JPH1179A - Gas6遺伝子改変マウス - Google Patents

Gas6遺伝子改変マウス

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JPH1179A
JPH1179A JP9167999A JP16799997A JPH1179A JP H1179 A JPH1179 A JP H1179A JP 9167999 A JP9167999 A JP 9167999A JP 16799997 A JP16799997 A JP 16799997A JP H1179 A JPH1179 A JP H1179A
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JP
Japan
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gene
gas6
mouse
cells
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JP9167999A
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Toru Nakano
亨 中野
Yoshikazu Ishimoto
義和 石本
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Shionogi and Co Ltd
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Shionogi and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】Gas6遺伝子が改変されたマウスを作製し
て、その生理機能の変化を解析することによって、Ga
s6の生理的な役割を直接明らかにすることを可能にす
るとともに、同時に、Gas6の関与する種々の病態の
解明あるいは治療法の研究のために、遺伝的背景の明確
な動物モデルを提供すること。 【解決手段】Gas6蛋白質を発現しないようにGas
6遺伝子が改変されたマウス。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Gas6遺伝子改
変マウスに関する。さらに詳しくは、Gas6蛋白質が
発現されないようにGas6遺伝子が改変されたマウス
に関する。
【0002】
【従来の技術】Gas6は、細胞の増殖が停止した時に
特異的に発現が亢進する遺伝子の産物として発見された
ものである(Manfioletti, G. et al., Mol. Cell. Bio
l., 13,4976-4985(1993)) 。Gas6がどのような生物
活性を有するのかは明らかにされていなかったが、本発
明者らにより、血管平滑筋細胞の増殖を促進する蛋白質
として血管平滑筋細胞の培養液から精製された蛋白質が
Gas6そのものであったことから、Gas6の生物活
性の一つは、細胞の増殖促進であることが判明した(Nak
ano, T. et al., J. Biol. Chem., 270, 5702-5705(199
5)) 。さらに、Gas6は、血管平滑筋細胞の細胞死を
防ぐ活性をも有する(Nakano, T. et al.,FEBS Lett., 3
87, 78-80(1996)) 。一方、Gas6は、チロシンキナ
ーゼ型のレセプターであるAxl 、Sky などのリガンドで
あることが明らかにされ、Gas6の生物活性はおそら
くこれらのレセプターを介しているものと予想されてい
る(Varnum, B.C. et al., Nature, 373, 623-626; Ohas
hi, K. et al., J. Biol. Chem., 270, 22681-22684(19
95))。
【0003】Gas6は、血管平滑筋以外にも多くの組
織で発現していることが明らかにされており、レセプタ
ーであるAxl 、Sky に関してもSky が脳に特異的に、Ax
l がその他の多くの組織で発現していることが知られて
いる。従って、Gas6は、血管以外の組織でも重要な
生理作用を有することが予想されているが、Gas6の
生物活性については、前記したように未だ限られた情報
しかなく、生体の機能維持にどのように関与しているか
は解明されていない。また、このような生理機能の解明
に必要な、Gas6遺伝子が改変された哺乳動物は知ら
れていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、Gas6遺伝子が改変
