JPH1164337A - 免疫分析要素 - Google Patents

免疫分析要素

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JPH1164337A
JPH1164337A JP14787098A JP14787098A JPH1164337A JP H1164337 A JPH1164337 A JP H1164337A JP 14787098 A JP14787098 A JP 14787098A JP 14787098 A JP14787098 A JP 14787098A JP H1164337 A JPH1164337 A JP H1164337A
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佳樹 境野
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Toshihiro Mori
寿弘 森
Osamu Seshimoto
修 瀬志本
Toshihisa Itou
敏古 伊藤
Yoshikazu Amano
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高精度かつ高再現性で高感度な分析が出来、
さらに保存安定性にも優れた免疫分析要素を提供する。 【構成】 標識酵素活性の変化を測定することにより抗
原(又は抗体)の量を分析する免疫分析要素において、
標識酵素により拡散性物質を生成する非拡散性基質を含
有する基質層と、拡散性物質をさらに低分子生成物にす
る低分子化酵素を含有する試薬層を備える。非拡散性基
質として、標識酵素とのみ反応し低分子化酵素とは反応
しない基質を使用する。抗原(又は抗体)の標識酵素を
エンド活性型糖質加水分解酵素として、試薬層中の低分
子化酵素をエクソ活性型糖質加水分解酵素とした場合に
は、基質層の非拡散性基質は、非還元末端グルコースが
修飾されたエンド型選択反応性基質とするのが好まし
い。エンド型選択反応性基質としては、非還元末端グル
コース部位からカルボキシルメチル修飾されたグルコー
ス単位部位まで予めエンド活性型糖質加水分解酵素によ
って限定分解されたカルボキシルメチル化澱粉を使用す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酵素免疫測定法を適用
した乾式免疫分析要素に関するものである。詳しくは、
標識酵素により拡散性物質を生成する非拡散性基質を含
有する基質層と、拡散性物質をさらに低分子生成物にす
る低分子化酵素を含有する試薬層を備える免疫分析要素
において、非拡散性基質を、標識酵素とのみ反応し低分
子化酵素とは反応しない基質とした免疫分析要素に関す
るものである。
【0002】
【発明の背景】血液や尿などの体液に含まれる生体成
分、薬物等の分析は、病態の診断や治療経過の判定に非
常に有用であり、臨床検査の分野で重要な役割を果たし
ている。このような微量成分(リガンド)の分析方法と
して、酵素免疫分析方法(エンザイムイムノアッセイ)
がある。酵素免疫分析方法には、B/F分離が必要な非
均一系とB/F分離が不要な均一系がある。均一系反応
は抗体と抗原(リガンド)が結合すると標識酵素の酵素
活性が何らかの干渉を受けることに基づくもので、抗原
抗体結合による阻害作用を利用する。一般には、抗原を
酵素標識しておいて、これに大分子である抗体が結合す
ることにより、酵素の基質に対する結合が立体障害を受
けたり、或いは酵素の立体構造が変化するために生じる
酵素活性の抑制を検出する。
【0003】抗原が高分子である場合には、これとは逆
に抗体に酵素標識しておいても、抗原抗体結合反応によ
る酵素活性の抑制を検出できる。
【0004】一方、多数の検体試料を取扱いルーティン
化している臨床検査では、簡便、迅速に分析でき自動操
作化もできることが望まれ、このような観点から、乾式
分析要素が提案されている(例えば特開昭49-53888(対
応US 3,992,158)、特開昭55-90859(US 4,258,001)、
特開昭55-164356(US 4,292,272)、特開昭60-222769
(EP 0 162 302A)、特開昭59-77356(EP 0 097 952
A)、特開昭59-102388(US4,861,552)、特表昭61-5018
66(US 4,459,358))。
【0005】抗体に酵素標識しておいて均一系酵素免疫
反応をさせる乾式分析要素は以下のものが知られている
(特開平1-321360)。これは(A) 高分子化抗原(リガン
ドと高分子化合物との結合物)、(B) 水不溶性の高分子
基質、(C) リガンドに対する抗体と、基質に対する酵素
との結合物、の3つを多層分析要素の同一層或いは別々
の層に含有させたものである。分析要素に点着し供給さ
れた抗原は、高分子化抗原と競争して、抗体−酵素結合
物に結合する。この抗原−抗体−酵素複合体は、水不溶
性高分子基質に反応して、可溶性の低分子生成物を生成
する。一方、高分子化抗原と結合してできた高分子抗原
−抗体−酵素複合体は、高分子基質に対して酵素活性を
示すことができない。従って検体中の抗原量が増えるに
従って、酵素反応生成物は増えることになる。この生成
物を検出層に移行させて、その量をその有色化学基が与
える吸収の光学濃度を測定することにより、検体中の抗
原量を分析するというものである。
【0006】特許第2576910号公報(対応US 5,569,58
9)記載の免疫分析要素は、これをさらに改良したもの
である。この分析要素では、標識酵素分解物をさらに低
分子化する低分子化酵素を含有する試薬層が設けられ、
この低分子化生成物を検出することにより感度の上昇が
図られている。
【0007】測定対象が高分子抗原である場合には、特
許第2576913号公報記載の免疫分析要素を使用すること
ができる。この分析要素は、(A) 水不溶性の高分子基
質、(B) 高分子抗原に対する抗体と、基質に対する酵素
との結合物、の2つを多層分析要素の同一層或いは別々
の層に含有させたもので、特許第2576910号公報(対応U
S 5,569,589)記載の免疫分析要素と同じように、標識
酵素分解物をさらに低分子化する低分子化酵素を含有す
る試薬層を設けて、この低分子化生成物を検出すること
により感度の上昇を図っている。
【0008】いずれの場合でも、非拡散性基質は試薬層
へ移行することがない。また、低分子化酵素は試薬層か
らその上の層である基質層へ逆行することはないものと
考えられていた。そのため、非拡散性基質の基質特異性
はそれほど厳密ではなく、低分子化酵素、標識酵素のい
ずれとでも反応しうるものが選ばれていた。
【0009】しかしながら、試料液を点着した分析要素
では、僅かとはいえ下層の試薬層から上層の基質層へ可
溶性成分の拡散がある。発明者らがこれを検討したとこ
ろ、試薬層から上流側の基質層へ移行した低分子化酵素
が非拡散性基質と反応して低分子化生成物を産生する場
合には、これが無視できないノイズとなることが判明し
た。このようなノイズは、分析の精度を低める可能性が
あった。また基質層に非拡散性基質として保持される高
分子基質の中に重合度が低いものや粒径の小さいものが
僅かでも混在すると、試料液の供給に伴い上層の基質層
から下層の試薬層へ移行するものが出てくることにな
る。移行した微量の高分子基質は、試薬層で低分子化酵
素と反応することになり、これもノイズの原因となる。
【0010】そこで本発明者らが、非拡散性基質として
標識酵素とのみ反応し低分子化酵素とは反応しない基質
を用いて免疫分析要素を作製し、その性能を検討したと
ころ、従来の免疫分析要素に比べ感度が上昇するばかり
でなく、再現性にも優れ、さらに経時安定性(保存性)
にも優れていることが判明した。
【0011】
【発明の目的】本発明は、以上のような知見に基づきな
されたものであり、より高精度かつ高再現性で高感度な
分析が出来、さらに保存安定性にも優れた免疫分析要素
を提供することを目的とする。
【0012】
【発明の構成】このような本発明の目的は、抗原と酵素
標識抗体との反応、もしくは抗原と抗体と酵素標識抗原
との反応、もしくは抗原と、抗原と高分子化合物との結
合物と、酵素標識抗体との間の反応のいずれかの反応に
より生じた標識酵素活性の変化を測定することにより抗
原の量を分析する免疫分析要素において、前記標識酵素
により拡散性物質を生成する非拡散性基質を含有する基
質層と、前記拡散性物質をさらに低分子生成物にする低
分子化酵素を含有する試薬層を備え、前記非拡散性基質
が前記標識酵素とのみ反応し前記低分子化酵素とは反応
しない基質であることを特徴とする免疫分析要素、によ
り達成される。
【0013】また被検物が抗体である場合には、本発明
の目的は、抗体と酵素標識抗原との反応、もしくは抗体
と抗原と酵素標識抗体との反応により生じた標識酵素活
性の変化を測定することにより抗体の量を分析する免疫
分析要素において、前記標識酵素により拡散性物質を生
成する非拡散性基質を含有する基質層と、前記拡散性物
質をさらに低分子生成物にする低分子化酵素を含有する
試薬層を備え、前記非拡散性基質が前記標識酵素とのみ
反応し前記低分子化酵素とは反応しない基質であること
を特徴とする免疫分析要素、により達成される。
【0014】すなわち本発明の分析要素は、抗原(又は
抗体)の標識酵素とのみ反応し、試薬層に本来含有され
る低分子化酵素とは反応しない基質を、非拡散性基質と
して試薬層に含有させたものである。これにより、試料
液を点着後、試薬層から上流の基質層へ低分子化酵素が
基質層へ拡散しても、この低分子化酵素により非拡散性
基質が分解されることがなくなり、ノイズが減少するこ
とになる。また使用する非拡散性基質の中に、重合度が
低かったり、粒径が小さいため基質層に保持されず試薬
層へ移行してしまうような不溶性高分子基質が混在した
としても、試薬層で低分子化酵素と反応することがな
い。このような非拡散性基質を使用することにより、測
定値の再現性、保存安定性も高くなる。
【0015】抗原(又は抗体)の標識酵素をエンド活性
型糖質加水分解酵素として、試薬層中の低分子化酵素を
エクソ活性型糖質加水分解酵素とした場合には、基質層
の非拡散性基質は、非還元末端グルコースが修飾された
エンド型選択反応性基質とするのが好ましい態様であ
る。
【0016】或いは、非還元性末端グルコースが修飾さ
れていない場合には、この非還元性末端グルコースがグ
ルコース糖鎖の分枝点に位置しているものであれば、エ
ンド型選択反応性基質として使用することができる。
【0017】エンド型選択反応性基質としては、非還元
末端グルコース部位からカルボキシルメチル修飾された
グルコース単位部位まで、又はグルコース鎖分岐部位ま
で、予めエンド活性型糖質加水分解酵素によって限定分
解されたカルボキシルメチル化澱粉を使用することがで
きる。限定分解されたカルボキシルメチル化澱粉を使用
した場合には、標識酵素に対する反応性をさらに高め、
測定感度を上げることができる。
【0018】非拡散性基質として澱粉などの高分子多糖
