JPH1173615A - Fe基金属ガラス合金を用いた薄膜磁気ヘッド - Google Patents

Fe基金属ガラス合金を用いた薄膜磁気ヘッド

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JPH1173615A
JPH1173615A JP9235280A JP23528097A JPH1173615A JP H1173615 A JPH1173615 A JP H1173615A JP 9235280 A JP9235280 A JP 9235280A JP 23528097 A JP23528097 A JP 23528097A JP H1173615 A JPH1173615 A JP H1173615A
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film
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JP9235280A
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Hisato Koshiba
寿人 小柴
Teruhiro Makino
彰宏 牧野
Akihisa Inoue
明久 井上
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Alps Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、室温で強磁性を示し、透磁率も高
い金属ガラス合金のコアを書込ヘッド用として備えた薄
膜磁気ヘッドを提供するとともに、MI効果を示す金属
ガラス合金からなる薄膜を外部磁界検出用として用いた
薄膜磁気ヘッドを提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明は、ΔTx=Tx−Tg(ただし、
xは結晶化開始温度、T gはガラス遷移温度を示す。)
の式で表される過冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以
上のFe基金属ガラス合金を主体としてなり、外部磁界
によってインピーダンスの変化を生じる磁気インピーダ
ンス効果素子薄膜12を外部磁界検出用として備えると
ともに、前記Fe基金属ガラス合金が、Fe、Co、N
iのうちの1種又は2種以上の元素を主成分とし、Z
r、Nb、Ta、Hf、Mo、Ti、Vのうちの1種又
は2種以上の元素とBを含むことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属ガラス合金か
らなる上部コアと下部コアを備えた薄膜磁気ヘッドに関
する。
【0002】
【従来の技術】近年において、コンピュータの外部記憶
装置であるハードディスクや、デジタルオーディオテー
プレコーダ、デジタルビデオテープレコーダ等に代表さ
れる磁気記録装置は、一層の小型化とともに、記録密度
の向上が要望されている。上述の要望に対応するために
は、磁気ヘッドの高性能化が不可欠であり、最近では、
再生ヘッドに磁気抵抗素子(以下MR素子と略記す
る。)を用いた磁気ヘッドが開発されている。MR素子
を用いた磁気ヘッドは、記録媒体との相対速度の依存性
が無く、低い相対速度での記録信号の読み出しに向いて
いるが、記録媒体の記録磁化の変化に対する抵抗変化率
が低いために出力信号の感度が低いので、将来の更なる
高密度化への対応が難しいという課題がある。
【0003】そこで、最近注目を集めているのが、磁気
インピーダンス効果(Magneto-Impedance Effect:MI
効果)を有する素子(磁気インピーダンス効果素子:M
I効果素子)である。磁気インピーダンス効果(MI効
果)とは、ワイヤ状またはリボン状の磁性体に電源から
MHz帯域の交流電流を印加し、この状態で磁性体の長
さ方向に外部磁界を印加すると、外部磁界が数ガウス程
度の微弱磁界であっても、磁性体の両端に素材固有のイ
ンピーダンスによる電圧が発生し、その振幅が外部磁界
の強度に対応して数10%の範囲で変化する、すなわち
インピーダンス変化を起こす現象をいう。従来のMR素
子の磁気検出感度が0.1 Oe程度であるのに対し、磁
気インピーダンス効果を有する素子(MI効果素子)
は、10-5 Oe程度の磁化を検出することが可能であ
ることから、高感度の磁気ヘッドとしての応用が期待さ
れている。
【0004】また、従来から本発明者らは、種々の合金
の開発を進めており、この合金開発のテーマの1つとし
て金属ガラス合金の研究を行っている。従来から多元素
合金のある種のものは、結晶化の前の過冷却液体の状態
においてある広い温度領域を有し、これらは、金属ガラ
ス合金(glassy alloy)を構成するものとして知られて
いる。そして、この種の金属ガラス合金は、従来公知の
液体急冷法で製造したアモルファス合金の薄帯に比べて
はるかに厚いバルク状の合金となることも知られてい
る。例えば従来、このような金属ガラス合金として、L
n-Al-TM、Mg-Ln-TM、Zr-Al-TM、Hf
-Al-TM、Ti-Zr-Be-TM(ただしLnは希土
類元素、TMは遷移金属を示す。)系等の組成のものが
知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ここで各種の組成の合
金において、過冷却液体状態を示すとしても、これらの
過冷却液体の温度間隔ΔTx、即ち、結晶化開始温度
(Tx)と、ガラス遷移温度(Tg)との差、即ち、(T
x−Tg)の値は一般に小さく、現実的には、金属ガラス
形成能に乏しく、実用性のないものであることを考慮す
