JPH1170612A - 黒鉛−高分子複合体とその製造方法 - Google Patents
黒鉛−高分子複合体とその製造方法Info
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- JPH1170612A JPH1170612A JP9249520A JP24952097A JPH1170612A JP H1170612 A JPH1170612 A JP H1170612A JP 9249520 A JP9249520 A JP 9249520A JP 24952097 A JP24952097 A JP 24952097A JP H1170612 A JPH1170612 A JP H1170612A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】高分子含有率の高い黒鉛−高分子複合体を製造
し得る新たな技術を提供することを主な目的とする。 【解決手段】1.アルカリ金属−黒鉛層間化合物の黒鉛
層間にポリマーを保持する黒鉛−高分子複合体。 2.アルカリ金属−黒鉛層間化合物の黒鉛層間に不飽和
炭化水素を導入し、アルカリ金属を触媒として不飽和炭
化水素の重合を行うことを特徴とする黒鉛−高分子複合
体の製造方法。 3.アルカリ金属−黒鉛層間化合物の黒鉛層間に不飽和
炭化水素を導入し、アルカリ金属を触媒として不飽和炭
化水素の重合を行った後、得られた黒鉛−高分子複合体
を熱処理することを特徴とする黒鉛材料の製造方法。
し得る新たな技術を提供することを主な目的とする。 【解決手段】1.アルカリ金属−黒鉛層間化合物の黒鉛
層間にポリマーを保持する黒鉛−高分子複合体。 2.アルカリ金属−黒鉛層間化合物の黒鉛層間に不飽和
炭化水素を導入し、アルカリ金属を触媒として不飽和炭
化水素の重合を行うことを特徴とする黒鉛−高分子複合
体の製造方法。 3.アルカリ金属−黒鉛層間化合物の黒鉛層間に不飽和
炭化水素を導入し、アルカリ金属を触媒として不飽和炭
化水素の重合を行った後、得られた黒鉛−高分子複合体
を熱処理することを特徴とする黒鉛材料の製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な無機−有機
複合体とその製造方法に関する。
複合体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】黒鉛にアルカリ金属を反応させて得られ
る黒鉛層間化合物(Graphite Intercalation Compound;
以下「GIC」とする)にベンゼン、エチレンなどの特定の
炭化水素を接触させると、これらの炭化水素が黒鉛層間
にインターカレートされ、三元系GICが形成されること
が知られている。例えば、ベンゼンをインターカレート
させ、そのまま放置しておくか或いは加熱すると、オリ
ゴマーが形成され、黒鉛−オリゴマー複合体が得られ
る。また、少量のエチレンがインターカレートされたGI
Cにおいても、インターカレート量に応じた少量のポリ
マーが黒鉛層間に形成されることも、報告されている
(「新・炭素材料入門」、(株)リアライズ社(1996)、
pp157〜162)。
る黒鉛層間化合物(Graphite Intercalation Compound;
以下「GIC」とする)にベンゼン、エチレンなどの特定の
炭化水素を接触させると、これらの炭化水素が黒鉛層間
にインターカレートされ、三元系GICが形成されること
が知られている。例えば、ベンゼンをインターカレート
させ、そのまま放置しておくか或いは加熱すると、オリ
ゴマーが形成され、黒鉛−オリゴマー複合体が得られ
る。また、少量のエチレンがインターカレートされたGI
Cにおいても、インターカレート量に応じた少量のポリ
マーが黒鉛層間に形成されることも、報告されている
(「新・炭素材料入門」、(株)リアライズ社(1996)、
pp157〜162)。
【0003】しかしながら、GICに大量の不飽和炭化水
素を導入し、重合を行わせることにより、高分子含有率
の高い黒鉛−高分子複合体を製造する技術は、知られて
いない。
素を導入し、重合を行わせることにより、高分子含有率
の高い黒鉛−高分子複合体を製造する技術は、知られて