類を用い、抗体又は抗原の標識酵素をエンド活性型の糖
質分解酵素としてこの高分子多糖類からグルコースオリ
ゴマーを生成させ、さらにこのオリゴマーをグルコース
に変換(分解)する変換酵素をエキソ活性型の糖質分解
酵素とするのが好ましい態様である。
【0019】
【発明の構成の詳細な説明】免疫分析要素の層構成 図1に本発明の免疫分析要素の一実施態様を示す。この
図1において符号10は光透過性支持体であり、その上
には試薬層12、基質層14が積層されている。
【0020】基質層14は、水浸透性層で構成され、抗
体又は抗原に標識として結合された酵素の基質である非
拡散性基質を含有する。
【0021】試薬層12は、水浸透性層で構成され、基
質層から拡散・移行して来た拡散性物質をさらに低分子
量の生成物にする低分子化酵素を含有する。基質層12
はまたこの低分子生成物を検出するための試薬組成物を
含有する。
【0022】この基本構成は、測定対象が低分子抗原で
あるか、高分子抗原であるか、また抗体であるかを問わ
ず同じである。ただし、測定対象が低分子抗原である場
合には、検体と高分子化抗原(抗原と高分子化合物との
結合物)と酵素標識抗体とを混合して競争反応をした混
合液を、基質層14に点着又は供給することにより分析
を行う。或いは、検体と抗体と酵素標識抗原とを混合し
て競争反応をした混合液を、基質層14に点着又は供給
することにより分析を行う。いずれの場合も、リガンド
(低分子抗原)の量が多いほど生成される拡散性物質は
増大する。
【0023】これに対して、測定対象が高分子量の抗原
である場合には、検体と酵素標識抗体のみを混合して抗
原抗体結合反応させ、その反応液を基質層14に点着又
は供給すればよい。この場合には、リガンド(高分子抗
原)の量が多いほど生成される拡散性物質は減少する。
【0024】測定対象が抗体である場合には、検体と酵
素標識抗原とを混合して反応をした混合液を、基質層1
4に点着又は供給することにより分析を行う。この場
合、被検抗体量が多いほど生成される拡散性物質は減少
する。或いは、検体と抗原と酵素標識抗体とを混合して
競争反応をした混合液を、基質層14に点着又は供給す
ることにより分析を行う。この場合には被検抗体量が多
いほど生成される拡散性物質は増大する。
【0025】測定対象 本発明の測定対象は検体に含まれる抗原又は抗体であ
る。抗原とは、抗原決定基を有するリガンドである。検
体の種類は限定されないが、例えば血液(全血、血漿、
血清)リンパ液、尿などがある。血球などの浮遊物があ
る場合には予め除去しておくのが好ましい。ただし適当
な濾過層を分析要素の最上層に設けた場合にはそのまま
分析要素に点着・供給してもよい。
【0026】抗原(リガンド)は抗原性があってその抗
体を用意できるものであれば、低分子量物質から高分子
量物質までの抗原について本発明の分析要素で分析でき
る。なお抗原性(antigenecity)があるとは、対応する抗
体と反応し得るという意味であり抗原決定基(ideoptop
e)を有するものであればよい。それ自体では免疫原性(i
mmunogenecity)がないものでも、ハプテンとして免疫す
れば抗体が得られるものであれば、本発明における測定
対象のリガンド(抗原)となりうる。
【0027】低分子量の抗原としては、例えば、ジゴキ
シン、テオフィリン、フェノバルビタール、フェニトイ
ン、ペニシリン、アミカシン等の薬物の誘導体(例えば
薬物と蛋白等の生体物質との結合物)、プロスタグラン
ジン、テストステロン、プロゲステロン、チロキシン等
のホルモン等を挙げることができる。
【0028】高分子量の抗原としては、例えば、各種内
分泌腺に由来するホルモン類、免疫グロブリン、アルブ
ミン、フェリチン、HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピ
ン)、C−反応性蛋白(以下CRPと略す)等の血漿蛋
白質、HB抗原等のウイルス、バクテリア類、α−フェ
トプロティン、癌胎児性抗原(CEA)等の各種臓器あ
るいは血中、尿中に存在する抗原がある。
【0029】なお、測定対象であるリガンドが、これを
酵素標識した場合に酵素活性への干渉(抑制)作用を示
す程度の高分子量の抗原である場合には、後述するよう
に、リガンドと抗原決定基を共通にする他の低分子量物
質を酵素標識して、これを酵素標識抗原とすればよい。
ここで使用する酵素標識抗原とは、被検物であるリガン
ド(抗原)を酵素標識したものだけでなく、リガンドと
抗原決定基を共通にする物質を酵素標識したものを含む
概念である。リガンド誘導体などの化学構造上の類縁体
のみならず、抗体に対する免疫応答性においてリガンド
と類似の挙動を示す化合物であれば、これを酵素標識し
て、酵素標識抗原として使用できる。
【0030】本明細書でいう高分子抗原とは、酵素標識
抗体に結合して酵素活性への干渉(抑制)作用を示す程
度の高分子量の抗原をいい、例えば分子量2万ダルトン
以上、好ましくは約5万ダルトン以上の抗原をいう。こ
れに対して本明細書でいう低分子抗原とは、酵素標識抗
体に結合しても酵素活性にあまり影響を与えない程度の
分子量の抗原をいい、例えば分子量2万ダルトン以下の
抗原をいう。但しこれらの分子量の値はあくまで目安で
あって、リガンドが低分子抗原であるか高分子抗原であ
るかの判断は、高分子化合物と結合した結合物(高分子
化抗原)との競合反応を利用するか否かでなされる。
【0031】高分子化抗原 高分子化抗原、即ちリガンド(抗原)と高分子化合物と
の結合物は、抗体と結合することにより、その抗体を標
識する酵素の活性を抑制するものである。測定対象が低
分子抗原である場合に使用されるものであり、測定対象
が高分子抗原である場合には使用されない。高分子化合
物の分子量は分子量5万ダルトン以上のもので、かつ水
溶性のものが好ましい。このような高分子化合物とし
て、ゼラチン、ヘモシアニンやフェリチン等の蛋白質、
ポリエチレングリコールなどを挙げることができる。こ
れらはリガンドと結合した状態で前述の条件を備えてい
れば十分であり、例えば牛血清アルブミンのような比較
的低分子量のものであっても、それを多量体に自家重合
させるなどして高分子化したものでもよい。
【0032】抗原(リガンド)と高分子化合物との結合
方法は双方の官能基を考慮して決定することができる。
官能基は、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、チオー
ル基、イミダゾール基、フェニル基などを利用すること
ができる。例えばアミノ基相互間を結合する方法は、イ
ソシアネート法、グルタルアルデヒド法、ジフルオロベ
ンゼン法、ベンゾキノン法等数多く知られている。アミ
ノ基とカルボキシル基とを結合する方法としては、カル
ボキシル基をサクシニルイミドエステル化する方法の他
カルボジイミド法、ウッドワード試薬法等が知られてお
り、アミノ基と糖鎖を架橋する過ヨウ素酸酸化法(Naka
ne法)も適用できる。チオール基を利用する場合には、
例えば一方の側のカルボキシル基をサクシニルイミドエ
ステル化してこれにシスティンを反応させてチオール基
を導入し、チオール基反応性二価架橋剤を用いて双方を
結合することができる。フェニル基を利用する方法とし
てはジアゾ化法、アルキル化法などがある。結合方法は
これらの例に限られるものではなく、この他例えば「Met
hod in Immunology and Immunochemistry」Vol.1,(C.A.W
illiams,M.W.Chase, Academic Press,1967年) あるいは
石川、河井、宮井編「酵素免疫測定法」(医学書院、19
78年発行)等の成書に記載されている方法の中から適宜
選択して利用することができる。リガンドと高分子化合
物との結合比は1:1に限らず、目的に応じて任意の比
率とすることができるのはいうまでもない。結合反応後
は、ゲル濾過法、イオン交換クロマトグラフィー等によ
り精製し、必要により凍結乾燥法等により乾燥する。
【0033】また、リガンド自体を重合させて高分子化
抗原としてもよい。その場合の重合方法は前述の結合方
法に準じて行なうことができ、例えばカルボジイミド、
グルタルアルデヒド等の二価性架橋剤で高分子化すれば
よい。
【0034】高分子化合物には,リガンドの代わりに、
リガンドに対する抗体と交差反応性を有するリガンド誘
導体を結合させてもよい。ここでいうリガンド誘導体と
は、単に化学構造上の類縁体のみならず、免疫反応性に
おいて、リガンドと類似の挙動を示すものを指す。例え
ば、リガンドであるテオフィリンに対する抗体がカフェ
インにも交差反応する場合には、カフェインの誘導体も
高分子化抗原の材料として用いることができる。
【0035】なおリガンドまたはリガンド誘導体に高分
子化合物と結合させるための適当な官能基がない場合に
は、これらにアミノ基、カルボキシル基或いはチオール
基等を導入してもよい。その際にはスペーサーを介して
導入し、高分子化合物と結合し易くしてもよい。例えば
リガンドがテオフィリンである場合には、カルボキシル
基を導入した8−プロピルカルボキシルテオフィリンを
高分子化合物に結合することができる。
【0036】抗体 抗体は、被検抗原を含む検体と抗体と酵素標識抗原とを
混合して競争反応させる場合に使用する。被検物である
抗原に対する特異抗体を用いる。酵素標識抗原に抗原
(リガンド)の誘導体を用いる場合には、リガンドとリ
ガンド誘導体に共通する抗原決定基に反応するものを用
いる。常法により得られるポリクローナル抗体でよい
が、モノクローナル抗体を用いれば、より感度が向上す
る。またこの抗体はF(ab')2、Fab'、Fabなどのフラ
グメントでもよい。
【0037】酵素標識抗原 酵素標識抗原は、被検抗原を含む検体と抗体と酵素標識
抗原とを混合して競争反応させる場合に使用する。また
被検抗体を含む検体を酵素標識抗原と混合して結合反応
させ、標識酵素の活性変化から被検抗体量を分析する場
合にも使用する。
【0038】被検物が抗原(リガンド)である場合に
は、酵素標識抗原は、リガンド(或いはこのリガンドと
抗原決定基を共通にするリガンド様物質)と酵素との結
合物である。リガンドが薬物のような低分子量物質であ
る場合には、酵素と直接結合させてもよい。リガンドが
タンパク質などのようにこのまま酵素と結合させた場合
に酵素活性に干渉する程度に大きな大分子量物質である
場合には、タンパク質をフラグメント化して、これを酵
素標識してもよい。このフラグメント化して低分子量と
したタンパク質が、フラグメント化していないタンパク
質(すなわちリガンド)と抗原決定基を共通にしていれ
ばよい。
【0039】リガンドと酵素との結合方法は、前記した
抗原(リガンド)と高分子化合物との結合方法と同じよ
うに行うことができる。
【0040】酵素には,リガンドの代わりに、リガンド
に対する抗体と交差反応性を有するリガンド誘導体を結
合させてもよい。ここでいうリガンド誘導体とは、単に
化学構造上の類縁体のみならず、免疫反応性において、
リガンドと類似の挙動を示すものを指す。例えば、リガ