ると、前記の通りの広い過冷却液体の温度領域を持ち、
冷却によって金属ガラスを構成することのできる合金の
存在は、従来公知のアモルファス合金の薄帯としての厚
さの制約を克服可能なことから、冶金学的には大いに注
目されるものである。また、合金が大きなΔTxを有す
ることはスパッタリング等の手段により合金薄膜を形成
する際に、広い成膜条件での成膜が可能となり、工業的
に有用である。しかし、工業材料として発展できるか否
かは、室温で強磁性を示す金属ガラス合金の発見が鍵と
なっている。しかしながら、従来知られているこれらの
金属ガラス合金は、いずれも、室温において磁性を持つ
ことはなく、この点において磁性材料として見た場合に
工業的には大きな制約があった。従って、従来より室温
で磁性を有し、厚いバルク状のものを得ることができる
金属ガラス合金の研究開発が進められていた。このよう
な背景に基づいて研究を進めた結果、本発明者らは、室
温で強磁性を有し、高い透磁率を有する金属ガラス合金
を発見するとともに、室温で強磁性を示すと同時にMI
効果をも示す金属ガラス合金を発見し、本願発明に到達
した。
【0006】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、室温で強磁性を示し、透磁率も高い金属ガラス合金
の磁気インピーダンス効果素子薄膜を外部磁界検出用と
して備えた薄膜磁気ヘッドを提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
するために、ΔTx=Tx−Tg(ただし、Txは結晶化開
始温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表され
る過冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以上のFe基金
属ガラス合金を主体としてなり、外部磁界によってイン
ピーダンスの変化を生じる磁気インピーダンス効果素子
薄膜を外部磁界検出用として備えたことを特徴とする。
本発明において、前記Fe基金属ガラス合金は、Fe、
Co、Niのうちの1種又は2種以上の元素を主成分と
し、Zr、Nb、Ta、Hf、Mo、Ti、Vのうちの
1種又は2種以上の元素とBを含むものとする。
【0008】更に本発明は、磁気媒体に媒体対向面を向
けて相対移動するスライダに書込ヘッドと読出ヘッドが
設けられ、前記書込ヘッドが薄膜状の上部コアと下部コ
アとそれらの間に介在された磁気ギャップとコイル導体
とを具備する磁気誘導型構造とされ、前記読出ヘッドが
磁気インピーダンス効果素子薄膜とこのインピーダンス
効果素子薄膜に接続された電極膜を具備して構成された
ことを特徴とする。
【0009】本発明は前記構造において、前記磁気イン
ピーダンス効果素子薄膜にバイアス印加手段が付設され
てなることを特徴とする。本発明において、前記バイア
ス印加手段が、前記磁気インピーダンス効果素子薄膜に
接続された永久磁石からなることを特徴とするものでも
良い。
【0010】本発明において、前記バイアス印加手段が
前記磁気インピーダンス効果素子薄膜に積層された強磁
性体薄膜とこの強磁性体薄膜に積層された反強磁性体薄
膜とを具備して構成され、前記バイアスが前記反強磁性
体薄膜により前記強磁性体薄膜に誘起させた交換結合磁
界により印加されてなることが好ましい。
【0011】更に、前記温度間隔ΔTxが60K以上で
あり、前記Fe基金属ガラス合金が下記の組成式で表さ
れることを特徴とするものでも良い。 (Fe1-a-bCoaNib100-x-yxy 但し、0≦a≦0.29、0≦b≦0.43、5原子%≦
x≦20原子%、10原子%≦y≦22原子%であり、M
はZr、Nb、Ta、Hf、Mo、Ti、Vのうちの1
種又は2種以上からなる元素である。
【0012】本発明で前記温度間隔ΔTxが60K以上
であり、前記Fe基金属ガラス合金が下記の組成式で表
されることを特徴とするものでも良い。 (Fe1-a-bCoaNib100-x-y-zxyz 但し、0≦a≦0.29、0≦b≦0.43、5原子%≦
x≦20原子%、10原子%≦y≦22原子%、0原子%
≦z≦5原子%であり、Mは、Zr、Nb、Ta、H
f、Mo、Ti、Vのうちの1種又は2種以上からなる
元素、TはCr、W、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、
Pt、Al、Si、Ge、C、Pのうちの1種又は2種
以上の元素である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の一形
態の薄膜磁気ヘッドについて説明する。この例の薄膜磁
気ヘッドHAは、ハードディスク装置等に搭載される浮
上式のもので、この磁気ヘッドHAのスライダ51は、
図1の(イ)で示す側がディスク面の移動方向の上流側
に向くリーディング側で、図1の(ロ)で示す側がトレ
ーリング側である。このスライダ51のディスクに対向
する面では、レール状のレール面51a、51a、51
bと、エアーグルーブ51c、51cが形成されてい
る。そして、このスライダ51のトレーリング側の端面
51d側に薄膜磁気ヘッドコア50が設けられている。
【0014】この例で示す薄膜磁気ヘッドコア50は、
図2と図3に断面構造を示すような複合型磁気ヘッドで
あり、スライダ51のトレーリング側端面51d上に、
MI効果素子ヘッド(読出ヘッド)h1と、インダクテ
ィブヘッド(磁気誘導型磁気ヘッド:書込ヘッド)h2
とが順に積層されて構成されている。
【0015】この例のMI効果素子ヘッドh1はMI効
果を利用して磁気ディスクなどの記録媒体からの漏れ磁
束を検出し、磁気信号を読み取るものである。図2に示
