JPH1177407A - 酸化アルミニウム被覆工具 - Google Patents

酸化アルミニウム被覆工具

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JPH1177407A
JPH1177407A JP25613797A JP25613797A JPH1177407A JP H1177407 A JPH1177407 A JP H1177407A JP 25613797 A JP25613797 A JP 25613797A JP 25613797 A JP25613797 A JP 25613797A JP H1177407 A JPH1177407 A JP H1177407A
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aluminum oxide
ray diffraction
film
gas
peak
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JP25613797A
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Toshio Ishii
敏夫 石井
Masayuki Gonda
正幸 権田
Hiroshi Ueda
広志 植田
Nobuhiko Shima
順彦 島
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Moldino Tool Engineering Ltd
Proterial Ltd
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Hitachi Metals Ltd
Hitachi Tool Engineering Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C28/00Coating for obtaining at least two superposed coatings either by methods not provided for in a single one of groups C23C2/00 - C23C26/00 or by combinations of methods provided for in subclasses C23C and C25C or C25D
    • C23C28/04Coating for obtaining at least two superposed coatings either by methods not provided for in a single one of groups C23C2/00 - C23C26/00 or by combinations of methods provided for in subclasses C23C and C25C or C25D only coatings of inorganic non-metallic material
    • C23C28/044Coating for obtaining at least two superposed coatings either by methods not provided for in a single one of groups C23C2/00 - C23C26/00 or by combinations of methods provided for in subclasses C23C and C25C or C25D only coatings of inorganic non-metallic material coatings specially adapted for cutting tools or wear applications

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化アルミニウム膜の密着性が優れ切削特性
等の品質が安定した酸化アルミニウム被覆工具を提供す
る。 【解決手段】 基体表面に周期律表のIVa、Va、VIa
族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、並びに酸化アルミ
ニウムのいずれか一種の単層皮膜または二種以上の多層
皮膜を被覆しているとともに少なくとも一層がκ型酸化
アルミニウムを含んでいる酸化アルミニウム被覆工具に
おいて、前記κ型酸化アルミニウムのX線回折パターン
の最強ピークが面間距離1.43Aのピークであること
を特徴とする酸化アルミニウム被覆工具。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、切削用及び耐摩耗
用の酸化アルミニウム被覆工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、被覆工具は超硬質合金、高速度
鋼、特殊鋼よりなる基体表面に硬質皮膜を化学蒸着法
や、物理蒸着法により成膜することにより作製される。
このような被覆工具は皮膜の耐摩耗性と基体の強靭性と
を兼ね備えており広く実用に供されている。特に、高硬
度材を高速で切削する場合に、切削工具の刃先温度は1
000℃前後まで上がるとともに、被削材との接触によ
る摩耗や断続切削等の機械的衝撃に耐える必要があり、
耐摩耗性と強靭性とを兼ね備えた被覆工具が重宝されて
いる。
【0003】硬質皮膜には、耐摩耗性と靭性に優れた周
期律表IVa、Va、VIa族金属の炭化物、窒化物、炭窒
化物からなる非酸化膜や耐酸化性に優れた酸化膜が単層
あるいは多層膜として用いられる。非酸化膜では例えば
TiC、TiN、TiCNが利用され、酸化膜ではα型
酸化アルミニウムやκ型酸化アルミニウム等が利用され
ている。特に、周期律表IVa、Va、VIa族金属の炭化
物からなる非酸化膜は硬度が高く、耐摩耗性に優れるの
