JPH1171585A - パラフィンまたはパラフィン留分を得る方法および装置 - Google Patents

パラフィンまたはパラフィン留分を得る方法および装置

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JPH1171585A
JPH1171585A JP10201548A JP20154898A JPH1171585A JP H1171585 A JPH1171585 A JP H1171585A JP 10201548 A JP10201548 A JP 10201548A JP 20154898 A JP20154898 A JP 20154898A JP H1171585 A JPH1171585 A JP H1171585A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 鉱油をベースとする粗パラフィンおよび合成
の粗パラフィンからパラフィンを分別結晶化する方法を
提供する。 【解決手段】 オイル含有量の高い粗パラフィンを、熱
交換器表面39間の空間中をジグザグ形に延びる穿孔金
属シートを備えたクリスタライザ中で結晶化する。パラ
フィンを含有する溶融物を、排出すべき留分およびオイ
ルが液状のままであり、溶融物全体が凝固することなく
流出する程度にのみ凝固させる。穿孔シートは結晶の層
を支持し、発汗中にパラフィンが帯片として熱交換器表
面39から離れ、傾斜した穿孔シート上に載るように適
合される。穿孔シートの傾斜によりパラフィン帯片53
は案内されて移動し、自重によって傾斜表面30に沿っ
て熱交換器表面39に向かって押されていく間、熱交換
器表面39と接触したままとなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パラフィンを含有
する溶融物、より詳細には粗パラフィン又は様々なパラ
フィン留分を含有する混合物からパラフィンまたはパラ
フィン留分を得る方法に関し、熱交換器を備えた容器内
で得るべきパラフィン留分の融点より低い温度まで溶融
物を冷却し、液状の低融点留分およびオイルを冷却によ
って凝固したより高融点のパラフィン留分から分離し、
排出する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】パラフィンは室温で固体の炭化水素であ
り、飽和の直鎖、分岐および/または環式の炭化水素か
らなる。鉱油をベースとするパラフィンは約20〜50
個の炭素原子を含むが、他の特に合成のパラフィンは最
高100個までの炭素原子を含む。たとえば鉱油の様々
な鉱床からなどその出所によって、炭素原子の数と分岐
の程度は広い範囲で変化する。パラフィンは、その凝固
点に応じて、凝固点(Ep)が約30〜48℃の低融点
軟質パラフィンと、凝固点が約50〜65℃のより高融
点の軟質パラフィンに大まかに分類される。蒸留残渣ま
たはパラフィン・ベースの原油の重質蒸留物からの微結
晶性パラフィン(マイクロワックス)もパラフィンに含
まれる。
【0003】パラフィンのグレード値はその融点に比例
する。パラフィンはその純度と凝固点に応じて様々な用
途があり、特にロウソク、紙、ゴム、包装、織物、食品
工業に使用される。また保守・研削材、化粧品・薬品、
潜熱蓄積材料の製造にも使用される。
【0004】パラフィンの製造は粗パラフィンから出発
するが、これは原油精製の際の潤滑油生産の副産物とし
て得られ、液体成分を様々な割合で含む。プラスチック
の熱分解によって得られる固体パラフィン留分がもう1
つの供給源である。オイル・コンテントは、室温で液状
であるパラフィンまたは粗パラフィンのすべての成分に
対する名前である。最終パラフィンは、必要とされる品
質に応じて、通常は最大オイル含有量が0.5〜1.5
重量%でなければならない。オイルを0.5重量%以下
しか含まない完成製品の場合、凝固点と浸透値が追加の
品質フィーチャである。
【0005】工業的規模では、精油所で行われているパ
ラフィンを含む留分から高品質のパラフィンを脱油する