ンドであるテオフィリンに対する抗体がカフェインにも
交差反応する場合には、カフェインの誘導体も高分子化
抗原の材料として用いることができる。
【0041】なおリガンドまたはリガンド誘導体に酵素
と結合させるための適当な官能基がない場合には、これ
らにアミノ基、カルボキシル基或いはチオール基等を導
入してもよい。その際にはスペーサーを介して導入し、
酵素と結合し易くしてもよい。例えばリガンドがテオフ
ィリンである場合には、カルボキシル基を導入した8−
プロピルカルボキシルテオフィリンを酵素に結合するこ
とができる。
【0042】酵素標識抗体 酵素標識抗体は、被検抗体を含む検体と抗原と酵素標識
抗体とを混合して競争反応させる場合に使用する。また
被検抗原を含む検体を酵素標識抗体と混合して結合反応
させ、標識酵素の活性変化から被検抗原量を分析する場
合にも使用する。被検抗原が低分子量物質である場合に
は、被検抗原を含む検体と高分子化抗原と酵素標識抗体
とを混合して競争反応させる場合に使用する。
【0043】被検抗体と抗原と酵素標識抗体との間の競
争反応を行わせる反応系では、酵素標識される抗体は、
被検抗体が認識するのと同じ抗原上の同じ抗原決定基を
認識するものを使用する。
【0044】被検抗原と高分子化抗原と酵素標識抗体と
の間の競争反応を行わせる反応系では、酵素標識される
抗体は、抗原と高分子化抗原に共通する抗原決定基に反
応するものを用いる。
【0045】リガンドと酵素との結合方法は、前記した
抗原(リガンド)と高分子化合物との結合方法と同じよ
うに行うことができる。
【0046】酵素−非拡散性基質−低分子化酵素 抗原或いは抗体に標識として結合された酵素は、高分子
からなる非拡散性基質を分解して、低分子化酵素により
さらに低分子の生成物(グルコース)を生じるような拡
散性生成物を生成する。非拡散性基質は、水性検体液に
対して非拡散性でそれ自体は基質層14から試薬層12
に拡散・移行しない。低分子化酵素は、抗原(又は抗
体)に標識として結合された酵素により非拡散性基質よ
り生成した拡散性生成物を、さらに検出可能な低分子生
成物にするものであり、本発明の分析要素の試薬層12
に含有される。
【0047】これらの組合わせは、酵素が非拡散性基質
に作用して拡散性物質を生成し、さらにこの拡散性生成
物が、後記低分子化酵素によりさらに低分子の生成物を
生じて容易に検出できるような組合わせから選ぶことが
できる。
【0048】酵素 このような酵素としては重合体からなる非拡散性基質か
ら拡散性オリゴマーを生成するような分解酵素があり、
例えば、糖質加水分解酵素を挙げることができる。この
ような糖質加水分解酵素として、α−アミラーゼ、β−
アミラーゼ、デキストラナーゼ等のエンド活性型加水分
解酵素がある。
【0049】これらの酵素はいずれの検体中に存在する
妨害因子で影響されないものが好ましく、また検体中に
は競合する同種の酵素がないことが好ましい。ただし、
標識酵素と同種の酵素が検体中に含まれている場合に
は、この酵素阻害剤を用いてもよい。この酵素阻害剤
は、検体中の酵素を阻害する程度が標識酵素の活性を阻
害する程度より大きいものであればよい。酵素阻害剤は
検体中の酵素を完全に失活させるが、標識酵素を全く阻
害しないものが最も好ましい。しかし実用上は単に測定
時においてブランク値を上昇させなければよく、測定後
には酵素阻害剤が失活するなどして検体中の酵素活性が
回復しても構わない。なお酵素阻害剤は、酵素標識リガ
ンドの酵素を阻害しないものであればよく、遊離状態の
酵素を阻害することは構わない。この酵素阻害剤は、公
知の酵素阻害剤から上記のような特異性を持つものを選
んで用いればよい。或いは検体中の問題となる酵素に対
する抗体を作って、これを酵素阻害剤として用いてもよ
い。
【0050】非拡散性基質 前述のα−アミラーゼ、β−アミラーゼ、デキストラナ
ーゼ等に対する基質の例として、カルボキシメチル化澱
粉、澱粉、アミロース、アミロペクチン等がある。ただ
し本発明では、抗原(又は抗体)の標識酵素とのみ反応
し、試薬層に本来含有される低分子化酵素とは反応しな
い基質を、非拡散性基質として使用する。これにより、
試料液を点着後、試薬層から上流の基質層へ低分子化酵
素が基質層へ拡散しても、この低分子化酵素により非拡
散性基質が分解されることがなくなり、ノイズが減少す
ることになる。また非拡散性基質の中に、重合度が低か
ったり、粒径が小さいため基質層に保持されず試薬層へ
移行してしまうような不溶性高分子基質が混在したとし
ても、試薬層で低分子化酵素と反応することがない。
【0051】酵素標識抗体の酵素としてα−アミラー
ゼ、低分子化酵素として後述するグルコアミラーゼ又は
α−グルコシダーゼを用いる場合には、非還元末端グル
コースをカルボキシルメチル基などの修飾基で修飾した
澱粉などの不溶性多糖類を用いてもよい。これらの修飾
基質はα−アミラーゼの基質とはなるが、グルコアミラ
ーゼ又はα−グルコシダーゼの基質とはならない。非還
元末端グルコースの修飾基は、標識酵素や低分子化酵素
の活性に影響を与えない非反応性官能基が望ましい。ま
た乾式分析要素内での反応性を上げるためには、親水性
修飾基が望ましい。このような修飾基としてカルボキシ
ルメチル基やヒドロキシプロピル基、ヒドロキシエチル
基などの親水性基がある。或いは末端グルコースをリン
酸エステル化、硫酸エステル化、又は硝酸エステル化し
てもよい。
【0052】或いは、この非還元性末端グルコースが、
隣接するグルコース単位とα-1,4グルコシド結合以外の
結合様式(例えば、α-1,6結合、α-1,3結合)で結合し
ていて、グルコース糖鎖の分枝点に位置しているもので
あれば、本発明の非拡散性基質として使用することがで
きる。グルコアミラーゼなどのエクソ活性型糖質加水分
解酵素は、一般に糖鎖の直鎖部分のα-1,4結合或いはα
-1,6結合を非還元性末端からグルコース単位に分解する
酵素であるので、分枝点(主にα-1,6結合、まれにα-
1,3結合)のグルコシド結合を分解できない。従って、
非還元性末端グルコースが糖鎖から分枝する位置にある
場合にも、水解することができない。
【0053】α−アミラーゼはグルコース4単位以上の
糖鎖のα-1,4グルコシド結合を水解するエンド活性型糖
質加水分解酵素であり、末端グルコースの修飾の有無、
分枝の有無を問わず、基質分子内で水解することができ
る。
【0054】例えば、糖鎖途中のグルコース単位にカル
ボキシルメチル基が導入されたカルボキシルメチル化澱
粉を、非還元末端グルコース部位からカルボキシルメチ
ル修飾されたグルコース単位部位まで、エクソ活性型糖
質加水分解酵素によって限定分解することにより、非還
元末端グルコースがカルボキシルメチル基で修飾された
基質とすることができる。ここで使用するエクソ活性型
糖質加水分解酵素としては、グルコアミラーゼやα−グ
ルコシダーゼがある。
【0055】このように末端グルコースを限定分解する
ことによりカルボキシメチル化度を高めたカルボキシメ
チル化澱粉は、乾式分析要素内ではα−アミラーゼなど
のエンド活性型酵素に対する反応性が増大する。後述の
実施例でも述べるように、このことは本願発明者による
新たな知見である。澱粉などの不溶性多糖類のカルボキ
シメチル化度(導入率)を上げることにより、なぜ酵素
活性が上昇するのかその詳細は不明であるが、以下のよ
うに推測できる。
【0056】カルボキシルメチル基は親水性基であり、
この官能基の導入率が上昇することにより不溶性多糖類
の水和性は高まり、水性溶媒中で膨潤しやすくなる。し
かし、乾式分析要素での反応は微量の試料液(通常100
μL以下)を点着して行うものであり、供給される水の
量は極めて少ない。また供給された水(試料液)は、層
内で展開すると共にすぐに隣接する層へも移行するの
で、酵素反応の場である層内は極めて水の量が限られた
環境である。このような限界的な水の量しか持たない層
内では、基質は十分に膨潤して酵素と十分に反応するこ
とができない。しかし、基質の膨潤度が僅かでも上昇す
ると、このような限界的環境では微視的な構造変化によ
り酵素に対する反応部位を暴露しやすくなる。このこと
が、乾式分析要素内での酵素に対する反応性を増大さ
せ、感度上昇につながるものと思われる。
【0057】これに対し、水溶液中で基質を酵素と反応
させる場合には、基質はすでに十分膨潤して酵素に対す
る反応性を確保している。これは、十分な量の水が存在
する環境下では、基質は反応に必要な程度にはすでに十
分膨潤することが可能であり、基質のカルボキシルメチ
ル化度を上げて親水性を上げて多少膨潤度が上昇して
も、酵素に対する反応性をさらに上げることはないから
であると思われる。
【0058】低分子化酵素 この低分子化酵素は標識酵素と同じ種類の酵素であって
もよい。この場合には標識酵素は分子内部から切断して
オリゴマーを生成するエンド(endo)活性の酵素であり、
低分子化酵素は分子の端から作用して単量体を生成する
エクソ(exo) 活性を持つものとするのが好ましい。例え
ば、非拡散性基質が重合体(例えば澱粉)である場合
に、標識酵素により生成される拡散性オリゴマー(例え
ばマルトース)を単量体(例えばグルコース)にまで分
解できるものが用いられる。このような低分子化酵素の
例として糖加水分解酵素、より具体的には、α−アミラ
−ゼ、β−アミラーゼ、デキストラナーゼ、グルコアミ
ラーゼ、α−グルコシダ−ゼ等があげられる。
【0059】非拡散性基質と標識酵素として、カルボキ
シルメチルセルロースとセルラーゼを用いた場合には、
低分子化酵素としてC1エンザイムを用いることができ
る。また同様にガラクタンとガラクタナーゼを用いた場
合にはβ−ガラクトシダーゼ、RNAとリボヌクレアー
ゼを用いた場合にはエクソリボヌクレアーゼをそれぞれ
低分子化酵素として用いることができる。これらの標識
酵素、非拡散性基質、低分子化酵素の組合せは、公知文
献(例えば、「酵素ハンドブック」(丸尾文治、田宮信
雄監修、朝倉書店1982年発行)、「生化学ハンドブック」
(井村伸正、他編、丸善1984年発行)に記載された酵
素、基質から選ぶことができる。
【0060】低分子生成物検出系 試薬層において低分子化酵素により生成された低分子生
成物は、公知の検出系試薬により光学的に検出すること
ができる。前記低分子化酵素により最終的に生成したグ
ルコースを検出する方法としては、例えば、 (1)グルコースをグルコースオキシダーゼ存在下に酸化
し生成した過酸化水素を検出する方法として、例えば、 (1-1) Ann.Clin.Biochem., 6, 24(1964) 、J.Clin.Path
ol., 22, 246(1969)に記載のTrinder 試薬を用いる方
法; (1-2) 特開昭49-50991号(対応米国特許3,886,045)、 米
国特許3,992,158、 特開昭55-164356号(対応米国特許4,2
92,272)等に記載のTrinder試薬を用いる方法; (1-3) 特開昭53-26188号(対応米国特許4,089,747)、特
開昭58-45557号等に記載のトリアリール置換イミダゾー
