JPH1170118A - 超音波手術装置 - Google Patents

超音波手術装置

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JPH1170118A
JPH1170118A JP10168651A JP16865198A JPH1170118A JP H1170118 A JPH1170118 A JP H1170118A JP 10168651 A JP10168651 A JP 10168651A JP 16865198 A JP16865198 A JP 16865198A JP H1170118 A JPH1170118 A JP H1170118A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は超音波振動による各処置機能を適切に
利用できるとともに、生体組織への過剰なエネルギー供
給を制限することができる超音波手術装置を提供するこ
とを最も主要な特徴とする。 【解決手段】超音波振動子に、予め設定された一定電流
が流れるように制御する定電流制御手段と、超音波振動
子に印加される電圧の大きさを示す信号を取り出し、そ
の変化を表示して超音波振動に対する負荷状態を告知す
るバーグラフ表示部22とを設けたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波振動によっ
て生体組織を処置する超音波手術装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、超音波振動の応用技術として従
来から超音波凝固切開、超音波クリップ溶着、超音波ト
ラカールなどの超音波を利用した各種の手術装置が考え
られている。この種の超音波手術装置では生体組織を処
置する処置部を備えたハンドピースの内部に、超音波振
動を発生する超音波振動子と、この超音波振動子からの
超音波振動を前記処置部に伝達するプローブとが内蔵さ
れている。
【0003】そして、超音波手術装置の使用時には処置
部を生体組織の処置対象部位(被処置部)に当接させた
状態で、超音波振動子からの超音波振動をプローブを介
して処置部に伝達し、この超音波振動によって生体組織
を処置するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、トラカール
や、凝固手術装置では生体組織を処置する処置部を生体
組織に当接させた際に、処置部によって生体組織を押圧
する押圧力の力量が超音波振動子への負荷になる。その
ため、超音波手術装置の使用時に力を入れすぎると、生
体組織を押圧する押圧力の力量が大きくなるので、超音
波振動子への負荷が上昇しすぎて振動できなくなり、か
えって超音波手術装置の通常の超音波処置機能が働かな
いことになる。
【0005】なお、超音波振動子への負荷の状態をモニ
タして超音波振動の出力をオン、オフ制御することなど
も考えられている。しかしながら、負荷への超音波エネ
ルギーを与える間の制御は特に考えられていないのが実
情である。
【0006】本発明は上記事情に着目してなされたもの
で、その目的は、超音波振動による各処置機能を適切に
利用できるとともに、生体組織への過剰なエネルギー供
給を制限することができる超音波手術装置を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は生体組織を処置
する処置部を備えたハンドピースと、このハンドピース
に内蔵された超音波振動子と、この超音波振動子からの
超音波振動を前記処置部に伝達するプローブと、前記超
音波振動子の駆動回路とを備えた超音波手術装置におい
て、前記超音波振動子に、予め設定された一定電流が流
れるように制御する定電流制御手段と、前記超音波振動
子に印加される電圧の大きさを示す信号を取り出し、そ
の変化を表示して超音波振動に対する負荷状態を告知す
る負荷状態告知手段とを具備したことを特徴とする超音
波手術装置である。そして、超音波処置時には超音波振
動子に印加される電圧の大きさの変化を負荷状態告知手
段で表示して超音波振動に対する負荷状態を告知するよ
うにしたものである。ここで、負荷状態告知手段は、例
えば、ランプの光量による変化、あるいは音の高低、ま
たは音の音量の大小によって告知し、これによって負荷
の状態を術者に知らせることができるようにしたもので
ある。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施の形態