されたマウスを作製して、その生理機能の変化を解析す
ることによって、Gas6の生理的な役割を直接明らか
にすることを可能にするとともに、同時に、Gas6の
関与する種々の病態の解明あるいは治療法の研究のため
に、遺伝的背景の明確な動物モデルを提供することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
は、(1) Gas6蛋白質を発現しないようにGas
6遺伝子が改変されたマウス、(2) Gas6遺伝子
の領域内に他の遺伝子が挿入されることによりGas6
遺伝子が改変された前記(1)記載のマウス、(3)
他の遺伝子が選択マーカー遺伝子である前記(2)記載
のマウス、(4) Gas6遺伝子の第1エキソンおよ
び第2エキソンを含む領域をネオマイシン耐性遺伝子と
置換することにより、該ネオマイシン耐性遺伝子がGa
s6遺伝子の領域内に挿入されている、前記(1)〜
(3)いずれか記載のマウス、に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において、マウスとは、G
as6蛋白質を発現しないようにGas6遺伝子が改変
されたマウスであればいかなるマウスであっても本発明
の範疇に含まれる。
【0007】本発明のGas6遺伝子は、マウス由来の
遺伝子であり、マウスゲノミックDNAが好ましい。ゲ
ノミックDNAは、プロモーター領域、エキソン領域お
よびイントロン領域等を含む。
【0008】本発明において、「Gas6遺伝子が改変
された」とは、前記Gas6遺伝子の塩基配列におい
て、1または複数の塩基に、置換、欠失、挿入または付
加の変異を導入することにより、Gas6遺伝子が検出
されないことまたはGas6蛋白質が発現されないこと
をいう。
【0009】前記Gas6遺伝子が検出されないこと
は、例えば、PCR法、後述の実施例4に記載のサザン
ブロッティング法により確認することができる。前記G
as6蛋白質が発現されないことは、例えば、後述の試
験例1に記載のように、ウエスタンブロッティング法に
より確認することができる。
【0010】本発明においては、Gas6遺伝子の領域
内に、他の遺伝子が挿入されることにより、Gas6遺
伝子が改変されたマウスが好ましく、スクリーニングの
容易さの点から、選択マーカー遺伝子が挿入されること
により、Gas6遺伝子が改変されたマウスがさらに好
ましい。
【0011】前記選択マーカー遺伝子としては、ネオマ
イシン耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子、アン
ピシリン耐性遺伝子等のポジティブ選択マーカー遺伝子
が挙げられるが、選択マーカー遺伝子を含む相同組換え
用構築物が導入されるマウス胚性幹細胞をスクリーニン
グする観点から、ネオマイシン耐性遺伝子が好ましい。
ネオマイシン耐性遺伝子は、pMC1neo(STRATAGE
NE社製) 等の市販のプラスミドから適宜制限酵素等によ
り切り出して用いることができる。
【0012】本発明においては、前記ポジティブ選択マ
ーカー遺伝子に加えて、ジフテリア毒素A フラグメント
遺伝子、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子
等のネガティブ選択マーカー遺伝子を所望の相同組換え
部位の3’側に導入してもよい。そうすることによっ
て、所望の相同組換え体のスクリーニングが容易にな
る。
【0013】さらに、本発明においては、相同組換えに
より別の転写産物が生じるのを避けるため、Gas6遺
伝子の第1エキソンおよび第2エキソンを含む領域をネ
オマイシン耐性遺伝子と置換することにより、該ネオマ
イシン耐性遺伝子がGas6遺伝子の領域内に挿入され
ているマウスが特に好ましい。
【0014】前記Gas6遺伝子の第1エキソンおよび
第2エキソンを含む領域とネオマイシン耐性遺伝子との
置換は、例えば、相同組換えにより行なうことができ
る。
【0015】以下に、相同組換えによる本発明のマウス
の作製方法を具体的に説明する。 1)マウスGas6遺伝子の相同組換え用構築物の作製 Gas6遺伝子を人為的に改変させたマウスを得るため
には、Gas6遺伝子をクローニングし、Gas6遺伝
子の塩基配列に前記したような変異を導入した相同組換
え用構築物を用いる相同組換えを行なう。Gas6遺伝
子のクローニングは、例えばマウス肝臓からゲノミック
DNAを抽出し、常法に従ってDNAライブラリーを作
製し、これをすでにクローニングされているマウスGa
s6DNA、たとえば cDNA(Manfioletti, G. et a
l., Mol. Cell. Biol., 13, 4976-4985(1993)) を用い