いない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、高
分子含有率の高い黒鉛−高分子複合体を製造し得る新た
な技術を提供することを主な目的とする。
分子含有率の高い黒鉛−高分子複合体を製造し得る新た
な技術を提供することを主な目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の目的
を達成するために、研究を進めた結果、GICの黒鉛層間
に易重合性の不飽和炭化水素を導入した後、これを重合
させることにより、高分子含有率の高い、新規な特性を
有する黒鉛−高分子複合体を製造することに成功した。
を達成するために、研究を進めた結果、GICの黒鉛層間
に易重合性の不飽和炭化水素を導入した後、これを重合
させることにより、高分子含有率の高い、新規な特性を
有する黒鉛−高分子複合体を製造することに成功した。
【0006】すなわち、本発明は、下記の黒鉛−高分子
複合体およびその製造方法を提供するものである: 1.アルカリ金属−黒鉛層間化合物の黒鉛層間にポリマ
ーを保持する黒鉛−高分子複合体。
複合体およびその製造方法を提供するものである: 1.アルカリ金属−黒鉛層間化合物の黒鉛層間にポリマ
ーを保持する黒鉛−高分子複合体。
【0007】2.アルカリ金属−黒鉛層間化合物の黒鉛
層間に不飽和炭化水素を導入し、アルカリ金属を触媒と
して不飽和炭化水素の重合を行うことを特徴とする黒鉛
−高分子複合体の製造方法。
層間に不飽和炭化水素を導入し、アルカリ金属を触媒と
して不飽和炭化水素の重合を行うことを特徴とする黒鉛
−高分子複合体の製造方法。
【0008】3.アルカリ金属−黒鉛層間化合物の黒鉛
層間に不飽和炭化水素を導入し、アルカリ金属を触媒と
して不飽和炭化水素の重合を行った後、得られた黒鉛−
高分子複合体を熱処理することを特徴とする黒鉛材料の
製造方法。
層間に不飽和炭化水素を導入し、アルカリ金属を触媒と
して不飽和炭化水素の重合を行った後、得られた黒鉛−
高分子複合体を熱処理することを特徴とする黒鉛材料の
製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で製造原料として使用する
GICは、黒鉛にアルカリ金属を反応させることにより得
られる公知の材料である。GICは、黒鉛層間にインター
カレートされた化学種に応じて、例えば化学種がカリウ
ムである場合には、カリウム-GIC(或いはK-GIC)の様
に呼ばれる。また、インターカレートされた化学種とそ
の存在量に応じて、例えば、KC8、KC24、KC36などと呼
ばれる。
GICは、黒鉛にアルカリ金属を反応させることにより得
られる公知の材料である。GICは、黒鉛層間にインター
カレートされた化学種に応じて、例えば化学種がカリウ
ムである場合には、カリウム-GIC(或いはK-GIC)の様
に呼ばれる。また、インターカレートされた化学種とそ
の存在量に応じて、例えば、KC8、KC24、KC36などと呼
ばれる。
【0010】本発明方法においては、減圧下で不飽和炭
化水素をGICに接触させて、後者の黒鉛層間に易重合性
の不飽和炭化水素を導入する。
化水素をGICに接触させて、後者の黒鉛層間に易重合性
の不飽和炭化水素を導入する。
【0011】GICとしては、アルカリ金属をインターカ
レートしている限り、アルカリ金属の種類、存在量など
に特に制限はない。なお、以下の記載においては、K-GI
Cを以てGICを代表させるが、本発明においては、他のア
ルカリ金属−黒鉛層間化合物も使用可能であることは、
言うまでもない。
レートしている限り、アルカリ金属の種類、存在量など
に特に制限はない。なお、以下の記載においては、K-GI
Cを以てGICを代表させるが、本発明においては、他のア
ルカリ金属−黒鉛層間化合物も使用可能であることは、
言うまでもない。
【0012】本発明において、易重合性の不飽和炭化水
素とは、重合開始剤の存在下に室温(約25℃)、1気圧
以下という穏和な条件下に重合する不飽和炭化水素を意
味する。この様な不飽和炭化水素としては、常温大気圧
下で液体のイソプレン、スチレンなど;常温大気圧中で
気体の1,3-ブタジエンなどが挙げられる。上述の公知文
献に記載されているベンゼン、エチレンなどは、この様
