JPH11776A - 鋼管の振動レーザ溶接方法 - Google Patents
鋼管の振動レーザ溶接方法Info
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- JPH11776A JPH11776A JP10093218A JP9321898A JPH11776A JP H11776 A JPH11776 A JP H11776A JP 10093218 A JP10093218 A JP 10093218A JP 9321898 A JP9321898 A JP 9321898A JP H11776 A JPH11776 A JP H11776A
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- laser
- steel pipe
- welding
- irradiation position
- laser irradiation
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- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
- B23K2101/00—Articles made by soldering, welding or cutting
- B23K2101/04—Tubular or hollow articles
- B23K2101/06—Tubes
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
- B23K2103/00—Materials to be soldered, welded or cut
- B23K2103/02—Iron or ferrous alloys
- B23K2103/04—Steel or steel alloys
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- Laser Beam Processing (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 優れた溶接継ぎ手部が得られる鋼管のレーザ
溶接方法を提供する。 【解決手段】 鋼管を突き合わせ、突合せ部にレーザを
照射して溶融させて溶接を行う鋼管のレーザ溶接方法に
おいて、レーザ照射位置を鋼管の突合せ線に対して垂直
方向に振幅0.5〜1.0mmかつ振動数10〜60Hzで
振動させながら、レーザ照射位置を鋼管の突合せ部に沿
って0.5〜3.0m/sec で移動させて鋼管の溶接を行
う。
溶接方法を提供する。 【解決手段】 鋼管を突き合わせ、突合せ部にレーザを
照射して溶融させて溶接を行う鋼管のレーザ溶接方法に
おいて、レーザ照射位置を鋼管の突合せ線に対して垂直
方向に振幅0.5〜1.0mmかつ振動数10〜60Hzで
振動させながら、レーザ照射位置を鋼管の突合せ部に沿
って0.5〜3.0m/sec で移動させて鋼管の溶接を行
う。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼管のレーザ溶接
方法に関する。
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザ溶接法は、溶け込み比が高く加工
歪みが少ない、高速溶接が可能で残留熱影響部が少な
い、といった特徴をもつため今後の発展が大いに期待さ
れている分野である。このレーザ溶接法を鋼管と鋼管と
の突合せ溶接に適用することについては、従来から提案
されてきている。
歪みが少ない、高速溶接が可能で残留熱影響部が少な
い、といった特徴をもつため今後の発展が大いに期待さ
れている分野である。このレーザ溶接法を鋼管と鋼管と
の突合せ溶接に適用することについては、従来から提案
されてきている。
【0003】具体的には、例えば特開昭56−3639
5号公報には、レーザビーム等の高エネルギービームを
パイプの表面に照射して鋼管の溶接を行う方法が記載さ
れている。また、特開昭58−148089号公報には
レーザを用いたパイプの加工装置が記載されている。
5号公報には、レーザビーム等の高エネルギービームを
パイプの表面に照射して鋼管の溶接を行う方法が記載さ
れている。また、特開昭58−148089号公報には
レーザを用いたパイプの加工装置が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のレーザ
