JPH1177912A - 抗菌抗黴性樹脂成型物、抗菌抗黴性塗工物およびその製造方法 - Google Patents

抗菌抗黴性樹脂成型物、抗菌抗黴性塗工物およびその製造方法

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JPH1177912A
JPH1177912A JP25031997A JP25031997A JPH1177912A JP H1177912 A JPH1177912 A JP H1177912A JP 25031997 A JP25031997 A JP 25031997A JP 25031997 A JP25031997 A JP 25031997A JP H1177912 A JPH1177912 A JP H1177912A
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antibacterial
antifungal
antimold
resin
particles
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JP25031997A
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Akifumi Kuwabara
章史 桑原
Yoshiko Takahata
美子 高畠
Masaki Yaginuma
昌希 柳沼
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Artience Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】幅広い抗菌スペクトルを有し、安全性、抗菌抗
黴効果の再現性および持続性に優れた抗菌抗黴性塗工
物、抗菌抗黴性樹脂成型物、および抗菌抗黴剤粒子の分
解による変色が生じない抗菌抗黴性塗工物の製造方法の
提供。 【解決手段】基材の少なくとも片面に、イミダゾールま
たはその誘導体と銀イオンとが結合してなる抗菌抗黴剤
粒子とバインダー樹脂とを含む抗菌抗黴性塗工層を設け
てなり、抗菌抗黴剤粒子の表面濃度が1×102 〜1×
104 個/mm2である抗菌抗黴性塗工物、上記抗菌抗
黴剤粒子と成型樹脂とを含み、抗菌抗黴剤粒子の表面濃
度が1×102 〜1×104 個/mm2 である抗菌抗黴
性樹脂成型物、および抗菌抗黴剤粒子の分散液をワニス
または樹脂エマルジョン中に添加してなるコーティング
剤を、基材の少なくとも片面に塗工する上記抗菌抗黴性
塗工物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細菌だけでなく酵
母、黴に対しても広範な抗菌スペクトルを有し、安定し
た抗菌抗黴性を発揮する塗工物、樹脂成型物および抗菌
抗黴性塗工物の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】近年、抗菌抗黴性製品は、衣食住を初めと
する生活関連資材、プラスチック工業、電子部品工業等
のあらゆる産業関連分野において、非常に広範囲にわた
って使用されている。抗菌抗黴性を機能として付加する
方法としては、抗菌抗黴剤をプラスチックに混練し溶融
押し出しによって成形したり、塗料に添加しウェットコ
ーティングしたり、あるいは銀を蒸着やスパッタ等によ
ってドライコーティングする方法などが採用されてい
る。
【0003】抗菌抗黴剤としては、無機系の抗菌剤、天
然物より抽出した天然の抗菌剤、および有機系の抗黴剤
が挙げられる。無機系の抗菌剤には、ゼオライト、セラ
ミック、シリカゲル、錯体、アパタイト、ヒドロキシア
パタイト等の担体に銀イオンや銅イオンを担持させたも
のや、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄等の光触媒機能を
有するものなどがある。これら抗菌剤は、効果が長期間
に渡って持続し、耐熱性が高く、さらに安全性が高いな
どの長所があるものの、塗料に添加した際に抗菌剤が変
色したり、抗黴効果が小さいこと等が短所となってい
る。天然系の抗菌剤には、茶タンニン、ヒノキチオー
ル、孟宗竹抽出物、辛子抽出物、キトサン等があり、食
品、包装材等に添加され実用化された例があるが、色、
臭味を有するものも多く、その効果の持続性に難点があ
る。
【0004】抗黴剤としては、1,2−ベンズイソチア
ゾリン−3−オン、N−フルオロジクロロメチルチオ−
フタールイミド、2,3,5,6−テトラクロロイソフ
タロニトリル、N−トリクロロメチルチオ−4−シクロ
ヘキセン−1,2−ジカルボキシイミド、2−(4−チ