ルロイコ色素を含む試薬を用いる方法; (1-4) 特開昭59-193352号(対応欧州特許公開 EP 012264
1A)、特開昭60-224677号(対応米国特許4,665,023)等に
記載のジアリール−モノアラルキル置換イミダゾールロ
イコ色素を含む試薬を用いる方法; (2)グルコースデヒドロゲナーゼとNADの存在下に生
成するNADHを検出する方法; (3)ヘキソキナーゼ存在下に生成するグルコース-6-リン
酸を検出する方法;等、公知の方法を用いることができ
る。これらの検出方法の中で、グルコースオキシダーゼ
存在下にグルコースを酸化し生成した過酸化水素をペル
オキシダーゼとロイコ色素を用いて検出する方法が、感
度の点で最も望ましい。
【0061】これらの検出試薬は分析要素の試薬層12
に低分子化酵素と一緒に含有させてもよいが、試薬層1
2の下層に設けた別の層(例えば第2試薬層又は検出層
等)に含有させてこの層で検出するようにしてもよい。
なお、ロイコ色素を使用する場合には、水非混和性溶媒
の溶液として、これを親水性バインダー中へ分散させる
のが生成した色素の安定性の上で好ましい。
【0062】分析要素の層構成 本発明の乾式免疫分析要素は、公知の多種の乾式分析要
素と同様の層構成とすることができる。要素は、基質
層、試薬層の他、支持体、展開層、検出層、光遮蔽層、
接着層、吸水層、下塗り層その他の層を含む多重層とし
てもよい。このような分析要素として、例えば特開昭49
-53888号(対応米国特許 3,992,158)、特開昭51-40191
号(対応米国特許 4,042,335)、 及び特開昭55-164356
号(対応米国特許 4,292,272)、 特開昭61-4959(対応E
PC公開特許0166365A)の各明細書に開示されたものが
ある。
【0063】光透過性水不透過性支持体を用いる場合に
は、本発明の乾式免疫分析要素は、実用的に次のような
構成を取り得る。ただし本発明の内容はこれに限定はさ
れない。 (1) 支持体上に試薬層、その上に基質層を有するもの。 (2) 支持体上に試薬層、接着層、基質層をこの順に有す
るもの。 (3) 支持体上に検出層、試薬層、基質層をこの順に有す
るもの。 (4) 支持体上に試薬層、光反射層、基質層をこの順に有
するもの。 (5) 支持体上に検出層、試薬層、光反射層、基質層をこ
の順に有するもの。 (6) 支持体上に検出層、光反射層、試薬層、基質層をこ
の順に有するもの。 (7) 支持体上に第2試薬層、光反射層、第1試薬層、基
質層をこの順に有するもの。 (8) 支持体上に検出層、第2試薬層、光反射層、第1試
薬層、基質層をこの順に有するもの。
【0064】上記(1) ないし(6) において試薬層は異な
る複数の層から成ってもよい。また基質層は後述するよ
うに免疫反応し得る成分を含む免疫反応層としてもよ
い。支持体と試薬層又は検出層との間には吸水層を設け
てもよい。また各層の間には濾過層を設けてもよい。ま
た基質層の上には展開層を設けてもよく、又は基質層に
展開作用を持たせ展開層として機能させてもよい。
【0065】基質層 基質層14は、水浸透性層で構成され、抗原又は抗体を
標識する酵素の基質である非拡散性基質を含有する。基
質層の水浸透性を確保するためには、多孔性媒体からな
る多孔性層とするか、親水性ポリマーバインダーからな
る層とするのが好ましい。
【0066】多孔性層は繊維質であってもよいし、非繊
維質であってもよい。繊維質材料としては、例えば濾
紙、不織布、織物布地(例えば平織布地)、編物布地
(例えばトリコット編物布地)、ガラス繊維濾紙等を用
いることができる。非繊維質材料としては、特開昭49-5
3888等に記載の酢酸セルロース等からなるメンブランフ
ィルター;特開昭49-53888、特開昭55-90859(対応米国
特許 4,258,001)、特開昭58-70163(対応米国特許 4,4
86,537)等に記載の無機物又は有機物微粒子からなる連
続空隙含有粒状構造物層;等のいずれでもよい。特開昭
61-4959(対応欧州公開 EP 0166365A)、特開昭62-11625
8 、特開昭62-138756(対応欧州公開 EP 0226465A)、特
開昭62-138757(対応欧州公開 EP 0226465A)、特開昭62
-138758(対応欧州公開 EP 0226465A)等に記載の部分接
着された複数の多孔性層の積層物も好適である。
【0067】多孔性層は供給される液体の量にほぼ比例
した面積に液体を展開する、いわゆる計量作用を有する
展開層であってもよい。展開層としては、これらのうち
織物布地、編物布地などが好ましい。織物布地などは特
開昭57-66359号に記載されたようなグロー放電処理をし
てもよい。展開層には、展開面積、展開速度等を調節す
るため、特開昭60-222770(対応: EP 0162301A)、特開
昭63-219397(対応ドイツ特許公開 DE 37 17 913A)、
特開昭63-112999(対応: DE 37 17 913A)、特開昭62-1
82652(対応: DE 37 17 913A)に記載したような親水性
高分子あるいは界面活性剤を含有させてもよい。
【0068】例えば紙、布、高分子からなる多孔質膜等
に基質を予め含浸又は塗布した後、支持体上に設けた他
の水浸透性層、例えば試薬層の上に、特開昭55-164356
号のような方法で接着させるのも有用な方法である。ま
た別の方法として多孔質層を他の水浸透性層(例えば試
薬層)に前記のような方法で接着させた後、基質を含む
組成物を多孔質層に塗布してもよい。多孔質層への含浸
又は塗布には公知の方法を利用できる。塗布には例えば
ディップ塗布、ドクター塗布、ホッパー塗布、カーテン
塗布等を適宜選択して用いる。
【0069】こうして作られる基質層の厚さは特に制限
されないが、塗布層として設ける場合には、1μm〜50
μm程度、好ましくは2μm〜30μmの範囲が適当である。
ラミネートによる積層など、塗布以外の方法による場
合、厚さは数十μmから数百μmの範囲で大きく変化し得
る。
【0070】親水性ポリマーバインダーからなる水浸透
性層で基質層を構成する場合、使用できる親水性ポリマ
ーとしては、例えば、以下のものがある。ゼラチン及び
これらの誘導体(例えばフタル化ゼラチン)、セルロー
ス誘導体(例えばヒドロキシエチルセルロース)、アガ
ロース、アルギン酸ナトリウム、アクリルアミド共重合
体、メタアクリルアミド共重合体、アクリルアミド又は
メタアクリルアミドと各種ビニル性モニマーとの共重合
体、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニル
アルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナ
トリウム、アクリル酸と各種ビニル性モノマーとの共重
合体などである。
【0071】親水性ポリマーバインダーで構成される基
質層は、特公昭53-21677号(対応米国特許 3,992,158)、
特開昭55-164356号(対応米国特許 4,292,272)、特開昭
54-101398号(対応米国特許 4,132,528)、特開昭61-2920
63号(Chemical Abstracts,106; 210567y) 等の明細書
に記載の方法に従って、基質その他の試薬組成物と親水
性ポリマーを含む水溶液又は水分散液を支持体又は検出
層等の他の層の上に塗布し乾燥することにより設けるこ
とができる。親水性ポリマーをバインダーとする基質層
の乾燥時厚さは約2μm〜約50μm 、好ましくは約4μm〜
約30μmの範囲、被覆量では約2g/m2〜約50g/m2、好まし
くは約4g/m2〜約30g/m2の範囲である。
【0072】基質層には非拡散性基質の他に、塗布特
性、拡散性化合物の拡散性、反応性、保存性等の諸性能
の向上を目的として、酵素の活性化剤、補酵素、界面活
性剤、pH緩衝剤組成物、微粉末、酸化防止剤、その
他、有機物あるいは無機物からなる各種添加剤を加える
ことができる。基質層に含有させることができる緩衝剤
の例としては、日本化学会編「化学便覧 基礎編」(東
京、丸善(株)、1966年発行)1312-1320頁、R.M.C.Daw
son et al編、「Data for Biochemical Research」第2
版(Oxford at the Clarendon Press,1969 年発行) 476-
508頁、「Biochemistry」 5, 467-477頁(1966年)、「Analy
tical Biochemistry」 104, 300-310頁(1980年)に記載の
pH緩衝剤系がある。pH緩衝剤の具体例としてトリス
(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)を含む緩衝
剤;燐酸塩を含む緩衝剤;硼酸塩を含む緩衝剤;クエン
酸又はクエン酸塩を含む緩衝剤;グリシンを含む緩衝
剤;ビシン(Bicine)を含む緩衝剤;HEPESを含む緩衝
剤;MES(2-モルホリノエタンスルホン酸)を含む緩衝
剤などのグッド緩衝剤等がある。
【0073】試薬層 試薬層12は、低分子化酵素、及び必要に応じて、低分
子化酵素により生じた低分子生成物を検出するための検
出試薬組成物を含有する。試薬層12は、水浸透性層で
構成され、前記基質層の説明で述べた水浸透性層のう
ち、親水性ポリマーバインダーからなる連続層とするの
が好ましい。用いる親水性ポリマーバインダーは基質層
で生成される拡散性生成物や、試薬層内に含有する発色
試薬などを考慮して決められる。
【0074】支持体 支持体10としては光不透過性(不透明)、光半透過性
(半透明)、光透過性(透明)のいずれのものも用いる
ことができるが、一般的には光透過性で水不透過性の支
持体が好ましい。光透過性水不透過性支持体の材料とし
て好ましいのものはポリエチレンテレフタレート、ポリ
スチレンである。親水性層を強固に接着させるため通
常、下塗り層を設けるか、親水化処理を施す。
【0075】免疫反応層 図1の基質層14には、拡散性基質のみならず、免疫反
応に必要な分子種を含有させてもよい。例えば、 (1) 被検抗原と酵素標識抗体とを反応させて、被検抗原
量を分析する場合には、酵素標識抗体を; (2) 被検抗原と抗体と酵素標識抗原とを反応させて、被
検抗原量を分析する場合には、抗体と酵素標識抗原と
を; (3) 被検分子抗原と高分子化抗原と酵素標識抗体とを反
応させて、被検抗原量を分析する場合には、高分子化抗
原と酵素標識抗体とを; (4) 被検抗体と酵素標識抗原とを反応させて、被検抗体
量を分析する場合には、酵素標識抗原を; (5) 被検抗体と抗原と酵素標識抗体とを反応させて、被
検抗体量を分析する場合には、抗原と酵素標識抗体と
を; 基質層に含有させる。これにより、基質層は、その層内
で免疫反応を併せて行なわせる免疫反応層として機能す
る。この場合には、要素に検体を点着するだけで、要素
内で均一系の酵素免疫反応を進行させることができる。
【0076】或いは基質層にこれらいずれかを含有させ
