JPH1176773A - 管状分離膜及びその製造方法 - Google Patents

管状分離膜及びその製造方法

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JPH1176773A
JPH1176773A JP26493097A JP26493097A JPH1176773A JP H1176773 A JPH1176773 A JP H1176773A JP 26493097 A JP26493097 A JP 26493097A JP 26493097 A JP26493097 A JP 26493097A JP H1176773 A JPH1176773 A JP H1176773A
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JP
Japan
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layer
separation
porous
porous pipe
solution
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP26493097A
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English (en)
Inventor
Yoshiaki Tanaka
喜昭 田中
Shinji Nishida
伸司 西田
Hiroshi Okuno
裕志 奥野
Kenji Uchiyama
憲二 内山
Kiyoko Tsutsui
希代子 筒井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Lignyte Co Ltd
Original Assignee
Lignyte Co Ltd
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  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 超薄膜の分離透過層を均一に形成することが
できる筒状透過膜を提供する。 【解決手段】 分離の際の一次圧と二次圧の圧力差に対
して変形しない強度を有する多孔質パイプ1の外周に、
相転換法によって形成される有機高分子からなる高分子
多孔質層2を設ける。そしてこの高分子多孔質層2の外
周に分離性能を有する分離透過層3を被覆して筒状透過
膜を形成する。多孔質パイプ1の外周表面に大きな凹凸
が存在しても、高分子多孔質層2でこの凹凸を埋めて外
周表面を平滑に形成することができ、超薄膜の分離透過
層3を均一な厚みで形成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、混合溶液や混合蒸
気、混合気体などを成分分離するために用いられる管状
分離膜及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】水とアルコールとの混合溶液や混合蒸気
など、2成分以上の成分が混合された混合溶液や混合蒸
気から特定の成分を選択透過させて分離する方法とし
て、気化浸透法とも称すべき手法が本発明者等によって
開発されており、この気化浸透法による混合溶液の分離
方法は特開昭63−162003号公報等で提供されて
いる。この気化浸透法は、混合溶液を気化させた蒸気を
分離膜の一方の片面に作用させ、蒸気中の特定成分を分
離膜に選択的に浸透拡散させると共に分離膜に浸透した
この特定成分を分離膜の他方の片面から気化させること
によって、混合溶液から特定成分を分離膜を通して分離
するようにしたものである。
【0003】ここで、分離膜の透過速度(すなわち混合
溶液や混合蒸気中の特定成分が分離膜を透過する単位時
間当たりの量)は分離膜の面積に比例するので、工業レ
ベルでは、分離膜を管状に形成した管状分離膜が用いら
れることが多い。この管状分離膜では、管状分離膜の外
周面に混合溶液の蒸気を作用させ、混合溶液中の特定成
分を管状分離膜に選択的に浸透拡散させると共にこの浸
透した特定成分を管状分離膜の内周面から気化させるこ
とによって、管状分離膜を通して混合溶液から特性成分
を分離することができる。この場合、管状分離膜を透過
した特定成分の気化を促進するために、管状分離膜の内
周面は減圧雰囲気に置かれる。あるいは逆に、管状分離
膜の内周面に混合溶液の蒸気を作用させ、混合溶液中の
特定成分を管状分離膜に選択的に浸透拡散させると共に
この浸透した特定成分を管状分離膜の外周面から気化さ
せることによって、管状分離膜を通して混合溶液から特
定成分を分離することができる。この場合は、管状分離
膜を透過した特定成分の気化を促進するために、管状分
離膜の外周面は減圧雰囲気に置かれる。
【0004】このように管状分離膜を用いて混合溶液の
蒸気から特定成分を分離するにあたって、管状分離膜の
外周面(あるいは内周面)には蒸気圧が一次圧として作
用し、管状分離膜の内周面(あるいは外周面)には減圧
が二次圧として作用し、管状分離膜の外周と内周との間
にはこの供給側の一次圧と透過側の二次圧の圧力差が加
わることになり、耐圧性が要求される。
【0005】そこで本出願人によって、耐圧性を有する
多孔質パイプの外周に分離性能を有する分離透過層を被
覆して管状分離膜を形成することが試みられている。こ
の耐圧性を有する多孔質パイプとしては、FRP多孔質
パイプを用いることができる。FRP多孔質パイプは、
ガラスクロスにフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂のワニ
スを含浸して乾燥することによってプリプレグを作製