を図1乃至図7(A),(B)を参照して説明する。図
1は本実施の形態の超音波手術装置1全体の概略構成を
示すものである。本実施の形態の超音波手術装置1に
は、装置本体2と、この装置本体2に接続されたフット
スイッチ3と、超音波処置具のハンドピース4とがそれ
ぞれ設けられている。
【0009】また、超音波処置具のハンドピース4には
接続ケーブル5の基端部が接続されている。この接続ケ
ーブル5の先端部にはコネクタ6が接続されている。こ
こで、装置本体2のフロントパネル7には超音波処置具
接続部8が設けられている。そして、この接続部8には
超音波処置具のコネクタ6が着脱可能に連結されるよう
になっている。
【0010】なお、本実施の形態の超音波手術装置1で
使用される超音波処置具としては図1に示す第1の超音
波処置具Aや、図2に示す第2の超音波処置具Bなどが
ある。ここで、第1の超音波処置具Aのハンドピース4
には細長いシース9と、このシース9の基端部に連結さ
れた手元側の操作部10と、シース9の先端部に配設さ
れた処置部11とが設けられている。
【0011】また、ハンドピース4の内部には超音波振
動を発生する図示しない超音波振動子と、この超音波振
動子からの超音波振動を処置部11に伝達するプローブ
12とが内蔵されている。さらに、処置部11にはシー
ス9の先端部に回動可能に支持された把持部13が設け
られている。この把持部13はプローブ12の先端部に
対して接離可能になっている。
【0012】また、ハンドピース4の手元側の操作部1
0には固定ハンドル14aと、可動ハンドル14bとが
設けられている。そして、固定ハンドル14aに対して
可動ハンドル14bを開閉操作することにより、処置部
11の把持部13をプローブ12の先端部に対して接離
させることができるようになっている。この場合、可動
ハンドル14bを閉操作する操作にともない把持部13
をプローブ12の先端部側に向けて閉じる方向に回動さ
せ、図6に示すようにこの把持部13とプローブ12の
先端部との間で例えば人体内の血管等の生体組織Hを把
持することができるようになっている。そして、この状
態でハンドピース4内の超音波振動子を駆動することに
より、プローブ12と把持部13との間の生体組織に超
音波処置を施すことができるようになっている。
【0013】また、第2の超音波処置具Bのハンドピー
ス4には第1の超音波処置具Aの処置部11とは異なる
構成の処置部15が設けられている。この処置部15に
はシース9の先端部に固定された略L字状の受け部16
と、シース9内に軸心方向にスライド可能に装着された
突き当て部材17とが設けられている。ここで、受け部
16または突き当て部材17のいずれか一方にはプロー
ブ12の先端部が連結されている。そして、操作部10
の固定ハンドル14aに対して可動ハンドル14bを開
閉操作することにより、処置部15の突き当て部材17
を受け部16に対して接離させることができるようにな
っている。この場合、可動ハンドル14bを閉操作する
操作にともない処置部15の突き当て部材17を受け部
16に向けて突き当てる方向にスライドさせ、この突き
当て部材17と受け部16との間で例えば人体内の血管
等の生体組織を把持することができるようになってい
る。そして、この状態でハンドピース4内の超音波振動
子を駆動することにより、突き当て部材17と受け部1
6との間の生体組織に超音波処置を施すことができるよ
うになっている。
【0014】また、装置本体2のフロントパネル7には
図3に示すように電源スイッチ18と、表示パネル19
とが設けられている。さらに、表示パネル19の中には
超音波振動子の大きさ(振幅の大きさ)を設定した値を
示す設定表示部(表示手段)20と、設定部21と、超
音波振動に対する負荷状態を告知するバーグラフ表示部
(負荷状態告知手段)22とが設けられている。ここ
で、設定部21には設定用アップスイッチ21aと、ダ
ウンスイッチ21bとが設けられている。
【0015】また、装置本体2内には図4に示す構成の
駆動回路23が装着されている。この駆動回路23には
位相追尾回路(PLL)24と、定電流駆動するための
乗算器である電圧制御アンプ(VCA)25と、超音波
振動子にパワーを与えるための電流を生成する電力増幅
器26と、電圧電流検出部27と、出力トランス28と
が順次直列に接続された出力回路が設けられている。そ
して、この出力トランス28の出力ポートにはハンドピ
ース4が接続され、出力トランス28で装置本体2内の
