JPH1179807A - 耐爆裂性コンクリート - Google Patents

耐爆裂性コンクリート

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JPH1179807A
JPH1179807A JP23308997A JP23308997A JPH1179807A JP H1179807 A JPH1179807 A JP H1179807A JP 23308997 A JP23308997 A JP 23308997A JP 23308997 A JP23308997 A JP 23308997A JP H1179807 A JPH1179807 A JP H1179807A
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Toshio Yonezawa
敏男 米澤
Akio Furuhira
章夫 古平
Hideo Fujinaka
英生 藤中
Tateo Mitsui
健郎 三井
Takayuki Inoue
孝之 井上
Yoko Yamazaki
庸行 山崎
Akira Nishida
朗 西田
Takeshi Morita
武 森田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流動性を低下させることなく、効果的に
爆裂を抑制することができる経済性の高い高強度の耐爆
裂性コンクリートを提供する。 【解決手段】 天然、半合成あるいは合成の有機材料
により形成された網状体を0.02〜0.2容量%を含
有し、水結合材比が35%以下であることを特徴とす
る。この網状体10は、複数の平行に配列された縦糸1
2と縦糸12同士を連結する横糸14とで構成され、縦
糸の長さが5〜50mm、直径が3〜50μmであり、
横糸の長さは縦糸の長さに対して1/5〜1、直径は縦
糸の直径に対して1/2〜2であり、柔軟性の網状体を
構成する縦糸の本数が5〜1000本であり、横糸の本
数は、縦糸と横糸とで囲まれた網状体空隙の面積が0.
1〜100mm2 となるように規定された本数である。
網状体は前記材料からなるシートに平行する不連続な切
れ目を入れて伸長して得られるものであっても、複数の
繊維同士が不規則に部分的に接着してなる不織布様シー
トであってもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は建築物やトンネル
等、火災を受ける可能性のある構造物に用いる火災時の
耐爆裂性に優れたコンクリートに関する。
【0002】
【従来の技術】コンクリートにおける水と結合材、即
ち、セメント、スラグ、フライアッシュ、シリカフュー
ム等、コンクリート中で水和反応する材料、との比率を
小さくすると高強度のコンクリートが得られる。コンク
リートを高強度にすることにより、建造物の柱の断面寸
法を小さくしたり、建築物の高層化が図れる等さまざま
な利益が得られる。しかしながら、水の含有量を低下さ
せてコンクリートを高強度化すると、火災時等高温環境
下で、水蒸気圧や熱応力等により表面のコンクリートが
爆裂し易くなり、種々の問題を生ずる可能性のあること
が知られている。このような高強度コンクリートを用い
た建築物の爆裂を抑制するために、次の技術が知られて
いる。
【0003】特開平9−13531号には柱の周囲の、
火災を直接受ける表面近傍に強度の低いコンクリートを
使用して爆裂を抑制するとともに、中央部には高強度コ
ンクリートを利用して、外力と火災に対して高い抵抗性
を保持する構造物が記載されている。
【0004】また、構造体に用いるコンクリートそのも
のではないが、建物の内外装用のパネルなどに使用する
高強度の押出し成型板として、例えば、特公昭57−2
0126号には、長さ5〜20mm、太さ1〜25デニ
ールのアセテート、またはレーヨン繊維をセメントアス
ベスト重量の0.5〜2.0%混入した押出し成型板が
記載され、火災時に繊維が蒸発して細孔を形成し、この
部分から水蒸気を逃すことにより爆裂を防止する旨の開
示がある。さらに、特開昭59−1284号には、中空