し、このプリプレグを芯棒に巻き付けて加熱硬化させる
ことによって作製することができるものであり、ガラス
クロスへの熱硬化性樹脂の含浸量を調整することによっ
て、多孔質に形成することができるものである。そして
このFRP多孔質パイプの外周面に混合溶液や混合蒸気
から特定の成分を分離する性能を有する分離透過層を塗
布して被覆することによって、管状分離膜を形成するこ
とができるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、FRPの多孔
質パイプ1を構成するガラスクロス9はガラス繊維の縦
糸9aと横糸9bを織って作製されるものであり、従っ
て多孔質パイプ1の表面には数十〜数百μmの凹凸が存
在し、図9に示すように多孔質パイプ1の表面に分離性
能を有する分離透過層3を均一な厚みで塗布して形成す
ることはできない。ここで、管状分離膜の透過速度は分
離透過層3の厚みが薄い程、高くなるので、分離透過層
3は数μm以下の超薄膜として形成する必要があるが、
このような凹凸の存在する多孔質パイプ1の表面に数μ
m以下の超薄膜で分離透過層3を形成すると、多孔質パ
イプ1の表面の一部に分離透過層3で被覆されない部分
が生じ、管状分離膜による分離性能が著しく低下するこ
とになるものであった。
【0007】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、超薄膜の分離透過層を均一に形成することができ
る管状透過膜及びその製造方法を提供することを目的と
するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る管状透過膜
は、分離の際の一次圧と二次圧の圧力差に対して変形し
ない強度を有する多孔質パイプ1の外周に、相転換法に
よって形成される有機高分子からなる高分子多孔質層2
を設け、高分子多孔質層2の外周に分離性能を有する分
離透過層3を被覆して成ることを特徴とするものであ
る。
【0009】また請求項2の発明は、多孔質パイプ1
は、その孔の平均孔径が10〜1000μmで且つ開孔
率が20〜50%であることを特徴とするものである。
また請求項3の発明は、高分子多孔質層2は、その孔の
平均孔径が0.005〜1.0μmで且つ開孔率が10
〜80%であることを特徴とするものである。また請求
項4の発明は、多孔質パイプ1はFRP多孔質パイプで
形成され、高分子多孔質層2は有機溶剤に有機高分子を
溶解して調製した成膜溶液を多孔質パイプ1の外周に塗
布すると共に有機高分子が不溶なゲル化液で多孔質パイ
プ1の外周の成膜溶液を処理して微細孔を生成させるこ
とによって形成され、分離性能を有する分離透過層3は
膜成分を溶解した膜形成用溶液を高分子多孔質層2の外
周に塗布して乾燥することによって形成されていること
を特徴とするものである。
【0010】また請求項5の発明は、分離透過層3は四
級化キトサンのジアルデヒド架橋物で形成されているこ
とを特徴とするものである。本発明に係る管状透過膜の
製造方法は、有機溶剤に有機高分子を溶解して調製した
成膜溶液4を底部にノズル5を設けた溶液ポット6に導
入すると共に成膜溶液4の有機高分子が不溶なゲル化液
7を溶液ポット6の下方に配置し、分離の際の一次圧と
二次圧の圧力差に対して変形しない強度を有する多孔質
パイプ1を鉛直方向に配置し、多孔質パイプ1を溶液ポ
ット6内に通すと共にノズル5の内周と多孔質パイプ1
の外周との間に所定の間隙を保った状態でノズル5を通
して多孔質パイプ1を下降させることによって、多孔質
パイプ1の外周に溶液ポット6内の成膜溶液4を塗布
し、ノズル5から下方へ下降させた多孔質パイプ1をゲ
ル化液7に浸漬して多孔質パイプ1の外周の成膜溶液4
にゲル化液7を作用させることによって微細孔を生成さ
せた高分子多孔質層2を形成し、次いで膜成分を溶解し
た膜形成用溶液を高分子多孔質層2の外周に塗布して乾
燥することによって分離性能を有する分離透過層3を形
成することを特徴とするものである。
【0011】また請求項7の発明は、四級化キトサンと
ジアルデヒドと酸触媒を含有する水溶液によって膜形成
用溶液を調製し、膜形成用溶液を高分子多孔質層2の外
周に塗布して乾燥することによって、分離透過層3を形
成することを特徴とするものである。また請求項8の発
明は、上記のように形成した分離透過層3の表面を、ジ
アルデヒドと酸触媒を含有する水溶液で処理して乾燥す
ることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。多孔質パイプ1は分離透過層3を支持する支持体
を構成するものであり、耐圧性を有する多孔質のもので
あれば、特に制限されることなく使用することができ
る。ここで耐圧性としては、混合溶液や混合蒸気、混合
気体を分離する際に管状分離膜Aの内周と外周との間に
加わる圧力差、すなわち管状分離膜Aの外周面に作用す
る混合溶液や混合蒸気、混合気体の供給側の一次圧力と
内周面に作用する透過側の二次圧力の圧力差によって、
多孔質パイプ1が変形しない強度を有することが必要で
ある。また多孔質パイプ1は、高温の混合溶液や混合蒸
気、混合気体に耐える耐熱性を有するものであることが
望ましい。
【0013】このような多孔質パイプ1としては、多孔
質の焼結金属のパイプ、多孔質のセラミックのパイプ、
多孔質のプラスチックのパイプ、多孔質のFRPのパイ
プなど挙げることができるが、これらの中でもFRP多
孔質パイプは、十分な耐圧性及び十分な耐熱性を容易に
得ることができ、しかも軽量で安価に作製することがで
きるので好ましい。
【0014】FRP多孔質パイプは、ガラス繊維やカー
ボン繊維などの無機繊維のクロスを基材として用い、基
材にフェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、不
飽和ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂液を含浸して
乾燥することによってプリプレグを調製し、このプリプ
レグを芯棒に巻き付けると共に、加熱してプリプレグの
熱硬化性樹脂を硬化させることによって作製することが
できる。そして基材への熱硬化性樹脂の含浸量を調整す
ることによって、多孔質に形成することができるもので
あり、多孔質パイプ1として使用する場合には、平均孔
径が10〜1000μmで、且つ開孔率が20〜50%
になるように多孔の孔を形成するのが好ましい。平均孔
径が10μm未満の場合や、開孔率が20%未満の場合
には、多孔質パイプ1の通気性が不十分になって、分離
の際の透過速度等に影響を与えるおそれがある。逆に平
均孔径が1000μmを超える場合には、多孔質パイプ
1の外周に後述のように高分子多孔質層2を形成するに
あたって、表面を平滑な状態にして高分子多孔質層2を
形成することが困難になる。また開孔率が50%を超え
る場合には、多孔質パイプ1の強度の保持が困難にな
り、濾過の際の一次圧と二次圧の圧力差によって多孔質
パイプ1が変形して破損するおそれがある。
【0015】高分子多孔質層2は、多孔質パイプ1の外
周面に塗布した有機高分子の膜を相転換法で多孔質化す
ることによって形成することができる。有機高分子とし
ては、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリエー
テルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリカーボネー
ト、芳香族ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、酢酸セ
ルロースやこれらの誘導体などを用いることができるも
のであり、まず有機高分子を有機溶媒に溶解して成膜溶
液4を調製する。有機高分子として例えばポリエーテル
スルホンを用いた場合には、これをN,N−ジメチルホ
ルムアミドに溶解して成膜溶液4を調製することができ
る。
【0016】図3は多孔質パイプ1の外周に高分子多孔
質層2を形成する装置を示すものである。図3において
6は上面が開口する容器で形成される溶液ポットであ
り、溶液ポット6の底面にはノズル5を下方へ開口させ
て設けてある。ノズル5の開口は多孔質パイプ1の外径
より僅かに大きい内径に形成されるものであり、多孔質
パイプ1の外形と相似形に形成されるものである。この
溶液ポット6の下方には液槽10が配置してあり、液槽
10には成膜溶液4中の有機高分子が不溶の有機溶媒や
水などで調製されるゲル化液7が供給してある。
【0017】また図3において11は油圧シリンダーな
どで形成される昇降装置であり、上方へ突出して設けた
昇降ロッド12を鉛直方向に昇降駆動できるようにして
ある。昇降ロッド12の上端には水平に配置される支持
バー13の一端部を結合して取り付けてある。14はパ
イプ取付棒であり、下端部に蓋板15を外方へ張り出し
て設けてある。この多孔質パイプ1の内周にパイプ取付
棒14を差し込むことによって、パイプ取付棒14の外
周に多孔質パイプ1がセットしてある。
【0018】そしてまず昇降装置11の昇降ロッド12
を上昇させた状態で、多孔質パイプ1を外周にセットし
たパイプ取付棒14を下方からノズル5に差し込んで溶
液ポット6の上方へ突出させ、パイプ取付棒14の上端
部を支持バー13にネジ止め等で固定することによっ
て、多孔質パイプ1を支持バー13から鉛直方向に垂下
させて配置する。このとき、多孔質パイプ1はその外周
とノズル5の内周との間に全周に亘って一定幅の隙間が
形成されるように配置されるものであり、またこのよう
に昇降ロッド12が上昇した位置では、図3(a)のよ
うにノズル5はその開口の下面が蓋板15で塞がれるよ
うになっている。
【0019】このようにノズル5を蓋板15で塞いだ状
態で、溶液ポット6内に成膜溶液4を供給し、次に昇降
装置11を作動させて昇降ロッド12を下降させ、パイ
プ取付棒14と共に多孔質パイプ1を下降させてノズル
5から下方へ突出させる。多孔質パイプ1を鉛直状態を
保ったままこのように下降させてノズル5から下方へ突
出させると、多孔質パイプ1のノズル5から下方へ突出
する部分の外周面にはノズル5の内周との間の隙間によ
って規制された厚みで成膜溶液4が付着する。そしてこ
のように外周面に成膜溶液4を付着させた多孔質パイプ
1をさらに下降させて、図3(b)のようにゲル化液7
に浸漬させる。多孔質パイプ1の外周に付着した成膜溶
液4がゲル化液7に浸漬されると、相転換によって成膜
溶液4は微細な多孔を有する高分子多孔質層2として多
孔質パイプ1の表面に形成される。
【0020】高分子多孔質層2は図2に示すように多孔
質パイプ1の外周面の凹凸を埋めて外周面が平滑な面に
形成されるものであり、この高分子多孔質層2は、平均
孔径が0.005〜1.0μmであり、且つ開孔率が1
0〜80%になるようにその多孔の孔を形成するのが好
ましい。平均孔径が0.005μm未満の場合や、開孔
率が10%未満の場合には、高分子多孔質層2の通気性
が不十分になって、分離の際の透過速度等に影響を与え
るおそれがある。逆に平均孔径が1.0μmを超える場
合や、開孔率が80%を超える場合には、多孔のこの孔
によって高分子多孔質層2の外周面の平滑性が不十分に
なり、高分子多孔質層2の外周に後述のように分離透過
層3を形成するにあたって、薄い膜厚で分離透過層3を
形成することが困難になる。
【0021】ここで、高分子多孔質層2の層厚は多孔質