てスクリーニングすればよい。
【0016】Gas6遺伝子を改変させるためには、前
記したように、Gas6遺伝子領域内のいずれかの部位
を欠失させてもよく、あるいはいずれかの部位に他の遺
伝子を挿入させてもよい。他の遺伝子を挿入させる場
合、Gas6遺伝子の改変および相同組換えを検出する
ために、好ましくは、ネオマイシン耐性遺伝子(G418 耐
性により選択) およびジフテリア毒素A フラグメント遺
伝子を用いる。これらの遺伝子の挿入は、試験管内で常
用のDNA組換え技法により行うことができる。
【0017】より具体的には、マウスゲノミックDNA
ライブラリーをGas6 cDNA断片をプローブとして
ハイブリダイズさせることによって、陽性クローンを得
る。かかるクローンからDNAを単離し、制限酵素で消
化して特定のエキソンを含むゲノミックDNAをサブク
ローニングする。次いで、Gas6遺伝子の構造を改変
しかつポジティブ/ネガティブセレクションを行うため
に、ネオマイシン耐性遺伝子およびジフテリア毒素A フ
ラグメント遺伝子を挿入した構築物を作製して相同組換
え用構築物(以下、相同組換え用DNAともいう)とし
て用いる(図1B)。
【0018】2)相同組換えによる胚性幹細胞でのGa
s6遺伝子変異 次に、得られた相同組換え用DNAをマウス胚性幹細胞
(ES細胞) に導入し、ES細胞中のGas6遺伝子と相同
組換えを行う。ES細胞は株化されたものであり、多分化
能を保持し、しかも培養細胞として維持、継代が可能な
細胞である。相同組換え用DNAの導入は、たとえば常
用のエレクトロポレーションにより行うことができる。
この相同組換えにおいては、胚性幹細胞内のGas6遺
伝子のDNAと相同組換え用DNAの対応する領域との
間で組換えが生じ、相同組換え用DNA中に挿入されて
いたネオマイシン耐性遺伝子が胚性幹細胞のゲノムGa
s6遺伝子に挿入される。この結果、胚性幹細胞はGa
s6遺伝子を欠失し、同時にマーカー遺伝子を得る。な
お、ジフテリア毒素A フラグメント遺伝子まで挿入され
た組み換え体は、発現したジフテリア毒素A により細胞
死を起こして排除される。
【0019】より具体的には、相同組換え用構築物を胚
性幹細胞を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS) に懸濁し、
エレクトロポレーションを行なう。次いで、G418で選択
培養を行なう。G418耐性コロニーについては、サザンブ
ロットにより相同組換え体の確認を行なう。
【0020】3)Gas6遺伝子変異胚性幹細胞による
キメラマウスの作製 次に、相同組換えにより得られた胚性幹細胞をマウスの
胚盤胞に注入し、さらに偽妊娠マウスの子宮角に移植し
て産仔を得る。さらに、得られたキメラマウスを適当な
系統のマウスと交配することにより産仔を得る。キメラ
マウスの生殖細胞が相同組換え体(Gas6遺伝子が破
壊されている) に由来すればGas6遺伝子が改変され
たマウスを得ることができる。
【0021】4)ホモ変異マウスの作製 移植によって得られたキメラマウスを、目的とする系統
のマウスと交配させ産仔を得る。キメラマウスの生殖細
胞が胚性幹細胞に由来しているか、交配マウスの系統に
由来しているかは、得られた産仔の適当な特質によって
決定できる。Gas6遺伝子のヘテロ変異マウス同士を
交配し、産仔のGas6遺伝子をサザンブロットによっ
て確認し、目的物であるGas6遺伝子ホモ変異マウ
ス、即ちGas6遺伝子が改変されたマウスを得る。
【0022】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するが、これらは本発明の限定を意図するものでは
ない。
【0023】実施例1 Gas6遺伝子DNA の相同組換え用構築物の作製 129SVJ系マウス肝臓のゲノミックDNAライブラリー
(STRATAGENE) から、マウスGas6の Gla(γ−カル
ボキシグルタミン酸)ドメインをコードする領域を含む
約170 bpのcDNAの部分配列をプローブとして用い、マウ
スGas6遺伝子の第1エキソン及び第2エキソンを含
むクローンを単離した(図1A)。次いで、Gas6遺
伝子の構造を破壊し、ポジティブ、ネガティブセレクシ
ョンを行うために、ネオマイシン耐性遺伝子およびジフ
テリア毒素A フラグメント遺伝子を用いて構築物を作製
した(図1B)。より具体的には、EcoRI-EcoRI 断片
(3.0kb, 第1エキソンの5'側)とBamHI-BamHI (3.5k
b,第2エキソンの3'側)を相同領域として用い、ネオマ
イシン耐性遺伝子とジフテリア毒素A フラグメント遺伝