駆動回路23とハンドピース4との間を直流的に分離し
ている。
【0016】また、位相追尾回路24は超音波振動子の
共振周波数を追尾して共振点駆動するための回路であ
る。この位相追尾回路24には電圧電流検出部27が接
続されている。さらに、電圧電流検出部27にはPLL
をかけるための電圧と電流の位相信号を検出し、あるい
は超音波振動子に流れる電流の大きさを検出する回路が
含まれている。
【0017】さらに、駆動回路23には差動増幅器29
と、電圧生成部30と、制御部31と、判断部32と、
A/Dコンバータ33とが設けられている。ここで、制
御部31にはフットスイッチ3と、表示パネル19上の
設定部21と、電圧生成部30と、判断部32と、A/
Dコンバータ33とが接続されている。
【0018】また、差動増幅器29の一方の入力端には
電圧電流検出部27、他方の入力端には電圧生成部30
がそれぞれ接続されている。ここで、電圧生成部30で
は表示パネル19上の設定部21による設定振幅に比例
した電圧を生成するようになっている。
【0019】さらに、差動増幅器29の出力端は電圧制
御アンプ25に接続されている。そして、差動増幅器2
9では電圧生成部30によって設定振幅から生成された
設定電圧と、電圧電流検出部27から検出された電流値
の大きさとを比較してこれらが同じになるように差動増
幅器29からの増幅出力が電圧制御アンプ25に供給さ
れる。これにより、超音波振動子に加える電圧の大きさ
をコントロールして一定電流になるように制御をしてい
る。これは定電流ループになっている。
【0020】また、差動増幅器29の出力端は判断部3
2に接続されている。さらに、この判断部32は表示パ
ネル19のバーグラフ表示部22に接続されている。こ
のバーグラフ表示部22には図5に示すように複数のL
ED34が配設されている。さらに、判断部32にはバ
ーグラフ表示部22の各LED34毎にそれぞれ個別に
接続される複数のコンパレータ35および抵抗群36が
それぞれ配設されている。
【0021】そして、差動増幅器29からの出力信号は
判断部32に入力される。この判断部32ではバーグラ
フ表示部22に表示される負荷のデータを生成するよう
になっている。ここで、出力トランス28からの出力電
圧の大きさは電圧制御アンプ25の乗算器の入力に比例
するので、この電圧制御アンプ25の乗算器への入力信
号が、即ち、インピーダンスの大きさを示している。し
たがって、判断部32では差動増幅器29の出力、即
ち、この電圧制御アンプ25への入力信号を基にして、
負荷変化の状態をバーグラフ表示部22でバーグラフな
どによって表示するようになっている。このとき、判断
部32では差動増幅器29からの出力信号を多段のコン
パレータ35で受けてバーグラフ表示部22の複数のL
ED34のオンオフ状態を個別に制御し、バーグラフ表
示部22の各LED34のオンオフ状態によって超音波
振動に対する負荷変化の状態をバーグラフ状に表示させ
るようになっている。
【0022】なお、判断部32では多段のコンパレータ
35で受けた中で電圧値が最大になった時の信号を制御
部31に伝え、超音波振動に対する負荷変化の状態を制
御回路で告知する構成にしても良い。
【0023】また、差動増幅器29の出力信号をA/D
コンバータ33で受けて、デジタルデータにしてそれを
制御部31に入力し、その結果で制御部31からバーグ
ラフ表示部22の各LED34を直接ドライブする構成
にしても良い。
【0024】次に、上記構成の作用について説明する。
図7(A)は本実施の形態の超音波手術装置1全体の電
気回路を簡単に図示したものである。なお、図7(A)
中で、37はハンドピース4内の超音波振動子である。
本実施の形態の超音波手術装置1の使用中、超音波振動
子37の超音波振動の振幅は流れる電流|I|に比例す
るので、この電流値をフィードバックして装置本体2内
の駆動回路23で定電流駆動をすると負荷の変動によら
ず安定した振動振幅が得られる。
【0025】また、図7(B)は図7(A)の超音波手
術装置1の駆動回路23で定電流駆動制御をしている時
の電圧|V|および電流|I|の大きさの変化状態を示
すものである。なお、図7(B)中で横軸はインピーダ
ンス|Z|の大きさ、縦軸は電圧|V|と電流|I|の
大きさをそれぞれ示すものである。
【0026】ここでは、定電流駆動を行っているので、
負荷インピーダンス|Z|つまり超音波振動子37に加
わる機械的な負荷が変化しても、電流値は一定のまま保
持される。このとき、電圧|V|の大きさはインピーダ