パイプ1の外周とノズル5の内周との間の隙間によって
任意に設定することができるが、50μm〜500μm
程度の層厚に形成するのが好ましい。高分子多孔質層2
の層厚が50μm未満であると、多孔質パイプ1の外周
面の凹凸を埋めて高分子多孔質層2の表面を平滑面に形
成することが困難になる。逆に高分子多孔質層2の層厚
が500μmを超えると、高分子多孔質層2の通気性が
不十分になって、分離の際の透過速度等に影響を与える
おそれがある。
【0022】分離透過層3としては、混合溶液や混合蒸
気、混合気体から特定成分を選択的に浸透透過させる分
離性能を有する膜であれば、特に制限されることなく使
用することができるものであり、分離透過層3を高分子
多孔質層2の外周面に形成するにあたっては、膜成分を
溶解した膜形成用溶液を高分子多孔質層2の外周に塗布
して乾燥することによって行なうことができる。高分子
多孔質層2は上記のように表面を平滑に形成されている
ので、図2に示すように、分離透過層3は極薄であって
も高分子多孔質層2の表面に均一な厚みで形成すること
ができるものである。分離透過層3の厚みは特に制限さ
れるものではないが、混合溶液や混合蒸気の分離の際の
透過速度を十分に得るためには、5.0μm以下が好ま
しい。分離透過層3の厚みの実用上の下限は0.01μ
m程度である。
【0023】分離性能を有する分離透過層3を例示する
と、水を選択的に透過させて分離する水選択性分離膜、
アルコールを選択的に透過させて分離するアルコール選
択性分離膜、酸素を選択的に透過させて分離する酸素富
化膜、水素(ヘリウム)を選択的に透過させて分離する
水素(ヘリウム)選択性分離膜、二酸化炭素を選択的に
透過させて分離する二酸化炭素選択性分離膜などがあ
る。そして、水選択性分離膜としては、アルギン酸膜、
キトサン膜、架橋キトサン膜、四級化キトサン膜、架橋
四級化キトサン膜、ポリスチレン膜、架橋ポリビニルア
ルコール膜、ポリアミック酸膜、プルラン膜、ヒアルロ
ン酸膜、ポリイミド膜、ポリアクリル酸ポリイオンコン
プレックス膜などを例示することができる。アルコール
選択性分離膜としては、ポリ(ジメチルシロキサン)
膜、ポリ(1−トリメチルシリル)−1−プロピン膜、
スチレン−ジメチルシロキサン系グラフト共重合体膜、
ポリフェニレンオキシド−ポリジメチルシロキサン系グ
ラフト共重合体膜、ポリトリメチルシリルプロピン−ポ
リジメチルシロキサン系グラフト共重合体膜、ゼオライ
ト含有シリコンゴム膜などを例示することができる。酸
素富化膜としては、ポリ(ジメチルシロキサン)膜、ジ
メチルシロキサン−ヒドロキシスチレン共重合体膜、ポ
リ−4−メチルペンテン膜、ポリ−p−フェニレンオキ
シド膜、ポリビニルトリメチルシラン膜、フッ素化ポリ
マー・シロキサン共重合体膜、ジメチルシロキサン・カ
ーボネート共重合体膜、酢酸セルロース膜、ポリ(1−
トリメチルシリル)−1−プロピン膜、ポリ(トリフル
オロプロピルメチルシロキサン)膜、不飽和ジカルボン
酸ジエステル重合体膜などを例示することができる。水
素(ヘリウム)選択性分離膜としては、酢酸セルロース
膜、ポリスルホン膜、ポリイミド膜などを例示すること
ができる。二酸化炭素分離膜としては、ポリ酸フェニレ
ン改質膜、ジアミン含有ポリスルホン酸複合膜、アルキ
ルスルホニルエチル化ポリビニルアルコール膜などを例
示することができる。
【0024】分離透過層3としては上記のように各種の
ものを用いることができるが、中でも四級化キトサンを
ジアルデヒドで架橋した架橋四級化キトサン膜で形成し
たものが、水を選択的に透過させて脱水分離する性能が
高い点で好ましい。キトサンはキチンを脱アセチル化し
て得ることができるものであり、希酸に可溶なカチオン
性ポリマーである。このキトサンを用いて脱水用の分離
膜を作製することは特公平5−53528号公報にみら
れるように既に知られているところであるが、水−有機
溶媒の混合溶液や混合蒸気から水分を選択的に透過させ
るには、親水性を高くすることが必要であり、キトサン
を四級化して親水性を高めた四級化キトサンとして用い
るのが好ましい。
【0025】すなわち、キトサンは次の「化1」に示す
構造式の成分を主たる繰り返し単位とするポリマーであ
る。
【0026】
【化1】
【0027】そして四級化キトサンは、「化1」の構造
式中のアミノ基(−NH2 )の一部をハロゲンイオンを
対イオンとしてトリアルキル化することによって四級化
したものであり、繰り返し単位の一部は次の「化2」の
構造式を有する。「化2」の構造式においてR1
2 ,R3 は−CH3 ,−C2 5 ,−C3 7 ,−C
49 のいずれかであり、R1 ,R2 ,R3 は同じもの
であっても、異なるものであってもよい。なかでも
1 ,R2 ,R3 がそれぞれ−CH3 のものが最も実用
的である。また「化4」の構造式においてX- は塩素イ
オン(Cl- )、臭素イオン(Br- )、ヨウ素イオン
(I- )のいずれかである。なかでもX- はCl- であ
ることが、分離膜の安定性や、透過分離性能の点から最
適である。
【0028】
【化2】
【0029】従って、四級化キトサンは次の「化3」の
構造式で示すことができる(尚、「化3」の構造式は、
左側の成分と右側の成分がm:n(mとnは正の整数)
の比率でランダムに直鎖状に結合していることを示
す)。
【0030】
【化3】
【0031】「化3」に示す四級化キトサンを製造する
にあたっては、例えば、キトサンを適当な溶媒中でヨウ
化アルキルなどの四級化剤と反応させることによって、
ヨウ素イオンを対イオンとするヨウ素型四級化キトサン
を得ることができる。またこのように調製したヨウ素型
四級化キトサンに塩化ナトリウムを反応させてヨウ素と