のポリプロピレン繊維を混入し、この繊維の孔から蒸気
を逃すことにより、爆裂を防止する方法が、同じく、特
公昭62−12197号には、パーライトやパルプを混
合することにより、空隙率30〜60%のアスベストセ
メント中の1〜5μmの細孔を空隙の10%以上確保
し、爆裂を防止する方法が記載されている。
【0005】これらは、いずれもコンクリートの耐爆裂
性にある程度の効果を有するが、特開平9−13531
のように、高強度コンクリート部材の表面に低強度のコ
ンクリートを使用する方法は、建築物の柱等の断面積を
必然的に大きくせざるを得ず、高強度コンクリートを利
用する効果を減じてしまうことになり、さらに、少なく
とも二種類のコンクリートを使用することで、複雑な施
工法となり、著しくコストが高くなるという問題があっ
た。
【0006】また、特公昭57−20126号や特開昭
59−1284号等のように、コンクリートに繊維など
の充填材を混入する方法は、高強度のコンクリートに適
用可能であるが、爆裂を抑制する効果がある有効量を混
入するとコンクリートの流動性が低下し、施工現場で型
枠中に打設するのが困難になる。
【0007】特公昭62−12197号のようにアスベ
ストセメント中に空隙を確保する技術を高強度コンクリ
ートに適用した場合、多量の空隙を形成することにより
必然的に強度が低下してしまい、高強度コンクリートの
本質的な目的が達成できなくなる。
【0008】もともと、高強度コンクリートは、セメン
ト等の結合材に対する水の量の比率を小さくして高い強
度を達成しているが、水結合材比の低下とともに、塑性
粘度が大きくなり、作業性が低下することから、高強度
セメント用の分散剤としての界面活性剤の開発や、ガラ
ス質シリカの超微粒子であるシリカフュームの利用等に
より所要の流動性を確保しているものである。したがっ
て、爆裂に対する抵抗性を確保するために、繊維を多量
に混入して、流動性が低下することは実用上も好ましく
なく、繊維の混入が爆裂防止に有効であるとしても、高
強度コンクリートの流動性の低下を最小限に抑制できる
ものでなければならない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のように高強度コ
ンクリートの爆裂を防止しようとする現状の技術は、各
々、ある程度の効果を有する反面、高強度コンクリート
に適用した場合には種々の課題を有している。本発明
は、このような現状を考慮し、流動性を低下させること
なく、爆裂を抑制することができ、経済性の高い高強度
コンクリートを提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、上記問
題に鑑みて、有機材料からなる繊維の如きフィラメント
体を混入する技術が爆裂防止に有効であり、かつ、経済
性が高い点に着目し、流動性の低下を抑制し、高強度コ
ンクリートに適用する効果的な手段を種々検討のうえ、
本発明を完成した。
【0011】即ち、繊維を混入した時の流動性の低下を
抑制するためには、少量の繊維で爆裂を防止する、すな
わち、爆裂防止効果の高い繊維を使うことが最も有効で
ある。本発明は、従来知られている棒状のフィラメント
体繊維に代わり、特定の形状と寸法の、網状体を高強度
コンクリートに混入することにより充填材としての爆裂
防止効果が大きく向上することを見出したものである。
【0012】即ち、本発明の耐爆裂性コンクリートは、
天然、半合成あるいは合成の有機材料により形成された
網状体を0.02〜0.2容量%を含有し、水結合材比
が35%以下であることを特徴とする。
【0013】この網状体は、前記有機材料からなる繊維
の糸を用いて、複数の平行に配列された縦糸と隣接する
該縦糸同士を連結する横糸とで構成されたものであって
も、前記有機材料からなる厚み3〜50μmのシート
に、平行する不連続な切れ目を入れた後、切れ目と直行
する方向に伸張させてなる網状体であってもよく、これ
らの網状体は、複数の平行に配列された縦糸又は縦方向
の切断片と隣接する該縦糸等同士を連結する横糸又は横
方向の切断片とで構成され、繊維の糸を用いる場合、縦
