JPH1175730A - 米飯の製造方法 - Google Patents

米飯の製造方法

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JPH1175730A
JPH1175730A JP9239481A JP23948197A JPH1175730A JP H1175730 A JPH1175730 A JP H1175730A JP 9239481 A JP9239481 A JP 9239481A JP 23948197 A JP23948197 A JP 23948197A JP H1175730 A JPH1175730 A JP H1175730A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に常温での長期間保存に好適な米飯であっ
て、こもり臭がなく、米飯粒の形状及び食感も良好に維
持されており、しかも箸通りも良好な米飯の製造方法を
提供すること 【解決手段】 浸漬米又は前記浸漬米と具材の混合物
を、加圧雰囲気下に投入し、次いで前記加圧雰囲気下に
おいて105°C〜135°Cの熱水を10秒間〜30
分間直接接触させることを特徴とする米飯の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は米飯の製造方法に関
する。さらに詳細には、従来の常温長期間保存タイプの
米飯より優れた風味、食感及び外観を有する米飯の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、容器に収納したまま熱水又は
電子レンジで加熱調理して食する常温保存タイプの米飯
製品が販売されている。かかる製品を製造する方法とし
ては、常法で炊き上げた米飯を耐熱性容器に充填密封
し、加熱加圧殺菌処理を施すことが一般的に行なわれて
いる。しかし、この方法は、米飯へのこもり臭の付着や
食感の低減、個々の米飯粒の崩れの発生、さらには米飯
同士の結着という問題があった。そのため、高品質の米
飯を得るには至らなかった。
【0003】そこでまず、こもり臭の付着を防止する方
法として、ボイル処理した浸漬米を耐熱性容器に充填し
た後、加圧加熱殺菌処理し、密封シールすることによ
り、加工処理された白飯を製造する方法(特開昭4−3
70081号)が提案されている。しかし、この方法
は、浸漬米にボイル処理を施した後、さらに加圧加熱殺
菌処理を施すため、膨大な熱量が米にかかり米粒組織の
著しい軟化が生じる。すなわち当該方法では、食感の良
好な米飯を得ることができなかった。
【0004】また、米飯の食感を改善する方法として、
浸漬米を蒸煮することにより低水分でほぼα化してなる
蒸煮米を熱水に浸漬し、さらに蒸煮を行なって品質の均
一な炊飯米を得る方法(特開昭61−74553号)、
60°C以上の湯及び/又は蒸気を用いて米の水分含量
を調整し、次いで80°C以上の湯、蒸気及び/又は圧
力釜を用いて前記米の水分含量を調整することを特徴と
する成型加工米飯食品(特開平4−144653号)等
が提案されている。
【0005】ところが、上記方法も満足のいく食感を有
する米飯を得るには至らなかった。すなわち、米飯粒の
軟化やふやけが生じる傾向にあり、そのため米飯粒の崩
れも多く、外観も不良だったのである。さらには、崩れ
た米飯粒から流出した澱粉により、米飯粒同士が結着し
て、箸通りの悪い、すなわち、ほぐれ性の悪い米飯にな
るという問題も未解決であった。このように、本発明者
の知るところでは、風味、食感及び外観の全てが良好な
米飯であって、特に長期間常温保存タイプの製品に好適
な米飯の製造に成功した従来技術を見出すことはできな
かった。
【発明が解決しようとする課題】
【0006】そこで本発明者は、保存性の高い、特に常
温での長期間保存に好適な米飯であって、こもり臭がな
く、米飯粒の形状及び食感も良好に維持されており、し
かも、箸通りも良好な米飯の製造方法を提供することを