塩素とを変換させることによって、塩素イオンを対イオ
ンとする塩素型四級化キトサンを得ることができる。あ
るいは塩化ナトリウムの代わりに臭化ナトリウムを用い
てヨウ素型四級化キトサンに反応させることによって、
臭素イオンを対イオンとする臭素型四級化キトサンを得
ることができる。四級化剤として使用するヨウ化アルキ
ルとしては、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化n−
プロピル、ヨウ化n−ブチル及びこれらの混合物などを
用いることができる。
【0032】ここで本発明において四級化キトサンとし
ては、その四級化度(「化3」において(n/(m+
n)×100))が5〜40%のもの、すなわちがキト
サンのアミノ基の5〜40%が四級化されているものが
好ましく、さらに好ましくは8〜25%である。四級化
度が5%未満の場合は、親水化が十分でなく、実用的な
水選択透過性能を得るのが難しい。逆に四級化度が40
%を超えると、親水性が高くなり過ぎて、膜が吸水して
過度に膨潤し、膜の透過速度は高くなるが水に対する選
択分離性能が低下してしまうおそれがある。
【0033】四級化キトサンは上記のように親水性が高
く、水溶性である。従ってこの四級化キトサンを水−有
機溶媒の混合溶液や混合蒸気の分離膜として用いるに
は、水に不溶化する必要があり、本発明では、四級化キ
トサンを酸性触媒下でジアルデヒドと反応させて、ジア
ルデヒドで架橋することによって、水に不溶化するよう
にしている。酸性触媒下で四級化キトサンにジアルデヒ
ドを作用させると、四級化キトサンのアミノ基とアルデ
ヒドとが縮合反応し、次の「化4」の構造式に架橋構造
の一例を示すように、四級化キトサンの各分子がシッフ
塩基(−N=CH−)を架橋点として架橋され、三次元
構造になって水に不溶になるものである。尚、「化4」
は分子の構造の大略を示すモデルであり、構造式を正確
に表現したものではない)。
【0034】
【化4】
【0035】ここで、ジアルデヒドとしては、グリオキ
ザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、
グルタールアルデヒド、アジピンジアルデヒド、マレイ
ンジアルデヒド、フタルジアルデヒド、イソフタルジア
ルデヒド、テレフタルジアルデヒド、ジアルデヒドデン
プンなどを用いることができる。また酸性触媒として
は、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸類、ギ酸、酢酸、プ
ロピオン酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グ
ルタル酸、アジピン酸などの有機酸類を用いることがで
きる。
【0036】上記の四級化キトサンのジアルデヒド架橋
物によって形成される分離透過層3を高分子多孔質層2
の外周面に形成するにあたっては、まず四級化キトサン
を水に溶解すると共に、これに酸性触媒とジアルデヒド
を加えて四級化キトサンとジアルデヒドの酸水溶液を調
製する。そしてこの四級化キトサンとジアルデヒドの酸
水溶液を膜形成用溶液として用い、この膜形成用溶液を
高分子多孔質層2の表面に塗布し、これを加熱乾燥する
ことによって、ジアルデヒドで架橋された四級化キトサ
ンからなる分離透過層3を高分子多孔質層2の外周面に
形成することができる。
【0037】このようにしてジアルデヒドで架橋された
四級化キトサンからなる分離透過層3を形成することが
できるが、この分離透過層3の表面をさらにジアルデヒ
ドの酸水溶液で処理して乾燥することによって、分離透
過層3の表面の四級化キトサンをさらにジアルデヒドで
架橋させて、分離透過層3の表面の架橋度を高めるよう
にするのが好ましい。この際、ジアルデヒドの酸水溶液
に例えばアルコールなどの有機溶媒を混合しておけば、
ジアルデヒドで架橋された四級化キトサンの分離透過層
3の膨潤を抑制しながら、この分離透過層3の表面の架
橋度を高めるようにすることができる。表面の架橋度を
このように高めることによって、ジアルデヒドで架橋さ
れた四級化キトサンからなる分離透過層3の、水に対す
る選択透過性能を飛躍的に高めることができるものであ
り、また分離透過層3に膨潤が起こり難くなって高分子
多孔質層2からの剥離は発生し難くなるものである。
【0038】上記のようにして、図1に示すような、多
孔質パイプ1、高分子多孔質層2、分離透過層3の三層
構成からなる管状分離膜Aを得ることができるものであ
る。この管状分離膜Aは、既述の気化浸透法の他に、従
来から知られている浸透気化法や蒸気透過法などの膜を
用いた混合溶液や混合蒸気の成分分離、さらに混合気体
の成分分離などに用いることができるものである。
【0039】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。 (実施例1)レゾール型フェノール樹脂とメタノールを
1:1の重量比で混合して調製した樹脂ワニスにガラス
クロス(有沢製作所製「LPC−131H」)を浸漬
し、これを室温で乾燥することによって、樹脂量30重
量%のプリプレグを調製した。このプリプレグを幅27
mmのテープ状に裁断し、直径10mm、長さ1mのテ
フロン棒の外周にこのテープ状プリプレグを螺旋状に7
層に巻き付け、その外側をテフロン製の熱収縮チューブ
で締め付けた後、130℃に保持された乾燥機中で14
時間加熱し、さらに200℃に昇温して14時間加熱す
ることによって、ガラスクロスとフェノール樹脂からな
る内径10.7mm、外径12.4mm、長さ1mのF
RP多孔質パイプ1を得た。
【0040】この多孔質パイプ1の曲げ強さをJIS
K 6911の規定に準拠して測定したところ、10.
