JPH1165625A - 数値制御送り装置の送り位置誤差補正方法と数値制御送り装置 - Google Patents

数値制御送り装置の送り位置誤差補正方法と数値制御送り装置

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JPH1165625A
JPH1165625A JP22996397A JP22996397A JPH1165625A JP H1165625 A JPH1165625 A JP H1165625A JP 22996397 A JP22996397 A JP 22996397A JP 22996397 A JP22996397 A JP 22996397A JP H1165625 A JPH1165625 A JP H1165625A
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JP
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ball screw
error
rotation angle
error component
periodic
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JP22996397A
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English (en)
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Tadashi Otani
忠司 大谷
Shuji Ono
修司 小野
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Toyoda Koki KK
Original Assignee
Toyoda Koki KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コストアップをほとんど発生させずに、ボー
ルねじを具備した送り機構を有する数値制御送り装置の
位置決めの周期性誤差成分を補正すること。 【解決手段】 先ず誤差測定過程で、数値制御送り装置
の送り機構1のボールねじ15の一回転を一周期とする
周期性誤差成分を、ボールねじ15の一回転分測定す
る。次にデータベース化過程で、上記誤差測定過程で検
出された周期性誤差成分に基づき、周期性誤差成分をボ
ールねじ15の回転角度に関するデータベースとして制
御装置2のメモリ22に格納する。最後に運用時の誤差
補正過程で、ボールねじ15の駆動時に制御装置2が与
える角度指令に基づいて上記データベースから周期性誤
差成分を呼び出し、これに相当する補正をサーボモータ
13に与える上記指令に施して送り位置誤差を補正す
る。大容量のメモリが必要ないだけではなく較正に要す
る工数が少ないので、コストアップはほとんど無い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボールねじによる
送り機構を具備している数値制御送り装置(NCマシン
またはCNCマシン)の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来技術による数値制御送り装置では、
出荷前の較正(キャリブレーション)工程において、図
2の折れ線グラフに示すように、ボールねじの駆動によ
るテーブル等の移動に伴い、全ストロークのうちで数点
から数十点程度の測定点が取られていた。これらの測定
点では、ボールねじが理想的に製造されているものとし
てボールねじの回転角度から理論的に計算される理論位
置と、リニアスケールなどの精密測定装置による実測位
置との間の位置誤差が検出されて記録される。
【0003】記録された各測定点での位置誤差は、各測
定点でのボールねじの回転角に対応する位置誤差として
データベース化され、数値制御送り装置の制御装置の中
のメモリに格納されて、数値制御送り装置は出荷され
る。数値制御送り装置の運用時には、上記メモリに格納
されているデータベースから位置誤差が呼び出され、ボ
ールねじの回転角度に応じて線形補間された位置誤差の
分だけの補正が施されて、ボールねじの駆動制御を行う
制御指令が制御装置から出力される。
【0004】前述のように補正された制御指令がボール
ねじを駆動するサーボモータに与えられると、ボールね
じは適当に補正された回転角だけ回転駆動され、精密な