既知の方法には、異なる基本的種類が2つある。発汗脱
油法は以前の方法であり、溶剤脱油法は後からのより効
率的な方法である。
【0006】1959年にF.Asingerは「Ch
emie und Technologie der
Paraffinkohlenwasserstoff
e」、第1版、Berlin、p.46に発汗脱油につ
いて次のように評している。
【0007】「発汗法は実際に制御が難しく、将来は多
分溶剤脱油法に取って代わられるであろう。」
【0008】発汗脱油法は実際に重大な欠点のために時
代遅れとなり、溶剤法が現在は主に使用されている。
「Ullmanns Enzyklopaedie d
ertechnischen Chemie」、第24
巻、p.26によれば、米国において現存プラントの9
0%異常が溶剤脱油の原理に従って稼動している。この
間に建設された新しい発汗脱油プラントはない。
【0009】溶剤脱油法は、溶剤脱油または選択的脱油
とも呼ばれ、パラフィンを含有するすべての溶融物から
パラフィンが得られ、留分に分割される連続工程であ
る。
【0010】パラフィンとオイル成分を分離するために
溶剤が使用され、パラフィンの収率が発汗脱油法よりも
高い。溶剤脱油法は、異なるグレードの粗パラフィンを
使用する際にフレキシビリティが高いことが特徴であ
る。異なる種類の粗パラフィンを処理する際に溶剤の組
成および粗パラフィンと溶剤の比を変えることができる
からである。以下の溶媒脱油法が使用される。
【0011】1.マッシュ法。パラフィン除去の直後に
粗パラフィンと溶剤の混合物を追加の溶剤でマッシュ
し、次いで濾過する。
【0012】2.沈澱法または結晶化法。液状の粗パラ
フィンを溶剤に溶かし、その後に冷却によって固体パラ
フィンを沈澱させる。
【0013】3.スプレイ法。溶融した粗パラフィンを
冷気自流中で粉末としてスプレイし、次いで溶剤と混合
する。
【0014】すべての溶剤法に伴う難点は、大量に使用
され(粗パラフィン1部当たり溶剤3〜10部)、腐食
性があり、可燃性が高い溶媒が、環境および健康に危険
を及ぼす性質をもつことである。また、溶剤を回収し、
また冷却によって工程を促進するのにかなりのエネルギ
ーが必要である。こうした問題点やコスト要因にかかわ
らず、溶剤脱油法は、より多くのパラフィンをもたら
し、プラントの能力を増大させるので、また微結晶性パ
ラフィンの含有量が高いパラフィン含有溶融物も脱油で
きるので、現在発汗脱油法を駆逐している。
【0015】発汗脱油法はこれまで実質上溶剤を含まな
いパラフィン脱油のための工業規模で使用される唯一の
工程であった。この発汗脱油法の特徴は生態学的理由か
ら非常に好ましいものであり、プラント、保守コストお
よび運転コストにプラスの効果がある。この工程は、水
平熱交換器スパイラルまたは熱交換器チューブと水平の
穿孔トレイの垂直バンクを備えたチャンバ内で実施され
る。まず予め設定した量の水を出口を塞がないようにチ
ャンバまたは容器内に注入し、その後溶融した粗パラフ
ィンをチャンバ内に注入する。粗パラフィンは水の上に
浮かぶ。次いで粗パラフィンを冷却した固体塊を形成
し、その後水を固体塊の下から出すことができる。固体
塊は熱交換器ラインおよび/またはスクリーン様中間ト
レイ上に留まる。次いでこの塊をゆっくりと加熱する
と、オイルが、またより高温度では低融点の軟質パラフ
ィンもパラフィン・ブロックから滲み出す。流出する液
相をランオフ・オイルと呼ぶ。これは、溶液中の平衡の
ために、得ようとする物質であるより高融点のパラフィ
ン成分を高比率で含むことができる。
【0016】「Ullmanns Enzyklopa
edie der technischen Chem
ie」、第24巻、p.26には、発汗脱油法の欠点を
次のように述べている。
【0017】「この従来の脱油プロセスは、選択性が低
く(硬質パラフィンの収率が低く)、加熱に時間がかか
り、運転が非連続式で、重いマシン油蒸留物からのオイ
ルとの結合力が強い粗パラフィンには適用できないの
