JPH1177885A - 表面改質プラスチック材料 - Google Patents

表面改質プラスチック材料

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JPH1177885A
JPH1177885A JP25204397A JP25204397A JPH1177885A JP H1177885 A JPH1177885 A JP H1177885A JP 25204397 A JP25204397 A JP 25204397A JP 25204397 A JP25204397 A JP 25204397A JP H1177885 A JPH1177885 A JP H1177885A
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JP
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plastic material
film
aluminum
aluminum nitride
ceramic film
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Application number
JP25204397A
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English (en)
Inventor
Soichi Ogawa
倉一 小川
Masaaki Yoshitake
正明 吉竹
Masahiko Okamoto
正彦 岡本
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Yamamoto Kogaku Co Ltd
Osaka Prefecture
Original Assignee
Yamamoto Kogaku Co Ltd
Osaka Prefecture
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた耐擦傷性、耐薬品性、耐候性等を有し、
しかも、簡単な工程で形成さできる密着性に優れた保護
膜を有するプラスチック材料を提供する。 【解決手段】プラスチック基材上に窒化アルミニウム又
は酸窒化アルミニウムからなるセラミック膜が形成され
た表面改質されたプラスチック材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面改質されたプ
ラスチック材料に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート、ポリメチルメタクリ
レート等のプラスチックは、透明性、軽量性、耐衝撃性
などに優れた材料であり、安全用保護眼鏡レンズ、安全
用保護ゴーグルレンズ等の他、集光レンズ、ミラー、プ
リズム等各種の光学製品として応用されている。しかし
ながら、これらのプラスチック材料は、耐摩耗性に乏し
いために表面が傷つきやすく、また、有機溶剤等により
膨潤し易く、紫外線などの光により劣化するなどの欠点
がある。
【0003】これらの欠点を改良する方法として、有機
樹脂をバインダー成分とする各種の塗料をプラスチック
表面に塗布し、これを熱、紫外線等によって硬化させて
保護皮膜を形成する方法があるが、形成される皮膜は、
有機樹脂皮膜であるために、耐擦傷性、耐薬品性等の点
では、十分な特性を有するものではない。また、紫外線
等による劣化を改善する方法としては、紫外線吸収剤、
抗酸化剤等をプラスチック自身に練り込む方法がある
が、製造工程が複雑であり、又、耐擦傷性、耐薬品性等
の点では満足のいくものとはならない。
【0004】耐擦傷性を有する皮膜としては、Al23
等の酸化物の薄膜が知られているが、ポリカーボネート
等の上に直接Al23膜を形成する場合には、密着性が
きわめて悪く、密着性を改善するために、プラスチック
材料の上に何らかのバッファー層をコーティングして形
成する必要があり、2層以上の多層構造となるために、
工程が煩雑となり、生産性が悪いという問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主な目的は、
耐擦傷性、耐薬品性、耐候性等が良好で、しかも、簡単
な工程で形成できる密着性に優れた保護膜を形成したプ
ラスチック材料を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した如
き課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、窒化アルミニウ
ム皮膜又は酸窒化アルミニウム皮膜は、各種のプラスチ
ック材料に対して優れた密着性を有すると共に、耐擦傷
性、耐薬品性、耐光性等に優れたものであり、しかも、
透明性が良好であることから、特に、ポリカーボネー
ト、ポリメチルメタクリレート等の光学製品として用い
られるプラスチック材料の保護皮膜として、極めて有用
性が高いものであることを見出し、ここに本発明を完成
するに至った。
【0007】即ち、本発明は、下記の改質されたプラス
チック材料を提供するものである。
【0008】1.プラスチック基材上に、窒化アルミニ
ウム又は酸窒化アルミニウムからなるセラミック膜が形
成された表面改質プラスチック材料。
【0009】2.セラミック膜が、組成式:AlN
X(式中、0.8≦X≦2.6である。)で表される窒
化アルミニウム、又は組成式:AlNYZ(式中、Y≧
0.13、Z≦2.47であって、0.8≦Y+Z≦
2.6である。)で表される酸窒化アルミニウムである
項1に記載のプラスチック材料。
【0010】3.プラスチック基材上に、窒化アルミニ
ウム及び酸窒化アルミニウムから選ばれたセラミック膜
が形成されたプラスチック材料であって、該セラミック
膜は、連続的又は断続的に組成が変化する構造のもので
ある表面改質プラスチック材料。
【0011】4.セラミック膜が、プラスチック基材と
の界面部分では、組成式:AlNXにおいて、Xが0.