位置決めが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが発明者らがよ
り細かい間隔で多数の測定点を設定して位置誤差の計測
を行ったところ、図2の波線に示すように、従来の粗い
測定点では把握できなかった位置誤差が存在することが
明らかになった。すなわち、この位置誤差には、ボール
ねじの回転角に関して所定の周期で周期性のある誤差成
分(周期性誤差成分)が含まれている。周期性誤差成分
のうち代表的なものは、ボールねじの一回転に一周期が
対応している周期性誤差成分であって、直交三軸方向の
いずれの位置誤差にも含まれていた。
【0006】かような周期性誤差成分の補正には、測定
点の間隔を非常に細かく取り測定点の数を例えば数千点
に増やすなどの措置を取れば、従来技術の延長線上で対
応することも可能ではある。しかしながら、上記従来技
術の延長線上の補正手段では、位置誤差の補正に要する
メモリの容量が二桁ほど大きくなり、より容量が大きな
メモリが必要とされるので、数値制御送り装置の部品コ
ストの上昇を招いてしまう。また、位置誤差の測定点が
数千点と膨大な数に上るので、較正工程に要する工数が
膨大になって作業時間が飛躍的に増大するので、作業工
数の点でも製品のコストアップは免れ得ない。
【0007】そこで本発明は、コストアップをほとんど
発生させることなしに、周期性誤差成分の補正が可能な
数値制御送り装置とその送り位置誤差補正方法とを提供
することを解決すべき課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記課題を解決するために、発明者は以下の手段を発明し
た。 [方法発明] (第1手段)本発明の第1手段は、請求項1記載の数値
制御送り装置の送り位置誤差補正方法である。
【0009】ここで、送り位置誤差とは、ボールねじの
送り方向の位置誤差だけではなく、送り方向を垂線とす
る直交面内における径方向の位置誤差をも含むものとす
る。このような径方向の位置誤差は、当該ボールねじの
回転角度の調整だけでは補正できないが、上記ボールね
じの送り方向とは異なる他の軸のツールまたはワークの
送り機構で補正することが可能である。
【0010】本手段では、先ず、誤差測定過程におい
て、ボールねじの回転角度に応じて周期的に発生する送
り位置の周期性誤差成分が、ボールねじの全ストローク
のうち少なくとも周期性誤差成分の一周期に渡って測定
される。次に、誤差測定過程において検出された周期性
誤差成分の少なくとも一周期分に基づいて、周期性誤差
成分が、ボールねじの回転角度に関するデータベースと
して制御装置のメモリに格納される。最後に、ボールね
じの駆動時に、回転角検出手段からの回転角度情報に基
づいて上記データベースから周期性誤差成分が呼び出さ
れ、周期性誤差成分に相当する補正がサーボモータに与
える指令に施されて、送り位置誤差が補正される。
【0011】すなわち、周期性誤差成分は、その名の通
り、ボールねじの回転角度に関する特定の周期を持っ
て、ボールねじの全ストロークに渡って周期的に繰り返
される位置誤差である。それゆえ、周期性誤差成分の少
なくとも一周期分を計測すれば、ボールねじの全ストロ
ークについて周期性誤差成分を算出することが可能にな
る。発明者はこの点に着目し、周期性誤差成分の一周期
分だけのデータベースを作成して、ボールねじの全スト
ロークに渡って上記一周期分の周期性誤差成分による補
正を施せばよいことに気が付いた。
【0012】それゆえ本手段によれば、ボールねじの全
ストロークに渡って細かい間隔で極めて多数の測定点を
設定して較正用の位置誤差の計測を行う必要はなく、少
なくとも周期性誤差成分の一周期分だけを細かい間隔の
計測点を設定して計測すれば事足りる。その結果、数点
から数十点の測定点を一周期に割り当てて周期性誤差成
分の計測を行うだけでよいので、出荷前の較正を行うに
あたり誤差測定過程での工数の増加は極めて限定的なも
のとなる。同様に、メモリに格納すべき周期性誤差成分
のデータベースの量もごく限定されているので、メモリ
の大幅な容量増大は必要がなく、高価なメモリの使用に
よる部品価格の上昇は防止される。
【0013】したがって本手段によれば、誤差測定過程
での工数が少なくて済みメモリの容量増大もごく少なく
て済む。それゆえ、製品(数値制御送り装置)のコスト
アップをほとんど発生させることなしに、周期性誤差成
分の補正が可能な数値制御送り装置の送り位置誤差補正