すようにMI効果素子ヘッドh1において、スライダ5
1のトレーリング側端部に形成されたセンダスト(Fe
-Al-Si)等の磁性合金からなる下部ギャップ層53
上に、アルミナ(Al23)などの非磁性材料により形
成された上部ギャップ層54が積層されている。そし
て、この上部ギャップ層54上に、図4等に断面構造を
示す後述のMI効果素子10が形成されている。また、
更にMI効果素子10の上には、アルミナなどからなる
上部ギャップ層54がMI効果素子10を覆うように連
続形成され、その上に上部シールド層が形成されてお
り、この上部シールド層は、その上に設けられるインダ
クティブヘッドh2の下部コア55と兼用にされてい
る。
【0016】図4はMI効果素子ヘッドh1に適用され
たMI効果素子10の一例を示すもので、この例のMI
効果素子10は、以下に説明する金属ガラス合金からな
るMI効果素子薄膜12と、このMI効果素子薄膜12
上に積層された強磁性体薄膜13と、この強磁性体薄膜
13の両端部上にトラック幅に相当する間隙Twをあけ
て積層された反強磁性体薄膜14、14とそれらの反強
磁性体薄膜14上に積層された電極膜15とから構成さ
れている。
【0017】ここで以下に、本発明で用いるMI効果素
子薄膜12を構成する金属ガラス合金について説明す
る。従来からFe系の合金として、Fe-P-C系、Fe
-P-B系、Fe-Ni-Si-B系等の組成のものがガラ
ス遷移を起こすものとして知られているが、これらの合
金の過冷却液体の領域は観察されず、金属ガラス合金と
して構成することはできない。
【0018】これに対して、本発明に係るFe基軟磁性
金属ガラス合金は、この過冷却液体の温度間隔ΔT
xが、20K以上、組成によっては35〜60K以上と
いう顕著な温度間隔を有し、これまでの知見から知られ
るFe基合金からは全く予期されないものである。しか
も、軟磁性についても室温で優れた特性を有し、MI効
果をも示す本発明に係るFe基軟磁性金属ガラス合金
は、これまでの知見に見られない全く新規なものであ
る。
【0019】本発明で読出ヘッドh1用のMI素子薄膜
12に用いるFe基軟磁性金属ガラス合金は、その組成
については、Fe、Co、Niのうちの1種又は2種以
上を主成分とし、これにZr、Nb、Ta、Hf、M
o、Ti、Vのうちの1種または2種以上とBを所定量
添加した成分系で実現される。
【0020】更にMI素子薄膜12を構成するFe基軟
磁性金属ガラス合金の1つは、一般式においては、 (Fe1-a-bCoaNib100-x-yxy で表記することができ、この一般式において、0≦a≦
0.29、0≦b≦0.43、5原子%≦x≦20原子
%、10原子%≦y≦22原子%なる関係が好ましく、
MはZr、Nb、Ta、Hf、Mo、Ti、Vのうちの
1種又は2種以上からなる元素である。
【0021】更に前記の成分系において、ΔTx=Tx−
Tg(ただしTxは、結晶化開始温度、Tgはガラス遷移
温度を示す。)の式で表される過冷却液体領域の温度間
隔ΔTxが20K以上であることを必要とする。前記の
組成系において、ZrかまたはHfを必ず含み、ΔTx
が25K以上であることが好ましく、ΔTxが60K以
上であることがより好ましい。更に、前記(Fe1-a-b
CoaNib100-x-yxyなる組成式において0.04
2≦a≦0.29、0.042≦b≦0.43の関係にさ
れてなることが好ましい。
【0022】次に他のFe基軟磁性金属ガラス合金の1
つは、一般式においては、(Fe1-a-bCoaNib
100-x-y-zxyzで表記され、該一般式において、0
≦a≦0.29、0≦b≦0.43、5原子%≦x≦20
原子%、10原子%≦y≦22原子%、0原子%≦z≦5
原子%であり、MはZr、Nb、Ta、Hf、Mo、T
i、Vのうちの1種又は2種以上からなる元素、TはC
r、W、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Al、
Si、Ge、C、Pのうちの1種又は2種以上の元素で
ある。また、本発明は、前記(Fe1-a-bCoaNib
100-x-y-zxyzなる 組成式において0.042≦a
≦0.29、0.042≦b≦0.43の関係にされてな
るものでも良い。
【0023】次に、前記元素Mが(M'1-cM''c)で表
され、M'はZrとHfのうちの1種または2種、M''
はNb、Ta、Mo、Ti、Vのうちの1種または2種
以上からなる元素であり、0≦c≦0.6であることを
特徴とするものでも良い。更に、前記組成においてcが
0.2≦c≦0.4の範囲であることを特徴とするもので
も良く、前記cが0≦c≦0.2の範囲であることを特
徴としても良い。更に本発明において、0.042≦a
≦0.25、0.042≦b≦0.1であることを特徴と
しても良い。本発明において、軟磁性金属ガラス合金に
427℃(700K)〜627℃(900K)で熱処理
が施されてなることを特徴とするものでも良い。この範
囲の温度で熱処理がなされたものは、高い透磁率を示
す。なお、加熱後の冷却時に急冷すると、結晶相が析出
してアモルファス化できないので、熱処理後の冷却速度
はできるだけ遅いものとする必要があり、加熱後に徐冷
するか焼き鈍しするなどの処理が好ましい。また、前記
の組成において原子Bの50%以下をCで置換しても良
い。
【0024】「組成限定理由」本発明組成系において、
主成分であるFeとCoとNiは、磁性を担う元素であ
り、高い飽和磁束密度と優れた軟磁気特性を得るために
重要である。また、Feを多く含む成分系においてΔT
xが大きくなり易く、Feを多く含む成分系においてC
o含有量とNi含有量を適正な値とすることで、ΔTx
の値を60K以上にすることができる。具体的には、5