て残りの方は基質層の上層に積層された水浸透性層に含
有させてもよい。又は、基質層の上に1つ又は複数の層
からなる水浸透性層を設け、これらに免疫反応に必要な
分子種を含有させてもよい。これら免疫反応層の層構成
は、その免疫反応の反応様式に応じて、任意に決めるこ
とができる。
【0077】例えば、上記(2)の場合では、基質層とは
別の複数の層に抗体と酵素標識抗原を別々に含有させて
もよい。例えば図2に示すように、基質層14の上に抗
体を含有する水浸透性層16を設け、さらにその上に酵
素標識抗原を含有する水浸透性層18を設けて免疫分析
要素を構成してもよい。この場合には、検体中の抗原
(リガンド)は、層18の酵素標識抗原と共に、層16
に拡散・浸透する。層16では、抗原と酵素標識抗原と
はそれぞれ抗体と結合し、さらに基質層14に移行す
る。
【0078】これとは逆に、水浸透性層16に酵素標識
抗原を含有させ、その上の水浸透性層18には抗体を含
有させて、免疫分析要素を構成してもよい。この場合に
は、検体中の抗原(リガンド)は、層18の抗体と結合
し、層16に移行する。層16では、抗原に結合してい
なかった抗体が酵素標識抗原と結合し、さらに基質層1
4に移行する。
【0079】また、基質層とは別の1つの層に抗体と酵
素標識抗原を実質的な乾燥状態又は実質的に水の不存在
状態で一緒に含有させてもよい。例えば、図3に示すよ
うに、基質層14の上に抗体と酵素標識抗原を実質的な
乾燥状態又は実質的に水の不存在状態で含有する水浸透
性層20を設けて免疫分析要素を構成してもよい。この
場合には、水が溶媒である被検液が層20に点着供給さ
れた時に、層20の中で被検液に由来する水の中で、検
体中のリガンド(抗原)と酵素標識抗原とは、それぞれ
抗体と結合し、基質層14に移行する。1つの層に抗体
と酵素標識リガンドを実質的な乾燥状態又は実質的に水
の不存在状態で一緒に含有させるには、抗体と酵素標識
抗原の一方又は両者をアルコール(例、エタノール)等
の非水溶媒に溶解又は分散させて水浸透性層に含浸させ
ればよい。
【0080】なお、免疫反応層を設けない場合には、本
発明の分析要素は、基質層14に含有される非拡散性基
質を分解する酵素の分析にも使用することができる。例
えば、非拡散性基質としてカルボキシルメチル化澱粉、
澱粉、アミロース、アミロペクチンなどを使用する場合
には、α−アミラーゼや、β−アミラーゼなどのエンド
活性型糖質加水分解酵素の分析に使用することができ
る。
【0081】免疫分析要素の製造方法 本発明の乾式免疫分析要素は前述の諸特許明細書に記載
の公知の方法により調製することができる。本発明の分
析要素は一辺約15mmから約30mmの正方形またはほぼ同サ
イズの円形等の小片に裁断し、特公昭57-28331(対応米
国特許 4,169,751)、実開昭56-142454(対応米国特許
4,387,990)、特開昭57-63452、実開昭58-32350、特表昭
58-501144(対応国際公開: WO 83/00391)等に記載のス
ライド枠に収めて化学分析スライドとして用いること
が、製造,包装,輸送,保存,測定操作等の観点で好ま
しい。使用目的によっては、長いテープ状でカセットま
たはマガジンに収めて用いたり、または小片を開口のあ
るカードに貼付または収めて用いることなどもできる。
【0082】免疫分析要素による分析方法 本発明の分析要素は前述の諸特許明細書等に記載の操作
と同様の操作により液体試料中の被検物である抗原又は
抗体の定量分析ができる。例えば約5μL〜約30μL、好
ましくは8〜15μLの範囲の血漿、血清、尿などの水性
液体試料液を基質層14に点着する。点着した分析要素
を約20℃〜約45℃の範囲の一定温度で、好ましくは約30
℃〜約40℃の範囲内の一定温度で1〜10分間インキュベ
ーションする。要素内の発色又は変色を光透過性支持体
側から反射測光し、予め作成した検量線を用いて比色測
定法の原理により検体中のリガンドの量を求めることが
できる。点着する液体試料の量、インキュベーション時
間及び温度を一定にすることにより定量分析を高精度に
実施できる。
【0083】測定操作は特開昭60-125543、同60-22086
2、同61-294367、同58-161867(対応米国特許 4,424,19
1)などに記載の化学分析装置により極めて容易な操作
で高精度の定量分析を実施できる。なお、目的や必要精
度によっては、目視により発色の度合いを判定して、半
定量的な測定を行なってもよい。
【0084】分析要素が免疫反応層を有さない場合、す
なわち、分析要素内に被検物である抗原又は抗体との免
疫反応系に必要な分子種を含有させていない場合には、
分析要素外の適当な反応溶液中で必要な免疫反応を行わ
せた後、その反応液を要素に点着すれば標識酵素活性の
変化として被検物を分析することができる。例えば、抗
原を分析する場合には、要素に点着する前に、水性試料
液を抗体及び酵素標識リガンドを含む溶液と混和して、
結合反応を十分行なわせてから、基質層に点着すればよ
い。
【0085】
【実施例1】エンド型選択反応性基質の調製 カルボキシルメチル化澱粉(エキスプロタブ、Edward M
endel Company Inc.製)10gを1Lの0.1 Mホウ酸緩
衝液(pH10)に分散し1時間撹拌した。これを、塩酸とリ
ン酸でpH5.5に調整した後、グルコアミラーゼ(東洋紡
製)1000Uを添加し、37℃で16時間反応させた。反
応後、約1万Gで高速遠心機にかけ、遠心上層液の電気
電導度が20μS/cm以下になるまで遠心精製を繰り返して
可溶性成分を除去した。分散物をよく撹拌しながらエタ
ノール10 Lを加え、沈澱してきた白色物質を減圧濾過で
集めた。これを30℃で10時間乾燥し、5.2g(収率52
%)のエンド型酵素反応特異的なカルボキシルメチル化澱
粉を得た。
【0086】
【実施例2】分析要素の作製 ゼラチン下塗層が設けられている厚さ180μmの無色透
明ポリエチレンテレフタレート(PET)シート(支持
体)上に下記の被覆量になるように架橋剤含有試薬溶液
を塗布し、乾燥して試薬層を設けた。 アルカリ処理ゼラチン 14.5 g/m2 ノニルフェノキシポリエトキシエタノール (オキシエチレン単位平均 9〜10含有) 0.2 g/m2 グルコースオキシダーゼ 5000 u/m2 ペルオキシダーゼ 15000 u/m2 グルコアミラーゼ 5000 u/m2 2-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェニル-4-[4-(ジメチルアミノ) フェニル]-5-フェネチルイミダゾール(ロイコ色素)酢酸塩 0.38 g/m2 ビス[(ビニルスルホニルメチルカルボニル)アミノ]メタン 0.1 g/m2
【0087】この試薬層の表面に下記の被覆量になるよ
うに下記試薬含有水溶液を塗布し、ゼラチン層を膨潤さ
せ、その上に50デニール相当のPET 紡績糸36ゲージ編み
した厚さ約250μmのトリコット編物布地をほぼ一様に
軽く圧力をかけてラミネートして多孔性展開層を設け
た。 ノニルフェノキシポリエトキシエタノール (オキシエチレン単位平均 9〜10含有) 0.15 g/m2 ビス[(ビニルスルホニルメチルカルボニル)アミノ]メタン 0.4 g/m2
【0088】次に、実施例1で得られたエンド型酵素反
応特異的なカルボキシルメチル化澱粉を用いて、下記の
被覆量になるように基質を塗布、乾燥して基質層を設け
てCRP分析用多層分析要素を調製した。 カルボキシメチル化澱粉 3.5 g/m2 マンニトール 3.0 g/m2 MES(2-モルホリノエタンスルホン酸) 2.0 g/m2
【0089】次いでこの分析要素を14mm×13mm四方のチ
ップに裁断し、特開昭57-63452に記載のスライドの枠に
収めて、本実施例のCRP分析用多層乾式スライド1と
した。
【0090】比較例として、エンド型酵素反応特異的な
カルボキシルメチル化澱粉の代わりに、未処理のカルボ
キシルメチル化澱粉(エキスプロタブ)を基質として用
いた他は、実施例スライド1と全く同様な構成の比較用
スライド2を作製した。
【0091】
【実施例3】50mMグリセロ燐酸緩衝溶液(pH7)の10μL
を実施例2の乾式スライド1及び、比較例の乾式スライ
ド2に点着した。この後、各スライドを37℃に保って、
PET支持体側から中心波長650nmの反射光学濃度を経時的
に測定した。点着後の反射光学濃度の時間変化を図4に
示す。
【0092】未処理のカルボキシルメチル化澱粉を非拡
散性基質として使用した比較例のスライド2では、緩衝
溶液点着後から経時的に反射光学濃度の増加が見られる
(図中、-○-)。このことは、未処理カルボキシメチル
化澱粉が、試薬層から移行したエキソ反応型酵素である
グルコアミラーゼ(低分子化酵素)により分解されて、
グルコースを生成していることを示している。
【0093】一方、予めグルコアミラーゼ処理によりエ
ンド型酵素反応特異的にしたカルボキシルメチル化澱粉
を使用した実施例2のスライド1では、反射光学濃度は
一定値で増加することはなかった。(図4、-●-)。
【0094】
【実施例4】アミラーゼ標識抗CRP−IgG(0.1mg/m
L)を含み、既知量のCRPを含有する50mMグリセロ燐
酸緩衝溶液(pH7)10μLを、実施例2のスライド1と、
比較用スライド2に点着した。37℃に保って、中心波長
650nmの可視光でPET支持体側から各スライド1,2
の反射光学濃度を測定した。点着から4分後および6分
後の反射光学濃度の差(ΔOD6-4)を図5に示す。図
5の検量線より、エンド型酵素反応特異的にしたカルボ
キシルメチル化澱粉を使用した本発明の乾式免疫分析要
素(図5,-●-)は、CRPの定量が精度良く行えるこ
とが明らかである。また比較例(図5、-○-)に比べ、
CRP濃度変化に対するΔOD6-4の変化が大きく、感
度が上昇していた。
【0095】
【実施例5】実施例2と全く同様の手順、構成で、多層
分析要素を作成し、その基質層兼展開層であるトリコッ
ト編物布地層に、さらにアミラーゼ標識CRP−IgG
を3mg/m2の被覆量となるようにしてエタノール溶液を
塗布し含浸させ乾燥させてCRP分析用多層免疫スライ
ド3(実施例5)を作成した。同様に、実施例2で作成
した比較用スライド2の多層分析要素のトリコット編物
布地層に、アミラーゼ標識CRP−IgGを3mg/m2
被覆量となるようにしてエタノール溶液を塗布し含浸さ
せ乾燥させて比較用のCRP分析用多層免疫スライド4
を作成した。
【0096】
【実施例6】このスライド3及びスライド4に、各種濃
度のCRPを含有すると50mMグリセロ燐酸緩衝溶液(pH
7)を10μLを点着し、37℃に保って、支持体側から650nm
の反射光学濃度を測定し、点着から4分後および6分後
の反射光学濃度の差(ΔOD 6-4)を求めた。図6の検
量線に示すように、エンド型反応特異的カルボキシルメ
チル化澱粉を使用した本発明の乾式免疫分析要素(図
6、-●-)は、比較例(-○-)に比べ、より高感度にC
RPを定量分析できることが示された。