子(京都大学、糸原博士より分与)を選択マーカーとし
て相同組換え用構築物を作製した。相同組換えが起こっ
た場合には、マウスGas6第1エキソン及び第2エキ
ソンを含むEcoRI-BamHI 領域(1.6 kb)がネオマイシン
耐性遺伝子(1.8kb )に置き換わることになる。
【0024】実施例2 相同組換えによるES細胞のGas6遺伝子の変異 1)ES細胞の調製およびその培養方法 実施例1により調製したマウスGas6遺伝子DNA の相
同組換え用構築物を導入する細胞として、マウス胚性幹
細胞(ES細胞)129/SVJ 系マウス胚盤胞由来のE14 株
(Hooper, M. L. et al., Nature, 326, 292(1987))を
用いた。E14 株の培養には、ダルベッコ改変イーグル培
地 (D-MEM, 12800-066 GIBCO) に15% 牛胎児血清 (FC
S)、0.1 mMの2-メルカプトエタノール、核酸混合液、非
必須アミノ酸溶液(Gibco )、L-グルタミン、ペニシリ
ン/ストレプトマイシン、および103units/mlのLIF (AM
RAD) を添加した培養液 (ES培地) を用いた。
【0025】また、E14 株のフィーダー細胞として用い
るマウス胎児線維芽細胞の培養には、D-MEM に10% FCS
、L-グルタミンおよびペニシリン/ストレプトマイシ
ンを添加した培地 (EF培地) を用いた。マウス胎児線維
芽細胞の調製および培養は、以下の通りに行った。胎齢
10〜14日のC57BL/6J系マウスの胎児を無菌的に採取し、
PBS で洗浄後、頭および内臓を除いた組織をハサミを用
いて細切した。次いで、0.05% トリプシンおよび0.02%
EDTAを含む溶液(TE溶液、Gibco)で処理して細胞浮遊液
を得た。細胞浮遊液はナイロンメッシュを通して細胞塊
や組織片を除いた後に1500 rpmで5 分間遠心分離後、上
清を除去し、30 ml のEF培地に懸濁し、175 mlの培養用
フラスコで培養を行った。3 〜4 日間隔で継代を行い、
継代が3 代目の細胞を以下の様にマイトマイシンC で処
理し、フィーダー細胞として用いた。
【0026】コンフルエント状態に達したマウス胎児線
維芽細胞を10μg/mlのマイトマイシンC で2時間処理
し、EF培地で3 回洗浄した後に、TE溶液で処理して細胞
を剥離した。次いで、遠心分離後、細胞をEF培地に再懸
濁させ、ゼラチンでコートしたフラスコ、シャーレある
いはマイクロプレート上に、2 〜4 x 104 cells/cm2
なるように分注した。
【0027】E14 株の継代は、37℃で5 分間、TE溶液で
処理後、ピペッティングによって単一細胞にまで分散さ
せ、フィーダー細胞層上に播種することにより行った。
培養液は12時間の間隔で交換した。
【0028】2)相同組換えによるES細胞のGas6遺
伝子の変異 制限酵素Not I により線状化した相同組換え用DNA30
μgをE14 株2.3 〜2.5 x 106 個を含むPBS に懸濁し、
0.8 V, 3 mF の条件でエレクトロポレーション法により
遺伝子導入を行った。導入後、125 μg/ml G418 (Genet
isin, Sigma)を含むES培地で選択培養を行った。 G418
耐性コロニーについては、遺伝子導入約150 時間後か
ら、マイクロピペットを用いて20μl のTE溶液を含む96
穴のマイクロプレート (Corning,25850)に移し換え、数
分間処理し、さらにピペッティングにより細胞を分散さ
せた後、200 μl のES培地を含む96穴マイクロプレート
に移し換え、培養を継続した。
【0029】96穴のマイクロプレート上の細胞がコンフ
ルエントに達した段階で、TE処理後、順次、24穴のマイ
クロプレート (IWAKI,3820-024) に移し換えて培養し、
細胞の増殖を図った。なお、ES細胞の培養は、すべてフ
ィーダー細胞上で行った。
【0030】3)相同組換え体の確認 相同組換え体の確認は、サザンブロットによって以下の
通りに行った。G418耐性細胞からゲノミックDNAを抽
出し、2種類の制限酵素とプローブを用いて、3'および
5'側の組換えを確認した。3'側の確認は、ゲノミックD
NAを制限酵素EcoRV で消化後、BamHI-Hind III断片
(0.8 kb)をプローブとして行った。相同組換え体および
野生型の確認は、それぞれ8.0 kbおよび約23 kb のバン
ドの検出により行った。この方法により相同組換え体と
して検出された細胞は、さらに5'側の組換えについて確
認した。5'側の確認はゲノミックDNAを制限酵素Hind