な穏和な条件下では重合しないので、本発明では使用で
きない。
素とは、重合開始剤の存在下に室温(約25℃)、1気圧
以下という穏和な条件下に重合する不飽和炭化水素を意
味する。この様な不飽和炭化水素としては、常温大気圧
下で液体のイソプレン、スチレンなど;常温大気圧中で
気体の1,3-ブタジエンなどが挙げられる。上述の公知文
献に記載されているベンゼン、エチレンなどは、この様
な穏和な条件下では重合しないので、本発明では使用で
きない。
【0013】K-GICの黒鉛層間への不飽和炭化水素(以
下「モノマー」という)の導入は、減圧した容器内でK-
GICとモノマーとを常温で共存させることにより行う。
より具体的には、常温大気圧下で気体のモノマーを使用
する場合には、例えば、K-GICを収容した容器内の圧力
を通常10-2Torr以下(≦10-2Torr)、より好ましくは10-3
Torr以下(≦10-3Torr)とした状態で、モノマーを供給す
る。また、常温大気圧下で液体のモノマーを使用する場
合には、例えば、K-GICを収容した容器内を通常10-2Tor
r以下(≦10-2Torr)、より好ましくは10-3Torr以下(≦10
-3Torr)の真空にした後、モノマーの室温での蒸気圧に
相当するモノマー蒸気を供給し、蒸気がK-GICの黒鉛層
内に入り込む様にする。
下「モノマー」という)の導入は、減圧した容器内でK-
GICとモノマーとを常温で共存させることにより行う。
より具体的には、常温大気圧下で気体のモノマーを使用
する場合には、例えば、K-GICを収容した容器内の圧力
を通常10-2Torr以下(≦10-2Torr)、より好ましくは10-3
Torr以下(≦10-3Torr)とした状態で、モノマーを供給す
る。また、常温大気圧下で液体のモノマーを使用する場
合には、例えば、K-GICを収容した容器内を通常10-2Tor
r以下(≦10-2Torr)、より好ましくは10-3Torr以下(≦10
-3Torr)の真空にした後、モノマーの室温での蒸気圧に
相当するモノマー蒸気を供給し、蒸気がK-GICの黒鉛層
内に入り込む様にする。
【0014】K-GIC中の黒鉛層間へのモノマーの導入開
始とともに、黒鉛のc軸方向に非常にゆっくりと膨張が
始まり、Kを重合開始剤として、モノマーの重合が始ま
り、一定時間経過後に黒鉛−高分子複合体が得られる。
K-GICに対するモノマー導入量は、黒鉛−高分子複合体
の特性などを考慮して定めればよいが、前者重量の20〜
1000倍程度の範囲内にある。
始とともに、黒鉛のc軸方向に非常にゆっくりと膨張が
始まり、Kを重合開始剤として、モノマーの重合が始ま
り、一定時間経過後に黒鉛−高分子複合体が得られる。
K-GICに対するモノマー導入量は、黒鉛−高分子複合体
の特性などを考慮して定めればよいが、前者重量の20〜
1000倍程度の範囲内にある。
【0015】複合体中の黒鉛と高分子との含有重量比
は、K-GICに対するモノマーの導入量によりほぼ定まる
ので、K-GIC:高分子=1;20〜1000程度である。
は、K-GICに対するモノマーの導入量によりほぼ定まる
ので、K-GIC:高分子=1;20〜1000程度である。
【0016】得られる黒鉛−高分子複合体の性状は、一
般に黒色で、弾力性があり、モノマーの導入量に応じて
膨張黒鉛状(モノマー導入量が少ない場合)から黒鉛分
散高分子(モノマー導入量が多い場合)に至るまでの外
観を呈する。複合体内部は、黒鉛六角網目平面が各層で
開裂して、その間にポリマーが介在する構造となってい
る。
般に黒色で、弾力性があり、モノマーの導入量に応じて
膨張黒鉛状(モノマー導入量が少ない場合)から黒鉛分
散高分子(モノマー導入量が多い場合)に至るまでの外
観を呈する。複合体内部は、黒鉛六角網目平面が各層で
開裂して、その間にポリマーが介在する構造となってい
る。
【0017】また、この黒鉛−高分子複合体を500〜100
0℃程度で熱処理して、ポリマーを分解除去することに
より、ab軸方向には、当初の黒鉛材料の結晶性を残して
おりながら、c軸方向には積層性の低い新たな黒鉛材料
を得ることができる。この際、複合体の熱処理温度を調
整することにより、c軸方向の積層度を制御することが
できる。