溶接により鋼管の突合せ溶接には、次のような問題があ
った。 1)鋼管の切断は通常ガス切断法などで行われるため、
鋼管の性状や鋼管とガイドレールとの軸ずれ等によって
切断部の形状が直線から外れることはまぬがれない。こ
のため鋼管と鋼管との突合せ部にギャップが生じる。こ
のギャップがレーザ溶接の溶融部の幅よりも大きけれ
ば、その部分では鋼管が溶接されなくなる。 2)鋼管の突合せ部に形成される溶融部の形状は、図1
に示すように溶融部の最大幅と最小幅との差が大きく、
このため溶融部に凝固割れが発生することがある。 3)例えば、C:0.31%以下、Mn:2.0%以
下、P:0.08%以下、S:0.06%以下を含有す
るような鋼に高速なレーザ溶接工程を適用する場合、溶
融部の小さいレーザ溶接では溶融部の冷却が比較的高速
で行われるため、溶接部が高硬度化して鋼管の性質が不
均一になる。これに対して、溶接速度の低下・レーザパ
ワーの強力化等によって溶融幅を大きくすれば溶融部の
冷却を遅くすることは可能だが、この場合には溶融部に
溶け落ちが発生しやすくなる。特に、鋼管の場合、溶接
姿勢が立向きおよび上向きとなるため、垂れ落ちが生じ
やすい。 4)溶融部に発生した気泡が凝固した溶融部に閉じ込め
られてブローホールとなり、凝固割れの原因となる。本
発明は上述した従来技術の問題点を解決し、優れた溶接
継ぎ手部が得られる鋼管のレーザ溶接方法を提供するこ
とを目的とする。
溶接により鋼管の突合せ溶接には、次のような問題があ
った。 1)鋼管の切断は通常ガス切断法などで行われるため、
鋼管の性状や鋼管とガイドレールとの軸ずれ等によって
切断部の形状が直線から外れることはまぬがれない。こ
のため鋼管と鋼管との突合せ部にギャップが生じる。こ
のギャップがレーザ溶接の溶融部の幅よりも大きけれ
ば、その部分では鋼管が溶接されなくなる。 2)鋼管の突合せ部に形成される溶融部の形状は、図1
に示すように溶融部の最大幅と最小幅との差が大きく、
このため溶融部に凝固割れが発生することがある。 3)例えば、C:0.31%以下、Mn:2.0%以
下、P:0.08%以下、S:0.06%以下を含有す
るような鋼に高速なレーザ溶接工程を適用する場合、溶
融部の小さいレーザ溶接では溶融部の冷却が比較的高速
で行われるため、溶接部が高硬度化して鋼管の性質が不
均一になる。これに対して、溶接速度の低下・レーザパ
ワーの強力化等によって溶融幅を大きくすれば溶融部の
冷却を遅くすることは可能だが、この場合には溶融部に
溶け落ちが発生しやすくなる。特に、鋼管の場合、溶接
姿勢が立向きおよび上向きとなるため、垂れ落ちが生じ
やすい。 4)溶融部に発生した気泡が凝固した溶融部に閉じ込め
られてブローホールとなり、凝固割れの原因となる。本
発明は上述した従来技術の問題点を解決し、優れた溶接
継ぎ手部が得られる鋼管のレーザ溶接方法を提供するこ
とを目的とする。
【0005】
【課題を解決する手段】本発明は、以下の通りである。 (1)鋼管を突き合わせ、突合せ部にレーザを照射して
溶融させて溶接を行う鋼管のレーザ溶接方法において、
レーザ照射位置を鋼管の突合せ線に対して垂直方向に振
幅0.5〜1.0mmかつ振動数10〜60Hzで振動させ
ながら、レーザ照射位置を鋼管の突合せ部に沿って0.
5〜3.0m/sec で移動させて鋼管の溶接を行うことを
特徴とする鋼管の振動レーザ溶接方法。 (2)鋼管を突き合わせ、突合せ部にレーザを照射して
溶融させて溶接を行う鋼管のレーザ溶接方法において、
レーザ照射位置を鋼管の突合せ線方向に振幅0.5〜
1.0mmかつ振動数10〜60Hzで振動させながら、レ
ーザ照射位置を鋼管の突合せ部に沿って0.5〜3.0
m/sec で移動させて鋼管の溶接を行うことを特徴とする
鋼管の振動レーザ溶接方法。 (3)鋼管を突き合わせ、突合せ部にレーザを照射して
溶融させて溶接を行う鋼管のレーザ溶接方法において、
レーザ照射位置を鋼管の突合せ線と垂直方向に振幅0.
5〜1.0mmかつ振動数10〜60Hzで振動させると共
に鋼管の突合せ線方向に振幅0.5〜1.0mmかつ振動
数10〜60Hzで振動させながら、レーザ照射位置を鋼
管の突合せ部に沿って0.5〜3.0m/sec で移動させ
て鋼管の溶接を行うことを特徴とする鋼管の振動レーザ
溶接方法。
溶融させて溶接を行う鋼管のレーザ溶接方法において、
レーザ照射位置を鋼管の突合せ線に対して垂直方向に振
幅0.5〜1.0mmかつ振動数10〜60Hzで振動させ
ながら、レーザ照射位置を鋼管の突合せ部に沿って0.