IIIで消化後、Hind III-EcoRI断片(0.5 kb)をプローブ
として行った。相同組換え体および野生型の確認は、そ
れぞれ5.3 kbおよび3.9 kbのバンドの検出により行っ
た。相同組換え体のコロニー数は、G418耐性コロニー47
6 個のうち9 個であった。
【0031】以上、実施例1および2により作製した相
同組換え体の作製模式図を図1に示す。図1AはGas
6遺伝子を示す。点線内の拡大された領域に第1エキソ
ンおよび第2エキソンを示し、かかる領域内の実線はイ
ントロンを示す。第1エキソン中のATG は開始コドンの
位置を示す。プローブとしてサザンブロット解析用の5'
プローブ(Hind III-EcoRI ゲノムDNA断片(0.5 k
b))および3'プローブ(BamHI-Hind III ゲノムDN
A断片(0.8 kb))を示す。
【0032】図1BはマウスGas6遺伝子相同組換え
用構築物を示す。ネオマイシン耐性遺伝子(pgk-neor )
、およびジフテリア毒素A フラグメント遺伝子(DT-
A)をボックスで示している。実線は相同領域を示す。
【0033】図1Cは予想および観察される相同組換え
体を示す。
【0034】実施例3 Gas6遺伝子変異ES細胞によるキメラマウスの作製 相同組換えが確認されたGas6遺伝子変異ES細胞E14
株(以下、単にES細胞と称する)をC57BL/6J系マウスの
胚盤胞へ注入した後、偽妊娠マウスの子宮角に移植して
産仔を得た。
【0035】注入に用いたES細胞は、20時間前に凍結か
ら融解させ培養を開始したものを用い、TE処理により分
散させた後、ゼラチンコートした24穴プレートに30分間
静置することによりフィーダー細胞をディッシュの底に
付着させ、ES細胞のみを回収した。ES細胞は顕微操作に
供するまで、氷上に静置した。ES細胞の注入針は毛細管
(MICROCAPS 50μl)を細く引き延ばし、先端を破砕し、
鋭くカットされ、内径がES細胞よりやや小さめのものだ
けを用いた。胚の保持針は、前記の方法で引き延ばした
ガラス管を切断した後に先端を溶融して用いた。
【0036】注入針と保持針を針先を約30度屈曲させ、
マイクロマニピュレーター (NARISIGE) にセットした。
顕微操作に用いたチャンバーは5 cmのシャーレのふたを
用い、10 mM Hepes(pH7.3)緩衝化ES培地を滴下しドロッ
プを形成し、その上面をミネラルオイルで覆った。
【0037】自然交配3.5 日目に、5% FCSを含むPBS で
子宮を灌流することによって子宮より採取したC57BL/6J
系マウスの胚盤胞を、37℃、5% CO2条件下、10 mM Hepe
s (pH7.3) 緩衝化ES培地中で1 時間培養した。この拡張
した胚盤胞とES細胞をガラス針を用いてドロップ中に入
れ、倒立顕微鏡下でマイクロマニピュレートを行った。
胚盤胞1 個につき、15〜 20 個の相同組換え体のES細胞
を注入した。
【0038】操作胚は、1 時間の培養後、偽妊娠2.5 日
目のICR 系受容雌の子宮角に移植した。分娩予定日を2
日過ぎても産仔を娩出しなかった受容雌については、帝
王切開を施し、里親に哺育させた。
【0039】娩出される産仔は、胚盤由来のC57BL/6J系
細胞とES細胞由来の129SVJ系細胞からなるキメラであ
り、そのキメリズムの良し悪しは毛色で判断される。C5
7BL/6J系細胞よりなるマウスは黒色を呈するが、ES細胞
由来の129SVJ系細胞の寄与率が高いほど一般にキメラマ
ウスは野生色(あるいは白色)の割合が上がり、毛色は
黒色と野生色とのまだら模様となる。得られた産仔のう
ち、毛色でキメラマウスと判定できたのは3つのES細胞
クローンからそれぞれ3匹(雄2、雌1)、8匹(雄
2、雌6)、6匹(雄3、雌3)であった。
【0040】実施例4 ホモ変異マウスの作製 1)キメラマウスの交配 実施例3で得られたキメラマウスを、C57BL/6J系マウス
と交配させた。娩出される産仔の毛色は、キメラマウス
の生殖細胞が相同組換え体に由来していれば、野生色を
呈し、C57BL/6J系マウスの胚盤胞に由来していれば黒色
を呈する。17例のキメラマウスのうち、8 例について野
生色の産仔が得られ、ES細胞の生殖系列への伝達が確認
された。
【0041】具体的には、8 例のキメラマウスとC57BL/
6J系との交配で、20回の分娩で合計112 匹の産仔が得ら
れ、このうち90匹が野生色の毛色を示していた。これら
の野生色の毛色のマウスについて遺伝子型の解析を行っ
た結果、46例でGas6遺伝子のヘテロ変異を確認し
た。マウスの遺伝子型については、2 〜3 週令のマウス
より採取した尾先端からDNAを調製し、3'- プローブ