で、そのための新規プラントは建設されていない。ラン
オフ・オイルの部分的再循環により既存のプラントから
の硬質パラフィンの収率を上げる試みがなされてい
る。」
【0018】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、溶剤を供給せずに、粗パラフィンから高グレー
ドのパラフィンを高い収率で得ることができる経済的な
方法を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】この目的のために、本発
明によれば、最初のまだ液体の溶融物の冷却中に、熱交
換器表面の温度を、排出される低融点留分およびオイル
の実質的部分の融点よりも高い値に選び、より高融点の
留分の固体析出物が熱交換器表面上に形成された後、残
りの液体低融留分およびオイルを容器から排出する。
【0020】溶剤が存在しないので、溶剤脱油に勝る発
汗脱油法の以下の利点が、本発明による方法でも実現さ
れる。 − 環境や健康を危険にさらさない。 − プラントを腐食しない。 − 運転・保守コストがずっと安くなる。
【0021】液状溶融物を冷却し、したがって、すべて
オイルを含んでいるより高融点の留分からより低融点の
留分へと降順に諸留分を凝固させる温度を、排出される
低融点留分およびオイルの実質的部分よりも高く選ぶの
で、実質上溶融物から得られる留分だけが凝固する。低
融点留分およびオイルは液体のままである。したがっ
て、まずすべての留分およびオイルを凝固させ、その後
得られたブロックを発汗温度まで再加熱しなければなら
ない発汗脱油よりも、冷却段階およびその後の発汗段階
で少しのエネルギーしか要しない。
【0022】有利なことに、凝固する留分は、実質上垂
直なまたは傾斜した熱交換器表面上に層となって溶融物
から析出する。これによって、液体留分およびオイル
は、熱交換器表面または固体析出物が目立つほど妨げと
ならずに重力によって流出することができる。
【0023】有利なことに、層は実質上平面状の熱交換
器表面に析出する。熱交換器表面は、その間に注がれた
溶融物が熱交換器表面から短い最大距離の所にあり、容
器が完全に前記最大距離を有するゾーンから構成され、
熱交換器表面と溶融物体積の有利な比が得られるよう
に、横に並べて配置することができる。さらに、熱交換
器表面間の平面状ゾーンに簡単な手法によって分割する
ことができる。
【0024】有利なことに、凝固した留分を冷却するこ
とによって低融点留分およびオイルが固体析出物から追
い出されるとき、残った固体析出物が自重によって熱交
換器表面上に追いやられる。その結果、固体析出物が熱
交換器表面と熱的に接触し、固体析出物の温度がより正
確に制御できる。有利なことに、残った固体析出物は加
熱工程中に別々の帯片に分割され、したがって固体析出
物の表面が増大し、固体析出物は増大した面積で発汗す
ることができる。
【0025】有利なことに、実際に示されたように、残
った固体析出物は少なくともその一部分が熱交換器表面
から、熱交換器表面に対して傾斜した案内要素上に剥離
する。これによって固体析出物の表面積が増大し、固体
析出物は案内表面上を滑ることによって熱交換器表面に
移る。有利なことに、加熱によって層は熱交換器表面か
ら離れる。
【0026】有利なことに、固体析出物の加熱によって
追い出される成分は部分的に案内要素中の特別な通路を
通って下方に排出される。この目的のために、案内要素
は穿孔を有し、あるいはそれを通って液体留分および/
またはオイルが滴下できるダクトを有する。有利なこと
に、層は案内要素によって帯片に分割される。
【0027】溶融物のオイル含有量が少ない場合、層
は、加熱されたときに、その熱交換器表面への付着力が
それらの層を保持するのに十分な強さとなるような厚さ
に析出される。これが可能な場合、案内要素なしの分別
結晶化の方が案内要素を用いる場合よりも効率がよくな
る。したがって、有利なことに、熱交換器表面間に透過
性構造を用いる以前に述べたプロセスにより、非常にオ
イル性の溶融物がまず脱油され、その後こうして少なく