糸の長さが5〜50mm、直径が3〜50μmであり、
横糸の長さは縦糸の長さに対して1/5〜1、直径は縦
糸の直径に対して1/2〜2であり、網状体を構成する
縦糸の本数が5〜1000本であり、横糸の本数は、縦
糸と横糸とで囲まれた網状体の空隙の面積が0.1〜1
00mm2 となるように規定された本数であることを特
徴とし、シートに、平行する不連続な切れ目を入れた
後、切れ目と直行する方向に伸張させてなる網状体の場
合、シートの切断片の方向を縦方向、それと交わる方向
を横方向と規定したとき、縦方向のシート長さが5〜5
0mm、シート切断片の幅が3〜50μmであり、横方
向のシート切断片の長さが縦方向の長さに対して1/5
〜1、幅が縦方向の幅に対して1/2〜2であり、網状
体を構成する縦方向のシート切断片の本数が5〜100
0本であり、横方向のシート切断片の本数は、シートを
横方向に伸長させた時の縦方向のシート切断片と横方向
のシート切断片とで囲まれた網状体空隙の面積が0.1
〜100mm2 となるように規定された本数であること
を特徴とする。また、この網状体は、前記有機材料から
なる複数の繊維同士が、部分的に接着してなる不織布様
シートからなるものであってもよく、具体的には、該不
織布様シートを構成する繊維の直径が3〜50μmであ
り、かつ、部分的に接着した複数の繊維同士が形成する
網状体空隙の面積が0.1〜100mm2 であり、該不
織布様シートの面積が5〜2500mm2 であることを
特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明において、コンクリートに
添加する網状体としては、縦方向に平行に配列されたフ
ィラメントとそのフィラメント同士を結合する横方向に
配置されたフィラメントからなる所謂すだれ状のもの、
柔軟なシート状物に切れ込みを入れて伸長して得られ
る、所謂、エクスパンドメタル様の空隙を有する網状体
や複数のフィラメント同士が部分的に接着してなる不織
布様シートからなる網状体等が挙げられる。
【0015】これらの網状体を構成するフィラメントや
シート用有機材料としては、火災時の加熱により分解又
は溶融して体積の急激な減少を起こす天然、半合成ある
いは合成の有機材料が用いられる。天然、半合成あるい
は合成の有機材料よりなる網状体は、コンクリート内に
急激に発生する水蒸気を外部に逃がす連続した空隙を形
成することにより、爆裂を防止する機能を有するもので
あり、具体的には、例えば、図1に示すように有機繊維
からなる糸を網状に結合した網状体10の場合、連続し
た細孔のネットワークが形成されることにより、このネ
ットワークからは、確実に火災時の水蒸気を逃がすこと
ができる。図1に示す網状体10は10本の平行に配列
された縦糸12と隣接する縦糸12同士を結合する4本
の横糸14からなる。
【0016】図2はコンクリート基材中に分散された前
記網状体10の状態を示す概略図であり、このように、
網状体10同士が、少なくともいずれか1カ所で接合し
ていれば、連続した空隙が形成され、そこを次々に水蒸
気が伝わることにより効率的に水蒸気を外に逃がして爆
裂を防止することができる。
【0017】一方、図3はモノフィラメント繊維16を
分散した従来の耐爆裂性コンクリートを示す概略図であ
るが、ここに示すような、モノフィラメント繊維16を
分散したコンクリートの場合に比べて、本発明に係る網
状体ではフィラメント同士が接する確率が高いため、少
ない充填量でも爆裂を効果的に防止することができる。
【0018】さらに、充填量が同じであっても、網状体
として繊維同士が集合体で存在する場合には、フィラメ
ント状の繊維が一様に分散する場合に比較して、繊維が
コンクリートの流動性に及ぼす影響は小さくなる。
【0019】このような作用により網状体において、適
切な寸法及び形状を選定することにより、少ない充填量
で、コンクリートの流動性に及ぼす影響を最小限に抑制
しながらも、優れた爆裂防止効果を得ることができる。
【0020】図1に示す本発明の網状体10の縦糸12
の長さは5mm〜50mm程度が適当であり、5mm未
満では爆裂防止効果が不充分であり、50mmを超える