(図1)を用いてサザンブロットを行って決定した。
【0042】2)ホモ変異マウスの作製 雄のGas6遺伝子のヘテロ変異マウスを、ES細胞由来
の染色体を置き換えるために、雌のC57BL/6J系マウスと
1 度以上戻し交配を行った。戻し交配によって得られた
産仔は、サザンブロットによりGas6遺伝子の変異を
確認した。こうして得られたGas6遺伝子のヘテロ変
異マウス同士を交配させ、サザンブロットにより産仔の
Gas6遺伝子の変異を確認し、Gas6遺伝子のホモ
変異マウスを得た。図2に示すように、野生型マウス
(+/+ )では、23 kb のバンドが、またホモ変異マウス
(-/- )ではpgk-neo を含む8.0 kbのバンドが検出さ
れ、ヘテロ変異マウス(+/- )では両方のバンドが検出
された。
【0043】試験例1 Gas6蛋白質の発現分析 野生型マウス、ヘテロ変異マウスおよびホモ変異マウス
の各組織を、界面活性剤SDS (1%)を含む緩衝液中でホモ
ジナイズし、不溶性画分を遠心分離で除いた。可溶化さ
れた蛋白質を、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に
て分離後、PVDF膜(ATTO)に電気的に転写し、ウサギ抗
Gas6抗体およびビオチン化抗ウサギIgG を用いてウ
エスタンブロッティングを行ない、Gas6を検出し
た。肺における結果を図3に示す。野生型マウス(+/+
)およびヘテロ変異マウス(+/- )の各組織で認めら
れる70 kD のGas6蛋白質は、Gas6遺伝子ホモ変
異マウス(-/- )では検出されなかった。
【0044】
【発明の効果】本発明により、Gas6遺伝子改変マウ
スが提供される。かかるマウスは、Gas6の関与する
循環器系、呼吸器系、中枢系ならびに免疫系疾患の病態
生理、原因の解明および治療法の開発等の研究のための
実験動物として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、マウスGas6遺伝子、相同組換え用
構築物およびGas6遺伝子の相同組換え体の模式図を
示す。
【図2】図2は、F2世代のマウスより調製したDNA をEc
oRV で消化し、3'- プローブを用いてサザンブロット分
析を行なった電気泳動の写真である。レーン3、5およ
び9は、野生型を示し、レーン1、2、4および8は、
ヘテロ変異を示し、レーン6、7および10は、ホモ変
異を示す。右端には、野生型(23 kbp) および変異型
(8.0 kbp )の位置を示している。
【図3】図3は、野生型、Gas6ヘテロ変異およびG
as6ホモ変異マウスにおけるGas6蛋白質の発現を
示すウエスタンブロッティングの電気泳動の写真であ
る。左のパネルは、抗Gas6抗体により各マウスの肺
におけるGas6蛋白質の発現を検出した結果を示し、
右のパネルは、抗Gas6抗体をGas6蛋白質で吸収
した際の結果を示す。W :野生型マウス(+/+ )、He:
ヘテロ変異マウス(+/- )、Ho:ホモ変異マウス(-/-
)。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Gas6蛋白質を発現しないようにGa
    s6遺伝子が改変されたマウス。
  2. 【請求項2】 Gas6遺伝子の領域内に他の遺伝子が
    挿入されることによりGas6遺伝子が改変された請求
    項1記載のマウス。
  3. 【請求項3】 他の遺伝子が選択マーカー遺伝子である
    請求項2記載のマウス。
  4. 【請求項4】 Gas6遺伝子の第1エキソンおよび第
    2エキソンを含む領域をネオマイシン耐性遺伝子と置換
    することにより、該ネオマイシン耐性遺伝子がGas6
    遺伝子の領域内に挿入されている、請求項1〜3いずれ
    か記載のマウス。
JP9167999A 1997-06-09 1997-06-09 Gas6遺伝子改変マウス Pending JPH1179A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000076309A3 (en) * 1999-06-10 2001-04-19 Vlaams Interuniv Inst Biotech Non-human transgenic animals deficient in gas6 function and their use

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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