6kgf/mm2 であった。そしてパームポロメーター
(アメリカPMI社製)で多孔質パイプ1の多孔の性状
を測定したところ、平均孔径は39.2μm、開孔率は
35%であった。またこの多孔質パイプ1の一方の開口
を密栓し、他方の開口から圧力1kg/cm2 の窒素ガ
スを通気させると、16500リットル/m2 ・min
の通気性を示すものであった。さらに、電子顕微鏡によ
る観察の結果、多孔質パイプ1の表面に最小50μm、
最大200μmの高低差の凹凸の存在が確認された。図
5は多孔質パイプ1の切断面を60倍に拡大した電子顕
微鏡写真、図6は多孔質パイプ1の切断面を150倍に
拡大した電子顕微鏡写真である。
【0041】一方、ポリエーテルスルホン(テイジンア
ムコ社製「レーデルA−300NT」)25重量部及び
ポリエチレングリコール(平均分子量600)20重量
部を、N,N−ジメチルホルムアミド55重量部に溶解
することによって、成膜溶液4を調製した。そして昇降
装置11で昇降駆動される支持バー13のパイプ取付棒
14に多孔質パイプ1を図3(a)のようにセットし、
FRP多孔質パイプ1を溶液ポット6の内径13.5m
mのノズル5に差し込んだ。次いで、溶液ポット6内に
成膜溶液4を供給した後、昇降装置11を作動させて多
孔質パイプ1を毎秒35mmの速度で下降させてノズル
5から下方へ突出させ、図3(b)のように溶液ポット
6の下方の液槽10中の水からなるゲル化液7に浸漬さ
せることによって、多孔質パイプ1の外周に塗布された
成膜溶液4のコーティング層を相転換させ、次いでこれ
を水洗して60℃で1時間乾燥することによって、微細
な多孔を有する高分子多孔質層2を多孔質パイプ1の外
周面に形成した。
【0042】高分子多孔質層2を電子顕微鏡で観察した
結果、高分子多孔質層2は厚みが200μmであり、そ
の細孔構造は内部にフィンガー様のボイドが多数存在
し、表面は電子顕微鏡で凹凸が観察されない程度の平滑
で緻密なスポンジ層であった(図7参照)。また微細多
孔の性状を測定したところ、平均孔径0.23μm、最
大孔径0.7μm、開孔率35%であった。さらに高分
子多孔質層2を設けた多孔質パイプ1の窒素ガスの通気
量は220リットル/m2 ・minであった。
【0043】また、四級化度13%の塩素型四級化キト
サン4.0g、1重量%濃度グルタルアルデヒド水溶液
2.5g、0.01N塩酸水溶液2.5g及び蒸留水2
18.2gからなる膜形成用溶液を調製した。そして高
分子多孔質層2を形成した多孔質パイプ1の両端の開口
を密栓し、この多孔質パイプ1を膜形成用溶液に浸漬し
た後、引き上げ、直ちに60℃に保持された乾燥機中で
30分間乾燥させることによって、グルタルアルデヒド
で架橋した塩素型四級化キトサンの乾燥膜を分離透過層
3として形成し、多孔質パイプ1、高分子多孔質層2及
び、水を選択的に透過させる分離透過層3からなる図1
のような管状分離膜Aを得た。
【0044】この管状分離膜Aの分離透過層3の厚みを
電子顕微鏡で観察して測定したところ2μmであり、厚
みのばらつきは観察されなかった。また、この分離透過
層3を設けた管状分離膜Aは窒素ガスを通気させないも
のであった。図7は管状分離膜Aの切断面を200倍に
拡大した電子顕微鏡写真、図8は管状分離膜Aの切断面
を6000倍に拡大した電子顕微鏡写真である。
【0045】上記のようにして得た外径12.8mmの
管状分離膜Aを長さ95mmに切断し、管状分離膜Aの
一端を塞いで有効面積30.0cm2 の管状膜エレメン
トBを作製し、図4に示す装置で水−エタノール混合溶
液の脱水分離を行なった。図4において17は透過セル
であって、この透過セル17内に管状分離膜Aから作製
した上記の管状膜エレメントBを配置し、管状膜エレメ
ントBの開口側の端部を透過セル17から突出させると
共にこの管状膜エレメントBの開口端部に気密的に接続
した回収管18がコールドトラップ19に接続してあ
る。コールドトラップ19には真空ポンプ20が接続し
てある。また21は液槽であって、この液槽21は定量
供給ポンプ23と気化器24を介して供給管25によっ
て透過セル17の下部に接続してある。液槽21にはコ
ンデンサー26が取り付けてあり、コンデンサー26と
透過セル17の上部との間には還流管27が接続してあ
る。透過セル17と気化器24は115℃に保持した恒
温槽28内に配置してある。
【0046】液槽21には表1に示す各濃度の水−エタ
ノールの混合溶液22が貯留してあり、定量供給ポンプ
23でこの混合溶液22を気化器24に送り、圧力22
80mmHg、温度110℃の蒸気を発生させ、この混
合溶液22の蒸気を供給管25から透過セル17内に供
給するようにしてある。また真空ポンプ23によってコ
ールドトラップ19及び回収管18を介して管状膜エレ
メントBの内周を0.5mmHgに減圧するようにして
ある。このものにあって、透過セル17内に供給された
混合溶液22の蒸気中の水分が管状膜エレメントBを構
成する管状分離膜Aの分離透過層3を選択的に浸透して
透過する。そして分離透過層3を透過した水分は高分子
多孔質層2及び多孔質パイプ1の各孔を通って管状膜エ
レメントBの内周に蒸気として吸引され、この蒸気は回
収管18からコールドトラップ19に送られ、液体窒素
で液化されて捕集される。また透過セル17内に供給さ
れた混合溶液22の蒸気のうち、管状膜エレメントBを
透過しない成分は還流管27を通ってコンデンサー26
に還流され、コンデンサー26で冷却して液状にして液