5〜3.0m/sec で移動させて鋼管の溶接を行うことを
特徴とする鋼管の振動レーザ溶接方法。 (2)鋼管を突き合わせ、突合せ部にレーザを照射して
溶融させて溶接を行う鋼管のレーザ溶接方法において、
レーザ照射位置を鋼管の突合せ線方向に振幅0.5〜
1.0mmかつ振動数10〜60Hzで振動させながら、レ
ーザ照射位置を鋼管の突合せ部に沿って0.5〜3.0
m/sec で移動させて鋼管の溶接を行うことを特徴とする
鋼管の振動レーザ溶接方法。 (3)鋼管を突き合わせ、突合せ部にレーザを照射して
溶融させて溶接を行う鋼管のレーザ溶接方法において、
レーザ照射位置を鋼管の突合せ線と垂直方向に振幅0.
5〜1.0mmかつ振動数10〜60Hzで振動させると共
に鋼管の突合せ線方向に振幅0.5〜1.0mmかつ振動
数10〜60Hzで振動させながら、レーザ照射位置を鋼
管の突合せ部に沿って0.5〜3.0m/sec で移動させ
て鋼管の溶接を行うことを特徴とする鋼管の振動レーザ
溶接方法。
【0006】本発明の振動レーザ溶接方法は、重量%で
C:0.01〜0.31%、Si:0.5%以下、M
n:1.0〜2.0%、P:0.03%以下、S:0.
03%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よ
りなる鋼管に適用することができる。Cは、鋼管の靱性
および引張強度の確保に対し必須成分である。Mnは、
同様に靱性引張強度および衝撃値の確保に対し必須成分
である。また、API5L規格を満たす鋼管に適用する
こともできる。必要に応じてCu、Ni、Mo、Nb、
V、TiおよびB等の添加元素の少なくとも一つを加え
てもよい。
C:0.01〜0.31%、Si:0.5%以下、M
n:1.0〜2.0%、P:0.03%以下、S:0.
03%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物よ
りなる鋼管に適用することができる。Cは、鋼管の靱性
および引張強度の確保に対し必須成分である。Mnは、
同様に靱性引張強度および衝撃値の確保に対し必須成分
である。また、API5L規格を満たす鋼管に適用する
こともできる。必要に応じてCu、Ni、Mo、Nb、
V、TiおよびB等の添加元素の少なくとも一つを加え
てもよい。
【0007】図1(a)に、従来のレーザ溶接法により
形成された溶接部の形状を示す。この図に示すように、
従来のレーザ溶接法では最大溶融幅WMAX と最小溶融幅
WMI N との差が大きく、凝固後に図1(b)に示すよう
な凝固割れが発生する頻度も高かった。
形成された溶接部の形状を示す。この図に示すように、
従来のレーザ溶接法では最大溶融幅WMAX と最小溶融幅
WMI N との差が大きく、凝固後に図1(b)に示すよう
な凝固割れが発生する頻度も高かった。
【0008】図2に、{(WMAX −WMIN )/平均溶融
幅}の値と凝固割れ長さとの相関を示す。図2において
凝固割れ長さの指標としては、発生した凝固割れの長さ
の溶接部の厚み全体に対する比率(%)を用いている。
また、データは、15mm厚鋼板の突合せ部に12kWCO
2 レーザをパワー密度1.5 MW/cm2 で照射し、溶接速
度1.0m/min でレーザ溶接した際のものである。図2
に示すように、{(WMAX −WMIN )/平均溶融幅}の
値を小さくすれば、凝固割れの発生を低減できることが
わかる。
幅}の値と凝固割れ長さとの相関を示す。図2において
凝固割れ長さの指標としては、発生した凝固割れの長さ
の溶接部の厚み全体に対する比率(%)を用いている。
また、データは、15mm厚鋼板の突合せ部に12kWCO
2 レーザをパワー密度1.5 MW/cm2 で照射し、溶接速
度1.0m/min でレーザ溶接した際のものである。図2
に示すように、{(WMAX −WMIN )/平均溶融幅}の
値を小さくすれば、凝固割れの発生を低減できることが
わかる。
【0009】そこで本発明では、レーザ照射位置を鋼管
の突合せ線に対して垂直方向(以下、Y方向という)に
振幅0.5〜1.0mmかつ振動数10〜60Hzで振動さ
せながら、レーザ照射位置を鋼管の突合せ部に沿って