8〜2.6の窒化アルミニウム、又は組成式:AlNY
Zにおいて、Yが0.13以上、Zが2.47以下で
あって、Y+Zが0.8〜2.6のの酸窒化アルミニウ
ムであり、プラスチック基材との界面部分から表面部分
に向かって、連続的又は断続的に組成が変化する構造の
ものである項3に記載のプラスチック材料。
【0012】5.セラミック膜が、更に、酸化アルミニ
ウム層を含むものである項1〜4のいずれかに記載のプ
ラスチック材料。
【0013】6.セラミック膜が、物理蒸着法によって
形成されたものである項1〜5のいずれかに記載のプラ
スチック材料。
【0014】7.プラスチック基材が、光学製品用プラ
スチックである項1〜6のいずれかに記載のプラスチッ
ク材料。
【0015】8.プラスチック基材が、ポリカーボネー
ト、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩
化ビニル、及びポリジエチレングリコールビスアリルカ
ーボネートから選ばれたものである項7に記載のプラス
チック材料。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明において、基材とするプラ
スチックスについては、その種類は特に限定されるもの
ではなく、各種の公知のプラスチックスを適用対象とす
ることができる。その形状も限定されず、各種の成型
品、シート状等とすることができる。
【0017】特に、本発明では、保護膜とする窒化アル
ミニウム及び酸窒化アルミニウムが良好な透明性を有す
ることから、光学製品として用いられるプラスチックス
を基材とする場合には、透明性等の光学特性を阻害する
ことなく、保護皮膜を形成できるので、極めて有用性の
高いプラスチック材料となる。
【0018】光学製品として用いられるプラスチックス
は、透明性、成形性、加工性、機械的強度、耐衝撃性等
の各種の特性に優れていることが望ましい。これらの要
求特性を満足し、本発明における基材として適したプラ
スチックスとしては、熱可塑性の材料として、ポリカー
ボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMM
A)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PV
C)等を例示でき、熱硬化性の材料として、ポリジエチ
レングリコールビスアリルカーボネート(商標:CR−
39、PPGインダストリーズ社(米国)製)等を例示
できる。
【0019】本発明において、保護皮膜として用いるセ
ラミック皮膜は、窒化アルミニウム又は酸窒化アルミニ
ウムである。窒化アルミニウム及び酸窒化アルミニウム
は、いずれも、プラスチック基材との密着性に優れ、良
好な透明性を有し、耐擦傷性、耐薬品性、耐候性等の各
特性に優れたものである。
【0020】本発明では、窒化アルミニウムと酸窒化ア
ルミニウムは、いずれも、化学量論組成のものに限定さ
れることはなく、組成比が化学量論組成以外のものであ
っても良い。窒化アルミニウムとしては、組成式:Al
Xにおいて、Xが0.8〜2.6程度の範囲内にある
ものが好ましく、酸窒化アルミニウムは、組成式:Al
YZにおいて、Yが0.13以上、Zが2.47以下
であって、Y+Zが0.8〜2.6程度の範囲内にある
ものが好ましい。窒化アルミニウム及び酸窒化アルミニ
ウムは、それぞれ、上記組成範囲にあることによって、
特に、透明性、密着性、化学的安定性等に優れたものと
なる。化学量論組成以外のセラミック膜は、例えば、ス
パッタ法等によって容易に得ることができる。
【0021】本発明では、保護皮膜として形成する窒化