場合には、コンクリートの流動性の低下が大きくなり、
いずれも好ましくない。縦糸12の平均直径は3μm〜
50μm程度が適当であり、3μm未満では流動性の低
下に影響が目立ってくるし、50μmを超える場合に
は、十分な爆裂防止効果が得られない。
【0021】横糸14は、何本かの縦糸12と縦糸1
2、例えば、隣接する縦糸12同士、を結合し、水蒸気
を逃すための細孔のネットワークを形成するのに必要な
繊維であり、その長さは縦糸12と同等又はそれ以下、
具体的には、縦糸12の長さの1/5〜1倍程度が適当
である。1/5未満では、縦糸12同士が近接しすぎる
ことになり、細孔のネットワーク形成状の効率が悪化
し、フィラメント体を分散する場合に比較して効果の向
上が不充分である。一方、横糸14の長さが縦糸12の
長さを超えると、水蒸気を逃すネットワーク形成能力が
不足して、爆裂防止効果が不充分となる。横糸14の直
径は、基本的には縦糸12と同等でよいが、その平均直
径の1/2〜2倍の範囲であれば、爆裂防止上、問題が
ない。
【0022】網状体10を構成する縦糸12の本数は、
5〜1000本が適当であり、5本未満では、モノフィ
ラメントの性質が強くなり、網状体を形成することによ
る高い爆裂防止効果が得られない。1000本を上回る
ようになると、網状体を構成する繊維どうしの接触機会
が少なくなり、網状繊維特有の高い爆裂防止効率を得る
のが困難となる。
【0023】横糸14の本数は、高い爆裂防止効率を確
保するうえで大切であり、隣接する縦糸12a、12b
と横糸14a、14bとで囲まれた網状体空隙の面積が
0.1mm2 〜100mm2 の範囲となるように定める
のが適当である。網状体空隙の面積が100mm2 を上
回ると細孔のネットワークによる水蒸気を集める力が不
足し、爆裂防止効果が不十分となる。0.1mm2 未満
では、水蒸気を集め爆裂を防止する効果は十分である
が、必要以上に多くの繊維を使用することとなり、爆裂
を防止するうえで、モノフィラメント体を分散する場合
に比較した効果の向上が見られない。
【0024】高強度コンクリートの爆裂防止に必要な本
願繊維の量はコンクリートの体積の0.02〜0.2
%、すなわち、1m3 当たり0.2〜2リットルである。こ
の繊維を用いた場合でも0.02容量%すなわち0.2
リットル/m3 未満では爆裂防止効果が不十分であり、0.
2容量%すなわち2リットル/m3 以上ではコンクリートの
流動性への影響が問題となる。
【0025】前記の網状体は、モノフィラメントやマル
チフィラメント糸等の糸状体(フィラメント体)を製織
加工、編成加工するか、又はフィラメント同士の接合点
の接着あるいは融着加工等により加工して製作すること
ができる。
【0026】また、本発明の網状体は必ずしもフィラメ
ント体(繊維糸)から製作する必要はなく、例えば、ポ
リプロピレンのような合成樹脂の薄層シート、あるいは
ポリプロピレン繊維により作成された不織布シート等
に、図4に示すような平行且つ不連続な切れ目を入れ、
横即ち切れ目と直行する方向に伸長することにより、図
5に示すような網状体20を得ることができる。この網
状体20において、切れ目と平行な切断片を縦方向の切
断片22、切れ目と直行する方向の切断片を横方向の切
断片24とする。図5に示すような網状体20は、コン
クリート中に分散された状態では、応力を掛けて完全に
横に伸長した状態よりも、やや縮んで存在するが、この
網状体20の好ましい形状としては、作成時、完全に網
状に伸長した時の形状が、縦方向の切断片22を前記フ
ィラメント体で形成された網状体10における縦糸1
2、横方向の切断片24を前記横糸14と置き換えた場
合の形状、即ち、縦方向のシート長さが5〜50mm、
シート切断片の幅が3〜50μmであり、横方向のシー
ト切断片の長さが縦方向の長さに対して1/5〜1、幅
は縦方向の幅に対して1/2〜2であり、柔軟性の網状
体を構成する縦方向のシート切断片の本数が5〜100
0本であり、横方向のシート切断片の本数は、隣接する
縦方向のシート切断片と横方向のシート切断片とで囲ま