とも部分的に脱油された留分および混合物が、層の厚さ
に析出して熱交換器表面に付着する。また有利なこと
に、排出された低融点留分およびオイルは請求項1ない
し9のいずれか一項に記載の工程に戻される。これらの
ステップの結果、収率が高くなり、より高純度の生成物
が得られる。最後に述べた結果は固体析出物の分別溶融
によっても達成される。
【0028】有利なことに、溶融物は熱交換器を装備し
た空の容器に注がれる。これによってパラフィン製造の
所定量の水の注入と同量の排出という2つの性能が不要
になる。またパラフィンと水が接触により互いに汚染し
合うこともない。
【0029】本発明はまた、パラフィンを含有する溶融
物からパラフィンまたはパラフィン留分を得るための装
置であって、熱交換器を備えた容器を含み、熱交換器
が、熱交換器表面上の溶融物を冷却することによって固
体析出物として形成されるより高融点のパラフィン留分
を、加熱によって固体析出物から剥ぎ取ることのできる
低融点留分およびオイルから分離するための、実質上垂
直に整列した熱交換器表面を有する装置にも関する。
【0030】本発明によるカタライザまたは装置におい
て、液体成分が透過できる構造が熱交換器表面間に配設
され、加熱中に固体析出物が滑り落ちるのを防止し、し
たがって均質な滑りやすい固体析出物が発汗できる。熱
交換器表面が実質上平面状であって、その結果生じる熱
交換器表面間のゾーンが透過性構造によって容易に分離
できることが好ましい。パラフィン層は傾斜し、あるい
は好ましくは垂直なので、発汗した留分およびオイルは
層の表面上に、すなわちパラフィン層と熱交換器表面と
の界面およびパラフィン層の各対の間に流れ出す隙間と
機会を有する。水平層は形成され得ないので、オイル・
プールは残らない。このためステージ時間が短縮する。
透過性構造は、スクリーン、ブラシ、格子または空間格
子の形をとることができる。この透過性構造は、流れ出
たオイルまたは粗パラフィンの液体成分は透過させる
が、固体パラフィンは保持する。これは、15重量%を
超えるオイルを含む粗パラフィンも静的プレート・クリ
スタライザで分別結晶化させることができる。
【0031】有利なことに、これらの構造は、加熱中に
固体析出物がその自重によって自動的に熱交換器表面に
向けて運ばれるような角度に傾斜した案内要素を有す
る。この運搬により、固体析出物は熱交換器表面と熱接
触したままとなる。有利なことに、この透過性構造は熱
交換器表面と熱接触しており、したがって特に溶融段階
において、熱交換器表面から、この表面から離れて透過
性構造上にある固体析出物への熱伝達が最適となる。
【0032】有利なことに、案内要素は、熱交換器表面
の間の空間を水平に分割する傾斜した表面であり、好ま
しくは、重畳した傾斜表面が反対方向に傾いている。こ
のような表面は作成および設置が非常に容易であり、固
体析出物の層を熱交換器に沿って水平な帯片に分割する
ので発汗面積が増大し、エンボス、穿孔、パンチなど様
々な方法で様々な材料から作成することができる。これ
らの表面は運搬特性をもつ案内要素として働く。傾斜が
反対方向であるため、熱交換器表面に向かって両側で固
体析出物の案内が均一になる。
【0033】有利なことに、透過性構造は、結晶化表面
対の間に設置できるユニットとして組み立てられる。し
たがって、製造および設置が容易である。好ましくは、
スクリーン様構造は何回かジグザグに曲がった金属要素
の形である。金属は必要な熱伝導性を有し、有利なこと
に加工が容易である。ジグザグ形は、要素を曲げること
によって容易に作成でき、前述のような好ましい諸特性
を有する。金属要素は曲げて穿孔したシートでもよく、
また棒状格子やネットワークなどでもよい。様々な穿孔
のあいた様々な穿孔金属板が市販されている。有利なこ
とに、穿孔をインターロックするパターンにすると、折
りたたみ線のあらゆる可能な位置で折りたたみ線が透過
性構造中の開口を通って延びる。
【0034】また、液体留分およびオイルが透過できる
構造が熱交換器表面自体によって形成される場合も有利