アゾリル)−ベンズイミダゾール、ベンズイミダゾール
カルバミン酸メチルエステル、10,10’−オキシビ
スフェノキシアルシン、2,3,5,6−テトラクロロ
−4(メチルスルフォニル)ピリジン、2−ピリジンチ
オール−1−オキサイド亜鉛、N,N−ジメチル−N’
−(フルオロジクロロメチルチオ)−N’−フェニルス
ルファミド等が知られているが、毒性があり、溶出性で
あるために安全性及び持続性に問題がある物が多く、細
菌に対して幅広い抗菌スペクトルを持たない。そこで、
細菌、酵母、黴に対する幅広い抗菌スペクトルを得るた
めに、抗菌剤と抗黴剤を混合することが試みられたが、
抗菌抗黴効果の再現性、安全性はもちろんその効果の持
続性に問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、細
菌、酵母、黴に対して幅広い抗菌スペクトルを有し、安
全性、抗菌抗黴効果の再現性および持続性に優れた抗菌
抗黴性塗工物、抗菌抗黴性樹脂成型物、および抗菌抗黴
剤粒子の分解による変色が生じない抗菌抗黴性塗工物の
製造方法を提供することにある。
【0006】
【発明を解決するための手段】本発明者らは、イミダゾ
ールまたはその誘導体と銀イオンとが結合してなる抗菌
抗黴剤粒子を、表面濃度が1×102 〜1×104 個/
mm2 になるように含有させることにより、安全性、抗
菌抗黴効果の再現性および持続性に優れた抗菌抗黴性塗
工物および抗菌抗黴性樹脂成型物が得られることを見出
し、本発明に至った。また、本発明者らは、抗菌抗黴剤
粒子の分散液をワニスまたは樹脂エマルジョン中に添加
してなるコーティング剤を塗工することにより、抗菌抗
黴剤粒子の分解による変色を生じさせることなく安全
性、抗菌抗黴効果の再現性および持続性に優れた抗菌抗
黴性塗工物が得られることを見出し、本発明に至った。
【0007】すなわち、本発明は、基材の少なくとも片
面に、イミダゾールまたはその誘導体と銀イオンとが結
合してなる抗菌抗黴剤粒子とバインダー樹脂とを含む抗
菌抗黴性塗工層を設けてなり、抗菌抗黴剤粒子の表面濃
度が1×102 〜1×104個/mm2 であることを特
徴とする抗菌抗黴性塗工物に関する。また、本発明は、
イミダゾールまたはその誘導体と銀イオンとが結合して
なる抗菌抗黴剤粒子と成型樹脂とを含み、抗菌抗黴剤粒
子の表面濃度が1×102 〜1×104 個/mm2 であ
ることを特徴とする抗菌抗黴性樹脂成型物に関する。さ
らに、本発明は、抗菌抗黴剤粒子の分散液をワニスまた
は樹脂エマルジョン中に添加してなるコーティング剤
を、基材の少なくとも片面に塗工することを特徴とする
上記抗菌抗黴性塗工物の製造方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の抗菌抗黴性塗工物および
抗菌抗黴性樹脂成型物に含まれる抗菌抗黴剤粒子は、イ
ミダゾールまたはその誘導体と銀イオンとが結合してな
る化合物である。イミダゾール誘導体としては、イミダ
ゾール骨格を有し、当該イミダゾール骨格中の窒素原子
上に置換基を有さないものであれば特に限定されず、2
−置換イミダゾール、4−置換イミダゾール、5−置換
イミダゾール、2,4−ジ置換イミダゾール、2,5−
ジ置換イミダゾール、2,4,5−トリ置換イミダゾー
ル、2−置換ベンズイミダゾール、4−置換ベンズイミ
ダゾール、5−置換ベンズイミダゾール、6−置換ベン
ズイミダゾール、7−置換ベンズイミダゾール、2,5
−ジ置換ベンズイミダゾール、2,6−ジ置換ベンズイ
ミダゾール等が挙げられる。ここでイミダゾール骨格の
窒素原子以外の原子上に置換し得る基としては、アルキ
ル基(好ましくは炭素数1〜6)、アルコキシル基(好
ましくは炭素数1〜6)、α−アミノカルボキシアルキ
ル基(好ましくは炭素数2〜6)等が挙げられる。
【0009】より好ましいイミダゾールまたはその誘導
体としては、イミダゾール、2−アルキルイミダゾー
ル、4−アルキルイミダゾール、5−アルキルイミダゾ
ール、ベンズイミダゾール、2−アルキルベンズイミダ
ゾール、5−アルキルベンズイミダゾール、6−アルキ
ルベンズイミダゾール(ここでアルキル基の炭素数は1
〜5が好ましい)、ヒスチジン等が挙げられる。本発明
に用いられる抗菌抗黴剤粒子は、イミダゾールまたはイ
ミダゾール誘導体の配位子が銀イオンに配位して錯体を
形成しているか、イミダゾールまたはイミダゾール誘導
体と銀イオンが塩を形成していると考えられる。上記抗
菌抗黴剤粒子は、イミダゾールまたはその誘導体と銀イ
オンとを、適当なpH環境下水溶液中で反応させ、生成
した沈殿を分離し、水、エタノール等で洗浄することに
より得られる。
【0010】上記抗菌抗黴剤粒子の平均粒子径は、0.