れた網状体空隙の面積が0.1〜100mm2 となるよ
うに規定された本数であるような形状ということができ
る。また、このシートの厚みは3〜50μm程度が好ま
しく、3μm未満であると生成される空隙が小さいた
め、爆裂防止効果が不充分であり、50μm以上を超え
ると柔軟性が低下してコンクリートの流動性に悪影響を
及ぼす虞がある。
【0027】また、前記網状体として、有機材料からな
る複数の繊維同士が部分的に接着してなる不織布様シー
トからなり、該不織布様シートを構成する繊維の直径が
3〜50μmであり、かつ、部分的に接着した複数の繊
維同士が形成する網状体空隙の面積が0.1〜100m
2 であり、該不織布様シートの面積が5〜2500m
2 であるものを用いることもできる。この不織布様シ
ートを構成する繊維は、モノフィラメントであっても、
マルチフィラメントであっても、さらに、微細構造繊維
の束状集合体からなる繊維であってもよい。また、シー
トは繊維同士が部分的に溶融接着あるいはバインダーを
介して接着したものでもよいが、さらに、スパンポンド
不織布のように繊維同士が絡み合ってなる不織布で、繊
維同士が一部で互いに接触しているものも用いることが
できる。
【0028】これらのうち、製造の容易性、開口面積の
制御の容易性及び効果の観点から、有機材料からなるシ
ートに、平行する不連続な切れ目を入れた後、切れ目と
直行する方向に伸張させてなる網状体が好ましい。
【0029】本発明の網状体を構成する天然、半合成あ
るいは合成の有機材料としては、フィラメント体やシー
トへの加工がし易く、加熱により溶融又は蒸発して急激
な体積の減少が起こり、分散されたコンクリート基材に
空隙を形成し得るものであれば特に制限はなく、公知の
合成樹脂類、天然繊維、合成繊維及び半合成繊維などを
目的に応じて適宜選択することができるが、耐爆裂性の
効果の観点からは、熱分解温度や軟化点、融点の低い有
機材料、例えば、ポリプロピレン系、ビニロン系、ポリ
エチレン系、ビニリデン系、アクリル系、ポリアミド系
などの材料が好ましい。
【0030】本発明に係る網状体は柔軟性であり、コン
クリート中に分散されても、その流動性に与える影響は
少ない。この網状体を充填材としてコンクリートに分散
することにより、火災時に発生するコンクリート中の水
蒸気を外部へ逃がすことで、コンクリートの爆裂を効果
的に防止するものであるが、コンクリートの水結合材比
が35%を上回る通常のコンクリートの場合には火災時
にコンクリートに生ずる影響が問題にならないレベルで
あり、この発明は、水結合材比が35%以下の高強度コ
ンクリートに適用して特に有用であるといえる。
【0031】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説
明するが、本発明はこの実施例に制限されるものではな
い。 (実施例1〜2) (1)コンクリートの材料 セメント:普通ポルトランドセメント 細骨材 :山砂(比重2.55、吸水率1.54%)と
硬質砂岩 枠砂(比重2.65、吸水率1.26%)を6:4に混
合 粗骨材 :硬質砂岩砕石(比重2.6、吸水率1.12
%) 混和材 :粉体シリカフューム(比重2.2、比表面積
14m2 /g、SiO2 含有量94%) 混和剤 :ポリカルボン酸塩系高性能AE減水剤(商品
名:チューポールHP−11、竹本油脂社製) (2)コンクリートの調合 下記表1に示す二調合の高強度コンクリートを基材とし
て実験した。
【0032】
【表1】
【0033】(3)繊維 ポリプロピレン繊維で、不織布を製作し、切断して図5
に示すような網状体20を作成した。各サイズは以下の
通りであった。
【0034】縦切断片22:長さ20mm、直径 9μ
m、本数14本 横切断片24:長さ 6mm、直径 9μm、縦切断片
1本につき片側3本が接続 (22a、22b、24a、24bが囲む空隙の面積
4.6mm2 ) (4)繊維の混入量 網状体20を前記で調製したコンクリート(1)中に
0.1容量%、0.2容量%の条件で混入した。
【0035】(5)コンクリートの製造 100lパン型強制練りミキサーを使用した。1回の練