ンス|Z|が上がるに従って、比例して電圧|V|の大
きさが上昇する。
【0027】また、超音波振動の振幅は超音波振動子3
7に流す電流に比例するので、超音波振動子37からの
超音波振動の振幅を設定値の通り一定に保持するために
は定電流制御を行う。このとき、凝固切開装置では図6
に示すようにハンドピース4の把持部13とプローブ1
2の先端部との間で例えば人体内の血管等の生体組織H
を把持した状態で超音波振動子37を駆動し、超音波振
動を与える。
【0028】この作業中、ハンドピース4の把持部13
とプローブ12の先端部との間で生体組織Hを把持する
際の把持力を大きくしすぎると、インピーダンス|Z|
が大きくなる。そのため、この場合には駆動回路23か
ら一定の電流を超音波振動子37に供給しようとしても
電圧|V|が飽和してしまって設定通りの振幅が維持で
きなくなる。そして、極端な場合には超音波振動が止ま
ってしまうので、生体組織Hの凝固作業ができなくな
る。したがって、ハンドピース4の把持部13とプロー
ブ12の先端部との間で挟んだ例えば人体内の血管等の
生体組織Hを把持する力量が生体組織Hの処置の程度
や、スピードを左右するパラメータの一つとなる。例え
ば、ハンドピース4のアプリケーションとして超音波ト
ラカールを考えた場合には、この超音波トラカールを体
壁に穿刺する時に力を入れすぎると、超音波トラカール
の押し込み力が極端に大きくなるので、インピーダンス
|Z|が大きくなりすぎて超音波振動が止まってしまう
おそれがある。
【0029】そこで、本実施の形態の超音波手術装置1
では装置本体2の表示パネル19の中にバーグラフ表示
部22を設け、超音波振動に対する負荷(インピーダン
ス|Z|)の状態をこのバーグラフ表示部22の複数の
LED34のオンオフ状態によってバーグラフ表示部2
2にバーグラフのような形で表示して告知するようにし
た。そのため、使用者は表示パネル19のバーグラフ表
示部22のバーグラフを目視することにより、超音波振
動に対する負荷(インピーダンス|Z|)の状態を簡単
に確認することができる。
【0030】そこで、上記構成のものにあっては次の効
果を奏する。すなわち、本実施の形態では装置本体2の
表示パネル19側のバーグラフ表示部22に術者が操作
するハンドピース4の操作力量をバーグラフで表示さ
せ、告知することができるので、バーグラフ表示部22
に表示されるバーグラフを目視することにより、術者が
操作するハンドピース4の操作力量を簡単に確認するこ
とができる。そのため、そのハンドピース4の可動ハン
ドル14bを閉操作する際の操作力量のコントロールを
術者によって容易に行うことができ、生体組織Hの凝固
作業を安定に行うことができる。
【0031】また、図8は第1の実施の形態(図1乃至
図7(A),(B)参照)の変形例を示すものである。
本変形例は超音波手術装置1の使用中、インピーダンス
|Z|の変化をバーグラフではなく、音質の変化で告知
する音質変化告知手段41を設ける構成にしたものであ
る。すなわち、本変形例の音質変化告知手段41には差
動増幅器29の出力端に接続されたVCF発振器42
と、スピーカー用アンプ43と、スピーカー44とが設
けられている。そして、差動増幅器29の出力をVCF
発振器42で受けて電圧の変化を周波数の変化に変換し
たのち、VCF発振器42からの出力信号をスピーカー
用アンプ43で受けてスピーカー44の出力の音質を変
えるようになっている。
【0032】なお、差動増幅器29の出力の変化によっ
て音質を変えるのではなく、例えば、断続音の周期を変
えたり、音量の大きさを変えたりする構成にしても良い
し、第1の実施の形態のバーグラフと併用しても良い。
【0033】また、図9および図10は本発明の第2の
実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1の実
施の形態(図1乃至図7(A),(B)参照)の超音波
手術装置1の駆動回路23の構成を図9に示す駆動回路
51に変更したものである。
【0034】すなわち、本実施の形態の駆動回路51に
は第1の実施の形態と同様に位相追尾回路(PLL)2
4と、電圧制御アンプ(VCA)25と、電力増幅器2
6と、電圧電流検出部27と、出力トランス28とが順
次直列に接続された出力回路が設けられている。さら
に、この駆動回路51には第1の実施の形態と同様に差
動増幅器29と、電圧生成部30とが設けられている。
【0035】また、本実施の形態の駆動回路51ではエ
