(2)の1d、2dでR2 がメチル基でR3
水素原子の化合物〕55mg(0.25mmol)を乾
燥N−メチルピロリジン2mlに溶解させ、これに炭酸
カリウム69mg(0.50mmol)を添加した。こ
の懸濁液に4−ブロモ−2−メチル−2−ブテン−4−
オリドのラセミ体(4−bromo−2−methyl
−buten−4−olide)75mg(0.43m
mol)/乾燥N−メチルピロリジノン1mlを滴下
し、このまま室温で20時間攪拌を行った。懸濁液を1
N−塩酸5mlに移し、これを酢酸エチルで抽出した。
有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで
乾燥させた。溶媒を留去して得られた黄色液体をシリカ
ゲルクロマトグラフイー〔商標:Labar Lich
ropred Si60(40〜63μm)〕で分離・
精製し、白色結晶の(±)−8−エピソルゴラクトン
(8−episorgolactone)〔前記一般式
(1)の1eでR2 がメチル基でR3 が水素原子の化合
物。以下、No.3化合物と略す。〕を28mg(収率
39%)、及び白色結晶の(±)−2’,8−ジエピソ
ルゴラクトン(2’,8−diepisorgolac
tone)〔前記一般式(2)の2eでR2 がメチル基
でR3 が水素原子の化合物。以下、No.4化合物と略
す。〕を32mg(収率45%)得た。上記方法で得ら
れた各化合物の構造確認と性状は、IR、13C−NM
R、IR、元素分析等よって下記の通り確認した。
【0034】(a)(±)−8−エピソルゴラクトン体 融点:131〜133℃ IR(KBR):1790,1738,1684,13
42,1181,1094,1021,957cm-1 1 H−NMR(300MHz,CDC13 ):1.10
(3H,d,J=7.0Hz,8−Me),1.34
(1H,m,7−H),1.55(1H,m,7−
H’),1.71(2H,m,6−H),1.94(2
H,m,5−H),2.00(3H,t,J=1.9H
z,4’−Me),2.22−2.47(2H,m,4
−H&8−H),2.67(1H,m,4−H’),
3.60(1H,m,3a−H),5.33(1H,
d,J=7.5Hz,8b−H),6.15(1H,
t,J=1.3Hz,3’−H),6.92(1H,
t,J=1.6Hz,2’−H),7.40(1H,
d,J=2.5Hz) C18205 の計算値と分析値:計算値C=68.34
%,H=6.37%、実測値C=68.42%,H=
6.34%
【0035】(b)(±)−2’,8−ジエピソルゴラ
クトン 融点:116〜118℃1 H−NMR(300MHz,CDC13 ):1.10
(3H,d,J=7.1Hz,8−Me),1.34
(1H,m,7−H),1.57(1H,m,7
H’),1.75(2H,m,6−H),1.97(2
H,m.5−H),2.17(1H,d,J=1.66
Hz,4−H),2.24−2.37(1H,m,8−
H),2.34(1H,dd,J=18.2,4.4H
z,3−H),2.61(1H,dd,J=16.6,
8.7Hz,4−H’),2.80(1H,dd,J=
18.2,10.3Hz,3−H’),3.03(1
H,m,3a−H),5.31(1H,d,J=7.1
Hz,8b−H) C18205 の計算値と分析値:計算値C=68.34
%,H=6.37%、実測値C=68.04%,H=
6.40%
【0036】同様にして、上記合成方法(4)で得たヒ
ドロキシメチレンラクトンのラセミ体〔前記一般式
(1)、(2)の1d、2dでR2 が水素原子でR3
メチル基の化合物〕から白色結晶の(±)−ソルゴラク
トン〔(±)−sorgolactone〕〔前記一般
式(1)の1eでR2 が水素原子でR3 がメチル基の化
合物。以下、No.1化合物と略す。〕を33mg(収
率42%)、及び白色結晶の(±)−2’−エピソルゴ
ラクトン((±)−2’−diepisorgolac
tone)〔前記一般式(2)の2eでR2 が水素原子
でR3 がメチル基の化合物。以下、No.2化合物と略
す。〕を32mg(収率41%)得た。上記方法で得ら
れた各化合物の構造確認と性状は、IR、13C−NM
R、IR、元素分析等よって下記の通り確認した。
【0037】(a)(±)ソルゴラクトン 融点:127〜129℃ IR(KBR):1790,1746,1728,16
78,1348,1182,1096,1021,95
7cm-1 1 H−NMR(300MHz,CDC13 ):1.05
(3H,d,J=6.9Hz,8−Me),1.24
(1H,m,7−H),1.55(1H,m,7−
H’),1.70(2H,m,6−H),1.93(2
H,m,5−H),2.01(3H,t,J=1.5H
z,4’−Me),2.27−2.43(2H,m,4
−H&8−H),2.74(1H,m,4−H’),
3.60(1H,m,3a−H),5.48(1H,
d,J=7.7Hz,8b−H),6.15(1H,
t,J=1.3Hz,3’−H),6.93(1H,
t,J=1.6Hz,2’−H),7.41(1H,
d,J=2.6Hz) C18205 の計算値と分析値:計算値C=68.34
%,H=6.37%、実測値C=68.30%,H=
6.42%
【0038】(b)(±)−2’−エピソルゴラクトン 融点:117〜119℃ IR(KBR):1784,1746,1683,13
33,1180,1092,1024,956cm-1 1 H−NMR(300MHz,CDC13 ):1.04
(3H,d,J=6.9Hz,8−Me),1.24