である。こうすると、熱交換媒体と透過性構造との、し
たがって溶融物または固体析出物との間の熱伝達が、熱
交換器表面と透過性構造が2つの独立した部分である場
合よりもよくなる。
【0035】有利なことに、熱交換器は、容器内の溶融
物が至る所で最も近い熱交換器表面から短い距離の所に
あるように寸法設定された空間ゾーンに容器を分割す
る。これにより、容器内のすべての空間が熱交換器表面
の狭い影響範囲内になるので、所定の水の添加が不要に
なる。また、熱交換器の表面積と溶融物の体積の比率
が、正確で迅速な冷却および加熱にとって有利になる。
【0036】この種のプラントにおける必要なバッチ時
間またはステージ時間は従来の30〜40時間から著し
く短縮することができる。このため、 − プラントの効率が高くなる。 − 選択性が著しく向上する。 − 高品質パラフィンの収率が増大する。
【0037】本発明による方法はまた、発汗法に比べて
次のような利点を有する。 − オイル含有量が比較的高い粗パラフィンが処理でき
る。 − その結果、パラフィン成分の部分的回収によってラ
ンオフ・オイルがより有利に処理できる。したがって、 − 総収率が著しく高くなる。
【0038】また、溶剤脱油法に比べて、必要な品質を
有するパラフィンの収率がかなり増大する。
【0039】有利なことに、本発明による方法は、鉱油
粗パラフィンからあるいは合成起源のパラフィン含有溶
融物(フィッシャー・トロプシュ合成)からあるいはプ
ラスチックの熱分解によって得られる溶融物(再循環パ
ラフィン)からパラフィンおよびパラフィン留分を得て
精製するのに使用される。この方法は対応する混合物に
も有利に適用される。
【0040】例として、様々な粗パラフィンを比較のた
め3つの表に示す。従来の溶剤法の結果を、本発明によ
る方法(最終欄)および既知の発汗法によるパラフィン
脱油の結果と比較する。比較する値は、DIV−ISO
2207による凝固点(単位℃)、DIN−ISO29
08によるオイル含有量(重量%)、DIN51579
による25℃、0.1mmでの針貫入値、および収率で
ある。
【表1】
【表2】
【表3】
【0041】この3つの例の目立った特徴は、本発明に
よる結晶化の収率が2つの比較プロセスよりも著しく高
いことである。本発明による結晶化プロセスの最終生成
物の凝固点の値は溶剤プロセスの例と同程度であり(例
ではより優れた値であることを銘記されたい)、オイル
含有量はすべての例で方法による差がないか、針貫入度
は粗パラフィンのグレードと使用した方法に応じて異な
る。本発明による方法で精製したパラフィンは、必要と
されるより低い値を有することはない。例2では、針貫
入度は溶剤プロセスの場合と同様に必要とされる限界よ
り低く、したがって必要とされるよりよい。総括する
と、本発明による方法では、既知の方法と比べて最終生
成物の品質は少なくとも同等であり、収率は著しく高く
なる。その上、この方法は発汗脱油法の主な欠点(バッ
チ時間が長い、選択性が低い、オイル含有量が比較的低
い粗パラフィンのみに処理が限定される、ランオフ・オ
イルの使用効率が悪い)、あるいは溶剤脱油法の主な欠
点(環境および健康に危険、プラントの腐食のため保守
費用が高い、溶媒回収および冷却により運転費用がかさ
む、ランオフ・オイルの使用効率が悪い)をもたない。
【0042】
【発明の実施の形態】次に図面を参照して、本発明の例
示的実施形態について説明する。
【0043】話を簡潔にするため、異なるクリスタライ
ザの対応する部分を以下では、それらの部分の実施形態
が異なる場合でも同じ参照記号で示すことにする。
【0044】図1に示すように、静的結晶化用のクリス
タライザ11は、溶融物または粗パラフィンを保持する
ための容器13と、容器13内に間隔をおいて配置さ
れ、粗パラフィンが取り囲むことのできる、いくつかの
冷却可能・加熱可能な熱交換器壁15とを備える。熱交
換器壁15は、内部ダクト17を有し、伝熱媒体がその
中を流れることができ、また分配ブロック19に接続さ
れている。一定の厚さをもつ層の形のゾーン18が熱交