課題として、鋭意研究開発を行なったところ、次の知見
を得た。
【課題を解決するための手段】
【0007】すなわち、一般の炊飯方法では、米は水に
浸漬したまま加熱される。この加熱によって米の澱粉が
α化し、同時に吸水することにより米が膨潤する。本発
明者は、上記方法には、米を浸漬した水が一定温度に昇
温するまで間に、米に不要な熱が加わるという問題点が
あることに着目した。米に不要な熱が加わると、米の澱
粉が過剰にα化し、このため吸水量も増加してベチャベ
チャした米飯になるのである。例えば、単時間で炊飯を
行なうか、あるいは米飯の殺菌を行なうために、加圧下
で米飯を炊き上げる場合には、特に上記の問題が顕著と
なったのである。本発明者は、浸漬米を水、調味液等に
浸漬せずに加圧雰囲気下に投入し、加圧状態を維持した
まま、浸漬米に対して、例えば温度が120°C前後の
熱水を一定時間直接的に接触させて、米の澱粉を急速に
α化させることによって、上記課題を全て解決し得る米
飯が得られるということを見出したのである。
【0008】上記知見に基づく本発明は、浸漬米又は前
記浸漬米と具材の混合物を、加圧雰囲気下に投入し、次
いで前記加圧雰囲気下において105°C〜135°C
の熱水を10秒間〜30分間直接接触させることを特徴
とする米飯の製造方法、を要旨とする。
【発明の実施の形態】
【0009】本発明においては、まず、常法により米を
浸漬する。浸漬にあたっては、常温水を用いるのが好適
である。米としては、例えばうるち種、もち種の五分搗
米、七分搗米、精白米あるいは玄米等が挙げられ、その
種類は制限されない。浸漬処理済みの米の水分含量は、
28重量%〜35重量%であることが好適である。浸漬
米の水分含量が28重量%未満の場合には、最終的に得
られる米飯の食感が固く、かつ芯が残る傾向にある。ま
た反対に、水分含量が35重量%を超えると、ふやけ
た、ベチャベチャした食感の米飯となる傾向にある。
【0010】米を浸漬する際に使用する常温水の温度
は、5°C〜40°C、さらには10°C〜35°Cが
好適である。40°Cを超えると、後述の加圧雰囲気下
における熱水処理によって著しく軟化した米飯となる傾
向にある。また反対に、5°C未満の水を用いると、浸
漬時間が長くなり生産効率が低下する。
【0011】次いで、加圧雰囲気下で、上記浸漬米又は
浸漬米と具材の混合物(以下、浸漬米等と称する)に、
105°C〜135°Cの熱水を直接接触させる。本発
明の特徴は、加圧雰囲気下で浸漬米等に対して熱水を直
接接触させて急速に米飯粒の澱粉をα化させ、米飯を炊
き上げるという点にある。これに対して、米を水又は熱
水に浸漬したまま加熱するという一般的な炊飯方法で
は、炊き上げ時に受ける熱によって著しく軟化し、歯応
えのないベチャベチャした米飯となる。
【0012】なお、本発明では上記熱水として調味成分
を含む調味液を用いてもよい。また、具材としては、大
根、ニンジン、白菜、ネギなどの野菜類、肉類等が挙げ
られ、これらは任意に使用してよい。
【0013】上記加圧雰囲気の圧力は、炊き立ての米飯
に特有の好適な弾力性を有する米飯を得ることができる
という点で、0.40kg/cm2〜2.2kg/c
2、さらには0.68kg/cm2〜1.4kg/cm
2であることが好ましい。なお、本明細書中の圧力は全
てゲージ圧で表記されたものである。
【0014】上記加圧雰囲気下において、浸漬米等に接
触させる際の熱水の温度は、105°C〜135°C、
さらに好ましくは115°C〜125°Cである。熱水
の温度が105°C未満の場合には、浸漬米が熱水を吸
水するのに膨大な時間を要し、米飯の食感に好ましい影
響を及ぼさない。また反対に、熱水の温度が135°C
を超えると、米飯粒の表層の軟化が顕著となり食感が損
われる。
【0015】上記熱水を浸漬米等に接触させる時間は、
10秒間〜60分間、好ましくは15秒間〜30分間、
さらに好ましくは20秒間〜10分間である。10秒間
未満の場合には、芯の残った米飯となる傾向にある。ま