り量を60リットルとした。砂、セメント、シリカフューム
を15秒空練りした後、水と混和剤を投入し1分練混ぜ
た後、粗骨材を投入した。粗骨材投入後の練混ぜ時間を
2分とし、最初の30秒内で繊維を混入した。得られた
コンクリートのうち、水結合材比が25%で網状体の混
入量が0.1容量%のものを実施例1、0.2容量%の
ものを実施例2とした。
【0036】(6)コンクリートの流動性試験 スランプフロー55cmのコンクリートのLフロー速度
を、特許登録第2589757号に記載の方法により測
定し、繊維の混入が流動性に及ぼす影響を検討した。L
フロー速度の高いものが、塑性粘度が小さく、流動性が
良い。結果を下記表2に示した。また、網状体を全く混
入しなかったものをコントロールとして、同様の測定を
行った結果も表2に併記した。
【0037】(7)耐火試験 水蒸気が蒸発しないよう、封かん状態にしたφ15×3
0cm試験体にJISA1304に定められた標準加熱
曲線に従って加熱し、加熱前後の試験体の重量を測定し
た。この試験では、爆裂したものは重量が軽くなり、加
熱前後の重量の差が大きくなる。従って、重量変化の数
値が小さいものを耐爆裂性に優れていると評価した。結
果を下記表2に示した。また、網状体を全く混入しなか
ったものをコントロールとして、同様の測定を行った結
果も表2に併記した。 (比較例1〜4)前記実施例1において、混入する繊維
を前記網状体20に換えて、長さ20mm、直径9μm
のポリプロピレン繊維のモノフィラメントを使用し、混
入量を0.1容量%、0.2容量%、0.3容量%、
0.5容量%とした他は、実施例1と同様にしてコンク
リートを製造し、それぞれ比較例1〜4とした。比較例
1〜4のコンクリートについても、実施例1と同様に、
前記(6)コンクリートの流動性試験及び(7)耐火試
験を行った。結果を表2に示した。 (比較例5、6)前記実施例1において、前記網状体2
0の混入量を0.3容量%、0.5容量%とした他は、
実施例1と同様にしてコンクリートを製造し、比較例5
及び6とした。比較例5及び6についても、実施例1と
同様に、前記(6)コンクリートの流動性試験及び
(7)耐火試験を行った。結果を表2に示した。 (実施例3、4、比較例7〜13)前記で調製した水結
合材比が30%のコンクリートについて、実施例1、
2、比較例1〜6と同様にコンクリートを製造し、それ
ぞれ実施例3、4、比較例7〜12とした。これらにつ
いても。実施例1と同様の評価を行った。結果を下記表
2に示した。また、これらのコンクリートの網状体及び
モノフィラメントの混入率と、流動性の尺度としてのL
フロー速度との関係を図6のグラフに示した。
【0038】
【表2】
【0039】上記表2に明らかなように、耐火試験にお
いては、実施例1、3の重量変化が、著しく低下してお
り、0.1容量%の混入量で、十分に爆裂を防止する効
果があることがわかる。また、実施例2、4も同様に優
れた爆裂防止効果が認められた。さらに、表2及び図6
のグラフより実施例1乃至4では、コントロールに比較
して流動性の低下は少なく、実用上問題のないレベルで
あることがわかる。
【0040】一方、モノフィラメントを混入した比較例
1〜3及び7〜9では、耐火試験における重量変化は無
混入(コントロール)と変わらず、爆裂防止効果が認め
られなかった。また、繊維の混入量を0.5容量%とし
た比較例4及び10においては、爆裂防止効果が認めら
れものの、流動性の低下が著しいことがわかる。また、
網状体を0.3容量%、0.5容量%混入した比較例
5、6、11及び12においても著しい流動性の低下が
認められ、実用上問題があることが確認された。
【0041】この傾向は、実施例1、2及び3、4の比
較により、水結合材比を25%とした場合も、水結合材
比を30%とした場合も、同様であった。
【0042】
【発明の効果】本発明は前記構成としたため、流動性を
低下させることなく、爆裂を効果的に抑制することがで
き、経済性の高い高強度の耐爆裂性コンクリートを提供
しうるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 フィラメント体で構成された網状体の一態様