換器15によって熱交換器の表面間に形成されている。
【0045】溶融物または粗パラフィンが入口21から
容器13内に供給され、そこで冷却された熱交換器壁1
5上に層をなして留分として結晶する。得るべき留分の
凝固後に残る液相は出口25から排出され、その後、熱
交換器が加熱されて、結晶中の各留分および望ましくな
い物質の残渣が発汗して排出され、その後、精製された
結晶が最終的に別々に接触されて収集される。
【0046】本発明によるクリスタライザの一実施形態
27を図2および図5に簡略化した形で示す。透過性構
造29が容器13内部の熱交換器壁15の間に配設され
ている。これらの構造は穿孔金属シート31からできて
いる(図3および図4)。シート31の穿孔33により
構造29は液相が透過できる。穿孔シート31はジグザ
グ形に折りたたまれ、隣接する縁部37が反対側の熱交
換器表面39に触れるようになっている。縁部37は実
質上水平である(図5)。穿孔プレートの縁部37に1
列の穿孔35が配設され、三角形ゾーン41の最下部領
域でも液相が流出できる。
【0047】パラフィン含有溶融物をクリスタライザ2
7で脱油する場合、図6ないし図9に示すように冷却さ
れた熱交換器表面39上にパラフィン層43が形成され
る。場合によっては、出発物質あるいは溶融物純度およ
び排出されるべくその上に沈澱する液体成分の量に応じ
て、2つのパラフィン層43の間の空間が開いたままに
なり、そこを通ってオイル含有量の高い液体留分が排出
できる。2つの層43が合体して1つの層44になり、
層間に液体留分およびオイルの封入物46が形成される
こともある(図8および図9)。その後、残った液体成
分はできるだけ速やかに排出される。発汗段階では、最
初にオイルの多い低融点留分がパラフィン層43の表面
47、49、57から発汗される。パラフィン層43、
44が加熱によって軟化するとすぐ、熱交換器表面39
へのその付着力が低下する。固体析出物43の付着表面
49が加熱によって溶融したとき、またはその前に、固
体析出物またはパラフィン層43の一部分53が熱交換
器表面39から離れる。これらの部分53は鋭角で熱交
換器表面39と衝合する穿孔プレート31内に保持され
たままとなる。熱交換器表面39および穿孔シート31
から離れた結果、パラフィン層43の発汗表面積が増大
する。液相55は表面47および49上を流れることが
できる。また、液相55の排除はパラフィン断片53の
重畳によって支援される。液相55はパラフィン断片5
3の間を滴下する。液相55は一部は熱交換器表面39
に沿って流れる。熱交換器表面上のパラフィン断片53
の表面49は熱の供給によって溶融することができ、し
たがって、液相55はその後、熱交換器表面39とパラ
フィン層43の間で自由にダクトに入りまたは溶融し、
熱交換器表面39に触れる穿孔プレート31の縁部37
にある開口35を通って流れ出る。パラフィン断片53
にぶつかった液体留分およびオイル55は、固体析出物
またはパラフィン断片53の傾斜表面57上を流れ、穿
孔シート31の穴33を通ってすぐ上の三角形ゾーン4
1中に滴下する。発汗段階の最後に固体析出物53は留
分となって溶融する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 静的結晶化用の従来技術のクリスタライザの
部分断面透視図である。
【図2】 本発明実施形態による装備を有するクリスタ
ライザの縦断面図である。
【図3】 内部フィッティングと結晶化壁の接触点の詳
細図である。
【図4】 図3に示した場所の上面図である。
【図5】 図3の地面に対して90°回転した、本発明
によるクリスタライザの縦断面図である。
【図6】 結晶化工程終了時のパラフィン層の可能な構
造を示す図である。
【図7】 発汗中の図6のパラフィン層を示す図であ
る。
【図8】 結晶化工程終了時のパラフィン層の他の可能
な構造を示す図である。
【図9】 発汗中の図8のパラフィン層を示す図であ
る。
【符号の説明】