【0097】
【実施例7】実施例5のスライド3と比較用スライド4
の再現性(CV)を比較検討した。スライド3及びスラ
イド4に、CRP含有ヒト標準血清4検体(L-1,L-2,
M、H)を10μLを点着し、37℃に保って、支持体側か
ら650nmの反射光学濃度を測定し、点着から4分後およ
び6分後の反射光学濃度の差(ΔOD6-4)を求めた。
実施例5のスライド3の場合の検量線と、比較用スライ
ド4の場合の検量線を別途求めておき、得られた各検体
のΔOD6-4からCRP濃度(測定値)を換算した。こ
の測定を各検体について10回行い、その平均値、標準
偏差及びCV値を求めた。結果を下記の表1,2に示
す。
【0098】
【表1】 スライド3(実施例5)の再現性試験 ────────────────────────────── 試料 L−1 L−2 M H ────────────────────────────── 測定値 2.3 1.7 5.3 9.0 (mg/dL) 2.6 1.6 5.4 8.7 2.4 1.4 5.3 9.0 2.4 1.5 5.1 9.4 2.2 1.5 5.0 9.2 2.1 1.5 5.3 8.7 2.4 1.6 5.3 8.9 2.3 1.5 5.9 9.2 2.2 1.5 5.6 9.1 2.2 1.6 5.5 9.5 ────────────────────────────── 平均 2.3 1.5 5.4 9.1 SD 0.1 0.1 0.3 0.3 CV 6.4 5.3 4.9 3.0 ──────────────────────────────
【0099】
【表2】 スライド4(比較例)の再現性試験 ────────────────────────────── 試料 L−1 L−2 M H ────────────────────────────── 測定値 2.5 1.1 5.8 10.6 (mg/dL) 2.7 1.9 6.1 10.4 2.0 1.9 6.2 9.7 2.2 1.9 5.6 10.3 2.1 1.9 5.3 10.4 2.9 2.2 5.9 12.1 3.3 2.3 5.4 12.9 3.1 2.1 5.8 11.2 2.1 2.3 5.8 12.4 2.3 1.9 5.9 13.6 ────────────────────────────── 平均 2.5 1.9 5.8 11.4 SD 0.5 0.3 0.3 1.3 CV 18.9 17.4 4.8 11.5 ──────────────────────────────
【0100】表1,2に示すように、従来の比較用スラ
イド4では、測定値(濃度)のバラツキが大きいのに対
して、本発明のエンド反応特異的基質を使用した実施例
5のスライド3はバラツキが小さく、同時再現性に優れ
ていた。特に低濃度域(検体L−1,L−2)と高濃度
域(検体H)において、実施例スライド3のCV値は比
較用スライド4のそれに比べ1/3程度まで減少し、本
発明による免疫分析要素は再現性に優れ精度が高いこと
が示された。
【0101】
【実施例8】実施例5のスライド3と比較用スライド4
の保存安定性を比較検討した。乾式分析用は通常4℃程
度で1ヶ月間程度安定であるが、ここでは加速試験とし
て25℃でスライドを保存し、スライド作製後1日、3
日及び7日目の測定値をスライド作製直後(0日)の測
定値と比較した。作製後各日におけるスライド3(実施
例5)及びスライド4(比較例)にCRP含有標準試料
CP1(1.4mg/dL)、CP2(4.2mg/dL)、CP3(10.0mg/
dL)をそれぞれ10μL点着し、37℃に保って、支持体側か
ら650nmの反射光学濃度を測定し、点着から4分後およ
び6分後の反射光学濃度の差(ΔOD6-4)を求めた。
結果を下記の表3,4に示す。
【0102】
【表3】 スライド3(実施例5)の保存安定性 ────────────────────────────────── ΔOD6-4値 0日 1日 3日 7日 ────────────────────────────────── CP1 0.3432 (100%) 0.3355 (98%) 0.3339 (97%) 0.3276 (96%) CP2 0.2734 (100%) 0.2685 (98%) 0.2610 (96%) 0.2658 (97%) CP3 0.2045 (100%) 0.2065 (101%) 0.2002 (98%) 0.1938 (95%) ──────────────────────────────────
【0103】
【表4】 スライド4(比較例)の保存安定性 ────────────────────────────────── ΔOD6-4値 0日 1日 3日 7日 ────────────────────────────────── CP1 0.3358 (100%) 0.3271 (97%) 0.3171 (94%) 0.2884 (86%) CP2 0.2536 (100%) 0.2467 (97%) 0.2285 (90%) 0.2138 (84%) CP3 0.1753 (100%) 0.1656 (94%) 0.1587 (91%) 0.1390 (79%) ──────────────────────────────────
【0104】従来の未処理のカルボキシルメチル化澱粉
を基質としたスライド4(比較例)では、25℃保存に
より日が経つにつれΔOD6-4の値は減少しており、3
日目には5〜10%の減少が見られ、7日目には15〜20%
程度の大きな減少が見られた。これに対し、本発明によ
るエンド型反応特異的基質としたカルボキシルメチル化
澱粉を使用したスライド3(実施例5)では、ΔOD
6-4値の変動は3日目では2〜4%の減少とわずかであ
り、保存7日目でも3〜5%程度の減少しか認められな
かった。このように本発明による免疫分析要素は保存安
定性に優れていることが示された。
【0105】
【実施例9】エンド型選択反応性基質の調製(その2) カルボキシルメチル化澱粉(エキスプロタブ、Edward M
endel Company Inc.製)453gに8960gの超純水を加
え、約4時間攪拌して膨潤させた。これに1139gの0.5
N NaOH を加えて約1時間攪拌することによりアルカリ
処理した。この後、酢酸32gを添加してpH7に戻した。
これをMES(2-モノホリノエタンスルホン酸)緩衝液で
pH5.7に調整した後、80gのグルコアミラーゼ酵素液
(東洋紡製、320 k Unit/L, 5mM MES, pH6.0)を添加
し、37℃で12〜20時間反応させた。反応後、純水を加え
て総量を140Lにしてから、この懸濁液をセラミック膜
フィルター(日本ガイシ製、CEFILT-MF(登録商標)、モ
ノリスタイプ、孔径2μm、膜面積 0.24m2)で濾過し
た。透過した水の電気伝導度が20μS/cm以下になるま
で、このセラミック膜フィルターに純水を循環させて、
可溶性成分を除去した。フィルターからCM化澱粉残査
を集め、純水を加えて100Lとした。その内の約3.6 Lを
7500rpm、10分間の遠心にかけ、残査を集めた。これに
イソプロピルアルコール約18Lを加えて、沈殿してきた
白色物質を減圧濾過で集めた。この遠心からイソプロピ
ルアルコール沈殿までの操作を約26回行い、これを集
めて35℃で24時間乾燥した。以上の操作により、220g
のエンド型酵素反応特異的なグルコアミラーゼ処理CM
化澱粉(以下、GA処理CMSともいう)を得た。
【0106】グルコアミラーゼ処理をしなかった他は全
て上記と同じに処理したCM化澱粉を比較例(グルコア
ミラーゼ未処理CM化澱粉:以下、未処理CMSともい
う)とした。
【0107】
【実施例10】実施例9で得られたGA処理CMSと未
処理CMSのカルボキシメチル化度と、水に分散したと
きの膨潤度を調べた。カルボキシメチル化度は、全グル
コース単位中、カルボキシメチル基で修飾されたグルコ
ース単位の割合を13C−NMRで調べた。膨潤度は、各
CMSの0.7%水溶液10mLを調製し、試験管に入れて、2
5℃、30分間静置した後に、沈降したCMSの体積(m
L)を膨潤度と定義した。
【0108】下記の表5に示すように、グルコアミラー
ゼ処理したCM化澱粉ではカルボキシメチル化度が増加
しており、全構成グルコース単位中の28%がカルボキ
シルメチル基を有することが分かった。このことはグル
コアミラーゼ処理により非還元性末端からカルボキシル
メチル化部位の直前までグルコシド結合が水解されたた
め、CM化澱粉中の非CM化グルコース単位の量が減少
し、結果としてCM化グルコース単位の割合が増加した
ことを示している。また親水性基であるカルボキシルメ
チル基の導入率が高くなったことにより、水和されやす
くなり膨潤度が高まったものと考えられる。
【0109】
【表5】 ──────────────────────────────── 未処理CMS GA処理CMS ──────────────────────────────── カルボキシメチル化度 21 % 28 % ──────────────────────────────── 膨潤度 4.5 5.5 ────────────────────────────────
【0110】
【実施例11】GA処理CMSのグルコアミラーゼとの反応性 実施例9で得たグルコアミラーゼ処理CM化澱粉と、比
較例のグルコアミラーゼ未処理CM化澱粉を、それぞれ
5mM MES緩衝液(pH 6.0、0.5%ブロックエース(雪
印乳業社製)、68μM CaCl2含有)に分散し、0.2%(W/
V)分散液とした。この0.2%CMS分散液に70μLのグル
コアミラーゼ溶液(東洋紡製、320 k Unit/L, 5mM ME
S, pH6.0)を加えて37℃、60分間、120rpmで振盪させな
がら反応させた。反応後、10%リン酸70μLを添加し、
氷冷して反応を停止させた。反応液を12,000rpmで4分
遠心して未反応のCMSを沈降させた。生成グルコース
を含んでいる遠心上清100μLを、下記組成の反応液Aの
3mLに添加し、37℃、30分間、120rpmで振盪して発色反
応を行わせ、波長727nmの吸光度を測定した。検量線
は、既知濃度のグルコース溶液100μLを反応液3mLに加
え、同様の発色反応を行うことにより作成した。
【0111】 反応液A: ロイコ色素(和光純薬製DA−64) 3.9 mg (N-(Carboxymethylaminocarbonyl)-4,4'-bis(dimethylamino)- diphenylamine sodium salt) グルコースオキシダーゼ(東洋紡製GLO−501) 139 unit ペルオキシダーゼ(東洋紡製PEO−301) 115 unit 100 mM MES 緩衝液(pH6.0) 100 mL
【0112】測定は、GA処理CMSについて5回、未
処理CMSについて2回行った。表6に示すように、グ
ルコアミラーゼ処理をしていないCM化澱粉では、1グ
ラム当たり約33μgのグルコースを生成したのに対し、
予めグルコアミラーゼ処理したCM化澱粉では、平均0.