が特長であり被覆工具に多用されているが、その欠点は
酸化されやすく特性が安定しないことである。
【0004】この欠点を補うため、非酸化膜上に耐酸化
性に優れた酸化アルミニウム等の酸化膜を形成する多層
膜構造を持たせることにより非酸化膜の酸化を防止する
ことが行われている。この非酸化膜/酸化膜の多層膜構
造の欠点は非酸化膜と酸化膜との間の密着性が低いこと
である。
【0005】上記のように耐摩耗性の優れた非酸化膜と
高温特性の優れた酸化膜の両者を形成する方法が従来か
ら種々提案されている。例えば、特許番号253586
6号ではX線回折で(220)面に最強ピークが現れる
Tiの炭窒酸化物の単層、またTiの炭窒酸化物とTi
の炭化物および炭窒化物のうちの一種もしくは2種の複
層からなる内層とκ型酸化アルミニウム、またはκ型酸
化アルミニウムとα型酸化アルミニウムから成る外層と
からなる表面被覆硬質合金製切削工具が提案され、特許
番号2556101号ではX線回折におけるピーク高さ
が(200)面に現れ、2番目のピーク高さが(22
0)面に現れ、さらに3番目のピーク高さが(111)
面に現れるピーク高さ分布を有するTiの炭化物が提案
されている。
【0006】また、特開平3−150364ではTiC或
いはこれに関連した炭化物、窒化物、炭窒化物或いは酸
炭窒化物の層に接触したAl2O3層がエピタキシャルκ-Al
2O3である被覆物品が提案されている。また、κ型酸化
アルミニウムのX回折パターンを規定したものとしては
特開平6−190605、特開平8−90311、特開
平8−300203がありいずれもASTMにおいて面
間距離2.79オングストローム(A)の面として定義
される面に最大ピークを持ち、その表面が平滑であるκ
-Al2O3を主とする酸化アルミニウム層を被覆した複合硬
質層表面被覆切削工具が提案されている。
【0007】上記のように従来の提案は、酸化アルミニ
ウム膜と直接接触するTiC等の下地膜のX線回折強度
比を規定するもの、或いは下地膜と酸化アルミニウム膜
との間にエピタキシャル関係を持たせるもの、或いは酸
化アルミニウム膜表面を平滑化し切り屑の抵抗を小さく
するためにκ-Al2O3のX線回折の最大ピークを示す面の
面間距離を2.79オングストロームに規定したもので
あり、κ型酸化アルミニウムの配向の制御によるκ型酸
化アルミニウムを主とする酸化アルミニウム膜の密着性
改善に関しては言及していない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は耐摩耗性
の優れた非酸化膜と高温特性の優れた酸化膜の両者の特
長を活かし、両者を密着性良く形成するものとして、κ
型酸化アルミニウムを主とする酸化アルミニウム膜直下
の膜の組織やκ型酸化アルミニウムの配向を制御した酸
化アルミニウム膜を被覆することにより優れた工具特性
が得られることを見出した。すなわち、本発明が解決し
ようとする課題はκ型酸化アルミニウムを主とする酸化
アルミニウム膜直下の膜が針状および/または板状の突
起を持つ組織を有している、および/または、前記κ型
酸化アルミニウムのX線回折パターンの最強ピークが面
間距離1.43Aのピークに対応することを特徴とする
酸化アルミニウム膜を形成することにより、酸化アルミ
ニウム膜の密着性が優れ切削特性等の品質が安定した酸
化アルミニウム被覆工具を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために改善策を鋭意研究してきた結果、κ型酸
化アルミニウムを主とする酸化アルミニウム膜直下の膜
組織、および/または、前記κ型酸化アルミニウムの特
性を以下のように改質することで酸化アルミニウム被覆
工具の特性が改善され、前記の問題点が解消することを
見出し、本発明に想到した。
【0010】すなわち、本発明は、基体表面に周期律表
のIVa、Va、VIa族金属の炭化物、窒化物、炭窒化
物、並びに酸化アルミニウムのいずれか一種の単層皮膜
または二種以上の多層皮膜を被覆しているとともに少な
くとも一層がκ型酸化アルミニウムを含んでいる酸化ア
ルミニウム被覆工具において、前記κ型酸化アルミニウ
ムのX線回折パターンの最強ピークが面間距離1.43
Aのピークであることを特徴とする酸化アルミニウム被
覆工具である。また、本発明は基体表面に周期律表のIV
a、Va、VIa族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、並
びに酸化アルミニウムのいずれか一種の単層皮膜または
二種以上の多層皮膜を被覆しているとともに少なくとも
一層がκ型酸化アルミニウムを含んでいる酸化アルミニ
ウム被覆工具において、前記酸化アルミニウム膜直下の
膜が針状および/または板状の突起を持つ組織を有して
いることを特徴とする酸化アルミニウム被覆工具であ
る。また、本発明は前記κ型酸化アルミニウムのX線回
折強度比I/I0が最強であるピークがASTM記載の面
間距離1.43Aのピークであることを特徴とする酸化
アルミニウム被覆工具である。また、本発明は前記酸化
膜の表面にチタンの窒化膜が形成されていることを特徴
とする酸化アルミニウム被覆工具であり、周期律表のIV
a、Va、VIa族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物のう
ちの一種または二種以上とFe、Ni、Co、W、M
o、Crのうちの一種または二種以上とよりなる超硬質
合金を基体とすることを特徴とする酸化アルミニウム被
覆工具である。
【0011】
【発明の実施の形態】図2は本発明品の一例である酸化
アルミニウム膜被覆工具の皮膜部分を試料面にして2θ
−θ走査法により測定したX線回折パターンを示したも
のであり、図1は後に詳説する方法により図2のX線回
折パターン等から求めた本発明品の各面間隔dオングス
トローム(A)のX線回折強度I(d)の一例を図示し
たものである。X線源にはCuのKα1(波長λ=1.