0℃程度で熱処理して、ポリマーを分解除去することに
より、ab軸方向には、当初の黒鉛材料の結晶性を残して
おりながら、c軸方向には積層性の低い新たな黒鉛材料
を得ることができる。この際、複合体の熱処理温度を調
整することにより、c軸方向の積層度を制御することが
できる。
【0018】本発明における重合機構は、関与する化学
種から考えて、リビングポリマーによるアニオン重合で
あると考えられる。事実、実施例1で得られた黒鉛−高
分子複合体に再度イソプレン蒸気を接触させることによ
り、重合体の重量が約5%増加することが見出された。
種から考えて、リビングポリマーによるアニオン重合で
あると考えられる。事実、実施例1で得られた黒鉛−高
分子複合体に再度イソプレン蒸気を接触させることによ
り、重合体の重量が約5%増加することが見出された。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、新規な黒鉛−高分子複
合体が得られる。この様な黒鉛−高分子複合体は、マイ
クロマシン用構造材、マイクロチップ用絶縁材などとし
て有用である。
合体が得られる。この様な黒鉛−高分子複合体は、マイ
クロマシン用構造材、マイクロチップ用絶縁材などとし
て有用である。
【0020】また、この複合体をさらに熱処理して、高
分子成分を除去することにより、c軸方向の積層状態を
制御した新規な黒鉛材料が得られる。この様な黒鉛材料
は、機能性吸着剤、分子ふるい材料、触媒担持材料など
として有用である。
分子成分を除去することにより、c軸方向の積層状態を
制御した新規な黒鉛材料が得られる。この様な黒鉛材料
は、機能性吸着剤、分子ふるい材料、触媒担持材料など
として有用である。
【0021】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明の特徴とすると
ころをより一層明確にする。
ころをより一層明確にする。
【0022】実施例1 高配向性熱分解黒鉛(HOPG;米国UCC社製)を使用し
て、2-バルブ法(「新・炭素材料入門」、(株)リアラ
イズ社(1996)、pp159〜160参照)により、KC24を合成
し、密閉容器に収容し、容器内圧力を予め10-3Torr以下
(≦10-3Torr)の真空にした後、温度=室温、イソプレン
の室温での蒸気圧に相当するイソプレン蒸気を導入し、
反応させた。イソプレンは、予めモレキュラーシーブ4A
を用いて脱水し、真空蒸留により精製しておいた。
て、2-バルブ法(「新・炭素材料入門」、(株)リアラ
イズ社(1996)、pp159〜160参照)により、KC24を合成
し、密閉容器に収容し、容器内圧力を予め10-3Torr以下
(≦10-3Torr)の真空にした後、温度=室温、イソプレン
の室温での蒸気圧に相当するイソプレン蒸気を導入し、
反応させた。イソプレンは、予めモレキュラーシーブ4A
を用いて脱水し、真空蒸留により精製しておいた。
【0023】反応開始から24時間後に得られた黒鉛−高
分子複合体は、黒色で、弾力性があり、膨張黒鉛様の材
料であり、KC24重量を基準として、約173倍量のイソプ
レンが吸蔵された。
分子複合体は、黒色で、弾力性があり、膨張黒鉛様の材
料であり、KC24重量を基準として、約173倍量のイソプ
レンが吸蔵された。
【0024】得られた黒鉛−ポリイソプレン複合体の元
素分析結果を表1に示す。
素分析結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】なお、得られた黒鉛−ポリイソプレン複合
体を水洗し、乾燥した後、元素分析を行ったところ、変
化は認められなかった。
体を水洗し、乾燥した後、元素分析を行ったところ、変
化は認められなかった。
【0027】上記の手法で得られた黒鉛−ポリイソプレ
ン複合体を昇温速度200℃/hrで室温から500℃或いは100
0℃まで昇温した後、同温度で30分間保持し、その後炉
内冷却したものについて、X線による粉末回折試験を行
った。図1にその結果を示す。図1において、RTとある
のは、熱処理を行わなかった複合体粉末についての結果
を示す。
ン複合体を昇温速度200℃/hrで室温から500℃或いは100
0℃まで昇温した後、同温度で30分間保持し、その後炉