方法を提供することができるという効果がある。 (第2手段)本発明の第2手段は、請求項2記載の数値
制御送り装置の送り位置誤差補正方法である。
【0014】本手段では、周期性誤差成分の一周期はボ
ールねじの一回転に相当しており、最も顕著な周期性誤
差成分を補正する作用がある。すなわち、周期性誤差成
分の代表的なものが、ボールねじの一回転を一周期とし
て発生する位置誤差であるから、本手段にはこの代表的
な周期性誤差成分を補正する作用があり、周期性誤差成
分の大半を補正することが可能である。
【0015】また、ボールねじの一回転が周期性誤差成
分の一周期に対応しているので、誤差補正過程において
周期性誤差成分の位相をボールねじの回転角度そのもの
として定義することができる。それゆえ、ボールねじの
回転角度に対応する周期性誤差成分の位相を割り出す計
算は、特別に必要とはされない。したがって本手段によ
れば、前述の第1手段の効果に加えて、極めて簡素な演
算により最も代表的な周期性誤差成分を補正することが
可能になるという効果がある。
【0016】(第3手段)本発明の第3手段は、請求項
3記載の数値制御送り装置の送り位置誤差補正方法であ
る。本手段では、データベース化過程で作成されるデー
タベースは、ボールねじの回転角度の一周期分に渡って
回転角度に対応する周期性誤差成分として作成される。
それゆえ、データベース化過程において特別な計算(正
弦波関数によるカーブフィッティングなど)は必要とさ
れないので、データベース化過程で使用するプログラム
は簡素であってわずかの費用で簡単に開発することが可
能である。
【0017】また、正弦波関数によるカーブフィッティ
ングが行われず、周期性誤差成分の計測データそのもの
が一周期分に渡ってデータベース化されるので、正弦波
関数から外れている成分についても忠実にデータベース
化される。それゆえ、数値制御送り装置を実際に運用す
る誤差補正過程において、周期性誤差成分のうち正弦波
関数から外れている成分についても忠実に補正される。
【0018】したがって本手段によれば、前述の第1手
段の効果に加えて、誤差補正過程で周期性誤差成分のう
ち正弦波関数から外れている成分についても忠実に補正
され、位置誤差のより精密な補正が可能になるという効
果がある。 (第4手段)本発明の第4手段は、請求項4記載の数値
制御送り装置の送り位置誤差補正方法である。
【0019】本手段では、データベース化過程で作成さ
れ誤差補正過程でアクセスされるデータベースは、周期
性誤差成分に基づいてフィッティングされた正弦波関数
の周期、振幅および位相のうち少なくとも振幅および位
相をその内容としている。すなわち、周期性誤差成分
は、ボールねじの回転に伴って増減する位相θの正弦波
関数a×sin(θ+φ)として表されるので、上記デ
ータベースは少なくとも振幅aおよび位相φで構成され
ている。そして、周期性誤差成分の一周期がボールねじ
の一回転に対応していない場合には、周期性誤差成分の
一周期に相当するボールねじの回転角度Tが、上記正弦
波関数の周期Tとして上記データベースに付記されてい
る。
【0020】それゆえ、数値制御送り装置のメモリに格
納されるべきデータベースは、最大でも上記正弦波関数
の周期T、振幅aおよび位相φの三つの実数だけであ
り、メモリの容量を増やす必要はほとんど無い。そのう
え、誤差測定過程で測定された周期性誤差成分のうち正
弦波関数に乗らない成分は棄却されるが、同成分は他の
位相面で必ずしも再現性があるものとは限らないので、
本手段の方が、むしろ補正はより正確になる可能性があ
る。
【0021】したがって本手段によれば、前述の第1手
段の効果に加えて、メモリの容量を増やす必要はほとん
ど無いという効果がある。また、補正がより正確になる
可能性があるという効果もある。 [装置発明] (第5手段)本発明の第5手段は、請求項5記載の数値
制御送り装置である。
【0022】本手段では、送り機構を数値的に制御する
制御装置に、メモリと演算手段とが具備されている。先
ず上記メモリには、送り機構のボールねじの回転角度に
応じて発生する周期性誤差成分の一周期分を含むデータ
ベースが格納されている。ここで、周期性誤差成分を表
すデータベースには、一周期分の周期性誤差成分のデー
タが格納されていれば十分であるので、データベースを
格納しておくためのメモリ容量はごく少なくて済む。そ
れゆえ、大容量のメモリは必要とされないので、本手段
の数値制御送り装置では部品コストがほとんど増大しな
い。