を示す概略図である。
【図2】 網状体がコンクリート中に分散した状態を示
す概略図である。
【図3】 モノフィラメントがコンクリート中に分散し
た状態を示す概略図である。
【図4】 網状体の作成のためシートに切れ目をいれた
状態を示す概略図である。
【図5】 シートに切れ目をいれて作成した網状体の一
態様を示す概略図である。
【図6】 網状体又はモノフィラメントを混入した耐爆
裂性コンクリートの混入率と流動性の関係を示すグラフ
である。
【符号の説明】
10 網状体(フィラメント体で構成) 12 縦糸 14 横糸 16 モノフィラメント 20 網状体(シートに切れ目をいれた) 22 縦方向切断片 24 横方向切断片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤中 英生 千葉県印西市大塚一丁目5番地1 株式会 社竹中工務店技術研究所内 (72)発明者 三井 健郎 千葉県印西市大塚一丁目5番地1 株式会 社竹中工務店技術研究所内 (72)発明者 井上 孝之 千葉県印西市大塚一丁目5番地1 株式会 社竹中工務店技術研究所内 (72)発明者 山崎 庸行 東京都江東区越中島三丁目4番17号 清水 建設株式会社技術研究所内 (72)発明者 西田 朗 東京都江東区越中島三丁目4番17号 清水 建設株式会社技術研究所内 (72)発明者 森田 武 東京都江東区越中島三丁目4番17号 清水 建設株式会社技術研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然、半合成あるいは合成の有機材料に
    より形成された網状体を0.02〜0.2容量%を含有
    し、水結合材比が35%以下であることを特徴とする耐
    爆裂性コンクリート。
  2. 【請求項2】 前記網状体が、前記有機材料からなる繊
    維の糸を用いて、複数の平行に配列された縦糸と隣接す
    る該縦糸同士を連結する横糸とで構成され、縦糸の長さ
    が5〜50mm、直径が3〜50μmであり、横糸の長
    さは縦糸の長さに対して1/5〜1、直径は縦糸の直径
    に対して1/2〜2であり、網状体を構成する縦糸の本
    数が5〜1000本であり、横糸の本数は、縦糸と横糸
    とで囲まれた網状体の空隙の面積が0.1〜100mm
    2 となるように規定された本数であることを特徴とす
    る、請求項1に記載の耐爆裂性コンクリート。
  3. 【請求項3】 前記網状体が、前記有機材料からなる厚
    み3〜50μmのシートに、平行する不連続な切れ目を
    入れた後、切れ目と直行する方向に伸張させてなる網状
    体であり、 そのシートの切断片の方向を縦方向、それと交わる方向
    を横方向と規定したとき、縦方向のシート長さが5〜5
    0mm、シート切断片の幅が3〜50μmであり、横方
    向のシート切断片の長さが縦方向の長さに対して1/5
    〜1、幅が縦方向の幅に対して1/2〜2であり、網状
    体を構成する縦方向のシート切断片の本数が5〜100
    0本であり、横方向のシート切断片の本数は、シートを
    横方向に伸長させた時の縦方向のシート切断片と横方向
    のシート切断片とで囲まれた網状体空隙の面積が0.1
    〜100mm2 となるように規定された本数であること
    を特徴とする、請求項1に記載の耐爆裂性コンクリー
    ト。
  4. 【請求項4】 前記網状体が、前記有機材料からなる複
    数の繊維同士が、部分的に接着してなる不織布様シート
    からなり、 該不織布様シートを構成する繊維の直径が3〜50μm
    であり、かつ、部分的に接着した複数の繊維同士が形成
    する網状体空隙の面積が0.1〜100mm2であり、
    該不織布様シートの面積が5〜2500mm2 であるこ
    とを特徴とする、請求項1に記載の耐爆裂性コンクリー
    ト。
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