5405A)を用いた。κ型酸化アルミニウムの場合は
正確な結晶構造が確定されていないためX線回折パター
ンの各ピークに対応する結晶面(hkl)が同定されて
おらずここでは各ピークに対応する面間隔値dにより各
ピークを規定した。なお、図1、図2で用いた試料の膜
構成は、基体表面にTiN、TiCN、TiC、TiC
O、酸化アルミニウム層を順番に成膜したものである。
図1、図2から本発明品のκ型酸化アルミニウムのX線
回折強度IあるいはX線回折強度比I/I0が最も強いピ
ークはASTM記載の面間距離1.43A(2θ=6
5.18度)のピークであることがわかる。
【0012】X線回折強度比I/I0(d)はκ型酸化ア
ルミニウム膜の面間隔dの面からのX線回折ピーク強度
を相対的に評価するために次式で定義したものである。 X線回折強度比I/I0(d)=I(d)/I0(d)‥‥‥(1) ここでI(d)は面間隔がdの面からの実測時のX線回
折強度を表し、I0(d)はASTMファイル No.4
−0878 (Powder Diffraction
File Published by JCPDS
International Center for
Diffraction Data)に記載されている
κ-Al2O3のX線回折強度であり、結晶配向が等方的であ
るκ-Al2O3の試料の面間隔がdの面からのX線回折強度
を表している。また、ここで用いる面間隔dはASTM
ファイル No.4−0878に記載されているX線回
折面のうち面間隔dが4.2〜1.34Aの範囲に入る
ものであり、これらの面はX線源にCuのKα1を用い
て2θ−θ走査法によりκ-Al2O3を測定したときに2θ
値が20〜90°の範囲内に入る次のもの全てである。 d=4.2、3.04、2.79、2.57、2.4
1、2.32、2.26、2.16、2.11、2.0
6、1.99、1.95、1.87、1.82、1.7
4、1.64、1.54、1.49、1.45、1.4
3、1.39、1.34 このように定義したX線回折強度比I/I0(d)は、A
STMのファイルに記載された等方粒子のX線ピーク強
度に対するX線回折で実測した皮膜の(d)面からのX
線回折ピーク強度の相対強度を示しており、X線回折強
度比I/I0(d)値が大きい程面間隔dの面が基体表面
の接線方向に強く配向していることを示す。図1、図2
等より、X線回折パターンを測定すると本発明品のκ型
酸化アルミニウムのX線回折強度は面間隔dが1.43
Aである面からのX線回折ピークが最も強く、X線回折
強度比I/I0(d)のうちd=1.43Aのものが最大
であることがわかる。
【0013】本発明品の被覆には既知の成膜方法を適用
することが可能である。例えば、通常の化学蒸着法(熱
CVD)、プラズマを付加した化学蒸着法(PACV
D)、イオンプレーティング法等を用いることができ
る。用途は切削工具に限るものではなく、κ型酸化アル
ミニウムを含んでいる酸化アルミニウムを少なくとも一
層被覆している耐摩耗材や金型、溶湯部品等でも良い。
また酸化アルミニウム膜はκ型酸化アルミニウム単相に
限るものではなく他の酸化物、例えばκ型酸化アルミニ
ウムとα型酸化アルミニウムとの混合膜やκ型酸化アル
ミニウムとγ型酸化アルミニウム、θ型酸化アルミニウ
ム、δ型酸化アルミニウム、χ型酸化アルミニウム等、
他相の酸化アルミニウムとの混合膜あるいはκ型酸化ア
ルミニウムと酸化ジルコニウム等他の酸化物との混合膜
であっても同様の効果が得られる。
【0014】本発明の酸化アルミニウムは必ずしも最外
層である必要はなく、例えば更にその上に少なくとも一
層のチタン化合物(例えばTiN層等)を被覆しても良
い。
【0015】次に本発明による被覆工具を実施例によっ
て具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例の
範囲に限定されるものでないことは言うまでもない。
【0016】(実施例1)重量%でWC72%,TiC
8%,(Ta,Nb)C11%,Co9%の組成よりな
る切削工具用超硬基板をCVD炉内にセットし、その表
面に、化学蒸着法によりH2キャリヤーガスとTiCl4
ガスとN2ガスとを原料ガスに用い0.3μm厚さのT
iNを900℃でまず形成し、次に、H2キャリヤーガ
スとTiCl4ガスとCH3CNガスを原料ガスに用い6
μm厚さのTiCN膜を900℃で成膜した後、950
〜1020℃でCH4/TiCl4ガスの容積比が3〜1
0のTiCl4ガスとCH4ガスとH2キャリヤーガスと
をトータル2,200ml/分で120分間流してTi
C膜を成膜し、そのまま連続して本構成ガスに更に2.