ネルギーの制限値を設定するための信号発生手段52
と、電流値|I|と電圧値|V|との掛け算をして電力
|P|の大きさの電圧を生成するための掛け算器53
と、信号発生手段52からの出力信号を基準として掛け
算器53からの出力信号を比較して電流値設定手段であ
る電圧生成部30の信号生成をコントロールしたり、あ
るいは信号発生手段52からのエネルギーの制限設定信
号を基準として電圧の大きさを比較値に入力する差動増
幅器54とが設けられている。そして、この差動増幅器
54の出力によって定電流設定値の信号を生成する電圧
生成部30を制御するようになっている。このように、
信号発生手段52、掛け算器53、差動増幅器54を追
加することで、定電力制御の駆動回路51が実現でき
る。
【0036】次に、上記構成の作用について説明する。
図10は本実施の形態の制御方法を示すものである。な
お、図10中で、横軸にはインピーダンス|Z|の変
化、縦軸には電流|I|の大きさ、電圧|V|の大きさ
に加えて電力|P|の大きさも示している。
【0037】本実施の形態の駆動回路51では超音波振
動子は位相追尾回路24によって共振点駆動されてい
る。よって、電圧と電流の位相差が0なので、電圧の大
きさと電流の大きさの掛け算をした値は超音波振動子で
消費している電力と全く比例関係となり、容易に電力値
が測定できる。
【0038】また、本実施の形態の超音波手術装置1、
例えば超音波凝固切開装置ではハンドピース4の処置部
11が生体組織Hを把持する力量が超音波凝固切開機能
の処置結果を左右する。同様に、別のアプリケーショ
ン、例えば、超音波クリップの場合にはクリップを生体
組織Hに押しつけるような力量、あるいは超音波トラカ
ールの場合には生体組織Hに穿刺する時の押し込む力量
が各機能の処置結果を左右する。つまりきれいな、確実
な生体組織Hの凝固処置、確実なクリップ処置、あるい
は安全な剌入処置に影響する。
【0039】これらの力量が大きくなると、超音波振動
子に加わる機械的な負荷が増大する。つまり、電気的な
インピーダンス|Z|の大きさが大きくなるので、超音
波振動子への供給電力|P|がどんどん大きくなる。こ
の場合、定電流制御では電流値|I|が一定に制御され
ているので、図10に示すように電圧|V|の上昇にと
もない結果的に供給電力|P|が大きくなる。
【0040】しかし、超音波振動子の振動エネルギーは
大きすぎない方が先の生体組織Hの凝固や、クリップ
や、安全な刺入などの機能は安定する。そこで、本実施
の形態では駆動回路51からの出力電圧、つまり超音波
振動子に印加される電圧の上限を制限するようにエネル
ギー量の上限値を制限する。すなわち、図10に示すよ
うにインピーダンス|Z|の変化の範囲が低い方から予
め設定されたある設定値Z1 までは定電流駆動で制御す
る。この範囲内ではインピーダンス|Z|が上昇しても
電流値|I|が一定で保持され、電圧値|V|がインピ
ーダンス|Z|の上昇に比例して上昇するので、結果的
に電力|P|も比例して上昇する。そして、インピーダ
ンス|Z|の変化の範囲が設定値Z1 を越えると、それ
以上のインピーダンス|Z|が高い範囲では駆動電流値
|I|を下げ、同じく電圧値|V|の上昇率も下げるこ
とで電力値|P|の上限値が一定になるように制御す
る。
【0041】なお、本実施の形態の駆動回路51の掛け
算器53を省略することにより、定電圧制御の駆動回路
51となる。さらに、本実施の形態の駆動回路51をD
/Aコンバータ、A/Dコンバータ及びCPUで構成
し、本実施の形態と同様の作用をさせても良い。また、
定電流制御から定電圧制御、あるいは定電力制御への切
換え状態を表示する何らかの形の表示手段あるいは表音
手段を装置本体2に設けても良い。
【0042】また、図11は第2の実施の形態(図9お
よび図10参照)の変形例を示すものである。本変形例
は第2の実施の形態のように電力を一定にする技術を簡
易的に達成する方法である。
【0043】すなわち、本変形例ではインピーダンス|
Z|の値が予め設定されたある設定値Z1 までは第2の
実施の形態と同様に定電流駆動するが、その設定値Z1
を過ぎてからは電圧値|V|の大きさを一定に制御する
ようにしている。この場合には電流値|I|が下がって
電力|P|の値は若干上がっていくことになるが、この
ような簡易的な制御をしても結果的に電力|P|にはほ
ぼ上限の制限をかけることができる。
【0044】また、図12(A),(B)は本発明の第
3の実施の形態を示すものである。本実施の形態は第1