内冷却したものについて、X線による粉末回折試験を行
った。図1にその結果を示す。図1において、RTとある
のは、熱処理を行わなかった複合体粉末についての結果
を示す。
【0028】図1に示す結果から明らかな様に、本発明
による黒鉛−ポリイソプレン複合体では、黒鉛或いはGI
Cに帰属できる回折線は認められない。このことは、イ
ソプレンの重合は、KC24の黒鉛層間で生じているので、
生成したポリマーにより押し広げられた黒鉛六角網目平
面は、もはやc軸方向に結晶していない。
による黒鉛−ポリイソプレン複合体では、黒鉛或いはGI
Cに帰属できる回折線は認められない。このことは、イ
ソプレンの重合は、KC24の黒鉛層間で生じているので、
生成したポリマーにより押し広げられた黒鉛六角網目平
面は、もはやc軸方向に結晶していない。
【0029】また、500℃で熱処理した材料中の黒鉛の
ピーク強度も非常に低い。さらに、1000℃で熱処理した
材料の場合にも、複合前のKC24もしくは出発原料である
黒鉛に比べると、回折線のピーク強度は低い。これらの
結果から明らかな様に、本発明による黒鉛−ポリイソプ
レン複合体を加熱することにより、ab軸方向には結晶が
充分に発達しているが、c軸方向には積層性が低いとい
う新規な構造を有する黒鉛を得ることができる。この
際、熱処理温度および時間を調整することにより、c軸
方向の積層性を制御することが可能である。
ピーク強度も非常に低い。さらに、1000℃で熱処理した
材料の場合にも、複合前のKC24もしくは出発原料である
黒鉛に比べると、回折線のピーク強度は低い。これらの
結果から明らかな様に、本発明による黒鉛−ポリイソプ
レン複合体を加熱することにより、ab軸方向には結晶が
充分に発達しているが、c軸方向には積層性が低いとい
う新規な構造を有する黒鉛を得ることができる。この
際、熱処理温度および時間を調整することにより、c軸
方向の積層性を制御することが可能である。
【0030】得られた黒鉛−ポリイソプレン複合体のTg
-DTA曲線(試料重量=11.10mg、昇温速度=200℃/hr)を
図2に示し、ポリスチレンのTg-DTA曲線を図3に示す。
-DTA曲線(試料重量=11.10mg、昇温速度=200℃/hr)を
図2に示し、ポリスチレンのTg-DTA曲線を図3に示す。
【0031】図2および図3に示す結果から、複合体中
にポリイソプレンが形成されていることが明らかであ
る。
にポリイソプレンが形成されていることが明らかであ
る。
【0032】また、本発明による黒鉛−高分子複合体
は、導電性に優れている黒鉛或いはGICとは異なって、
導電性を示さないことが確認された。
は、導電性に優れている黒鉛或いはGICとは異なって、
導電性を示さないことが確認された。
【0033】実施例2 不飽和炭化水素としてスチレンを使用する以外は実施例
と同様の手法により、黒鉛−ポリスチレン複合体を得
た。
と同様の手法により、黒鉛−ポリスチレン複合体を得
た。
【0034】得られた黒鉛−高分子複合体は、黒色で、
弾力性があり、膨張黒鉛様の材料であり、KC24重量を基
準として、約217倍量のスチレンが吸蔵された。
弾力性があり、膨張黒鉛様の材料であり、KC24重量を基
準として、約217倍量のスチレンが吸蔵された。
【0035】得られた黒鉛−ポリスチレン複合体の元素
分析結果を表2に示す。
分析結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】なお、得られた黒鉛−ポリスチレン複合体
を水洗し、乾燥した後、元素分析を行ったところ、変化
は認められなかった。
を水洗し、乾燥した後、元素分析を行ったところ、変化
は認められなかった。
【0038】次ぎに、上記の手法で得られた黒鉛−ポリ
スチレン複合体のX線による粉末回折試験を行った。図
4にその結果を示す。図4に示す結果から明らかな様
に、本発明による黒鉛−ポリスチレン複合体では、黒鉛
或いはGICに帰属できる回折線は認められない。
スチレン複合体のX線による粉末回折試験を行った。図
4にその結果を示す。図4に示す結果から明らかな様
に、本発明による黒鉛−ポリスチレン複合体では、黒鉛
或いはGICに帰属できる回折線は認められない。
【0039】得られた黒鉛−ポリスチレン複合体のTg-D