0.5〜3.0m/sec で移動させて鋼管の溶接を行うこ
ととした。図3に、本発明の範囲でレーザ照射位置をY
方向に振動させながらレーザ溶接を行うことで得られる
溶接部の形状を示す。本発明による溶接部では、{(W
MAX −WMIN )/平均溶融幅}の値は0に近く、凝固割
れの発生を低減できる。また、本発明による溶融幅は、
従来法による溶融幅よりも広いため、目外れの防止・低
減にも有効である。
の突合せ線に対して垂直方向(以下、Y方向という)に
振幅0.5〜1.0mmかつ振動数10〜60Hzで振動さ
せながら、レーザ照射位置を鋼管の突合せ部に沿って
0.5〜3.0m/sec で移動させて鋼管の溶接を行うこ
ととした。図3に、本発明の範囲でレーザ照射位置をY
方向に振動させながらレーザ溶接を行うことで得られる
溶接部の形状を示す。本発明による溶接部では、{(W
MAX −WMIN )/平均溶融幅}の値は0に近く、凝固割
れの発生を低減できる。また、本発明による溶融幅は、
従来法による溶融幅よりも広いため、目外れの防止・低
減にも有効である。
【0010】ここで、レーザ照射位置を鋼管の突合せ部
に沿って0.5〜3.0m/sec で移動させる、すなわち
溶接速度を0.5〜3.0m/sec としたのは、0.5m/
sec未満では鋼管への入熱量が過大となり溶け落ち等が
発生するためであり、3.0m/sec 超では逆に鋼管への
入熱量が過少で溶接不全が発生するためである。
に沿って0.5〜3.0m/sec で移動させる、すなわち
溶接速度を0.5〜3.0m/sec としたのは、0.5m/
sec未満では鋼管への入熱量が過大となり溶け落ち等が
発生するためであり、3.0m/sec 超では逆に鋼管への
入熱量が過少で溶接不全が発生するためである。
【0011】また、レーザ照射位置をY方向に振動させ
る際の条件を上記のように規定した理由について以下に
述べる。本発明では、レーザ照射位置をY方向に振動さ
せることで、鋼管突合せ部に形成される溶融部の幅を拡
大し、また{(WMAX −WMIN )/平均溶融幅}の値が
0に近い均一な幅の溶融部を得ることを目的としてい
る。ここで、Y方向の振動が10Hz未満であれば単に溶
融部が蛇行するのみであって、本発明の目的が達成でき
ない。またY方向の振動は60Hzを超えて速くしても効
果が飽和に近付き、装置側の負担が大きくなるだけであ
る。そこで、本発明ではY方向の振動を10〜60Hzと
した。また、Y方向の振幅が0.5mm未満では十分に本
発明の効果が得られず、1.0mm超とすれば溶融部が突
合せ線から外れてしまうことが考えられる。そこで、本
発明ではY方向の振幅を0.5〜1.0mmとした。
る際の条件を上記のように規定した理由について以下に
述べる。本発明では、レーザ照射位置をY方向に振動さ
せることで、鋼管突合せ部に形成される溶融部の幅を拡
大し、また{(WMAX −WMIN )/平均溶融幅}の値が
0に近い均一な幅の溶融部を得ることを目的としてい
る。ここで、Y方向の振動が10Hz未満であれば単に溶
融部が蛇行するのみであって、本発明の目的が達成でき
ない。またY方向の振動は60Hzを超えて速くしても効
果が飽和に近付き、装置側の負担が大きくなるだけであ
る。そこで、本発明ではY方向の振動を10〜60Hzと
した。また、Y方向の振幅が0.5mm未満では十分に本
発明の効果が得られず、1.0mm超とすれば溶融部が突
合せ線から外れてしまうことが考えられる。そこで、本
発明ではY方向の振幅を0.5〜1.0mmとした。
【0012】また、レーザ照射位置を鋼管の突合せ線方
向(以下、X方向とする)に振幅0.5〜1.0mmかつ
振動数10〜60Hzで振動させながら上述した溶接速度
でレーザ溶接を行ってもよい。
向(以下、X方向とする)に振幅0.5〜1.0mmかつ
振動数10〜60Hzで振動させながら上述した溶接速度
でレーザ溶接を行ってもよい。
【0013】このように、レーザ照射位置をX方向に振
動させながらレーザ溶接を行った場合における溶接部の
熱履歴を、図4に概略的に示す。図4には、従来法にお
ける溶接部の熱履歴を併せて示す。図4に記載されてい
るように、本発明法による溶接部が800℃から500