【0023】また、一周期分の周期性誤差成分のデータ
ベースを作成するためには、周期性誤差成分の一周期分
に相当するだけのボールねじの回転角度の範囲で位置誤
差の計測が行われれば十分である。すなわち、ボールね
じの全ストロークについて膨大な数の測定点を設定して
位置誤差の測定を行う必要がないので、周期性誤差成分
の測定に必要な位置誤差の測定工数はごく限定されたも
のとなる。それゆえ、周期性誤差成分のデータベースを
作成するための位置誤差の測定工数はごく限られたもの
であるから、同測定工数の増大による較正コストの増大
はごくわずかである。
【0024】次に上記演算手段には、ボールねじの駆動
時に、ボールねじの回転角度を計測する回転角検出手段
からの回転角度情報に基づいて、上記メモリに格納され
たデータベースから周期性誤差成分が呼び出されて与え
られる。そして演算手段は、周期性誤差成分に相当する
補正を施して、サーボモータに与える制御指令を演算し
て出力する。
【0025】その結果、送り機構では周期性誤差成分の
補正が施された位置決めが行われるようになる。したが
って本手段によれば、周期性誤差成分の補正がなされた
制御指令が制御装置から送り機構に与えられるので、送
り機構はより正確に送り位置の位置決めを行うことがで
きるようになる。すなわち、コストアップをほとんど発
生させることなしに、周期性誤差成分の補正が可能な数
値制御送り装置を提供することができるという効果があ
る。
【0026】なお、本手段の数値制御送り装置は、前述
の第1手段ないし第4手段の数値制御送り装置の送り位
置誤差補正方法の前半を実施して製造され、運用時に同
方法の後半を実施する装置である。すなわち、本手段の
数値制御送り装置の出荷前には、数値制御送り装置の送
り位置誤差補正方法における誤差測定過程およびデータ
ベース化過程が行われて較正され、本手段の数値制御送
り装置が完成する。そして、本手段の数値制御送り装置
が運用される段階では、数値制御送り装置の送り位置誤
差補正方法における誤差補正過程が行われて、より精密
に送り機構が制御されるようになる。
【0027】
【発明の実施の形態および実施例】本発明の数値制御送
り装置およびその送り位置誤差補正方法の実施の形態に
ついては、当業者に実施可能な理解が得られるように、
以下の実施例で明確かつ十分に説明する。 [実施例1] (実施例1の数値制御送り装置)本発明の実施例1とし
ての数値制御送り装置(CNCマシン)は、図1に示す
ように、送り機構にボールねじ15を利用している送り
機構1と、数値制御用コンピュータである制御装置2
と、サーボアンプである駆動回路3とを有する。
【0028】ここで、送り機構1は、ボールねじ15
と、ボールねじ15を回転駆動するサーボモータ13
と、ボールねじ15の回転角度を検出する回転角検出手
段としてのエンコーダ14とを持つ。一方、制御装置2
は、エンコーダ14からのボールねじ15の回転角度情
報を得て、駆動回路3を介して送り機構1を数値的に制
御する。
【0029】送り機構1は、図略のガイドを介してベッ
ド11の上に水平に保持されている水平方向(図中左右
方向)に移動可能なテーブル18を、希望の位置に正確
に移動させるための装置である。テーブル18の下端か
らは、テーブル18と一体に形成されているナット取付
部17が突出しており、ナット取付部17にはボールね
じ15用のナット16が固定保持されている。そしてナ
ット16には、ボールねじ15が係合して挿入されてい
る。
【0030】ボールねじ15の一端は、ベッド11に固
定されているサーボモータ13により回転駆動可能に保
持されており、ボールねじ15の他端は、ベッド11に
固定されているボールベアリングであるボールねじサポ
ート12により回転可能に保持されている。サーボモー
タ13には、ボールねじ15の回転角度を検出するエン
コーダ14が付設されており、エンコーダ14は、上記
回転角度の計測値を制御装置2に伝達するようになって
いる。
【0031】さらに、テーブル18のナット取付部17
の下端にはリニアスケール19のヘッド19aが取り付
けられており、ベッド11にはリニアスケール19のス
ケール19bがボールねじ15に沿って取り付けられて
いる。ヘッド19aとスケール19bとは一対になって
リニアスケール19を構成している。リニアスケール1
9によって検出された変位の計測値は、制御装置2によ
って取得され、インターフェース25を介してCPU2
1に入力される。上記計測値はCPU21にローディン