た反対に、熱水と浸漬米との接触時間が60分間よりも
長時間となった場合には、ふやけ及び軟化の著しい、食
感の低減した米飯となる傾向にある。
【0016】浸漬米等に熱水を接触させる方法は、上述
の本発明の特徴の要件を充足する限り任意である。例え
ば、第1の方法として、底面に浸漬米等が通過しない径
の複数の孔を有する上方開口容器に浸漬米等を充填し、
浸漬米等の周囲を加圧雰囲気とした後、上述の温度の熱
水を噴射する方法が挙げられる。また、第2の方法とし
て、底面に開口のない容器に浸漬米等を充填し、浸漬米
等の周囲を加圧雰囲気とした後、上記容器内に上述の温
度の熱水を注入する方法が挙げられる。なお、浸漬米等
の周辺雰囲気を加圧する際、前記雰囲気を蒸気で満たし
てもよい。これにより浸漬米等の殺菌処理も行なうこと
ができ、長期間の常温保存に耐え得る無菌米飯を製造す
ることができる。
【0017】なお本発明では、上記浸漬米と上記熱水を
接触させる前後の工程、あるいは前又は後のいずれか一
方の工程で、浸漬米等に蒸煮処理を施すことが好まし
い。浸漬米等に蒸煮処理を施すことによって、さらに良
好な食感を備え、しかも外観においても崩れの発生の少
ない米飯を得ることができる。特に熱水処理工程の前後
で蒸煮処理を施すことにより、上記した本発明の効果が
より顕著となる。
【0018】上述の蒸煮工程を導入するのであれば、8
0°C〜105°C、好ましくは95°C〜101°C
の蒸気を用いて、1分間〜30分間、さらに好ましくは
5分間〜15分間かけて浸漬米等を蒸煮する。なお、本
発明で浸漬米等に蒸煮処理を施す場合には、上記熱水処
理と同様に、水や調味液等と接触させない状態で行なわ
なければならない。
【0019】ここで、蒸気殺菌装置、米飯充填装置、シ
ール装置の各装置を無菌状態を維持し得る状態で連接し
てなる無菌充填装置を使用して、容器入り無菌米飯を製
造する場合を例に挙げて、上述の工程を説明する。
【0020】まず、米を常温水に浸漬して浸漬米を得
る。次いで、複数の孔を底面に有する上方開口リテーナ
ーに前記浸漬米を充填する。この時、必要であれば前記
浸漬米とは別に、具材となる野菜類、肉類等の固形物を
充填してもよい。次に、これに98°C〜101°Cの
蒸気を接触させて蒸煮米とする。その後、前記蒸煮米を
収納したリテーナーを蒸気殺菌装置内に複数個搬入す
る。
【0021】上記リテーナーを蒸気殺菌装置に搬入した
後、同装置を密閉する。次いで、前記蒸気殺菌装置に設
けられた蒸気供給口から蒸気を注入しつつ、装置内部を
加圧状態とする。殺菌装置内部の圧力を0.68kg/
cm2〜1.4kg/cm2に調整した後、殺菌装置の上
部に設けられた熱水噴射口から、リテーナーに収納され
た蒸煮米に向けて、105°C〜135°Cの熱水を1
0秒間〜60分間シャワーして蒸煮米と熱水とを直接接
触させることにより米飯が得られる。
【0022】次いで、蒸気殺菌装置の内部を一旦常圧に
戻した後、リテーナーに収納された米飯に80°C〜1
05°Cの蒸気を1分間〜30分間接触させて蒸煮処理
を施す。その後、米飯はリテーナーに収納されたまま、
蒸気殺菌装置の下流側に設けられた米飯充填装置に移送
され、あらかじめ殺菌処理が施された製品容器に移し替
えられる。次いで、製品容器に収納された米飯は、米飯
充填装置の下流側に設けられたシール装置に移送され、
同装置において前記製品容器の開口部に密封シールが施
されて容器入り無菌米飯となる。
【0023】
【実施例1】まず、うるち米104重量部を25°Cの
水に1時間浸漬し、水分含量が30重量%の浸漬米13
5重量部を得た。次いで、底面に複数の小孔を有する上
部開口の有底円筒型リテーナーに上記浸漬米135重量
部を充填し、100°Cの蒸気を40秒間直接接触させ
て、浸漬米に第1次蒸煮処理を施し、蒸煮米145重量
部を得た。
【0024】その後、上記蒸煮米145重量部を加圧加
熱殺菌装置内に配置し、前記殺菌装置を密閉した。次い
で、上記殺菌装置に蒸気を導入して、上記殺菌装置内を