1μg以下のグルコースしか生成しなかった。このこと
は、本発明のGA処理CMSの非還元性末端グルコース
の殆どが修飾されているか糖鎖分枝点にあり、エキソ反
応型酵素であるグルコアミラーゼの基質とはならないこ
とを示している。
【0113】
【表6】 CMS 1gから生成されたグルコース量(μg) 平均 ────────────────────────────────── GA処理CMS 0.25 0.07 -0.02 0.08 0.08 0.09 未処理CMS 33.56 33.63 33.60 ──────────────────────────────────
【0114】
【実施例12】GA処理CMSのα−アミラーゼとの反応性(湿式法) 実施例9で得たグルコアミラーゼ処理CM化澱粉と、比
較例のグルコアミラーゼ未処理CM化澱粉を、それぞれ
5mM MES緩衝液(pH 6.0、0.5%ブロックエース(雪
印乳業社製)、68μM CaCl2含有)に分散し、0.2%(W/
V)分散液とした。この0.2%CMS分散液7mLに、各種
濃度のα−アミラーゼ溶液70μLを加えて37℃、60分
間、120rpmで振盪させながら反応させた。反応後、10%
リン酸70μLを添加し、氷冷して反応を停止させた。反
応液を12,000rpmで4分遠心して未反応のCMSを沈降
させた。生成オリゴ糖を含んでいる遠心上清100μLを、
下記組成の反応液Bの3mLに添加し、37℃、30分間、12
0rpmで振盪して発色反応を行わせ、波長727nmの吸光度
を測定した。既知濃度のオリゴ糖(マルトテトラオー
ス)溶液100μLを反応液Bの3mLに加え、同様の発色反
応を行うことにより作成した検量線を用いて、生成オリ
ゴ糖に換算してグラフを作成した(図7)。
【0115】 反応液B: ロイコ色素(和光純薬製DA−64) 3.9 mg (N-(Carboxymethylaminocarbonyl)-4,4'-bis(dimethylamino)- diphenylamine sodium salt) グルコアミラーゼ(東洋紡製GLA−111) 180 unit グルコースオキシダーゼ(東洋紡製GLO−501) 139 unit ペルオキシダーゼ(東洋紡製PEO−301) 115 unit 100 mM MES 緩衝液(pH6.0) 100 mL
【0116】図7に示すように、グルコアミラーゼ処理
したCM化澱粉では、エンド活性型酵素であるα−アミ
ラーゼに対する反応性(図中、検量線の傾き)は、未処
理のCM化澱粉に比べ約半分に減少していた。しかし、
未処理CMSではバックグランド値が約1.3ppmであった
のに対し、GA処理CMSではバックグランド値をほぼ
ゼロにすることができた。
【0117】α−アミラーゼ量がゼロであるのに未処理
CMSからの生成オリゴ糖がゼロとはならないのは以下
の理由によるものと思われる。図7縦軸はオリゴ糖濃度
で表現しているが、この実施例の反応系では最終的に生
成するグルコース量を定量している。α−アミラーゼと
反応した後の各CMSは遠心により除去しているが、微
量のCMS粒子は上清に残る。生成オリゴ糖として上清
を採取したときに、この微量CMSが混入すると、CM
S粒子もその後発色反応液B中に含まれるグルコアミラ
ーゼの攻撃を受けることになる。未処理CMSでは、末
端グルコースが除かれていないので、グルコアミラーゼ
によって末端グルコースが水解され検出されることにな
る。この量は使用したα−アミラーゼ量に依存せずほぼ
一定なので、図7でバックグランド値として検量線全体
を上に押し上げることになる。
【0118】これに対し、予めグルコアミラーゼ処理し
たCM化澱粉では、エクソ活性型酵素であるグルコアミ
ラーゼと反応する非修飾グルコース末端が存在しない。
このため、たとえCMS粒子が発色反応系に混入しても
バックグランド値を押し上げることがない。
【0119】CM化澱粉のα−アミラーゼに対する反応
性は、グルコアミラーゼ処理により低下するのは以下の
理由によるものと思われる。α−アミラーゼはグルコー
ス鎖長4分子以上の多糖類に対して反応性を示し、重合
度の高い(鎖長の長い)ものほど反応性が高い。糖鎖中
のグルコースがアトランダムにカルボキシルメチル化さ
れると、α−アミラーゼが高い反応性を示すグルコース
分子連続部分が減少することになる。この結果、本来、
澱粉はカルボキシメチル化することによりα−アミラー
ゼに対する反応性が低下する。さらにグルコアミラーゼ
処理すると、CM化澱粉のそれぞれの枝鎖は非還元末端
から分解されて除かれる。枝鎖の途中にCM化部位があ
れば、その部位まで非還元末端からグルコース単位で水
解・除去される。このため、グルコアミラーゼ処理CM
化澱粉は一種の限界デキストリンとなり、α−アミラー
ゼが高い反応性を示すグルコース分子連続部分は見かけ
上さらに少なくなる。図7はこのことを示している。
【0120】このように、α−アミラーゼに対する反応
性が低下しているグルコアミラーゼ処理CM化澱粉であ
るが、以下の実施例13,14に示すように乾式分析要
素内の環境では、α−アミラーゼに対する反応性が増大
している。
【0121】
【実施例13】GA処理CMSのα−アミラーゼとの反応性(乾式法) 実施例9で得たグルコアミラーゼ処理CM化澱粉を用い
て、実施例5と全く同様の手順、構成で、多層分析要素
を作製した。
【0122】すなわち、実施例2で用いたカルボキシメ
チル化澱粉の代わりに実施例9で得たグルコアミラーゼ
処理CM化澱粉を基質層に使用した以外は実施例2と全
く同様な構成のスライドを作製し、その後実施例5と同
様に、その基質層兼展開層であるトリコット編物布地層
に、さらにアミラーゼ標識CRP−IgGを3mg/m2
被覆量となるようにしてエタノール溶液を塗布し含浸さ
せ乾燥させてCRP分析用多層免疫スライド5(実施例
13)を作製した。
【0123】比較例として、グルコアミラーゼ処理カル
ボキシルメチル化澱粉の代わりに、未処理のカルボキシ
ルメチル化澱粉を基質として用いた他は、実施例13と
全く同様な構成の比較用スライド6を作製した。
【0124】
【実施例14】このスライド5及びスライド6に、0,
1.4, 4.2, 10 mg/dLの各濃度のCRPを含有すると50 m
Mグリセロ燐酸緩衝溶液(pH7)を10μLを点着し、37℃に
保って、支持体側から625 nmの反射光学濃度を経時的に
測定した。CRP溶液点着後の反射光学密度の時間変化
を図8に示す。
【0125】0 mg/dLのCRP溶液を点着した場合、標
識抗体中のα−アミラーゼは抗原(CRP)との結合に
よる立体障害を受けないから、非拡散性基質であるCM
化澱粉に対する水解活性は最大となる。このようにα−
アミラーゼが最大活性を示すCRP濃度 0 mg/dLのとき
の活性は、GA処理CMSを使用したスライド5(実施
例14、図8右側)では、比較例(未処理CMSを使用
したスライド6、第8図左側)に比べ、大きく上昇して
いた。反射光学密度の計時変化の傾きを指標にすると、
グルコアミラーゼ処理したCM化澱粉では、未処理のも
のに比べ約2倍程度までα−アミラーゼに対する反応性
が増大していた。
【0126】抗原であるCRP濃度を増加させるに従
い、α−アミラーゼに対する立体障害が増大すると、α
−アミラーゼに対する反応性の低下はGA処理CMSを
使用したスライド5(実施例14、図8右側)の方が著
しかった。このことは、乾式分析要素内でのα−アミラ
ーゼのCM化澱粉に対する反応性は、予めグルコアミラ
ーゼ処理してエンド活性型酵素反応特異的にすることに
より、CRP濃度変化に対する反射光学密度の変化が大
きく、感度が鋭敏になることを示している。
【0127】最後に本発明に好ましい態様をまとめる
と、以下の通りである。 (1) 抗原と酵素標識抗体との反応、もしくは抗原と抗体
と酵素標識抗原との反応、もしくは抗原と、抗原と高分
子化合物との結合物と、酵素標識抗体との間の反応のい
ずれかの反応により生じた標識酵素活性の変化を測定す
ることにより抗原の量を分析する免疫分析要素におい
て、前記標識酵素により拡散性物質を生成する非拡散性
基質を含有する基質層と、前記拡散性物質をさらに低分
子生成物にする低分子化酵素を含有する試薬層を備え、
前記非拡散性基質が前記標識酵素とのみ反応し前記低分
子化酵素とは反応しない基質であることを特徴とする免
疫分析要素。 (2) 前記非拡散性基質が高分子多糖類であり、前記標
識酵素がエンド活性型の糖質分解酵素であり、前記変換
酵素がエキソ活性型の糖質分解酵素であることを特徴と
する(1)記載の免疫分析要素。 (3) 前記標識酵素はエンド活性型糖質加水分解酵素で
あり、前記低分子化酵素はエクソ活性型糖質加水分解酵
素であって、前記非拡散性基質は非還元末端グルコース
が修飾されたエンド型選択反応性基質であることを特徴
とする(1)記載の免疫分析要素。 (4) 前記エンド型選択反応性基質は、非還元末端グル
コースがカルボキシルメチル基で修飾されていることを
特徴とする(3)記載の免疫分析要素。 (5) 前記標識酵素がα−アミラーゼであり、前記低分
子化酵素がグルコアミラーゼ又はα−グルコシダーゼで
あり、前記非拡散性基質が非還元末端グルコース部位か
らカルボキシルメチル修飾されたグルコース単位部位ま
で、又はグルコース鎖分岐部位まで、予めエンド活性型
糖質加水分解酵素によって限定分解されたカルボキシル
メチル化澱粉であることを特徴とする(3)記載の免疫分
析要素。 (6) 前記試薬層は親水性ポリマーをバインダとして含
有する層で形成されていることを特徴とする(1)記載の
免疫分析要素。 (7) 前記基質層は多孔性媒体からなる多孔性層である
ことを特徴とする(1)記載の免疫分析要素。 (8) 前記酵素標識抗体が、前記基質層、又は基質層の
上に積層された層に含有されていることを特徴とする
(1)記載の免疫分析要素。 (9) 前記抗体が、前記基質層、又は基質層の上に積層
された層に含有されていることを特徴とする(1)記載の