30 傾斜表面 31 穿孔シート 39 熱交換器表面 41 三角形ゾーン 43 パラフィン層 47、49、57 表面 53 固体析出物 55 液相
フロントページの続き (72)発明者 ギュンター・ヒルデブラント ドイツ連邦共和国・ディ−06729・レーム スドルフ・エル ブライトシャイトシュト ラーセ・12 (72)発明者 フェルディナンド・リヒター ドイツ連邦共和国・ハンブルク・デュステ ルトヴィーテ・56 (72)発明者 マンフレッド・シュテパンスキー スイス国・シイエイチ−9470・ブッフス・ エルレングルント・5 (72)発明者 フロリアン・リップナー スイス国・シイエイチ−9472・グラブス・ シュタインベルクシュトラーセ・(番地な し) (72)発明者 ヘルベルト・エングストラー オーストリア国・フラスタンツ・イルヴェ ーク・(番地なし) (72)発明者 ベルンハルト・ジェイ・ヤンズ スイス国・シイエイチ−9470・ブッフス・ オーリシュトラーセ・25

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱交換器を装備した容器中で溶融物を、
    得るべきパラフィン留分の融点より低い温度まで冷却
    し、液状の低融点留分およびオイルを、冷却によって凝
    固したより高融点のパラフィン留分から分離し、排出す
    ることによって、パラフィンを含有する溶融物、より具
    体的には粗パラフィンまたは様々なパラフィン留分を含
    有する混合物からパラフィンまたはパラフィン留分を得
    る方法であって、最初にまだ液状の溶融物の冷却中に、
    熱交換器表面(39)の温度を、排出すべき低融点留分
    およびオイルの実質的部分の融点よりも高い値に選び、
    熱交換器表面(39)上に形成されたより高融点の留分
    の固体析出物(43、53)が形成された後に、残りの
    液状低融点留分およびオイルを容器(13)から排出す
    ることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 凝固留分が溶融物から実質上垂直なまた
    は傾斜した熱交換器表面(39)上に層(43)をなし
    て析出することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 層(43)が実質上平面状の熱交換器表
    面(39)上に析出することを特徴とする請求項2に記
    載の方法。
  4. 【請求項4】 冷却によって凝固した留分を加熱するこ
    とによって低融点留分およびオイルが固体析出物から剥
    ぎ取られる請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方
    法であって、残りの固体析出物(43、53)が加熱さ
    れると、その自重によって熱交換器表面(39)に向か
    って押しやられることを特徴とする方法。
  5. 【請求項5】 冷却によって凝固した留分を加熱するこ
    とによって低融点留分およびオイルが固体析出物から剥
    ぎ取られる請求項1ないし4のいずれか一項に記載の方
    法であって、加熱中に残りの固体析出物(43、53)
    が別々の帯片(53)に分割されることを特徴とする方
    法。
  6. 【請求項6】 残りの固体析出物(43、53)が、少
    なくとも部分的に熱交換器表面(39)から熱交換器表
    面(39)に対して傾斜した案内要素(30)上に引き
    離されることを特徴とする請求項4または5に記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 層(13)が熱交換器表面(39)の加
    熱によって熱交換器表面(39)から離れ、案内要素
    (30)によって別々の帯片(53)に分離されること
    を特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 固体析出物(43、53)の加熱によっ