0K〜60KのΔTxを確実に得るためには、Coの組
成比を示すaの値を0≦a≦0.29、Niの組成比を
示すbの値を0≦b≦0.43の範囲、60K以上のΔ
Txを確実に得るためには、Coの組成比を示すaの値
を0.042≦a≦0.29、Niの組成比を示すbの値
を0.042≦b≦0.43の範囲とすることが好まし
い。また、前記の範囲内において、良好な軟磁気特性を
得るためには、Coの組成比を示すaの値を0.042
≦a≦0.25の範囲とすることが好ましく、高い飽和
磁束密度を得るためには、Niの組成比を示すbの値を
0.042≦b≦0.1の範囲とすることがより好まし
い。
【0025】MはZr、Nb、Ta、Hf、Mo、T
i、Vのうちの1種又は2種以上からなる元素である。
これらはアモルファスを生成させるために有効な元素で
あり、5原子%以上、20原子%以下の範囲であると良
い。更に、高い磁気特性を得るためには、より好ましく
は5原子%以上、15原子%以下にすると良い。これら
元素Mのうち、特にZrとHfが有効である。Zr、H
fは、その一部をNb等の元素と置換することができる
が、置換する場合の組成比cは、0≦c≦0.6の範囲
であると、高いΔTxを得ることができるが、特にΔTx
を80以上とするには0.2≦c≦0.4の範囲が 好ま
しい。
【0026】Bは、高いアモルファス形成能があり、本
発明では10原子%以上、22原子%以下の範囲で添加
する。この範囲を外れると、Bが10原子%未満である
と、ΔTx が消滅するために好ましくなく、22原子%
よりも大きくなるとアモルファスが形成できなくなるた
めに好ましくない。より高いアモルファス形成能と良好
な磁気特性を得るためには、16原子%以上、20原子
%以下とすることがより好ましい。
【0027】前記の組成系に更に、Tで示される、C
r、W、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Al、
Si、Ge、C、Pのうちの1種又は2種以上の元素を
添加することもできる。本発明ではこれらの元素を0原
子%以上、5原子%以下の範囲で添加することができ
る。これらの元素は主に耐食性を向上させる目的で添加
するもので、この範囲を外れると、軟磁気特性が低下す
る。また、この範囲を外れるとアモルファス形成能が劣
化するために好ましくない。
【0028】前記強磁性体薄膜13は、Ni-Fe合
金、Co-Fe合金、Ni-Co合金、Co、Ni-Fe-
Co合金などの薄膜からなる。また、強磁性体薄膜13
をCo薄膜とNi-Fe合金薄膜との積層構造から構成
することもできる。前記反強磁性体薄膜14は、例え
ば、FeMn、NiO、Cr-Alあるいは、不規則構
造を有するX-Mn系合金などからなることが好まし
い。ここで前記組成式においてXは、Ru、Rh、I
r、Pd、Ptのいずれか1種または2種以上からなる
ことが好ましい。前記各種合金の反強磁性体薄膜14で
あるならば強磁性体薄膜13に接するMI効果素子薄膜
12に交換結合性磁界によるバイアスを印加することが
できる。
【0029】次に、この実施形態のインダクティブヘッ
ドh2は、下部コア55の上に、ギャップ層64が形成
され、その上に平面的に螺旋状となるようにパターン化
されたコイル層66が形成され、コイル層66は絶縁材
料層67に囲まれている。更に、絶縁材料層67の上に
形成された層状の上部コア68は、その先端部68aを
レール面51bにて層状の下部コア55に微小間隙をあ
けて対向し、磁気ギャップGを構成するとともに、上部
コア68の基端部68bを下部コア55と磁気的に接続
させて設けられている。また、上部コア68の上にはア
ルミナなどからなる保護層69が設けられている。
【0030】この実施形態で用いられる下部コア55と
上部コア68は、従来から用いられている飽和磁束密度
と透磁率の優れた軟磁性材料を用いることができる。一
例としてパーマロイやセンダストあるいはフェライトな
どで良いが、以下に説明する軟磁性金属ガラス合金から
構成しても良い。下部コア55と上部コア68を構成す
る軟磁性金属ガラス合金の1つは、一般式においては、
(Fe1-a-bCoaNib100-x-yxyで表記されるも
の、(Fe1-a-bCoaNib100-x-y-zxyzで表
記されるものである。即ち、これらの合金は先に説明し
たMI素子薄膜12を構成するために用いた金属ガラス
合金と同一組成のものであり、これらの組成の金属ガラ
ス合金においても優れた軟磁気特性を有するので、コア
として使用することができる。
【0031】前述の構成のインダクティブヘッドh2
は、コイル層66に記録電流が与えられ、コイル層66
からコア層に記録電流が与えられる。そして、磁気ギャ
ップGの部分での金属ガラス製の下部コア55と上部コ
ア68の先端部からの漏れ磁界によりハードディスクな
どの記録媒体に磁気信号を記録することができる。ま
た、MI効果素子ヘッドh1においては、ハードディス
クなどの磁気記録媒体からの微小の漏れ磁界の有無によ
りMI効果素子薄膜12のインピーダンスが変化するの
で、このインピーダンス変化を読み取ることで記録媒体
の記録内容を読み取ることができる。
【0032】図6は、MI効果素子薄膜12のMI効果
を測定するための回路系の一例を示すもので、図6
(A)に示す回路構成ではMI効果素子薄膜12に対し
て電源EacからMHz帯域の交流電流Iacを印加し、こ
の状態でMI効果素子薄膜12の長さ方向に外部磁界H
exを印加すると、外部磁界Hexが数ガウス程度の微弱磁
界であってもMI効果素子薄膜12の両端に素材固有の
インピーダンスによる電圧Emiが発生し、その振幅が外
部磁界Hexの強度に対応して大きな割合で変化するの
で、微弱磁界検出ができる。