2〜110ml/分のCO、CO2混合ガスを追加して
5〜30分間成膜することによりTiCO層を薄く成膜
した。次いで、AlCl3ガスとH2ガス2l/分とC
O、CO2混合ガス150ml/分およびH2Sガス8m
l/分とをCVD炉内に流し1010℃で酸化アルミニ
ウムを成膜し、その後、H2ガス4l/分とTiCl4ガ
ス50ml/分とN2ガス1.3l/分を流し1010
℃で窒化チタニウム膜を成膜し本発明品を作製した。
【0017】作製した膜のX線回折を理学電気(株)製
のX線回折装置(RU−300R)を用いて2θ−θ法
により2θが20〜90°の範囲内で測定した。X線源
にはKα1線のみを用い、Kα2線とノイズとは装置に
内蔵されたソフトにより除去した。図2は本発明品のX
線回折結果の一例を示したものである。図2と同様のX
線回折パターンから求めた本発明品の酸化アルミニウム
膜の各X線回折強度I(d)の測定値を表1に、X線回
折強度I(d)から式(1)により求めたX線回折強度
比I/I0(d)値を表2にまとめる。表1、表2に記載
されていないピーク強度は記載されているピークの強度
に比べて十分に小さいため表中には記載していない。図
1は表1にまとめた各本発明品No.1〜4のX線回折
強度I(d)値と面間距離dとの関係を図示したもので
ある。表1、表2、図1、図2から本発明品のκ型酸化
アルミニウムは面間距離が1.43Aである面からのX
線回折ピーク強度I(1.43)、X線回折ピーク強度
比I/I0(1.43)の両者が最大かあるいは少なくと
もX線回折ピーク強度I(1.43)が最大であること
がわかる。なお、実測される2θ値はASTMファイル
に記載されている2θ値の前後で微妙に異なるため、図
2等のX線回折パターンを用いてκ型酸化アルミニウム
のX線回折ピークを同定するときに、2θ値とともに、
その前後のWCのピーク、TiCのピーク、TiCNの
ピーク、TiNのピーク、κ-Al2O3のピーク等との位置
関係を考慮して決定した。
【0018】図3は本発明品を10度傾けて研磨し、膜
近傍を撮影した倍率20倍の光学顕微鏡写真である。超
硬製基体側から順に窒化チタン、炭窒化チタン、炭化チ
タン、炭酸化チタン、酸化アルミニウム膜が成膜されて
おり、酸化アルミニウム膜と直接接触する下地膜が針
状、または板状の組織を有していることがわかる。
【0019】(従来例1)κ型酸化アルミニウムのX線
回折強度I(d)あるいはX線強度比I/I0(d)の差
異による酸化アルミニウム膜被覆工具の切削特性への影
響を明らかにするために、本発明品と同様に重量%でW
C72%,TiC8%,(Ta,Nb)C11%,Co
9%の組成よりなる切削工具用超硬基板をCVD炉内に
セットし、その表面に、化学蒸着法によりH2キャリヤ
ーガスとTiCl4ガスとN2ガスとを原料ガスに用い
0.3μm厚さのTiNを900℃でまず形成し、次
に、H2キャリヤーガスとTiCl4ガスとCH3CNガ
スを原料ガスに用い6μm厚さのTiCN膜を900℃
で成膜した後、950〜1020℃でCH4/TiCl4
ガスの容積比が2〜3のTiCl4ガスとCH4ガスとH
2キャリヤーガスとをトータル2,200ml/分で1
20分間流してTiC膜を成膜し、その後2.2〜11
0ml/分のCO2ガスを5〜30分間流すことにより
TiC膜を酸化してTiCO層を作製した。次いで、A
lCl3ガスとH2ガス2l/分とCO2ガス100ml
/分およびH2Sガス8ml/分とをCVD炉内に流し
1010℃で酸化アルミニウムを成膜し、その後、H2
ガス4l/分とTiCl4ガス50ml/分とN2ガス
1.3l/分を流し1010℃で窒化チタニウム膜を成
膜し従来例品を作製した。作製した膜のX線回折パター
ンを実施例1と同一の方法で測定し得られたκ型酸化ア
ルミニウムのX線回折強度の測定値I(d)とX線回折
強度比I/I0(d)とを表1のNo.5と表2のNo.