の実施の形態(図1乃至図7(A),(B)参照)の超
音波手術装置1と、内視鏡システム61と、電気メス装
置62とを組合わせた手術装置63に本発明を適用した
制御状態の告知方法の例である。
【0045】図12(A)は手術装置63全体の概略構
成を示すもので、64は硬性内視鏡、65はこの硬性内
視鏡64に接続される内視鏡用カメラヘッド、66はこ
のカメラヘッド65に接続されるTVカメラ用プロセッ
サ、67は電気メス装置、68は気腹器、69はモニタ
である。ここで、内視鏡64、カメラヘッド65、TV
カメラ用プロセッサ66、電気メス装置67、気腹器6
8、モニタ69はシリアルにつながっている。さらに、
電気メス装置67には電気メス用のハンドピース70
と、そのためのフットスイッチ71とが接続されてい
る。
【0046】また、TVカメラ用プロセッサ66の中に
は図12(B)に示すようにCCU72が装着されてい
る。そして、内視鏡64の映像がこのCCU72によっ
て電気信号に変えられるようになっている。
【0047】さらに、本実施の形態の超音波手術装置1
の装置本体2内には超音波処置具の駆動回路23、制御
部31、表示部22の他にキャラクタージェネレータ7
3が配設されている。このキャラクタージェネレータ7
3の入力側には制御部31および表示部22がそれぞれ
接続されている。
【0048】また、キャラクタージェネレータ73の出
力側はスーパーインポーザ74の一方の入力端に接続さ
れている。このスーパーインポーザ74の他方の入力端
にはCCU72からの出力信号が入力されるようになっ
ている。さらに、スーパーインポーザ74の出力端には
バッファ75の入力端が接続されている。このバッファ
75の出力側はモニタ69に接続されている。このモニ
タ69には画像表示画面76の一部に告知情報表示領域
77が設けられている。そして、この告知情報表示領域
77には超音波振動に対する負荷状態や、その他の各種
情報を表示するようになっている。
【0049】次に、上記構成の作用について説明する。
本実施の形態では超音波手術装置1の内部で告知したい
所望の項目、例えば、超音波出力のオンオフ状態を示す
情報をキャラクタージェネレータ73で生成する。ここ
で生成したキャラクター信号は先のCCU72からの出
力信号とスーパーインポーザ74で混合される。そし
て、このスーパーインポーザ74からの出力信号はバッ
ファ75で増幅されたのち、TV用信号がモニタ用信号
として出力される。
【0050】このとき、モニタ69の画像表示画面76
の一部の告知情報表示領域77上には図12(B)に示
すように、例えば、このモニタ69の右上隅の方に超音
波出力がオン状態であるという告知情報がスーパーイン
ポーズ状態で表示される。
【0051】なお、複数の手術装置の状態をモニタ69
の画像表示画面76の内視鏡像のモニタ画像に重ねて表
示する場合には従来は各手術装置の専用のキャラクター
ジェネレータ装置が必要となる。そのため、従来の装置
では超音波手術装置1や、電気メス装置62や、あるい
は気腹器68と接続して、それらの出力信号からその状
態を示すためのキャラクターを生成させる必要があるの
で、従来の装置では仮に新しい手術装置が開発された場
合にはそのキャラクタージェネレータ装置も新たにモデ
ィファイしないといけない不具合がある。
【0052】これに対して、上記構成の本実施の形態で
はスーパーインポーザ74を手術装置63の内部に組み
込み、しかもシリアルでつなげていけるように構成した
ので、本実施の形態では新しい手術装置が加わってもそ
の新装置にシリーズにつなげることでモニタ69の画像
表示画面76の一部の告知情報表示領域77上に容易に
スーパーインポーズの表示をすることが可能となる効果
がある。
【0053】なお、本発明は上記実施の形態に限定され
るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々
変形実施できることは勿論である。次に、本出願の他の
特徴的な技術事項を下記の通り付記する。
【0054】記 (付記項1) 超音波振動によって組織を処置する装置
であって、超音波振動を発生する超音波振動子と、超音
波振動を処置部に伝達するプローブと、を含むハンドピ
ース、超音波振動子に、設定した一定電流が流れるよう
に制御する定電流制御機構を含む駆動回路と、超音波振
動子に印加される電圧の大きさを示す信号を取り出し、
その変化を表示する表示手段、から成り、超音波振動に
対する負荷状態を告知するようにしたことを特徴とする