【0033】次に、MI効果素子薄膜12を用いて薄膜
磁気ヘッドHAを実際に構成する際には、高周波電流を
使用するので回路の浮遊インピーダンスなどで感度が不
安定にならないように配慮する必要がある。この問題の
一つの解決策として、前述の構成のMIヘッドにあって
は、MIヘッドと高周波電源とを一体化した自己発振方
式の磁界検知回路を採用することが好ましい。この自己
発振回路を有する磁界検知回路の一例を図6(B)に示
す。
【0034】図6(B)に示す回路では、ブロックa、
b、cはそれぞれ高周波電源部、外部磁界検出部、増幅
出力部であり、外部磁界検出部bに薄膜磁気ヘッドHA
のMI効果素子薄膜12が接続された構造とされてい
る。高周波電源部aは、高周波交流電流を発生し外部磁
界検知部bに供給するための回路であってその方式は特
に限定されない。ここでは一例として、安定化コルビッ
ツ発振回路を採用したものを掲げる。自己発振方式では
この他に磁気変調を利用した振幅変調(AM)、周波数
変調(FM)、または位相変調(PM)をかけて磁界感
知作動をさせることもできる。外部磁界検知部bは、薄
膜磁気ヘッドHAのMI効果素子ヘッドh1に設けられ
ているMI効果素子薄膜12と復調回路とからなり、高
周波電源部aから供給された高周波交流電流により待機
状態とされたMI効果素子薄膜12が外部磁界(Hex)
に感応して発生したインピーダンス変化を、復調回路に
より復調し、増幅出力部cに伝送する。増幅出力部cは
差動増幅回路と出力端子とを有する。この磁気センサ回
路は、図示しないが負帰還ループ回路が設けてあり、強
い負帰還をかけることによって高精度・高感度・高速応
答・高安定の微弱磁気センサ回路が形成される。
【0035】図7と図8は、各種材料の磁界感応性を示
すが、図7においてとで示す曲線が後述の実施例で
示す如く従来合金の特性を示し、図8で示す曲線が本願
発明に係る金属ガラス合金のMI素子薄膜12の磁界感
応特性を示す。本発明のMI効果素子薄膜12は、図8
に示したように、外部磁界の極性に係わらず同様のパラ
メータ変化を示し、直線性に優れた特性を示す。従っ
て、線形応答が可能なリニア検出型の薄膜磁気ヘッドを
構成する場合に直流磁界バイアスを印加することが好ま
しい。本発明のMI効果素子薄膜12は微弱磁界におけ
る直線性が高いため、バイアス磁界も軽微でよい。
【0036】このバイアス磁界を印加するために図4に
示す反強磁性体薄膜14が作用させる交換結合性磁界を
利用する。図4に示す構造においては、強磁性体薄膜1
3と反強磁性体薄膜14の両層の境界面での交換異方性
結合により、強磁性体薄膜13にバイアスが与えられて
図4のB領域(強磁性体薄膜13と反強磁性体薄膜14
が接触した領域)はX方向へ単磁区化され、これに誘発
されてトラック幅Tw内のA領域にて強磁性体薄膜13
がX方向へ単磁区化されてバイアスが印加される。この
ようにバイアス磁界により磁化された強磁性体薄膜13
に隣接するMI効果素子薄膜12に磁気記録媒体からの
漏れ磁界が与えられると、この漏れ磁界の大きさに比例
してインピーダンス変化が起こるので漏れ磁界を検出で
きる。
【0037】本発明のMI効果素子薄膜を用いた薄膜磁
気ヘッドHAは金属ガラス合金を用いたMI効果素子薄
膜12の長さ方向(図4のX方向)の磁界変化に感応す
る。そして、数10〜100%/Oeのインピーダンス
変化率と、10-6 Oeの高い分解能と、数MHzの遮
断周波数とを持つ、高感度な薄膜磁気ヘッドを構成する
ことができる。そして、例えばヘッド長が極小寸法であ
っても磁界検出感度は劣化せず、1Hz以上の交流磁界
に対する最小検出磁界は10-6に達する。
【0038】また、この形態の薄膜磁気ヘッドHAは、
応答の速い磁化の回転による磁束変化を利用することに
なるので高速応答性である。即ち、通過電流を高周波に
すると、表皮効果によってインピーダンスが外部磁界に
依存して鋭敏に変化し高感度化すると共に、磁壁の移動
が強い過電流制動により抑制され、磁化ベクトルの移動
によって磁束が発生するので高速応答性となる。本発明
のMI効果素子薄膜12を用いてコルピッツ発振回路な
どの自己発振回路を構成し、振幅変調方式のセンサを形
成すると、その遮断周波数は発振周波数の1/10程度
であり、数十MHzの発振周波数では直流磁界から数M
Hzの高周波磁界に至るまで、分解能が約10-6Oeの
高感度で安定に検出できるようになり、磁気記録媒体か
らの微小磁界でも好感度で検出可能な薄膜磁気ヘッドを
提供できる。
【0039】図5は、本発明に係るMI効果素子薄膜の
他の形態を示すもので、この形態の構造は、金属ガラス
合金からなるMI効果素子薄膜22の両側に磁石層(永
久磁石)23、23が配置され、磁石層23、23上に
電極膜25が積層された構造とされていて、磁石層23
からの漏れ磁束を利用してMI効果素子薄膜23にバイ
アスを印加する構造とされている。ここで用いられる磁
石層23は、Co-Pt、Co-Cr-Pt合金などの硬
質磁性材料(磁石材料)の層から形成されている。図5
に示す構造においても先の形態の場合と同様にバイアス
を印加することができ、MI効果を利用して先の形態の
構造と同様に磁気記録媒体の磁気情報の読み出しを行う
ことができる。
【0040】次に前記の形態においては、読出ヘッドh
1を金属ガラス合金からなるMI素子で構成したが、書
込ヘッドの下部コア55と上部コア68の少なくとも一
方を金属ガラスから構成した場合に、読出ヘッドh1
磁気抵抗変化型のMR素子から構成しても良い。図12
は、薄膜磁気ヘッドHAの読出ヘッドh1として、MR
素子を用いた場合の形態を示す。従来から、磁気抵抗効
果型読み取りヘッド(MRヘッド)として、伝導電子の