1.2kg/cm2まで加圧した。殺菌装置内の圧力を
1.2kg/cm2に維持した状態で、同装置内上部に
設けられた熱水噴射口から、リテーナー内の蒸煮米に向
けて121°Cの熱水をシャワーして米飯210重量部
を得た。この時の熱水シャワーは、70秒おきに3回に
分けて行なった。一回あたりの熱水の量は、蒸煮米10
0重量部に対して熱水50重量部/秒×10秒間であっ
た。
【0025】次いで、殺菌装置内の圧力を常圧にまで戻
し、上述の処理を経て得られた米飯に100°Cの蒸気
を10分間直接噴霧することによって、第2次蒸煮処理
を施し、その後リテーナーとともに上記殺菌装置の下流
側に連接された充填装置に移送した。この充填装置内に
おいて、リテーナー内の米飯を製品容器内に移し替えた
後、米飯の無菌状態を維持したまま製品容器の開口部を
密封し、次いで、充填装置から搬出して容器入り米飯を
得た。
【0026】以上の方法によって得られた容器入り米飯
を常温で6か月保存した後、喫食温度になるまで電子レ
ンジで加熱し、容器を開封し、容器中に収納されている
米飯の外観、風味及び食感の3点につき品質評価を行な
った。その結果、米飯の外観は、米飯粒に崩れが発生し
ておらず、非常に良好な外観を呈していた。また上記米
飯は、レトルト米飯に特有の不快臭が全く感じられなか
った。さらに、炊きたての米飯に特有の好適な歯ごたえ
があり、非常に優れた食感であった。
【0027】
【実施例2】上記実施例1において、熱水処理工程の前
及び後に蒸煮処理を施さないという点以外は、すべて実
施例1と同様にして容器入り米飯を製造し、これを常温
で6か月保存した後、喫食温度になるまで電子レンジで
加熱し、容器を開封し、容器中に収納されている米飯の
外観、風味及び食感の3点につき品質評価を行なった。
その結果、米飯の外観は、崩れの生じた米飯粒がわずか
に認められたものの、全体的に良好な外観を呈してい
た。また、実施例1品と同様、不快臭は全く感じられな
かった。さらに食感においては、実施例1品よりも若干
硬さが残っているものの、ベチャベチャ感はなく、好適
な食感であった。
【0028】
【発明の効果】本発明の製造方法によって得られた米飯
は、レトルト米飯に特有のこもり臭のない優れた風味を
備えたものである。さらに、炊き立ての米飯に特有の弾
力性を良好に保たれており、食感も優れたものである。
また、外観においても米飯粒の形状も良好に維持された
ものである。喫食する際に米飯粒同士が固着しておら
ず、箸の通りも良好である。
【0029】また本発明の製造方法では、蒸気雰囲気等
の無菌雰囲気下で米飯を製造し、これを容器に無菌的に
充填密封することにより、常温で6か月間保存しても、
風味、食感及び外観の劣化が認められない無菌米飯を得
ることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 浸漬米又は前記浸漬米と具材の混合物
    を、加圧雰囲気下に投入し、次いで前記加圧雰囲気下に
    おいて105°C〜135°Cの熱水を10秒間〜30
    分間直接接触させることを特徴とする米飯の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記浸漬米又は前記浸漬米と具材の混合
    物に熱水を直接接触させる前及び/又は後工程におい
    て、蒸煮処理を施すことを特徴とする請求項1記載の米
    飯の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016019520A (ja) * 2014-07-11 2016-02-04 シルー カンパニー リミテッドSiroo Co.,Ltd. 蒸しご飯およびその製造方法
KR102028379B1 (ko) * 2019-08-14 2019-10-04 김미영 가열식 조리기를 이용한 저당밥의 제조방법

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