槽21に戻される。このようにして、水−エタノールの
混合溶液22から水分を分離して除去することができる
ものである。
【0047】この分離の際の透過速度と透過液のエタノ
ール濃度及び分離係数を表1に示す。透過速度は、管状
膜エレメントBを透過した蒸気をコールドトラップ19
で捕集し、その重量と有効膜面積から求めた。また分離
係数αは、管状膜エレメントBを透過した蒸気をコール
ドトラップ19で捕集したものをガスクロマトグラフで
定量することによって透過液中のエタノール濃度を測定
し、次の式から算出した。
【0048】αH2O/EtOH=(透過液中の水濃度/透過液
中のエタノール濃度)÷(供給液中の水濃度/供給液中
のエタノール濃度)
【0049】
【表1】
【0050】(実施例2)1.0重量%濃度のグルタル
アルデヒド水溶液400ミリリットル、0.25N硫酸
水溶液100ミリリットル、エタノール500ミリリッ
トルからなる混合水溶液を調製し、実施例1で作製した
管状分離膜Aを室温下でこの混合水溶液に浸漬した後、
直ちに70容量%エタノール水溶液及び無水エタノール
で十分洗浄し、60℃に保持された乾燥機中で30分間
乾燥させることによって、分離透過層3の表面をさらに
架橋処理した。この管状分離膜Aを用いて実施例1と同
様に管状膜エレメントBを作製し、実施例1と同様に図
4に示す装置で表2に示す各濃度の水−エタノールの混
合溶液の脱水分離を行なった。この分離の際の透過速度
と透過液のエタノール濃度及び分離係数を表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】上記のように本発明に係る管状分離膜
は、分離の際の一次圧と二次圧の圧力差に対して変形し
ない強度を有する多孔質パイプの外周に、相転換法によ
って形成される有機高分子からなる高分子多孔質層を設
け、高分子多孔質層の外周に分離性能を有する分離透過
層を被覆するようにしたので、多孔質パイプの外周表面
に大きな凹凸が存在しても、高分子多孔質層でこの凹凸
を埋めて外周表面を平滑に形成することができるもので
あり、高分子多孔質層のこの平滑な表面に超薄膜の分離
透過層を均一な厚みで形成することができるものであ
る。
【0053】また請求項2の発明は、上記の多孔質パイ
プは、その孔の平均孔径が10〜1000μmで且つ開
孔率が20〜50%であることを特徴とするので、分離
の際の透過速度等に影響を与えることなく、多孔質パイ
プの外周に表面を平滑な状態にして高分子多孔質層を形
成することが容易になるものである。また請求項3の発
明は、上記高分子多孔質層は、その孔の平均孔径が0.
005〜1.0μmで且つ開孔率が10〜80%である
ことを特徴するので、分離の際の透過速度等に影響を与
えることなく、高分子多孔質層の外周に超薄い均一な膜
厚で分離透過層を形成することが容易になるものであ
る。
【0054】また請求項4の発明は、多孔質パイプはF
RP多孔質パイプで形成され、高分子多孔質層は有機溶
剤に有機高分子を溶解して調製した成膜溶液を多孔質パ
イプの外周に塗布すると共に有機高分子が不溶なゲル化
液で多孔質パイプの外周の成膜溶液を処理して微細孔を
生成させることによって形成され、分離性能を有する分
離透過層は膜成分を溶解した膜形成用溶液を高分子多孔
質層の外周に塗布して乾燥することによって形成されて
いることを特徴とするので、多孔質パイプを安価なFR
P多孔質パイプで形成することができ、また高分子多孔
質層を相転換法で容易に形成することができ、さらに分
離透過層を膜形成用溶液の塗布乾燥で容易に形成するこ
とができるものである。
【0055】また請求項5の発明は、上記分離透過層は
四級化キトサンのジアルデヒド架橋物で形成されている
ことを特徴とするものであり、四級化キトサンのジアル
デヒド架橋物は親水性が高く、水を選択的に透過させて
脱水分離する性能が高い管状分離膜を形成することがで
きるものである。本発明に係る管状分離膜の製造方法
は、有機溶剤に有機高分子を溶解して調製した成膜溶液
を底部にノズルを設けた溶液ポットに導入すると共に成
膜溶液の有機高分子が不溶なゲル化液を溶液ポットの下
方に配置し、分離の際の一次圧と二次圧の圧力差に対し
て変形しない強度を有する多孔質パイプを鉛直方向に配
置し、多孔質パイプを溶液ポット内に通すと共にノズル
の内周と多孔質パイプの外周との間に所定の間隙を保っ
た状態でノズル内を通して多孔質パイプを下降させるこ
とによって、多孔質パイプの外周に溶液ポット内の成膜
溶液を塗布し、ノズルから下方へ下降させた多孔質パイ
プをゲル化液に浸漬して多孔質パイプの外周の成膜溶液
にゲル化液を作用させることによって微細孔を生成させ
た高分子多孔質層を形成し、次いで膜成分を溶解した膜
形成用溶液を高分子多孔質層の外周に塗布して乾燥する
ことによって分離性能を有する分離透過層を形成するよ
うにしたので、多孔質パイプを溶液ポットのノズルに通
して下降させることによって所定厚みで多孔質パイプの
外周に成膜溶液を塗布することができると共に、多孔質
パイプをこのまま下降させてゲル化液に浸漬することに
よって相転換法で微細孔を生成させた高分子多孔質層を
形成することができるものであり、多孔質パイプの外周
への高分子多孔質層の形成を容易に行なうことができる
ものである。
【0056】また請求項7の発明は、四級化キトサンと
ジアルデヒドの酸水溶液によって膜形成用溶液を調製
し、膜形成用溶液を高分子多孔質層の外周に塗布して乾
燥することによって、分離透過層を形成するようにした