スピン依存散乱現象を用いたGMR(Giant Magnetores
istance:巨大磁気抵抗効果)ヘッドが知られており、
GMRヘッドの1つの具体例として、低外部磁界で高磁
気抵抗効果を示すスピンバルブ(Spin-Valve)ヘッドが
米国特許第5159513号明細書に示されている。
【0041】図12に示すMR素子はスピンバルブ構造
を応用したMR素子の一例を示すもので、この例の構造
は、フリー強磁性層1と非磁性中間層2とピン止め強磁
性層3と反強磁性層4を基板上に積層し、この積層体の
両側に積層体を挟むようにCo-Pt等からなる磁石層
5、5を設け、その上に電極層6、6を設けて構成され
ている。また、図12に示す構造においてピン止め強磁
性層3の磁化方向を図12のZ方向に固定させるために
は、比較的大きなバイアス磁界が必要であり、このバイ
アス磁界は大きければ大きいほど良いことになる。図1
2のZ方向の反磁界に打ち勝ち、磁気媒体からの磁束に
より磁化方向が揺れないためには、少なくとも100
Oeのバイアス磁界が必要である。このバイアス磁界を
得るために図12に示す構造にあっては、ピン止め強磁
性層3に反強磁性層4を接触させて設けることにより生
じる交換異方性磁界を利用している。
【0042】図12に示す構造であると、フリー強磁性
層1には磁石層5、5によって膜面に対して平行(図1
2のX方向:トラック方向)の縦バイアスを印加し単磁
区化した状態でトラック方向に磁化を向けさせるととも
に、ピン止め強磁性層3の磁化方向を図13中のZ方
向、即ち、フリー強磁性層1の磁化方向と直交する方向
にバイアスを印加して単磁区化した状態で図中Z方向に
向けさせておく必要がある。前記の縦バイアス印加の目
的はフリー強磁性層1が多数の磁区を形成することによ
って生じるバルクハウゼンノイズを抑制すること、即
ち、磁気媒体からこの磁束に対してノイズの少ないスム
ーズな抵抗変化にするためである。
【0043】また、磁気媒体からの磁束(図12のZ方
向)により、前記ピン止め強磁性層3の磁化方向は変化
してはならず、フリー強磁性層1の方向がピン止め強磁
性層3の磁化方向に対して90±θ゜の範囲で変化する
ことにより磁気抵抗効果の線形応答性が得られる。以上
のように、スピンバルブヘッドの際のピン止め強磁性層
のバイアス、フリー強磁性層の縦バイアスに反強磁性層
との接触界面で生じる交換異方性磁界を利用することに
より、線形応答性が良く、バルクハウゼンノイズを抑制
した磁気抵抗効果型ヘッドが実現される。このような構
造のMR素子を図4あるいは図5に示すMI素子の代わ
りに用いて読出ヘッドh1を構成しても良い。
【0044】図13はMR素子の他の形態を示すもの
で、この形態のMR素子は、フリー強磁性層1と非磁性
中間層2とピン止め強磁性層3と反強磁性層4からなる
積層体Sをその両側から挟むようにNi-Feなどから
なる強磁性層8を設け、該強磁性体8の上に反強磁性層
9と電極層10を積層した構造である。この構造によれ
ば、反強磁性層9の一方向異方性により、強磁性層8を
単磁区化することで、積層体に接触している強磁性層8
の延出部8a側からフリー強磁性層1側に磁束を作用さ
せることができ、これによる交換相互作用で磁気的にフ
リー強磁性層1に縦バイアスを印加することができる。
図13に示す構造のMR素子を用いた場合であっても、
磁気記録媒体の漏れ磁界に応じて抵抗変化を得ることが
できるので、読出ヘッドh1を構成することができる。
【0045】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明
する。 (実施例1)高周波マグネトロンスパッタ装置を用い、
Al23膜を被覆したAl23-TiC(アルチック)
基板(磁気ヘッドのスライダ用として常用される基板)
上に、複数のターゲットを用いて以下に示す構造になる
ようにスパッタして積層体を作成し、それをエッチング
により加工して図4に示す構造のMI効果素子を製造し
た。この際、Fe56Co7Ni7Nb420なる組成の厚
さ100ÅのMI素子薄膜とNi80Fe20合金からなる
厚さ100Åの強磁性体薄膜を積層し、更にそれらの上
に厚さ200Åの反強磁性層(Pt50Mn50)と厚さ1
000Åの電極層をスパッタにより積層し、フォトリソ
グラフィープロセスとイオンミリングによりトラック幅
(Tw=2μm)に相当する部分の電極膜と反強磁性体
薄膜を除去して図4に示す構造のMI効果素子薄膜を得
た。
【0046】前記MI効果素子薄膜を図6(B)に示す
磁界検知回路に挿入し、3MHzの交流電流を印加した
状態で、MI効果素子薄膜の長さ方向(図4のX方向)
に外部磁界Hexを印加し、外部磁界Hex(Oe)と発生
した出力電圧(mV)との関係をプロットした。外部磁
界Hexは0 Oeからスタートし、5 Oe、0 Oe、
−5 Oe、0 Oeと連続的に往復変化させた。増幅倍
率は10倍に設定した。以上の測定結果を図8に示す。
この結果からこの例のMI効果素子は、−5 Oe〜+
5 Oe程度の磁界においてリニアリティの良好な線形
応答性を得ることができ、−2 Oe〜+2 Oe程度の
微弱磁界帯域においても高感度でかつ良好な定量性を示
すことがわかる。
【0047】次に、図2と図3に断面構造を示す薄膜磁
気ヘッドにおいて、上部コアと下部コアを構成するため
に用いる金属ガラス合金の磁気特性を計測した。図9
は、Fe60Co3Ni7Zr1020、Fe56Co7Ni7
1020、Fe49Co14Ni7Zr1020、Fe46Co
17Ni7Zr1020なる組成の金属ガラス合金薄膜試料
のDSC曲線を示す。これらのいずれの試料において
も、温度を上昇させてゆくことで広い過冷却液体領域が
存在することを確認でき、その過冷却液体領域を超えて