1〜20μm、さらには0.1〜10μmであることが
好ましい。なお、抗菌抗黴剤粒子の平均粒子径は、レー
ザー回折法により測定したものである。抗菌抗黴剤の平
均粒子径が0.1μm未満の場合には、抗菌剤が塗工物
や成型物の表面より露出しにくくなるため抗菌効果が十
分でなく、20μmを越える場合には、塗工物や成型物
の表面のグロスが低下し、粗大粒子の突起を生じたりす
るため外観上好ましくない。
【0011】抗菌抗黴剤粒子がその効果を発揮するため
には、塗工物および樹脂成型物表面より抗菌抗黴剤粒子
表面が露出していなければならず、具体的には、抗菌抗
黴剤粒子の表面濃度が、1×102 〜1×104 個/m
2 でなければならない。なお、抗菌抗黴剤粒子の表面
濃度は、走査型電子顕微鏡(SEM)とエネルギー分散
型X線分光法(EDX)を組み合わせた、X線マイクロ
アナリシス(SEM/EDX)によるAg元素の電子顕
微鏡写真観察により測定したものである。抗菌抗黴剤粒
子の表面濃度が1×102 個/ mm2 未満では、抗菌性
能が不十分であり、1×104 個/mm2 より多いと抗
菌抗黴性は十分であるが、表面が白濁し、グロスが低下
したり、ヘイズが大きくなったりするため外観上好まし
くない。
【0012】本発明の抗菌抗黴性塗工物は、基材の少な
くとも片面に、イミダゾールまたはその誘導体と銀イオ
ンとが結合してなる抗菌抗黴剤粒子とバインダー樹脂と
を含む抗菌抗黴性塗工層を設けてなるものである。抗菌
抗黴性塗工層は、抗菌抗黴剤粒子と1種または2種以上
のバインダー樹脂とを含むコーティング剤を塗工するこ
とにより設けられる。コーティング剤は、抗菌抗黴剤粒
子をそのままワニスまたは樹脂エマルジョンに添加し、
攪拌して調製しても良いが、粗大粒子が存在すると塗工
物表面に突起を生じ外観上好ましくないため、衝撃力、
せん断力を加えることが可能な分散機で溶剤に分散した
上で添加することが好ましい。分散機としては、例えば
二本ロール、三本ロール、ニーダー、ボールミル、アト
ライター、サンドミル等が挙げられる。
【0013】バインダー樹脂としては、例えば、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、飽和ポリエステル、ポ
リ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリスチレン、
フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリイ
ソブチレン、ポリアミド、石油樹脂、ロジン、セルロー
ス及びその誘導体、しょ糖エステル、塩化ビニル/酢酸
ビニル系共重合体、エチレン/酢酸ビニル系共重合体、
α−オレフィン/無水マレイン酸系共重合体、スチレン
/無水マレイン酸系共重合体等の熱可塑性樹脂や、フェ
ノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエ
ステル、アルキド樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リウレタン等の熱硬化性樹脂、さらにはエポキシアクリ
レート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレ
ート、ポリエーテルアクリレート、ホスファゼン樹脂等
の紫外線または電子線により硬化する樹脂も用いること
ができる。
【0014】コーティング剤が、ポリウレタン、ポリ塩
化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、メラミン
樹脂、ニトロセルロース、塩化ビニリデン、ポリイソシ
アネート、フッ素樹脂等のイソシアネート基、ニトロ
基、ハロゲン基、アミン基、トリアジン環等を含む樹
脂、モノマーあるいは添加剤を含む場合には、抗菌抗黴
剤粒子が変色することがあり、抗菌性に問題はないもの
の、外観を著しく損ねる。この変色は、溶剤中で進行し