ので、水を選択的に透過させて脱水分離する性能が高い
分離透過層を形成することができるものである。また請
求項8の発明は、上記のように形成した分離透過層の表
面を、ジアルデヒドと酸触媒を含有する水溶液で処理し
て乾燥するようにしたので、四級化キトサンのジアルデ
ヒド架橋物からなる分離透過層の表面の架橋度を高める
ことができ、分離透過層の水に対する選択透過性能を飛
躍的に高めることができるものである。また、架橋度が
高められたことによって、分離透過層の水に対する膨潤
性が抑制され、その結果、高分子多孔質層と分離透過層
の間での剥離を起こし難くすることができるものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す斜視図であ
る。
【図2】同上の一部の拡大した断面図である。
【図3】同上の高分子多孔質層を成形する装置を示すも
のであり、(a),(b)はそれぞれ概略断面図であ
る。
【図4】気化浸透法による混合溶液の分離装置の一例を
示す概略図である。
【図5】多孔質パイプの切断面を60倍に拡大した電子
顕微鏡写真である。
【図6】多孔質パイプの切断面を150倍に拡大した電
子顕微鏡写真である。
【図7】管状分離膜の切断面を200倍に拡大した電子
顕微鏡写真である。
【図8】管状分離膜の切断面を6000倍に拡大した電
子顕微鏡写真である。
【図9】従来の一部の拡大した断面図である。
【符号の説明】
1 多孔質パイプ 2 高分子多孔質層 3 分離透過層 4 成膜溶液 5 ノズル 6 溶液ポット 7 ゲル化液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内山 憲二 大阪府箕面市粟生間谷西1丁目4番6− 504号 (72)発明者 筒井 希代子 奈良市西登美ケ丘8丁目7番23号

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分離の際の一次圧と二次圧の圧力差に対
    して変形しない強度を有する多孔質パイプの外周に、相
    転換法によって形成される有機高分子からなる高分子多
    孔質層を設け、高分子多孔質層の外周に分離性能を有す
    る分離透過層を被覆して成ることを特徴とする管状分離
    膜。
  2. 【請求項2】 多孔質パイプは、その孔の平均孔径が1
    0〜1000μmで且つ開孔率が20〜50%であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の管状分離膜。
  3. 【請求項3】 高分子多孔質層は、その孔の平均孔径が
    0.005〜1.0μmで且つ開孔率が10〜80%で
    あることを特徴とする請求項1又は2に記載の管状分離
    膜。
  4. 【請求項4】 多孔質パイプはFRP多孔質パイプで形
    成され、高分子多孔質層は有機溶剤に有機高分子を溶解
    して調製した成膜溶液を多孔質パイプの外周に塗布する
    と共に有機高分子が不溶なゲル化液で多孔質パイプの外
    周の成膜溶液を処理して微細孔を生成させることによっ
    て形成され、分離性能を有する分離透過層は膜成分を溶
    解した膜形成用溶液を高分子多孔質層の外周に塗布して
    乾燥することによって形成されていることを特徴とする
    請求項1乃至3のいずれかに記載の管状分離膜。
  5. 【請求項5】 分離透過層は四級化キトサンのジアルデ
    ヒド架橋物で形成されていることを特徴とする請求項1
    乃至4のいずれかに記載の管状分離膜。
  6. 【請求項6】 有機溶剤に有機高分子を溶解して調製し
    た成膜溶液を底部にノズルを設けた溶液ポットに導入す
    ると共に成膜溶液の有機高分子が不溶なゲル化液を溶液
    ポットの下方に配置し、分離の際の一次圧と二次圧の圧
    力差に対して変形しない強度を有する多孔質パイプを鉛
    直方向に配置し、多孔質パイプを溶液ポット内に通すと
    共にノズルの内周と多孔質パイプの外周との間に所定の
    間隙を保った状態でノズル内を通して多孔質パイプを下
    降させることによって、多孔質パイプの外周に溶液ポッ
    ト内の成膜溶液を塗布し、ノズルから下方へ下降させた
    多孔質パイプをゲル化液に浸漬して多孔質パイプの外周
    の成膜溶液にゲル化液を作用させることによって微細孔
    を生成させた高分子多孔質層を形成し、次いで膜成分を
    溶解した膜形成用溶液を高分子多孔質層の外周に塗布し
    て乾燥することによって分離性能を有する分離透過層を
    形成することを特徴とする管状分離膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 四級化キトサンとジアルデヒドと酸触媒
    を含有する水溶液によって膜形成用溶液を調製し、膜形
    成用溶液を高分子多孔質層の外周に塗布して乾燥するこ
    とによって、分離透過層を形成することを特徴とする請
    求項6に記載の管状分離膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7で形成した分離透過層の表面
    を、ジアルデヒドと酸触媒を含有する水溶液で処理して
    乾燥することを特徴とする請求項7に記載の管状分離膜
    の製造方法。
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