グされた所定のプログラムで処理され、メモリ22に補
正値テーブルのデータベースとして格納される。
【0032】なお、リニアスケール19およびインター
フェース25は、数値制御送り装置の較正用の装備であ
って、数値制御送り装置の出荷時には撤去されている。
制御装置2は、演算手段としてのCPU21と、CPU
21に各種データを供給するメモリ22と、操作員が操
作するための入力装置23と、操作員に運転状況等を表
示する出力装置24と、各種インターフェースとから構
成されている。メモリ22には、ボールねじ15の回転
角度に応じて発生する周期性誤差成分の一周期分を含む
データベース(補正値テーブルと図示)が格納されてお
り、CPU21からの要求に応じて必要な周期性誤差成
分が供給される。
【0033】そして、ボールねじ15の駆動時には、サ
ーボモータ13に与える制御指令に対応したボールねじ
15の回転角度情報に基づいて、CPU21は、メモリ
22の上記データベースから周期性誤差成分を呼び出
す。CPU21はさらに、同周期性誤差成分に相当する
補正を施してサーボモータ13に与える制御指令を演算
して、駆動回路3を介してサーボモータ13を適正に駆
動する。
【0034】なおメモリ22には、数値制御手順を定め
たNCプログラム、上記周期性誤差成分を含む各種位置
誤差の補正を行うための補正プログラム、サーボモータ
13を駆動する指令を演算するための演算プログラム、
および上記補正値のテーブル(表形式のデータベース)
が格納されている。 (実施例1の補正方法)本発明の実施例1としての数値
制御送り装置の送り位置誤差補正方法は、出荷前の較正
工程で実施される誤差測定過程およびデータベース化過
程と、運用時(試験時を含む)に実施される誤差補正過
程とを有する。
【0035】ハードウェア上の前提として、出荷前の較
正工程を始める際には、予めリニアスケール19等の位
置誤差検出手段一式が数値制御送り装置の送り機構1に
取り付けられている。これとともに、リニアスケール1
9等からの測定値をCPU21に引き渡すために、較正
工程で臨時に使用するインターフェース25が制御装置
2に接続されている。なお、位置誤差測定用のリニアス
ケール19および臨時のインターフェース25は、数値
制御送り装置の出荷時には撤去されて、次の数値制御送
り装置の較正工程に再び使用される。
【0036】先ず、誤差測定過程において、ボールねじ
15の回転角度に応じて周期的に発生する送り位置の周
期性誤差成分が、ボールねじの全ストロークのうち周期
性誤差成分の一周期分だけ、所定の角度間隔で設定され
た測定点で測定される。ここで、周期性誤差成分の支配
的な成分は、その一周期がボールねじ15の一回転に相
当していることが経験上明らかであるので、周期性誤差
成分の一周期分は、ボールねじ15の一回転に相当して
いる。それゆえ、ボールねじ15の全ストロークのうち
適正な一回転分だけについて等間隔に十数点程度の測定
点が設定され、各測定点にてボールねじ15の位置誤差
が測定される。
【0037】なお、ボールねじ15の一回転分の位置誤
差の測定に先んじて、図2に折れ線で示すように、ボー
ルねじ15の全ストロークに渡っても十数点程度の測定
点が設定され、リニアスケール19等により位置誤差が
計測される。そして、制御装置2のインターフェース2
5を介してCPU21で処理を受け、制御装置2のメモ
リ22内に全ストロークのテーブルデータとして格納さ
れる。
【0038】再び図2に示すように、実際の位置誤差は
折れ線に正弦波状の波線が乗っているグラフで良く近似
されるので、たとえば図3に示すような正弦波関数を折
れ線に重畳させることにより、実際の位置誤差を精度良
く補正することが可能になる。折れ線状の位置誤差およ
び正弦波状の周期性誤差成分は、図4(a)〜(b)に
示すように、X方向(ボールねじ15の送り方向)だけ
ではなく、同方向に直交しているY方向およびZ方向に
も発生する。これらの位置誤差(Y方向の位置誤差、Z
方向の位置誤差)は、Y方向およびZ方向の送り装置
(図略)にそれぞれ取り付けられているリニアスケール
(図略)によって測定することが可能である。
【0039】次に、図5に示すように、上記誤差測定過
程で検出された周期性誤差成分の一周期分に基づいて、
周期性誤差成分が、ボールねじ15の回転角度(一回転
中の角度位置)に関するデータベースとして、制御装置
2のメモリ22に格納される。メモリ22中の周期性誤
差成分の補正用テーブルとしては、図6(a)〜(c)
に概念的に示すように、ボールねじ15の角度位置θに