℃まで冷却されるのに要する時間は、従来法における同
様の所要時間よりも長い。したがって、本発明による溶
接部の冷却速度は従来法よりも緩やかであり、溶接部の
硬化が起きにくい熱履歴となっているのである。
動させながらレーザ溶接を行った場合における溶接部の
熱履歴を、図4に概略的に示す。図4には、従来法にお
ける溶接部の熱履歴を併せて示す。図4に記載されてい
るように、本発明法による溶接部が800℃から500
℃まで冷却されるのに要する時間は、従来法における同
様の所要時間よりも長い。したがって、本発明による溶
接部の冷却速度は従来法よりも緩やかであり、溶接部の
硬化が起きにくい熱履歴となっているのである。
【0014】図4に示すように、本発明法では溶融金属
が融点以上に滞留する時間が長いため、溶融金属中に発
生した気泡が溶融金属中を浮上して溶融部から抜け出し
やすくなり、ブローホールの発生が低減されるという効
果もある。
が融点以上に滞留する時間が長いため、溶融金属中に発
生した気泡が溶融金属中を浮上して溶融部から抜け出し
やすくなり、ブローホールの発生が低減されるという効
果もある。
【0015】レーザ照射位置をX方向に振動させる際の
条件を上記のように規定した理由について以下に述べ
る。本発明では、レーザ照射位置をX方向に振動させて
溶接部の熱履歴を制御することで、溶融部の硬化を防
ぎ、またブローホール発生を低減することを目的として
いる。ここで、レーザ照射位置の振幅が0.5mm未満で
は振動させる効果が出ず、熱履歴の制御が不十分であ
る。一方、レーザ照射位置を1.0mm超の振幅で振動さ
せても溶融幅の増大により溶融金属に垂れ落ちが発生
し、溶接欠陥となる。そこで、レーザ照射位置の振幅は
0.5〜1.0mmとした。
条件を上記のように規定した理由について以下に述べ
る。本発明では、レーザ照射位置をX方向に振動させて
溶接部の熱履歴を制御することで、溶融部の硬化を防
ぎ、またブローホール発生を低減することを目的として
いる。ここで、レーザ照射位置の振幅が0.5mm未満で
は振動させる効果が出ず、熱履歴の制御が不十分であ
る。一方、レーザ照射位置を1.0mm超の振幅で振動さ
せても溶融幅の増大により溶融金属に垂れ落ちが発生
し、溶接欠陥となる。そこで、レーザ照射位置の振幅は
0.5〜1.0mmとした。
【0016】また、本発明の溶接速度範囲とX方向振幅
範囲においてレーザ照射位置の振動数を10Hz未満とし
たのでは、振動速度が遅すぎ本発明の効果が得られな
い。一方、60Hz超としても効果が飽和に近付くばかり
か、装置側の負担が大きくなり好ましくない。そこで、
レーザ照射位置の振動数は10〜60Hzとした。
範囲においてレーザ照射位置の振動数を10Hz未満とし
たのでは、振動速度が遅すぎ本発明の効果が得られな
い。一方、60Hz超としても効果が飽和に近付くばかり
か、装置側の負担が大きくなり好ましくない。そこで、
レーザ照射位置の振動数は10〜60Hzとした。
【0017】さらに、レーザ照射位置をY方向に振動さ
せると同時に、X方向にも振動させながらレーザ溶接を
行うようにしてもよい。この時の各方向の振動条件は、
個別に振動させた場合の条件とそれぞれ同等でよい。
せると同時に、X方向にも振動させながらレーザ溶接を
行うようにしてもよい。この時の各方向の振動条件は、
個別に振動させた場合の条件とそれぞれ同等でよい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を説明
する。図5に、本発明の鋼管の振動レーザ溶接方法を実
施する装置の一例を概略的に示す。図5において、3は
被加工物である鋼管、Lはレーザビーム、1はレーザ発
振器、11はレーザ伝送装置、21は加工ヘッドであ
る。レーザ発振器1としては、例えば出力10〜30kW
の連続波CO2 レーザ発振器が適している。レーザ発振
器1から出射されたレーザビームLはミラー5によって
反射され、レーザ伝送装置11に導入される。
する。図5に、本発明の鋼管の振動レーザ溶接方法を実
施する装置の一例を概略的に示す。図5において、3は
被加工物である鋼管、Lはレーザビーム、1はレーザ発