TA曲線(試料重量=14.50mg、昇温速度=200℃/hr)を図
5に示し、ポリスチレンのTg-DTA曲線を図6に示す。
TA曲線(試料重量=14.50mg、昇温速度=200℃/hr)を図
5に示し、ポリスチレンのTg-DTA曲線を図6に示す。
【0040】図5および図6に示す結果から、複合体中
にポリスチレンが形成されていることが明らかである。
にポリスチレンが形成されていることが明らかである。
【0041】実施例3 不飽和炭化水素としてボンベ詰めされた気体状の1,3-ブ
タジエン(純度99.5%以上)を使用し、ブタジエン圧力を
500Torrにしたこと以外は実施例1と同様の手法によ
り、黒鉛−ポリブタジエン複合体を得た。
タジエン(純度99.5%以上)を使用し、ブタジエン圧力を
500Torrにしたこと以外は実施例1と同様の手法によ
り、黒鉛−ポリブタジエン複合体を得た。
【0042】得られた黒鉛−高分子複合体は、黒色で、
弾力性があり、膨張黒鉛様の材料であり、KC24重量を基
準として、約153倍量のブタジエンが吸蔵された。
弾力性があり、膨張黒鉛様の材料であり、KC24重量を基
準として、約153倍量のブタジエンが吸蔵された。
【0043】得られた黒鉛−ポリブタジエン複合体の元
素分析結果を表3に示す。
素分析結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】なお、得られた黒鉛−ポリブタジエン複合
体を水洗し、乾燥した後、元素分析を行ったところ、変
化は認められなかった。
体を水洗し、乾燥した後、元素分析を行ったところ、変
化は認められなかった。
【0046】次ぎに、上記の手法で得られた黒鉛−ポリ
ブタジエン複合体のX線による粉末回折試験を行った。
図7にその結果を示す。図7に示す結果から明らかな様
に、本発明による黒鉛−ポリブタジエン複合体では、黒
鉛或いはGICに帰属できる回折線は認められない。
ブタジエン複合体のX線による粉末回折試験を行った。
図7にその結果を示す。図7に示す結果から明らかな様
に、本発明による黒鉛−ポリブタジエン複合体では、黒
鉛或いはGICに帰属できる回折線は認められない。
【0047】得られた黒鉛−ポリブタジエン複合体のTg
-DTA曲線(試料重量=4.50mg、昇温速度=200℃/hr)を図
8に示し、ポリブタジエンのTg-DTA曲線を図9に示す。
-DTA曲線(試料重量=4.50mg、昇温速度=200℃/hr)を図
8に示し、ポリブタジエンのTg-DTA曲線を図9に示す。
【0048】図8および図9に示す結果から、複合体中
にポリブタジエンが形成されていることが明らかであ
る。
にポリブタジエンが形成されていることが明らかであ
る。
【図1】実施例1で得られた黒鉛−ポリイソプレン複合
体およびこれを熱処理したものについて、X線による粉
末回折試験を行った結果を示すチャートである。
体およびこれを熱処理したものについて、X線による粉
末回折試験を行った結果を示すチャートである。
【図2】実施例1で得られた黒鉛−ポリイソプレン複合
体についてのTg-DTA曲線である。
体についてのTg-DTA曲線である。
【図3】ポリイソプレンそのものについてのTg-DTA曲線
である。
である。
【図4】実施例2で得られた黒鉛−ポリスチレン複合体
について、X線による粉末回折試験を行った結果を示す
チャートである。
について、X線による粉末回折試験を行った結果を示す
チャートである。
【図5】実施例2で得られた黒鉛−ポリスチレン複合体
についてのTg-DTA曲線である。
についてのTg-DTA曲線である。
【図6】ポリスチレンそのものについてのTg-DTA曲線で
ある。
ある。
【図7】実施例3で得られた黒鉛−ポリブタジエン複合
体について、X線による粉末回折試験を行った結果を示
すチャートである。
体について、X線による粉末回折試験を行った結果を示
すチャートである。
【図8】実施例3で得られた黒鉛−ポリブタジエン複合
体についてのTg-DTA曲線である。
体についてのTg-DTA曲線である。
【図9】ポリブタジエンそのものについてのTg-DTA曲線
である。