やすいため、上記変色の原因となる樹脂、モノマーある
いは添加剤を含まない抗菌抗黴剤粒子の分散液をワニス
または樹脂エマルジョン中に添加してコーティング剤を
調製することが好ましい。
【0015】また、抗菌抗黴剤粒子の変色は、銀錯体ま
たは銀塩から銀イオンが脱離しハロゲン化銀を生成した
り、銀が樹脂または添加在中の窒素原子に配位するため
に起こると考えられ、溶剤中またはモノマー中で進行し
やすい。そのため、抗菌抗黴剤粒子が分解する前に、基
材に塗工したコーティング剤を乾燥することが好まし
い。塗工層の全固形分中の抗菌抗黴剤粒子の含有量は、
0.1〜10重量%の範囲であることが好ましい。0.
1重量%未満であると抗菌性能が不十分であり、10重
量%より多いと塗工物にヘイズ(曇り)が発生したり、
表面のグロスが低下するため外観が悪くなる。
【0016】コーティング剤には、必要に応じて染料、
顔料、界面活性剤、分散剤、ワックス、硬化剤等の添加
剤を添加することができる。コーティング剤には、フィ
ルム、紙などの基材の少なくとも片面に、スプレー、ス
ピンコーター、ダイコーター、グラビアコーター、ナイ
フコーター、ディップコーター等で塗工することができ
る。
【0017】本発明の抗菌抗黴性樹脂成型物は、イミダ
ゾールまたはその誘導体と銀イオンとが結合してなる抗
菌抗黴剤粒子と1種または2種以上の成型樹脂とを、二
本ロール、三本ロール、ニーダー、エクストルーダー、
ボールミル等の分散機で、成型樹脂の融点または軟化点
を考慮して適宜加熱しながら分散して抗菌抗黴性樹脂組
成物を調製し、溶融させた抗菌抗黴性樹脂組成物を圧縮
成型、溶融押出し成形、射出成型、移送成形、吹込成
形、真空成形、プレス加工、熱収縮、注型加工、積層成
形等により成型することにより製造することができる。
【0018】抗菌抗黴性樹脂組成物の調製は、成型樹脂
に直接所定量の抗菌抗黴剤を分散することにより行って
も良いが、分散性を高めるためには、マスターバッチ方
式により行うことが好ましい。即ち、成型樹脂に対して
抗菌抗黴剤を、必要であれば通常用いられる分散剤と共
に、予め高濃度に分散してマスターバッチを製造し、さ
らにこのマスターバッチを同一の成型樹脂または同一で
はないがマスターバッチに用いた成型樹脂と相溶性の高
い成型樹脂で希釈することにより所定の濃度に調整す
る。マスターバッチ中の抗菌抗黴剤粒子の含有量は5〜
80重量%、さらには10〜80重量%が好ましい。
【0019】成型樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレン、ABS樹脂、ナイロン、飽和ポリエ
ステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、フッ
素樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエー
テル、ポリイソブチレン、セルロイド、酢酸セルロー
ス、α−オレフィン/無水マレイン酸系共重合体、スチ
レン/無水マレイン酸系共重合体、スチレン/アクリル
酸エステル系共重合体等の熱可塑性樹脂や、フェノール
樹脂、クレゾール樹脂、キシレン樹脂、ユリア樹脂、メ
ラミン樹脂、アルキド樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエ
ステル、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等の
熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0020】樹脂成型物中の抗菌抗黴剤粒子の含有量
は、0.1〜10重量%の範囲であることが好ましい。
0.1重量%未満であると抗菌性能が不十分であり、1
0重量%より多いと成型物表面のグロスが低下するため
に外観上好ましくない。本発明の樹脂成型物には、必要
に応じて染料、顔料、界面活性剤、分散剤、ワックス等
の添加剤を添加することができる。