振器、11はレーザ伝送装置、21は加工ヘッドであ
る。レーザ発振器1としては、例えば出力10〜30kW
の連続波CO2 レーザ発振器が適している。レーザ発振
器1から出射されたレーザビームLはミラー5によって
反射され、レーザ伝送装置11に導入される。
【0019】レーザ伝送装置11は、第1継ぎ手17、
第1ビームダクト13、第2継ぎ手18、第2ビームダ
クト15、第3継ぎ手19よりなっている。各ビームダ
クトは中空筒状であって、レーザビームはその内部を伝
送される。図6に、第2継ぎ手18の構造を概略的に示
す。第1ビームダクト13と第2ビームダクト15とは
ベアリング35を介して相互に回動自在に接続されてお
り、第1ビームダクト13内に配置されたミラー31と
第2ビームダクト15内に配置されたミラー33とによ
ってレーザビームLは第1ビームダクト13内から第2
ビームダクト15内へと伝送される。以上第2継ぎ手1
8について説明したが、第1継ぎ手17、第3継ぎ手1
9もこれと同様な構造・機能を有している。以上のよう
な構造によって、レーザ伝送装置11は各継ぎ手によっ
て折れ曲がり自在であり、かつレーザビームLを上流側
のビームダクトから下流側のビームダクトへと伝送する
ことができる。
第1ビームダクト13、第2継ぎ手18、第2ビームダ
クト15、第3継ぎ手19よりなっている。各ビームダ
クトは中空筒状であって、レーザビームはその内部を伝
送される。図6に、第2継ぎ手18の構造を概略的に示
す。第1ビームダクト13と第2ビームダクト15とは
ベアリング35を介して相互に回動自在に接続されてお
り、第1ビームダクト13内に配置されたミラー31と
第2ビームダクト15内に配置されたミラー33とによ
ってレーザビームLは第1ビームダクト13内から第2
ビームダクト15内へと伝送される。以上第2継ぎ手1
8について説明したが、第1継ぎ手17、第3継ぎ手1
9もこれと同様な構造・機能を有している。以上のよう
な構造によって、レーザ伝送装置11は各継ぎ手によっ
て折れ曲がり自在であり、かつレーザビームLを上流側
のビームダクトから下流側のビームダクトへと伝送する
ことができる。
【0020】以上のようなレーザ伝送装置11によっ
て、レーザビームLは加工ヘッド21に伝送される。加
工ヘッド21上にはミラー25と集光光学系27が配置
されていて、これらによってレーザビームLは鋼管3の
被溶接部31に照射される。
て、レーザビームLは加工ヘッド21に伝送される。加
工ヘッド21上にはミラー25と集光光学系27が配置
されていて、これらによってレーザビームLは鋼管3の
被溶接部31に照射される。
【0021】本発明法にしたがってレーザ照射位置を振
動させるには、例えば図7、図8に示すようにミラー2
5と集光光学系27とを組み合わせ、ミラー25を矢印
方向に振動させればよい。図7、8において、溶接方向
を紙面に対して水平とすればレーザ照射位置をX方向に
振動させることができ、溶接方向を紙面に対して垂直と
すればレーザ照射位置をY方向に振動させることができ
る。なお、図7、8においてはミラー25を振動させて
いるが、集光光学系27を振動させても同様の効果が得
られることはいうまでもない。
動させるには、例えば図7、図8に示すようにミラー2
5と集光光学系27とを組み合わせ、ミラー25を矢印
方向に振動させればよい。図7、8において、溶接方向
を紙面に対して水平とすればレーザ照射位置をX方向に
振動させることができ、溶接方向を紙面に対して垂直と
すればレーザ照射位置をY方向に振動させることができ
る。なお、図7、8においてはミラー25を振動させて
いるが、集光光学系27を振動させても同様の効果が得
られることはいうまでもない。
【0022】ここで、加工ヘッド21を加工ヘッド駆動
機構29によって、鋼管3の外周に設けられたガイドレ
ール23上を周回させれば、鋼管突合せ部全周にわたっ
て溶接を行うことが可能である。
機構29によって、鋼管3の外周に設けられたガイドレ
ール23上を周回させれば、鋼管突合せ部全周にわたっ
て溶接を行うことが可能である。
【0023】
【実施例】前述の装置を用い、直径約711mm、板厚約
15mmのパイプライン用鋼管の溶接を行った。レーザ発