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤田 和弘 大阪府池田市緑丘1丁目8番31号 工業技 術院大阪工業技術研究所内 (72)発明者 澤田 吉裕 大阪府池田市緑丘1丁目8番31号 工業技 術院大阪工業技術研究所内
Claims (3)
- 【請求項1】アルカリ金属−黒鉛層間化合物の黒鉛層間
にポリマーを保持する黒鉛−高分子複合体。 - 【請求項2】アルカリ金属−黒鉛層間化合物の黒鉛層間
に不飽和炭化水素を導入し、アルカリ金属を触媒として
不飽和炭化水素の重合を行うことを特徴とする黒鉛−高
分子複合体の製造方法。 - 【請求項3】アルカリ金属−黒鉛層間化合物の黒鉛層間
に不飽和炭化水素を導入し、アルカリ金属を触媒として
不飽和炭化水素の重合を行った後、得られた黒鉛−高分
子複合体を熱処理することを特徴とする黒鉛材料の製造
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9249520A JP2992630B2 (ja) | 1997-08-29 | 1997-08-29 | 黒鉛−高分子複合体とその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP9249520A JP2992630B2 (ja) | 1997-08-29 | 1997-08-29 | 黒鉛−高分子複合体とその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1170612A true JPH1170612A (ja) | 1999-03-16 |
JP2992630B2 JP2992630B2 (ja) | 1999-12-20 |
Family
ID=17194206
Family Applications (1)
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JP9249520A Expired - Lifetime JP2992630B2 (ja) | 1997-08-29 | 1997-08-29 | 黒鉛−高分子複合体とその製造方法 |
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Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP2012076958A (ja) * | 2010-09-30 | 2012-04-19 | Sekisui Chem Co Ltd | グラフェン複合材料及びグラフェン複合シートの製造方法 |
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US9144962B2 (en) | 2010-09-17 | 2015-09-29 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Graphene-polymer layered composite and process for preparing the same |
-
1997
- 1997-08-29 JP JP9249520A patent/JP2992630B2/ja not_active Expired - Lifetime
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US9884934B2 (en) | 2011-02-04 | 2018-02-06 | Sekisui Chemical Co., Ltd. | Method for producing exfoliated graphite-polymer composite material |
JP2014197524A (ja) * | 2013-03-04 | 2014-10-16 | 積水化学工業株式会社 | リチウムイオン二次電池用負極材及びその製造方法、並びにリチウムイオン二次電池 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2992630B2 (ja) | 1999-12-20 |
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