アルミニウム又は酸窒化アルミニウムからなるセラミッ
ク膜は、必ずしも全体が均一な組成である必要はなく、
連続的又は断続的に組成が変化する構造であっても良
い。断続的に組成が変化する構造の場合には、2層以上
の多層構造のセラミック膜となる。この様な連続的又は
断続的に組成が変化するセラミック膜は、同一種類のセ
ラミックスの組成が変化する場合だけではなく、窒化ア
ルミニウムの上に酸窒化アルミニウムを積層した構造、
酸窒化アルミニウムの上に窒化アルミニウムを積層した
構造、窒化アルミニウムと酸窒化アルミニウムを適宜3
層以上積層した構造等の異なる種類のセラミックスを積
層した構造であっても良い。
【0022】組成が変化する構造のセラミック膜を形成
する場合には、プラスチック基材とセラミック膜との界
面部分のセラミック膜は、組成式:AlNXにおいて、
Xが0.8〜2.6窒化アルミニウム、又は組成式:A
lNYZにおいて、Yが0.13以上、Zが2.47以
下であって、Y+Zが0.8〜2.6の酸窒化アルミニ
ウムであることが好ましく、この様な組成範囲とするこ
とによって、良好な密着性を有する皮膜となる。界面部
分以外では、窒化アルミニウム及び酸窒化アルミニウム
の組成は、上記各一般式の範囲に限定されるものではな
いが、窒化アルミニウム及び酸窒化アルミニウムが、そ
れぞれ、セラミック皮膜の全体に亘って上記各一般式の
範囲内にある場合には、透明性、密着性、化学的安定性
等も含めた特性についても良好な皮膜が形成されるの
で、好適である。尚、プラスチック基材とセラミック膜
との界面部分とは、プラスチック基材の表面にセラミッ
ク膜の連続膜が形成される最小の厚さの部分をいい、こ
れはセラミック膜の形成方法によって異なるが、スパッ
タ法や真空蒸着法でセラミック膜を形成する場合には、
通常、プラスチック基材の表面から10nm程度の厚さ
の範囲である。
【0023】又、本発明では、プラスチック基材とセラ
ミック膜との界面部分が窒化アルミニウム又は酸窒化ア
ルミニウムであれば、界面部分以外には、必要に応じ
て、酸化アルミニウム層を形成することもできる。界面
部分以外とは、例えば、積層した構造のセラミック膜に
おいて、セラミックス層に挟まれた中間層又は最上層を
意味する。酸化アルミニウムは、良好な透明性を有し、
窒化アルミニウム及び酸窒化アルミニウムと良好な密着
性を有することから、セラミック膜の中間層又は最上層
として酸化アルミニウムを用いた場合にも、透明性、密
着性等が阻害されることは無い。特に、酸化アルミニウ
ム皮膜は、表面硬度が高いことから、酸化アルミニウム
を最上層とする場合には、高硬度の皮膜を形成できる点
で有利である。
【0024】本発明において、プラスチック基材上にセ
ラミック膜を形成する方法については特に限定はなく、
公知のセラミック薄膜の形成方法を適宜適用すればよ
い。例えば、物理蒸着法(PVD法)、化学蒸着法(C
VD法)等の気相薄膜形成法によって目的とするセラミ
ック膜を形成できるが、特に、基材のプラスチックの特
性を損なわない程度の温度で窒化物や酸化物等の化合物
を制御性よく形成できる点で、スパッタ法、真空蒸着
法、イオンプレーティング法、イオンビームディポジシ
ョン法等のPVD法が好ましい。
【0025】これらの方法では、公知の条件に従って、
セラミック薄膜を形成することができる。以下に、反応
性スパッタリング法でセラミック膜を形成する方法の一
例をより具体的に説明する。
【0026】図1は、スパッタ法による薄膜作製装置の
一種であるマグネトロンスパッタ装置の一例の概略図で
ある。マグネトロンスパッタ法は、特に、基材温度の上