5とにまとめる。No.5より、従来例品はX線回折強
度I(2.79)およびX線回折強度比I/I0(2.7
9)が最も強く、X線回折強度I(1.43)とX線回
折強度比I/I0(1.43)とはこれらよりも小さいこ
とがわかる。図4は本発明品と同様に従来例品を10度
傾けて研磨し、膜近傍を撮影した倍率20倍の光学顕微
鏡写真である。酸化アルミニウム膜と直接接触する下地
膜との界面が直線状に形成されており、従来例品が針状
または板状の組織を有していないことがわかる。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】次に、実施例1および従来例1の条件で製
作した切削工具各5個を用いて、鋳物の被削材を以下の
条件で1時間連続切削試験した後に酸化アルミニウム膜
の剥離状況を倍率200倍の光学顕微鏡により観察し
た。 被削材 FC25(HB230) 切削速度 300m/min 送り 0.3mm/rev 切り込み 2.0mm 水溶性切削油使用 この切削試験の結果、従来例品は1時間連続切削後に酸
化アルミニウム膜が剥離したにもかかわらず、上記本発
明品はいずれも1時間連続切削後も酸化アルミニウム膜
の剥離が見られず切削工具として優れていることが判明
した。また、上記本発明品と従来例品の切削工具各5個
を以下の条件で断続切削し、1,000回衝撃切削後に
刃先先端の欠け状況を倍率50倍の実体顕微鏡で観察し
刃先に欠損不良を発生するまでの時間を評価した。 被削材 SCM材 切削条件 100 m/min 送り 0.3 mm/rev 切り込み 2.0 mm この切削試験の主な結果を表3にまとめる。表3より従
来例1の条件で作製した従来例品No.10のスローア
ウェイチップは15分間以内の切削で寿命に達している
のに対して、実施例1の条件で作製した本発明によるチ
ップNo.6〜9の寿命はいずれもいずれも30〜40
分間切削出来、切削特性が優れていること、またX線回
折強度I(1.43A)が最大のときに切削可能時間が
40分に達し切削特性が特に優れていることがわかる。
【0023】
【表3】
【0024】(実施例2)重量%でWC72%,TiC
8%,(Ta,Nb)C11%,Co9%の組成よりな
る切削工具用超硬基板をCVD炉内にセットし、その表
面に、化学蒸着法によりH2キャリヤーガスとTiCl4
ガスとN2ガスとを原料ガスに用い0.3μm厚さのT
iNを900℃でまず形成し、次に、H2キャリヤーガ
スとTiCl4ガスとCH3CNガスとを原料ガスに用い
て6μm厚さのTiCN膜を900℃で成膜した後、9
50〜1020℃でCH4/TiCl4ガスの容積比が3
〜10のTiCl4ガスとCH4ガスとH2キャリヤーガ
スとをトータル2,200ml/分で120分間流して
TiC膜を成膜し、そのまま連続して本構成ガスにCH
4ガスと同量のN2ガスと2.2〜110ml/分のC
O、CO2混合ガスとを追加して5〜30分間成膜する
ことによりTiCNO層を薄く成膜した。次いで、Al
Cl3ガスとH2ガス2l/分とCO、CO2混合ガス1
00ml/分およびH2Sガス8ml/分とをCVD炉
内に流し1010℃で酸化アルミニウムを成膜し本発明
品を作製した。
【0025】作製した膜のX線回折パターンを実施例1
と同一の方法で測定した。実施例1と同様に求めた本発
明品のκ型酸化アルミニウムの各ピークのX線回折強度
I(d)の測定値を表4のNo.11〜14に、表4の
X線回折強度I(d)から式(1)により求めたX線回
折強度比I/I0(d)値を表5のNo.11〜14にま
とめる。表4、5より本発明品のκ型酸化アルミニウム
は面間距離が1.43Aである面からのX線回折ピーク
強度I(1.43)、X線回折ピーク強度比I/I0
(1.43)の両者が最大かあるいは少なくともX線回
折ピーク強度比I/I0(1.43)が最大であることが
わかる。
【0026】(従来例2)κ型酸化アルミニウムのX線
回折強度I(d)やX線回折強度比I/I0(d)の差異
による酸化アルミニウム膜被覆工具の切削特性への影響