免疫分析要素。 (10) 前記酵素標識抗原が、前記基質層、又は基質層の
上に積層された層に含有されていることを特徴とする
(1)記載の免疫分析要素。 (11) 前記抗体と、前記酵素標識抗原とが、前記基質
層、又は基質層の上に積層された層に含有されているこ
とを特徴とする請求項(1)記載の免疫分析要素。 (12) 抗原と高分子化合物との前記結合物と、前記酵素
標識抗体とが、前記基質層、又は基質層の上に積層され
た層に含有されていることを特徴とする請求項(1)記載
の免疫分析要素。 (13) 前記低分子生成物と反応して可視吸収を有する色
素を生成する試薬組成物を、前記試薬層又は他の水浸透
性層に含有していることを特徴とする(1)記載の免疫分
析要素。 (14) 前記試薬組成物が、酸化により発色するロイコ色
素を含む(13)記載の免疫分析要素。 (15) 前記試薬組成物が、ロイコ色素の水不溶性溶媒か
らなる溶液の水性液中への分散物を含む(14)記載の免疫
分析要素。 (16) 前記試薬組成物が、ペルオキシダーゼ及びロイコ
色素を含む(15)記載の免疫分析要素。 (17) 抗体と酵素標識抗原との反応、もしくは抗体と抗
原と酵素標識抗体との反応により生じた標識酵素活性の
変化を測定することにより抗体の量を分析する免疫分析
要素において、前記標識酵素により拡散性物質を生成す
る非拡散性基質を含有する基質層と、前記拡散性物質を
さらに低分子生成物にする低分子化酵素を含有する試薬
層を備え、前記非拡散性基質が前記標識酵素とのみ反応
し前記低分子化酵素とは反応しない基質であることを特
徴とする免疫分析要素。 (18) 前記非拡散性基質が高分子多糖類であり、前記標
識酵素がエンド活性型の糖質分解酵素であり、前記変換
酵素がエキソ活性型の糖質分解酵素であることを特徴と
する(17)記載の免疫分析要素。 (19) 前記標識酵素はエンド活性型糖質加水分解酵素で
あり、前記低分子化酵素はエクソ活性型糖質加水分解酵
素であって、前記非拡散性基質は非還元末端グルコース
が修飾されたエンド型選択反応性基質であることを特徴
とする(17)記載の免疫分析要素。 (20) 前記エンド型選択反応性基質は、非還元末端グル
コースがカルボキシルメチル基で修飾されていることを
特徴とする(19)記載の免疫分析要素。 (21) 前記標識酵素がα−アミラーゼであり、前記低分
子化酵素がグルコアミラーゼ又はα−グルコシダーゼで
あり、前記非拡散性基質が非還元末端グルコース部位か
らカルボキシルメチル修飾されたグルコース単位部位ま
で、又はグルコース鎖分岐部位まで、予めエンド活性型
糖質加水分解酵素によって限定分解されたカルボキシル
メチル化澱粉であることを特徴とする(19)記載の免疫分
析要素。 (22) 前記試薬層は親水性ポリマーをバインダとして含
有する層で形成されていることを特徴とする(17)記載の
免疫分析要素。 (23) 前記基質層は多孔性媒体からなる多孔性層である
ことを特徴とする(17)記載の免疫分析要素。 (24) 前記酵素標識抗体が、前記基質層、又は基質層の
上に積層された層に含有されていることを特徴とする(1
7)記載の免疫分析要素。 (25) 前記抗体が、前記基質層、又は基質層の上に積層
された層に含有されていることを特徴とする(17)記載の
免疫分析要素。 (26) 前記酵素標識抗原が、前記基質層、又は基質層の
上に積層された層に含有されていることを特徴とする(1
7)記載の免疫分析要素。 (27) 前記抗体と、前記酵素標識抗原とが、前記基質
層、又は基質層の上に積層された層に含有されているこ
とを特徴とする請求項(17)記載の免疫分析要素。 (28) 抗原と高分子化合物との前記結合物と、前記酵素
標識抗体とが、前記基質層、又は基質層の上に積層され
た層に含有されていることを特徴とする請求項(17)記載
の免疫分析要素。 (29) 前記低分子生成物と反応して可視吸収を有する色
素を生成する試薬組成物を、前記試薬層又は他の水浸透
性層に含有していることを特徴とする(17)記載の免疫分
析要素。 (30) 前記試薬組成物が、酸化により発色するロイコ色
素を含む(29)記載の免疫分析要素。 (31) 前記試薬組成物が、ロイコ色素の水不溶性溶媒か
らなる溶液の水性液中への分散物を含む(30)記載の免疫
分析要素。 (32) 前記試薬組成物が、ペルオキシダーゼ及びロイコ
色素を含む(29)記載の免疫分析要素。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の免疫分析要素の一実施態様例の構成図
である。
【図2】本発明の免疫分析要素の他の実施態様例の構成
図である。
【図3】本発明の免疫分析要素のさらに他の実施態様例
の構成図である。
【図4】実施例4の結果を示す図であり、実施例スライ
ド1及び比較例スライド2の免疫分析要素に標識酵素非
含有緩衝液を点着した場合の反射光学濃度の経時変化を
示す図である。
【図5】実施例4の結果を示す図であり、実施例スライ
ド1及び比較例スライド2の免疫分析要素の検量線を示
す図である。
【図6】実施例6の結果を示す図であり、実施例スライ
ド3及び比較例スライド4のCRP分析用免疫分析要素
の検量線を示す図である。
【図7】実施例12の結果を示す図であり、実施例9で
得たグルコアミラーゼ処理CM化澱粉と、比較例のグル
コアミラーゼ未処理CM化澱粉の、分散液中でのα−ア
ミラーゼに対する反応性を調べたものである。
【図8】実施例14の結果を示す図であり、実施例13
で作成した実施例スライド5と比較例スライド6に各種
濃度のCRP溶液を点着した後の、反射光学濃度の経時
変化を示す図である。
【符号の説明】
10 透光性支持体 12 試薬層 14 基質層 16 抗体(又は酵素標識抗原)を含有する水浸透性層 18 酵素標識抗原(又は抗体)を含有する水浸透性層 20 抗体と酵素標識抗原とを含有する水浸透性層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12Q 1/40 C12Q 1/40 (72)発明者 瀬志本 修 埼玉県朝霞市泉水3丁目11番46号 富士写 真フイルム株式会社内 (72)発明者 伊藤 敏古 埼玉県朝霞市泉水3丁目11番46号 富士写 真フイルム株式会社内 (72)発明者 天野 芳和 埼玉県朝霞市泉水3丁目11番46号 富士写 真フイルム株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗原と酵素標識抗体との反応、もしくは
    抗原と抗体と酵素標識抗原との反応、もしくは抗原と、
    抗原と高分子化合物との結合物と、酵素標識抗体との間
    の反応のいずれかの反応により生じた標識酵素活性の変
    化を測定することにより抗原の量を分析する免疫分析要
    素において、 前記標識酵素により拡散性物質を生成する非拡散性基質
    を含有する基質層と、前記拡散性物質をさらに低分子生
    成物にする低分子化酵素を含有する試薬層を備え、前記
    非拡散性基質が前記標識酵素とのみ反応し前記低分子化
    酵素とは反応しない基質であることを特徴とする免疫分
    析要素。
  2. 【請求項2】 前記標識酵素はエンド活性型糖質加水分
    解酵素であり、前記低分子化酵素はエクソ活性型糖質加
    水分解酵素であって、前記非拡散性基質は非還元末端グ
    ルコースが修飾されたエンド型選択反応性基質であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の免疫分析要素。
  3. 【請求項3】 前記エンド型選択反応性基質は、非還元
    末端グルコースがカルボキシルメチル基で修飾されてい
    ることを特徴とする請求項2記載の免疫分析要素。
  4. 【請求項4】 前記標識酵素がα−アミラーゼであり、
    前記低分子化酵素がグルコアミラーゼ又はα−グルコシ
    ダーゼであり、前記非拡散性基質が非還元末端グルコー
    ス部位からカルボキシルメチル修飾されたグルコース単
    位部位まで、又はグルコース鎖分岐部位まで、予めエン
    ド活性型糖質加水分解酵素によって限定分解されたカル
    ボキシルメチル化澱粉であることを特徴とする請求項1
    記載の免疫分析要素。
  5. 【請求項5】 抗体と酵素標識抗原との反応、もしくは
    抗体と抗原と酵素標識抗体との反応により生じた標識酵
    素活性の変化を測定することにより抗体の量を分析する
    免疫分析要素において、 前記標識酵素により拡散性物質を生成する非拡散性基質
    を含有する基質層と、前記拡散性物質をさらに低分子生
    成物にする低分子化酵素を含有する試薬層を備え、前記
    非拡散性基質が前記標識酵素とのみ反応し前記低分子化
    酵素とは反応しない基質であることを特徴とする免疫分
    析要素。
  6. 【請求項6】 前記標識酵素はエンド活性型糖質加水分
    解酵素であり、前記低分子化酵素はエクソ活性型糖質加
    水分解酵素であって、前記非拡散性基質は非還元末端グ
    ルコースが修飾されたエンド型選択反応性基質であるこ
    とを特徴とする請求項5記載の免疫分析要素。
  7. 【請求項7】 前記エンド型選択反応性基質は、非還元
    末端グルコースがカルボキシルメチル基で修飾されてい
    ることを特徴とする請求項6記載の免疫分析要素。
  8. 【請求項8】 前記標識酵素がα−アミラーゼであり、
    前記低分子化酵素がグルコアミラーゼ又はα−グルコシ
    ダーゼであり、前記非拡散性基質が非還元末端グルコー
    ス部位からカルボキシルメチル修飾されたグルコース単
    位部位まで、又はグルコース鎖分岐部位まで、予めエン
    ド活性型糖質加水分解酵素によって限定分解されたカル
    ボキシルメチル化澱粉であることを特徴とする請求項5
    記載の免疫分析要素。
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