超音波手術装置。
【0055】(付記項1の従来技術) 従来、超音波振
動の応用技術として超音波凝固切開、超音波クリップ溶
着、超音波トラカールなどの装置が考えられている。負
荷の状態をモニタして出力をon、offするなども考
えられている。
【0056】(付記項1が解決しようとする課題) し
かし、負荷への超音波エネルギーを与える間の制御はあ
まり考えられていない。超音波を利用した手術装置があ
るが、トラカールや凝固手術装置は組織への力量が振動
子への負荷になる。力を入れすぎると、負荷が上昇しす
ぎて振動できなくなり、かえって機能が働かない事にな
る。
【0057】(付記項1の目的) 超音波振動による各
機能を適切に利用できるようにする。 (付記項1の作用) 電流の設定値を入力あるいは表示
する手段があって、駆動電圧の実際値を表示する手段が
あって、定電流での駆動時の印加電圧を表示する手段を
持つ。印加電圧を告知する手段は、例えば、ランプの光
量による変化あるいは音の高低、または音の音量の大小
によって可能である。これによって負荷の状態を術者に
知らせることができる。
【0058】(付記項1の効果) 術者が操作するハン
ドピースの操作力量を装置側が告知するので、その処置
具への力量のコントロールが術者によって容易に行うこ
とができる。引いては、安定な凝固につながる。超音波
手術装置としてそれが有効に働くためのパラメータの一
つである力量についてユーザーがコントローラブルにな
って、最終的には安定した処置につながっていくという
効果につながっていく。
【0059】(付記項2) 上記印加される電圧の大き
さを示す信号を取り出す手段は複数のコンパレータを含
み、表示手段は複数の発光ダイオードによるバーグラフ
としたことを特徴とする付記項1の超音波手術装置。
【0060】(付記項3) 上記印加される電圧の大き
さを示す信号を取り出す手段は電圧−周波数変換器を含
み、表示手段は音質が電圧の大きさに従って変化する表
音としたことを特徴とする付記項1の超音波手術装置。
【0061】(付記項4) 超音波振動によって組織を
処置する装置であって、超音波振動を発生する超音波振
動子と、超音波振動を処置部に伝達するプローブと、を
含むハンドピース、超音波振動子に設定した一定電流が
流れるよう制御する定電流制御機構を含む駆動回路と、
超音波振動子に印加される電圧の大きさを示す信号を取
り出す手段、超音波振動子に供給するエネルギー量の制
限を設定する手段、を含み、前記エネルギーの制限量に
達した場合、定電流制御から先のエネルギー制限制御の
駆動方式に切り換えて駆動するようにしたことを特徴と
する超音波手術装置。
【0062】(付記項4の従来技術) 従来からこのよ
うな超音波手術装置の駆動回路としては処置部を生体組
織の処置対象部位に当接させた際にプローブに加わる負
荷の大きさが変化してもプローブの振動振幅が一定にな
るように定電流制御を行う場合が多い。
【0063】(付記項4が解決しようとする課題) た
だし、定電流制御の機能を維持できる範囲を設計上、大
きくしておくことが、(つまりプローブの負荷変動に対
し、定電流を維持できる能力、すなわち印加電圧の大き
さの範囲を大きくしておく)、駆動装置としては良い
が、手術において生体組織を処置する中で、必要以上に
定電流の機能維持ができすぎると、生体組織に対して過
剰なエネルギーを供給してしまうことになる。
【0064】(付記項4の目的) 組織への過剰なエネ
ルギー供給を制限する。 (付記項4の作用) 超音波振動子を定電流で駆動して
振幅を一定にコントロールする中で、駆動電圧をモニタ
する手段、設定可能なエネルギーの上限値(電圧の上限
値)を設定し、その設定値に達したとき、それ以上は振
動子への電力を供給しないようにする。これによって即
ち、定電圧駆動に切り換えて、エネルギー供給量を制限
する。
【0065】(付記項4の効果) 組織への過剰なエネ
ルギー供給を制限することができるので、より安全な超
音波凝固装置の提供が可能になる。 (付記項5) 前記電流値と前記電圧値の変化に基づい
て、振動子に供給する電力を示す信号を生成する手段を
含み、前記エネルギー制限制御駆動は、定電力駆動であ
ることを特徴とする付記項4の超音波手術装置。
【0066】(付記項6) 前記電圧値の変化に基づい
て、振動子に供給する最大電圧を制限する手段を含み、
前記エネルギー制限制御駆動は、定電圧駆動であること
を特徴とする付記項4の超音波手術装置。
【0067】(付記項7) 上記駆動回路は上記超音波