を明らかにするために、本発明品と同様に重量%でWC
72%,TiC8%,(Ta,Nb)C11%,Co9
%の組成よりなる切削工具用超硬基板をCVD炉内にセ
ットし、その表面に、化学蒸着法によりH2キャリヤー
ガスとTiCl4ガスとN2ガスとを原料ガスに用い0.
3μm厚さのTiNを900℃でまず形成し、次に、H
2キャリヤーガスとTiCl4ガスとCH3CNガスとを
原料ガスにて用い6μm厚さのTiCN膜を900℃で
成膜した後、950〜1020℃でCH4/TiCl4ガ
スの容積比が2〜3のTiCl4ガスとCH4ガスとH2
キャリヤーガスとをトータル2,200ml/分で12
0分間流してTiC膜を成膜し、そのまま連続して本構
成ガスに更にCH4ガスと同量のN2ガスと2.2〜11
0ml/分のCO、CO2混合ガスとを追加して5〜3
0分間成膜することによりTiCNO層を薄く成膜し
た。次いで、AlCl3ガスとH2ガス2l/分とCO、
CO2混合ガス100ml/分およびH2Sガス8ml/
分とをCVD炉内に流し1010℃で酸化アルミニウム
を成膜し従来例品を作製した。作製した膜のX線回折パ
ターンを実施例1と同一の方法で測定し得られたκ型酸
化アルミニウム膜の各ピークのX線回折強度の測定値I
(d)と測定値I(d)から求めたX線回折強度比I/
I0(d)値を表4、表5のNo.15にまとめる。N
o.15の従来例品はX線回折強度I(2.79)およ
びX線回折強度比I/I0(2.79)がX線回折強度I
(1.43)やX線回折強度比I/I0(1.43)より
も大きく、面間距離が2.79Aの面の配向が強いこと
がわかる。
【0027】
【表4】
【0028】
【表5】
【0029】次に、実施例2の条件で作製した本発明品
および従来例2の条件で作製した従来例品の切削工具各
5個を用いて、鋳物の被削材を以下の条件で1時間連続
切削試験した後に酸化アルミニウム膜の剥離状況を倍率
200倍の光学顕微鏡により観察した。 被削材 FC25(HB230) 切削速度 300m/min 送り 0.3mm/rev 切り込み 2.0mm 水溶性切削油使用 この切削試験の結果、従来例品は1時間連続切削後に酸
化アルミニウム膜が剥離したにもかかわらず、上記本発
明品はいずれも1時間連続切削後も酸化アルミニウム膜
の剥離が見られず切削工具として優れていることが判明
した。また、上記本発明品と従来例品の切削工具各5個
を以下の条件で断続切削し、1,000回衝撃切削後に
刃先先端の欠け状況を倍率50倍の実体顕微鏡で観察し
刃先に欠損不良を発生するまでの時間を評価した。 被削材 SCM材 切削条件 100 m/min 送り 0.3 mm/rev 切り込み 2.0 mm この切削試験の主な結果を表6にまとめる。表6より従
来例2の条件で作製した従来例品No.20のスローア
ウェイチップは15分間以内の切削で寿命に達している
のに対して、実施例2の条件で作製した本発明によるチ
ップNo.16〜19の寿命はいずれもいずれも30〜
40分間切削出来、切削特性が優れていること、またX
線回折強度I(1.43A)が最大のときに切削可能時
間が40分に達し切削特性が特に優れていることがわか
った。
【0030】
【表6】
【0031】以上より、本発明品はκ型酸化アルミニウ
ムの面間距離が1.43Aである面からのX線回折ピー
ク強度I(1.43)、X線回折ピーク強度比I/I0
(1.43)の両者が最大かあるいは少なくともX線回
折ピーク強度I(1.43)が最大であるκ型酸化アル
ミニウムを形成していることにより切削特性の優れた酸
化アルミニウム被覆工具となっていることがわかる。
【0032】
【発明の効果】上述のように、本発明によれば、X線回
折強度I(1.43A)が最も大きいκ型酸化アルミニ
ウムを含んでいる酸化アルミニウム膜を形成するか、お
よび/または、酸化アルミニウム膜と直接接触する下地
膜が針状または板状の組織を有している多層膜を形成す
ることにより膜の密着性が良く、機械特性の優れた長寿