    て剥がされた成分(55)が部分的に案内要素(30)
    の特殊通路(33、35)を通って下方に排出されるこ
    とを特徴とする請求項6または7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 層(43)が案内要素(30)によって
    帯片(53)に分割されることを特徴とする請求項4な
    いし8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 冷却によって凝固した留分を加熱する
    ことによって低融点留分およびオイルが固形析出物から
    剥ぎ取られる請求項1ないし3のいずれか一項に記載の
    方法であって、層(43)が、熱交換器表面(39)へ
    のその接着が加熱中にそれを保持するのに十分な強さと
    なるような厚さに析出されることを特徴とする方法。
  11. 【請求項11】 溶融物がまず請求項1ないし9のいず
    れか一項に記載の工程によって脱油され、次いで得られ
    た留分が請求項10に記載の工程でさらに精製または分
    別されることを特徴とする請求項1ないし10のいずれ
    か一項に記載の方法。
  12. 【請求項12】 排出された低融点留分(55)および
    /またはオイルが請求項1ないし10のいずれか一項に
    記載の工程に戻されることを特徴とする請求項1ないし
    10のいずれか一項に記載の方法。
  13. 【請求項13】 固形析出物(43、53)が分別溶融
    されることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか
    一項に記載の方法。
  14. 【請求項14】 溶融物が空の容器(13)に注がれる
    ことを特徴とする請求項1ないし13のいずれか一項に
    記載の方法。
  15. 【請求項15】 熱交換器を備えた容器を備える、パラ
    フィンを含有する溶融物からパラフィンまたはパラフィ
    ン留分を得るための装置であって、熱交換器が、熱交換
    器表面上の溶融物を冷却することによって固体析出物と
    して形成されるより高融点のパラフィン留分を、加熱に
    よって固体析出物から剥がすことのできる低融点留分お
    よびオイルから分離するための、実質上垂直に整列され
    た熱交換器表面を有し、液体成分(55)が透過できる
    構造(29)が熱交換器表面(39)間に配設され、固
    体析出物(43、53)が加熱されたとき滑り落ちるの
    を防止することを特徴とする装置。
  16. 【請求項16】 熱交換器表面(39)が実質上平面状
    であることを特徴とする請求項15に記載の装置。
  17. 【請求項17】 透過性構造(29)が、熱交換器表面
    (39)に対して傾斜した案内要素(39)を備えるこ
    とを特徴とする請求項15または16に記載の装置。
  18. 【請求項18】 案内要素(30)の傾斜が、加熱中に
    固体析出物(43、53)がその自重によって自動的に
    熱交換器表面(39)に移るように選ばれることを特徴
    とする請求項17に記載の装置。
  19. 【請求項19】 案内要素(30)が、熱交換器表面
    (39)間の空間をほぼ水平に分割する傾斜表面(3
    0)であることを特徴とする請求項15ないし18のい
    ずれか一項に記載の装置。
  20. 【請求項20】 重畳する傾斜表面(30)が反対方向
    に傾斜することを特徴とする請求項19に記載の装置。
  21. 【請求項21】 熱交換器(15)が容器(13)を、
    容器(15)中の溶融物が常に最も近い熱交換器表面
    (39)から短い距離の所にあるような寸法に設置され
    た空間ゾーン(18)に分割することを特徴とする請求
    項15ないし20のいずれか一項に記載の装置。
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