振器1には出力25kWのCO2 レーザ発振器を、ビーム
ダクトには外形150mm, 内径144mm,肉厚3mmのス
テンレス鋼管を、ベアリングにはJIS規格に指定され
た外径150mmのボールベアリングをそれぞれ用いた。
集光光学系には焦点距離500mmの放物面鏡を用いて、
レーザビームが鋼管突合せ部表面に0.5mm径で集光さ
れるようにした。
15mmのパイプライン用鋼管の溶接を行った。レーザ発
振器1には出力25kWのCO2 レーザ発振器を、ビーム
ダクトには外形150mm, 内径144mm,肉厚3mmのス
テンレス鋼管を、ベアリングにはJIS規格に指定され
た外径150mmのボールベアリングをそれぞれ用いた。
集光光学系には焦点距離500mmの放物面鏡を用いて、
レーザビームが鋼管突合せ部表面に0.5mm径で集光さ
れるようにした。
【0024】ここで、レーザビームが鋼管突合せ部表面
に照射される位置が、振幅:0.7mm、振動数:50H
z、振動方向:Y方向で振動するようにミラー25を振
動させながら、加工ヘッド21を速度1.0m/min で周
回させたところ、レーザの目外れは発生せず、また溶接
部の凝固割れや溶接部の硬化もみられない高品質な溶接
継ぎ手を得ることができた。
に照射される位置が、振幅:0.7mm、振動数:50H
z、振動方向:Y方向で振動するようにミラー25を振
動させながら、加工ヘッド21を速度1.0m/min で周
回させたところ、レーザの目外れは発生せず、また溶接
部の凝固割れや溶接部の硬化もみられない高品質な溶接
継ぎ手を得ることができた。
【0025】また、同じ溶接条件で、レーザ照射位置が
振幅:0.7mm、振動数:50Hz、振動方向:X方向で
振動するようにミラーを振動させて溶接を行ったとこ
ろ、同じく高品質の溶接継ぎ手を得ることができた。
振幅:0.7mm、振動数:50Hz、振動方向:X方向で
振動するようにミラーを振動させて溶接を行ったとこ
ろ、同じく高品質の溶接継ぎ手を得ることができた。
【図1】(a)従来のレーザ溶接法により形成された溶
接部の形状を示す図面である。 (b)従来のレーザ溶接法により形成された溶接部に発
生した溶融割れを示す図面である。
接部の形状を示す図面である。 (b)従来のレーザ溶接法により形成された溶接部に発
生した溶融割れを示す図面である。
【図2】{(WMAX −WMIN )/平均溶融幅}の値と凝
固割れ長さとの相関を示す図表である。
固割れ長さとの相関を示す図表である。
【図3】レーザ照射位置をY方向に振動させながらレー
ザ溶接を行うことで得られる溶接部の形状を示す図面で
ある。
ザ溶接を行うことで得られる溶接部の形状を示す図面で
ある。
【図4】レーザ照射位置をX方向に振動させながらレー
ザ溶接を行った場合における、溶接部の熱履歴を概略的
に示す図表である。
ザ溶接を行った場合における、溶接部の熱履歴を概略的
に示す図表である。
【図5】本発明の鋼管の振動レーザ溶接方法を実施する
装置の一例の概略図である。
装置の一例の概略図である。
【図6】第2継ぎ手の構造を概略的に示す図面である。
【図7】レーザ照射位置を振動させる方法の説明図であ
る。
る。
【図8】レーザ照射位置を振動させる方法の説明図であ
る。
る。
L レーザビーム 1 レーザ発振器 3 鋼管 5 ミラー 11 レーザ伝送装置 13 第1ビームダクト 15 第2ビームダクト 17 第1継ぎ手 18 第2継ぎ手 19 第3継ぎ手 21 加工ヘッド 23 ガイドレール 25 ミラー 27 集光光学系 29 加工ヘッド駆動装置 31,33 ミラー 35 ベアリング 37 被溶接部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河合 康博 東京都千代田区大手町2−6−3 新日本 製鐵株式会社内
Claims (4)
- 【請求項1】 鋼管を突き合わせ、突合せ部にレーザを
照射して溶融させて溶接を行う鋼管のレーザ溶接方法に
おいて、レーザ照射位置を鋼管の突合せ線に対して垂直
方向に振幅0.5〜1.0mmかつ振動数10〜60Hzで
振動させながら、レーザ照射位置を鋼管の突合せ部に沿