【0021】
【実施例】実施例中、「部」および「%」とあるのは、
「重量部」および「重量%」をそれぞれ表す。なお、抗
菌抗黴剤粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布
計で測定した。また、塗工層の膜厚はフィルム断面のS
EM写真より求め、樹脂成型物の膜厚はノギスで測定し
た。また、抗菌抗黴剤粒子の表面濃度は、フィルム表面
のSEM写真を1000倍の倍率で観察後、同視野のE
DXによるAg元素の面分析により行った。EDXによ
る一定面積におけるAgによる感光像をカウントするこ
とで表面濃度を測定した。また、塗工層および樹脂成型
物(溶融押出フィルム)のヘイズは、ヘイズメーターで
測定した。塗工層のヘイズは基材のPETフィルムのヘ
イズ値を差し引いて求めた。目視観察により実用的なヘ
イズ値の範囲は30以下と判定した。
【0022】(抗菌抗黴剤粒子の分散液の調製)イミダ
ゾール16.34gを240mlの水に溶解した。一
方、硝酸銀20.38gを60mlの水に溶解後、上記
イミダゾール水溶液に、攪拌しながら徐々に添加した。
次に、1Nの水酸化ナトリウム水溶液でpH12に調整
した。約1時間攪拌を行った後、生成した白色沈澱を遠
心分離(9000rpm、10分)により集めた。回収
された白色沈澱を水で9回洗浄したのち、エタノール、
アセトンでそれぞれ2回ずつ洗浄、風乾して抗菌抗黴剤
を得た。得られた抗菌抗黴剤をイソプロピルアルコール
中に10重量%添加してサンドミルで湿式分散し、分散
時間を調節することにより、表1に示す平均粒子径の抗
菌抗黴剤粒子の分散液を得た。
【0023】[実施例1〜6および比較例1〜4]表1
に示す濃度(塗工層の全固形分中の含有量)になるよう
に、上記抗菌抗黴剤粒子の分散液を下記のワニスに添加
して抗菌抗黴性コーティング剤を調製し、厚さ25μm
のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片
面にバーコーターで、表1に示す膜厚に塗工したのち、
80℃のオーブンで1分間乾燥後、室温で1日間硬化さ
せ、抗菌抗黴性塗工物を得た。 バインダー樹脂(メチルメタクリレート系アクリルポリオール) 20部 硬化剤(芳香族系ポリイソシアネート) 5部 溶剤(酢酸エチル/メチルエチルケトン/トルエン=1:1:2)75部
【0024】[実施例7]ポリプロピレン(宇部興産社
製「J−109G」、軟化点260℃)に、上記抗菌抗
黴剤を表1に示す濃度で添加し、加圧ニーダー中で25
0℃付近にて溶融分散した。これを260〜280℃で
0.5分、150kg/m2 で加圧し押出Tダイ成形に
より厚さ約1mmの樹脂成型物(フィルム)を得た。 [比較例5]実施例7のブランクとして、抗菌抗黴剤を
添加せずに実施例7と同様にして、厚さ約1mmの樹脂
成型物(フィルム)を得た。
【0025】
【表1】
【0026】実施例1〜7および比較例1〜5で得られ
た塗工物および樹脂成型物について、大腸菌(Esch
erichia coli ATCC 8739)に対
する抗菌性を下記の方法で試験した。結果を表3に示
す。また、実施例5で得られた塗工物について、表2に
示す細菌、酵母、黴に対する抗菌抗黴性を下記の方法で
試験した。結果を表4に示す。
【0027】
【表2】
【0028】(抗菌抗黴性の試験方法) (1)試験試料の作成 塗工物または樹脂成型物を5cm×5cmの正方形に切
り取って、紫外線により滅菌したものを試験試料とし
た。 (2)試験菌液の調製 細菌は、標準寒天培地に接種し、35℃、24時間培養
後、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.0)を用い、菌液
を作製した。酵母は、ポテトデキストロース寒天培地に
接種し、C.albicansは35℃、24時間、
R.rubraは25℃、72時間培養後、リン酸緩衝
生理食塩水(pH7.0)を用い、菌液を作製した。黴