昇が少なく、成膜速度が速い点で優れた方法である。
【0027】図1の装置において、中央にある基板ホル
ダー1は、例えば、正12面体構造であり、長時間成膜
した場合に、熱により基板に反りが生じることを防止す
るために、基板ホルダ−が回転して、基板を冷却できる
構造となっている。又、この様な基板ホルダーが回転す
る構造とすることなく、断続的にスパッタを休止して基
板を冷却してもよい。
【0028】チャンバー2内はロータリーポンプ3と、
ターボ分子ポンプ4の組み合わせによる排気装置によ
り、必要な圧力に減圧できる構造となっている。
【0029】スパッタ用ガスとしては、Ar、He、N
e、Kr、Xe等の不活性ガスを用いることができ、反
応ガスとしては、窒化アルミニウムを形成する場合には
2を用い、酸窒化アルミニウムを形成する場合にはN2
とO2を用いればよい。スパッタ用ガスと反応ガスは、
マスフローコントローラーによって、一定流量がチヤン
バー2内に導入されるようになっている。
【0030】スパッタを行うための電源としては、高周
波電源(RF)あるいは直流電源(DC)のいずれも用
いることができるが、成膜レートは直流電源の方が高
く、生産性の点で有利である。
【0031】ターゲツト5としてはアルミニウム、窒化
アルミニウム、酸窒化アルミニウム等を使用することが
できる。
【0032】形成される皮膜の特性は、ターゲット5に
印加するパワーとチャンバー内に導入するガス流量等に
よって、大きく影響されるので、実用的な透明なセラミ
ック膜を形成するためには、それぞれの作製条件により
適切な値を選択する必要がある。図2及び図3に、窒化
アルミニウム膜作製時の成膜レートとN2導入量及び印
加パワーの関係の一例のグラフを示す。図2は、電力5
00W、ArとN2の合計流量が標準状態での流量(温
度0℃、圧力1気圧での流量(cm3))(SCCM)
として、6SCCMの場合の成膜レートを示し、図3
は、電力1000W、ArとN2の合計流量6SCCM
の場合の成膜レートを示す。各図中、○印が本発明の目
的に合う透明な窒化アルミニウム膜である。
【0033】窒化アルミニウム又は酸窒化アルミニウム
の組成を変えるには、スパッタ室に供給するArガス、
2ガス、O2ガス等の流量比を調整すると共に、ターゲ
ツトに印加するパワー等を適宜変更すればよい。又、反
応ガスとして、O2ガスだけを用いることによって、酸
化アルミニウムを形成することもできる。この方法によ
れば、組成が変化する構造のセラミック膜を簡単に形成
できる。
【0034】形成するセラミック膜の膜厚については特
に限定はないが、良好な保護機能を発揮するためには、
通常、0.1μm程度以上の膜厚とすることが好まし
い。膜厚の上限についても特に限定はなく、作業性、コ
スト等を考慮して適宜膜厚を決めればよい。
【0035】
【発明の効果】本発明によるプラスチック材料は、耐擦
傷性、耐薬品性、耐光性等に優れ、しかも密着性の良好
な保護皮膜を有するものであり、各種の用途に有効に用
いることができる。
【0036】特に、この保護皮膜は、上記特性に加えて
透明性も良好であることから、プラスチック基材の光学
特性を阻害することが少なく、この保護皮膜を形成した
プラスチック材料は、安全用保護眼鏡レンズ、安全用保
護ゴーグルレンズ、集光レンズ、ミラー、プリズム等の
光学製品として極めて有用性が高いものである。
【0037】
【実施例】
実施例1 図1に示すマグネトロンスパッタ装置を用いて、以下の
方法で、Alをターゲットとして用いて、反応性スパッ
タリング法により、窒化アルミニウム膜を形成した。
【0038】プラスチック基材としては、50×50×