って0.5〜3.0m/sec で移動させて鋼管の溶接を行
うことを特徴とする鋼管の振動レーザ溶接方法。 - 【請求項2】 鋼管を突き合わせ、突合せ部にレーザを
照射して溶融させて溶接を行う鋼管のレーザ溶接方法に
おいて、レーザ照射位置を鋼管の突合せ線方向に振幅
0.5〜1.0mmかつ振動数10〜60Hzで振動させな
がら、レーザ照射位置を鋼管の突合せ部に沿って0.5
〜3.0m/sec で移動させて鋼管の溶接を行うことを特
徴とする鋼管の振動レーザ溶接方法。 - 【請求項3】 鋼管を突き合わせ、突合せ部にレーザを
照射して溶融させて溶接を行う鋼管のレーザ溶接方法に
おいて、レーザ照射位置を鋼管の突合せ線と垂直方向に
振幅0.5〜1.0mmかつ振動数10〜60Hzで振動さ
せると共に鋼管の突合せ線方向に振幅0.5〜1.0mm
かつ振動数10〜60Hzで振動させながら、レーザ照射
位置を鋼管の突合せ部に沿って0.5〜3.0m/sec で
移動させて鋼管の溶接を行うことを特徴とする鋼管の振
動レーザ溶接方法。 - 【請求項4】 前記鋼管が、重量%でC:0.01〜
0.31%、Si:0.5%以下、Mn:1.0〜2.
0%、P:0.03%以下、S:0.03%以下を含有
し、残部がFe及び不可避的不純物よりなる請求項1、
2または3記載の鋼管の振動レーザ溶接方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10093218A JPH11776A (ja) | 1997-04-07 | 1998-04-06 | 鋼管の振動レーザ溶接方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8850197 | 1997-04-07 | ||
JP9-88501 | 1997-04-07 | ||
JP10093218A JPH11776A (ja) | 1997-04-07 | 1998-04-06 | 鋼管の振動レーザ溶接方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11776A true JPH11776A (ja) | 1999-01-06 |
Family
ID=26429867
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10093218A Withdrawn JPH11776A (ja) | 1997-04-07 | 1998-04-06 | 鋼管の振動レーザ溶接方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH11776A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4708391A (en) * | 1986-07-03 | 1987-11-24 | Mazda Motor Corporation | Rear body structure for motor vehicle |
US10730139B2 (en) | 2014-08-08 | 2020-08-04 | Honda Motor Co., Ltd. | Laser welding device and laser welding method |
-
1998
- 1998-04-06 JP JP10093218A patent/JPH11776A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4708391A (en) * | 1986-07-03 | 1987-11-24 | Mazda Motor Corporation | Rear body structure for motor vehicle |
US10730139B2 (en) | 2014-08-08 | 2020-08-04 | Honda Motor Co., Ltd. | Laser welding device and laser welding method |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20050607 |