加熱することで結晶化することが明らかになった。過冷
却液体領域の温度間隔ΔTxは、ΔTx=Tx−Tgの式で
表されるが、図9に示すTx−Tgの値はいずれの試料で
も60Kを超え、64〜68Kの範囲になっている。過
冷却液体領域を示す実質的な平衡状態は、発熱ピークに
よる結晶化を示す温度より少し低い596℃(869
K)〜632℃(905K)の広い範囲で得られた。
【0048】次に図10は(Fe1-a-bCoaNib70
1020なる組成系の合金試料におけるΔTx(=Tx−
Tg)の値に対するFeとCoとNiのそれぞれの含有
量依存性を示す三角組成図である。図10に示す結果か
ら明らかなように、(Fe1-a-bCoaNib7010
20なる組成系の全ての範囲においてΔTxの値は25K
を超えている。更に、ΔTxに関し、図10に示すよう
にFeを多く含む組成系において大きな値になっている
ことがわかり、ΔTxを60K以上にするには、Co含
有量を3原子%以上、20原子%以下、Ni含有量を3
原子%以上、30原子%以下にすることが好ましいこと
がわかる。
【0049】なお、(Fe1-a-bCoaNib7010
20なる組成式においてCo含有量を3原子%以上にする
には、(Fe1-a-bCoaNib)を70原子%とするの
で、Coの組成比aが0.042以上、Co含有量を2
0原子%以下にするには、Coの組成比aが0.29以
下となる。また、同様にNi含有量を3原子%以上にす
るにはNiの組成比bが0.042以上、30原子%以
下にするには、Niの組成比bが0.43以下となる。
【0050】図11は、Fe56Co7Ni7Zr10-xNb
x20(x=0,2,4,6,8,10原子%)なる組成の合
金薄膜試料の急冷後あるいは527℃(800K)で5
分間アニールした試料の飽和磁束密度および保磁力のN
b含有量依存性と、1kHzにおける透磁率(μe)と
磁歪λsのNb含有量依存性を示す。飽和磁束密度はN
bを添加するに従い低下し、Nbを含まない試料が0.
9(T)以上、Nbを2原子%含む試料では約0.75
(T)であった。また、透磁率の値は、急冷状態の試料
にあってはNbを含まない試料が5031、Nbを2原
子%含む試料が2228であり、Nbを10原子%含む
試料においては906に低下した。しかし、アニールを
施すことにより透磁率は格段に向上し、特にNbを2原
子%含む試料にあっては25000程度の透磁率を得る
ことができた。
【0051】更に、保磁力に関し、Nbを含まない試料
とNbを2原子%含む試料はいずれも50A/m(=
0.625 Oe)と低い値であった。特にNbが2原子
%以下の試料は、5A/m(=0.625 Oe)と非常
に良好な値を示している。更にアニールを施すとNbを
4原子%以上含む試料でも良好な保磁力を示した。更
に、本発明の軟磁性金属ガラス合金試料は、ビッカース
硬度を測定したところ、1300〜1500Hvを示す
ことが判明した。以上のことから前記組成の金属ガラス
合金は硬度が高く、軟磁気特性に優れていることが明ら
かになったので、この金属ガラスを用いて上部コアある
いは下部コアを構成することで、硬度が高く、軟磁気特
性に優れた上部コアと下部コアを形成できることが明ら
かになった。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように本発明において、Δ
xが20K以上のFe基金属ガラス合金からなり、外
部磁界によってインピーダンスの変化を生じる磁気イン
ピーダンス効果素子薄膜を外部磁界検出用として備えて
たものは、磁気抵抗効果よりも遥かに大きな変化を示す
MI効果を利用して磁気記録媒体からの微小な磁界に線
形応答して高感度な読出性能を得ることができる薄膜磁
気ヘッドを得ることができる。また、本発明に係る金属
ガラス合金からなるMI効果素子薄膜は、正負磁界に対
するインピーダンス変化の対称性が良好であり、かつ微
弱磁界域での定量性が良好なために、高感度な読出性能
を得ることができる薄膜磁気ヘッドを得ることができ
る。
【0053】前記で用いるFe基金属ガラス合金とし
て、Fe、Co、Niのうちの1種又は2種以上の元素
を主成分とし、Zr、Nb、Ta、Hf、Mo、Ti、
Vのうちの1種又は2種以上の元素とBを含むことを特
徴とするものを用いることができる。更に、前記温度間
隔ΔTxが60K以上であり、前記Fe基金属ガラス合
金として(Fe1-a-bCoaNib100-x-yxyなる組
成、あるいは(Fe1-a-bCoaNib100-x-y-zxy
zなる組成のものを用いることができ、この組成式で
表される特定組成のものを用いることで記録特性に優れ
た薄膜磁気ヘッドを得ることができる。
【0054】次に、スライダに書込ヘッドと読出ヘッド
を設け、書込ヘッドを磁気誘導型構造とし、読出ヘッド
を磁気インピーダンス効果素子薄膜と電極膜から構成す
ることで、磁気記録媒体に対する磁気情報の書き込みが
できるとともに、磁気記録媒体からの漏れ磁界を高感度
で読出可能な薄膜磁気ヘッドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る磁気インピーダンス効果素子薄
膜を備えた薄膜磁気ヘッドの一実施形態の斜視図。
【図2】 図1に示す薄膜磁気ヘッドの要部の断面図。
【図3】 図1に示す薄膜磁気ヘッドの要部の一部を断
面とした斜視図。
【図4】 図1に備えられる磁気インピーダンス効果素
子薄膜の一例を示す断面図。
【図5】 同磁気インピーダンス効果素子薄膜の他の例
を示す断面図。
【図6】 磁気インピーダンス特性の測定回路を示すも
ので、図6(A)はその一例を示す回路図、図6(B)
は他の例を示す回路図。
【図7】 従来材料からなるMI効果素子の磁界感応性
を示すグラフ。