命の酸化アルミニウム被覆工具が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる酸化アルミニウム被覆工具のX
線回折強度Iを示す図である。
【図2】本発明に係わる酸化アルミニウム被覆工具のX
線回析パターンを示す図である。
【図3】本発明に係わる酸化アルミニウム被覆工具の酸
化アルミニウム膜とその下地膜との界面近傍を示す組織
の顕微鏡写真である。
【図4】従来例に係わる酸化アルミニウム被覆工具の酸
化アルミニウム膜とその下地膜との界面近傍を示す組織
の顕微鏡写真である。
フロントページの続き (72)発明者 植田 広志 千葉県成田市新泉13番地の2 日立ツール 株式会社成田工場内 (72)発明者 島 順彦 千葉県成田市新泉13番地の2 日立ツール 株式会社成田工場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体表面に周期律表のIVa、Va、VIa
    族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、並びに酸化アルミ
    ニウムのいずれか一種の単層皮膜または二種以上の多層
    皮膜を被覆しているとともに少なくとも一層がκ型酸化
    アルミニウムを含んでいる酸化アルミニウム被覆工具に
    おいて、前記κ型酸化アルミニウムのX線回折パターン
    の最強ピークが面間距離1.43Aのピークであること
    を特徴とする酸化アルミニウム被覆工具。
  2. 【請求項2】 基体表面に周期律表のIVa、Va、VIa
    族金属の炭化物、窒化物、炭窒化物、並びに酸化アルミ
    ニウムのいずれか一種の単層皮膜または二種以上の多層
    皮膜を被覆しているとともに少なくとも一層がκ型酸化
    アルミニウムを含んでいる酸化アルミニウム被覆工具に
    おいて、前記酸化アルミニウム膜直下の膜が針状および
    /または板状の突起を持つ組織を有していることを特徴
    とする酸化アルミニウム被覆工具。
  3. 【請求項3】 前記κ型酸化アルミニウムのX線回折強
    度比I/I0が最強であるピークがASTM記載の面間距
    離1.43Aのピークであることを特徴とする請求項1
    または2に記載の酸化アルミニウム被覆工具。
  4. 【請求項4】 前記酸化膜の表面にチタンの窒化膜が形
    成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれ
    かに記載の酸化アルミニウム被覆工具。
  5. 【請求項5】 周期律表のIVa、Va、VIa族金属の炭
    化物、窒化物、炭窒化物のいずれか一種または二種以上
    とFe、Ni、Co、W、Mo、Crのいずれか一種ま
    たは二種以上とよりなる超硬質合金を基体とすることを
    特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の酸化アル
    ミニウム被覆工具。
JP25613797A 1997-09-04 1997-09-04 酸化アルミニウム被覆工具 Pending JPH1177407A (ja)

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WO2009107648A1 (ja) 2008-02-27 2009-09-03 京セラ株式会社 表面被覆部材および切削工具

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WO2009107648A1 (ja) 2008-02-27 2009-09-03 京セラ株式会社 表面被覆部材および切削工具
US8449992B2 (en) 2008-02-27 2013-05-28 Kyocera Corporation Surface-coated member and cutting tool

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