は、ポテトデキストロース寒天培地に接種し、25℃、
7日〜10日培養後、tween 80を0.05wt
%添加した生理食塩水を用い、胞子懸濁液を作製した。
菌数は、それぞれ105〜106CFU/mlになるよ
うに調製した。
【0029】(3)試験菌液の接種 調製した試験菌液0.3mlを試験試料に接種し、その
上に被覆フィルムを被せた後、35℃、相対湿度90%
以上の条件で24時間放置した。 (4)生菌数の測定 上記条件にて放置後、試験試料に接種した菌液を滅菌水
で10倍希釈系列を作製した。これらの希釈液を細菌
は、標準寒天培地に接種し、35℃、48時間培養し
た。酵母は、ポテトデキストロース寒天培地に接種し、
C.albicansは35℃、24時間、R.rub
raは25℃、72時間培養した。黴は、ポテトデキス
トロース寒天培地に接種し、25℃、1週間培養した。
培養後、培地上に形成されたコロニーをカウントし、生
菌数を算出した。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】通常、生菌数がブランク(比較例1)に比
べて102CFU/ml減少すれば抗菌性があるとされ
るが、表3から明らかなように、本発明の塗工物および
樹脂成型物は極めて強い抗菌性を示す。比較例2の場
合、抗菌効果に問題はないものの、塗工物表面にヘイズ
を発生したため実用的でない。また、実施例5で得られ
た塗工物は、試験を実施した全ての細菌、酵母、黴に対
して抗菌抗黴性効果があることが分かった。
【0033】
【発明の効果】本発明により、細菌だけでなく酵母、黴
に対しても広範な抗菌スペクトルを有し、かつ安定した
抗菌抗黴性を発揮する塗工物及び樹脂成形物が得られる
ようになった。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材の少なくとも片面に、イミダゾールま
    たはその誘導体と銀イオンとが結合してなる抗菌抗黴剤
    粒子とバインダー樹脂とを含む抗菌抗黴性塗工層を設け
    てなり、抗菌抗黴剤粒子の表面濃度が1×102 〜1×
    104 個/mm 2 であることを特徴とする抗菌抗黴性塗
    工物。
  2. 【請求項2】イミダゾールまたはその誘導体と銀イオン
    とが結合してなる抗菌抗黴剤粒子と成型樹脂とを含み、
    抗菌抗黴剤粒子の表面濃度が1×102 〜1×104
    /mm2 であることを特徴とする抗菌抗黴性樹脂成型
    物。
  3. 【請求項3】抗菌抗黴剤粒子の平均粒子径が0.1〜2
    0μmであることを特徴とする請求項1記載の抗菌抗黴
    性塗工物。
  4. 【請求項4】抗菌抗黴剤粒子の平均粒子径が0.1〜2
    0μmであることを特徴とする請求項2記載の抗菌抗黴
    性樹脂成型物。
  5. 【請求項5】塗工層中の抗菌抗黴剤粒子の含有量が0.
    05〜10重量%であることを特徴とする請求項1また
    は3記載の抗菌抗黴性塗工物。
  6. 【請求項6】樹脂成型物中の抗菌抗黴剤粒子の含有量が
    0.05〜10重量%であることを特徴とする請求項2
    または4記載の抗菌抗黴性樹脂成型物。
  7. 【請求項7】抗菌抗黴剤粒子の分散液をワニスまたは樹
    脂エマルジョン中に添加してなるコーティング剤を、基
    材の少なくとも片面に塗工することを特徴とする請求項
    1記載の抗菌抗黴性塗工物の製造方法。
  8. 【請求項8】抗菌抗黴剤粒子が分解する前に、基材に塗
    工したコーティング剤を乾燥することを特徴とする請求
    項7記載の抗菌抗黴性塗工物の製造方法。
JP25031997A 1997-09-16 1997-09-16 抗菌抗黴性樹脂成型物、抗菌抗黴性塗工物およびその製造方法 Pending JPH1177912A (ja)

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