振動子に、予め設定された一定電流が流れるように制御
する定電流制御手段を有し、上記負荷状態検出手段は、
上記超音波振動子に印加される電圧の大きさを示す信号
を取り出し、その変化状態に基いて上記処置部に作用す
る負荷状態を判断する手段とを具備する付記項1の超音
波手術装置。
【0068】(付記項8) 上記負荷状態告知手段は上
記超音波振動子に印可される電圧の大きさに基いて上記
処置部の負荷状態を表示する表示手段を有する付記項1
の超音波手術装置。
【0069】(付記項9) 上記負荷状態を判断する手
段は、上記超音波振動子に供給される電圧信号の大きさ
を検出する電圧検出手段と、所定の基準電圧を設定する
基準電圧設定手段と、この基準電圧設定手段で設定され
た基準電圧と、検出された電圧信号とを比較して、上記
基準電圧に対する割合を判別する、複数のコンパレータ
を具備する判別手段と、から構成され、上記負荷状態告
知手段は、複数の発光ダイオードが並設されたバーグラ
フを有し、上記判別手段によって判別された結果に基づ
いて上記発光ダイオードの発光状態を選択的に制御して
上記負荷状態をレベル表示するものである付記項8の超
音波手術装置。
【0070】(付記項10) 上記負荷状態を判断する
手段は、上記超音波振動子に印可される電圧の変化を周
波数の変化に変換する電圧−周波数変換器を含み、上記
負荷状態告知手段は、上記電圧の大きさに従って音質が
変化する表音手段を有する付記項8の超音波手術装置。 (付記項11) 上記駆動回路ユニットは、上記負荷状
態告知手段が別体に設けられている付記項7の超音波手
術装置。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、術者が操作するハンド
ピースの操作力量を負荷状態告知手段によって告知する
ことができ、そのハンドピースの操作力量のコントロー
ルを術者によって容易に行うことができるので、超音波
振動による各処置機能を適切に利用できるとともに、生
体組織への過剰なエネルギー供給を制限することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態を示す超音波手術
装置全体の概略構成図。
【図2】 第1の実施の形態の超音波手術装置の交換用
処置具を示す斜視図。
【図3】 第1の実施の形態の超音波手術装置の装置本
体を示す斜視図。
【図4】 第1の実施の形態の超音波手術装置の装置本
体内に配設された駆動回路を示す概略構成図。
【図5】 第1の実施の形態の駆動回路の要部構成を示
す概略構成図。
【図6】 第1の実施の形態の超音波手術装置の使用状
態を示す要部の斜視図。
【図7】 (A)は装置本体内の駆動回路の概略構成
図、(B)は定電流駆動制御を行っている状態を示す特
性図。
【図8】 第1の実施の形態の変形例を示す駆動回路の
要部の概略構成図。
【図9】 本発明の第2の実施の形態の超音波手術装置
の装置本体内に配設された駆動回路を示す概略構成図。
【図10】 第2の実施の形態の超音波手術装置の使用
時の電流・電圧・電力の変化状態を示す要部の特性図。
【図11】 第2の実施の形態の超音波手術装置の変形
例を示す要部の特性図。
【図12】 本発明の第3の実施の形態を示すもので、
(A)は手術装置全体の概略構成図、(B)は装置本体
内の駆動回路の概略構成図。
【符号の説明】
4 ハンドピース 11、15 処置部 12 プローブ H 生体組織 20 設定表示部(表示手段) 22 バーグラフ表示部(負荷状態告知手段) 23、51 駆動回路 41 音質変化告知手段(負荷状態告知手段) 77 告知情報表示領域(負荷状態告知手段)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体組織を処置する処置部を備えたハン
    ドピースと、 このハンドピースに内蔵された超音波振動子と、 この超音波振動子からの超音波振動を前記処置部に伝達
    するプローブと、 前記超音波振動子の駆動回路とを備えた超音波手術装置
    において、 前記超音波振動子に、予め設定された一定電流が流れる
    ように制御する定電流制御手段と、 前記超音波振動子に印加される電圧の大きさを示す信号
    を取り出し、その変化を表示して超音波振動に対する負
    荷状態を告知する負荷状態告知手段とを具備したことを
    特徴とする超音波手術装置。
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