1mmのポリカーボネート板を用い、中性洗剤及び純水
で洗浄して表面の脱脂を行い、脱水した後、基板ホルダ
ー1にセットした。次いで、チャンバー2内を3×10
-4Pa以下に真空排気し、マスフローコントローラーに
てスパッタガスであるArと反応ガスであるN2の流量
を調節し、さらにコンダクタンスバルブ6の開度を調節
して成膜室内のガス圧力を調節した後、ターゲット5に
パワーを印加して、スパッタリングを行なった。この
際、スパッタ中の熱による基板の変形をさけるため基板
を回転させた。
【0039】この様にして、ポリカーボネートの表面に
窒化アルミニウムからなる保護皮膜を形成した後、下記
の方法で耐擦傷性試験を行った。
【0040】耐擦傷性試験方法:#0000のスチール
ウールを用いて、約1kg/cm2の圧力をかけて基板
表面を10回往復させた後、傷の付き具合を目視で観察
し、下記のAからGの7段階の基準で評価した。尚、評
価が「D」以上のものは実用上十分耐え得る耐擦傷性を
有するものである。
【0041】 A:傷が認められないもの B:数本程度の傷 C:10数本程度の傷 D:20〜30本の傷 E:30〜50本の傷 F:50本以上の傷 G:白化、すりガラス状態 下記表1に、スパッタリング条件、形成された膜の外
観、膜厚、組成及び耐擦傷性試験結果を示す。尚、表
中、SCCMとあるのは、標準状態(0℃、1気圧)に
おける流量(cm3)を意味する。
【0042】
【表1】
【0043】以上の結果から、試料No.1では、N2
流量が少ないために、十分な窒化アルミニウム皮膜が形
成されておらず、不透明な皮膜が形成されたが、No.
2〜4の試料では、N2流量を増加させたことによっ
て、淡緑透明の窒化アルミニウム皮膜が形成され、耐擦
傷性も良好になったことが判る。
【0044】次いで、窒化アルミニウム皮膜を形成した
No.4の試料について、往復摺動試験機を用いて、摩
擦係数の測定を行った。試験条件は、試験温度:26
℃、試験荷重:196mN、ストローク:6.00m
m、周波数:1.00Hzとした。図4に基材であるポ
リカーボネートについての測定結果を示し、図5に窒化
アルミニウム皮膜を形成したNo.4の試料についての
測定結果を示す。
【0045】これらの結果から、窒化アルミニウム膜を
形成した場合に、摩擦係数が小さくなり、860回摺動
を繰り返した後、ようやく窒化アルミニウム膜が剥離し
て、摩擦係数が上昇したことが判る。これから、窒化ア
ルミニウム膜は長期間の摺動試験に耐えることができ、
基材との密着性がよく、十分に実用化し得るものである
ことが判る。
【0046】又、No.4の試料について、透過率スペ
クトルの測定結果を図6に示す。図6において、A曲線
が基材についての測定結果であり、B曲線が窒化アルミ
ニウム膜を形成した試料についての測定結果である。こ
の結果から、窒化アルミニウム膜を形成した場合には、
膜厚に依存する干渉が観察されるが、可視光域では、十
分に実用的な光の透過率を持つことが判る。
【0047】実施例2 実施例1と同じマグネトロンスパッタ装置を使用し、反
応ガスとしてN2とO2を用いる以外は実施例1と同様の
方法で、実施例1と同じ基材上に酸窒化アルミニウム膜
を形成した。
【0048】下記表2に、スパッタリング条件、形成さ
れた膜の外観、膜厚、組成及び耐擦傷性試験結果を示
す。
【0049】
【表2】
【0050】この結果から、一定範囲の組成の酸窒化ア
ルミニウム皮膜は、プラスチック材料との密着性が良好
で、耐擦傷性に優れたものであることが判る。
【0051】試験例1 実施例1で得たNo.4の試料、実施例2で得たNo.