【図8】 本発明のMI効果素子の一例における磁界感
応性を示すグラフ。
【図9】 Fe60Co3Ni7Zr1020、Fe56Co7
Ni7Zr1020、Fe49Co14Ni7Zr1020、Fe
46Co17Ni7Zr1020なる各組成の金属ガラス合金
薄帯試料のDSC曲線を示す図。
【図10】 (Fe1-a-bCoaNib701020なる
組成系におけるΔTx(=Tx−Tg)の値に対するFe
とCoとNiのそれぞれの含有量依存性を示す三角組成
図である。
【図11】 Fe56Co7Ni7Zr10-xNbx20(x=
0,2,4,6,8,10原子%)なる組成の試料の飽和磁
束密度および保磁力のNb含有量依存性と、1kHzに
おける透磁率(μe)と磁歪(λs)を示す図である。
【図12】 読出ヘッドを構成するためのMR素子の一
形態を示す断面図。
【図13】 読出ヘッドを構成するためのMR素子の他
の一形態を示す断面図。
【符号の説明】
HA・・・薄膜磁気ヘッド、h1・・・MI効果素子ヘッド
(読出ヘッド)、h2・・・インダクティブヘッド(磁気誘
導型磁気ヘッド:書込ヘッド)、10・・・MI効果素
子、12・・・MI効果素子薄膜、13・・・強磁性体薄膜、
14・・・反強磁性体薄膜、15・・・電極膜、22・・・MI
効果素子薄膜、23・・・磁石層(永久磁石)、25・・・電
極膜、50・・・磁気ヘッドコア、51・・・スライダ、55
・・・下部コア、68・・・上部コア。
フロントページの続き (72)発明者 牧野 彰宏 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区川内元支倉35番地 川 内住宅11−806

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ΔTx=Tx−Tg(ただし、Txは結晶化
    開始温度、Tgはガラス遷移温度を示す。)の式で表さ
    れる過冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以上のFe基
    金属ガラス合金を主体としてなり、外部磁界によってイ
    ンピーダンスの変化を生じる磁気インピーダンス効果素
    子薄膜を外部磁界検出用として備えるとともに、前記F
    e基金属ガラス合金が、Fe、Co、Niのうちの1種
    又は2種以上の元素を主成分とし、Zr、Nb、Ta、
    Hf、Mo、Ti、Vのうちの1種又は2種以上の元素
    とBを含むことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 磁気媒体に媒体対向面を向けて相対移動
    するスライダに書込ヘッドと読出ヘッドが設けられ、前
    記書込ヘッドが薄膜状の上部コアと下部コアとそれらの
    間に介在された磁気ギャップとコイル導体とを具備する
    磁気誘導型構造とされ、前記読出ヘッドが磁気インピー
    ダンス効果素子薄膜とこのインピーダンス効果素子薄膜
    に接続された電極膜を具備して構成されたことを特徴と
    する請求項1記載の薄膜磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記磁気インピーダンス効果素子薄膜に
    バイアス印加手段が付設されてなることを特徴とする請
    求項1または2に記載の薄膜磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 前記バイアス印加手段が、前記磁気イン
    ピーダンス効果素子薄膜に接続された永久磁石からなる
    ことを特徴とする請求項3記載の薄膜磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記バイアス印加手段が前記磁気インピ
    ーダンス効果素子薄膜に積層された強磁性体薄膜とこの
    強磁性体薄膜に積層された反強磁性体薄膜とを具備して
    構成され、前記バイアスが前記反強磁性体薄膜により前
    記強磁性体薄膜に誘起させた交換結合磁界により印加さ
    れてなることを特徴とする請求項3記載の薄膜磁気ヘッ
    ド。
  6. 【請求項6】 前記温度間隔ΔTxが60K以上であ
    り、前記Fe基金属ガラス合金が下記の組成式で表され
    ることを特徴とする請求項6記載の薄膜磁気ヘッド。 (Fe1-a-bCoaNib100-x-yxy 但し、0≦a≦0.29、0≦b≦0.43、5原子%≦
    x≦20原子%、10原子%≦y≦22原子%であり、M
    はZr、Nb、Ta、Hf、Mo、Ti、Vのうちの1
    種又は2種以上からなる元素である。
  7. 【請求項7】 前記温度間隔ΔTxが60K以上であ
    り、前記Fe基金属ガラス合金が下記の組成式で表され
    ることを特徴とする請求項6記載の薄膜磁気ヘッド。 (Fe1-a-bCoaNib100-x-y-zxyz 但し、0≦a≦0.29、0≦b≦0.43、5原子%≦
    x≦20原子%、10原子%≦y≦22原子%、0原子%
    ≦z≦5原子%であり、Mは、Zr、Nb、Ta、H
    f、Mo、Ti、Vのうちの1種又は2種以上からなる
    元素、TはCr、W、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、
    Pt、Al、Si、Ge、C、Pのうちの1種又は2種
    以上の元素である。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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