(1H,m,7−H),1.55(1H,m,7
H’),1.71(2H,m,6−H),1.92(2
H,m.5−H),2.01(3H,t,J=1.5H
z,4’−Me),2.25−2.42(2H,m,4
−H&8−H),2.71(1H,m,4−H’),
3.59(1H,m3a−H’),5.48(1H,
d,J=7.7Hz,8b−H’),6.14(1H,
t,J=1.3Hz,3’−H),6.93(1H,
t,J=1.6Hz,2’−H)、7.42(1H,J
=2.6Hz) C18205 の計算値と分析値:計算値C=68.34
%,H=6.37%、実測値C=68.12%,H=
6.44%
【0039】(6)最終生成物の構造確認試験結果 上記合成方法(5)で得られた最終生成物の1 H−NM
Rデータを下記表1に示す。表1の結果から目的とする
構造式の化合物が得られたことを確認できた。
【0040】
【表1】
【0041】(7)寄生植物の種子の発芽誘因効果試験 (A)実験方法 クローバーに寄生し、開花、結実したヤセウツボ種子
(Orobancheminor)を1994年と19
95年に採集し、室内で乾燥、後熟、冷却保存したた種
子を使用した。直径9cmのシャーレに濾紙を敷き、ジ
ベレリン(GA3 10-4M)溶液で湿らせ、更にガラス
繊維製のディスク状濾紙(直径5mm)を3枚敷いて、
その上に上記ヤセウツボ種子(20粒)を置床した。こ
のシャーレをアルミホイルで包み、25℃、暗黒下に置
き、10日間前培養を行った。この後、直径5cmのシ
ャーレに10-5MのGA3 を含むソルゴラクトン誘導体
溶液を加え、前培養を行った種子をのせた濾紙を5枚移
し、暗黒下、25℃で6日間培養した。培養終了後、顕
微鏡下(倍率30倍)で発芽数を調べた。尚、実験は4
往復し、発芽率を求めた。その結果は、下記表2に示し
た通りである。
【0042】
【表2】
【0043】(B)実験結果 表2の結果から、No.2〜No.4の化合物は発芽誘
因効果を有し、特にNo.2とNo.4の化合物は、従
来から発芽誘因剤として知られているNo.1化合物
(ソルゴラクトン)と比べると、発芽誘因効果に優れて
いることが判った。
【0044】
【発明の効果】上記記載の通り、本発明はソルゴラクト
ン及びその立体異性体の製造方法を提供でき、該ソルゴ
ラクトン立体異性体は寄生植物の発芽誘因効果に優れて
いることは明らかである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で、出発原料のジケト
    カルボン酸(一般式1a)を還元してヒドロキシラクト
    ン(一般式1bでRがOHの化合物)、次にブロム化し
    てブロモラクトン(一般式1bでRがBrの化合物)、
    次に脱ブロム化して三環性ラクトン(一般式1cの化合
    物)、次にホルミル化してヒドロキシメチレンラクトン
    (一般式1dの化合物)に段階的に変換合成し、該ヒド
    ロキシメチレンラクトンと4−ブロモ−2−メチル−2
    −ブテン−4−オリド(ラセミ体)とカップリングする
    ことにより最終生成物であるソルゴラクトン及びその立
    体異性体のラセミ体(一般式1eの化合物)を合成する
    ことを特徴とするソルゴラクトン及びその立体異性体の
    製造方法。 【化1】 (式中、R2 がメチル基でR3 が水素原子、又はR2
    水素原子でR3 がメチル基を示す。)
  2. 【請求項2】 下記一般式(2)で、出発原料のジケト
    カルボン酸(一般式2a)を還元してヒドロキシラクト
    ン(一般式2bでRがOHの化合物)、次にブロム化し
    てブロモラクトン(一般式2bでRがBrの化合物)、
    次に脱ブロム化して三環性ラクトン(一般式2cの化合
    物)、次にホルミル化してヒドロキシメチレンラクトン
    (一般式2dの化合物)に段階的に変換合成し、該ヒド
    ロキシメチレンラクトンと4−ブロモ−2−メチル−2
    −ブテン−4−オリド(ラセミ体)とカップリングする
    ことにより最終生成物であるソルゴラクトン立体異性体
    のラセミ体(一般式2eの化合物)を合成することを特
    徴とするソルゴラクトン立体異性体の製造方法。 【化2】 (式中、R2 がメチル基でR3 が水素原子、又はR2
    水素原子でR3 がメチル基を示す。)
  3. 【請求項3】 下記一般式(3)で表されるソルゴラク
    トン立体異性体。 【化3】 (式中、R2 がメチル基でR3 が水素原子を示す。)
  4. 【請求項4】 下記一般式(4)で表されるソルゴラク
    トン立体異性体。 【化4】 (式中、R2 がメチル基でR3 が水素原子、又はR3
    水素原子でR3 がメチル基を示す。)
  5. 【請求項5】 下記一般式(5)で表される三環性ラク
    トン。 【化5】 (式中、R2 がメチル基でR3 が水素原子、又はR2
    水素原子でR3 がメチル基を示す。)
  6. 【請求項6】 請求項3又は請求項4記載のソルゴラク
    トン立体異性体を有効成分とする発芽誘因剤。
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JP2006282513A (ja) * 2005-03-31 2006-10-19 Morishita Jintan Kk 植物根寄生植物の防除方法
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