対応する直交三軸方向の誤差成分ΔX,ΔY,ΔZが、
補正値として一覧表状に格納される。
【0040】最後に、ボールねじ15の駆動時に、サー
ボモータ13に与える指令に対応したボールねじ15の
回転角度情報(指令された位置はボールねじ15の一回
転のうちどの角度位置にあるか)に基づいて、メモリ2
2に格納されている上記データベースから周期性誤差成
分ΔX,ΔY,ΔZが呼び出される。そして、線形補間
が行われて同周期性誤差成分に相当する補正が、前述の
折れ線に相当する補正に重畳されてサーボモータ13に
与える指令に施され、送り機構1の直交三軸方向の各位
置誤差が補正される。
【0041】ここで、送り装置1の送り方向の位置誤差
(X誤差)については、図7に示すように、送り機構1
のボールねじ15の回転角度を調整することにより補正
される。一方、X誤差と直交する方向のY誤差およびZ
誤差については、図示しないY方向の送り機構およびZ
方向の送り機構に補正された駆動指令が制御装置2から
与えられ、X誤差と同様に適正な補正が行われる。
【0042】(実施例1の効果)以上詳述したように、
本実施例の数値制御送り装置およびその送り位置誤差補
正方法によれば、ボールねじの全ストロークに渡って細
かい間隔で極めて多数の測定点を設定して較正用の位置
誤差の計測を行う必要はない。すなわち、ボールねじ1
5の一回転に相当する周期性誤差成分の一周期分だけ
を、比較的細かい間隔の計測点を設定して計測すれば事
足りる。その結果、十数点程度の測定点をボールねじ1
5の一回転に割り当てて周期性誤差成分の計測を行うだ
けでよいので、出荷前の較正を行うにあたり誤差測定過
程での工数の増加は極めて限定的なものとなる。同様
に、メモリ22に格納すべき周期性誤差成分のデータベ
ースの量もごく限定されているので、メモリ22の大幅
な容量増大は必要がなく、高価なメモリの使用による部
品価格の上昇は防止される。
【0043】したがって本実施例によれば、誤差測定過
程での工数が少なくて済みメモリ22の容量増大もごく
少なくて済む。それゆえ、製品(数値制御送り装置)の
コストアップをほとんど発生させることなしに、直交三
軸方向の周期性誤差成分の補正が可能な数値制御送り装
置およびその送り位置誤差補正方法を提供することがで
きるという効果がある。
【0044】(実施例1の変形態様1)本実施例の変形
態様1として、メモリ22に格納される周期性誤差成分
ΔX,ΔY,ΔZは、正弦波関数の振幅および位相にな
おして格納されている形態の実施が可能である。すなわ
ち、本変形態様においてメモリ22内の周期性誤差成分
のデータベースは、周期性誤差成分の計測値ΔX,Δ
Y,ΔZに基づいてそれぞれフィッティングされた三つ
の正弦波関数a×sin(θ+φ)の振幅aおよび位相
φである。同正弦波関数の周期はボールねじ15の一回
転に相当しているので、ボールねじ15の回転角度位置
θをそのまま正弦波関数の回転角度の増分として使用す
ることができる。
【0045】より詳しく説明すると、較正工程では、計
測値ΔX,ΔY,ΔZと正弦波関数のフィッティングを
行うプログラムとを格納する較正用メモリ(図略)が、
制御装置2に臨時に付加される。そして、図8に示すよ
うに、誤差測定過程で上記較正用メモリにいったん格納
された計測値ΔX,ΔY,ΔZに基づき、データベース
化過程で適正な正弦波関数が最小二乗法などのカーブフ
ィッティング手法により求められる。こうして求められ
た直交三軸方向の各正弦波関数の振幅aおよび位相φ
は、制御装置2のメモリ22に格納され、誤差補正過程
で呼び出されて周期性誤差成分の補正に使用される。
【0046】本変形態様によれば、メモリ22に格納す
べきデータは、直交三軸方向の各正弦波関数の振幅aお
よび位相φだけであるから六つの実数だけである。それ
ゆえ本変形態様では、メモリ22の記憶容量に対する要
求が実施例1よりもさらに低減されていながら、実施例
1よりも幾分精密な周期性誤差成分の補正が可能になる
という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1としての数値制御送り装置の構成を
示す模式図
【図2】 実施例1での送りに伴う位置誤差を示すグラ
【図3】 実施例1での周期性誤差成分の一例を示すグ
ラフ
【図4】 実施例1の数値制御送り装置の位置誤差の座
標系を示す組図 (a)平面図 (b)側面図
【図5】 実施例1の補正方法における誤差測定手順を
示すブロック図