6の試料、及びポリカーボネート基材について、下記の
方法で耐薬品性試験及び耐候性試験を行った。結果を下
記表3及び表4に示す。
【0052】耐薬品性試験:下記表3に示す各薬品を試
料表面に一滴滴下し、薬品が蒸発した後の試料表面の外
観を目視で観察した。
【0053】耐候性:耐候性試験器(アトラス社製、U
VCON)を用いて、120時間耐候性試験を行った
後、試料の外観を目視で観察した。
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】以上の結果から判るように、窒化アルミニ
ウム皮膜を形成した試料、及び酸窒化アルミニウムを形
成した試料は、いずれも、各有機溶剤によって侵される
ことがなく、耐候性も良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】マグネトロンスパッタ装置の概略図
【図2】窒化アルミニウム膜作製時の成膜レートとN2
導入量及び印加パワーの関係を示すグラフ
【図3】窒化アルミニウム膜作製時の成膜レートとN2
導入量及び印加パワーの関係を示すグラフ
【図4】ポリカーボネートについての摩擦係数測定結果
のグラフ
【図5】窒化アルミニウム皮膜を形成したポリカーボネ
ートについての摩擦係数測定結果のグラフ
【図6】透過率スペクトルの測定結果
【符号の説明】
1 基板ホルダー 2 チャンバー 3 ロータリーポンプ 4 ターボ分子ポ
ンプ 5 ターゲット 6 コンダクタン
スバルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08J 7/06 CEV C08J 7/06 CEVZ CFD CFDZ CFE CFEZ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラスチック基材上に、窒化アルミニウム
    又は酸窒化アルミニウムからなるセラミック膜が形成さ
    れた表面改質プラスチック材料。
  2. 【請求項2】セラミック膜が、組成式:AlNX(式
    中、0.8≦X≦2.6である。)で表される窒化アル
    ミニウム、又は組成式:AlNYZ(式中、Y≧0.1
    3、Z≦2.47であって、0.8≦Y+Z≦2.6で
    ある。)で表される酸窒化アルミニウムである請求項1
    に記載のプラスチック材料。
  3. 【請求項3】プラスチック基材上に、窒化アルミニウム
    及び酸窒化アルミニウムから選ばれたセラミック膜が形
    成されたプラスチック材料であって、該セラミック膜
    は、連続的又は断続的に組成が変化する構造のものであ
    る表面改質プラスチック材料。
  4. 【請求項4】セラミック膜が、プラスチック基材との界
    面部分では、組成式:AlNXにおいて、Xが0.8〜
    2.6の窒化アルミニウム、又は組成式:AlNYZ
    おいて、Yが0.13以上、Zが2.47以下であっ
    て、Y+Zが0.8〜2.6の酸窒化アルミニウムであ
    り、プラスチック基材との界面部分から表面部分に向か
    って、連続的又は断続的に組成が変化する構造のもので
    ある請求項3に記載のプラスチック材料。
  5. 【請求項5】セラミック膜が、更に、酸化アルミニウム
    層を含むものである請求項1〜4のいずれかに記載のプ
    ラスチック材料。
  6. 【請求項6】セラミック膜が、物理蒸着法によって形成
    されたものである請求項1〜5のいずれかに記載のプラ
    スチック材料。
  7. 【請求項7】プラスチック基材が、光学製品用プラスチ
    ックである請求項1〜6のいずれかに記載のプラスチッ
    ク材料。
  8. 【請求項8】プラスチック基材が、ポリカーボネート、
    ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビ
    ニル、及びポリジエチレングリコールビスアリルカーボ
    ネートから選ばれたものである請求項7に記載のプラス
    チック材料。
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