【図6】 実施例1の補正方法での周期性誤差成分テー
ブルを示す組図 (a)周期性誤差成分ΔXの補正値のテーブルデータ (a)周期性誤差成分ΔYの補正値のテーブルデータ (a)周期性誤差成分ΔZの補正値のテーブルデータ
【図7】 実施例1の補正方法における誤差補正手順を
示すブロック図
【図8】 実施例1の変形態様1の位置誤差補正方法を
示すブロック図
【符号の説明】 1:送り機構 11:ベッド 12:ボールねじサポート(ボールベ
アリング) 13:サーボモータ 14:エンコーダ(回転角検出
手段として) 15:ボールねじ 16:ナット(ボールねじ用) 17:ナット取付部 18:テーブル 19:リニアスケール(較正用の精密位置検出装置、出
荷時には撤去) 19a:ヘッド 19b:スケール 2:制御装置(数値制御用コンピュータ) 21:CPU(演算手段として) 22:メモリ 23:入力装置 24:出力装置 25:インターフェース(較正用、出荷時には撤去) 3:駆動回路(サーボアンプ) θ:ボールねじの回転角度(エンコーダで検出) ΔX,ΔY,ΔZ:送り位置誤差の周期性誤差成分 X方向:ボールねじの送り方向 Y方向:水平方向(ボールねじの送り方向に垂直) Z方向:上下方向(ボールねじの送り方向に垂直)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ボールねじと該ボールねじを回転駆動する
    サーボモータと該ボールねじの回転角度を検出する回転
    角検出手段とを持つ送り機構と、該送り機構を数値的に
    制御する制御装置とを有する数値制御送り装置の送り位
    置誤差を補正する方法であって、 前記ボールねじの回転角度に応じて周期的に発生する送
    り位置の周期性誤差成分を、該ボールねじの全ストロー
    クのうち少なくとも該周期性誤差成分の一周期に渡って
    測定する誤差測定過程と、 該誤差測定過程において検出された該周期性誤差成分の
    少なくとも一周期分に基づいて、該周期性誤差成分を前
    記ボールねじの前記回転角度に関するデータベースとし
    て前記制御装置のメモリに格納するデータベース化過程
    と、 該ボールねじの駆動時に、前記サーボモータに与える指
    令に対応したボールねじの回転角度情報に基づいて該デ
    ータベースから該周期性誤差成分を呼び出し、該周期性
    誤差成分に相当する補正を前記サーボモータに与える該
    指令に施して、送り位置誤差を補正する誤差補正過程
    と、を有することを特徴とする、数値制御送り装置の送
    り位置誤差補正方法。
  2. 【請求項2】前記周期性誤差成分の一周期は、前記ボー
    ルねじの一回転に相当する、 請求項1記載の数値制御送り装置の送り位置誤差補正方
    法。
  3. 【請求項3】前記データベースは、前記ボールねじの前
    記回転角度の前記一周期分に渡って該回転角度に対応す
    る前記周期性誤差成分である、 請求項1記載の数値制御送り装置の送り位置誤差補正方
    法。
  4. 【請求項4】前記データベースは、前記周期性誤差成分
    に基づいてフィッティングされた正弦波関数の周期、振
    幅および位相のうち少なくとも該振幅および該位相であ
    る、 請求項1記載の数値制御送り装置の送り位置誤差補正方
    法。
  5. 【請求項5】ボールねじと該ボールねじを回転駆動する
    サーボモータと該ボールねじの回転角度を検出する回転
    角検出手段とを持つ送り機構と、 該送り機構を数値的に制御する制御装置と、 を有する数値制御送り装置において、 前記制御装置は、 前記ボールねじの回転角度に応じて発生する周期性誤差
    成分の一周期分を含むデータベースを格納したメモリ
    と、 該ボールねじの駆動時に、前記サーボモータに与える指
    令に対応したボールねじの回転角度情報に基づいて該デ
    ータベースから該周期性誤差成分を呼び出し、該周期性
    誤差成分に相当する補正を施して前記サーボモータに与
    える制御指令を演算する演算手段と、を有することを特
    徴とする、数値制御送り装置。
JP22996397A 1997-08-26 1997-08-26 数値制御送り装置の送り位置誤差補正方法と数値制御送り装置 Pending JPH1165625A (ja)

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